ニッポン解剖~日本再興へのメカニズム~「長期投資とは何か - 長く持つこと自体が目的ではない」 | レポート | スパークス・アセット・マネジメント

スペシャルレポート ニッポン解剖~日本再興へのメカニズム~「長期投資とは何か - 長く持つこと自体が目的ではない」

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 投資家が「長期投資」を標榜するケースは少なくありません。実際、国内外を問わず、多くの運用会社が自らを長期投資家と位置付けています。しかし、「長期投資」とは具体的に何を意味するのでしょうか。本稿では、このテーマについて改めて考えてみたいと思います。なお、長期投資には多くの考え方があり、本稿で述べる内容はあくまでも筆者個人の見解です。

 筆者は、長期投資を「長期的な企業価値向上による果実を享受することを期待した投資」と定義しています。ここで重要なのは、長期間保有すること自体が目的ではないという点です。長期間保有することでより高いリターンが期待できるからこそ、結果として投資期間が長期になるのであって、長く持つことそのものが目的ではありません。 

投資期間の観点から、二つのケースを考えてみます。なお、ここでは企業価値と株価は概ね連動するという前提に立っています。

 ①短期的に30%のリターンが得られるものの、その後の成長は減速し、長期的な累積リターンは50%にとどまる企業への投資です。
  将来得られる追加リターンが限定的であるため、30%程度の利益が得られた段階で売却を選択することになります。

 ②短期的な上昇率は10%程度と緩やかであるものの、その後も持続的な成長が続き、長期的には100%のリターンが期待できる企業への投資です。
  投資家は企業価値の成長を見守りながら、100%のリターンが実現するまで長期保有を続けます。

 つまり、ケース②のように投資家が長期投資を行うのは、「長く持ちたいから」ではなく、「長く持つことでより高いリターンを期待できるから」だと思います。ケース①のように、短期的な値上がりを繰り返し捉えることができれば、高い投資成果を得ることは可能です。しかし、実際の株式市場において、そのような投資行動を高い再現性をもって継続することは容易ではありません。投資家は常に次の投資先を探し続けなければならず、投資判断を誤るリスクも伴います。一方で、長期投資にも注意点があります。例えば、100%のリターンを得るまでに10年以上かかる場合、年率換算リターン(CAGR)は7.2%以下にとどまります。重要なのは投資期間の長さではなく、その期間に見合うだけの十分なリターンが期待できるかどうかです。繰り返しになりますが、長期投資とは長く持つことを目的とした投資ではありません。企業価値の持続的な成長によって高いリターンが期待できるからこそ、結果として長期保有になる投資です。これこそが長期投資の本質だと理解しています。

 時折、「長期投資家だから長く保有するのですよね」と聞かれることがあります。しかし、筆者は必ずしもそうは考えていません。企業価値が想定以上に早く顕在化すれば売却することもありますし、逆に企業価値の成長余地が大きいと判断すれば、10年以上保有することもあります。また、複利の効果も見逃せません。企業価値の成長が長期間継続すれば、その果実は複利によって大きく膨らんでいきます。私たちが投資しているのは「時間」ではなく「企業価値」です。長期投資とは、長く持つことを目的とした投資ではなく、企業価値の持続的な成長がもたらす高いリターンを追求する投資であると考えています。

スパークス・アセット・マネジメント株式会社
ファンドマネージャー 川部 正隆

当レポートは執筆者の見解が含まれている場合があり、スパークス・アセット・マネジメント株式会社の見解と異なることがあります。

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