SPARX REPORT

現状の株式市場の不安と今後に関して

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年初に連騰を演じて、楽観ムードで始まった日本株式市場ですが、トランプ大統領の関税引き上げに対する声明をきっかけに、米国株式市場と共に急速に下落しています。関税問題がきっかけになってはいますが、実は、株式市場は下記3点を主な要因として調整に入ったと、私は考えています。
(ア) 米国金融引き締め政策の動向、緩和政策の変更に伴う金融市場収縮懸念
(イ) ビットコインの縮小、フェイスブック問題、Uberの事故など新興株への懸念
(ウ) 上方修正一辺倒であった環境の変化、円高による企業収益への影響

(ア) 米国金融引き締め政策の動向、緩和政策の変更に伴う金融市場収縮懸念

実は、LIBOR金利が表すように世界では金融引き締めが少しずつ進んでいます。その影響から債券や株式への調整が進む中で、年初の急騰からの反動もあり、株式市場が調整を始めたと考えています。
この影響は、欧米や新興国には影響が大きいでしょう。日本も短期的には円高の進展により株価が下落していますが、金融緩和が継続していることから、落ち着きを取り戻せば、相対的にプラスとなっても良い状況になるのではないかと思います。

(イ) ビットコインの縮小、フェイスブック問題、Uberの事故など新興株への懸念

ビットコインの急落や規制強化、フェイスブックの情報漏えい、Uberの事故などから、急激に新興産業や新技術に対する懸念が台頭しています。
確かに、新技術の社会への拡大は単純ではなく、紆余曲折の中で、少しずつ拡大するものと思います。
その中で、世の中にマイナスになる部分を排除・規制し、プラスの効果が出るように市場による淘汰が進むものです。
中国や米国の株式市場ではインターネットや新技術の関連企業が牽引する株式市場でしたので、この影響は懸念されます。
しかし、日本ではアマゾンやアリババ、フェイスブックのような、誰もが認める主力企業があったわけではありません。
加えて、今後は技術が発展し、社会へ浸透する中で、大企業や既存インフラとの連携が必要になる段階に入ることから、日本企業の役割がこれから世界的にも期待されるものと考えており、マイナスよりもプラスの効果が期待できるのではないかと思います。

(ウ) 上方修正一辺倒であった環境の変化、円高による企業収益への影響

企業業績への懸念が、株式市場への実態を表すものとして最も重要です。
我々の調査からは、昨年とはやや異なる傾向が見えてきています。
昨年までは、基本的には全産業で上方修正の傾向が続いていましたが、2018年3月期第3四半期決算発表では下方修正する企業にいくつかの傾向が見え始めました。 1つ目のグループは非製造業で、特に小売等の消費関連銘柄です。
寒波などの天候不順に加えて人件費、運送費上昇によるコストアップが悪影響及ぼしている企業です。
ただし、これら消費関連銘柄では毎年のように消費低迷という名のもとに下方修正、低迷が続いています。
楽観的に見れば、コストアップが顕在化しているというのは、コストが上がれば価格を上げる、という他国では当たり前の経済活動が通用していなかった日本経済が、正常化したとも言えるのではないでしょうか。
厳しい環境の企業には値上げを躊躇するような商慣習があり、これがデフレ脱出の遅れの原因でありましたが、ヤマト運輸の値上げに代表されるように、日本もコストアップが避けられない段階になってきたと言えます。
2つ目のグループは、国内に限らず原油、資源価格の上昇によるコストアップによる製造業の下方修正です。
特に化学関連の企業に多く見られます。こちらも内需消費関連と同様ではありますが、製造業では時間のずれがあるにしても、しっかり価格転嫁する仕組みは出来上がっており、来年後半にはこれら下方修正した企業の業績は回復に転じると思われます。
3つ目のグループは、下方修正ではないが、期待値よりも業績が奮わない電機、機械、半導体など、昨年株式市場を牽引していた企業の一部です。
これら企業の先行きは楽観していますが、部品不足やiPhone Xに代表される一部製品の不振による影響、短期的な季節要因が影響しているようです。
私が見る限り、これは過度に期待しすぎていた反動であり、トレンドとしてのこれら企業の成長性は長期的には変化がないと思われます。  
私は、この(ウ)の企業業績への不安感の高まりが、最終的には株式市場の反発の鈍さの要因と考えていますが、上記のように深刻な問題とは考えていません。
日銀がお膳立てしたインフレへの転換がやっと進んできたことの現れであり、企業活動の正常化の中で、省力化投資、IT投資、優良労働者への賃金引上げ加速などが活発化し、正の循環が起こることが期待されます。
そして、消費関連の一部の企業を除けば、このプラスメリットは来年には享受できるはずであり、あまりにも好調であった企業業績が少しモメンタムの調整が入ったことで、かえって長期の好調なトレンドの寿命が延長されたのではないかと考えています。 今、最も懸念されているトランプ政策、特に関税引き上げから、貿易戦争への発展懸念については、トランプ政策そのものへの不透明感で、これは就任当初からの問題であります。
しかし、過去の例が示す通り、当初の声明に比べて交渉の中で現実的な政策へ転換することが想定され、現状では株式市場は過剰反応していると考えます。
実際日本からの輸出は自動車以外の産業の輸出は減少傾向にあり、以前ほど米国輸出の影響は日本経済にとって大きくありません。
米国依存の企業から、内需、アジア売上の高い企業へのシフトは必要かもしれませんが、全体での日本株式の優位性は上記に述べた通り継続すると考えています。
さて、株式市場の反転の可能性ですが、米国中間選挙、自民党総裁選を通り過ぎてからかもしれません。
しかし、最も重要な企業業績から見ると、新年度で活動が活発化し業績見通しが発表される5月頃、もしくは原油・商品価格上昇の影響が低減されてくる秋以降、というところが業績見通しの反転するタイミングではないかと思います。現状の株式市場はこの上昇に向けた、またこれから数年の再上昇相場の踊り場と考えています。
常に言われるとおり、悲観的な時の投資は報われると信じています。
今後ともよろしくお願い致します。

2018年3月26日
スパークス・アセット・マネジメント株式会社
取締役,CIO,常務執行役員
シニア・ファンド・マネージャー
藤村 忠弘

         
          

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