株式投資家のための気候変動解決策の解説 | レポート | スパークス・アセット・マネジメント

スペシャルレポート 株式投資家のための気候変動解決策の解説

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今回は気候変動解決策の理解を目指します

本シリーズでは全4回にわたって、株式投資で気候変動を考慮することに賛否があるのはなぜかを議論しています。初回の概要編*1、前回の科学的理解編*2に引き続き、今回は気候変動の解決策を理解することを目指します。

まず、気候変動を解決するためにはどういう技術が必要で、何が普及しなければならないかを述べます。地球規模の複雑な問題なので、解決に寄与する技術はさまざまあり、すべてを実行していく必要があります。とはいえ、定量的に最も寄与度が高い、つまり最も重要な技術は、太陽光発電を始めとした二酸化炭素を出さない発電と、このような発電方法の欠点である天候によって発電できない時間があることを克服するための蓄電であることも分かっています。そのため、気候変動解決に向けてなすべき社会的な政策は、二酸化炭素の排出に大きなコストがかかるようにし、二酸化炭素を排出しない発電や蓄電を経済的に補助することです。

ここまで分かっているのに、国際機関や各国政府が最適な制度を採用できずにいます。それはなぜなのか、本レポートではここまでを解説したいと思います。そして、次回の最終回で、気候変動を解決することでしかリターンを得られない投資家や、逆に気候変動と関係ない投資家などを紹介し、"株式投資で気候変動を考慮することに賛否があるのはなぜか"の結論を述べたいと思います。

今回も米国テキサスA&M大学のアンドリュー・デスラー教授が執筆した現代気候変動入門(邦題)*3を参考に述べていきます。デスラー教授は気候変動問題の"解決"の専門家であり、解決方法についても多くのページを割いています。本レポートの目的は株式投資において気候変動を考える際に必要最小限の気候変動解決策の理解を得ることです。全般的に知りたい方はこの本を読むことをお勧めします。本レポートはこの本に出てこないオリジナルの話はありません。

技術的手法の分類:適応、緩和、太陽放射管理、除去

気候変動問題を解決するための技術にはさまざまなものがあります。そのすべてが活躍しなければなりません。大きく4つに分類されていて、適応、緩和、太陽放射管理、除去です。前回のレポート*2でも述べたように、気候変動問題とは、場所ごとに異なるさまざまな気候の変化により、百年ほどの時間をかけて、人間が生活するのにちょうどよい環境の場所が徐々に減ってしまうことです。

適応とは、変動してしまった気候からの被害を防ぐためにコストをかけて設備などを作ることで、例えば、洪水が起きても被害を受けないように堤防やダムを作ったり、干ばつが起きても大丈夫なように灌漑や水道を整備したりすることです。根本的な解決にはつながりませんが、すぐに・確実に効果があるため、まず初めに行われる対応策です。

緩和とは、二酸化炭素の排出量を減らすことです。数十年単位の時間はかかりますが、気候変動の根本的な原因を取り除きますので、最も貢献度が高いです。このレポートではこれを中心に述べますので、最後に紹介します。

太陽放射管理とは、簡単に言えば太陽の光が入ってくる量を減らし、気温を直接下げるというものです。

除去とは、排出されてしまった二酸化炭素を取り除くことです。森林が二酸化炭素を吸収すると言われていますが、そのほかに人工的に二酸化炭素を吸収する方法もあります。

それでは、ひとつひとつ見ていきましょう。

適応

適応は、すぐに効果が出るのがメリットです。干ばつが増えてもコストをかけて灌漑を行えば解決します。前回のレポート*2で述べたように、これからどのような努力をしても2040年ごろまでは同様に気候が変動してしまうので、適応は必要です。今から数十年の間、豊かな地域においては気候変動対策と言えば適応が中心となるでしょう。しかし、豊かな地域でしか実行できないうえ、生き続けるのに必要なコストが大幅に上昇してしまうので、長期的に適応だけに頼るわけにはいきません。気候変動の原因を直接取り除く対応である、緩和が必要です。

太陽放射管理

前回のレポート*2で述べたように日射の反射を増やすような物質をあえて上空にばらまき、気温上昇を抑えることも検討されています。この方法は大気汚染を回避しつつ現実的に実行できることも分かっていて、気候変動問題"解決"の専門家たちの間で検討されています。しかし、気温以外の気候にどのような影響を与えるかは分かっておらず、二酸化炭素排出削減に比べ大きなリスクが伴います。なので、今のところは最終手段と考えられています。

除去

植物は光合成で二酸化炭素を吸収します。そのため、木の伐採をやめようとか、森林を大事にしようとか、木を植えようとか言われますが、実際にはそう単純ではありません。まず当然ですが、光合成は木が生きている間しか行われませんし、木が寿命を迎えたときに適切でない燃やしかたをしてしまえばそれまでにため込んだ二酸化炭素が放出されてしまいます。そのため、森林を本格的な二酸化炭素の吸収に活用するのであれば、常に若い木に入れ替え、古い木を二酸化炭素が放出しないように適切に処分する必要があります。森林がありさえすれば二酸化炭素を吸収してくれるわけではなく、実は適切な管理が必要なのです。

除去には他にも、枯れた油田に二酸化炭素を閉じ込める、海に鉄を入れるなど、さまざまな方法が研究されています。しかし、コストが高かったり、別の環境への影響がある恐れがあったりと、大規模かつ効率的な方法はまだ見つかっていません。

緩和

緩和とは、二酸化炭素の排出量を減らすことです。数十年単位の時間はかかりますが、気候変動の根本的な原因を取り除きますので、長期的には最も貢献度が高いです。緩和には2種類あります。効率化と、炭素強度の低下です。効率化はなるべく少ない電力やエネルギーでこれまでと同じことを行えるようにすることです。省エネともよばれています。LEDは大きな功績です。もちろん、効率化は非常に重要ですが、限界があるのも事実です。

炭素強度とは、電力を作る際の電力エネルギーあたりの排出二酸化炭素量です。炭素強度が一番大きいのは発電時の放出です。発電時の二酸化炭素の放出をいかに減らすか、長期的にこれがもっとも効果のある対策です。これまで述べてきたどの対策も重要で、すべて行うべきですが、発電時の炭素強度低下が長期的にもっとも効果があり、そしてもっとも現実的で実行可能な対策です。これは間違いありません。

炭素強度が低い発電方法には、太陽光発電、風力発電などさまざまなものがあります。図1は国際連合が設立したIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change, 気候変動に関する政府間パネル, 2007年ノーベル平和賞受賞)が発行した第6次報告書 第3作業部会報告書*4に掲載されているグラフです。各発電方式において現実的なコストでどれだけ炭素強度を減らせるかを示したグラフで、太陽光発電と風力発電が特に効果が高いことが示されています。この2つの発電方法をいかに普及させるか、まさにこれが、長期的に最も重要な気候変動対策なのです。

ただ、これらの発電方式は、発電量が天候に依存するため、この欠点を克服するために電気をためておく技術(蓄電技術)の進歩が必要です。この技術革新も同じく重要と言えるでしょう。

市場の失敗

今のところ、二酸化炭素を多く輩出する発電方法が経済的にはもっとも低コストで発電でき、太陽光や風力発電は経済的には高コストです。一方で、二酸化炭素を放出したからといって個別の企業がコストを負わされる訳ではありません。つまり個々の企業からすると、低コストで発電して二酸化炭素を放出し、次の世代に気候変動というコストを負わせることになったとしても、その企業自身は経済的コストを負うわけではありません。しかも、コストをかけて二酸化炭素放出を減らす努力をしても、放出量削減のメリットは次の世代が享受し、その企業が享受するわけではありません。

つまり、二酸化炭素の放出という行為は無料でできてしまい、それをした方がその企業は利益を得られてしまいます。次の世代や貧しい地域の人々、二酸化炭素放出量を抑える努力をしている他の企業の不利益があったとしても、です。

市場とは、個々が最適だと思う行動が人類全体の最適になっていなければなりません。しかし現在は残念ながら、発電を行う企業は二酸化炭素削減のコストをかけない方が報われ、その被害は次の世代が受けます。このように気候変動の問題は、現在の市場の仕組みではうまくいかない、いわゆる、「市場の失敗」状態になっています。

市場の失敗は政府が解決すべきだが

このような状況を解決するのに最も力を発揮すると期待されているのは、もちろん政府です。気候変動を解決する技術革新を最も後押しできるのは政府であり、これを各国政府が協力して行わなければならないことは間違いないでしょう。

政府は企業の二酸化炭素排出に税金をかけ、つまり二酸化炭素の排出にコストがかかるようにし、企業たちに二酸化炭素の排出を削減する努力を促すことができます。多くの国でこの炭素税が導入されれば、気候変動は解決するだろうと言われています。

しかし、増税は有権者に人気がなく政治的にもっとも実行が難しい政策です。しかも、すでに経済が発展し豊かな生活をしている国こそ炭素税が必要ですが、そのような国は高齢化が進み、有権者が次の世代の利益を考えない傾向にありますし、気候変動による被害をまだ受けていません。一方、まだ経済が発展しておらず豊かな生活を享受していない国は二酸化炭素の排出量がまだ少ないので、炭素税を導入してもあまり効果がありませんが、そのような国はすでに気候変動の被害を受けており、有権者もなんとか解決したいと考えています。

つまり、国家間でも解決できる力を持つ国と、被害を受けている国が違うのです。政府でもこのような困難が伴うのです。

また、炭素排出権取引という手法も使われます。これは炭素税に比べれば国民に不人気ではなく非常に有効な手法です。というのも、排出でペナルティーを受けるのではなく排出抑制で利益を得られるため受け入れやすいのです。実は、フロン等によるオゾン層の破壊という比較的似ている環境問題も排出権取引を用いて解決しました。一方気候変動に関しては、発電業界からの圧力により排出権は安く設定されがちで、気候変動に対してはまだうまくいっているとまでは言えない状況です。

炭素税にせよ排出権取引にせよ、効果がでるくらいのコストを企業にかける必要があります。これらの手法が有効になるかどうかは価格設定次第なのです。

遅れた対応:危機感が伝わらない呼称の問題

国際的な対応策の議論は2010年代からようやく始まります。というのも、産業革命以降、温度上昇は始まっていたのですが、前回のレポート*2で述べたように本当に上昇しているのか、上昇していたとしても人間の活動が原因なのか、科学的な議論になかなか決着がつかず、2010年ごろにようやく決着がつき始めたからです。気候変動はこれまでの環境問題に比べ、非常に複雑な現象であり、科学的分析に時間がかかりました。

しかも一言でこの危機を表現するのが難しく、一般に使われている地球温暖化や気候変動という呼称が、実際の危機をイメージしにくいのです。この問題は現在も続いています。国際的な議論では、ただでさえ国家同士の利害関係の調整が複雑であるため、どういう危機なのかお互い共有しておくことが重要ですし、自国民に分かりやすい単語で説得する必要もあります。地球温暖化や気候変動という単語だと、実際に起こる危機をイメージしにくいのです。

実際、2000年代には、首脳レベルでも、"我が国は寒い国なので暖かくなってちょうどよい"といった発言が見られるほどでした。皮肉なことに、その国はその十数年後、気候変動が原因と考えられる熱波により多くの死者を出しました。地球温暖化という呼称ではなかなか想像できない危機が発生したのです。

地球沸騰化:科学的な呼称と政治的な呼称の分離

多くの国家の代表が自国民を説得するために、危機感が伝わる呼称を求めています。科学者の中には気候変動の"変動"は不可逆的な変化であることが伝わらず、そのうち元に戻るという意味に誤解されるので気候"変化"の方が良いのではないかという提案もあります。しかし、危機感が伝わるかと言われれば、多くの一般の方には変動より変化の方が危機的だとは思えないでしょう。科学者たちが良いと考える呼称は政治的には成果を出せそうにはありません。1.5度以内に抑えようなども、一般の方の中には、たった1.5度くらい上がっても良いのではと思う人も多いでしょう。

科学的に正しいことをあきらめて、とにかく危機感を伝えたい、国連事務局では試行錯誤が行われたと思われます。というのも、国連のグテーレス事務総長(2017年就任)は、気候変動が議題の大きな会議ごとに、新しい呼称や表現を試しています。例えば、"自然に対する戦争"、"地球の状態は壊れている"*5"人類は地獄の門を開けてしまった""気候正義"*6などです。そして、一番広く認知されたのが"地球沸騰化"*7でしょう。おそらく科学的にはもっとも正しくないこの呼び方が、もっとも危機感を表現し、政治的にはもっとも成果をあげそうです。今後、政治的には"地球沸騰化"が使われ危機感を共有し、科学的には状態を正しく表している"気候変化"が使われていくのでしょう。その目的を考えれば、呼称の分離は良いことだと思います。

科学的理解なしに危機感を共有した人たちの過激な意見

一方、科学的理解なしに危機感を共有した人たちの過激な意見も多くなったという副作用も見受けられます。自然は絶対守るべきという、これまた極端な思想も生まれました。この極端な思想の中には、人間の生活を犠牲にしてでも自然を守るべきという本末転倒な主張すら見られます。

気候変動は科学的にとても複雑な現象であり、解決のために必要な技術革新は広い分野に及びます。そのような技術革新を促す社会・経済の制度設計には、これらの設計の理解はもちろんのこと、当然、ある程度の気候変動の科学的な理解が必要です。これらを兼ね備えている人は少なく、自然科学の専門家、社会・経済の専門家が話し合っても議論がかみ合わないということがしばしば起きます。ましてや、科学も何もわかっておらず、危機感だけを得た人たちが、気候変動問題を解決する目的すら間違っていては、議論がかみ合うはずがありません。

目的はあくまでも人類が豊かな生活を継続させることであり、地球環境を変えないことではありません。気候変動問題は完全に経済問題です。地球全体でみると、今の世代がコストを負担せず次の世代が苦しむか、今の世代ががんばってコストを負担して次の世代を苦しめないか、この二者択一なのです。

このことが理解できていないのに、過激な意見で気候変動問題の解決を訴えている人たちの存在も、かえって問題の解決を難しくしているのです。気候変動問題は複雑で難しく、時間がかかる問題です。呼称ひとつとってもこれだけの難しさがあり、解決の難しさがうかがえます。

気候変動問題の難しさ

これまで述べてきたように、二酸化炭素を多く排出して気候変動の原因を作っている豊かな国はコストをかけて適応できるため被害が少なく、二酸化炭素をあまり出さず気候変動の原因となっていない貧しい国は適応する経済力がなく被害が大きくなります。また、大きな被害を受けるのは次の世代であり、二酸化炭素の削減努力をすべき今の世代ではありません。さらに、炭素税といった効果的な政策は国民に人気がありません。しかも、科学的に非常に複雑な現象で、どんな危機が訪れるのか理解しづらく、危機感だけを持つと、解決の目的自体が分からなくなり議論を混乱させてしまいます。

このような状況で、さまざまな利害関係のある国際社会が協力していくことは本当に困難なことであると分かります。まさに全人類が試されている試練であると言ってよいでしょう。このような困難の中、ついに国際社会は協力をし始めました。その出発点はパリ協定です。

ようやく始まった国際協力:パリ協定

国際社会が気候変動問題に関して本格的に協力し始めたのは2015年のパリ協定でしょう。このパリ協定では、各国が何かに合意するという難しいことは初めからあきらめ、各国が各々排出削減目標を出し、定期的に目標達成しているか確認するという方法を取りました。これが大成功で、各国は競って高い目標を出し合ったのです。目標に達成していなくても罰則等はありませんが、自分でたてた目標なので言い訳はしづらく、達成していないと恥をかいてしまうというのが、大きな効果を生み出しています。

5年に一度、目標を見直すのですが、2020年、中国が2060年にカーボンニュートラル(森林などで吸収される二酸化炭素の量と同じだけしか排出をしない)を達成するという非常に高い目標を出したため、先進各国はこれよりも低い目標を出しづらくなりました。そのため、先進各国も高い目標を掲げ、例えば、日本は2050年のカーボンニュートラルを目標としました。

そのため、この2020年から国際社会での議論が加速し始めたのです。人によっては2020年ごろから急に産業界含め気候変動対策が盛り上がり始めたと感じているかもしれませんが、単なる流行ではなく、このような長い経緯があって、ようやくここから国際的に協力して取り組み始めたのです。

それでも難しい国際協力

このように格段に進んだ国際協力ですが、それでも困難を抱えています。これから人類がどのような努力をしても・しなくても2050年ごろまで気温上昇は続くというこの事実は、気候変動問題の議論を難しくしています。気候変動問題の解決には、現役世代の二酸化炭素の削減努力が最も重要である一方、その努力の恩恵を受けるのは次の世代です。

各国はさまざまな世論を抱えています。次の世代のことよりも今のほうが大事だしそんな先のことにコストをかけられないという声も多いです。現在には現在なりの気候変動以外の大きな問題が山積していて、気候変動どころではないという声もあります。紛争を抱えていてそれどころではない地域もあるでしょう。米国のように既得権益を守るための強い政治勢力が存在する国もあります。削減努力の恩恵が受けられない世代の声を無視することはどのような国家でもなかなか難しいことでしょう。

唯一、全力で取り組まなければならない組織、ユニバーサルオーナー

気候変動問題の解決へ後押しをする力があり、その努力の恩恵も受けられるーー人間にはそこまでの寿命はないためこのような人間はいないわけです。しかし、人間よりも寿命が長い組織であれば、このような組織はあるかもしれません。それがまさに、ユニバーサルオーナー*8なのです。

ユニバーサルオーナーは地球全体の経済成長からリターンを得る投資を行っており、投資期間は世代を超える長期的なものです。緩和が遅れ適応のコストが多くなってしまうと、経済成長は見込めなくなります。そのため、緩和を促す、つまり二酸化炭素排出削減を促すようなお金の流れを作り出すことにより、それを防ごうとしています。ユニバーサルオーナーは、このような投資戦略をとることができるともいえますし、逆に、投資資金が大きすぎてこれくらいしか投資戦略の選択肢がないとも言えます。これについては次回のレポートで詳細を述べます。

まとめと次回最終回のレポート

気候変動は非常に深刻な問題で、すでに人間が住める場所が減り始めています。気候変動はまだ始まったばかりであり、100年単位で続く、長期的な問題です。気候変動にうまく対応できないと経済が発展できなくなり、貧しい生活を強いられます。そして、解決できる力を持つ人たちと被害を受ける人たちが違うことが、問題を難しくしています。確かに気候変動は今の世代にとっては大きな被害はないかもしれません。しかし、この問題を放置すれば、次の世代では今の世代のような豊かな生活はできなくなるでしょう。今の世代でも、この問題に取り組める余裕がない人たちも多くいます。

最終回である次回のレポートで、株式投資と気候変動の関係を述べ、本題である"株式投資で気候変動を考慮することに賛否があるのはなぜか?"という疑問に迫っていきます。気候変動問題の解決を後押しすることそのものが投資戦略となる投資家が存在することを説明し、気候変動問題とは無縁の投資家もいることも説明します。投資の目的、投資戦略によって気候変動問題が最重要であったり、まったく関係なかったりするのです。つまり、投資家によるわけです。これについて次回レポートで詳しく見ていきます。

誤った理解で議論や活動を行うのは問題解決に貢献しないどころから混乱を助長します。まずはきちんとした理解をするために、本シリーズが少しでも役に立てば幸いです。


*1 水田孝信、"株式投資で気候変動を考慮することに賛否があるのはなぜか?[概要編]"、スパークス・アセット・マネジメント スペシャルレポート、 20231023

https://www.sparx.co.jp/report/detail/1229.html

*2 水田孝信、"株式投資家のための気候変動の科学的理解"、スパークス・アセット・マネジメント スペシャルレポート、 2023126

https://www.sparx.co.jp/report/detail/1245.html

*3 アンドリュー デスラー、"現代気候変動入門-地球温暖化のメカニズムから政策まで-"、名古屋大学出版会、2023

https://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN978-4-8158-1130-3.html

*4 "IPCC 第6次報告書 第3作業部会(IPCC AR6 WG3)解説サイト"、 国立環境研究所

https://www-iam.nies.go.jp/aim/ipcc/index.html

*5 https://toda.org/jp/global-outlook/un-secretary-general-sounds-the-alarm-war-on-nature-is-suicidal.html 

*6 https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/48805/

*7 https://blog.unic.or.jp/entry/2023/08/25/103926

*8 水田孝信、"アセット・オーナーが行っている投資:"悪環境期に耐える""ユニバーサル・オーナー"" 、 スパークス・アセット・マネジメント スペシャルレポート、 2019918


当レポートは執筆者の見解が含まれている場合があり、スパークス・アセット・マネジメント株式会社の見解と異なることがあります。

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