金融市場の制度設計に使われ始めた人工市場 | レポート | スパークス・アセット・マネジメント

スペシャルレポート 金融市場の制度設計に使われ始めた人工市場

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人工市場とは?

今回は私の学術研究の専門領域である人工市場(金融市場のエージェントシミュレーション)を用いた金融市場の制度設計(規制やルールの議論)について紹介します。人工市場の技術的な解説はどうしても工学的な解説になってしまいますので、それらは参考文献*1にゆずり、ここでは、なぜ人工市場で制度設計を議論することが重要なのかを述べた後、これまで私が関わった、人工市場を用いた規制やルールに関する研究の結論だけを簡単に紹介します。

金融市場は高度な協力関係を可能とする場

人類はお金と物の交換を高度に行い協力しあうことにより、他の動物を凌駕して文明を築いたといっても過言では無いでしょう。新しい事業(みんなの役に立つこと)を始めるには、まず何も持っていないところから道具をそろえる必要があります。つまり、お金を使うのが先でもらうのが後なのです。以前書いたレポート"なぜ株式市場は存在するのか?"*2で述べたように、金融市場は、企業という抽象的なものの交換を可能とし、投資と起業という高度な協力関係を可能とする場所です。

金融市場はうまく設計された時のみうまく機能する

ゲーム理論を駆使した経済学の大家であったJohn McMillanが書籍"市場を創る"*3で述べたように、金融市場は完璧なものではありませし、完璧になることもないでしょう。これからもよりよい金融市場を目指して仕組みが修正され続けるのです。金融市場に任せれば経済はすべてうまくいくこともなければ、株式市場は悪であり消し去るべきものでもありません。よりよく機能する金融市場となるよう仕組みが修正され続けるだけなのです。「市場はそれがうまく設計されたときにのみ、うまく機能する」のです。さらにMcMillanは「市場は、少なくとも物理学者や生物学者が研究してきたシステムと同じくらい"複雑で高度なシステム"である」とも言っています。
"複雑で高度なシステム"は"複雑系"*4とよばれるものを指しています。複雑系とは誤解を恐れずに言えば、個々の部分は単純であったとしても、それらが集まると全体として複雑な動きを示すものです。金融市場はまさに複雑系です。個々の投資家のことが分かったとしても、全体としてどのような価格形成になるかは分かりません。また、個々の市場設計、つまり、規制や制度、ルールなどは明確でも、全体として価格形成にどのような影響を与えるかは予測できないことが多いです。そして、複雑系は個々の部分の小さな変化が、全体に大きな影響を与えます。少しのルール変更が大きなうねりを生んでしまうこともあります。

元金融庁長官も感じた複雑系である金融市場のうまく設計する難しさ

2015年、当時の森信親金融庁長官は国際金融規制を強化しようとする欧米当局を批判する講演*5を行いましたが、その内容はまさに複雑系である金融市場に安易に規制をかけたり、個別事象に最適と思われる規制を多くかけたりして、思ってもいなかった副作用が発生してしまうことを懸念しています。優れた例え話を駆使してそれを語っています。
「タイタニック号沈没の3年後の1915年、乗客分の救命ボートを備えることを求める国際海洋救命条約が成立しました。米国は同基準を国内航路にも適用しましたが、五大湖の遊覧船、イーストランド号が救命ボートの重みで沈没し、多くの犠牲者が出ました。」というたとえ話を出し、この話から、規制を作った当初は予想していなかった副作用が発生することがあることを示しました。これはまさに、複雑系では安易な個々の修正が大きな副作用を生むことを示しています。
また、「140名の医者が患者を取り囲み、症状ごとに別の強い薬を注射したら、患者はどうなるだろうか。」と問いかけ、金融安定理事会など国際機関に計140の部会が設けられ、それぞれで新規制を設計したり、実施状況を監視したりしている状況に懸念を示しました。このことは、複雑系では、部分ごとには最適でも全体では良いか分からない、つまり、部分の単純な足し算が全体とはならないことを示しています。

ECB総裁も言及した複雑系が扱える人工市場と人工社会

金融は規制やルールなど制度がうまく設計されたときのみ機能します。森元金融庁長官の主張は、設けられた規制が期待通り機能し続けるだろうという期待を持たず、常に結果を監視しながら調整し続けなければならないというものでした。まさに、金融市場が複雑系であることをとらえた主張です。これまで、伝統的な経済学が複雑系をうまくとらえることができず、金融市場がうまく設計できていなかったことが多々ありました。特に2008年の金融危機以降、これまでの伝統的な経済学ではこの金融危機に対応できなかったという批判が多く出ました。
そして、金融市場の分析にも複雑系科学をもっと取り入れるべきだという主張が現れ、最高峰の学術論文誌であるNatureやScienceにもこのような主張が掲載されました*6。また、2010年には当時のヨーロッパ中央銀行(ECB)総裁のJean-Claude Trichetが同様の主張を総裁講演で行いました*7。複雑系科学にもいろいろな手法がありますが、本稿ではエージェントシミュレーションについてのみ述べていきます。エージェントシミュレーションは、エージェントベースドモデルとも呼ばれたりもします。エージェントシミュレーションはコンピュータシミュレーションの一種で、多数の仮想的な人や企業、自動車などをエージェントとして投入し、個々のエージェントは比較的単純なルールに従って動くにも関わらず、エージェント同士の相互作用などにより、全体としては複雑なふるまいとなります。複雑系を直接扱える手法なのです。そして、金融市場のエージェントシミュレーション、つまり多数の投資家をエージェントとして投入したコンピュータシミュレーションを人工市場、マクロ経済のマルチエージェント、つまり多数の企業や銀行などをエージェントとして投入したコンピュータシミュレーションを人工社会や人工経済(または人工社会経済)とよんだりします。

書籍"経済理論の終焉"

人工市場や人工社会の重要性を一般の人たちに最も分かりやすく伝えたのが、2008年の金融危機を予言していたとして話題となった書籍"市場リスク 暴落は必然か"*8の著者、Richard Bookstaberがその後執筆した書籍"経済理論の終焉" *9でしょう。"経済理論の終焉"は主張が強すぎるところもありますが、なぜ伝統的な経済学だけでは2008年の金融危機を分析できなかったのか、そしてなぜ、人工市場や人工社会ならそれらを扱えるのかが良く説明されています。両者は一長一短あり、協力していくべきものですが、この書籍では人工市場や人工社会の長所と、伝統的な経済学の短所ばかりが主張されていて、その点は注意して読む必要があります。とはいえ、人工市場や人工社会がなぜ必要であるか分かりやすく説明しています。

財政政策や金融政策、金融危機を議論する人工社会

そして、人工社会を用いて、財政政策や金融政策を議論したり、金融危機を防ぐルールを検討したりする研究も始まっています。例えば、EU(ヨーロッパ連合)が資金を出した金融政策を研究するプロジェクトでは、マクロ経済を人工社会で分析する研究が含まれていました*10。より現実との対応を議論しやすい人工社会とするために、企業や銀行などの各経済主体の財務諸表の動きを簿記の仕訳から実装した人工社会*11も出現しています。これらの研究の発展により、金融政策がシミュレーション結果を参考にしながら決められたり、国政選挙では各政党が財政政策のシミュレーション結果を出し合って論争をしたりする日は近いかもしれません。

東京証券取引所、金融庁、日本銀行では職員の手による研究論文も

人工市場や人工社会は金融経済分野において、複雑系を直接扱える唯一の手法であり、森元金融庁長官が指摘した思わぬ副作用や部分の単純な足し算が全体とはならないことを扱える唯一の手法です。これらを使うことはとても重要です。金融市場をエージェントシミュレーションで扱う人工市場は、学術界はもちろん、金融庁や日本銀行、東京証券取引所などの実務家においても、今検討している規制やルールの副作用や思わぬ効果をあらかじめ見つけ出したいとか、金融市場のショックの伝播のメカニズムを知りたいなどの要望から重宝されています。金融庁、日本銀行、東京証券取引所では過去に職員の手による研究論文*12が発表されています。特に東京証券取引所においては、JPXワーキングペーパー*13としてさまざまな学術研究を公表していますが、2021年9月末現在37本中11本が人工市場を用いた研究となっています。

他の分野ではすでに大活躍

実はエージェントシミュレーションは金融や経済以外での分野ではすでに大活躍していて、金融・経済分野への適用は遅れています。例えば、路面電車の線路延長に伴い自動車の渋滞が起こるのかどうかの検討や地下街で火事が起きた場合にどの階段を解放すべきかの検討などではすでに、役所の検討資料の中にエージェントシミュレーションの結果が載っていたりします*14。
ここでは、エージェントシミュレーションの特徴や使い方の理解を深めるため、金融、経済以外で活躍する例を2つ見てみましょう。

人種ごとに居住区が分かれる理由の分析:ノーベル経済学賞のSchellingモデル

2005年にノーベル経済学賞を受賞したThomas Schellingは、異人種間で隣同士に住むことに抵抗がなかったとしても、自宅の周りが異人種の住宅になることに少し抵抗があるだけで、いつの間にか居住区が人種ごとに分かれてしまうことを、エージェントシミュレーションで示しました。この研究はSchelling自身が執筆した書籍「ミクロ動機とマクロ行動」*15で一般の人でも分かりやすく書かれていますが、インターネット上にある「多角形のたとえ話」*16という記事が、シミュレーションもそのページ上で試せて解説もさらに分かりやすいものになっていますので、これをもとに説明します。
今、図1のように三角と四角が住んでいる町を考えます。初めこのような配置だったとします。

次に図2に示すように単純な引越のルールを定めます。もし、近隣の人たちが2/3以上が違う種類だった場合引越しをします。引越先は空いている場所にランダムに選びます。それに該当しない、つまり1/3以上が同じ種類ならば引越しをしません。
例えば図2の左の場合、真ん中の三角をみると周りには6人いて、四角が5人で三角が1人です。6人中5人と2/3以上が四角なので、引っ越します。図2の右の場合は、真ん中の三角をみると周りには6人いて、四角が4人、三角が2人で同じ三角が1/3以上いるので、引っ越しません。この引越しを繰り返すと、どうなるでしょうか?同じ種類が1/3以上いれば良いので、そんなにお互い嫌いあっている訳でもありません。ただ、周りが違う種類だけになるのはいやだ、という感じでしょうか。

しかしながら結果は図3のようになります。そんなに嫌いあっているわけではないのに、周りが他の種類だけになるのを避けただけで、三角の住む場所、四角の住む場所と居住地が分かれてしまっているように見えます。
Schellingが行ったこのシミュレーションは政治学の研究で多く引用されているそうです。結果だけ見ると嫌いあって住みわけが進んでいるように見えても、個々人はそんなに嫌いあってないことがあることを証明したと言えるでしょう。

新型コロナウィルスの伝播メカニズムと対策の効果を見る

新型コロナウィルスの伝播メカニズムの解明にもエージェントシミュレーションが活躍しています。新型コロナウィルスのシミュレーションだと、全体の感染状況が今後どうなるかを議論するためには、エージェントシミュレーションではなく数理モデル(数式による計算)を使ったシミュレーションが使われることが多いです。例えば、京都大学の西浦博教授や東京大学の仲田泰祐准教授らのシミュレーションが数式を使ったものです*17。
しかしながらエージェントシミュレーションも活躍していて、例えば筑波大学の倉橋節也教授が行ったエージェントシミュレーション*18では、例えば、時差出勤やテレワークなどの個別施策の効果といったより細かい議論ができます。新型コロナウィルス対策でもエージェントシミュレーションが活躍しているのです。
ここでは分かりやすい事例として、ジャーナリストのHarry Stevensが米国の新聞、Washington postの電子版に掲載した記事*19を紹介します。Stevensはジャーナリストでありながら自らデータサイエンスを駆使して記事を書くという、日本ではあまり見られない種類のジャーナリストで、この記事でも自らシミュレーションを行っています。ここでは、図を使って説明しますが、元の記事のページ*19ではシミュレーションを動画で見ることができ分かりやすいので、見てみてください。
このシミュレーションは空間をまっすぐ進むボールをエージェントとし、エージェントは壁や他のエージェントにぶつかると跳ね返ります。図4に示すように、エージェントには3つの状態があり、まだ感染したことがない非感染者、感染中の感染者、感染した後一定時間がたち回復した回復者です。今、感染者が矢印の方向に進み非感染者にぶつかると、非感染者は感染者に変わります。そして、感染者は時間がたつと回復者になります。回復者は免疫を持つため、感染者とぶつかっても感染者にはなりません。

ここで感染者を1人、他すべてを非感染者としてスタートさせます。全エージェントが動いている場合、図5のように感染者は急増する一方、その後非感染者も急増して感染者はいなくなります。

一方、図6のように、ある程度のエージェントを固定し動かないようにすると、感染者の増加は遅くなり、回復者の増加も遅くなるため、感染者がいなくなるまでに時間がかかるようになります。ただし、感染者が急増しないので、全員動いている場合に比べ、感染者の瞬間的な最大人数は小さくなります。
ある程度のエージェントを固定するのはまさにホームステイ戦略に相当し、なぜそれが必要なのか、それによってどのようになるのかが良くわかるシミュレーションだと思います。

2つの例から分かるエージェントシミュレーションの特徴

Schellingの居住地区のシミュレーションもStevensの新型コロナウィルスのシミュレーションも共通点があります。エージェントの設定が非常に単純であること、しかしながら全体の結果は簡単に予想できるものではないこと、メカニズムの理解の大きな助けになっていることがあげられます。そして、居住地区も新型コロナウィルスも現実離れしている単純な設定で、実際の町や感染者数を予測していないことも共通点です。
このようにエージェントシミュレーションは現実の予測をするというよりは、あえて単純な設定によって、メカニズムの理解を助けるというのが重要な使い道です。
そもそもシミュレーションとは何のために行うのかという問いを研究しているペンシルバニア大学のMichael Weisberg教授は、良い地図とは何かという例を出しています*20。地図は道順を理解することが目的です。図7の左は道順が分かりやすくその目的に適しています。一方、図7の右は衛星写真で現実にとても近いですが、道順は分かりにくく、その目的に適していません。しかし、もし、どのような色や形の建物が建っているか知りたければ右の方が良いでしょう。つまり、目的によって、良い地図、悪い地図というのは変わってきます。これと同じで、シミュレーションも目的によって良いシミュレーション、悪いシミュレーションというのは違ってくるのです。

金融市場の規制やルールの分析をした人工市場

さて、ここからは金融市場の規制やルールの分析をした人工市場の紹介をします。ここでは技術的な記載は省き、これらの人工市場を用いた分析の結果、どのようなことが分かったのかだけを記載します。詳しく知りたい方は引用している文献をご覧ください。引用は日本語でかつ無料で読めるものを集めました。日本語で書かれたこの分野の文献は、もともと私が関わった研究が多くを占めるのですが、ここでは私が関わった研究のみをあげたいと思います。

空売り規制と値幅制限

空売り規制と値幅制限に関しては私の博士論文*21に記載されています。
人工市場を用いて調べた結果、空売りが完全に禁止された場合だけでなく、日本では2013年に廃止になった空売りの際の価格規制も、市場を非効率なものとし、価格を引き上げ、場合によってはバブルを誘発することが分かりました。ストップ高・安や特別気配などの値幅制限は暴落時に下落したファンダメンタル価格を超えてさらに下落するオーバーシュートを防ぐことが分かりました。さらに、値幅制限の最適な設計を議論し、オーバーシュートを防ぎつつ、なるべく早くファンダメンタル価格に収束させるためには、制限値幅をP、制限期間(例えば、ストップ高・安なら1日)をTとした場合、P/Tが下落速度より小さいことが必要です。さらに、ファンダメンタル価格に収束するためには、制限値幅は平常時のボラティリティより大きくなければなりません。つまり、制限値幅は大きすぎても小さすぎてもダメなのです。
また、大規模誤発注が発生した時の値幅制限の効果を分析した結果、誤発注が続く期間より短い制限期間が有効でした。空売りの価格規制については、ある一定の時間が経過した時のみ解除する方式より元の値段に戻ったときも解除する方式が有効でした。時間でのみ解除する方式の場合、誤発注期間と解除時間が大きくは違わない場合のみ有効でした。実際の市場では誤発注期間はあらかじめ分からず、さまざまな誤発注に対応できるようにする必要があるため、値幅制限では、複数の制限期間の値幅制限を用意する必要があることを示しました。

呼値

呼値とは注文価格の刻みの最小単位です。2014年に1円刻みから10銭刻みが導入されて話題になりました。呼値に関しても博士論文*21に記載していますし、こちらは*1でも紹介しています。人工市場内に2つの呼値が異なる取引所を用意して調べた結果、短い時間で計測したボラティリティより呼値が大きい時のみ、呼値が大きい取引所から呼値が小さい取引所に取引量が移っていくことが分かりました。つまり、呼値の縮小競争は、短い時間で計測したボラティリティより呼値が小さくなれば、それ以上の縮小競争は意味がないことが分かりました。逆に言えば、そのボラティリティより呼値が小さいことが適切な呼値の大きさであることが分かりました。

ダークプール

ダークプールに関しては博士論文*21とその後分かったことは*22に記載されています。ダークプールとは板情報が公開されない取引市場です。人工市場で調べた結果、ダークプールは市場を安定化させ、マーケットインパクトを低減させる効果をもつことが示唆示されました。しかし、ダークプールでの取引が多くなりすぎると、つまり普及しすぎると市場の効率性が著しく低下することを示しました。これはダークプールが主に価格発見機能を持たない方法で使われるためで、多くの投資家がその証券の価格の決定に参加しなくなるためです。そのため、ダークプールはある程度の普及まではメリットがあり、普及しすぎるとデメリットが大きくなりますが、どのくらいまでのシェアまで大丈夫なのかを数理モデルで分析しました。その結果は50%まではデメリットが小さいことが分かり、ヨーロッパなどで導入されたダークプールのシェアを8%に制限する規制は厳しすぎる可能性を示しました。

暴落後の反発やボラティリティクラスタリングのメカニズムの解明

こちらは博士論文*21の他、*23、*24に書かれています。ファンダメンタルが急激に悪化してその企業の株価が暴落した直後に、反発がよくあることが知られています。これはオーバリアクションのためだと考えられていることもありますが、人工市場で分析すると、投資家の予想株価にばらつきがあり、需給に偏りがあれば、この反発は起こることが分かりました*21*23。というのも、需給に偏りがある場合、需給の均衡で価格を決めるという価格決定メカニズムの性質上、最も多くの投資家が予想している価格で取引されないことが原因です。また、一般的にボラティリティは投資家の予想価格のばらつきと需給の歪みが大きくなるとボラティリティは大きくなることが分かりました*24。また、ボラティリティクラスタリングとはボラティリティが上昇すると上昇した状態が続くことですが、流動性を奪う投資家の存在割合が大きくなったり投資家のリスク回避度が小さくなったりするとボラティリティクラスタリングは大きくなることが分かりました*24。

高速取引の影響

以前のレポート*25で示したように高速取引の多くはマーケットメイク戦略と言われていますが、このマーケットメイク戦略が存在する取引所と存在しない取引所を人工市場内に用意して取引量の変化を調べました*26。その結果、この戦略が存在する取引所の取引が増えました。さらに、この戦略が提示しているスプレッド(買いと売りの注文価格の差)が平均的な最良の売り・買い気配の価格差より大きくても、取引量を増やすことができることが分かりました。

取引所の高速化

取引所間では取引システムの高速化競争が行われています。ここでいう速さとは投資家が注文を出してからその結果を受け取るまでの時間のことで、レイテンシーとよばれています。そこでどれくらいレイテンシーが短ければ良いのかを人工市場を用いて調べました*27。その結果、平均的な注文の到着間隔よりもレイテンシーが短ければ、市場効率性やボラティリティなどに影響を与えないことが分かりました。逆に言えば、平均的な注文の到着間隔よりもレイテンシーが長くなってしまうと、まだ知らない価格変動がある状態で注文を出すことになってしまい、効率的な市場を形成するのを阻害したり、ボラティリティを引き上げたりすることを示しました。

バッチオークション

バッチオークションとはザラバをなくし数秒間隔で板寄せを行う取引方式で、高速取引にとって不利な取引方式で不公平感をなくすことができる取引方法だと一部の人たちが言っている方式です。ザラバとバッチオークションのどちらが売買量が多くなるか調べたところ、ザラバの方が売買量が多くなりました*28。これは、日をまたいでの保有を避けたい高速取引が、バッチオークションの場合保有を減らす売買がしづらく、結果として日中の売買を多くできないからであると分かりました。バッチオークションでの売買量の低下は、高速取引を行わない一般の投資家にとっても不利益となるため、バッチオークションはザラバより優れた方式ではない可能性を示しました。

忍耐強いアクティブ運用の市場効率化への貢献

以前のレポート*29に書いたように、優れたアクティブ運用はいろいろな忍耐強さを持っていて回転売買をしたりはしません。そのため、売買量は比較的少ないと考えられています。一方、売買量が少ないにも関わらず市場価格に影響を与え市場を効率的にできるのかという疑問も残るでしょう。そこで忍耐強いアクティブ運用を人工市場で調べました*30。その結果、忍耐強いアクティブ運用はまれに起こる、市場価格が企業価値に即した適正な価格から大きく乖離して市場が不安定になり、市場がさらに非効率になりそうなときのみに多く売買を行い、市場を効率化することに寄与していることが示されました。市場価格の変動が大きくなると、投機的な注文はその変動をさらに大きくすることがありますが、忍耐強いアクティブ運用の注文は、このような増幅を防いでいる可能性も示されました。また、忍耐強いアクティブ運用が増えることにより、競合が増えて利益を奪い合うのではなく、仲間が増えることにより売却したい価格に到達しやすくなり投資機会が増え利益を獲得しやすくなることも分かりました。

水平株式保有

以前のレポート*31に書いたように、パッシブ運用がある業界のすべての企業の大株主となる"水平株式保有" (または"共同保有"ともよばれる)が、公正な企業間の競争を阻害し、産業の発展を妨げているという主張があります。人工市場モデルを用いてパッシブ運用の増加が企業間競争と市場価格へ与える影響を分析しました*32。その結果、パッシブ運用の割合がさほど大きくなくても、競争を阻害する可能性を示しました。また、競争に勝った企業の市場価格が、増加したファンダメンタル価格以上に上昇して割高となり、競争を促す株主が離れて競争力を弱くする一方、競争に負けた企業の市場価格が、減少したファンダメンタル価格よりさらに下落して割安となり、競争を促す株主が増え競争力を強くして、企業間競争のバランスをとるメカニズムが存在する可能性があることも示しました。

見せ玉

以前のレポート*33に書いたように、見せ玉(相場操縦が目的で、かつ、取引する意図がない注文)は公正な取引を阻害するため禁止されています。一方で、どれくらいの大きさの見せ玉なら市場価格へ影響を与えるのかは分かっていませんでしたので、それを人工市場で調べました*34。その結果、板上に平均的に存在する最良気配付近の指値注文数より多くの株数の見せ玉を見せれば、不公正な利益が得られるだけでなく、価格形成に悪影響を与え、株価変動が大きくなり、市場が非効率となることが分かりました。

人工知能が勝手に相場操縦を行うか?

以前のレポート*35に書いたように、人工知能が相場操縦を行った場合の責任の所在が議論されています。もし人工知能の作成者が相場操縦を意図していなかったのに、人工知能が勝手に相場操縦を行った場合、誰にも責任に問えない可能性があり問題となっています。そこで、人工知能の作成者が相場操縦という取引戦略を全く意図していなかったにも関わらず、人工知能が学習を通じて相場操縦という取引戦略を発見するのか、人工市場を使って調べました*36。その結果、人工知能が最適な取引戦略として見つけたのは、まさに相場操縦でした。この結果は、株式取引を行う人工知能の作成者には、人工知能が相場操縦を行わないようにする義務を負わせるなどの規制の必要性を示しています。

新しい投資戦略が既存の投資戦略の利益を奪い取るか?

新しい投資戦略が既存の投資戦略を餌食にして利益を奪い取っているという主張が時々あります。例えば、主に商品先物を取引するファンドであるCTA(Commodity Trading Advisor) は2010年代以降不調ですが、CTAを餌食にして利益を得る短期的な逆張り戦略が増えたからだという主張が見られます。そこでCTAと短期逆張りを行う投資家を実装した人工市場モデルを構築し、短期逆張り戦略の出現がCTAのリターン減少につながったのかどうかを分析しました*37。その結果、CTA・短期順張りともに、お互いがいたほうが戦略を実行するチャンスが多くなり、むしろ利益を獲得していることが分かりました。このため、短期的な逆張り戦略がCTAを餌食にして利益を得ているというのは誤りである可能性を指摘しただけでなく、むしろ共存共栄である可能性を示しています。

分散投資規制

分散投資規制とは公募の投資信託において、1つの銘柄を10%以上持てない(ただし諸例外あり)という規制です。この規制が課せられている場合と課せられていない場合について人工市場で比較しました*38。その結果、何らかの理由でファンダメンタル価格が急上昇した銘柄を投資信託が上限近くまで持っていた場合に、時価の上昇で上限を越さないように売る必要が生じ、ファンダメンタル価格への収束を妨げる場合があることを示しました。

レバレッジドETF

レバレッジドETFとは、例えば、日経平均などの指数の2倍などの値動きをするETFのことです。レバレッジドETFは指数先物を保有しているのですが、通常のETFとは異なり、指数の上昇・下落が起こっただけでリバランス取引が発生し、上昇すると先物の買い、下落すると先物の売りを行う必要があります。そのため、指数の値動きを大きくしているのではないかという主張もあります。人工市場でこのリバランス取引の市場価格へ与える影響を調べました*39。その結果、レバレッジドETFの規模が大きいほど影響は大きく、通常時のボラティリティよりも大きいマーケットインパクトを与えるまでになると、市場価格への影響が特に顕著になることが分かりました。

流動性への影響

流動性を計る指標といえば、取引量(出来高)があげられることが多いですが、他にも板の厚さ(待機している指値注文の量)や最良売り・買い気配の狭さ(ビッド・アスクスプレッド)なども流動性の指標として挙げられます。多くの実証研究がこれらは正の相関を持つことを示していて、例えば取引量が多い銘柄は板の厚さも厚い傾向があることが知られています。人工市場においてさまざまなパラメータを調整してさまざまな流動性指標を測定しました*40。その結果、取引量と板の厚さは逆相関となりました。人工市場では投資家の人数は固定されているのですが、実際の市場では取引量が増えれば板の厚さを厚くするような投資家が参入してくるなど、人工市場には取り入れられていない動きがある可能性があります。逆に言えば、それらがなければ、取引量と板の厚さは関係のない指標であり、流動性の量を示す取引量、質を示す板の厚さといった、流動性にもいくつか種類があることが示されました。

取引手数料のメイカー・テイカー制(リベート制)

取引所で注文が成立するためには、その価格で待っていた指値注文(メイカー)と、それに対当する注文(テイカー)が到来する必要があります。売買手数料は両者から同額徴収するのが通常ですが、米国を中心に、テイカーからは手数料を徴収し、メイカーには逆にリベートを支払うという、メイカー・テイカー制を採用している取引所もあります。そこで、人工市場を用いて、このメイカー・テイカー制が、流動性にどのような影響を与え、テイカーの執行コストにどのような影響があるのか調べました*41。執行コストとは、売買手数料の他に、自分自身の取引によって価格が不利な方向に動いてしまうマーケットインパクトなど、執行の際にかかってしまうコストすべてを含みます。メイカー・テイカー制では、メイカーにリベートを支払う分、テイカーにかかる手数料が高くなると考えられますが、メイカーの注文が多くなり、流動性が向上するため、マーケットインパクトは減少すると考えられ、それらの合計である執行コストが有利になるのか不利になるのかは自明ではありません。人工市場で調べた結果は、メイカーとなるマーケットメイク戦略が注文する指値の売り買い価格差が、平均的な最良売り・買い気配の差より小さくできるくらいリベートを提供すれば、テイカーの執行コストは低下する一方、それ以下のリベートの場合はかえって執行コストは上昇してしまうことが分かりました。
また、ETFと現物の裁定取引に対してメイカー・テイカー制を考慮して取引させる場合も人工市場で検討されています*42。この場合は、メイカーが支払う売買手数料がボラティリティより十分小さいことが重要であり、リベートになったとしても効果はないことが分かりました。

最後に

このレポートでは、なぜ人工市場や人工社会で制度設計を議論することが重要なのかを述べ、これまで私が関わった人工市場で行われた規制やルールに関する研究の結論を簡単に紹介しました。
2008年の金融危機以降、伝統的な経済学では複雑系であったこの金融危機を分析できていないと批判し、人工市場や人工社会などの複雑系科学をもっと活用すべきだという主張があらわれました。確かに、人工市場や複雑系科学でしか金融市場は分析できないというRichard Bookstaberの主張*9は行き過ぎであると思いますが、人工市場をもっと活用し伝統的な経済学の弱点を補完すべきであることは確かだと思います。
このレポートでは金融市場の制度設計の議論に貢献し始めた人工市場をいくつか紹介しました。確かに、現在の金融市場が抱える数多くの問題の中で人工市場によって議論できることはまだ多くないかもしれません。しかし、人工市場の貢献はまだ始まったばかりですし、そもそもシミュレーションとはどうあるべきか、というところから議論を深める必要がある段階だと思います。John McMillanが例え話に出した「精密にするために現実とまったく同じ大きさになってしまった役に立たない地図」*3のような人工市場を作ってしまわないためにも、議論がまだ必要なのです。逆に言えば、この分野はまだ始まったばかりであり、これからの発展余地は相当に大きいと感じています。
このレポートで紹介した人工市場が扱っている規制やルールは、人によっては非常に細部のものであると思えて重要性をあまり感じないかもしれません。しかし、John McMillanは「市場がうまく機能するかどうかを決定するのは設計の細部である」と述べました*3。まさに「神は細部に宿る」のです。金融市場が社会の発展に貢献するか、または、金融危機などにより社会に打撃を与えるのか、それも設計の細部にかかっているのだと思います。
今後、もっと多くの金融市場の規制やルールが人工市場や人工社会で扱えるようになり、うまく金融市場を設計することに貢献し、社会の発展につながっていけばと願っています。


(*1) 日本語で書かれた人工市場による市場制度設計の詳しい解説は多くなく、書籍や学会誌内の記事、講義資料をあげておきます
高安美佐子、和泉潔、山田健太、水田孝信、"マルチエージェントによる金融市場のシミュレーション"、コロナ社、2020 (第5章が市場制度設計に関する章です)

水田孝信、 八木勲、"人工市場による金融市場の設計と広がる活用分野"、人工知能、36 巻 3 号、人工知能学会、2021

その他に私が行った講義資料や説明動画もあります

(*2) 水田孝信、"なぜ株式市場は存在するのか?"、 スパークス・アセット・マネジメント スペシャルレポート、 2018年5月21日

(*3) John McMilan, "Reinventing the Bazaar", A Natural History of Markets, WW Norton & Company, 2002, (邦訳:瀧澤弘和、木村友二、"市場を創る-バザールからネット取引まで"、 NTT出版、2007)

(*4) 優れた入門書として、
Melanie Mitchell, "Complexity: A Guided Tour", Oxford University Press, 2009,(邦訳:高橋洋、"ガイドツアー 複雑系の世界: サンタフェ研究所講義ノートから"、 紀伊國屋書店、2011)

(*5) 森信親, "Rethinking Regulatory Reforms", the 6th Annual Pan Asian Regulatory Summit, Hong Kong, 2015,

以下の講演でこの講演の和訳が一部紹介されています
永見野良蔵、"金融規制の国際交渉"、日本金融学会、2018、

(*6) 例えば以下の2つの記事です。
J. Doyne Farmer & Duncan Foley, "The economy needs agent-based modelling", Nature, 2009

Stefano Battiston et al., "Complexity theory and financial regulation", Science, 2016

(*7) Jean-Claude Trichet, "Reflections on the nature of monetary policy non-standard measures and finance theory", 2010,

(*8) Richard Bookstaber, "A Demon of Our Own Design: Markets, Hedge Funds, and the Perils of Financial Innovation", Wiley, 2007 (邦訳:遠藤真美、"市場リスク 暴落は必然か"、日経BP、2008)

(*9) Richard Bookstaber, "The End of Theory: Financial Crises, the Failure
of Economics, and the Sweep of Human Interaction", Princeton University Press, 2017 (邦訳:長尾慎太郎、井田京子、"経済理論の終焉 金融危機はこうして起こる"、Pan Rolling、2019)

(*10) Hommes, C., Breen, K., "Integrated macro-financial modelling for robust policy design", The Community Research and Development Information Service, 2018

(*11) 高島幸成、"ABMによるマクロ経済基本挙動再現の為のモデル構造に関する研究"、 博士論文、千葉工業大学大学院社会システム科学研究科、2013

(*12) 例えば以下の2つがあります。
大井朋子、"エージェントシミュレーションを用いた「価格規制」と「ネイキッド・ショート・セリングの禁止」の有効性の検証"、FSA リサーチレビュー Vol. 7、金融庁金融研究センター、2013

崎山登志之、山田哲也、" 国債市場のネットワーク分析とシステミックリスクへの応用"、 日銀リサーチラボ・シリーズ、日本銀行、2016

(*13)

(*14) 例えば、
吉村忍ほか、"本編別紙(その2)交通シミュレーション"、路面電車乗り入れを含めた岡山駅前広場のあり方検討会 第4回検討会、岡山市、2018

他には、
第4回地下街安心避難対策検討委員会、国土交通省、2014

(*15) Thomas C. Schelling: "Micromotives and Macrobehavior", W. W. Norton & Company, 2006 (邦訳: 村井章子、"ミクロ動機とマクロ行動"、勁草書房、2016)

(*16) Vi Hart、Nicky Case、"多角形のたとえ話"、

(*17) 京都大学の西浦博教授のシミュレーションはメディアで多く取り上げられています。こちらのその一覧があります。

東京大学の仲田泰祐准教授・藤井大輔講師のシミュレーションは以下で随時更新されています

(*18) 倉橋節也、"新型コロナウイルス(COVID-19)における感染予防策の推定"、人工知能学会論文誌 35巻3号、2020

この論文は新聞記事でも紹介されました
"コロナ感染予防、外出抑制が効果大 筑波大が試算"、日本経済新聞、2020年6月19日

(*19) Harry Stevens, "Health Why outbreaks like coronavirus spread exponentially, and how to "flatten the curve"", the Washington post, 2020/3/14

日本語版もあるのですが無料公開されていないようです

(*20) Michael Weisberg, "Simulation and Similarity: Using Models to Understand the World", Oxford Studies in the Philosophy of Science, 2012 (邦訳: 松王政浩、"科学とモデル-シミュレ-ションの哲学入門-"、 名古屋大学出版会、2017)

(*21) 水田孝信、"人工市場シミュレーションを用いた金融市場の規制・制度の分析"、博士論文、東京大大学大学院工学系研究科、2014

(*22) 水田孝信、 小杉信太郎、 楠本拓矢、 松本渉、 和泉潔、"ダーク・プールが市場効率性と価格発見メカニズムに与える影響 ~人工市場モデルと数式モデルを用いたメカニズムの分析~"、人工知能学会 金融情報学研究会、第16回、2016

(*23) 八木勲、水田孝信、和泉潔、"人工市場を用いた市場暴落後における反発メカニズムの分析"、 情報処理学会論文誌、53巻11号、2012

(*24) 水田孝信、"ARCHモデルのミクロ的基礎付けの試み"、人工知能学会 金融情報学研究会、第17回、2016

(*25) 水田孝信、"高頻度取引(3回シリーズ第1回):高頻度取引とは何か?"、 スパークス・アセット・マネジメント スペシャルレポート、 2019年4月3日

(*26) 草田裕紀、 水田孝信、 早川聡、 和泉潔、"保有資産を考慮したマーケットメイク戦略が取引所間競争に与える影響:人工市場アプローチによる分析"、 人工知能学会論文誌、 30巻5号、 2015

(*27) 水田孝信、 則武誉人、 早川聡、 和泉潔、 "人工市場シミュレーションを用いた取引システムの高速化が価格形成に与える影響の分析"、 JPXワーキングペーパー、 Vol. 9、 日本取引所グループ、 2015

(*28) 水田孝信、 和泉潔、 "人工市場シミュレーションを用いたバッチオークションの分析"、 JPXワーキングペーパー、 Vol. 17、 日本取引所グループ、 2016

(*29) 水田孝信、"優れたアクティブファンドはいろいろな忍耐強さを持っている"、 スパークス・アセット・マネジメント スペシャルレポート、 2018年2月16日

(*30) 水田孝信、 堀江貞之、" 忍耐強い(Patient)アクティブ投資は市場を効率的にするのか?-人工市場によるシミュレーション分析-"、人工知能学会 金融情報学研究会、第19回、2017

(*31) 水田孝信、"水平株式保有は経済発展をとめるのか?"、 スパークス・アセット・マネジメント スペシャルレポート、 2018年4月23日

(*32) 水田孝信、 "水平株式保有するパッシブファンドの増加が企業間競争と市場価格へ与える影響-人工市場によるシミュレーション分析-"、人工知能学会 金融情報学研究会、第21回、2018

(*33) 水田孝信、""フラッシュ・クラッシュ・トレーダー"と呼ばれた男はフラッシュ・クラッシュとはあまり関係なかった:高頻度取引との知られざる戦い"、 スパークス・アセット・マネジメント スペシャルレポート、 2021年4月12日

(*34) 実はこのテーマだけ日本語で一度も論文等を書いていません。英語版ですが一応あげておきます。
Takanobu Mizuta, "How Many Orders does a Spoofer Need? -Investigation by Agent-Based Model-", 7th International Conference on Behavioural and Social Computing (BESC), 2020

(無料で読めるsubmitted版)

(*35) 水田孝信、"人工知能が不公正取引を行ったら誰の責任か?"、 スパークス・アセット・マネジメント スペシャルレポート、 2020年8月4日

(*36) 水田孝信、"人工知能は相場操縦という不正な取引を勝手に行うか?-遺伝的アルゴリズムが人工市場シミュレーションで学習する場合- "、人工知能学会 金融情報学研究会、第25回、2020

(*37) 水田孝信、"新しい株式投資戦略は既存の戦略からリターンを奪うのか?-人工市場によるシミュレーション分析"、人工知能学会全国大会、第35回、2021

(*38) 丸山隼矢、 水田孝信、 八木勲、 "人工市場を用いた分散投資規制が市場に与える影響分析- ファンダメンタル価格急落時と急騰時における比較"、情報処理学会論文誌、60巻10号、 2019

(*39) 八木勲、 水田孝信、"人工市場シミュレーションを用いたレバレッジドETFが原資産価格変動に与える影響分析"、 人工知能学会 金融情報学研究会、第18回、2017

(*40) 益田裕司、 水田孝信、 八木勲、 "人工市場を用いた金融市場流動性に影響を与える要因の調査"、 JPXワーキングペーパー、 Vol. 29、 日本取引所グループ、 2019

(*41) 星野真広、水田孝信、 八木勲、 "人工市場を用いたメイカー・テイカー制が市場間取引シェア獲得に与える影響調査"、 JPXワーキングペーパー、 Vol. 37日本取引所グループ、 2021

(*42) 水田孝信、"裁定取引へのリベートは流動性を向上させるか?-人工市場によるシミュレーション分析-"、人工知能学会 金融情報学研究会、第24回、2020



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