スパークス・日本株式スチュワードシップ・ファンド | 投資信託 | スパークス・アセット・マネジメント

スパークス・日本株式スチュワードシップ・ファンド
(愛称:対話の力)

  • NISA成長投資枠対象ファンド
日経新聞掲載名
スチュワード
分類
追加型投信/国内/株式
設定日
決算日
毎年10月15日

基準日:2026.10.14

基準価額
27,868円
前日比
-166円
-0.59%
純資産総額
26.4億円
分配金情報(税引前)
0円
  • 当ファンドは、NISAの「成長投資枠(特定非課税管理勘定)」の対象ですが、販売会社により取扱いが異なる場合があります。詳しくは、販売会社にお問い合わせください。

基準価額推移

分配金実績

決算頻度:1回/年

設定来合計
404円
直近12期計
404円

分配金実績一覧

2025年10月15日
0円
2024年10月15日
0円
2023年10月16日
0円
2022年10月17日
0円
2021年10月15日
0円
2020年10月15日
133円
2019年10月15日
19円
2018年10月15日
45円
2017年10月16日
127円
2016年10月17日
50円
2015年10月15日
30円

月次報告書

2026年

2025年

2024年

2023年

2022年

2021年

2020年

2019年

2018年

2017年

2016年

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2026年9月の運用コメント

株式市場の状況

2026年9月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.3%下落し、日経平均株価は同0.7%上昇しました。

月前半は、軟調な推移となりました。米軍によるイラン攻撃を受けて中東情勢が再び緊迫化し、原油高や世界的な長期金利の上昇などが重荷となり、AI(人工知能)・半導体関連株を中心に下落しました。その後、米半導体株高を受けて反発する場面もありましたが、急速な円高や原油価格の一段の上昇に加え、米AI企業CEOによる最先端AIの開発ペース抑制に関する提言を受けて、AI関連投資の鈍化が懸念され、再び上値の重い展開となりました。

一方、月後半は持ち直しの展開となりました。日米の中央銀行による利上げ決定を波乱なく通過したことで、市場の不透明感が後退しました。その後は、AI需要の拡大期待を背景とした米ハイテク株高を受けて国内でもAI・半導体関連株が反発したほか、金利上昇が続くなか利ざや改善期待から銀行株にも買いが入りました。この結果、日本株式市場は上昇基調となり、最終的には前月末対比でTOPIXが小幅に下落する一方、日経平均株価は小幅に上昇して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐0.0%下落し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.3%の下落を0.3%上回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した企業は、タカラトミー、東京海上ホールディングス、PILLARなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、住友林業、ホシザキ、森永製菓などでした。

当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。

日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。

当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリストの一つとなることを目指します。

当運用レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます。

当月は、当ファンドの投資先である「東京海上ホールディングス」に関する投資見解と、今後の主な対話論点についてご説明します。

東京海上ホールディングスは、1879年に日本初の本格的な海上保険会社として創業されたグローバル保険グループです。設立にあたっては、岩崎弥太郎や渋沢栄一らが発起人として参画しました。現在は国内保険事業、海外保険事業、ソリューション事業を中核とする世界有数の保険グループへと成長しています。

当ファンドでは、同社の競争優位性は、日本特有の損害保険市場構造に支えられていると考えています。日本の損害保険業界は過去の再編を経て、東京海上ホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、SOMPOホールディングスの3グループが市場の約9割を占める寡占市場となっています。長年にわたり構築してきた代理店ネットワーク、顧客基盤、ブランド、損害サービス体制は極めて高い参入障壁となっており、同社の安定した収益基盤を支えています。

さらに同社の強みの源泉は、専門知識とデータに基づいてリスクを見極め、適切な価格と条件で保険を引き受けるアンダーライティング能力にあると考えています。同社はこれを「リスクの目利き力・値決め力」と位置付けており、グローバルで蓄積された引受データや専門知識を活用しながら、収益性を重視した規律ある保険引受を行っています。特にサイバー保険やエクセス労災保険(一定額を超える労災保険金の支払いを補償する保険)などのスペシャルティP&C領域では、この能力が競争優位として発揮されやすいと考えています。

同社の成長ドライバーは、①国内損害保険および海外スペシャルティP&Cにおけるオーガニック成長、②M&Aを通じた海外スペシャルティP&C領域の多角化、③フロート(保険金支払いが発生するまでの期間に手元に存在する資金)を活用した資産運用収益の拡大、の3点にあると考えています。国内市場の安定した収益基盤を活かしながら、海外では専門性の高い保険領域への展開を進めており、オーガニック成長とインオーガニック成長を組み合わせる戦略は同社の長期ビジョンにおいても重要な位置付けとなっています。

加えて、保険会社特有の競争優位として、フロートを活用した資産運用による金融収益も重要な利益源となっています。近年の日米における金利上昇は、短期的には保有債券の評価額に影響を与える一方、中長期的には再投資利回りの改善を通じて運用収益の拡大に寄与する可能性があり、保険引受収益と並ぶ利益成長ドライバーであると考えています。

また当ファンドは、同社が進めるBerkshire Hathaway社(米国)との提携にも注目しています。再保険分野や大型M&A案件のファイナンス手法における協業を通じて、同社の成長機会が広がる可能性があると考えています。

同社の長期ビジョンであるAspiration 2035では、M&Aやソリューション事業の拡大を通じて利益成長を実現し、修正ROE(株主資本利益率)17%以上を目指す方針が示されています。資本効率の改善に加え、利益成長によるROE向上を目指している点が特徴です。

そのため、当ファンドの対話の論点は、同社がROE向上に向けてM&Aと株主還元を規律ある形で実行できるかにあります。海外スペシャルティP&Cやソリューション事業において十分な投資収益率が期待できる案件には積極的に投資し、一方で魅力的な投資機会が不足する場合には自己株式取得を含む株主還元を機動的に実施できるかを重視しています。当ファンドは、成長投資と株主還元の最適なバランスについて経営陣と建設的な対話を継続し、中長期的な企業価値向上を後押ししてまいります。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2026年8月の運用コメント

株式市場の状況

2026年8月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比3.9%上昇し、日経平均株価は同3.0%上昇しました。

月前半の株式市場は上昇しました。月初は日米協調為替介入による円高進行で輸出関連株に売りが先行する場面もありましたが、原油価格の下落や良好な四半期決算に加え、米国の雇用統計の下振れや物価指標の落ち着きを受けて米利上げ観測が後退したことなどから、投資家心理は改善しました。こうした環境の下、AI(人工知能)・半導体関連株などを中心に買いが広がり、日経平均株価は一時7万円台をうかがう場面が見られたほか、TOPIXは最高値を更新しました。

月後半は、中東情勢が再び緊迫化したことや、日米欧の長期金利が上昇して金利の先高観が強まったことなどから、AI・半導体関連株を中心に売りが優勢となり、株式市場は下落しました。その後、日経平均株価は方向感を欠く展開となった一方、出遅れ感の強いシクリカル株や内需株、金融株への循環物色がみられ、TOPIXは堅調に推移しました。月末には、FRB(米連邦準備制度理事会)議長のタカ派的な発言から株式市場は一時下落したものの下げ幅を縮小し、両指数はともに前月末比で上昇して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐3.7%上昇し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同3.9%の上昇を0.2%下回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した企業は、パイロットコーポレーション、コニカミノルタ、山陰合同銀行などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、オルガノ、東京海上ホールディングス、森永製菓などでした。

当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。

日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。

当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。

当運用レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます。

当月は、当ファンドの投資先である「住友林業」に関する投資見解、およびこれまでの対話内容についてご説明します。

住友林業は1691年、別子銅山(愛媛県新居浜市)の備林経営に起源を持ち、木造注文住宅を中核に、木材・建材、そして米国・オーストラリアを中心とする海外住宅事業を展開する総合住宅企業です。自社保有の大規模森林や、木材・建材の内製体制を強みに、住宅業界の中でも高い収益性を実現しています。特に直近10年は、成長余地の大きい米国住宅事業に注力しており、現地の有力住宅会社を相次いで買収することで市場シェアを拡大しています。その結果、現在では売上・利益の相当部分を米国事業が占めるに至っています。

当ファンドでは、特に同社の米国住宅事業に注目しています。米国では、テキサスやフロリダなど人口流入が続く南部を中心に、買収したホームビルダーを通じて事業を展開しています。工場での部材生産や調達から施工までの一元管理により、職人の手作業が主流の現地メーカーと比べて工期が短く、品質の安定した住宅を供給できる点が同社の強みです。米国では住宅供給不足と建築人材不足が続いており、こうした環境は、生産効率に優れる同社のシェア拡大にとって追い風になると見ています。

もっとも、同社の価値が市場で正当に評価されるには、3点の課題があると捉えています。

第一に、事業ポートフォリオの整理です。同社は競争力の高い住宅事業を有する一方、収益性が低く、本業とのシナジーも乏しい国内事業を抱えています。これらを整理し、成長性の高い海外住宅事業に経営資源を集中することで、グループ全体の収益性の改善が期待できると考えています。

第二に、バランスシートの効率化です。成長ドライバーである米国住宅事業は建売が中心であり、契約後に建築する国内の注文住宅と比べ、在庫や土地を多く抱えます。このため事業拡大に伴い、仕入れから在庫、販売、資金回収までに要する期間が長期化し、バランスシートが肥大化しやすい構造にあります。運転資本の適切な管理に加え、事業シナジーの乏しい政策保有株式や持分法適用会社株式を段階的に縮減し、そこで得た資金を海外事業への投資や株主還元に充てることが、資本効率の向上につながると見ています。

第三に、資本効率を意識した経営への転換と、その進捗を検証可能な形で示す情報開示です。同社はキャピタル・アロケーション方針を示していますが、成長投資の内訳や優先順位は必ずしも明確ではありません。自社の資本コストに対する認識を明らかにしたうえで、投資・株主還元の配分をより具体的に示すことが重要と考えています。あわせて、事業別のROIC(投下資本利益率)を開示し、資本コストを上回る収益性を実現できているかを事業ごとに検証できるようにするとともに、その改善状況を実績として継続的に示していくことが望ましいです。

当ファンドとしては、住友林業を、高い技術力に支えられた収益力と、米国を中心とする海外事業の成長余地を併せ持つ企業であると評価しています。当ファンドは長期的なパートナー株主として、これらの課題の解決に向けて経営陣との建設的な対話を重ね、実態価値の顕在化と中長期的な企業価値の向上を後押ししてまいります。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2026年7月の運用コメント

株式市場の状況

2026年7月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.2%上昇し、日経平均株価は同8.1%下落しました。

月前半は、前月まで大幅上昇していたAI(人工知能)・半導体関連株に対する高値警戒感が高まる中、米SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)の急落を契機に調整局面に入りました。米ハイテク株やKOSPI(韓国総合株価指数)の下落を受けて投資家心理が悪化し、日本のAI・半導体関連株も大きく下落しました。また、中東情勢の再度の緊迫化も日本株の重石となりました。一方、金利先高観を背景とした銀行株や内需株には循環物色が続きました。

月後半は、中国AI企業の台頭による半導体市況や競争環境悪化への懸念が広がり、韓国株や米半導体株の下落とともに半導体関連株が一段安となりました。その結果、日経平均株価は約2か月ぶりの安値を付けました。一方、米国がイランへの大規模攻撃を見送ったことを受けて原油価格が下落し、業績下振れリスク後退などを背景にディフェンシブ銘柄などへの資金シフトも見られました。

最終的に日経平均株価は月中一貫した下げ基調となり前月末対比で大幅に下落した一方、TOPIXはもみ合いながら小幅に上昇して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐3.7%上昇し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.2%の上昇を3.5%上回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した企業は、SHOEI、東京海上ホールディングス、タカラトミーなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、PILLAR、オルガノ、住友林業でした。

当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。

日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。

当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。

当運用レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます。

当月は、当ファンドの投資先である「タカラトミー」に対する投資見解および対話内容をご説明します。

タカラトミーは、トミカ、プラレール、ベイブレード、デュエル・マスターズなどの自社IP(知的財産)に加え、ポケモン、サンリオといった他社の人気IPを活用した玩具・雑貨を製造・販売する、国内大手玩具メーカーです。雑貨店を展開するキデイランドや、カプセルトイ(ガチャ)・アミューズメント商品などを手がけるタカラトミーアーツといった子会社を擁し、幅広い顧客層に商品を提供しています。

当ファンドでは、同社が「人気IPを玩具・グッズという形で提供する力」に強みを持つ点に注目しています。近年は、アニメやゲームを起点とした「推し活」需要の拡大に加えて、大人が玩具を楽しむ「キダルト」市場の広がりを背景に、国内玩具市場は堅調に成長しています。同社は、自社IPに加え、サンリオやポケモンをはじめとする他社IPとの太いパイプを活かし、こうした市場の成長を的確に取り込んできました。トレーディングカードやカプセルトイ、キャラクターグッズなどが牽引し、キデイランドおよびタカラトミーアーツの業績改善が進んでいる点は、同社の収益基盤の強さを示すものと考えています。

また同社は、過去に構造改革を通じて収益力を高めてきた企業でもあります。海外子会社の不採算商品や固定費の整理に加え、国内での適切な価格改定や他社IPの積極的な活用といった施策が実行されてきました。これらの取り組みが、コロナ禍以降の市場拡大局面における収益改善につながったと評価しています。加えて、2024年には創業家出身で海外事業を主導してきた新社長が就任しており、グローバル志向の経営とIR開示の拡充に、より積極的に取り組む姿勢がうかがえます。

当ファンドは、同社の事業競争力とブランド基盤を高く評価する一方で、その実態価値が株式市場で十分に評価されるためには、いくつかの課題があると考えており、これまで経営陣やIR部門との対話を重ねてきました。対話では、大きく「投資家とのコミュニケーション」「事業戦略」「資本戦略」の観点から意見交換を行っています。

第一に、投資家とのコミュニケーションの充実です。同社は近年、決算説明資料の拡充など情報開示の改善を進めており、この点は前向きに評価しています。一方で、中長期の目標数値については、達成に向けた道筋をより具体的に示す余地があると考えています。2030年3月期に売上高3,000億円という目標を、キデイランドやタカラトミーアーツといった事業ごとにどのように積み上げるのか、また、地域や商品カテゴリーごとの成長戦略と、どのように結び付くのかを示すことで、市場の理解と評価が一段と高まると考えています。

第二に、事業戦略、とりわけ海外事業と販売チャネルの強化です。同社は優れた商品力と製造技術を有する一方、海外では卸売や越境EC(電子商取引)が中心で、現地の顧客接点をまだ十分に確保できていないと見ています。国内では、カプセルトイやキャラクターグッズを自社の店舗網も活用して販売する体制が整いつつありますが、海外においても、店舗やECを通じて「どこで・何が・どれだけ売れているのか」という一次情報を獲得することが、中長期的な海外成長の鍵になると考えています。また、長年赤字が続く海外子会社の構造改革についても、既存ブランドとのシナジーを含め、方向性を明確にすることが重要であると考えています。

第三に、資本戦略です。同社は高い収益性とキャッシュ創出力を有する一方、自己資本比率は高い水準にあり、資本効率の面では改善余地があると推察しています。当ファンドでは、成長投資、株主還元、資本効率のバランスを踏まえたキャッシュアロケーション方針を、より明確に示していくことが望ましいと考えています。成長に必要な投資を着実に行いながら、投下資本収益率(ROIC)を意識した経営と規律ある資本配分を進めることが、企業価値の向上につながると考えています。

当ファンドとしては、タカラトミーは拡大する推し活・キダルト需要を取り込むIP活用力と、収益性の高い子会社群を有し、成長余地は大きいと評価しています。経営陣は投資家との対話に前向きで、情報開示の改善も進んでおり、企業価値向上に向けた変化を期待できる状況にあります。当ファンドは長期的なパートナー株主として、成長戦略の明確化、海外事業と顧客接点の強化、資本効率を意識した資本配分について引き続き対話を重ね、中長期的な企業価値の向上を後押ししてまいります。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2026年6月の運用コメント

株式市場の状況

2026年6月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.1%上昇し、日経平均株価は同5.6%上昇しました。

月前半は、上昇基調で始まったものの、米半導体大手による市場期待を下回る決算発表を機に関連株の調整が進みました。さらに、強い米国雇用統計を受けたFRB(米連邦準備制度理事会)の年内利上げ観測の急速な台頭が重なり、半導体・AI(人工知能)関連株を中心に大幅な売りが先行し、リスク回避姿勢が強まりました。

月半ばには、米国とイランの戦闘終結合意が転換点となり、原油価格の急落とインフレ懸念の後退を背景に物色の裾野が広範に拡大しました。日銀による政策金利の引き上げも、事前に織り込まれていたことから波乱なく通過し、終値としては初めてTOPIXは4,000ポイントを突破し、日経平均株価も7万円台に到達するなど、両指数ともに歴史的な節目を更新しました。

月後半は、KOSPI(韓国総合株価指数)の急落や、米AI大手の新規株式公開(IPO)延期など半導体・AI関連の悪材料が相次ぎ、指数の振れ幅は大きく拡大し、物色は内需株への広がりも見られました。最終的には両指数とも高値圏を維持したまま月末を迎え、3か月連続の上昇となって当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐0.9%上昇し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同1.1%の上昇を0.2%下回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した企業は、山陰合同銀行、オルガノ、住友林業などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、コニカミノルタ、EIZO、横浜ゴムなどでした。

当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。

日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。

当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。

当運用レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させて頂きます。

当月は、当ファンドの投資先である「全国保証」に対する投資見解および対話内容をご説明します。

全国保証は、国内唯一の独立系住宅ローン保証会社です。住宅ローン保証事業とは、住宅ローンの借入人から保証料を受領する代わりに連帯保証人となるビジネスであり、住宅ローンの借入人が返済不能に陥った場合には、同社が金融機関に対して代位弁済を行います。その後、同社が借入人からの回収、もしくは担保不動産(住宅・土地等)の売却を通じて資金回収を行う事業モデルです。

通常、住宅ローン保証は、金融機関の子会社保証会社担うケースが一般的ですが、同社は、金融機関に属さない独立系であり、全国の多様な金融機関の保証を引き受けることが可能です。また、40年以上にわたる審査データの蓄積から、延滞リスクの低い顧客に厳選して保証を提供しているため、代位弁済コストは限定的です。その結果、営業利益率が7割超と、極めて高収益なビジネスとなっています。

同社は1981年に厚生年金転貸住宅融資の保証を目的に設立され、1997年より民間金融機関向け住宅ローン保証に参入しました。当初は大手金融機関が自社の保証会社を利用していたことから、信金・信組など、中堅・中小金融機関を中心に事業を拡大してきました。この過程で与信能力や審査スピードといったサービス品質を磨き上げ、現在ではメガバンクを含む多数の金融機関にサービスを提供しています。

保証残高は1998年の1兆円から、2026年3月末には21兆円へと拡大しており、民間住宅ローン残高に占めるシェアも10%に達しています。この成長の背景には、同社の高いサービス品質に加え、銀行に対するリスク規制強化を受け、住宅ローン保証リスクを銀行がグループ外へ移転したいとニーズの高まりがあります。

当ファンドでは、こうした構造的な追い風を背景に、同社の業績拡大が持続すると考えています。銀行子会社から独立系である同社へのシフトは今後も継続すると見込まれます。同社は現在、金融機関に対し、保証子会社の買収など、多様なスキームによる保証債務の引き受けを提案しており、さらなるシェア拡大が期待されます。

また、同社は保証事業に用いる自己資本に加え、長期の保証料を借入人から前受収益として一括受領することによるフロートを源泉として、金融資産4,100億円を蓄積しております。当ファンドはこのフロート運用に着目し、同社の青木社長と面談を実施し、議論を重ねてきました。2026年3月に公表された新中期経営計画ではフロートの積極活用方針が示されたものの、利回りは現状の1.2%から2031年3月期にかけて2.0%へ引き上げる計画にとどまっています。足元の金利環境を鑑みると保守的な想定であり、他の損害保険会社並みの3~4%程度の利回りは十分に射程圏内と考えられ、営業外収益の大幅な向上余地が残されていると見込まれます。当ファンドでは、さらなる運用高度化に向けた対話を継続しております。

また、株主還元方針にも改善余地があると考えています。同社は配当性向50%に加え、2025年3月期および2026年3月期に継続的な自社株買いを実施し、総還元性向は70%に達しています。一方で、株式市場からは、自社株買いは同社の機動的対応、との認識にとどまっています。同社の高い収益力を踏まえると、還元余力を機動的自社株買いではなく、配当性向70%へ、より明確に振り向けることで配当利回りの向上につながり、株式市場からの評価改善が期待されます。

当ファンドでは引き続き、同社の企業価値が株式市場で顕在化する一助となれるよう、経営陣との対話を継続していく方針です。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2026年5月の運用コメント

株式市場の状況

2026年5月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比6.2%上昇し、日経平均株価は同11.9%上昇しました。

月前半は、米SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)の急騰と中東情勢の緩和期待を背景に、日本株式市場でもAI(人工知能)・半導体関連銘柄を中心に強い買いが入り、全体として堅調に推移しました。

月半ばには、中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の上昇などを背景に海外金利が上昇したほか、国内長期金利も約29年半ぶりの高水準に達し、ハイテク株を中心に利益確定売りが優勢となりました。決算発表を経て銘柄間の選別色も強まるなか、日経平均株価は一時6万円を割り込みました。一方で、バリュー株への資金シフトの動きが指摘されるなど、TOPIXは相対的に底堅く推移しました。

月後半は、原油価格の下落を背景としたインフレ懸念が緩和したことに加え、米国でAI関連の大型IPO観測も重なり、AI・半導体関連株が反発に転じました。日経平均株価は連日大幅上昇し、最終営業日には幅広い銘柄が買われ、両指数ともに最高値を更新して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐4.2%上昇し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同6.2%の上昇を2.0%下回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した企業は、EIZO、コニカミノルタ、横浜ゴムなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、森永製菓、全国保証、住友林業などでした。

当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。

日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。

当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。

当運用レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます。

当月は、当ファンドの投資先である「パイロットコーポレーション」に関する投資見解、およびこれまでの対話内容についてご説明します。

パイロットコーポレーションは、世界的に展開する大手筆記具メーカーです。筆記具市場においては、単一ブランドベースで「パイロット」が世界最大級の規模を誇ります。同社は⽇本初の純国産万年筆の製造を⽬指して、1918年に創業しました。そして万年筆の開発の成功を契機に、1920年代より海外展開を開始しました。その後、長期にわたりグローバル市場での事業拡大を進め、現在では、世界190か国以上の国と地域で製品を展開し、海外売上比率は7割超と高水準に達しております。

主力製品としては、消せるボールペン「フリクションシリーズ」が挙げられます。同シリーズは日本国内にとどまらず、特に欧州を中心に高い評価を得ており、グローバルでの認知を確立しております。また北米市場においては、ゲルインキボールペン「G-2」がカテゴリー内でシェアNo.1を獲得しております。このように、同社の製品は世界中の生活に浸透し、着実にシェアを拡大しています。

製品力の裏付けとなるのは、高度な技術基盤です。同社のボールペンは、インク詰まりが起こりにくく、最後までスムーズに使い切れるインクフローに定評があります。これは、ペン先の高精度な金属ボールによる回転の安定性に加え、ボールとペンチップ(先端部)との隙間を極めて精密に管理する高い寸法精度、さらにインクの粘度設計の最適化によって、書き始めから書き終わりまで安定した書き味を実現しています。こうした同社独自の設計技術・成型技術・インク配合技術が、同社の競争優位の源泉となっています。

さらに同社は、高品質なペンを低コストで量産する技術にも優れており、製品不良率の低さと高い歩留まりを背景とした競争力のあるコスト構造を確立しています。こうした製造技術と安定供給力は、長年の現場改善の積み重ねによって形成されたものであり、同社の収益基盤の強さを支える重要な要素であると評価しております。

当ファンドは、これらの技術力・ブランド力に加え、各地域に根差したマーケティング力や商品開発力、さらには安定供給を可能にする製販一体の体制が、今後も同社の収益成長および市場シェア拡大に寄与すると考えています。特に新興国では中間層の増加や進学率の上昇に伴い、高品質な筆記具の需要が高まることが期待されます。インドや中国では、入学試験でボールペンの使用が一般的であり、試験中のインク詰まりの起こりにくい同社のペンが学生層からも高い支持を得ている点は、中長期的な成長ドライバーになるとみています。

また、教育先進国のスウェーデンやフィンランドといった北欧諸国では、デジタル学習の普及に伴う学力低下への懸念を背景に、政府主導で筆記を重視する教育への回帰の動きもみられます。こうした流れを踏まえると、筆記具が単なる消耗品にとどまらず、「考える道具」としての価値が再評価される可能性も期待しております。

一方で、当ファンドは同社のIRおよび資本政策に課題があると認識し、これまで経営陣と対話を重ねてきました。過去、同社は株式市場に対する情報開示が限定的であったため、投資家の関心が低く、本来の企業価値が株価に反映されていない可能性を指摘してまいりました。こうした状況を受け、同社はIR部門を新設し、2024年2月には初となる決算説明会を開催するなどの情報開示の改善が進展しております。その結果、機関投資家の関心が高まり、セルサイドのカバレッジも拡充するなど、株式市場における注目度が向上しています。

さらに、2025年2月に開示された中期経営計画では、キャッシュアロケーションの考え方が示され、3か年で500億円規模の成長投資および総還元性向50%以上とする方針が開示されました。しかしながら、売上成長率は年率約5%にとどまり、株主還元の水準も市場期待に対して十分とは言えず、またROE(株主資本利益率)目標も現状水準を大きく上回るものではありませんでした。

このような状況を踏まえ、同社の藤崎社長は社長就任後初となる機関投資家との対話を、当ファンドと1on1形式で応じてくださり、その中で海外でのより高い成長と、ROE水準や株主還元の強化について議論をすることが出来ました。その結果、2026年2月には中期経営計画の見直しが行われ、設備投資計画の最適化と株主還元の強化が打ち出されております。

もっとも、成長計画は後ろ倒しとなっており、保守的な計画にとどまっていないか注視が必要と考えております。一方で、当ファンドとの対話内容が具体的な施策に反映されている点や株式市場に対する姿勢が改善している点は、同社が真摯に対応を示すものとして評価しております。当ファンドとしては、今後も継続的な対話を通じて、更なる資本効率の改善と企業価値の向上を促していく方針です。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2026年4月の運用コメント

株式市場の状況

2026年4月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比6.6%上昇し、日経平均株価は同16.1%上昇しました。

月前半は、前月末から続く中東情勢への警戒感を背景に値動きの荒い展開となりましたが、停戦協議進展への期待が高まるにつれて投資家心理が改善し、相場は上昇基調へ転じました。

月半ばから後半にかけては、市場の関心が地政学的リスクから企業業績やAI(人工知能)関連需要へと移行しました。米国ハイテク株や米SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)が上昇する中、日本株式市場でも半導体・AI関連銘柄への資金集中が進みました。こうした中、日経平均株価は値がさ株主導で堅調に推移し、終値で史上初めて6万円台に到達しました。一方、TOPIXは月半ば以降に伸び悩む展開となり、NT倍率(日経平均株価をTOPIXで割って計算した指標)は歴史的な高水準を更新するなど、指数間のパフォーマンス格差が拡大しました。

月末にかけては、日銀のタカ派的な展望やFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げに対する慎重姿勢を受けた国内外の金利上昇に加え、原油価格の再上昇も重なり、株式市場の重石となりました。これまで上昇を主導してきた半導体関連株を中心に売りが優勢となる一方、内需株に資金が一時的にシフトする場面も見られましたが、NT倍率は高水準を維持したまま月末を迎え、日本株式市場は月間で大幅高となり当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐1.2%上昇し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同6.6%の上昇を5.4%下回りました。パフォーマンスにプラスに寄与した企業は、山陰合同銀行、横浜ゴム、SHOEIなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、タカラトミー、美津濃、コニカミノルタなどでした。

当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。

日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。

当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。

当運用レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます。

当月は、当ファンドの投資先である「山陰合同銀行」に対する投資見解、対話内容をご説明します。

山陰合同銀行は、島根県と鳥取県を基盤とする地方銀行です。同行は、松江銀行と米子銀行が合併し1941年に設立されました。マザーマーケットである山陰両県においては、約50%と圧倒的な預貸金のシェアを有しています。一方で、山陰両県は同行が「課題先進地域」と呼ぶように、公共事業への産業依存度が高く、他地域と比べても人口減少と高齢化が進んでいるなど、同行を取り巻く環境は厳しいものでした。そのような状況下で県外に成長の活路を見出した同行は、山陽・関西地区を中心に2012年から法人営業に特化した支店の出店を積極化させてきました。

地方銀行業界は、一般的にその地に根差した銀行が大きなシェアを握っており、他地域からの市場参入が難しいビジネスと考えられます。同行は逆風下にある地元市場において、主体的に資金需要を掘り起こすべく、金融仲介機能だけではない、経営密着型のコンサルティングモデルの強化や、人材の教育・再配置などの構造改革を推進してきました。その結果、同行は地元で培った経営支援のノウハウを武器に県外進出に成功し、2020年度からは貸出金平均残高の半分以上を山陰両県以外の地域が占めるまでに拡大させています。また、預貸利鞘の拡大が見込まれない低金利環境下において、非金利収益の拡大を目指し、2015年には100%出資の証券子会社を設立しました。2019年には野村證券との包括的業務提携を行い、証券子会社は解散となりましたが、顧客対応に特化する体制が整ったことで、提携スタート時から預かり資産残高・関連手数料を順調に増加させています。リスキリング(職業能力の再開発・再教育)を通じて窓口・事務部門の人員の配置転換を進め、戦略部門である法人営業や預かり資産ビジネスを強化するなど、環境変化に素早く対応することで、全国の地銀と比較して非常に高い経費効率を達成しています。

当ファンドでは、県外進出をドライバーとした貸出金残高の力強い伸びと生産性の高さを背景に、高い利益成長とROE(株主資本利益率)改善を実現するポテンシャルに注目しています。

今後、銀行セクター全体が円金利上昇による利ざや拡大の恩恵を受けると想定されますが、利ざやを左右する日本銀行の到達金利という外部要因を正確に予測することは難しいと考えております。同行は県外進出の加速によって、総貸出金平均残高を2023年度の4.4兆円から、2026年度には5.5兆円まで拡大させるという力強い中期経営計画を掲げており、残高の積み上げに伴う貸出金利息の増加という独自要因を備えている点が魅力です。

しかしながら、全国の地銀平均を上回る貸出残高の成長実績に対して、同行のPER(株価収益率)は時価総額2,000億円以上の規模の地方銀行の平均を下回っています。当ファンドでは、期初計画を上回る与信費用の計上が続いており、株式市場から貸出資産の質を懸念されていることが要因の一つだと考えております。

当ファンドでは、同行の不良債権比率は低位で維持されていることに加え、県外での正常先割合は改善傾向にあるため、強い懸念は抱いておりません。同行が積極的な県外進出という戦略を採っていることから、成長とリスクマネジメントの両立に向けた仕組み化と明確なメッセージを発信することが重要と考えております。具体的には、県外での貸出金拡大に向けた顧客獲得、シェア拡大に寄与する人事評価・処遇の改善、適切なリスクテイクを促す体制整備と開示について、同社と議論をしております。中計最終年度である2026年度の目標を着実に達成し、その後も持続的な利益成長とROEの改善が可能であると株式市場の信認を得られれば、野心的に資金利益成長を志向する経営戦略に対して、再評価の余地が大きいと考えています。当ファンドはパートナー株主として、同社の本源的な企業価値の向上・顕在化に向けた対話を続けてまいります。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2026年3月の運用コメント

株式市場の状況

2026年3月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は10.33%下落し、日経平均株価は同13.23%下落となりました。

月前半は、米国とイスラエルによるイラン攻撃とホルムズ海峡封鎖による供給不安を背景に原油価格が急騰し、リスク回避の姿勢が強まった結果、大幅に下落しました。その後、急落後の自律反発などから一時持ち直す場面もありましたが、対米強硬派指導者の選出など紛争長期化への懸念が改めて意識されると再び下落しました。その後も原油高に伴うインフレ高止まりなど経済への影響が懸念され、月半ばにかけて相場は不安定な展開が続きました。

月後半は、トランプ米大統領がイラン側に対し、ホルムズ海峡を開放しなければ発電所やインフラへの攻撃を行うとの強硬な警告を行い、これに対しイラン側も対抗姿勢を示したことで原油価格が一段と上昇し、市場は再び下落しました。その後、攻撃の延期表明や米国の和平案提示に関する報道を受けて一時反発したものの、協議難航への懸念は根強く、月末にかけては地上作戦準備や紛争地域拡大への懸念が嫌気されました。最終的に、日本株式市場は前月に積み上げた上昇分を打ち消す水準まで下落して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐8.21%下落し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同10.33%の下落を2.12%上回りました。

パフォーマンスにマイナスに影響した企業は、横浜ゴム、住友林業、美津濃などでした。

当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。

日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。

当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。

当運用レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます。

当月は、当ファンドの投資先である「森永製菓」に対する投資見解、対話内容をご説明します。

森永製菓は1899年創業の大手菓子メーカーです。米国で菓子製造技術を学んだ創業者森永太一郎氏が、「日本の人々にもおいしく栄養価の高い西洋菓子を食べてもらいたい」という想いをもって日本の菓子産業の礎を築いたのが同社の始まりです。今では菓子だけでなく、アイス、「inゼリー」に代表されるゼリー飲料、通販など、製品・事業の幅を広げ、海外にも積極的に展開しています。

当ファンドが注目しているのは、MORINAGAブランドの海外での成長です。米国では「HI-CHEW(ハイチュウ)」が、メジャーリーガーの間でブームとなったことをきっかけに評判となり、これまで成長を続けてきました。足元では、米国内の景気減速によりハイチュウの主要販売チャネルであるコンビニエンスストアでの販売が低迷していることに加え、カカオ価格の高騰を背景に、大手菓子メーカーがキャンディカテゴリーに参入していることから、競争環境は厳しさを増しています。一方で、米国では第2工場が2027年1月に稼働予定であり、供給制約が解消されることで、シーズナル(催事向け)商品の展開を本格化できる体制が整いつつあります。北米のノンキャンディ市場では、年間売上の約66%がハロウィンやイースターなどの催事需要によって構成されており、供給体制の強化を通じた更なる成長余地は大きいと考えています。

また、同社は2026年3月6日に、米国最大手のモチアイス製造企業であるThe Mochi Ice Cream Company社の買収を発表しました。本買収により、米国における冷菓事業のバリューチェーンを獲得し、「米国冷菓事業」に本格参入を果たします。当ファンドでは、本件を2030経営計画の達成に向けた具体的なアクションと評価しています。本買収により、冷菓事業の海外展開が加速する可能性があると当ファンドでは考えており、戦略的意義は大きく、ポジティブに捉えています。今後は、案件クロージング後の具体的な販売戦略、既存事業とのシナジー創出に向けた戦略について、より踏み込んだ開示がなされることを期待しています。

課題である国内菓子食品事業は、継続的な価格改定やキャンディシフトなどの収益改善策が着実に実行されており、収益性は改善傾向にあります(2026年3月期第3四半期累積 営業利益率9.7%(前期比4.4pt増))。しかしながら、中期経営計画で目標とされている投下資本収益率(ROIC)8%の達成には、生産体制の最適化や、アセットライト化を含む資産効率改善など、更なる取り組みが必要であると当ファンドでは考えております。慎重な検討を要するテーマではありますが、その方向性や基本的な考え方について経営陣から一段踏み込んだ説明がなされることを期待しています。当ファンドでは、同社との対話が進展し始めていると評価していますが、売上高の大きい国内菓子食品事業の収益性改善は同社の企業価値向上に不可欠となるため、構造改革の進捗を見守りながら今後も対話を続けてまいります。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2026年2月の運用コメント

株式市場の状況

2026年2月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比10.47%上昇し、日経平均株価は同10.37%の上昇となりました。

月前半は、8日投開票の衆議院選挙を前にボラティリティが高まる中、自民党が戦後最多となる316議席を獲得する歴史的圧勝が確定すると、高市首相の政治基盤強化と財政拡張策への期待から相場は急騰しました。東証プライム市場の売買代金が過去最大を更新する中、海外投資家による大幅な買い越しが推進力となり、日本株式市場は記録的な騰勢を見せ急速に水準を切り上げる展開となりました。

月半ばには急騰後の過熱感から利益確定売りが出やすい中、「AI(人工知能)による既存業務の代替懸念」が再燃し、ソフトウェア銘柄中心に幅広い銘柄が売られました。一方、第2次高市内閣の発足や対米投融資プロジェクトの具体化を背景に、AIインフラ関連株に買いが集中しました。中東の地政学的リスクの高まりが一時的に相場の重荷となったものの、セクター間での選別物色を伴いながら下値を固める動きとなりました。

月後半は、日銀の新審議委員にリフレ派の2名を充てる人事案が提示されると早期利上げ観測が後退し、市場は勢いを取り戻しました。月末にかけては半導体関連株が相場を主導し、月半ばに売られていたソフトウェア銘柄にも割安感から急反発が見られるなど、物色の裾野は幅広い銘柄へ拡大しました。結果として、TOPIXは最高値を更新して11か月連続の上昇を記録し、日経平均株価も連日で過去最高値を塗り替える強い足取りで当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐6.37%上昇し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同10.47%の上昇を4.10%下回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した企業は、美津濃、横浜ゴム、山陰合同銀行などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、コニカミノルタでした。

当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。

日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。

当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。

当運用レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます。

当月は、当ファンドの投資先である「コニカミノルタ」に対する投資見解、対話内容をご説明します。

コニカミノルタは、オフィス複合機を主力事業とする精密機器メーカーです。同社は、写真用カメラフィルムを祖業とする「コニカ株式会社」と、カメラや光学機器を祖業とする「ミノルタ株式会社」が、2003年に経営統合することで誕生しました。2006年にはカメラ事業から撤退したものの、化学合成技術の賜物である写真用カメラフィルムや、精巧な動作が求められるカメラの開発で培った材料・光学・微細加工・画像を4つのコア技術として、オフィス複合機だけでなく、商業用印刷機やディスプレイ関連の機能性フィルム、計測機器などを展開しています。

同社はペーパーレス化による複合機の構造的な市場縮小を見据えて、新たな事業の柱を創出すべく、2017年には合計で約1,000億円を超える金額を投じ、ヘルスケア関連事業の大型M&Aを実行するなど、新規領域に経営資源を集中させました。しかし、コロナ禍の影響を受け遺伝子検査数が停滞するなど、買収時の事業計画を大きく見直す必要に駆られました。2022年4月に就任した大幸社長は、総花的となっていた前経営陣の中期経営計画を刷新し、買収を行ったプリシジョンメディシン事業ののれんを中心に約1,000億円を減損し、非重点事業として位置付ける勇気ある決断をしました。同時に、大型買収の結果として傷んだ財務の健全性回復を図るべく、オフィス複合機の稼ぐ力の強化などを通じ、2025年度には再び飛躍するための基盤を確立するとの集中的な経営改善施策を発表しました。

当ファンドでは、大幸社長の有言実行型のリーダーシップと同社のコア技術を活かした成長市場への進出に注目しています。2025年3月期第2四半期決算では、非重点事業と定めた遺伝子検査事業の全株式を譲渡することを発表し、あわせて他の赤字事業の整理も着実に進展しました。これにより、2026年3月期業績においては、過去に収益を圧迫してきた不採算事業の損失が縮小しつつあります。

現在は未踏市場への拡張から、既存技術・顧客基盤を活用した隣接領域への展開へと戦略を転換している最中であり、中核のインダストリー事業では光学技術を活かし、自動車外観計測や半導体製造装置向けなど成長市場で実績を積み上げています。また、主力のオフィス事業においても、北米における関税影響によるコスト増という逆風下にありながら、価格転嫁を徹底するなど、全社の収益力は着実に底上げされています。

当ファンドは、同社が事業改革の段階を経て、持続的成長を実現するフェーズへと移行しつつあると評価しています。今後、ヘルスケア事業を中心とした構造改革のさらなる進展、半導体分野を含むインダストリー事業の成長戦略の具体化、ならびにM&Aにより肥大化した有利子負債の削減など、規律ある経営資源配分が一段と進展すれば、オフィス複合機市場の構造的縮小を乗り越え、中長期的な企業価値の拡大は十分可能であると考えています。

当ファンドは長期的なパートナー株主として、事業戦略および資本政策の両面において建設的な対話を重ね、企業価値向上に向けた取り組みを後押ししてまいります。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2026年1月の運用コメント

株式市場の状況

2026年1月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比4.62%上昇し、日経平均株価は同5.93%の上昇となりました。

月前半は、米国半導体関連株の大幅上昇を受けて日本の半導体・AI(人工知能)関連株が買われ、大発会から日経平均株価は大幅高でスタートしました。中国政府によるレアアース関連製品を含めた対日輸出規制が強化されるとの報道で、日本株式市場が一時急落する場面はあったものの、衆院解散・総選挙観測を受けて高市首相が掲げる成長戦略が進めやすくなるとの見方を背景に、月半ばにかけて主要指数の高値更新が続きました。

月後半は相場の様相が一変しました。選挙戦の本格化や野党の新党結成を受けて国内の政治情勢の不透明感が台頭したことに加え、米欧の貿易摩擦懸念など地政学的リスクも意識され、投資家心理が悪化しました。さらに、財政拡張による財政悪化懸念から国内長期金利が想定を上回るペースで上昇し、株式市場は調整色を強めました。月末にかけては、日米当局による「レートチェック」報道をきっかけに為替相場が急変し、円は一時対ドルで153円台まで上昇するなど不安定な動きとなり、輸出関連株を中心に株式市場は揺さぶられました。日本株式市場は月後半に伸び悩みましたが、前月末比で大幅高の水準を維持して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐0.48%上昇し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同4.62%の上昇を4.14%下回りました。パフォーマンスにプラスに寄与した企業は、三菱重工業、山陰合同銀行、美津濃などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、マックス、EIZO、ベースなどでした。

当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。

日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。

当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。

当運用レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます。

当月は、当ファンドの投資先である「EIZO」に対する投資見解、対話内容をご説明します。

EIZOは1967年に石川県七尾市で七尾電機として設立された高機能モニターメーカーです。当ファンドは、同社の一貫した自社開発・自社生産による徹底した品質へのこだわりと、クラフトマンシップに支えられた医療・映像制作・航空管制・船舶などの特定用途における高いシェアを評価し、投資を行いました。内視鏡検査や放射線検査といった低侵襲医療の浸透に伴って重要度が増す、同社の主力製品の一つである医療用モニター、さらには同社の技術を統合したEVS(EIZO Visual Systems)事業の成長に注目しています。

一方で、同社は手元現預金や投資有価証券などの金融資産を約849億円保有しており、総資産の約48%を占めています。(2025年12月末時点)。このような保守的なバランスシートが重石となり、過去最高益を記録した2022年3月期においても、同社のROE(株主資本利益率)は6.7%にとどまっています。当ファンドは、同社にはバランスシートマネジメントによる資本収益性に改善余地があると考え、ROE向上に関して、経営陣と対話を続けてきました。

同社は2022年5月に40億円の自社株買いを実施し、買収防衛策の廃止を発表するなど、資本市場への向き合い方に徐々に変化が見られておりました。2023年3月期決算説明会では、ROE8%以上を資本収益性の目標とし、総還元性向70%という明確な株主還元方針を掲げ、資本政策における姿勢を鮮明にしました。

2025年3月期は、欧州でのオフィス用モニター需要および中国での医療用モニター需要の減速により、厳しい事業環境にありました。しかし、同社は総還元性向70%+αを維持する方針を崩さず、2025年10月にも40億円の自社株買いを発表しており、一貫した株主還元強化の姿勢が表れています。また、直近の2026年3月期第3四半期の決算においても、欧州を中心に低迷が続いたことで、通期業績予想を下方修正していますが、同時に、政策保有株の純資産比率を10%未満まで縮減する方針を示しており、資本効率改善に向けた大きな転換が進展しています。

中期経営計画においては、厳しい市況下で2027年3月期に向けた計画目標は見直し中であるものの、医療用モニターやEVS事業など成長領域への注力によって収益力の回復を目指しています。また、政策保有株の縮減に加え、機動的な自社株買いおよび連続増配を通じ、ROE8%以上の達成を目指し続ける姿勢には、市場の期待に応えようとする経営陣の強い意志が表れており、当ファンドとしては高く評価しています。

当ファンドはパートナー株主として、同社の中長期的な成長を実現する上で、対処が求められる様々な経営課題について経営陣との対話を続け、同社の本源的な企業価値の向上を積極的に後押ししていく方針です。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2025年12月の運用コメント

株式市場の状況

2025年12月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.03%上昇し、日経平均株価は同0.17%の上昇となりました。

月前半は、植田日銀総裁の発言を受けて12月会合での利上げ観測が高まり、長期金利が急上昇しました。この影響から銀行株を除く幅広い銘柄が売られ、主要指数は大きく下落しました。その後、米国の利下げ期待や、米政府がロボット産業を支援する方針を示したことを受け、FA(ファクトリーオートメーション)、ロボットなど「フィジカルAI(人工知能)」関連株が急伸し、相場全体をけん引し、TOPIXは史上最高値を更新しました。

月半ばには、米国の利下げ決定後に一時的な調整も見られましたが、米国株が堅調で主要指数が高値を更新するなか、日本市場でも買いが優勢となり、TOPIXは再び最高値を更新しました。しかしその後、米IT大手Oracle社のAIデータセンター完成の遅れや、半導体大手Broadcom社の決算が市場期待に届かなかったことなどから、AI投資の収益性に対する警戒感が高まり、半導体関連株を中心に売りが広がり、相場は調整色を強めました。

月後半は、日銀が利上げを決定したものの、総裁会見がハト派的と受け止められたことから円安が進行し、輸出関連株や半導体株を中心に買いが入りました。ただし、月末にかけては薄商いの影響もあり、相場は方向感を欠く展開となりました。結果として、TOPIXは相対的に底堅く上昇基調を維持し、日経平均株価も小幅ながら前月を上回って当月の取引を終えました。年間を通してみると、年前半に大きな下落に見舞われる場面があったものの、年後半には両指数とも高値更新を続け、高水準での推移となりました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐0.49%下落し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同1.03%の上昇を1.52%下回りました。パフォーマンスにプラスに寄与した企業は、コニカミノルタ、山陰合同銀行、美津濃などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、SHOEI、横浜ゴム、ベースなどでした。

当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。

日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。

当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。

当運用レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます。

当月は、当ファンドの投資先である「SHOEI」に対する投資見解、対話内容をご説明します。

SHOEIは、バイク用高級ヘルメットの製造・販売を手掛ける企業です。1959年に設立され、その卓越した製品デザインや機能性、品質の高さからグローバルに多くのファンを抱えています。販売網は日本、欧米、中国をはじめとする世界60か国以上に広がり、世界の高級ヘルメット市場において約60%のトップシェアを誇ります。

同社は設計・開発・製造を一貫して日本国内で行っており、製造工程の多くは自動化されていますが、機械では代替できない高度で精密な作業は現在でも人の手で行われています。また、同社は「カイゼン企業」を標榜し、生産効率の向上に継続的に取り組んでいます。このような現場力こそが同社の競争力の源泉であり、長年にわたり蓄積されたノウハウと人材育成を重視する企業風土が、今後もSHOEIブランドへの信頼性を高めていくと当ファンドでは考えています。さらに、高いブランド力と商品開発力を背景にデザイン性・機能性に優れた新製品を戦略的に投入することで、継続的な製品単価の上昇が期待できると見ています。

一方で、2025年9月期の業績は厳しい結果となりました。国内では二輪関連市場の減速や流通における在庫調整の長期化が影響し、またグローバルにおいては主力モデルのモデルチェンジの端境期にあったことから、販売数量が減少しました。その結果、同社は9期ぶりの営業減益となりました。

2026年9月期の同社公表の業績予想では、在庫調整の一巡や新モデル投入による販売数量の回復が見込まれているものの、一時的な未実現利益の影響などにより、増収減益の見通しとなっています。同社は販売数量拡大に向けて、グラフィックモデルの拡充やカーボンヘルメットの投入を進めているほか、従来と異なる客層の獲得を目的に、ガンダムや初音ミクなどのIPとのコラボレーションといった多様な商品戦略を展開しています。なお、同社の業績予想は、価格改定効果を十分に織り込まない点や過去の予実を踏まえると、保守的に策定される傾向があると当ファンドでは認識しています。当ファンドとしては、同社の中長期的な事業成長に対する見方に変更はなく、今後も個別面談を通じて慎重にフォローアップしていく方針です。

また、当ファンドは同社の資本政策には改善の余地があると考えています。同社は約27%と高い営業利益率(2025年9月期)と強固なキャッシュフロー創出力を有し、現金が積み上がりやすい構造にあり、2025年9月末時点で総資産の約5割を現預金が占めています。当ファンドは、現行の同社の還元方針(配当性向50%)を前提とすると、資本の蓄積ペースが早く、将来的なROE(株主資本利益率)の低下が懸念されることから、規律ある資本政策の実行を求め、トップマネジメントとの対話を継続してまいりました。2025年9月期の決算説明会において、同社からキャピタルアロケーション、最低限預金水準について初めて開示がなされ、同社の資本政策に対する姿勢の変化が見られました。さらに、25億円の自社株買いの実施に加え、今期は減益予想ながら一株当たり配当金を維持するなど、現金の積み上がりに対する具体的な対応も示されています。当ファンドは長期のパートナー株主として、今後も同社の企業価値向上に向けた建設的な対話を粘り強く続けてまいります。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2025年11月の運用コメント

株式市場の状況

2025年11月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.42%上昇し、日経平均株価は同4.12%の下落となりました。

月前半は、AI(人工知能)関連銘柄の前月までの上昇に対する過熱感が意識され、米国株式市場にて関連銘柄が大幅に調整した影響が日本株式市場にも波及しました。一方でバリュー株や内需株等は底堅く推移し、これらのウェイトの差異が指数の変動に大きな影響を与えた結果、日経平均株価の下落が大きくなり、他方TOPIXは相対的に底堅さを維持しました。

月半ばには、日中関係の緊張を背景に中国政府が渡航自粛を要請したことが嫌気され、日経平均株価、TOPIXの両指数とも再び大きく下落し、日経平均株価は節目の5万円を割り込む場面も見られました。その後は、米国株式市場においてNVIDIA社が好決算を受け、時間外取引で同社株が上昇したことが追い風となり、日本株式市場でもアドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループの3銘柄が日経平均株価を約700円押し上げる場面も見られるなど株価は持ち直しましたが、AI投資の過熱感に対する警戒は根強く、上値の重い展開が続きました。

月後半にかけては、FRB(米連邦準備制度理事会)高官のハト派的発言を受けて12月利下げ観測が再び高まり、米国株の持ち直しとともに日本株式市場も反発しました。結果として、日経平均株価は8か月ぶりの下落となった一方、TOPIXは小幅ながらも上昇を確保し、両指数のパフォーマンスはまちまちとなり、当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐4.99%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同1.42%の上昇を3.57%上回りました。当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、コニカミノルタ、マックス、SHOEIなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、三菱重工業、ホシザキ、ベースでした。

当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。

日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。

当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。

当運用レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます。

当月は、当ファンドの投資先である「美津濃(ミズノ)」に対する投資見解、対話内容をご説明します。

美津濃は1906年に水野利八氏、弟の利三氏の兄弟によって創業されたスポーツ用品メーカーです。野球ボールや運動着等の販売を起点に、ゴルフ、スキー、陸上など様々なスポーツ用品を開発し、長年にわたりスポーツ振興を支えてきました。高品質なものづくりに裏打ちされた技術力と、競技者のパフォーマンス向上に寄与する研究開発を強みとし、国内外でブランド価値を確立しています。

当ファンドでは、同社の①ワークビジネス、②ゴルフ、③サッカーの三つの事業に注目しています。

①ワークビジネスは2016年度から始まった歴史の浅い事業ですが、すでに国内1,600社以上で採用されており、同社の国内事業における成長の柱となっています。同社が競技スポーツで蓄積してきた3DCG(3次元コンピューターグラフィックス)による身体動作解析技術や、高耐久素材の開発力をワークウエアやワークシューズに応用することで、単なるユニフォーム供給に留まらず、現場での作業効率や安全性向上まで踏み込んだ価値を提供している点が成功要因と考えられます。スポーツ由来の高機能素材や設計思想を産業分野に展開することで、同社の既存技術を高度に再活用できていることも特筆すべき点です。

②ゴルフ事業においては、特に米国市場で顕著な存在感を示し始めています。同社のアイアンは、1本の丸棒からヘッドを成形する独自の鍛造製法により、“打感の良さ”や“フィーリング性能”といった感性価値を高いレベルで実現しており、トッププレーヤーからアマチュアに至るまで幅広い支持を獲得しています。

③サッカーシューズでは、同社の技術が存分に活かされたレザーモデルが高い評価を得ています。特に東南アジア市場では、2017年のサッカー専任チーム設立を契機に事業が急拡大し、タイ市場を中心にミズノブランドの浸透が進みました。Jリーグでプレーしたチャナティップ選手との契約を皮切りに、現地有力選手との契約が広がったこともブランド浸透の追い風となりました。

こうした魅力的な成長事業を複数有しているにもかかわらず、同社はスポーツシューズ・アパレルを手掛ける競合他社と比較すると、株式市場では割安に評価される傾向が続いています。その背景には、①事業ポートフォリオの過度な多角化、②非効率的な資本配分という構造的な課題が存在します。同社は競技人口が少ないマイナー競技向け製品や、公共フィットネス施設の運営受託事業といった収益性の低い事業も抱えており、これらの事業が全体の資本収益性を下押しする要因となっています。また多角化の結果、研究開発費や宣伝費など経営資源が分散し、重点領域へ十分な投資を行いにくい状況が生じていることも懸念点です。

当ファンドでは、事業ポートフォリオ改革と資本配分の最適化が進展すれば、同社の市場評価は改善する余地があると考えています。美津濃には長年の製品開発で蓄積された独自技術や素材開発力があり、自己資本比率も70%超と財務体質は極めて健全です。現預金や投資有価証券などの金融資産の活用余地も大きく、資本効率向上に向けた施策は幅広く検討可能と推察しています。当ファンドは長期的なパートナー株主として、事業戦略と資本政策の両面について建設的な対話を重ね、企業価値向上に向けた取り組みを後押ししてまいります。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2025年10月の運用コメント

株式市場の状況

2025年10月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比6.20%上昇、日経平均株価は同16.64%上昇いたしました。
月前半は、米政府機関の一部閉鎖懸念を背景に軟調なスタートとなりましたが、高市早苗氏が自民党総裁に就任すると、市場では積極財政や成長戦略への期待が高まり、「高市トレード」と呼ばれる株高・円安の動きが急速に進行しました。月半ばにかけては、公明党の連立離脱報道が伝わり、政局不安が広がりました。さらに、米国による対中追加関税発表とそれに対する中国の報復措置が加わり、リスクオフムードが強まったことで、日経平均株価は一時急落しました。その後、一転して日本維新の会との連立協議入り報道を受けて政局の不透明感が後退し、米SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)の上昇も追い風となり、相場は反発に転じました。
月後半には、米中貿易摩擦の再燃や米地銀の信用不安が断続的な重荷となり、短期的な過熱感から一時的な調整局面もみられたものの、20日に自民党と日本維新の会が正式に連立合意に至り、高市新政権の誕生を受けて政策期待が一段と高まったことから市場は再び上昇基調となりました。
月末にかけては、FOMC(米連邦公開市場委員会)で予想通り0.25%の利下げを決定した一方、FRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言を受けて12月の追加利下げ観測は後退しました。また、日銀の金融政策決定会合では利上げが見送られ、追加利上げに慎重な姿勢が示されたことで円安基調が継続しました。さらに、米中協議の進展や中国によるレアアース輸出規制延期が好感され、リスク選好姿勢が一段と強まりました。こうした環境下で、アドバンテストの好決算やレーザーテックの大幅株高など、AI(人工知能)・半導体関連株が連日上昇し、日経平均株価も連日で史上最高値を更新しました。結果として、指数間の上昇率の差が広がりながらも、日本株式市場は前月末比で大幅高の水準で10月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐0.99%の下落となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同6.20%の上昇を7.19%下回りました。
当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、三菱重工業、美津濃、森永製菓などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、SHOEI、住友林業、全国保証などでした。

当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。
日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。
当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。
当運用レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます。

当月は、当ファンドの投資先である「三菱重工業」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
当ファンドは同社が掲げているエネルギーの供給と需要の両面のグリーン転換「エナジートランジション」戦略に注目し、投資を行っています。当月は、2025年4月に就任された伊藤新CEOが掲げる経営方針と、事業ポートフォリオ改革の進展について、ご説明させていただきます。
同社は「リアリティのあるトランジション」を重視し、エネルギーの供給と需要の両面のグリーン転換を成長の柱に掲げています。同社は2024年5月に、2024年度から2026年度までの3か年を対象期間とする2024事業計画(24事計)を発表しました。24事計のテーマは①伸長事業の着実な遂行、②成長領域の事業化推進、③事業競争力の強化の3つに集約されます。この3か年で成長を牽引する伸長事業は、ガスタービンと原子力のエネルギー関連製品と防衛事業です。特に、伸長事業は2024年度末時点で、7.5兆円と巨額の受注残を抱えており、24事計期間中の業績成長を牽引するドライバーとして、株式市場からも高い評価を受けていると考えています。
伊藤新CEOは、「全体最適」と「領域拡大」に取組み、グループシナジーを創出する「Innovative Total Optimization(ITO)」という画期的な経営モデルを提唱しました。事業間の連携を通じた効率化の追求によって、事業利益率の更なる改善余地があることや、需給のひっ迫が目立つガスタービンに関して、技術ライセンス供与によるスケール拡大の可能性が示唆されたことなど、革新的な経営方針を掲げる新経営陣のチャレンジ精神が感じられ、ポジティブな印象です。
当ファンドでは、投資開始時から一貫して、三菱重工業は、今後益々増えるグローバルのエネルギー需要と脱炭素目標の両立や、世界的な安全保障強化の潮流において、中心的な役割を担う成長企業であると考えています。他方で、世界トップシェアを誇るエネルギー・インフラ領域に経営資源を集中すべく、競争力やシナジーの乏しい製品について、事業ポートフォリオの見直しが急務であると対話を行ってまいりました。その中でも、フォークリフトなど物流機器を手掛ける上場子会社である三菱ロジスネクストは、事業規模の大きさや親子上場というガバナンス面の課題があることから、特に注目をしてきました。
三菱ロジスネクストは、2023年度に過去最高の当期純利益を達成して以降、主要市場の米州での需要減や競争環境の悪化に伴い、関税等のコストアップの価格転嫁が進まないなど、苦しい事業環境にありました。2024年12月に事業売却の観測報道が出た後、2025年9月末には持分の譲渡を進めることが正式に発表されました。同社は事業売却に伴う損失を計上したことで、当期利益の下方修正も発表しました。当ファンドでは、24事計における事業競争力の強化に沿った経営判断であり、今後は事業利益率改善を通じたROE(株主資本利益率)の向上も見込まれることから、高く評価すべき動きだと考えています。
当ファンドは長期的なパートナー株主として、さらなる事業ポートフォリオの見直しを中心に、今後の進捗を見守っていく方針です。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2025年9月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年9月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比2.98%上昇、日経平均株価は同5.18%上昇いたしました。
 月前半は、Alibaba Group Holding社(中国)による新AI(人工知能)チップ発表をきっかけに米中の技術競争激化が意識され、米国のAI関連株が軟調となり、日本株式市場でもハイテク株中心に下落いたしました。その後、トランプ米大統領が日米間の自動車関税引き下げを盛り込んだ大統領令に署名したことが安心感につながり、相場は持ち直しました。
 月半ばにかけては、米国雇用統計が市場予想を下回り、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が高まったことや、石破茂首相の辞任表明を受けて次期政権への政策期待から日本株式市場は上昇しました。米国株式市場では半導体やAI関連銘柄が市場を牽引し、日本株式市場でも関連株の物色が広がったほか、その他幅広い銘柄に買いが波及しました。日経平均株価やTOPIXは高値更新を続け、相場上昇のモメンタムが継続しました。
 月後半は、FOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げ再開の決定と年内の継続的な利下げ見通しが示されました。翌日の日銀金融政策決定会合では、政策金利は据え置かれたものの2名の審議委員が利上げを提案し10月の利上げ確率が上昇した他、保有するETF(上場投資信託)の売却を決定したことで指数が一時急落しましたが、売りが一服すると下げ幅を縮め、相場は底堅さを維持しました。
 月末にかけては、米国経済指標が堅調だったことから米国の積極的な利下げ期待が後退し、米国株が反落した流れが波及した他、自民党総裁選を控えていることなども重なって日本株式市場は軟調に推移しましたが、月全体としては前月末対比大幅高の水準で当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐1.32%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同2.98%の上昇を1.66%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、パイロットコーポレーション、コニカミノルタ、山陰合同銀行などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、ホシザキ、SHOEI、森永製菓などでした。

 当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。
 日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。
 当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。
 当運用レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます。

 当月は、当ファンドの投資先である「住友林業」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 住友林業は1691年、別子銅山(愛媛県新居浜市)の備林経営に端を発し、1955年に住友林業として設立されました。木材商社として事業を拡大し、その後戸建住宅事業へ参入。以降は森林経営から木材・建材流通、住宅建築、不動産事業まで幅広く事業領域を広げ、木の価値を軸にした総合的な住生活企業へと成長してきました。特に直近10年程は、成長余地の大きい米国住宅事業に注力しており、現地の有力住宅会社を相次いで買収することで市場シェアを拡大しています。その結果、現在では売上・利益の過半を米国事業が占めるに至っています。米国では人口増加を背景に住宅需要が底堅い一方、建築人員不足や施工の複雑化が課題となっており、さらに移民規制強化により建設労働者不足は一層深刻化する可能性があります。この環境下で、住友林業が進める工場での住宅部材生産・加工による「プレハブ工法」は、現場での作業削減や工期短縮、品質安定化を実現する有効な手段となり、同社の競争優位性を高めると期待しています。
 しかしながら、同社は米国大手住宅メーカー等と比較して株式市場において割安に評価されてきました。その背景として、①事業ポートフォリオの過度な多角化、②資本配分に関する明確な方針の欠如、という二つの要因が挙げられます。①については、ゴルフ場や高齢者施設の運営といった木材加工技術とのシナジーが低い事業を有しており、収益性は低迷しています。また、バイオマス発電事業も採算性に課題があり、これらの事業が全体の資本収益性を下押しする要因となっています。②については、シナジーの低い持分法適用会社である熊谷組の株式などを含む金融資産を約1,200億円保有しており、資本効率の改善余地が大きいと考えられます。
 当ファンドでは、事業ポートフォリオの改革と資本配分の適正化が進展すれば、ROE(株主資本利益率)は同社の中期経営計画目標である15%を超えることが可能と考えており、これらの課題について同社と議論を続けて参ります。米国事業の成長性や「プレハブ工法」による同社の競争優位性の高まりを踏まえれば、企業価値向上のポテンシャルは十分に存在します。当ファンドはパートナー株主として、経営陣との建設的な対話を継続し、企業価値最大化に向けた取り組みを後押ししてまいります。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2025年8月の運用コメント

株式市場の状況

  2025年8月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比で4.52%上昇、日経平均株価も同4.01%の上昇となりました。
 月前半は、米国の雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を下回り、労働市場の軟化が意識されたことで米国株が急落しました。その影響を受けて日経平均株価も急落し、一時4万円を割り込む場面もありましたが、雇用統計の弱さが米国利下げ期待を高め、世界的な株高を誘発しました。加えて、国内では主要企業の好決算により企業業績の底堅さが再認識され、日本株式市場は一段と騰勢を強める展開となりました。こうした強い上昇基調のなか、月半ばにはトランプ米大統領が対中相互関税の一部を再び90日間延期すると発表し、投資家心理に安心感を与えたことから株式市場は続伸し、日経平均株価は連日史上最高値を更新しました。
 その後、月後半にかけてはジャクソンホール会議を控え様子見ムードが広がり、利益確定売りも重なって調整色が優勢となりました。ジャクソンホール会議では、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の講演が9月の利下げ観測を一段と強めるものとなったほか、米国のNVIDIA社が中国向け輸出に関する不安を残しつつも堅調な決算を発表したことも市場を支え、米国株式市場は堅調に推移し、日本株式市場も底堅い動きを見せ、前月末比で大幅高となって当月を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐5.52%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同4.52%の上昇を1.00%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、横浜ゴム、森永製菓、マックスなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、美津濃でした。

 当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。
 日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。
 当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。
 当運用レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます。

 当月は、当ファンドの投資先である「横浜ゴム」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 横浜ゴムは1917年に横浜で創業したタイヤメーカーです。スノータイヤやオールシーズンタイヤなど数々の日本初となる画期的な製品を発売し、1990年以降は生産・販売網の海外展開を進めることで、グローバルに成長を続けてきました。
 タイヤ業界は、労働集約型かつ装置産業であることから、規模が競争力に直結する産業です。2010年以降、低コスト・低価格を武器とした新興国のタイヤメーカーが生産能力を拡大しており、競争は年々激しくなっています。特に、中国タイヤメーカーの拡大は著しく、トラック・バス用タイヤについては、既に中国が世界の生産量の約半分を占めています。近い将来、乗用車用タイヤについても、中国メーカーの生産能力増強は続いており、業界全体に価格下落圧力をもたらすことが予想されています。一見すると、タイヤ市場は成熟化が進みつつあり、魅力的な業界ではないように見受けられます。
 当ファンドが注目しているのは、独自の戦略によって、市場を上回る成長を追求する同社の攻めの経営姿勢です。消費財タイヤでは、高級車への装着実績をブランド力・性能の裏付けとして、価格を引き上げていくプレミアムタイヤ戦略を採用していますが、これは大手タイヤメーカー、いわゆるTier1/2メーカーに共通したトレンドです。同社はコーポレートブランドである“YOKOHAMA”ブランドに注力し、複数のブランドを展開する他社がアプローチしにくい、絶妙な価格帯でのプライシングを実践しています。また、グローバルの各地で地域に精通したプロフェッショナル経営人材を登用することで、地域ごとに異なるニーズを捉えた製品の投下を行ったことも乗用車用タイヤの高成長に繋がっていると考えられます。
 同社はタイヤ市場の約2割を占める、農機・鉱山機械などに装着されるOff-Highway Tire(OHT)では、2016年から積極的なM&Aを推進することで、世界トッププレイヤーにまで昇り詰めました。OHT事業は消費財タイヤと比較して高い市場成長性が期待され、多品種・少量生産かつ複雑な製造工程を背景に、高い参入障壁を誇る魅力的なビジネスです。買収によって、安価なバリュー製品から新車に強いプレミアム製品まで幅広いラインナップが揃い、多様なニーズに対応できる体制が整いました。一方、OHTの需要は、コモディティ市況や景気変動の影響を受けやすく、下降局面では厳しい業績を強いられます。好況期にあった2022年12月期から一転し、農機新車の生産調整を背景に、2023年12月期からはOHT販売量は減少が続き、回復時期が見通しにくいことが、同社固有のリスクとなっていました。
 当ファンドでは、OHT事業の高いポテンシャルに注目し、市場にもその価値が正しく認識されれば、PBR1.0倍を下回る株価の割安さは解消されると考え、OHTの事業戦略を中心に対話を継続してまいりました。当ファンドは、新車需要の下降局面という厳しい冬の時期にこそ、逆風をいかに乗り越え、景気サイクルごとに過去を上回る成長を実現するという、未来志向の展望を示すことが重要であるとの考えを共有してきました。同社は2024年12月期の決算説明会において、OHT市場の成長性を改めて発信するともに、利益体質の強靭化に向けて、補修用タイヤの強化と生産拠点の最適化などの具体施策を発表しました。
 2025年12月期第2四半期決算において、通期計画の上方修正とOHT事業の販売量回復が好感され、同社の株価は大きく上昇しました。一時、2019年11月以来約6年ぶりに、同社のPBRは1.0倍を上回りました。積極的な成長投資と並行して、市場からの信認を得るべく、リターン創出に向けた施策の有言実行と、その説明に努めてきた真摯な経営姿勢が評価された成果だと考えております。
 当ファンドはパートナー株主として、同社の企業価値の最大化の一助となれるよう、今後とも対話を続けていきたいと思います。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2025年7月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年7月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比3.17%上昇、日経平均株価も同1.44%の上昇となりました。
 月前半の日本株式市場は、前月末の急騰を受けた利益確定売りが優勢となるなか、米国による相互関税の動向や参議院議員選挙で与党が苦戦するとの見通しなど、先行きへの不透明感が強まり、株価の動きは限定的となりました。また、米NVIDIAによる中国向けAI半導体の輸出再開報道や、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長解任を巡る話題など、強弱入り混じる材料が相次いだこともあり、株式市場は方向感に乏しく、もみ合いが続く展開となりました。
 月後半に入ると、20日に実施された参議院議員選挙では、与党が非改選議席と合わせても過半数を獲得できなかったものの、市場では想定内の結果と受け止められたため、連休明けの22日の株式市場への影響は限定的に留まりました。翌23日には、日米通商交渉の合意が報じられたことで株価が一気に押し上げられ、24日のTOPIXは過去最高値を更新し、日経平均株価も急騰する展開となりました。その後は、急ピッチな株価上昇に対する過熱感から一時的な調整が入ったものの、月末には米ハイテク銘柄の好決算の影響などを受けて反発し、日本株式市場は前月末比で大幅高となって当月を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐2.29%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同3.17%の上昇を0.88%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、横浜ゴム、パイロットコーポレーション、山陰合同銀行などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、ワコム、京成電鉄、全国保証などでした。

 当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。
 日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。
 当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。
 当運用レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます。

 当月は、当ファンドの投資先である「全国保証」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 全国保証は、国内唯一の独立系住宅ローン保証会社です。住宅ローン保証事業とは、住宅ローンの借入人から保証料をもらう代わりに、連帯保証人となる事業を言います。住宅ローンの借入人が返済を出来なくなった場合、保証会社である同社が金融機関に住宅ローンを弁済し、金融機関に代わって借入人から住宅ローンを回収する、もしくは住宅ローンの担保物件(住宅・土地等)を売却して弁済資金を回収する事業モデルです。住宅ローン保証は、通常、金融機関の子会社である保証会社が提供するのが一般的です。しかし同社は、金融機関に属さない国内唯一の独立系保証会社であり、全国の様々な金融機関の住宅ローン保証の引き受けが可能です。また、40年以上のローン審査のデータの蓄積から、延滞リスクの低い顧客に保証を行うため、代位弁済に関わるコストは限定的であり、営業利益率が7割を超える非常に収益性の高いビジネスとなっています。
 同社は1981年に厚生年金転貸住宅融資の保証業務を担う目的で設立されましたが、業容転換のために1997年から民間金融機関向け住宅ローンの保証業務に参入します。当時、大手金融機関は子会社の保証会社を使っていたため、全国保証は、信金・信組など、中堅・中小金融機関への保証業務に注力し成長してきました。中堅・中小金融機関への保証業務の提供を通じて、同社は与信能力や審査時間の短縮化などサービス品質を磨き上げてきました。今日では、同社はその強みを活かし、メガバンクを含む多数の金融機関に住宅ローン保証を提供しています。
 同社の保証残高は1998年の1兆円から2025年3月末には19.4兆円まで増加しています。民間住宅ローン残高に占める同社シェアも2025年3月末で9.5%まで上昇してきました。その背景には、同社のサービス品質の高さに加えて、銀行に対するリスク規制強化に伴い、住宅ローン保証リスクを銀行グループから隔離したいニーズの高まりがあります。
 当ファンドでは、同社の業績拡大が持続すると考えています。上記理由から、銀行子会社によるローン保証から、独立系の同社へのシフトが続くことが想定されます。同社は現在、金融機関に対し、保証子会社の買収など、多様なスキームによる保証債務の引き受けを提案しており、今後も継続的に残高シェアを上げていくことができると思われます。
 しかしながら、同社の株価は、企業の実態価値を反映できていないと思われます。課題は主に2点あり、①成長投資や株主還元といった資本政策に大きな改善余地があること、②事業の安全性に対する理解を株式市場から十分に得られていないこと、であると当ファンドでは考えています。これらの課題についてスパークスはこれまで青木社長と何度も面談を実施し、議論を重ねてきました。2023年3月に発表された新中期経営計画では、「住宅ローンプラットフォーマー」としてリスクを抑えながら更なる事業成長が可能なことや、成長投資・株主還元などに余剰資本を積極活用していく方針が示されました。2024年3月期の通期決算説明では、配当性向の引き上げに加え、同社初となる自社株買いの発表をしました。さらに2025年3月期の通期決算説明では、着実なM&A等のインオーガニック成長の積み上げにより増収増益を達成し、増配および前期に続く自社株買いを発表しました。同社の成長投資および株主還元への姿勢は、改善傾向にあります。
 こうした一連の資本政策を進める一方で、同社は、金利上昇に伴う個人の返済額への影響について、株式市場に対し繰り返し丁寧に説明を行ってきました。今後、事業の安全性に対する市場の認知が徐々に広がっていくことが期待されます。
 当ファンドでは引き続き、同社の企業価値が株式市場で顕在化する一助となれるよう、経営陣との対話を継続していく方針です。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2025年6月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年6月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)が前月末比1.96%上昇、日経平均株価も同6.64%の上昇となりました。
 全体としては、米国の関税政策や地政学的リスクの動向に市場が影響を受ける場面も見られたものの、外部環境の改善や米国金融緩和への期待を背景に、リスク選好姿勢が強まった月となりました。
 月前半から月半ばにかけての日本株式市場は、米国の関税政策や景気減速への懸念から軟調に推移しましたが、堅調な米雇用統計や米半導体関連株の上昇を受け、市場は持ち直しました。しかし、イスラエルがイランを攻撃したとの報道によって中東情勢への懸念が高まり、一時的にリスク回避の動きが市場を下押ししました。一方で、日銀が政策金利据え置きと国債買い入れ減額ペースの緩和を示し、米連邦公開市場委員会(FOMC)でも政策金利が据え置かれたことが投資家心理を下支えし、外部要因に振らされながらも市場はもみ合いを続けつつ、徐々にレンジを切り上げる展開となりました。
 月後半にかけては、中東情勢の激化や米国によるイラン核施設への空爆報道により、一時的にリスク回避ムードが広がりましたが、その後は地政学的な懸念が早期に沈静化したことや米国株式市場の反発を受けて、日本株式市場も上昇基調に転じました。さらに、トランプ米大統領の停戦に関する発言や米連邦準備制度理事会(FRB)高官による利下げ示唆が投資家心理を押し上げ、リスクオンムードが広がりました。値がさ半導体関連株が相場をけん引し、配当権利落ちに伴う再投資の需要も追い風となり、日経平均株価は年初来高値を更新しました。株式市場全体も前月末比で大幅に上昇して当月を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐2.15%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同1.96%の上昇を0.19%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、横浜ゴム、SHOEI、コニカミノルタなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、ホシザキ、山陰合同銀行、京成電鉄などでした。

 当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。
 日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。
 当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。
 当運用レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます

 当月は、当ファンドの投資先である「ベース」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 ベースは、1997年に設立された、独立系ソフトウェア受託開発会社です。中国出身の中山克成氏により創業されました。
 当ファンドが注目しているポイントは、1.同社の収益体質、2.ユニークなビジネスモデルによる採用力の2点です。

  • 同社は受託開発事業に特化しており、主にシステムインテグレーター(SIer)および企業の情報システム部門からの案件を受注しています。一般的に二次請けSIerは下請け会社と呼ばれ、低収益になりやすい構造ですが、同社は顧客をSIerと一部の大手企業に絞ることで営業コストを抑制し、加えて、収益性の高い案件を選別する目利き力により、高い営業利益率を実現しております。実際、2024年12月期においては、営業利益率が25%を超過いたしました。
  • SIer業界は「人月ビジネス」と称され、売上はエンジニア単価×稼働人数により決定されます。このため、持続的な成長のためには優秀なエンジニアの確保が不可欠です。同社は、中山社長をはじめとした中国出身のIT人材を多数擁し、中国国内の有名大学との強固なネットワークを活かすことで、日中両ルートからの採用を実現しています。これにより、採用面での優位性を確保し、組織拡大を安定的に推進しています。

 一方で、直近2年間において業績の成長率はやや鈍化しており、市場における評価は必ずしも十分とは言えませんが、当ファンドではこれを一時的な調整局面と捉えております。
 同社は2023年12月期より、顧客対応の主体を役員から部長クラスへと移行する施策を導入しています。これは、企業規模の拡大に伴い、現場レベルでの営業力強化と組織的なノウハウ蓄積を目的としたものであり、将来的な営業基盤の強化につながると期待しております。この施策の効果が顕在化するまでには一定の時間を要しますが、長期的には再び高い成長軌道に乗るものと見込んでいます。
 また、同社のバランスシートには中期的には課題が残ると考えています。高い営業利益率を有する同社はSIerという業種であることから多大な設備投資を必要としないため、内部留保の積み上がりに伴う株主資本利益率(ROE)の低下が危惧されます。当ファンドは、M&Aや株主還元といった資本政策を中心に、継続的かつ建設的な対話を行ってまいります。引き続き、同社の実態価値が市場で適正に評価されるよう、長期的な視点で対話を継続していく所存です。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2025年5月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年5月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)が前月末比5.10%の上昇、日経平均株価も同5.33%の上昇となりました。当月の日本株式市場は、月前半に大幅上昇した後、月半ばに調整を挟みつつも月後半にかけて持ち直し、レンジ内での回復基調を維持したまま当月を終えました。
 月前半は、前月末から続く米国の関税交渉進展への期待が支援材料となったことや、日銀が展望リポートで実質GDP成長率と物価上昇率の見通しを下方修正し追加利上げに慎重な姿勢を示したことや進行した円安も相まって、株式市場は堅調に推移しました。こうした中、米英貿易協定の合意や米中双方による市場の想定以上の関税率の引き下げを受け、指数は大幅に上昇しました。月半ばには好材料が一巡したことに加え、円高・ドル安の進行や、米国債格下げをきっかけに米国の財政悪化懸念が高まったことも相場の重荷となりました。月後半にかけては、米国による対EU追加関税の延期や、日本国内での超長期国債発行計画の見直し観測による円安の進行等により主力株を中心に買いが入り、日本株式市場は再び上昇に転じました。さらに、28日に米国際貿易裁判所がトランプ政権の関税政策を違法と判断し関税の差し止めを命じたことを受けて円安が加速し、株式市場も大幅高となりました。しかしその後、米連邦巡回区控訴裁判所が関税差し止めの執行を一時的に停止する判断を下したことでドル円相場とともに株式市場は反落しました。
 結果として、米国の関税政策をめぐる不透明感に振り回されながらも、日本株式市場は前月末比で上昇して取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐2.92%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同5.10%の上昇を2.18%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、横浜ゴム、三菱重工業、ワコムなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、ホシザキ、森永製菓、SHOEIなどでした。

 当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。
 日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。
 当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。
 当運用レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます。

 当月は、当ファンドの投資先である「山陰合同銀行」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 山陰合同銀行は、島根県と鳥取県を基盤とする地方銀行です。同行は、松江銀行と米子銀行が合併し1941年に設立されました。マザーマーケットである山陰両県においては、約50%と圧倒的な預貸金のシェアを有しています。一方で、山陰両県は同行が「課題先進地域」と呼ぶように、公共事業への産業依存度が高く、全国でも人口減少と高齢化が進んでいるなど、同行を取り巻く環境は厳しいものでした。そのような状況下で県外に成長の活路を見出した同行は、山陽・関西地区を中心に2012年から法人営業に特化した支店の出店を積極化させてきました。
 地方銀行業界は、一般的にその地に根差した銀行が大きなシェアを握っており、他地域からの市場参入が難しいビジネスと考えられます。同行は逆風下にある地元市場において、主体的に資金需要を掘り起こすべく、金融仲介機能だけではない、経営密着型のコンサルティングモデルの強化や、人材の教育・再配置などの構造改革を推進してきました。その結果、同行は地元で培った経営支援のノウハウを武器に県外進出に成功し、2020年度からは貸出金平均残高の半分以上を山陰両県以外の地域が占めるまでに拡大させています。また、リスキリング(職業能力の再開発・再教育)を通じて窓口・事務部門の人員の配置転換を進め、戦略部門である法人営業や預かり資産ビジネスを強化するなど、環境変化に素早く対応することで、全国の地銀と比較して非常に高い経費効率を達成しています。
 今後、銀行セクター全体が政策金利上昇による利ざや拡大の恩恵を受けると想定されます。しかし、銀行セクターの株価や業績の動向は日銀の利上げのタイミングや到達金利の予想に大きく依存する側面は否定できません。そして、利ざやを左右する日銀の到達金利という外部要因を正確に予測することは難しいと考えております。
 そのため、当ファンドでは、県外進出をドライバーとした貸出金残高の力強い伸びと生産性の高さを背景に、高い利益成長とROE(株主資本利益率)改善を実現する同行のポテンシャルに注目しています。同行は県外進出の加速によって、総貸出金平均残高を2023年度の4.4兆円から、2026年度には約5.5兆円まで拡大させるという力強い中期経営計画を掲げており、残高の積み上げに伴う貸出金利息の増加という独自要因を備えている点が魅力だと考えます。
 しかしながら、全国の地銀平均を上回る貸出残高の成長実績に対して、同行のPER(株価収益率)は時価総額1,500億円以上の規模の地方銀行の平均程度に留まっています。当ファンドでは、期初計画を上回る与信費用の計上が続いており、株式市場から貸出資産の質を懸念されていることが要因だと考えております。
 当ファンドでは、不良債権比率は低位で維持されており、県外での正常先割合は改善傾向にあることから、同行の資産の健全性に強い懸念は抱いておりません。一方で、同行が積極的な県外進出という戦略を採っていることから、成長とリスクマネジメントの両立に向けた明確なメッセージを発信することが重要と考え、対話を行っております。中期経営計画最終年度である2026年度の目標を着実に達成し、その後も持続的な利益成長とROEの改善が可能であると株式市場の信認を得られれば、野心的に資金利益成長を志向する経営戦略に対して、再評価の余地が大きいと考えています。当ファンドはパートナー株主として、同社の本源的な企業価値の向上・顕在化に向けた対話を続けてまいります。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2025年4月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年4月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.33%の上昇、日経平均株価は同1.20%の上昇となりました。当月の日本株式市場は、米国の通商・金融政策を巡る不透明感に大きく揺さぶられる展開となりました。
 月前半には、米国においてスタグフレーション(景気の後退と物価の上昇が同時進行する経済状況)の懸念が強まる中、トランプ政権が全世界を対象とした最大50%の「相互関税」を発表し、中国やEUが即座に報復措置を講じたことで、世界的にリスク回避の動きが広がりました。これを受けて、日本株式市場は大幅な下落となり、先物市場では「サーキットブレーカー」が発動されるなど、市場の混乱が際立ちました。その後、9日に米政府が一部関税の90日間一時停止を発表すると、過度な悲観ムードが和らぎ、市場は急反発しました。ただし、翌10日には米国が対中関税を累計145%まで引き上げる方針を明らかにしたことで、市場は再び警戒感を強めました。加えて、トランプ米大統領が米連邦準備制度理事会(FRB)に利下げを要求し、パウエル議長の解任懸念が浮上したことにより、FRBの独立性に対する不信感が高まりました。この影響で、米国市場では株式・債券・ドルがそろって下落する「トリプル安」となり、日本株式市場でも上値の重い展開が続きました。
 一方、22日にはベッセント米財務長官が「関税は持続不可能」との見解を示したほか、23日にはトランプ米大統領がパウエル議長の解任を否定したとの報道が伝わったことで、市場には安堵感が広がり、日本株式市場も上昇に転じました。さらに、対中国の関税率を見直す旨の報道も好感され、米中対立の緩和への期待からリスクオン姿勢が続き、日本株式市場は前月末比で上昇して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐1.72%の下落となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.33%の上昇を2.05%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、三菱重工業、ホシザキ、京成電鉄などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、コニカミノルタ、横浜ゴム、ルネサスエレクトロニクスなどでした。

 当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。
 日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。
 当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。
 当運用レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます。

 当月は、当ファンドの投資先である「森永製菓」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 森永製菓は1899年創業の大手菓子メーカーです。米国で菓子製造技術を学んだ創業者森永太一郎氏が、「日本の人々にもおいしく栄養価の高い西洋菓子を食べてもらいたい」という想いをもって日本の菓子産業の礎を築いたのが同社の始まりです。今では菓子だけでなく、アイス、「inゼリー」に代表されるゼリー飲料、通販など、製品・事業の幅を広げ、海外にも積極的に展開しています。
 当ファンドが注目しているのは、MORINAGAブランドの海外での成長です。米国では「HI-CHEW(ハイチュウ)」が、メジャーリーガーの間でブームとなったことをきっかけに評判となり、これまで成長を続けてきました。足元では、米国内の景気減速によりハイチュウのメインチャネルであるコンビニでの販売が苦戦しています。一方で、取扱SKU(在庫管理の最小管理単位)拡大や新たな販売チャネルへの取り組みは着実に進展しています。米国では第2工場が2027年1月に稼働を予定しており、安定的な供給体制が整うことで、催事などの大きな販売戦略が可能となり、更なる成長が期待できると考えています。
 課題である国内菓子事業の収益性は、原材料価格高騰、円安の影響で改善しているとは言えない状況です(2025年3月期第3四半期の営業利益率は5.3%(前期比1.0pt減少))。外部環境としては、2023年3月期以降、毎期50億円から80億円程度の原材料費等の高騰の影響(為替含む)で厳しい状況が継続しています。そのような環境において、同社は複数回の価格改定を実施しながらも、販売数量を伴った売上高の拡大を実現してきています。同時にハイチュウを中心としたカテゴリーミックスの改善やコスト低減などの収益性改善の取組は着実に実行されており、現状、業績としては表れていないものの、同社の収益体質は改善し始めていると考えております。また、中期経営計画では、選択と集中による事業の生産性向上に努めるため、「段階的なアセットライト」を進め、同社の基盤事業として持続的成長および投下資本収益性(ROIC)向上を目指すことが謳われています。次回の決算説明会では、中期経営計画発表から一年を経て、ROIC向上に向けてもう一段踏み込んだ経営陣の考えや説明に期待しています。当ファンドでは、同社との対話が進展し始めていると評価していますが、売上高の大きい国内菓子事業の収益性改善は同社の企業価値向上に不可欠となるため、構造改革の進捗を見守りながら今後も対話を続けてまいります。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2025年3月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年3月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.22%の上昇、日経平均株価は同4.14%の下落となりました。当月の日本株式市場は、米国の関税政策に対する不安や地政学的リスクの影響を受けて投資家心理が動揺し、荒い値動きが続きました。
 月前半にはトランプ米大統領の相次ぐ関税発動によって世界的な景気減速懸念が台頭し、景気敏感株を中心に日本株式市場は大きく下落しました。
 月半ばには植田日銀総裁の利上げ継続を示唆する発言、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の大幅上昇、ウクライナ情勢を巡る地政学的リスクの後退などに加え、ウォーレン・バフェット氏が率いる米国Berkshire Hathaway社による日本の商社株の保有増が好感されてバリュー株を中心に買いが集まり、日経平均株価が弱含むのに対してTOPIXは底堅く推移し、日経平均株価をTOPIXで除したNT倍率は5年ぶりの低水準となりました。
 月後半に入ると、トランプ米大統領が輸入車に対して一律25%の関税を課すと発表したことで自動車株や半導体株が大きく売られ、リスク回避ムードが強まりました。さらに、米国で物価上昇と景気停滞が同時に起きる「スタグフレーション」への懸念が一層強まり主要株価指数が大きく下落したことを受け、日本株式市場もほぼ全面安となり、日経平均株価は約7か月半ぶりの安値で当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐0.41%の下落となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.22%の上昇を0.63%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、三菱重工業、全国保証、山陰合同銀行などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、ルネサスエレクトロニクス、日産自動車、SHOEIなどでした。

 当月は、当ファンドの投資先である「パイロットコーポレーション」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 パイロットコーポレーションは、世界的にも有名な大手筆記具メーカーです。筆記具メーカーのシェアでは、Newell Brands社(米国)が世界首位ですが、パイロットコーポレーションは「PARKER」や「WATERMAN」など複数のブランドを展開し、単⼀ブランドでは「パイロット」が世界トップクラスのシェアを誇ります。
 同社は⽇本初の純国産万年筆の製造を⽬指して、1918年に創業しました。その後万年筆の開発に成功すると、1920年代には海外への輸出を開始し、着実に売上を伸ばし続けてきました。その結果、世界190か国以上の国と地域で同社の筆記具が展開され、現在は海外売上比率が7割を超えています。
 代表的なヒット商品である消えるボールペン「フリクションシリーズ」は、日本だけでなく欧州を中心に海外でも広く愛用されています。また、北米では「G-2」が大ヒットし、ゲルインキボールペンカテゴリーでシェアNo.1を獲得しています。このように、同社の製品は世界中の生活に浸透し、着実にシェアを拡大しています。
 同社のボールペンは、インク詰まりが起こりにくく、最後までスムーズに使いきれるインクフローに定評があります。これは、ペン先の金属ボールの寸法精度による回転の安定性と、インクの粘度バランスによって成り立っており、同社独自の設計技術・成型技術・インク配合技術が支えています。
 さらに同社は、高品質なペンを安価に製造する量産技術にも優れ、製品不良率は極めて低く、高い歩留まりを誇ります。こうした生産コストの管理や安定供給力は、長年の現場で培われた技術力によるものです。
 当ファンドは、同社が長年培ってきた技術力とブランド力に加え、各地域に根差したマーケティング力や商品開発力、安定供給を可能にする製造・販売体制といった強みが、今後も同社の収益性と市場シェアを拡大すると考えています。特に新興国では、中間層の増加や進学率の上昇に伴い、高品質な筆記具の需要が高まることが期待されます。特にインドや中国では、入学試験でボールペンの使用が一般的であり、試験時間内にインク詰まりが起こりにくい同社のペンは、現地の学生からも高い支持を得ております。
 一方で、当ファンドは同社のIR・資本政策に課題があると考え、これまで経営陣と対話を重ねてきました。過去、同社は株式市場に対する情報開示を最低限に留めていたため、投資家の関心が低く、本来の企業価値が株価に反映されていないと当ファンドは提言してまいりました。そのような中、同社はIR部門を新設し、初めてとなる決算説明会を2024年2月に開催しました。以降、機関投資家の関心が高まり、セルサイドのカバレッジもつくなど、注目度が向上しています。
 さらに、2025年2月に開示された中期経営計画では、キャッシュアロケーションが示され、3か年で500億円の成長投資を実施し、かつ総還元性向を50%以上とする方針が開示されました。しかし、投資による売上の年平均成長率は約5%に留まり、株主還元も従来比で大幅な向上と言えず、株式市場の期待を十分に高めるものとはなっていないと考えます。また、ROE(株主資本利益率)目標も11%以上とし、現状水準を上回るものではありませんでした。
 一方で藤﨑社長は、社長就任後初となる機関投資家との対話を、当ファンドと1on1形式で応じてくださり、その中で海外でのより高い成長と、ROE水準や株主還元の強化について議論をすることが出来ました。同社の中期経営計画は慎重な見通しに基づいており、実際の経営陣の思いを株式市場に伝えていくべきと当ファンドでは働きかけております。これまでのエンゲージメントの結果、IR体制が大きく改善してきたと認識しており、今後も対話を継続する方針です。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

2025年2月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年2月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比3.79%の下落、日経平均株価は同6.11%の下落となりました。当月の日本株式市場は、トランプ米大統領の関税政策に関する言動に振り回され、月後半にかけて大幅な下落となりました。
 月前半にトランプ米大統領がメキシコ、カナダ、中国に対する追加関税の検討を表明したことを受けて日本株式市場は急落しましたが、その後メキシコとカナダの関税発効が延期され株式市場は一時的に回復しました。しかし、複数の米国経済指標の結果からスタグフレーション(景気の後退と物価の上昇が同時進行する経済状況)懸念が再浮上する中で投資家は慎重な姿勢を保ち、日本株式市場も方向感のない、上値の重い相場が続きました。
 月後半には、日銀の追加利上げ観測が高まり国内長期金利は一時約15年ぶりの高水準まで上昇しました。また、米国の消費者信頼感指数や購買担当者景気指数(PMI)が予想を下回る結果となり、米国経済の先行きに対する懸念が強まりました。これを受けて、為替市場では円高ドル安が進行し、日本株式市場の重石となりました。さらに、トランプ米政権による対中半導体規制強化の観測や、米国ハイテク株の下落、米国の関税政策を巡る不透明感などが影響し、日本株式市場は大幅に下落し当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐3.21%の下落となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同3.79%の下落を0.58%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、ルネサスエレクトロニクス、マックス、ホシザキなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、SHOEI、コニカミノルタ、三菱重工業などでした。

 当月は、当ファンドの投資先である「コニカミノルタ」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 コニカミノルタは、オフィス複合機を主力事業とする精密機器メーカーです。同社は、写真用カメラフィルムを祖業とする「コニカ株式会社」と、カメラや光学機器を祖業とする「ミノルタ株式会社」が、2003年に経営統合することで誕生しました。2006年にはカメラ事業から撤退したものの、化学合成技術の賜物である写真用カメラフィルムや、精巧な動作が求められるカメラの開発で培った材料・光学・微細加工・画像を4つのコア技術として、オフィス複合機だけでなく、商業用印刷機やディスプレイ関連の機能性フィルム、計測機器などを展開しています。
 同社はペーパーレス化による複合機の構造的な市場縮小を見据えて、新たな事業の柱を創出すべく、2017年には合計で約1,000億円を超える金額を投じ、ヘルスケア関連事業の大型M&Aを実行するなど、新規領域に経営資源を集中させました。しかし、コロナ禍の影響を受け遺伝子検査数が停滞するなど、買収時の事業計画を大きく見直す必要に駆られました。2022年4月に就任した大幸社長は、総花的となっていた前経営陣の中期経営計画を刷新し、買収を行ったプリシジョンメディシン事業ののれんを中心に約1,000億円を減損し、非重点事業として位置付ける勇気ある決断をしました。同時に、大型買収の結果として傷んだ財務の健全性回復を図るべく、オフィス複合機の稼ぐ力の強化などを通じ、2025年度には再び飛躍するための基盤を確立するとの集中的な経営改善施策を発表しました。
 当ファンドでは、大幸社長の有言実行型のリーダーシップと同社のコア技術を活かした成長市場への進出に注目しています。現実的な前提に立った計画を約束通りに達成するという「等身大の経営」の考えの下、2024年3月期には計画通り、2019年3月期ぶりの最終利益の黒字化を達成しました。2025年3月期第2四半期決算では、非重点事業と定めた遺伝子検査事業の全株式を譲渡することを発表しました。他の赤字事業も選択と集中による損失縮小が奏功し始め、経営戦略の“仕切り直し”が最終局面に差し掛かっているとの期待が高まる内容でした。
 かつては遺伝子検査やオフィスITサービスなど、未踏の市場に成長の牽引役を求めた同社でしたが、現在では既存の技術資産や顧客との強固な関係を活用した隣接領域への進出を重視しています。その代表例が、高シェア領域を多く抱え、強化領域の営業利益率20%を目標とするインダストリー事業です。ディスプレイやレーザープリンター向けに培った光学技術を展開し、自動車外観計測や半導体製造装置など、高い成長率が見込まれる市場へと参入し、着実に実績を積み重ねています。
 2025年3月期第3四半期には、インダストリー事業で大幅な減損損失を発表し、その後株価はPBR(株価純資産倍率)0.5倍を下回る水準に回帰しました。同社の強化事業が対面市場の逆風を受け、計画に対して遅れていることは事実ですが、組織体制・営業方針の変更を実施するなど、再成長に向けた手を打っています。加えて、主要事業であるオフィス事業の収益性が底上げされており、稼ぐ力は以前よりも高まっています。当ファンドでは、改革フェーズを終える2025年3月期以降は持続的成長を実現するビジョンに注目が移ると考えており、オフィス複合機の構造的な市場縮小を跳ね返し、企業価値拡大を成し遂げる戦略について、本質的な議論を行っています。
 当ファンドはパートナー株主として、同社の本源的な企業価値の向上・顕在化に向けた対話を続けてまいります。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2025年1月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年1月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.14%の上昇、日経平均株価は同0.81%の下落となりました。
 月前半は、米国の堅調な景況感指数や雇用統計の結果を受け、米国の利下げ期待の後退から日米長期金利が上昇したことや、米バイデン政権がAI(人工知能)向け半導体の輸出規制を強化する計画であると報じられたこと、その後当規制案が発表されたこと等を受け、株式市場は下落しました。
 月半ばには、日銀総裁および副総裁から当月の金融政策決定会合で「利上げを行うかどうか議論して判断する」と、利上げを行う可能性が示唆されたことで円高が進行し株式市場の重しとなりました。しかし、昨秋からのレンジ下限として意識されている水準に近づくと下げ止まりの動きを見せ、株式市場は一転して上昇いたしました。
 月後半は、トランプ米大統領が公約に掲げてきた対中関税の即時発動を見送ったことや、ソフトバンクグループ、OpenAI(米国)、Oracle社(米国)等が今後4年間で米国のAI開発事業に最大5,000億米ドルを投資すると発表し、AI・半導体関連銘柄が上昇をけん引したことなどにより、株式市場は堅調に推移しました。
 一方、月の終盤にかけては、中国のAI開発企業DeepSeekが、米国製競合モデルを上回る性能を持った大規模言語モデルを低コストで開発したと公表したことで、米半導体企業の独占的地位が揺らぐとの警戒感から日米のAI・半導体関連銘柄が大幅に下落し、株式市場全体を下押しする局面がありました。しかし、月末にかけては揺り戻しの動きが見られ、前月末と概ね同水準で当月の取引を終えました。
 当月もしばらく続くレンジ内での推移に終始した格好となりました。また、月中に日銀は政策金利の0.25%の引き上げを実施いたしましたが、事前の日銀総裁および副総裁の発言や、利上げ観測報道で市場への織り込みが進んでいたことから、影響は限定的なものとなりました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐0.39%の下落となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.14%の上昇を0.53%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、マックス、山陰合同銀行、横浜ゴムなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、パイロットコーポレーション、ホシザキ、ワコムなどでした。

 当月は、当ファンドの投資先である「マックス」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 ホッチキス等のオフィス機器および建築工具等の産業機器メーカーであるマックスは、1942年に群馬県高崎市で航空機部品メーカーとして設立しました。航空機部品の製造で培われたプレス技術を活かし、戦後、国産初となるホッチキスの量産を実現しています。1985年には複写機に内蔵される電動ホッチキス「オートステープラ」を発売しました。オートステープラは、圧倒的な品質・精度の高さから、世界中の複写機メーカーに採用されております。
 同社はまた、国産初の手動式釘打機を発売して以来、建築工具の製品を拡充してきました。2017年には充電式鉄筋結束機「ツインタイア」を発売しました。鉄筋結束機は、コンクリート建造物の鉄筋をワイヤで結束する工具で、従来作業員が行っていた手作業での鉄筋結束を機械化することで、作業時間および作業者負担を低減するツールです。同社はツインタイア発売以降も結束時間の短縮や結束強度改善を目指した研究開発を継続しており、2023年12月に発売した新モデルの製品は結束スピードが1.4倍になっており、ワイヤ交換を補助する機能等が追加されています。効率性の増した新モデル発売をきっかけに同社のツインタイアシリーズが広くグローバルに周知されることで、人手不足ならびに労務費高騰といった社会課題を省人化により解決することに期待をしています。
 マックスは、現場主義により顧客ニーズに応えることで新たな市場を産み出し、複数の分野でグローバルにオンリーワンのポジションを確立してきました。高い技術力に裏付けられた同社の独創性と潜在成長力が株式市場からも徐々に評価されてきたと当ファンドでは見ております。
 一方で、同社の課題として改善余地のある資本収益性と複数の安定株主が同社株式を保有することによる低い流動性が挙げられます。
 同社の総資産は2024年9月末時点で半分近くを金融資産が占めており、株主構成においても安定株主が2割強を占めております。当ファンドでは、資本収益性改善のための施策として配当性向の引き上げや、安定株主からの株式売却と一部を自社株買いで吸収することの2点を資本効率と流動性を改善する一策として有効であると従前より伝えてまいりました。対話の甲斐あってか、2023年3月期より、配当性向目標の50%へのひき上げに至りました。加えて、2024年11月に同社は株式の売り出し及び自己株式の取得を発表しました。しかしながら、それでも金融資産及び流動性は適正水準とは言えず、まだ改善の余地があると考えております。当ファンドでは、引き続きバランスシートの見直しやそれに伴うROE(株主資本利益率)の改善に向けた対話を継続していく方針です。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE⽔準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多⾯的に⾒ることで抽出精度を⾼めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に資する関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると⾒込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中⻑期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多⾯的に対話を⾏います。⽇本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の⼀部に合理性を⽋くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として⾒解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを⽬指してまいります。

2024年12月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年12月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比4.02%の上昇、日経平均株価は同4.41%の上昇となりました。年間では両指数とも2年連続で上昇し、年末終値としては日経平均株価が最高値を更新しました。
 月前半には、厚生労働省が年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を通じて運用する資産の利回り目標を引き上げる方針を明らかにしたことで、日本株式の資産配分比率が高まるとの思惑が高まったことや、好調なハイテク株に支えられた堅調な米国株式市場、さらには米国の利下げ鈍化懸念からの円安進行等が日本株式市場の上昇につながりました。
 月後半には、18日に米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)において予想通り政策金利の引き下げを決定し、2025年については2回の利下げに留まることを示唆しました。これを受けて米国長期債利回りは上昇し、米国株式市場は調整に転じ、その影響で日本株式市場も軟調に推移しました。しかしながら19日には日銀は金融政策決定会合にて金利を据え置くことを決定し、その後の記者会見で植田日銀総裁がハト派的な発言を行ったことで為替市場では円安ドル高が進みました。その後は好調な米国の半導体株及びさらなる円安に支えられ、日本株式市場は再び上昇に転じ、27日には日経平均株価は4万円の大台を回復しました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐1.25%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同4.02%の上昇を2.77%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、横浜ゴム、ホシザキ、山陰合同銀行などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、SHOEI、京成電鉄、ベースなどでした。

 当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。
 日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。
 当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。
 当レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます。

 当月は、当ファンドの投資先である「SHOEI」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 SHOEIは、バイク用の高級ヘルメットを製造・販売している企業です。同社は1959年に設立され、その卓越した製品デザインや機能性、品質の高さからグローバルに多くのファンを抱えています。販売網は日本、欧米、中国など世界60か国以上を網羅し、ほとんど全ての国でシェアNo.1を獲得し、世界のプレミアムヘルメット(高い安全性・機能性・デザイン性を兼ね揃えたヘルメット)市場で約60%のトップシェアを誇ります。
 同社は設計、開発、製造を一貫して日本国内で展開しており、製造プロセスの多くは自動化されていますが、機械では代替できない非常に精巧な作業は現在でも人の手で行われています。そして同社は「カイゼン企業」を標榜しており、生産効率の向上を常に推進しています。同社の競争力の源泉はまさにこの「現場力」にあると当ファンドでは考えています。長年にわたって蓄積されたノウハウと人材を育成する企業風土が、今後もSHOEIブランドへの信頼性を高めていくことを期待しています。
 こうした高いブランド力と商品開発力を武器にグローバルに販売数量を伸ばしながら、デザイン性・機能性に優れた新製品の投入を戦略的に行うことで、価格を引き上げることに成功しています。価格が上がったとしても、SHOEIのヘルメットを欲しいと考える消費者が増えていることに他なりません。このブランド価値とカイゼン文化を背景として、2024年9月期の営業利益率は28.9%と非常に高い収益性を誇っています。
 一方で、市場環境は全般的に芳しくなく、販売数量は中国が緩やかに持ち直すも、その他地域で減少する見込みであり、平均単価についてもモデルの端境期で減少が見込まれることから、同社公表の2025年9月期では減収減益予想となっております。しかし、同社も手をこまねている訳ではなく、海外現地での需要動向調査・マーケティングの拡充など、積極的かつ着実に対応を進めています。また、同社の業績予想はボトムアップでの積み上げにより策定されており、過年度の予実に鑑みても、保守的な見立てとなる傾向にあると考えています。当ファンドでは同社の中長期的な事業成長に対する見方に変更はありませんが、個別面談を通じて注意深くフォローアップしてまいります。
 また、当ファンドは、同社の資本政策に改善の余地があると考えています。同社は直近数年の大幅な事業成長により多くのキャッシュを稼ぎ、2024年9月末時点で総資産の約4割を現預金が占める状況となっています。同社は配当性向50%を基本とした株主還元を行っていますが、ROE(株主資本利益率)の分母である資本の蓄積スピードが早く、ROEには下押し要因となっています。直近2期の数字を見ても、最終利益が増益するなかで、ROEは28.3%から26.1%に下がっています。設備や人への投資を実施した後の余剰資金を今後どのように活用していくか、同社からは明確な発信がありません。この点について当ファンドは経営陣との個別面談を通じて対話を継続しています。経営陣は長期的な事業継続のために財務健全性を確保したいと主張していますが、保守的すぎる財務運営によって株主の利益であるROEが低下していく懸念を当ファンドは伝えています。対話の中では、同社から「自己資本比率が高ければいいわけではない」などの資本収益性に対する発言の変化が見られましたが、具体的なアクションには落とし込まれていません。同社の資本政策に対する株式市場の目は厳しくなっていると考えられます。当ファンドは長期のパートナー株主として、引き続き同社の企業価値向上に向けた対話を粘り強く続けてまいります。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE⽔準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多⾯的に⾒ることで抽出精度を⾼めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に資する関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると⾒込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中⻑期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多⾯的に対話を⾏います。⽇本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の⼀部に合理性を⽋くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として⾒解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを⽬指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2024年11月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年11月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.51%の下落、日経平均株価は同2.23%の下落となりました。
 月前半は一進一退の展開となりました。5日に実施された米大統領選挙で共和党のトランプ前大統領が優勢と伝わったことから日経平均株価は大幅に上昇し、7日には40,000円に迫る場面もありました。しかしその後、トランプ次期米大統領が政権人事で対中強硬派の人物を起用する方針が報じられ、次期政権が掲げる関税強化策への警戒感が強まったことで半導体関連株に売り圧力がかかり、株式市場は下落に転じました。一方、14日には米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が「利下げを急ぐ必要はない」旨の発言をしたことで円安が進行し輸出関連株が買われ、半導体関連株の反発もあって株式市場の連日の下落が一服しました。
 月後半は狭いレンジで推移し、米国の金融政策の先行き不透明感や米国半導体株の動向に一喜一憂する動きが続きました。また、トランプ次期米大統領が中国、メキシコ、カナダに対する関税措置を発表したことを受け、相場は軟調な動きが続き、前月末比で下落して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐0.32%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.51%の下落を0.83%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、ホシザキ、京成電鉄、SHOEIなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、ルネサスエレクトロニクス、EIZO、横浜ゴムなどでした。

 当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。
 日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。
 当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。
 当レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます。

 当月は、当ファンドの投資先である「EIZO」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 EIZOは1967年に石川県七尾市で七尾電機㈱として設立されたコンピューター用の高機能モニターメーカーです。当ファンドは、同社の一貫した自社開発・自社生産による徹底した品質への拘りと、クラフトマンシップに支えられた医療・映像制作・航空管制・船舶・鉄道などの特定用途における高いシェアを評価し、投資を行いました。内視鏡検査や放射線検査といった非侵襲医療の浸透に伴って重要度が増す、同社の主力製品の一つである医療用モニター、さらには国際情勢の先行きの不透明さが増す中での防衛用モニターの成長に注目しています。
 一方で、EIZOは手元現預金や投資有価証券などの金融資産を約770億円保有しており、総資産の約48%を占めています。(2024年9月末時点)。このような余剰な非事業用資産を抱えていることが重石となり、過去最高益を記録した2022年3月期においても、同社のROE(株主資本利益率)は6.7%にとどまっています。当ファンドは、同社はバランスシートマネジメントによる資本収益性に改善余地があると考え、2022年初頭からROE向上に関して、経営陣と対話を続けてきました。
 その後、同社は2022年5月に自社株買い(40億円)および、買収防衛策の廃止を発表するなど、資本市場への向き合い方に少しずつ変化が見られておりました。より明確な変化として、2023年3月期決算説明会の場にて、ROE8%以上を資本収益性の目標として、総還元性向の目標水準を70%に設定し、株主還元を強化する方針を掲げました。2025年3月期は、欧州でのオフィス向けモニターや、中国での医療用モニターの需要減速に苦しみ、通期業績予想を下方修正しておりますが、総還元性向70%+αを維持する方針を、当ファンドは高く評価しています。
 当ファンドはパートナー株主として、同社の中長期的な成長を実現する上で、対処が求められる様々な経営課題について経営陣との対話を続け、同社の本源的な企業価値の向上を積極的に後押ししていく方針です。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)⽔準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多⾯的に⾒ることで抽出精度を⾼めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に資する関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると⾒込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中⻑期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多⾯的に対話を⾏います。⽇本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の⼀部に合理性を⽋くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として⾒解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを⽬指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2024年10月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年10月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.88%の上昇、日経平均株価は同3.06%の上昇となりました。
 月前半は、全米企業エコノミスト協会の年次総会に登壇したパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が今後の利下げについて「急ぐ必要はない」と強調したことや、米国雇用統計が市場予想を大幅に上回ったこと等から利下げ観測が後退したこと、石破茂首相から日銀の早期の追加利上げに否定的な見解が示されたこと等からドル高円安が進行しました。また、中東情勢の悪化により株価が一時的に下落する局面もありましたが、前述のように円安の進行や米国経済の底堅さ、石破政権が岸田前政権の経済政策を継承するとの方針が確認されたこと等から株式市場は上昇いたしました。
 月半ばから後半にかけては、オランダの半導体製造装置大手ASML Holding社の決算発表で2025年12月期の業績見通しが引き下げられたことで半導体関連株に売りが広がったことや、日米長期金利の上昇基調の継続が意識されたこと、27日投開票の衆議院選挙で与党自民・公明両党が過半数議席の確保が微妙な状況と報じられたこと等から株式市場は軟調な推移となりました。
 衆議院選挙では連立与党が2009年以来15年ぶりに過半数を割り込む結果となり、今後の政権の枠組みは少数与党が政策や法案ごとに野党に協力を求める「パーシャル(部分)連合」になるのではないかという見方が強まりました。財政拡張的な政策を掲げる野党との協力により景気刺激的な政策が実行される可能性が意識されたことや、リスクイベント通過に伴う先物の買戻し等から株式市場は衆議院選挙を境に一転し、前月末比で上昇して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐2.38%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同1.88%の上昇を0.50%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、コニカミノルタ、パイロットコーポレーション、SHOEIなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、京成電鉄、全国保証、横浜ゴムなどでした。

 当ファンドでは、企業経営者が誠実であり、高い競争優位性を有する企業の中から、更なる成長余地のある潜在価値の高い企業に長期集中投資を行い、企業との対話を通じて価値の顕在化を図ることを基本戦略とします。
 日本には、高い技術力・開発力を持ち、ニッチ市場でグローバルに高いシェアやブランド力を持つ企業が多く存在します。そうした企業の中には、基礎的な収益力が高く、中長期的な成長余地が大きいにも関わらず、「玉に瑕(きず)」があるために株式市場で実態価値を正当に評価されていない企業があります。
 当ファンドでは、そのような企業の長期的なパートナー株主※として、良好な関係を築きながら粘り強く対話を行っています。企業の事業戦略や資本配分、IR体制などの改善を促すことで、企業の実態価値の顕在化に努め、株価上昇のカタリスト(きっかけ)の一つとなることを目指します。
 当レポートでは、投資先企業に対する投資見解や対話の進捗などをご報告させていただきます。

 当月は、当ファンドの投資先である「ルネサスエレクトロニクス」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 ルネサスエレクトロニクスは、半導体を製造・販売する企業です。同社は、㈱日立製作所・三菱電機㈱の半導体事業とNECエレクトロニクス㈱の統合により、2010年に設立されました。世界トップシェアを有するマイコンを基軸に、2017年以降は海外の半導体デバイスメーカーを買収することにより、成長市場であるデータセンターやスマートデバイス向けの製品・顧客ラインナップを拡大してきました。2024年8月には、米国の電子機器設計ソフトウェア企業であるAltium社を約8,879億円で買収し、ハードウェアだけでなくソフトウェア製品まで手掛けるユニークな半導体メーカーへと進化を遂げました。
 コロナ禍から経済活動が正常化し、財の需要が回復する過程において、世界的な半導体不足も追い風になり、同社は2022年12月期には過去最高の売上高を記録しました。2023年12月期も、自動車向け事業は顧客である完成車メーカーの生産台数増を背景に成長を継続しました。一方、産業・インフラ・IoT向け事業は中国の景気鈍化を受けて、2023年から大きく調整が始まりました。しかしながら同社は、厳しい局面にあっても、顧客へのヒアリングによる需要動向の精査や販売チャネルの在庫情報を生産稼働計画に反映させることで、営業利益率を高水準で維持し、エグゼキューション能力の向上を示しました。
 成長軌道への回帰が待ち望まれていた2024年12月期 第2四半期決算説明会では、楽観視しすぎていた産業用とマスマーケット向けの需要見通しを引き下げたとの言及を受け、決算発表当日に株価は急落しました。
当月末に発表された2024年12月期 第3四半期決算では事前のガイダンス通り、低位な需要環境が継続している事が鮮明となりましたが、「需要が落ちる中でブレーキを十分に踏めなかった」と自らの経営判断の誤りを素直に認める柴田英利CEOのリーダーシップを当ファンドは高く評価しております。事実、同社は逆境を乗り切るべく、より慎重な在庫コントロールや営業費用のスリム化、生産ライン立ち上げ時期の調整等、大胆な戦略の見直しを図る予定です。このような機動力と決断力は、変動の激しい半導体業界において不可欠な姿勢だと考えております。
 半導体業界の需要下降局面に晒されたことにより、2024年12月期は2年連続での減収となる見通しを発表しています。一方、同社は外部要因を跳ね返して、成長し続けるための仕込みを進めております。例えば、既に業界でのリーディングポジションを誇る車載半導体について、先進運転支援システムや電気自動車等の伸長領域での新製品を強化し、成長を加速するという目標を掲げています。特に、自動車の機能をソフトウェアで定義し、アップデート可能な次世代自動車であるSDV(Software Defined Vehicle)や自動運転の早期実現を支援すべく、独自の開発プラットフォームを新たに発表しております。
 当ファンドでは、同社の中でサイクルに左右されにくい、成長領域の売上構成が着実に高まりつつある点に注目しています。現在のように短期業績の不透明感が悲観視されやすい状況にこそ、買収したAltium社との連携も含めて、同社固有の力強い戦略ビジョンを株式市場に対して示すべきタイミングだと考えております。当ファンドはパートナー株主として、引き続き同社の企業価値向上に向けた対話を粘り強く続けてまいります。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)⽔準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多⾯的に⾒ることで抽出精度を⾼めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に資する関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると⾒込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中⻑期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多⾯的に対話を⾏います。⽇本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の⼀部に合理性を⽋くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として⾒解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを⽬指してまいります。

※当ファンドは企業オーナーとして短期業績や株価変動に惑わされない⻑期保有を前提としています。投資先企業と共に企業価値向上を⽬指すとの考えから、短期的に株式を売買する投資家と区別する為、「パートナー株主」との文言を使⽤しています。

2024年9月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年9月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.53%の下落、日経平均株価は同1.88%の下落となりました。
 月前半は米国のISM製造業景況感指数や雇用統計が予想を下回ったことで、米国経済の減速懸念が高まり市場心理に影響を与えました。さらに米連邦公開市場委員会(FOMC)による利下げ期待と日銀の利上げ期待の高まりにより、月半ばにかけて円高が進行しました。このような状況の中、株式市場は一時的に下落した後、反発が見られたものの上値は重く、投資家は慎重な姿勢を維持しました。
 月後半はFOMCが0.5%の利下げを決定した後、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が緩和を急がない姿勢を示したことや、日銀が金融政策を現状維持したことから円高が一服し、輸出関連株や半導体関連株の買い戻しが進みました。また、自民党総裁選挙で高市早苗氏が当選し、金融緩和が再開されるとの見通しが高まったことで日経平均株価は26日から27日にかけて大きく上昇しました。しかし、最終的には石破茂氏が勝利し、経済政策への警戒感が高まったことなどから30日の日本株式市場は全面安の展開となり、前月末比で下落して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐0.89%の下落となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同1.53%の下落を0.64%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、三菱重工業、MARUWA、ホシザキなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、ルネサスエレクトロニクス、全国保証、京成電鉄などでした。

 当月は、当ファンドの投資先である「京成電鉄」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 京成電鉄は、東京都東部・千葉県を中心に営業路線を有する私鉄です。中でも京成上野駅と成田空港駅間を結ぶ京成本線、成田スカイアクセス線が収益の柱となっています。また、東京ディズニーリゾートの運営会社である㈱オリエンタルランドの創業時からの株主であり、現在もオリエンタルランドの21.15%を有する筆頭株主でもあります。
 当ファンドでは、訪日旅行者の拡大に伴う空港輸送需要の増加と、同社が保有するオリエンタルランドの株式価値が適正に評価される可能性に注目し、投資しています。
 同社は短期的には訪日旅行者の回復による業績改善が期待できるとともに、日本が観光立国を目指す中で中長期的な業績拡大が期待できると考えます。日本政府は現在、2030年に年間6,000万人の訪日旅行者を目指すビジョンを掲げています。その過程で、成田空港では現在3本目のC滑走路を新設するとともにB滑走路を延伸する計画が進んでおり、将来的な空港利用客は大幅に増加すると考えられます。同社は成田空港機能強化に伴う中長期的な輸送需要増への対応として、組織体制を強化しており、長期にわたって同社収益にプラスが続くと当ファンドでは期待しています。
 更に当ファンドでは、同社が保有するオリエンタルランドの株式価値が今後適正に評価される可能性にも注目しています。同社はオリエンタルランドが運営する東京ディズニーリゾートの創業に携わった会社の一つとして知られています。長年保有しているオリエンタルランドの株式を時価評価すれば実質的なPBR(株価純資産倍率)は1倍を下回る状況であり、株価は同社の企業価値に対して割安と考えます。一方同社が保有するオリエンタルランドの株式は、有効活用される可能性が低い、言わば「開かない貯金箱」であり、株式市場から適切に評価されていない可能性があります。当ファンドでは、今後の成長戦略について議論を進める中で、保有するオリエンタルランドの株式の価値が顕在化されるよう、対話を進めてまいりました。
 2023年10月、同社に対し英ファンドから、オリエンタルランド株が時価評価されるべく、当時の保有比率22.15%から、持分法が適用外となる15%未満になるまで売却することを主旨とする提案が公表されました。この提案に対し、同社としては、保有の1%分を売却し、成長投資、株主還元に活用するにとどまっております。さらに、2024年4月には同ファンドから同様の内容の株主提案が再提出されました。同社は持分法適応対象以上の保有比率を維持する方針を示し、同提案は6月の株主総会で否決されております。
 一方で、同社マネジメント層と当ファンドとの対話では、中長期の成長投資に資金調達が必要になれば、オリエンタルランド株の売却も検討すると考えていることを確認いたしました。当ファンドとしては同社の大きな長期成長ビジョンを描くべく、ひいては同社の資産を含めた価値が顕在化されるべく、引き続き対話を継続していく方針です。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)⽔準や安定性などの財務指標や、PBR、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多⾯的に⾒ることで抽出精度を⾼めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に資する関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると⾒込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中⻑期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多⾯的に対話を⾏います。⽇本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の⼀部に合理性を⽋くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として⾒解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを⽬指してまいります。

2024年8月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年8月、日本株式市場の代表指標であるTOPIX(配当込み)は前月末比2.90%下落し、日経平均株価は前月末比1.16%下落しました。
 当月の日本株式市場は歴史的な乱高下を演じ、日経平均株価の月間値幅(高値と安値の差、終値ベース)がバブル経済崩壊時期を超えて過去最大となりました。
 7月31日の日銀金融政策決定会合での追加利上げが円高を呼び、さらに市場予想を下回った7月の米ISM製造業景気指数で米国景気減速懸念が台頭し円高が一層進行したことで、月前半の日本株式市場はリスク回避の流れが強まり暴落しました。5日には米国経済や雇用の減速への警戒などから円高が大幅に進み、午後には日経平均先物でサーキットブレーカーが13年ぶりに1日に2回発動され、日経平均株価は前日比4,451円の下落と過去最大の値下がりを記録しました。しかしながら翌6日には為替市場がいったん落ち着いたことで日本株式市場も落ち着きを取り戻し、TOPIXおよび日経平均株価は史上最大の上げ幅となりました。加えて、翌7日の内田日銀副総裁のハト派発言も投資家の安心感につながり、月半ばにかけて日本株式市場は急反発しました。
 月後半は米国経済への先行きに対する警戒感がひとまず和らぎ、日本株式市場は緩やかなペースで回復し、月前半の急落分の大半を取り戻して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐2.21%の下落となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同2.90%の下落を0.69%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、SHOEI、三菱重工業、京成電鉄などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、マックス、EIZO、三井住友フィナンシャルグループなどでした。

 当月は、当ファンドの投資先である「横浜ゴム」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 横浜ゴムは1917年に横浜で創業したタイヤメーカーです。横濱電線製造(現古河電気工業㈱)と米国のBFグッドリッチ社の合弁会社として設立され、戦前のコードタイヤ開発に始まり、戦後にはスノータイヤやスポーツラジアルタイヤなど数々の日本初となる画期的な製品を発売し、グローバルに成長を続けてきました。
 乗用車向けのタイヤ消費財市場では2010年以降、低コスト・低価格を武器とした新興国のタイヤメーカーが生産能力を拡大しており、競争は年々激しくなっています。特に、中国タイヤメーカーの拡大は著しく、上位10社の増産投資計画を合算すると、10年以内に中国メーカーの生産比率は全世界の乗用車タイヤの50%を占めることが予想されています。このようにタイヤメーカーを取り巻く急速な環境変化に対して、同社を含むメジャータイヤメーカーはブランド力や技術投資を強化し、本数成長以上に価格の引き上げを優先するプレミアムカー戦略で対抗してきました。
 当ファンドが注目しているのは、厳しい環境下でも徹底的に成長を追求する同社の経営姿勢です。消費財ブランドの“深化”と並行して“探索”と銘打ち、農機・建機などいわゆる「はたらくくるま」に搭載されるタイヤ生産財の強化に向けたM&Aを継続しています。2016年のオランダの農機・建機用タイヤメーカーAlliance Tire Group社(ATG)買収を皮切りに、2023年には農機・産業車両タイヤのトップブランドを有するスウェーデンのTrelleborg Wheel Systems Holding社(TWS)を買収することで、農機向けタイヤでは世界トップメーカーに昇り詰めました。農機や建機は舗装されていない道で稼働しており、これらの機械に搭載されるタイヤは「Off-Highway Tire(OHT)」と呼ばれます。OHTは消費財と比較して高い市場成長性が期待され、多品種少量生産かつ製造の複雑さを背景に高い参入障壁を誇ります。
 2024年7月には、新たに米国のタイヤメーカーであるThe Goodyear Tire & Rubber社から鉱山・建機向けタイヤ事業を買収する契約の締結を発表し、OHT業界での市場シェアをより一層盤石なものとする戦略を強化している点も高く評価しています。
 一方で、乗用車タイヤ主要市場での販売減速が観測される中、メキシコと中国で立て続けに大規模な成長投資の計画を発表した同社の株価は7月以降下落基調にあり、PBR(株価純資産倍率)は一時0.5倍程度の水準となりました。当月前半に開示された2024年度第2四半期決算では、株式市場でのタイヤ市場減速懸念をよそに、通期計画の上方修正を発表する好調な業績を示しました。同時に、現行の中期経営計画最終年度である2026年度の事業利益目標も上方修正しており、力強いメッセージを受け、株価指標は回復に転じています。
 当ファンドでは、中期経営計画の中の柱の一つである、抜本的な製造コストダウンを目指す「1年工場」というコンセプトに注目しています。成長投資による規模の拡大だけでなく、投資リターンの刈取り時期や蓋然性といった“質”を並行して高めるべく、ものづくりのあり方を根本から見直すという挑戦的な取り組みとして大いに期待しています。同社はタイヤ業界随一の成長志向企業であり、戦略的投資へのキャピタルアロケーションを重視していることから、同業他社と比較して、株主還元の比重は決して高くありません。裏を返せば、競争が激化する市場の中で、それだけ有望な投資案件を豊富に抱えている稀な企業であるとも言えます。当ファンドは、従前から対話を通じ、同社の経営陣の資本収益性に対する強いコミットメントを確認しており、成長戦略の追及こそが企業価値向上への最短ルートであると強く共感しています。
 同社のPBRは現在も1倍を下回る状態が続いており、市場からは株主資本コストを上回るROE(株主資本利益率)を持続的に達成することが難しいとの評価を受けていることが推察されます。厳しいタイヤ市場の中でも際立った成果を実現すべく、投資リターンの刈取りを着実に積み重ねようとする同社の経営姿勢は、山石CEO就任の2017年以降の実績からして、信頼できるものだと考えています。当ファンドはパートナー株主として、同社の持続可能な成長力についての市場からの理解浸透、具体的には期待ROEとPER(株価収益率)の向上をサポートするため、腰を据えて対話を続けていきたいと思います。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE⽔準や安定性などの財務指標や、PBR、PER、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多⾯的に⾒ることで抽出精度を⾼めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に資する関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると⾒込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中⻑期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多⾯的に対話を⾏います。⽇本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の⼀部に合理性を⽋くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として⾒解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを⽬指してまいります。

2024年7月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年7月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.54%下落し、日経平均株価は前月末比1.22%下落しました。
 当月の日本株式市場はボラティリティの大きい相場展開となりました。月前半は、前月からの好調な流れを引き継ぎ堅調に推移しました。米国の雇用統計で労働需給の逼迫が緩和される兆しが見られ、FRB(米連邦準備制度理事会)の年内利下げ観測が高まったことで、長期金利が低下し、米国のハイテク株が上昇しました。日本でも半導体関連銘柄が相場を支え、日経平均株価は連日で史上最高値を更新し、11日には4万2,000円台に到達しました。しかしながら米国消費者物価指数が想定以上に軟化し、米国ハイテク株に利益確定売りが入ったことやドル円が円高方向に振れたことなどから、日本株式市場は下落に転じました。そして月後半に入ると下げが一層加速しました。トランプ氏が大統領選で優勢と伝わると、米中対立の深刻化やドル高是正などの自国優位政策が懸念され、半導体関連株に売りが膨らみ、日本株にも影響が及びました。さらに日銀の追加利上げやFRBの利下げ観測から「円キャリー取引」の巻き戻しが発生し、ドル円は一時151円台を付け、日本株式市場も幅広く売りが広がり、日経平均株価は3万8,000円を割り込む水準まで大幅に下落しました。
 31日に日銀は金融政策決定会合で政策金利を0.25%程度に引き上げることを決定し、国債買い入れの減額計画も明らかにしました。また、米国政府が対中国の半導体輸出規制で日本などを除外すると報じられると、半導体関連株が反発し日本株式市場は下げ幅を縮小して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐0.11%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.54%の下落を0.65%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、森永製菓、三菱重工業、全国保証などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、ルネサスエレクトロニクス、京成電鉄、ホシザキなどでした。

 当月は、当ファンドの投資先である「全国保証」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 全国保証は、国内唯一の独立系住宅ローン保証会社です。住宅ローン保証事業とは、住宅ローンの借入人から保証料等をもらう代わりに、連帯保証人となる事業を言います。住宅ローンの借入人が返済を出来なくなった場合、保証会社である同社が金融機関に住宅ローンを弁済し、金融機関に代わって借入人から住宅ローンを回収する、もしくは住宅ローンの担保物件(住宅・土地等)を売却して弁済資金を回収する事業モデルです。住宅ローン保証は金融機関の子会社保証会社が提供するのが一般的ですが、同社は金融機関に属さない国内唯一の独立系企業であり、全国のどの金融機関の住宅ローン保証でも引き受けが可能です。また、40年以上のローン審査のデータの蓄積から、延滞リスクの低い顧客に保証を行うため、代位弁済に関わるコストは限定的であり、営業利益率が約8割に上る非常に収益性の高いビジネスとなっています。
 同社は1981年に厚生年金転貸住宅融資の保証業務を担う目的で設立されましたが、業容転換のために1997年から民間金融機関向け住宅ローンの保証業務に参入します。当時、大手金融機関は子会社の保証会社を使っていたため、全国保証は、信金・信組など、中堅・中小金融機関への保証業務に注力し成長してきました。中堅・中小金融機関への保証業務の提供を通じて、同社は与信能力や審査時間の短縮化などサービス品質を磨き上げてきました。今日では、同社はその強みを活かし、メガバンクを含む多数の金融機関に住宅ローン保証を提供しています。
 同社の保証残高は1998年の1兆円から2024年3月末には17.6兆円まで増加しています。特にリーマンショック以降大きく増大し、民間住宅ローン残高に占める同社シェアも2024年3月末で8.9%まで上昇してきました。その背景には、同社のサービス品質の高さに加えて、銀行に対するリスク規制強化に伴い、住宅ローン保証リスクを銀行グループから隔離したいニーズの高まりがあります。
 当ファンドでは、同社の業績拡大が持続すると考えています。上記理由から、銀行子会社によるローン保証から、独立系の同社へのシフトが続くことが想定されます。同社は現在、金融機関に対し、保証子会社の買収など、多様なスキームによる保証債務の引き受けを提案しており、今後も継続的に残高シェアを上げていくことができると思われます。
 また、同社の株価は、企業の実態価値を反映できていないと思われます。課題は主に2点あり、①事業の安全性に対する理解を株式市場から十分に得られていないこと、②成長投資や株主還元といった資本政策に大きな改善余地があること、であると当ファンドでは考えています。これらの課題について当ファンドはこれまで青木社長と何度も面談を実施し、議論を重ねてきました。2023年3月に発表された新中期経営計画では、「住宅ローンプラットフォーマー」としてリスクを抑えながら更なる事業成長が可能なことや、成長投資・株主還元などに余剰資本を積極活用していく方針が示されました。2024年3月期の通期決算説明では、配当性向の引き上げに加え、同社初となる自社株買いの発表をし、株主還元への積極的な姿勢も見られました。
 当ファンドでは引き続き、同社の企業価値が株式市場で顕在化する一助となれるよう、経営陣との対話を継続していく方針です。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)⽔準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多⾯的に⾒ることで抽出精度を⾼めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に資する関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると⾒込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中⻑期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多⾯的に対話を⾏います。⽇本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の⼀部に合理性を⽋くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として⾒解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを⽬指してまいります。

2024年6月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年6月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.45%上昇し、日経平均株価も前月末比2.85%上昇しました。
 当月の日本株式市場は、日米の金融政策の動向に注目が集まるなかレンジ内でもみ合いの推移となった後、円安の進行とともに月末にかけて上昇しました。月前半は、米国金融政策の動向を巡り米国マクロ経済指標に注目が集まるなか、雇用・物価関連指標等の結果を受けインフレ鈍化の見方が支持され、目先のFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測の高まりから米国長期金利が大幅に低下し、米国株式市場は半導体・ハイテク株中心に上昇しました。この流れを受けて、日本株式市場も上昇しました。月半ばには、日銀金融政策決定会合で、日銀が国債買い入れ減額の方針を固めたものの、具体策については公表が見送られ、円安の進行とともに日本株式市場は上昇しました。その後は、会合後の記者会見にて日銀総裁より買い入れ減額規模について「相応の規模になる」との発言があったことや、7月の会合で利上げを行う可能性も否定しない主旨の発言があったこと、また、フランス政治不安が改めて意識され下落した欧州市場の影響などいくつかの材料が出るなか、日本株式市場は下落する場面がありましたが、月後半にかけて株価は持ち直しました。月後半は、ドル円レートが一時161円台まで下落し、1986年12月以来およそ37年ぶりの安値を更新しました。円安が支えとなったほか、日本長期金利の上昇を受けた銀行株などの上昇も相場をけん引し、月末にかけては配当金の再投資の観測もあるなかで日本株式市場は前月末対比で上昇し、当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐1.85%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同1.45%の上昇を0.40%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、三菱重工業、MARUWA、全国保証などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、横浜ゴム、京成電鉄、ホシザキなどでした。

 当月は、当ファンドの投資先である「森永製菓」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 森永製菓は1899年創業の大手菓子メーカーです。米国で菓子製造技術を学んだ創業者森永太一郎氏が、「日本の人々にもおいしく栄養価の高い西洋菓子を食べてもらいたい」という想いをもって日本の菓子産業の礎を築いたのが同社の始まりです。今では菓子だけでなく、アイス、「inゼリー」に代表されるゼリー飲料、通販など、製品・事業の幅を広げ、日本だけでなく海外に積極的に展開しています。
 当ファンドが注目しているのは、MORINAGAブランドの海外での成長です。特に米国では「HI-CHEW(ハイチュウ)」の売上が著しい成長をみせています。メジャーリーガーの間でHI-CHEWブームが起こったことをきっかけに、ソフトな食感とフルーツのおいしさを合わせた商品特性が評判となり、米国小売大手ウォールマート等も取り扱うようになりました。2024年3月期の米国売上高はHI-CHEW以外の商品も含め191億円に達し、足元も順調に成長が続いています。先日発表された新中期経営計画の中で、HI-CHEWの更なる拡大とともに米国版inゼリーである「Chargel(チャージェル)」の導入促進が打ち出されました。そして2030年に向けては、米国だけでなく欧州・アジア等にも事業拡大し、海外売上高750億円を目標とする計画も同時に発表されています。同社は、生産体制の拡充など積極的な海外投資を行う姿勢を示しており、当ファンドは引き続き海外での事業成長を期待しています。
 一方で、本業ともいえる国内菓子事業は、低い収益性が課題となっています。原材料価格高騰の影響を価格改定・コスト改善で跳ね返そうと努力しているものの、2024年3月期の営業利益率は5.1%に留まりました。当ファンドでは、この国内菓子事業の在り方について同社と何度も議論してきました。議論の中で同社の太田社長は、「総合菓子屋」としての看板を下ろすことなく、老朽化した製造ラインの廃止を通じた商品の選択と集中により、事業の生産性向上に努める意思を示していました。実際に新中期経営計画では、商品価値強化を図りつつも「段階的なアセットライト」を進め、同社の基盤事業として持続的成長および投下資本利益率(ROIC)向上を目指すことが謳われました。当ファンドでは、対話の成果が徐々に顕在化し始めていると評価しています。売上高の大きい国内菓子事業の収益性改善は同社の企業価値向上に不可欠となるため、構造改革の進捗を見守りながら今後も対話を続けてまいります。
 最後に、同社が合理的な資本政策の実行に舵を切り始めていることにも当ファンドは注目しております。当ファンドでは従来から、ROE(株主資本利益率)の改善についても同社と議論を重ねてきました。同社はROE目標を、2026年に12%以上、2030年に15%以上と明示しましたが、事業成長と収益性改善を追求しながら資本を適切な水準に保ち続ける必要があります。先日開催された株主総会の場で、株主還元の強化を太田社長が力を込めて説明していましたが、当ファンドはパートナー株主として、対話を通じて同社のROE改善の取り組みをサポートしてまいります。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE⽔準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多⾯的に⾒ることで抽出精度を⾼めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に資する関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると⾒込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中⻑期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多⾯的に対話を⾏います。⽇本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の⼀部に合理性を⽋くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として⾒解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを⽬指してまいります。

2024年5月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年5月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.16%上昇し、日経平均株価も前月末比で0.21%上昇しました。
 当月の日本株式市場は、月前半は4月の米国雇用者数が市場予想を下回り、米利下げ観測が強まったことから日米株式市場ともに上昇しましたが、日銀の金融政策正常化観測などから上値が抑えられました。月半ばには米消費者物価指数や米小売売上高など予想を下回る指標が発表され、金融引き締めの長期化への懸念が後退しました。その結果、米国の主要3株価指数が史上最高値を更新し、日経平均株価も一時39,000円を回復しました。さらに、NVIDIA社(米国)が市場予想を上回る好決算を発表し、半導体株が軒並み上昇して相場を支えました。月後半は、米景気の底堅さを背景とする利下げ動向への懸念や、日銀総裁の追加金融引き締めを示唆する講演が再び注目されて日米長期金利の上昇により株価が下落しましたが、最終的には金利上昇がひとまず一服したとの見方が買い戻しにつながり、前月末を上回る水準で月を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐1.61%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同1.16%の上昇を0.45%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、ルネサスエレクトロニクス、ワコム、マックスなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、横浜ゴム、ナカニシ、三菱重工業などでした。

 当月は、当ファンドの投資先である「三菱重工業」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 当ファンドは同社が掲げているエネルギーの供給と需要の両面のグリーン転換「エナジートランジション戦略」に注目し、投資を行っています。同社は「リアリティのあるエナジートランジション」を重視し、エネルギーの供給と消費の両面のグリーン転換を成長の柱に掲げています。当月は、2024年度から2026年度までの3か年を対象期間とする同社の2024事業計画(24事計)について、ご説明させていただきます。
 2021年度から2023年度を対象期間とした2021事業計画(21事計)は、新型コロナウイルスの影響に伴う民間航空機需要の急減や、脱化石燃料のトレンドによる新設石炭火力の大幅な縮小という逆風の中、危機対応のために半年前倒しで策定されました。21事計は次期事計期間での飛躍に向けて、収益力の回復・強化に主眼が置かれた内容でした。拠点再編や事業譲渡による固定費抑制や、経済再開による中量産品の需要回復を捉えることで、一過性費用を除くと、2023年度には2020年10月発表の当初計画2,800億円を大きく上回る事業利益を達成しました。また、外部環境が不透明な中でも、水素・アンモニア、CO2回収やデータセンターといった新規領域への成長投資を継続した経営姿勢を当ファンドは高く評価しております。
 24事計のテーマは“事業成長と収益力の更なる強化の両立”であり、成長性の側面がより強調された計画となっております。この3か年で成長を牽引するのは、ガスタービンと原子力のエネルギー関連製品と防衛事業です。ロシアとウクライナの紛争勃発によるエネルギー資源価格の高騰を経験して以降、国家安全保障と気候変動対応の両立のためにも、信頼性が高く、CO2排出量の低いベースロード電源の需要が世界的に高まっています。
 また、最近では電力を大量に使用するデータセンターや半導体工場の新規建設計画が、世界各地で進んでおり、電力需要の見通しは上向き傾向にあることも、ガスタービンや原子力等の安定電源への追い風となっています。世界トップシェアを誇る同社のガスタービンは、高性能・高信頼性・将来的な水素混焼への転換のオプションを武器に更なるシェア拡大が期待されます。既に21事計の最終年度である2023年度には、当該3事業の合計で3兆円を超える受注高が計上されております。
 事業化を推進する成長領域では、発電・インフラ関連と親和性の高いCO2回収や水素・アンモニアバリューチェーンの構築に向けて、大きく先行投資を行います。グループ総合力を活かした事業開発体制の強化のために、2024年4月1日付で組織再編を行い、「GXセグメント」という事業部門を設立しています。また、先述のデータセンター領域においても、蓄電システムやターボ冷凍機などデータセンターの安定運用に必要な製品群をワンストップで供給することで、独自の事業機会の獲得を目指します。
 当ファンドでは、三菱重工業は、今後ますます増える世界のエネルギー需要とネットゼロ目標の両立という「理想」と「現実」のギャップを満たす解決策を提供し、長期にわたって中心的な役割を担う企業であると考えています。しかし、当月前半の2023年度通期決算発表と当月末の事業計画発表の翌日には、株価は両日とも下落しました。成長投資の積極化による費用増や事業ポートフォリオ改革による収益性の底上げについて、具体的な言及がなされなかったことが市場の期待を下回ったものと思われます。一方、当ファンドでは、CO2回収や水素バリューチェーンへの投資は24事計期間以降の持続的な成長のために必須のものと考えており、費用が先行する中でも事業利益率を8%以上の水準に改善させるという経営目標をポジティブに捉えております。成長を担う重点領域以外の事業群については、生産拠点・販売網の最適化による事業構成の最適化との説明があることから、具体的な改善施策の検討が進んでいると当ファンドでは推察しております。
 当ファンドは長期的なパートナー株主として、株式市場から見過ごされている同社の企業価値拡大のドライバーや、事業計画の理解促進を意識したコミュニケーション方法について、根気強く対話を継続していきます。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)⽔準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多⾯的に⾒ることで抽出精度を⾼めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に資する関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると⾒込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中⻑期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多⾯的に対話を⾏います。⽇本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の⼀部に合理性を⽋くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として⾒解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを⽬指してまいります。

2024年4月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年4月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.91%下落し、日経平均株価は前月末比4.86%の大幅下落となりました。
 月前半は利益確定売りや、⽶連邦準備制度理事会(FRB)高官の年内利下げ先送り示唆に伴い米長期金利上昇が懸念され、米国株式市場の下落を招き、日本株式市場は上値を抑えられました。月半ばには米CPI(消費者物価指数)の市場予想を超える上昇や半導体関連企業の大幅下落、また中東情勢の悪化などから日経平均株価は一時37,000円を割り込みました。月後半には中東情勢の落ち着きから買い戻しの動きが見られ、日経平均株価は38,000円台を回復しました。26日まで開かれた日銀金融政策決定会合では緩和的な金融政策の維持が決定され、日本が祝日だった29日にドル円相場は一時160円台へ急伸し約34年ぶりの高値を更新しました。しかしながら、その後一転して154円台まで大きく円高に振れ、市場では政府による為替介入が行われたとの観測が広がりました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐0.12%の下落となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.91%の下落を0.79%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、マックス、パイロットコーポレーション、横浜ゴムなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、SHOEI、ワコム、三菱重工業などでした。

 当月は、当ファンドの投資先である「パイロットコーポレーション」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 パイロットコーポレーションは、日本で高い知名度を持ちますが、世界的にも有名な大手筆記具メーカーです。筆記具メーカーのシェアとしては、Newell Brands社(米国)が世界首位ですが、パイロットコーポレーションは傘下に「PARKER」や「WATERMAN」といった複数のブランドを持っており、単⼀ブランドでは「パイロット」が世界トップクラスのシェアを誇ります。同社は⽇本初の純国産万年筆の製造を⽬指して、1918年に創業しました。その後万年筆の開発に成功すると、1920年代には海外への輸出を開始し、着実に売上を伸ばし続けてきました。その結果、世界190か国以上の国と地域で同社の筆記具が展開され、同社のヒット商品である消えるボールペン「フリクションシリーズ」は日本だけでなく、欧州を中心として海外でも愛用されるなど、現在は海外売上比率が7割を超えています。
 当ファンドは、同社が長年培ってきた技術力とブランド力に加え、各地域に根差したマーケティング力と商品開発力、安定供給を可能にする製造・販売体制といった強みが、今後も同社の収益性と市場シェアを高めていくと考えています。とりわけ新興国では、中長期的には中間層の増加・進学率の上昇に伴い、同社の高品質な筆記具の浸透が進んでいくことに期待しています。
 一方、当ファンドは同社のIR体制や資本政策に課題があると考え、これまで経営陣と対話をしてまいりました。同社は過去、株式市場に対する情報開示を最低限に絞っていたため、投資家からの注目度が低く、本来の企業価値が株価に反映されていなかったと当ファンドでは考えておりました。そのような中、同社にとって初めてとなる決算説明会が2024年2月に開催されました。多くの機関投資家が出席し、事業成長性や財務戦略に関する活発な質疑応答が交わされました。今回の決算説明会開催をきっかけに、同社と株式市場との対話が活性化され、同社の魅力が市場に広がっていくと考えております。
 また、決算説明会の質疑で一部の投資家から資本効率に関する指摘を受けておりますが、同社はバランスシートに現預金を約400億円抱えております。この現預金を有効活用することでROE(株主資本利益率)の改善が期待でき、同社は2024年度の成長戦略として海外拠点開設を含む130億円規模の設備投資を計画しております。しかしながら同社の収益構造を鑑みると、中期的には現預金の比率は高まっていくため、さらなる資本効率改善のためには、株主還元の強化も含めたキャッシュアロケーションの検討が必要であると当ファンドは考えており、引き続き対話を通じて積極的に働きかけていく方針です。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

2024年3月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年3月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比4.44%上昇し、日経平均株価は前月末比3.07%の上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、月前半は前月から引き続き半導体関連銘柄の上昇などが相場をけん引し、日経平均は史上初となる4万円台に到達するなど堅調な推移となりましたが、月半ばにかけては米国半導体関連銘柄が下落した影響や、日銀のマイナス金利政策解除を示唆する報道、春季労使交渉(春闘)での高い賃上げ実現への期待の高まりなどから日銀の金融政策正常化への思惑が広がって円高が進行したことなどが重しとなり、下落しました。月後半にかけては、日銀が金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除や長短金利操作の撤廃、上場投資信託(ETF)の買い入れ終了などを決定したものの、当面は緩和的な金融環境が継続するとの見通しが示されたことなどを受けて円安進行とともに上昇し、最終的に前月末を上回る水準で取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐3.06%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同4.44%の上昇を1.38%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、三菱重工業、SHOEI、ルネサスエレクトロニクスなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、MARUWA、京成電鉄、ナカニシなどでした。

 当月は、当ファンドの投資先である「マックス」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 ホッチキス等のオフィス機器および建築工具等の産業機器メーカーであるマックスは、1942年に群馬県高崎市で航空機部品メーカーとして設立しました。航空機部品の製造で培われたプレス技術を活かし、戦後、国産初となるホッチキスの量産を実現しています。1985年には複写機に内蔵される電動ホッチキス「オートステープラ」を発売しました。オートステープラは、圧倒的な品質・精度の高さから、世界中の複写機メーカーに採用されております。
 同社はまた、国産初の手動式釘打機を発売して以来、建築工具の製品を拡充してきました。2017年には充電式鉄筋結束機「ツインタイア」を発売しました。鉄筋結束機は、コンクリート建造物の鉄筋をワイヤで結束する工具で、従来作業員が行っていた手作業での鉄筋結束を機械化することで、作業時間および作業者負担を低減するツールです。同社はツインタイア発売以降も結束時間の短縮や結束強度改善を目指した研究開発を継続しており、2023年12月に発売した新モデルの製品は従来の製品に比べて結束スピードが1.4倍になっており、ワイヤ交換を補助する機能等が追加されています。実際に取材訪問した際に製品を扱いましたが、建築現場で働いたことがなくても簡単に扱える事を確認できたため、手作業と比較した場合の鉄筋結束機の効率性はさらに増したと感じています。新モデル発売をきっかけに同社のツインタイアシリーズが広くグローバルに認知されることで、人手不足ならびに労務費高騰といった社会課題を省人化により解決することに期待をしています。
 マックスは、徹底した現場主義・顧客主義により顧客ニーズに応えることで新たな市場を産み出し、複数の分野でグローバルに「ナンバーワン・オンリーワン」のポジションを確立してきました。高い技術力に裏付けられた同社の独創性と潜在成長力は、株式市場から十分に評価されていないと当ファンドでは見ています。
 同社の株価評価を下げている要因の一つに、低い資本収益性が挙げられます。同社の総資産は2023年12月末時点でおおよそ半分を金融資産が占めており、より積極的に事業投資や株主還元に活用し、資本効率を高めるべきと当ファンドは考えます。従来の対話の甲斐もあってか、2023年3月期より、配当性向目標を50%へと引き上げましたが、それでも金融資産の適正水準とは言えず、まだ資本配分に改善の余地があると考えております。また健全な株価形成を妨げるもう一つの要因として、複数の政策保有株主が同社株式を保有することによる低い流動性が挙げられます。政策保有株主から株式を売却してもらい、一部を自社株買いで吸収することが、流動性と資本効率を改善する一策として有効であると考えております。
 2023年10月に発行された統合報告書では、政策保有株式の縮減について言及しており、同社役員が当ファンドと同様の課題認識をもっていることを確認できた点はポジティブに捉えています。当ファンドでは、引き続きバランスシートの見直しやそれに伴うROE(株主資本利益率)の改善に向けた対話を継続していく方針です。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)⽔準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多⾯的に⾒ることで抽出精度を⾼めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に資する関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると⾒込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中⻑期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多⾯的に対話を⾏います。⽇本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の⼀部に合理性を⽋くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として⾒解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを⽬指してまいります。

2024年2月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年2月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比4.93%上昇し、日経平均株価は前月末比7.94%の大幅上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、月前半はFOMC(⽶連邦公開市場委員会)の内容を受け早期の米利下げ期待が後退し一進一退の動きで推移しましたが、月半ばから後半にかけては内田日銀副総裁がマイナス金利解除後も日銀は緩和的な金融環境を維持するとの認識を示したことや、生成AI(人工知能)向け半導体需要の増加が期待される米国で半導体関連企業の株価上昇が続き、日本の半導体関連企業にも資金が集中したことから、続伸しました。22日には日経平均株価は39,098.68円で終え、約34年ぶりに最高値を更新しました。その後の日本株式市場の推移は緩やかだったものの、月末まで日経平均株価は3万9,000円台を維持したまま当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐2.18%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同4.93%の上昇を2.75%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、三菱重工業、MARUWA、SHOEIなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、ワコム、マックス、森永製菓などでした。

 当月は、当ファンドの投資先である「ルネサスエレクトロニクス」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 ルネサスエレクトロニクスは、半導体を製造・販売する企業です。同社は、㈱日立製作所・三菱電機㈱の半導体事業とNECエレクトロニクス㈱の統合により、2010年に設立されました。世界トップシェアを有するマイコンを基軸として、2017年以降は海外の同業他社を買収することにより、成長市場であるデータセンターやスマートデバイス向けの製品・顧客ラインナップを拡大し、成長してきました。
 同社は、2023年5月に開催されたアナリストやメディア向け戦略説明会「Capital Market Day」において、2030年までに時価総額を当時の6倍まで成長させるとのビジョンを示しました。業績を2倍に、株価バリュエーションを3倍に拡大することが、目標への道筋となっています。特にバリュエーション拡大の文脈で強調されたのは、業績のダウンサイクル局面でもしっかりとマージンを確保することでした。同社は2018年から2019年にかけての半導体市場の下降局面において、大きく収益性を低下させました。この期間においてマージン低下を最小限に抑えられた競合他社とバリュエーションで差がついておりました。当ファンドでは、業績への信頼感がバリュエーションのギャップに繋がったと考えています。2019年以降、同社は製造の外注比率を高めることで、固定費水準を引き下げてきました。2023年12月期決算は、前年比2.1%の減収となったものの、売上総利益率は前年比0.1pt減と、2019年の逆風下と比較して、高いレジリエンスを示す結果となりました。
 また同社は、2024年2月には米国のプリント基板(PCB)の設計ソフトウェア企業であるAltium社を約8,879億円で買収することを発表しました。同社はバリュエーションのもう一段の拡大に向けたキャピタルアロケーション方針の中で、M&Aによる製品ポートフォリオの充実を掲げています。アナログ半導体の同業他社を対象とした過去の大型M&Aでは、上手くシナジーを発現し、素晴らしい実績を残した同社ですが、ソフトウェア企業の買収は初の試みとなります。
 なお同社は、2023年6月に社内のPCB設計開発ツールをAltium社のものに統一し、自社エンジニアが検証済みの基板デザインをAltium社のプラットフォーム上で公開するというパートナーシップを結んでいます。
 同社の顧客は、電子機器のデザインが益々複雑化する中でも、迅速に市場への製品投入をする必要があり、リソースのひっ迫に直面しています。そのため、設計から、デバイス選択、動作のシミュレーションまで、クラウド上で効率的なデザインを可能にするAltium社のプラットフォームは、同社との協業を一層深めることで、より大きな付加価値をもたらすサービスとなることが期待されます。
 一方、同社は買収が完了した後も、Altium社は独立での事業運営を継続すると説明しています。そのため、短期的な財務シナジーもAltium社の最終利益が加わることによるEPS(1株当たり利益)の増加に限られる見込みです。過去のDialog Semiconductor社(英国)やIntegrated Device Technology社(米国)のM&Aプロセスでは、買収後の経営統合プロセスによる定量的なシナジーが語られましたが、今回は定性的な説明に留まりました。これまでと異なる成長戦略の不透明感から、発表当日に株価は約2.5%下落しました。当ファンドでは、“To Make Our Lives Easier”というパーパスに基づき、電子機器設計への参画の容易にし、イノベーションを促進するという同社の壮大なビジョンを高く評価しています。ただし、Altium社は同社によって子会社化された後も、オープンなプラットフォームとして顧客から受け入れられるのかなど、いくつか課題が散見されると当ファンドでは認識しており、資本市場の不安を払しょくすべく、継続的なフォローアップを求めております。当ファンドはパートナー株主として、引き続き同社の企業価値向上に向けた対話を粘り強く続けてまいります。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)⽔準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多⾯的に⾒ることで抽出精度を⾼めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に資する関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると⾒込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中⻑期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多⾯的に対話を⾏います。⽇本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の⼀部に合理性を⽋くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として⾒解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを⽬指してまいります。

2024年1月の運用コメント

株式市場の状況

 当⽉の⽇本株式市場は、能登半島地震の影響精査のため⽇銀が利上げを⾒送るとの⾒⽅が⾼まったことや、⽶連邦準備制度理事会(FRB)⾼官のタカ派な発⾔を受けた⽶⻑期⾦利の上昇を背景に円安が進み、⽉前半は⼤きく上昇しました。また、新NISA制度の開始による個⼈投資家の買い需要や、東京証券取引所の市場改⾰への期待感から海外投資家の資⾦も多く流⼊しました。⽉半ばから後半にかけては、利益確定の売り圧⼒や、⽶国半導体⼤⼿の業績⾒通しが市場予想を下回ったことから半導体関連銘柄を中⼼に⼀時下落基調に転じる場⾯もあったものの、最終的に前⽉末を上回る⽔準で⽉を終えました。

ファンドの運⽤状況

 2024年1⽉、当ファンドのパフォーマンスは前⽉末⽐3.48%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同7.81%の上昇を4.33%下回りました。
 当⽉、当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、三菱重⼯業などでした。重⼯業メーカーの三菱重⼯業は、当⽉後半に決算発表を⾏った競合の⽶国重⼯業メーカーが2024年の発電機器事業に対して安定成⻑の⾒通しを⽰し、同社の先⾏きにも安⼼感が⾼まったことから株価が上昇したものと思われます。
 ⼀⽅、当ファンドのパフォーマンスにマイナスに影響した企業は、ルネサスエレクトロニクス、パイロットコーポレーションなどでした。半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスは、当⽉後半に決算発表を⾏った競合の⽶国半導体メーカーが2024年1-3⽉期の減収⾒通しを⽰し、同社の先⾏きにも懸念が広まったことから株価は調整したものと思われます。筆記具メーカーのパイロットコーポレーションは、主要市場である欧州における低迷の続く消費環境を背景に、業績の不透明感が⾼まったことが嫌気され、株価が下落したものと思われます。
 当⽉は、当ファンドの投資先である「SHOEI」に対する投資⾒解、対話内容をご説明します。
 SHOEIは、バイク⽤の⾼級ヘルメットを製造・販売している企業です。同社は1959年に設⽴され、その卓越した製品デザインや機能性、品質の⾼さからグローバルに多くのファンを抱えています。販売網は⽇本、欧⽶、中国など世界60か国以上を網羅し、ほとんど全ての国と地域でシェアNo.1を獲得し、世界のプレミアムヘルメット(⾼い安全性・機能性・デザイン性を兼ね揃えたヘルメット)市場で約60%のトップシェアを誇ります。
 同社は設計、開発、製造を⼀貫して⽇本国内で展開しており、製造プロセスのほとんどは⾃動化されていますが、機械では代替できない⾮常に精巧な作業は現在でも⼈の⼿で⾏われています。そして同社は「カイゼン企業」を標榜しており、⽣産効率の向上を常に推進しています。同社の競争⼒の源泉はまさにこの「現場⼒」にあると当ファンドでは考えています。⻑年にわたって蓄積されたノウハウと⼈材を育成する企業⾵⼟が、今後もSHOEIブランドへの信頼性を⾼めていくことを期待しています。
 こうした⾼いブランド⼒と商品開発⼒を武器にグローバルに販売数量を伸ばしながら、デザイン性・機能性に優れた新製品の投⼊を戦略的に⾏うことで、価格を引き上げることに成功しています。価格が上がったとしても、SHOEIのヘルメットを欲しいと考える消費者が増えていることに他なりません。このブランド価値とカイゼン⽂化を背景として、同社の事業は⾮常に⾼い収益性を誇っており、2023年9⽉期には営業利益率29.2%に到達しました。
 ⼀⽅、⾜元は欧州・中国を中⼼とした景況悪化等により、同社公表の2024年9⽉期の営業利益は減益予想となっています。1⽉後半に発表された2024年9⽉期第1四半期決算では、前年同期⽐で増収・増益を確保したものの、同社は先⾏きに対して慎重な⾒⽅を崩していません。しかし同社も⼿をこまねている訳ではなく、海外現地での需要動向調査・マーケティングの拡充や、⽣産能⼒拡⼤に向けた⼯場⽤地の確保など、積極的かつ着実に対応を進めています。当ファンドでは同社の中⻑期的な事業成⻑に対する⾒⽅に変更はありませんが、個別⾯談を通じて注意深くフォローアップして参ります。
 また、当ファンドは同社の資本政策に改善の余地があると考えています。同社は直近数年の⼤幅な事業成⻑により多くのキャッシュを稼ぎ、2023年9⽉末時点で総資産の約45%を現預⾦が占める状況となっています。同社は配当性向50%を基本とした株主還元を⾏っていますが、資本の蓄積スピードが早く、ROE(株主資本利益率)には下押し要因となっています。設備や⼈への投資を実施した後の余剰資⾦を今後どのように活⽤していくか、同社からは発信がありません。この点について当ファンドはCEO・CFOとの個別⾯談を通じて対話を継続しています。経営陣は⻑期的な事業継続のために財務健全性を確保したいと主張していますが、保守的すぎる財務運営によって株主の利益であるROEが低下していく可能性があり、当ファンドは懸念を伝えています。また、同社の株主総会に出席した際には、複数の個⼈株主からも同様の懸念が表明されていることを確認しました。同社の資本政策に対する株式市場の⽬が厳しくなっていると考えられることから、当ファンドは⻑期的なパートナー株主として、引き続き同社の企業価値向上に向けた対話を粘り強く続けて参ります。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE⽔準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多⾯的に⾒ることで抽出精度を⾼めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると⾒込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中⻑期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多⾯的に対話を⾏います。⽇本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の⼀部に合理性を⽋くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として⾒解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを⽬指してまいります。

2023年12月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年12⽉、⽇本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前⽉末⽐0.23%の下落となりました。
 当⽉の⽇本株式市場は、⽉前半は⽇銀の植⽥総裁と氷⾒野副総裁両名の発⾔を受けて⾦融政策修正の思惑が⾼まったことや、FOMC(⽶連邦公開市場委員会)のハト派の内容を受けて⽶⻑期⾦利が低下したことで、円⾼が進み下落しました。⽉後半は、⽇銀⾦融政策決定会合における⾦融緩和維持の決定が好感される場⾯もありましたが、年末の閑散相場もあって円⾼基調が継続する展開が重しとなり、最終的に前⽉末を下回る⽔準で⽉を終えました。

ファンドの運用状況

 2023年12⽉、当ファンドのパフォーマンスは前⽉末⽐0.47%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.23%の下落を0.70%上回りました。
 当⽉、当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、マックス、全国保証などでした。機械メーカーのマックスは、2024年3⽉期第2四半期決算において、営業利益と配当予想の上⽅修正を発表したことが好感され、株価の上昇が継続しているものと思われます。住宅ローン保証会社の全国保証は2024年3⽉期第2四半期決算を発表し、新規保証実⾏が件数・⾦額ともに堅調に推移していることが好感され、株価上昇が継続しているものと思われます。⼀⽅、当ファンドのパフォーマンスにマイナスに影響した企業は、SHOEI、パイロットコーポレーションなどでした。プレミアムヘルメットメーカーのSHOEIは、2023年9⽉期通期決算で、営業利益が会社計画未達となったことや、2024年9⽉期の営業減益予想が嫌気され、株価の下落が継続しているものと思われます。筆記具メーカーのパイロットコーポレーションは、主要市場である欧州と中国の消費動向の不透明性が嫌気され、株価下落が継続したものと考えます。
 当⽉は、当ファンドの投資先である「森永製菓」に対する投資⾒解、対話内容をご紹介します。
 森永製菓は1899年創業の⼤⼿菓⼦メーカーです。アメリカで菓⼦製造技術を学んだ創業者森永太⼀郎⽒が、「⽇本の⼈々においしく栄養価の⾼い⻄洋菓⼦を届けたい」という想いをもって⽇本の菓⼦産業の礎を築いたのが同社の始まりです。今では菓⼦だけでなく、アイス、「inゼリー」に代表されるゼリー飲料、通販など、製品・事業の幅を広げ、⽇本だけでなく海外にも積極的に展開しています。
 当ファンドが注⽬しているのは、⽶国における「HI-CHEW(ハイチュウ)」の成⻑です。⽶国では、2008年に現地⼦会社を設⽴し本格的な販売を開始しました。メジャーリーガーの間でHI-CHEWブームが起こったことをきっかけに、ソフトな⾷感とフルーツのおいしさを合わせた商品特性が評判となり、⽶国⼩売⼤⼿ウォールマート等も取り扱うようになりました。2023年3⽉期の⽶国売上⾼はHI-CHEW以外の商品も含め146億円に達し、⾜元も順調に成⻑が続いています。先⽇⾏われたIR Dayの⽶国事業説明会では、2030年300億円の売上⾼⽬標を発表しました。同社は、⽣産体制の拡充やプロモーション強化など積極的な事業投資を⾏う姿勢を⽰しており、当ファンドは⽶国での更なる成⻑に期待しています。
 ⼀⽅で、本業ともいえる国内菓⼦事業は、低い収益性が課題だと当ファンドでは考えています。特に直近は、原材料価格⾼騰の影響等を受け、2023年3⽉期のセグメント利益率は2.0%程度に留まりました。当ファンドでは、この国内菓⼦事業の在り⽅について同社と何度も議論してきました。議論の中で同社の太⽥社⻑は、「総合菓⼦屋」としての看板を下ろすことなく、⽼朽化した製造ラインの廃⽌を通じた商品の選択と集中も選択肢に、事業の⽣産性向上に努める意思を⽰しています。2024年3⽉期は2度の価格改定や商品構成改善によりセグメント利益率が3.8%まで改善する会社計画となっており、順調に進捗しています。当ファンドでは、売上⾼の⼤きい国内菓⼦事業の収益性改善が同社の成⻑にとって不可⽋であると考え、構造改⾰の進捗を⾒守るとともに、対話を続けております。
 加えて、同社が⾷品企業「MORINAGA」としてグローバルにブランド⼒・存在感を⾼め、新たな成⻑ステージへの移⾏を加速するためには、森永乳業㈱との経営統合がカギになると当ファンドは考えております。森永製菓・森永乳業㈱の両社の持つ⾼い技術⼒・品質に、資本や⼈材などの限られた経営資源をより効率的に活⽤することで、強固な⼀枚岩のブランドが⽣まれると当ファンドは考えます。このような考えから、当ファンドは両社の経営統合への期待も⾯談で伝えています。
 最後に、同社が合理的な資本政策の実⾏に舵を切り始めていることにも当ファンドは注⽬しております。当ファンドでは従来から、株主還元の拡充についても議論を重ねてきました。同社は2023年3⽉期の通期決算で、⾃⼰株式の取得などによるネットキャッシュの⼤幅な圧縮を発表しました。更に2024年3⽉期第2四半期決算では、「資本コストを意識した経営の実践」を謳って、追加の⾃⼰株式取得や株式分割などの株主還元強化を発表しています。今後も持続的な事業成⻑に加え、資本政策の改善を通じて、同社の企業価値向上・顕在化が進むことを期待し、対話を続けていきます。

今後の運用方針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)⽔準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多⾯的に⾒ることで抽出精度を⾼めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると⾒込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中⻑期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多⾯的に対話を⾏います。⽇本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の⼀部に合理性を⽋くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として⾒解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを⽬指してまいります。

2023年11月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年11⽉、⽇本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前⽉末⽐5.42%の上昇となりました。
 当⽉の⽇本株式市場は、⽉前半はFOMC(⽶連邦公開市場委員会)での政策⾦利の据え置きや、市場予想を下回る⽶雇⽤統計を受けての⽶⻑期⾦利の低下を背景に上昇しました。⽉半ばは、⽇本企業の良好な決算や、市場予想を下回る⽶国のCPI(消費者物価指数)を受けた⽶追加利上げ観測の後退などから、⽉中⾼値をつけました。⽉後半に⼊ると、中東情勢の地政学リスクの後退や⽶⻑期⾦利低下等を好材料に上昇した後、⼀時1ドル=146円台後半まで進⾏した円⾼が重しとなって下落基調に転じましたが、最終的に前⽉末を上回る⽔準で⽉を終えました。

ファンドの運用状況

 2023年11⽉、当ファンドのパフォーマンスは前⽉末⽐3.38%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同5.42%の上昇を2.04%下回りました。
 当⽉、当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、ワコム、ルネサスエレクトロニクスなどでした。デジタルペンタブレットメーカーのワコムは、前⽉末に発表した⾃社株買いが好感され、株価が上昇したものと思われます。半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスは、⼤株主である㈱INCJ(旧産業⾰新機構)の株式売却が完了したことにより、短期的な需給不安が解消されたことが好感されたと考えます。⼀⽅、当ファンドのパフォーマンスにマイナスに影響した企業は、ナカニシ、パイロットコーポレーションなどでした。⻭科医療⽤機器メーカーのナカニシは、買収した⽶国デンタルチェアメーカーの業績悪化で通期計画の下⽅修正を発表し、株価は調整したものと思われます。筆記具メーカーのパイロットコーポレーションは、2023年12⽉期第3四半期の決算発表にて、⽶州事業のコスト増と欧州および中国の低調な市場環境を背景に減益となったことが嫌気され、株価が下落したと考えます。
 当⽉は、当ファンドの投資先である「ナカニシ」に対する投資⾒解、対話内容をご紹介します。
 ナカニシは、⻭科治療⽤ハンドピース(ドリル)などを⼿掛ける⻭科医療⽤機器メーカーです。現社⻑の祖⽗が1930年に創業し、第⼆次世界⼤戦下の混乱を経て、1951年に現本社がある栃⽊県⿅沼市で再興しました。独⾃技術を活⽤し、現在は⻭科向けのみならず、外科医療や機械⼯業向けに⾼品質で利便性の⾼い製品を提供しています。また、同社は早い時期から海外市場の開拓に取り組み、今⽇では世界135ヵ国以上で同社製品が販売され、約8割の海外売上⾼⽐率(2023年12⽉期第3四半期時点)を誇ります。
 同社の強みは、1分間で45万回転を実現する「超⾼速回転技術」、1秒間に3万往復振動する「超⾳波技術」、超低速域から⾼速域まで安定したトルク(回転⼒)と滑らかさを実現する「マイクロモータ技術」の3つのコア技術に集約された「削るテクノロジー」にあります。これらの独⾃技術をもとに、約85%の部品を内製化していることが差別化となり、⾼い収益性を実現しています。
 同社の⼿掛ける⻭科・外科向け医療機器に対する需要は、健康寿命に対する世界的な意識の⾼まりを背景に、安定的に伸びることが期待されます。当ファンドでは、特に北⽶市場でのシェア拡⼤が同社の成⻑を牽引すると考えます。⾜元では、買収した⽶国デンタルチェア企業の業績悪化に伴う通期予想下⽅修正が発表され株価は下落しましたが、本業の⻭科機器については、北⽶の⻭科医の間でNSKブランド(同社の⾃社ブランド名)が本格的に認知され始めており、中⻑期的な成⻑期待は引き続き⾼いと考えられます。
 ⼀⽅、同社は過去から内部留保を積み上げた結果、株主資本⽐率は8割を超過し、約30%という⾼い営業利益率に⽐して、ROE(株主資本利益率)は14.4%に留まっています(2022年度通期業績)。そうした中で、同社経営陣がROE改善へ向けた取り組みに着⼿し始めたことに当ファンドは期待しています。2022年8⽉に発表した新たな中期経営計画の中で、「PL経営から資本効率も重視した経営へ進化」することが謳われ、総還元性向50%を中期的な基準とすることなどが発表されました。ROE⽬標は2025年12⽉期で11%と保守的な印象を受けるものの、同社が資本効率指標を定量的に明⽰したことは評価できます。今後、過度な内部留保によりROEが劣化することを回避すべく、当ファンドも対話を通じて資本効率の改善を積極的に後押ししていく⽅針です。
 また、当ファンドは同社が企業価値向上のためにプライム市場へ移⾏することを期待しています。同社が属するスタンダード市場が上場企業としての最低限のガバナンス⽔準を求めているのに対して、プライム市場は企業がより⾼いガバナンスの質を備え、投資家と建設的に対話し、共に企業価値向上を追求する場として期待されています。プライム市場ではなくスタンダード市場を選ぶという判断が取られたことは株主として残念ですが、当ファンドは引き続きプライム市場への移⾏についても同社と粘り強く対話を続けていきます。

今後の運用方針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE⽔準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多⾯的に⾒ることで抽出精度を⾼めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると⾒込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中⻑期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多⾯的に対話を⾏います。⽇本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の⼀部に合理性を⽋くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として⾒解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを⽬指してまいります。

2023年10月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年10⽉、⽇本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前⽉末⽐2.99%の下落となりました。
 当⽉の⽇本株式市場は、⽉前半は堅調な⽶雇⽤統計を受けての⽶⻑期⾦利の変動や、中東情勢の緊迫化などを受け乱⾼下の展開となりました。⽉後半に⼊ると、中国の景気刺激策が好感される場⾯があったものの、⽇銀の政策再修正への思惑や⽶テクノロジー企業の低調な決算への失望が株式市場の重しとなり、最終的に前⽉末を下回る⽔準で⽉を終えました。

ファンドの運用状況

 2023年10⽉、当ファンドのパフォーマンスは前⽉末⽐4.10%の下落となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同2.99%の下落を1.11%下回りました。
 当⽉、当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、MARUWAなどでした。セラミック部品メーカーのMARUWAは、当⽉後半に発表された2024年3⽉期第2四半期決算で、前年同期⽐減収減益の着地となったものの、先⾏きに対して楽観的な⾒通しが⽰されたことが好感され、株価が上昇したものと思われます。⼀⽅、当ファンドのパフォーマンスにマイナスに影響した企業は、SHOEIなどでした。ヘルメットメーカーのSHOEIは、中国における需要⾒通しの不透明感が嫌気されたことから、株価が下落しているものと思われます。
 当⽉は、当ファンドの投資先である「EIZO」に対する投資⾒解、対話内容をご紹介します。
 EIZOは1967年に⽯川県七尾市で七尾電機株式会社として設⽴されたコンピューター⽤の⾼機能モニターメーカーです。当ファンドは、同社の⼀貫した⾃社開発・⾃社⽣産による徹底した品質への拘りと、クラフトマンシップに⽀えられた医療・映像制作・航空管制・船舶・鉄道などの特定⽤途における⾼いシェアを評価し、投資を⾏いました。特に、内視鏡検査や放射線検査といった⾮侵襲医療の浸透に伴って重要度が増す、同社の主⼒製品の⼀つである医療向けモニターの成⻑に注⽬しています。
 ⼀⽅で、EIZOは⼿元現預⾦や投資有価証券などの⾦融資産を約700億円保有しており、総資産の約43%を占めています(2023年9⽉末時点)。このような余剰な⾮事業⽤資産を抱えていることが重⽯となり、過去最⾼益を記録した2022年3⽉期においても、同社のROE(株主資本利益率)は6.7%に留まっています。当ファンドは、同社はバランスシートマネジメントによる資本収益性に改善余地があると考え、2022年初頭の投資開始と同時にROE向上に関して、経営陣と対話を続けてきました。
 その後、同社は2022年5⽉に⾃社株買い(上限40億円)および、買収防衛策の廃⽌を発表するなど、資本市場への向き合い⽅に少しずつ変化が⾒られておりました。より明確な変化として、2023年3⽉期決算説明会の場にて、ROE8%以上を資本収益性の⽬標として、総還元性向の⽬標⽔準を70%に設定し、株主還元を強化する⽅針を掲げました。2023年3⽉期は為替変動による材料・物流コスト増に苦しみ、最⾼益を記録した前年から減益となりました。こうした厳しい事業環境でも資本コストを意識した経営へと舵を切った同社を、当ファンドは⾼く評価します。
 当ファンドでは、引き続き同社の中⻑期的な成⻑を実現する上で、対処が求められる様々な経営課題について経営陣との対話を続け、同社の企業価値向上を積極的に後押ししていく⽅針です。

今後の運用方針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE⽔準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多⾯的に⾒ることで抽出精度を⾼めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリューギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると⾒込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中⻑期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多⾯的に対話を⾏います。⽇本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の⼀部に合理性を⽋くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として⾒解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを⽬指してまいります。

2023年9月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年9⽉、⽇本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前⽉末⽐0.51%の上昇となりました。
 当⽉の⽇本株式市場は、⽉前半は中国製造業購買担当者景気指数(PMI)の改善により中国の景気後退不安が⼀時的に後退したほか、国内では早期衆院解散・総選挙への期待感が⾼まったことを受け、上昇基調となりました。⼀⽅⽉後半は、FOMC(⽶連邦公開市場委員会)で⾦融引き締めの⻑期化が⽰唆されたことや、⽶議会の予算協議が難航し政府機関閉鎖への警戒感が⾼まったことから、市場⼼理が悪化し値を戻す展開となり、最終的に前⽉末を若⼲上回る⽔準で⽉を終えました。

ファンドの運用状況

 2023年9⽉、当ファンドのパフォーマンスは前⽉末⽐2.01%の下落となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.51%の上昇を2.52%下回りました。
 当⽉、当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、パイロットコーポレーション、三井住友フィナンシャルグループなどでした。
 筆記具メーカーのパイロットコーポレーションは、外部環境の不透明感が続く中でも、主要市場である⽇本と⽶州では底堅い業績を⽰しており、堅調な需要継続が期待されたものと思われます。三井住友フィナンシャルグループは、⾦融政策の正常化への期待が⾼まり、株価が上昇しているものと思われます。
 ⼀⽅、当ファンドのパフォーマンスにマイナスに影響した企業は、MARUWA、SHOEIなどでした。
 セラミック部品メーカーのMARUWAは、半導体やEV(電気⾃動⾞)などテクノロジー関連の需要回復に時間を要するとの懸念が市場全体に広がり、株価の調整に繋がったと思われます。バイク⽤ヘルメットメーカーのSHOEIは、主要な成⻑市場である中国での景況⾒通しの不透明感から、株価が下落したものと思われます。
 当⽉は、当ファンドの投資先である「三菱重⼯業」に対する投資⾒解、対話内容をご紹介します。
 三菱重⼯業は1884年創業の重⼯業メーカーです。海運業で財を成した三菱グループ創設者の岩崎彌太郎⽒が、⻑崎にて興した造船事業が起源となっています。祖業である造船事業を営む三菱造船は、1934年には、重機・航空機・鉄道⾞両を事業に加え、現在の社名である三菱重⼯業となり、発電設備、船舶、航空機等の社会インフラ供給を通じて、戦後⽇本の復興と⾼度経済成⻑期を⽀えてきました。
 当ファンドが注⽬しているのは、脱炭素投資の恩恵を⼤きく受ける同社の事業ポートフォリオです。同社は「リアリティのあるエナジートランジション」を重視し、エネルギーの供給と消費の両⾯のグリーン転換を成⻑の柱に掲げています。
 エネルギーの供給側である、同社のエナジー事業は、主にガス⽕⼒発電⽤ガスタービン、⽯炭⽕⼒発電⽤スチームタービン、原⼦⼒発電事業から構成されています。
 2008年の世界⾦融危機以降、再⽣可能エネルギーへの移⾏の流れが強まり、化⽯燃料に対する開発投資が抑制されたことで、ガスタービンの市場は縮⼩の⼀途を辿ることとなりました。2011年の東⽇本⼤震災を経て、原⼦⼒発電についても、世界的に新設プロジェクトが減少し、同社のエナジー事業は低迷期を迎えました。その後2022年にロシアとウクライナの紛争が勃発し、世界的にエネルギー供給が不安定化したことで、天然ガスの市況価格が⾼騰しました。この混乱は、特定のエネルギー源や輸出国に依存しないエネルギーセキュリティの重要性が再認識されるきっかけとなりました。優れた発電効率から、ガス⽕⼒発電の低炭素化に貢献する同社の⼤型ガスタービンは、世界シェア1位を誇ります。加えて、同社のガスタービンは、アンモニアや⽔素といった次世代エネルギーとの混焼に対応しており、将来的には更なるCO2排出量削減を実現する可能性を秘めています。
 しかし、追い⾵が吹いている事業環境に反して、エナジー事業は過去3期連続で前年同期⽐減益を記録しています。その主因として、稼働済み⽯炭⽕⼒発電プラントでの度重なる不具合対策費⽤の発⽣が挙げられます。当ファンドでは、リスクマネジメント体制の強化に加えて、今後新設の可能性が低い⽯炭⽕⼒関連製品に対する中⻑期的な向き合い⽅ついて、資本コストの抑制に繋がるよう、様々な観点から議論を進めています。
 ⼀⽅、エネルギーの消費側である、物流・冷熱・ドライブシステム事業は、主にフォークリフトなどの物流機器、エンジン・ターボチャージャ、冷熱製品から構成されています。
 フォークリフト事業は、eコマース(電⼦商取引)市場拡⼤による物流機器の需要増⼤の恩恵を受けて成⻑してきました。エンジン・ターボチャージャは⾮常⽤発電装置とガソリン⾞向けの⾞両⽤過給機が、冷熱機器は冷凍冷蔵倉庫や⼤型空調機器などの業務⽤冷熱機器が、それぞれ主⼒製品になっています。エンジン・ターボチャージャは⾃動⾞の電動化による市場縮⼩が予想されますが、冷熱機器はデータセンター向けという新市場を冷熱機器と共に開拓することで、成⻑機会を捉えることが出来ています。eコマース物流、コールドチェーン(⽣産・輸送・消費の過程で途切れることなく低温に保つ物流⽅式)、データセンターなど、同社の中量産品の対⾯市場は現代の社会インフラであり、消費電⼒が⼤きく、安定的な運⽤が求められる点が共通しています。
 当ファンドは、カーボンニュートラルの達成のためには、エネルギーの供給側にある発電インフラの脱炭素化に加えて、消費側の製品群で効率的な電⼒利⽤を⾏うことは必須であると認識しており、多⾓的な事業ポートフォリオを保有する三菱重⼯業は、脱炭素に向けた広範な設備投資の恩恵を受けることの出来る貴重な企業であると考えています。
 ⼀⽅で、事業ポートフォリオが多⾓化しており、株式市場において企業価値が低く評価されるコングロマリットディスカウントが懸念されます。当ファンドは、エネルギーの供給と消費の両側⾯を持つ同社ならば、独⾃の事業間シナジーを創出できると考えています。当ファンドは、同社の価値創造の基盤である技術資産・顧客資産・⼈的資本などの無形資産が、今後どのようにして持続的な価値を⽣むのか、適切にコミュニケーションするための対話を⾏っています。将来的には、コングロマリット“ディスカウント”から“プレミアム”への転換を⽬指して、今後もエンゲージメントを継続していきます。

今後の運用方針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)⽔準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多⾯的に⾒ることで抽出精度を⾼めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると⾒込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中⻑期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多⾯的に対話を⾏います。⽇本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の⼀部に合理性を⽋くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として⾒解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを⽬指してまいります。

2023年8月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年8⽉、⽇本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前⽉末⽐0.43%の上昇となりました。
 当⽉の⽇本株式市場は、⼤⼿格付け会社フィッチ・レーティングス社(⽶国)による⽶国債の格下げを背景とした⽶国株安の流れを受け、下落から始まりました。⽉半ばは、中国の軟調な経済指標(消費者物価指数など)や、中国不動産開発⼤⼿の⽶国破産法の申請が嫌気され、下げ幅を広げました。⽉後半は、中国の追加利下げが好感されたほか、ジャクソンホール会議においてさらなる利上げへの懸念が後退したことで値を戻す展開となり、最終的に前⽉末を上回る⽔準で⽉を終えました。

ファンドの運用状況

 2023年8⽉、当ファンドのパフォーマンスは前⽉末⽐1.11%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.43%の上昇を0.68%上回りました。
 当⽉、当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、MARUWA、ナカニシなどでした。
 セラミック部品メーカーのMARUWAは、2024年3⽉期第1四半期の決算説明会の中で、下期にかけて業績が再び成⻑軌道に戻る⾒通しが⽰されたことなどにより、株価が上昇したものと思われます。
 ⻭科機器メーカーのナカニシは、8⽉前半に2023年12⽉期第2四半期決算を発表しました。経常利益が前年同期⽐18.5%増の112億円となり、円安を追い⾵に堅調な利益成⻑が確認されました。加えて、通期業績予想の上⽅修正と増配も発表され、総じて株式市場に好感されたものと思われます。
 ⼀⽅、当ファンドのパフォーマンスにマイナスに影響した企業は、オイシックス・ラ・⼤地などでした。
 有機野菜など安全に配慮した⾷品宅配サービスを展開するオイシックス・ラ・⼤地は、2024年3⽉期第1四半期の決算で開⽰された宅配事業の新規会員増加数が株式市場の期待を下回り、成⻑鈍化が懸念されたことなどから、株価は下落しているものと思われます。
 当⽉は、当ファンドの投資先である「パイロットコーポレーション」に対する投資⾒解、対話内容をご説明します。
 同社は、⽇本で⾼い知名度を持ちますが、世界的にも有名な⼤⼿筆記具メーカーです。筆記具メーカーとしては、Newell Brands社(⽶国)が世界トップ級ですが、同社は傘下に「PARKER」や「WATERMAN」といった複数のブランドを持っており、筆記具の単⼀ブランドでは「パイロット」が世界最⼤の規模を誇っています。同社は⽇本初の純国産万年筆の製造を⽬指して、1918年に創業しました。そして万年筆の開発に成功すると、1920年代には海外への輸出を開始し、着実に売上を伸ばし続けてきました。その結果、世界190か国以上の国と地域で同社の筆記具が展開され、同社のヒット商品である消えるボールペン「フリクションシリーズ」は⽇本だけでなく、欧州を中⼼として海外でも愛⽤されるなど、2020年度以降は海外売上⽐率が7割を超えています。
 当ファンドでは、こうした各地域に根差したマーケティングと商品開発、それを安定的に供給できる事業基盤こそが同社の強みであり、⻑年培ってきた技術⼒とブランド⼒で今後も⾼い収益性と市場シェアを維持向上できると考えています。そして中⻑期的な投資視点から、新興国での中間層の増加に伴い、同社の⾼品質な筆記具への需要が更に拡⼤していくことを期待しています。
 ⼀⽅、当ファンドは同社のIR体制や資本政策に課題があると考えています。同社は以前より株式市場に対する情報開⽰を最低限に絞っているため、投資家からの注⽬度が低く、本来の企業価値が株価に反映されていないと当ファンドでは考えています。また、ROE(株主資本利益率)は15%程度(2022年度)と相対的には⾼い資本収益性であるものの、バランスシートに潤沢なキャッシュを抱えており、有効活⽤することで更なるROE改善が期待できます。当ファンドは同社と前述の課題認識を共有し、対話を続けてきました。
 そうしたなかで決算説明資料や⻑期ビジョンが同社のHPで開⽰されるなど、少しずつではありますがIR体制の改善がみられています。加えて、中期経営計画の中で2024年までの成⻑投資として300億円規模の新規事業投資、⼈的投資などが発表され、キャッシュの有効活⽤の姿勢が明確になってきました。決算説明会の未開催など、まだ改善余地は⼤きいため、当ファンドでは引き続き対話を通じて積極的に働きかけていく⽅針です。

今後の運用方針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE⽔準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多⾯的に⾒ることで抽出精度を⾼めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると⾒込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中⻑期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多⾯的に対話を⾏います。⽇本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の⼀部に合理性を⽋くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として⾒解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを⽬指してまいります。

2023年7月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年7月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.49%の上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨にて年内2回以上の利上げが示唆されたことや、米国の雇用統計の結果を受け、利上げ継続への懸念が強まり下落して始まりました。一方で月半ばには、米国のCPI(消費者物価指数)が市場予想を下回り、利上げ停止が近いとの期待から堅調に推移しました。月後半は、日銀によるYCC(イールドカーブ・コントロール)の柔軟化が発表され、一時的に値動きの激しい展開となりましたが、現行の緩和姿勢を維持するとの受け止めから市場に安心感が広がり、最終的に期初を上回る水準で月を終えました。

ファンドの運用状況

 2023年7月、当ファンドのパフォーマンスは前月末比3.13%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同1.49%の上昇を1.64%上回りました。
 当月、当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、ディスコ、EIZOなどでした。
 半導体製造装置メーカーであるディスコは、パワー半導体向け製造装置の堅調な需要が評価され、株価が上昇したものと思われます。ディスプレイメーカーであるEIZOは、2024年3月期第1四半期の決算発表にて、懸案だった粗利率が改善したことや医療用ディスプレイの販売が堅調だったことが評価されたものと思われます。
 一方、当ファンドのパフォーマンスにマイナスに影響した企業は、オイシックス・ラ・大地、SHOEIなどでした。
 宅配ミールキットを展開するオイシックス・ラ・大地は、2023年度にプロモーションを強化したことによる会員数急増の反動が懸念され、株価が下落したものと思われます。
 バイク用ヘルメットメーカーであるSHOEIは、成長が期待されていた中国の景況見通しの不透明感から、株価が下落したものと思われます。

 当月は、当ファンドの投資先である「マックス」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 ホッチキス等のオフィス機器および建築工具等の産業機器メーカーであるマックスは、1942年に群馬県高崎市で航空機部品メーカーとして設立しました。航空機部品の製造で培われたプレス技術を活かし、戦後、国産初となるホッチキスの量産を実現しています。1985年には複写機に内蔵される電動ホッチキス「オートステープラ」を発売しました。オートステープラは、圧倒的な品質・精度の高さから、世界中の複写機メーカーに採用されています。
 同社はまた、国産初の手動式釘打機を発売して以来、建築工具の製品ラインアップを拡充し、2017年には充電式鉄筋結束機「ツインタイア」を発売しました。鉄筋結束機は、コンクリート建造物の鉄筋をワイヤーで結束する工具で、従来作業員が行っていた手作業での鉄筋結束を機械化することで、作業時間および作業員の負担を低減するツールです。当ファンドはツインタイアが中期的に同社の成長ドライバーになると見ています。
 世界各国でインフラ投資や住宅・都市開発が活発化する中、人手不足ならびに労務費高騰は先進国中心に深刻な問題となっており、省人化・効率化に寄与する同社の鉄筋結束機は需要拡大が期待されます。
 同社は、徹底した現場主義・顧客主義により顧客ニーズに応えることで新たな市場を産み出し、複数の分野でグローバルに「ナンバーワン・オンリーワン」のポジションを確立してきました。高い技術力に裏付けられた同社の独創性と潜在成長力は、未だに株式市場から十分に評価されていないと当ファンドでは見ています。
 同社の株価評価を下げている要因の一つに、低い資本収益性が挙げられます。同社の総資産は2023年3月末時点でおおよそ半分を金融資産が占めていますが、より積極的に事業投資や株主還元に活用し、資本効率を高めるべきと当ファンドは考えます。従来の対話の甲斐もあってか、2023年3月期より、配当性向目標を50%へと引き上げましたが、それでも金融資産の適正水準とは言えず、まだ資本配分の改善の余地があると考えております。また健全な株価形成を妨げるもう一つの要因として、複数の政策保有株主が同社株式を保有することによる低い流動性が挙げられます。政策保有株主から株式を売却してもらい、一部を自社株買いで吸収することが、流動性と資本効率を改善する一策として有効であると考えております。当ファンドでは、引き続き前述の課題について同社の経営陣と対話を継続していく方針です。

今後の運用方針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成長性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを示す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

2023年6月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年6月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比7.55%の上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、月前半は米連邦債務の上限停止による米国株高の流れを受け、大幅に上昇いたしました。月半ばには、FRB(連邦準備制度理事会)による追加利上げの示唆を受けた軟調な米国株の影響や、衆院解散への期待剥落が嫌気された一方、日銀の金融緩和の維持、米著名投資家の日本株追加投資の発表が好感され、一進一退の動きで推移しました。月後半は、株価上昇の反発と見られる下落の局面もありましたが、米景気悪化懸念の後退と円安進行が下支えをし、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。

ファンドの運用状況

 2023年6月、当ファンドのパフォーマンスは前月末比3.77%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同7.55%の上昇を3.78%下回りました。
 当月、当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、マックス、MARUWAなどでした。
 建設用工具メーカーであるマックスは、国内外における鉄筋結束機の販売拡大への期待や、5月15日に決議された買収防衛策の廃止などが好感され、株価は上昇しております。セラミック部品メーカーのMARUWAは、株式市場における半導体業界の底打ち期待に伴って株価が上昇したものと思われます。
 一方、当ファンドのパフォーマンスにマイナスに影響した企業は、ワコム、森永乳業などでした。
 デジタルペンタブレットメーカーのワコムと乳業メーカーである森永乳業は、ともに5月に発表された2024年3月期の通期業績予想が株式市場の期待を下回り、事業環境の好転に時間がかかるとの思惑から、株価が下落していると思われます。

 当月は、当ファンドの投資先である「MARUWA」に対する投資見解、対話内容をご紹介します。
 MARUWAはセラミック部品の世界的大手メーカーです。陶芸家の一族である神戸家が江戸時代から陶磁器の製造販売を営み、焼き物の技術を継承してきました。高度成長期の1960年、急速にニーズが拡大しつつあった電子部品(通信機器向け特殊磁器、固定抵抗器用セラミック)の分野へ進出し、現在のMARUWAに至ります。
 セラミックは一般家庭の皿にも使われるなど、身近な素材であり、窯があれば作ることが出来ますが、同社が得意としている高付加価値セラミックの分野では高度な製造ノウハウが必要となります。セラミックは焼成前後でサイズが大きく変化するため、均質なセラミック製品を量産するのは簡単ではありません。この製造工程の秘匿化が参入障壁となり、同社は様々なセラミック製品で世界トップシェアを獲得していると当ファンドでは推定しています。そして、今後最も需要が伸びると期待されているのはEV(電気自動車)向けのセラミック製品です。EVでは、高い電圧を使う電子部品が使われており、発熱によって電子部品が膨張し部品寿命が悪化する可能性が高いため、発熱対策が課題となっています。同社のセラミック部品はそれを防ぐ放熱基板として使われています。自動車のように耐用年数が長期かつ発熱温度が高い分野では、セラミックは高価ではあるものの最も信頼できる素材とされています。
 前述のようにMARUWAのセラミック部品が使われる市場は拡大する見通しであり、同社は参入障壁によって高い収益性と世界シェアを維持できる可能性が高い企業であると考えられますが、株式市場で評価される余地はまだ大きいと当ファンドでは考えています。
 過去、MARUWAは長期にわたって決算説明資料を作っておらず、決算説明会も開催しておりませんでした。その点が株式市場で同社の知名度が上がらなかった要因と考え、IR体制の改善を期待して同社との対話を継続してきました。そうした粘り強いエンゲージメントの甲斐もあり、同社は2021年から決算説明会資料を作成し決算説明会をオンラインで開催しております。さらに2023年5月の通期決算説明会では、あまり公の場で発言することのなかった神戸誠会長が登壇し、自ら投資家からの質疑に回答しました。こうした点からも、当ファンドでは同社の株式市場との対話姿勢に大きな改善が見られていると考えています。
 また、同社は高い収益性を誇る一方、余剰資金の蓄積スピードが早く同社のROE(株主資本利益率)が低下する可能性が高いことも、株式市場からの評価を押し下げている要因と思われます。当ファンドでは引き続き、同社の実態価値が株式市場で顕在化する一助となれるよう、IR体制とROEの改善を主題に、経営陣との対話を継続していく方針です。

今後の運用方針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成長性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを示す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

2023年5月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年5月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比3.62%の上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、月前半に開催された米国FOMC(連邦公開市場委員会)の結果を受け、一時円高ドル安が進んだことで一進一退の動きで推移しました。月半ばには海外投資家による資金流入が続き、TOPIXと日経平均株価ともに約33年ぶりの高値を更新しました。東京証券取引所の市場改革への期待や、日銀の金融緩和継続姿勢もサポート材料となりました。一方で、月後半には中国の低調なPMI(製造業購買担当者景気指数)や、市場予想を下回る国内の4月の鉱工業生産指数の結果が懸念され、弱含みで推移しましたが、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。

ファンドの運用状況

 2023年5月、当ファンドのパフォーマンスは前月末比4.19%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同3.62%の上昇を0.57%上回りました。
 当月、当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、ディスコ、ナカニシなどでした。
 半導体製造装置メーカーであるディスコは、4月20日に2023年3月期通期決算を発表し、増収増益となりました。これは主に、パワー半導体関連の需要が依然として好調であることによるもので、株価は決算発表以降上昇しております。
 一方、当ファンドのパフォーマンスにマイナスに影響した企業は、オイシックス・ラ・大地、パイロットコーポレーションなどでした。食材宅配サービスを展開しているオイシックス・ラ・大地は、5月11日に発表された2023年3月期通期決算において、会員数の順調な増加が確認されましたが、短期的な出尽くし感が優勢となり、株価が調整したものと思われます。なお、同社の中長期的な成長力に対する当ファンドの見方に変更はありません。
 当月の投資活動として、帝国繊維を全売却しました。
 当月は、当ファンドの投資先である「京成電鉄」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 京成電鉄は、東京都東部・千葉県を中心に営業路線を有する私鉄です。中でも京成上野駅と成田空港駅間を結ぶ京成本線、成田スカイアクセス線が収益の柱となっています。また、東京ディズニーリゾートの運営会社である㈱オリエンタルランドの創業時からの株主であり、現在も㈱オリエンタルランドの22.15%を有する筆頭株主でもあります。
 当ファンドでは、訪日旅行者の拡大に伴う空港輸送需要の増加と、同社が保有する㈱オリエンタルランドの株式価値が適正に評価される可能性に注目し、投資しています。
 同社は短期的には訪日旅行者の回復による業績改善が期待できるとともに、日本が観光立国を目指す中で中長期的な業績拡大が期待できると考えます。日本政府は現在、2030年に年間6,000万人の訪日旅行者を目指すビジョンを掲げています。その過程で、成田空港では現在3本目のC滑走路を新設するとともにB滑走路を延伸する計画が進んでおり、将来的な空港利用客は大幅に増加すると考えられます。同社は成田空港機能強化に伴う中長期的な輸送需要増への対応として、プロジェクト推進部を設置するなど組織体制を強化しており、長期にわたって同社収益にプラスが続くと当ファンドでは期待しています。
 更に当ファンドでは、同社が保有する㈱オリエンタルランドの株式価値が今後適正に評価される可能性にも注目しています。同社は㈱オリエンタルランドが運営する東京ディズニーリゾートの創業に携わった会社の一つとして知られています。長年保有している㈱オリエンタルランドの株式を時価評価すれば実質的なPBR(株価純資産倍率)は1倍を下回る状況であり、株価は同社の企業価値に対して割安と考えます。一方、同社が保有する㈱オリエンタルランドの株式は有効活用される可能性が低い、言わば「開かない貯金箱」であり、株式市場から適切に評価されてこなかった可能性があると当ファンドは考えています。今後の成長戦略や株主還元強化について議論を進める中で、保有する㈱オリエンタルランドの株式の価値が顕在化されるよう、今後も対話を進めてまいります。

今後の運用方針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成長性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる銘柄を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR、PER(株価収益率)、EV/EBITDA、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

2023年4月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年4月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比2.70%の上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、月前半に軟調な米国経済指標(ADP雇用統計、ISM非製造業景況感指数)が相次ぎ、景気後退懸念が高まったことから下落して始まりました。しかし月半ばには植田日銀総裁の金融緩和維持を支持する発言や、米著名投資家の日本株追加投資を巡る思惑から上昇に転じました。月後半は米地方銀行の巨額預金流出による警戒感から下落する局面もありましたが、日銀が金融緩和維持を決定したことで株式市場に安心感が広がり、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。

ファンドの運用状況

 2023年4月、当ファンドのパフォーマンスは前月末比0.59%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同2.70%の上昇を2.11%下回りました。
 当月、当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、EIZO、オイシックス・ラ・大地などでした。
 コンピューターモニターなどの映像関連機器メーカーであるEIZOは、特に会社からの大きなニュースはありませんでしたが、1月末に発表した2023年3月期第3四半期決算以降、業績悪化底打ちへの期待感などから株価は上昇を継続しているものと思われます。
 オンライン食品販売会社のオイシックス・ラ・大地も特に会社からのニュースはありませんでした。2月に発表した2023年3月期第3四半期決算において、プロモーション強化で、Oisix事業を中心に会員数の増加傾向が続いていることなどが確認されたことから、株価が堅調に推移しているものと思われます。
 一方、当ファンドのパフォーマンスにマイナスに影響した企業はSHOEI、MARUWAなどでした。
 ヘルメットメーカーのSHOEIは当月26日に2023年9月期第2四半期決算を発表しました。上半期の営業利益は前年同期比で24.8%増となり、好調を維持しています。一方株式市場では、足元の中国の消費関連統計の減速感を受けて同社のヘルメット需要に対する先行き不透明感が嫌気され、株価が調整しているものと思われます。
 当月の投資活動として、新規で京成電鉄、しずおかフィナンシャルグループを組み入れました。
 当月は、当ファンドの投資先である「ナカニシ」に対する投資見解、対話内容をご説明します。
 ナカニシは、歯科治療用ハンドピース(ドリル)などを手掛ける歯科医療用機器メーカーです。現社長の中西英一氏の祖父である中西敬一氏が1930年に創業し、第二次世界大戦の混乱の中で一時事業を中断していた時期を経て、1951年に現在本社がある栃木県鹿沼市で再興しました。独自技術を活用し、現在は歯科向けのみならず、外科医療や機械工業向けにも利便性の高い製品を提供しています。同社は1979年に歯科機器の海外輸出を開始して以来、世界各国に販売拠点を設立し、早い時期から海外市場の開拓に取り組んできました。今日では世界135ヵ国以上で同社製品が販売され、海外売上高比率は81.7%(2022年12月期)に達します。特に歯科用回転機器のカテゴリーで世界トップシェアを誇ります。
 同社の強みは、1分間に40万回転という速い回転速度を実現する「超高速回転技術」、ものを削る力として応用される「超音波技術」、超低速域から高速域まで幅広い回転領域で安定的なトルク(回転力)と滑らかさを実現する「マイクロモータ技術」の3つのコア技術に集約された革新的な「削るテクノロジー」にあります。これらの独自技術を追求してきた結果、9割の部品を内製化していることが差別化要因となり、高い収益性を可能にしています。
 同社の手掛ける歯科・外科向け医療機器に対する需要は、健康寿命に対する世界的な意識の高まりを背景に、安定的に伸びることが期待されます。当ファンドでは、特に北米市場でのシェア拡大が同社の成長を牽引すると考えます。北米の歯科医の間でNSKブランド(同社の自社ブランド名)が本格的に認知され、一定の実績を獲得し始めています。直近の2022年12月期決算では北米事業が前年比28.2%増と、大幅増収となりました。競合他社がコロナ禍の中で営業人員を削減する中、同社はむしろ営業人員を強化し、従来主なターゲットとしていた一般開業医に加え、大学病院などの新規チャネルへの販売を強化しています。今後は更に、同社が出資している歯科治療台メーカーDCI International社(米国)の販売網を使った事業展開も見込まれ、継続的なシェア拡大による成長を当ファンドは期待しています。
 一方、同社は過去から内部留保を積み上げた結果、株主資本比率は約88%に達し、30%超という高い営業利益率に比してROE(株主資本利益率)は14.4%に留まっています(2022年12月期)。そうした中で同社経営陣がROE改善へ向けた取り組みに着手し始めていることに当ファンドは期待しています。2022年8月に発表した新たな中期経営計画の中で、「PL経営から資本効率も重視した経営へ進化」することが謳われ、安定的な増配と機動的な自社株買いを組み合わせて総還元性向50%を中期的な基準とすることなどが発表されました。ROE目標は2025年12月期で11%と保守的な印象を受けるものの、同社が資本効率指標を定量的に明示したことは評価できます。今後、過度な内部留保によりROEが劣化することを回避すべく、当ファンドも対話を通じて資本効率の改善を積極的に後押ししていく方針です。
 また、当ファンドは同社が企業価値向上のためにスタンダード市場からプライム市場へ移行することを期待しています。同社はプライム市場の上場基準を満たしているにもかかわらず、あえてスタンダード市場に上場しています。スタンダード市場が上場企業として最低限のガバナンス水準を求めているのに対して、プライム市場は企業がより高いガバナンスの質を備え、投資家と建設的に対話し、共に企業価値向上を追求する場として期待されています。プライム市場ではなくあえてスタンダード市場を選ぶという消極的な判断が取られたことは、株主にとって残念です。当ファンドは引き続きプライム市場への移行についても同社と粘り強く対話を続けていきます。

今後の運用方針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで企業を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場成長性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる企業を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

2023年3月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年3月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.70%の上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、FRB(米国連邦準備制度理事会)の利上げ再加速の思惑を受けて米国株式市場が軟調に推移する中、円安が日本株を支える展開で始まりました。月半ばにかけては、米シリコンバレー銀行の破綻に端を発した欧米金融不安の急拡大を受け、リスク回避姿勢が強まったことから大幅な下落に転じました。しかし月後半になると、スイスの金融大手UBSによるクレディ・スイス・グループ買収や米当局による預金保護などの対応で金融システムへの不安が和らぎ、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。

ファンドの運用状況

 2023年3月、当ファンドのパフォーマンスは前月末比2.48%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同1.70%の上昇を0.78%上回りました。
 当月、当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、EIZO、ワコムなどでした。
 コンピューターモニターなどの映像関連機器メーカーであるEIZOは、1月31日に2023年3月期第3四半期決算を発表し、減収減益となりました。これは主に、パチンコ遊技機に搭載される液晶モニターの売上の大幅な減少によるものですが、業績悪化底打ちへの期待などから、株価は決算発表以降、堅調に推移しております。
 一方、当ファンドのパフォーマンスにマイナスに影響した企業はナカニシ、オイシックス・ラ・大地などでした。歯科医療用ハンドピースメーカーのナカニシは、製品力・販売力を武器に世界シェアの拡大を続けており、2月に発表された2022年12月期通期決算では過去最高業績を更新しております。同社の中長期的な成長力に対する当ファンドの見方に変更はありませんが、短期的な出尽くし感が優勢となり、株価が調整したものと思われます。
 当月の投資活動として、FOOD & LIFE COMPANIESを全売却しました。
 当⽉は、当ファンドの投資先である「EIZO」に対する投資⾒解、対話内容をご説明します。
 EIZOは、1967年に⽯川県七尾市で七尾電機株式会社として設⽴されたコンピューター⽤の⾼機能モニターメーカーです。三菱電機と村⽥製作所のオーナーが共同出資で設⽴し、三菱電機の⽩⿊テレビをOEM⽣産(Original Equipment Manufacturing︓他社ブランドの製造を⾏うこと)したことが事業の始まりです。1985年に⾃社ブランドにてコンピューター⽤CRTモニター(ブラウン管)を開発・⽣産し、欧州や北⽶市場向けに販売を開始しました。当時は⽇本国内での同社ブランドに対する認知度が⾼くない中、品質の良いものを認める⽂化が根付く欧州を⾃社ブランド製品の販売先として選択したとのことです。現在ではEIZOブランドを展開する国・地域は100を超え、遊技機向け液晶モニターを除くと、海外売上⾼⽐率は6割を超えており、グローバルカンパニーとして成⻑を続けています。
 当ファンドは、EIZOの強みはクラフトマンシップによる妥協なきモノづくりにあると考えています。OEMなどを活⽤して⼤量⽣産⽅式で展開する他の⼤⼿モニターメーカーとは異なり、EIZOは100%⾃社開発・⾃社⽣産による⼀貫した品質管理を⾏っています。「世界で⼀番良いものを創る」ことを⽬指して映像に関するあらゆるノウハウをグループ内に蓄積し、開発・調達・⽣産の各プロセスにおいて、独⾃の競争⼒を発揮しています。特に最終検査においては、⼀台⼀台、⼈による⽬視検査を⾏っています。モニターは常に⼈が⾒て使⽤する製品であるため、検査の⾃動化が進んでも、「⼈の⽬」による検査が重要であるとのことです。このようなクラフトマンシップによるモノづくりは、⼤量⽣産⽅式では実現が難しく、EIZOの強固な競争優位性につながっていると考えます。
 EIZOが展開する事業領域は、⼀般オフィス向けにとどまらず、医療、映像制作、航空管制、船舶など⾼い製品品質が求められる多様な領域に広がっています。過去の業績推移を振り返ると、2007年3⽉期にはパチンコ・パチスロ遊技機に搭載される液晶モニターの売上⾼が全社業績の過半を占めていましたが、遊技機市場は中期的な縮⼩が懸念されていたことから、同社は積極的にビジネスモデルの転換を推進してきました。2023年3⽉期会社計画では、遊技機向けの売上⾼は、全売上⾼の1割程度にまで低下することが予想されています。遊技機向けビジネスの縮⼩を埋め合わせ、全社業績の拡⼤をけん引しているのが特定⽤途向けモニターです。当ファンドでは、特に医療向けモニターの成⻑に期待しています。CTやMRIなど、微細な陰影やわずかな濃淡差を忠実に再現することが不可⽋な診断・検査領域において、EIZOは⾼精度のモニターを提供し、グローバルに⾼いシェアを誇ります。医療のデジタル化を背景に、医療⽤モニターへの需要は中⻑期的な拡⼤が⾒込まれます同社の株価は従来、パチンコ関連事業と言う評価から、株価バリュエーションにディスカウントがあるものと考えております。ESG投資が拡大する中、ギャンブルに分類されるパチンコ関連ビジネスの関与が、同社の株価をマイナスに評価している恐れがあります。しかし、娯楽の多様化を背景としたパチンコ人口の減少により、国内における遊技機設置台数は減少傾向にあり、EIZOは先述のように、全社売上高に占める遊技機向け比率を大幅に縮小しながら業績を拡大しております。結果として同社の事業ポートフォリオ変革が更に進展することでバリューギャップが解消することを期待しております。
 当ファンドは、EIZOの資本収益性には改善余地があると考えます。現状、同社のROE(株主資本利益率)は6%台にとどまっています。10%以上の営業利益率を獲得する力があることを鑑みると、ROEも現状より高い水準を実現してしかるべきと当ファンドは考えます。ROEを低減させる要因として、同社の手元現預金や投資有価証券などの金融資産が約557億円あり、総資産の約3分の1を占めていることが挙げられます(2022年12月末時点)。同社の12月末時点の時価総額は約753億円ですので、言い換えれば、株式市場は同社ビジネスの価値は約196億円しかないと評価していることになります。EIZOの持つ圧倒的な技術力や品質に基づく競争優位性があるにもかかわらず、保有する金融資産が有効活用されないことによって、資本コストを十分に上回るROEが実現されず、株主価値を毀損する恐れがあると考える投資家が多いためであると当ファンドは考えます。
 当ファンドは、2022年初から同社経営陣と対話を開始し、資本収益性の低さが同社株式に対する評価を阻害している懸念を伝えました。その後、同社は2022年5月に自社株買い(上限40億円)および、買収防衛策の廃止を発表しております。また同年12月の対話では、経営陣から「それまで投資家と会社側では資本収益性に対する立場が異なると認識していたが、(当ファンドとの対話を通じて)その考え方が変わりつつある」とのもコメントいただいております。
 当ファンドでは、EIZOの中長期的な成長を実現する上で、対処が求められるさまざまな経営課題について経営陣との対話を続け、同社の企業価値向上を積極的に後押ししていく方針です。

今後の運用方針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成⻑性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる企業を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるきっかけ(カタリスト)になると見込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

2023年2月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年2月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.95%の上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、米長期金利上昇などを受け米国株式市場が軟調となる中、円安が日本株を支える展開で始まりました。月半ばにかけては、市場予想を上回る米国のCPI(消費者物価指数)やPMI(総合購買担当者景気指数)を受けて利上げの長期化懸念が再燃し、日本株も下落に転じましたが、月後半にかけては、植田次期日銀総裁候補が所信聴取で金融緩和継続を明言したことや円安の進行が日本株相場を下支えし、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。

ファンドの運用状況

 2023年2月、当ファンドのパフォーマンスは前月末比3.84%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.95%の上昇を2.89%上回りました。
 当月、当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、SHOEI、マックスなどでした。
 ヘルメットメーカーのSHOEIは、当月22日に1:2の株式分割を発表したことなどが好感され、株価が上昇しました。1単元当たりの投資金額が小さくなることで投資家層の拡大が期待されるほか、株式数が増えることで株式流動性が向上するなどのメリットが期待されているものと思われます。
 オフィス機器および建築工具等の産業機器メーカーであるマックスは、1月31日に好調な2023年3月期第3四半期決算を発表し、同時に通期業績予想の上方修正も発表したことが好感され、株価が上昇しました。引き続き同社の主力製品である鉄筋結束機の国内・海外市場での拡販が順調に進み、鉄筋結束機を中心としたコンクリート構造物向け工具については、2024年3月期売上高目標に対して予想以上のスピードで進捗しているとのことです。
 一方、当ファンドのパフォーマンスにマイナスに影響した企業は、筆記具メーカーのパイロットコーポレーションなどでした。
 同社は当月13日に2022年12月期通期業績を発表しました。海外市場での売上拡大と円安の恩恵により、営業利益は過去最高水準に達しています。しかし、昨年後半から海外事業の伸びが鈍化し始めており、2023年12月期業績はほぼ横ばいになることが予想されています。世界的な景気の動向次第では業績予想が下振れる可能性もあることが懸念され、株価が軟調に推移しているものと思われます。当ファンドは同社の中長期的な成長に対する見方を変えていませんが、今後の業績動向を注視していく考えです。
 当月の投資活動として、全売却及び新規投資はありませんでした。
 当月は、当ファンドの投資先企業である「SHOEI」について、当ファンドの見解と対話内容をご説明させて頂きます。
 1959年に設立された同社は、その卓越したデザインや機能性、品質の高さからグローバルに多くのファンをもち、世界のプレミアムヘルメット(高い安全性・機能性・デザイン性を兼ね揃えたヘルメット)市場で約60%のトップシェアを誇る企業です。同社のヘルメット販売個数は2017年9期の50.6万個から2022年9期の76.7万個へ、生産個数は52.5万個から80万個へと1.5倍以上に拡大しています。事業規模の拡大に合わせ人員数も同じように増えていますが、1人当たり年間生産個数(当期の生産個数÷過去2期平均の人員数(連結ベース、嘱託・パートタイムを含む))は、5年前の1,033個から、1,100個へ増えています。同社のヘルメットは完全に機械化されたラインで製造される工業製品とは異なり、作業員の手による工程が多くあります。同じデザインでも人種ごとに微妙に異なる骨格に対応する形状やサイズを揃え、かつ地域ごとに異なる安全規格に対応するために異なる素材を使用するなどしているため、多品種生産が基本です。上記の人員数は工場の作業員以外の人も含まれており、生産個数は様々な要因によって左右されるため、単純に生産性が上がっているとは言い切れない可能性があるものの、生産数量が急拡大する中でも効率を落とすことなく高い生産性を維持できていることは評価できると考えます。
 同時期に同社の連結売上高は約1.85倍、営業利益は約2.42倍になっています。この背景には、同社が高いブランド力と商品開発力を武器にグローバルで販売数量を伸ばしながら、デザイン性・機能性に優れた新製品を発売するごとに価格を引き上げることに成功していることがあります。要するに、価格を上げても、同社のヘルメットを欲しがる人が増え続けているのです。同社の営業利益率は過去5年間で改善を続け29%に達しています。この収益力の高さに同社のブランド価値が凝縮されていると考えます。
 当ファンドは当月、茨城県稲敷市にある同社の茨城工場を見学する機会を得ました。同社は設計・開発・生産のすべてを日本国内で完結する体制を構築しており、茨城工場と岩手工場の2拠点で生産しています。敷地面積や生産規模は1989年に設立された岩手工場の方が大きいものの、1967年に設立された茨城工場は技術・製品開発の要所となるマザー工場として機能しています。茨城工場は現在、嘱託・パートタイムを含む約300名の作業員を抱え、1日当たり1,350個ほど生産しています。春になって気温が上がるとバイクに乗る人が増えるため、かつてはその時期に向けて生産数量を増やす12~4月頃が繁忙期だったものの、近年は繁閑の差がなくなり、一年を通してフル稼働の状態が続いているそうです。
 製造工程は大きく分けて、①成形部(帽体成形とカット)、②品質管理部(全数検査)、③塗装部(下塗り)、④塗装部(上塗りとフィルム転写)、⑤内装組立て、の5つに分けられます。工程によっては機械化が進んでいますが、機械では代替できない細かい作業が必要な箇所については、人の手による作業やチェック工程が多く残されています。実際の様子については同社ホームページに写真や動画も公開されているので、ぜひご覧下さい(https://www.shoei.com/quality/manufacturing_technology.html)。
 現地で見学しながらあらためて感じたのは、同社が長年にわたり蓄積してきた開発・製造ノウハウと、それを支える同社の企業文化や人材育成の仕組みが一体となってはじめて独自の価値が生み出されているということです。他社が全く同じ機械を揃えても、SHOEIと同じヘルメットを作ることはできないであろうことが、現場の様子を見て想像できました。生産性を上げるために多くの機械が導入されているものの、要所で職人技とも言える人の手で加えられた微調整がなければ、SHOEIのヘルメットは完成しません。これこそが価値を生み続ける源泉となるものであり、他社が容易に真似できない競争優位性を支えるものです。同社によれば、毎月カイゼン(作業効率や安全性の確保などをより良いものにするよう見直す活動)のための勉強会を開催し、全作業員が絶え間なく改善案を出す仕組みが出来ているとのことです。このような企業文化が根付いているのは、同社が1993年に会社更生法が適用された歴史をもつことにも起因しています。同社は倒産を契機に、トヨタ自動車㈱が開発した生産管理システム「ジャストインタイム」(生産工程において、必要なものを、必要なときに、必要な量だけ供給することで、在庫を徹底的に減らした効率的な生産体制)を導入しました。放漫経営により過剰在庫が工場の外まで溢れ、無駄な資材が放置されて散らかっていた生産現場を整理整頓するところから会社の立て直しを始めたのです。以来、同社は過剰在庫を生まないために、生産数量を厳格に管理し、製品を作りすぎない方針を徹底しています。近年の世界的なSHOEI人気による需要の高まりに製品の供給が追い付いていない状況があるのは、このような堅実な経営方針によるところも一因です。
 現地を見学して印象的だったのは、同社の生産現場の作業員の平均年齢が、一般的な企業と比べて低いように見受けられたことです。日本の多くの生産現場で、定年退職を迎えるベテランのノウハウをいかに次世代に継承するかが課題になっていますが、茨城工場では50代以上と思われる人を探すのが難しいくらい、20~40代の若い作業員が中心の職場になっていました。同社によれば、バイク用ヘルメットという製品の特性のためか新卒・中途いずれも若い人の応募が多いとのことです。現場の皆さんが、ものすごい集中力で黙々と作業に没頭しスピーディに作業を進めていく姿は圧巻の光景でした。全体的な男女比も大きな差はありませんでした。グラフィック転写フィルムを手作業で貼り付ける工程は1個あたり20~30分の時間がかかるそうですが、上手な人を配置すると、意図せず女性ばかりになってしまうそうです。見学当日も約20人の作業員の方全員が女性でした。性差の区別なく人材を育てるため、男性の転写チームを養成しようとしているとのエピソードは、同社らしいカルチャーだと思いました。
 今回の工場見学を通じ、SHOEIのヘルメットがいかにこだわりぬいて作られたものか、生産現場がいかに自社製品の品質にプライドをもっているかを実感し、同社のヘルメットが「プレミアム」と呼ばれる所以、多少価格が高くとも熱烈なファンに愛されて飛ぶように売れる理由が分かったように思います。一方、生産現場を目の当たりにして再認識したことは、生産現場にかかわる作業の身体的負担の大きさです。これは同社に限ったことではありませんが、基本的に生産現場で作業員は長時間にわたって立ちっぱなしになったり、一定の姿勢を強いられたりすることが多々あり、目を酷使したり、長時間水に手を晒したり、工場内の独特の化学物質の臭いにも晒されるなど、その負担は決して小さくないと考えます。慣れてしまえば大きな負担ではないのかもしれませんが、若い人なら苦ではない作業も、長年続けられるのかどうかという疑問もあります(注記:当然ながら多くの化学物質を扱う作業においては防護服やマスクが使用されます。また、工場内の作業環境が健康に害を及ぼすような問題がないかは定期的にしっかりチェックされています。)。
 同社は昨年、現在の茨城工場に隣接する土地を購入しました。具体的な計画は未定ですが、すでに限界に近づいた生産キャパシティの拡充を図るため、新工場や倉庫を建設することが予定されています。同社は2022年9期末時点で約139億円の手元現預金を抱え、有利子負債もゼロのキャッシュリッチ企業です。資本効率を高めるためにも、手元現預金を成長の期待できる事業への投資に投じることは投資家として歓迎したいと思います。同社にとって3つ目となる工場を一から立ち上げるに際してぜひ経営陣に検討していただきたいのは、最新技術を活用し、さらなる生産工程の省人化・機械化を図った生産性の高いシステムと作業員の負担をより軽減できるような環境を追求することです。日々進歩する技術を駆使し、製品の品質が変わらない部分はさらなる省人化・機械化を通じて生産性を上げれば、同じ人員数でより多くのヘルメットを生産することができるようになるだけでなく、作業員の負担の軽減にもつながるものと考えます。当初はコストがかかっても、今の生産現場を担う若い社員が10~20年後も安心して働くことのできる環境をつくることは、中長期的に見れば同社の企業価値向上に資すると考えます。同社はこれまで、契約社員にも賞与を支給し、3年以上勤務した非正規雇用者は正社員として登用するなど、元来、従業員の待遇に配慮する企業文化があります。2021年には一定以上の勤務年数の正社員に一律100株の自社株を配布し、従業員株式報酬制度を導入するなどの先進的な取り組みも行っています。将来に建設される新工場が、さらなる生産性向上を追求した作業員にとっても快適な先進的な工場になることを期待したいと思います。当ファンドは対話を通じて同社の企業価値向上を積極的に後押しする方針です。

今後の運用方針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成長性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる企業を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA倍率(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価格(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるカタリスト(きっかけ)になると見込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

2023年1月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年1月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比4.42%の上昇となりました。
 当月の日本株式市場は下落から始まりました。月前半に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した2022年12月の米製造業景況感指数が2年7カ月ぶりの低水準だったことや、中国製造業購買担当者景気指数(PMI)も低迷が続いたことから、景気後退への懸念が高まったのが主な要因と見られます。月半ばには、日銀が金融政策決定会合で大規模な金融緩和を維持すると発表したことを受け、株式市場は上昇に転じました。月後半には、米国連邦準備制度理事会(FRB)の理事が利上げ幅緩和の支持を表明したことや、米有力紙による早期利上げ停止の観測報道を受け、日本でも成長株を中心に株価が堅調に推移した結果、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。

ファンドの運用状況

 2023年1月、当ファンドのパフォーマンスは前月末比2.45%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同4.42%の上昇を1.97%下回りました。
 当月、当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、ナカニシ、ワコムなどでした。
 歯科医療用機器メーカーのナカニシは、特に会社からの大きなニュースはありませんでしたが、歯科医療用機器は景気動向に左右されにくいビジネスであることから、経済の先行きに対して不透明感が高まる中、相対的に見た業績の底堅さが投資家に選好されたものと思われます。歯科用回転機器で世界的にトップシェアを誇る同社がその高い製品力を武器に世界の歯科機器市場でシェア拡大を続けると当ファンドは期待しています。
 デジタルペンタブレットメーカーのワコムは、昨年10月に2023年3月期通期業績予想の下方修正を発表した後、株価が下落を続けていました。その反動から当月は株価が反発したものと思われます。同社は当月31日の引け後に2023年3月期第3四半期決算を発表し、同時に通期業績予想のさらなる下方修正を発表したものの、悪材料出尽くしとの見方や、自社株買いの増額を同時に発表したことにより、翌日の株価は大きく上昇しています。同社の業績悪化の背景には、過去2年間で広がったリモートワークやオンライン授業に関連する特需が一巡したこと、世界的な景気減速を受けた消費者心理の悪化による売上減少に加え、円安により部材コストが上昇し、自社ブランド製品を販売するブランド製品事業セグメントの収益が悪化していること等があります。同社は独自ソフトウェアやサービスを軸とした新たな課金型ビジネスの確立により収益基盤を強化する取り組みを進めていますが、新ビジネスの本格的な立ち上がりには時間を要する見込みです。長期的に見た同社の潜在成長力に対する当ファンドの期待は不変ですが、引き続き業績動向を注視しつつ、経営陣との対話を通じて積極的に企業価値向上を後押しする方針です。
 一方、当ファンドのパフォーマンスにマイナスに影響した企業は、筆記具メーカーのパイロットコーポレーションなどでした。同社は昨年11月に2022年12月期第3四半期決算を発表した後、株価が軟調に推移しています。決算自体にサプライズはありませんでしたが、海外事業の拡大ペースが鈍化しはじめており、世界的な景気減速が懸念される中、今後の業績伸長が停滞する可能性があると見られ株価が下落したものと思われます。
 当月の投資活動として、全売却及び新規投資はありませんでした。
 当月は、当ファンドの投資先企業であるマックス、森永製菓、帝国繊維との対話についてご報告させて頂きます。

マックス

 同社は2022年10月に初の統合報告書を発行しました。同報告書では、同社の経営課題に対する経営陣の問題意識、それらに対する現在進行形の取り組みや社内での議論の状況が丁寧に説明されています。「人が尊重され、人が成長することにより、会社も成長する」という考えに基づいた同社基本ポリシーである「人を信じ、活かす経営」の通り、人を活かす同社の企業文化の一端を感じることができる良い報告書だと思います。
 当ファンドでは、①低収益事業・製品を見直し、事業ポートフォリオの選択と集中を進めることで収益基盤をさらに強化すること、②総資産のおおよそ半分を占める金融資産を、より積極的に事業投資や株主還元に活用し適正水準へ削減することを、同社の対処すべき課題として認識しています。①②を両立することで、長年にわたり6~7%台で推移する市場平均と比較しても低いROE(株主資本利益率)を早期に改善できると考え、この必要性を指摘し、経営陣との対話を継続しています。また、健全な株価形成を妨げている要因として、同社株式の低流動性の問題があることから、大株主である複数の政策保有株主に働きかけて保有株式を売却してもらい、一部を自社株買いで吸収することが望ましいとの考えも伝えています。
 統合報告書では、財務担当役員や独立社外取締役から、「(将来的に)ROE10%を目指すことになるだろう」「企業価値を高めるためROE10%の目標実現に向けた具体的な取り組みを検討すべき」「取締役会がマックスの企業価値をどのように高めようとしているかについての発信が不足している」といった言及があり、同社役員が当ファンドと同様の課題認識をもっていることが確認できたことは大変心強いと考えます。
 今後、世界的な金利上昇と景気減速に伴い建設関連投資が縮小すれば、マックスの主力事業である鉄筋結束機も影響を受ける可能性があります。しかし、同業他社において同水準の性能をもつ機器が存在せず、同社の鉄筋結束機「ツインタイア」は実質的に世界で唯一無二の製品であること、省人化による建築現場の効率向上や労務費削減に通じる製品であることから、同製品は他の建設関連企業と比較して相対的に景気の影響を受けづらい事業であると当ファンドは見ています。鉄筋結束機事業を中心とした同社の中長期的な成長余地に対する当ファンドの期待は不変であり、同社が事業ポートフォリオならびにバランスシートの見直しにかかる取り組みをよりスピード感をもって進めることで、10%以上のROEを恒常的に実現できる経営基盤をなるべく早期に構築することを期待しています。

森永製菓

 同社は2022年12月、機関投資家向けにIR Dayを開催しました。当日は、横浜市にある同社の鶴見工場敷地内に新設したミュージアム「MORIUM」ならびに新研究所棟の見学会のほか、研究所長である森取締役上席執行役員によるR&D戦略説明会も開催され、多様な食感を生み出す加工技術など、同社が蓄積してきた独自技術の発展やその他新技術の可能性について学ぶ大変有益な機会となりました。約48億円を投じて建設された地上4階建の新研究所は、大小さまざまなミーティングルームやラウンジ、複数のキッチン、試作品製造用ラインをそろえ、同施設で働く研究員が研究に没頭できる環境に配慮しただけでなく、同社が戦略上重視する他企業との共創を促すための環境が整備されています。この研究所ができたことで、以前と比べ格段に他企業からの来訪数が増えているとのことです。この新研究所でさまざまな人と企業の共創を通じた化学反応が生まれ、同社がウェルネスカンパニーへと進化するための基盤づくりに貢献することを当ファンドは期待しています。
 当ファンドは、同社がより資本コストを意識した経営方針を明確にしたことに大きな期待を寄せています。IR Day当日は、同社の太田社長も参加する中、2021年に外部から経営に参画し2022年に最高財務責任者に就任した髙木取締役上席執行役員による方針説明も行われました。髙木氏からは、現状の手元現預金水準はやや過剰であり、来期までに月商の約2か月分程度の水準へ削減する考えがあること、加えて事業ごとのROIC(投下資本利益率)管理を導入することを検討していることなどが言及されました。同社は2022年、保有していた森永乳業株式を売却し保有資産を削減すると共に、その売却代金を活用して100億円の自社株買いを行っていますが、引き続き余剰資本を活用し、機動的に自社株買いを行うことを検討していくとのことです。また同社はゴルフ場も保有しており、資本効率のさらなる改善へ向け、本業とは関係のない資産の売却も早急に実行することを当ファンドは期待しています。
 同社の過去5年の資本使途(2023年3月期まで、一部推定)は、キャッシュイン(営業キャッシュフロー+投資有価証券売却損益)に対して平均して約6割が設備投資、3割が株主還元に充当されています。同社は近年、老朽化した生産設備や前述の研究施設の刷新などを進めるべく、設備投資を大きく増やしています。2020年3月期から2022年3月期の3年間の設備投資金額は、約500億円に急増しています。さらに同社は、2022年6月に芝浦ビルの建替えと同ビルへの本社機能の移転を発表しており、この投資は約90億円の社債を調達して実行される予定ですが、これにより設備投資比率はさらに高くなることが見込まれます。一方、キャッシュフロー創出力を表すEBITDA(利払い前税引き前減価償却前利益)は2022年3月期までの数年間ほぼ横ばいで推移しており、今2023年3月期は原材料高の影響等から減益となる見込みです。ここ数年の同社株価は低迷しており、これら積極投資がいつ収益化できるかを経営陣は問われていると言えます。近年、同社が北米市場でハイチュウの拡販に成功していることは好材料の1つですが、北米事業の規模はまだ小さく、全社業績に大きく貢献するほどの成果が出るまでには時間を要する見通しです。当ファンドは同社経営陣との対話を通じ、あらためて資本収益性を意識した経営を徹底し、改善の取り組みを加速することを働きかける方針です。

帝国繊維

 当ファンドは2022年12月、同社の桝谷社長と面談の機会をもちました。引き続き、同社の資本収益性の低さ、それが改善される見込みがないことに対する懸念を伝え、対話を継続しています。同社株価は数年来、下落傾向にあり、足元でPBR(株価純資産倍率)は0.7倍前後で推移しています。同社の2021年度末時点の純金融資産約400億円ですが、2023年1月末時点の時価総額が約426億円であることを踏まえれば、正味事業価値は実質的に26億円と評価されているに等しいと言えます。当ファンドは、同社がより規律ある資本管理を行うため、本年2月に発表予定の新たな中期経営計画『テイセン2025』において、6~7%台で推移するROEを最低でも8%以上へ引き上げることを中期目標として掲げ、そのための具体的な施策について説明することを面談でも働きかけています。また、同社の中期目標指標や経営管理のためのKPI(重要業績評価指標)として、現状は「経常利益」が使用されていますが、これを政策保有株式の配当収入を含まない、本業の稼ぐ力を示す「営業利益」にすることが適切である旨も伝え、変更を促しています。例えば2021年度は、経常利益57億円のうち、約7億円が受取配当金収入です。同社役員の業績連動報酬も経常利益を基準に算定されており、これも配当収入を含まない営業利益を基準にするべきであると考えます。
 同社は防災関連製品の総合企業として、長年の供給実績から強固な顧客基盤をもち、その優位性は15%前後という高い営業利益率にも表れています。国内防災関連市場は成熟市場ですが、同社は自治体の水害対策向け大量送排水ポンプやセキュリティ関連ビジネスなど新規事業の拡大に積極的に取り組むことにより、年率5%以上の売上・利益成長を実現しています。新規事業の規模はまだ限定的ですが、当ファンドは桝谷社長との面談を通じ、「もっと会社を成長させたい」という同氏の強い意欲を感じ、その姿勢を評価しています。面談で桝谷社長からは、同社が株式市場で低評価に甘んじている背景に、同社の社員自身が社会における自社の価値を十分に認識していないことにも起因しているのではないかという趣旨のコメントがありました。核心をついた言葉だと思います。投資家が同社に対する評価を見直すことと、同社の経営陣や社員自身が、「もっと社会から評価されたい。帝国繊維はもっと高く評価されてしかるべきだ」と考え、そのための取り組みに力を入れることは表裏一体だと思うからです。社会、株式市場から適切に評価される企業になるため、稼いだ資本や保有資産をどのように活用して企業価値向上を実現するかということを経営陣や社員の皆さんがより一層真剣に考え始めた時、外部からの評価が変わりはじめるのではないかと思います。当ファンドの働きかけを受け、同社は2022年から投資家向け決算説明会や工場見学を開催し、投資家とのコミュニケーションを改善しつつあります。当ファンドは同社経営陣との対話を継続し、企業価値顕在化を後押しする方針です。

今後の運用方針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成長性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる企業を抽出します。その際ROE水準や安定性などの財務指標や、PBR、PER(株価収益率)、EV/EBITDA、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるカタリスト(きっかけ)になると見込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

2022年12月の運用コメント

株式市場の状況

 2022年12月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比4.57%の下落となりました。
 当月の日本株式市場は、11月30日にFRB(米国連邦準備制度理事会)のパウエル議長が12月のFOMC(連邦公開市場委員会)における利上げ減速を示唆したことを受け、上昇して始まりましたが、その後は米国景気悪化懸念の高まりなどから下落基調をたどりました。月半ばには、欧米中銀の金融引き締め継続による景気悪化懸念や、日銀が長期金利の許容変動幅を修正したことなどを受け、金融政策の転換懸念から株式市場は大幅に下落しました。月後半にかけては、中国が事実上「ゼロコロナ政策」を終了したことでインバウンドや中国経済再開期待が生じる一方、米国の半導体株安や円高の進行を受けて、一進一退で推移しました。

ファンドの運用状況

 2022年12月、当ファンドのパフォーマンスは前月末比5.39%の下落となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同4.57%の下落を0.82%下回りました。
 当月、当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、オイシックス・ラ・大地、森永乳業などでした。
 オンライン食品販売会社のオイシックス・ラ・大地は、2022年前半に株価が大きく下落した後、軟調な株価推移が続いていましたが、11月に発表された2023年3月期第2四半期決算において、第2四半期(7~9月)は季節性から新規獲得会員数が少なくなる時期にもかかわらず、主要3ブランド全てで会員数が純増したこと等が好感され、株価が上昇したものと思われます。
 乳製品メーカーの森永乳業は、急速な円安進行による原材料・エネルギー価格の急騰を受け、業績が大幅に悪化していましたが、11月半ば以降、為替が円高傾向に転じ、業績への悪影響が和らぐとの見方から、株価が上昇したものと思われます。
 一方、当ファンドのパフォーマンスにマイナスに影響した企業は、MARUWA、太陽ホールディングスなどでした。
 セラミック部品メーカーのMARUWAは、特に会社からのニュースはありませんでしたが、11月に株価が大きく上昇した反動に加え、12月に入り、同社製品に対する需要増を牽引してきた電気自動車関連市場の減速が報じられたことを受け、株価が下落したものと思われます。
 電子基板材料メーカーの太陽ホールディングスは、世界的な景気減速の影響等により、同社の主力製品であるソルダーレジストに対する需要が低調に推移していることから、株価が軟調に推移しているものと思われます。
 当月の投資活動として、全売却及び新規投資はありませんでした。
 当月は、当ファンドの投資先である「オイシックス・ラ・大地」について、当ファンドの投資見解をご説明します。
 オイシックス・ラ・大地は、同社の代表取締役社長である高島宏平氏が2000年に創業したオイシックス㈱を中核とするオンライン食品販売会社です。2017~2018年に、同業の㈱大地を守る会、らでぃっしゅぼーや㈱と経営統合し、現在の社名になりました。同社は、Oisix、大地を守る会、らでぃっしゅぼーやの基幹3ブランドの下、ウェブサイトやカタログを通じて顧客から注文を受け、独自の栽培・生産基準に基づいて生産された環境負荷の少ない生鮮食品・加工品などを宅配する国内B2C(Business to Customerの略、企業と一般消費者の取引のこと)サブスク(定期購入、継続購入を意味するサブスクリプションの略)事業のほか、食品EC(電子商取引)ビジネスのノウハウを他社に提供する他社EC支援事業、保育園給食向けに食材や食育支援を行う国内B2B(Business to Businessの略、企業間取引のこと)サブスク事業等も手掛けています。
 共働き世帯の増加による時短ニーズの高まりや、より安心安全なものを食べたいという健康志向の高まりを追い風に、同社は飛躍的に事業を拡大してきました。総会員数は、過去10年間で約75,800人から45.7万人へと6倍以上に増加しています。同社の強みは、全国約4,000軒の青果生産者とつながる調達網、ならびに45.7万人の会員への定期宅配を支える国内最大級の物流センターとミールキット製造工場をもち、独自の販売・在庫管理システムを構築していることに加え、顧客のニーズを取り入れた付加価値の高い独自製品を開発するノウハウをもつことです。同社は青果生産者と直接取引することで、質の高い青果を安定した価格で仕入れることができ、また長年にわたり取引することで、高い栽培技術をもつ優良生産者を囲い込むことができるメリットもあります。生産者側も、同社との取引に応じて契約栽培(品目・時期・量・価格を決めてから作付け)することで、収入の見通しが明確になるというメリットがあります。これまで廃棄していたふぞろいな野菜もミールキットに加工する同社が買い取ることで収益化できるなど、生産者との間でWin-Winの関係を構築できることが、同社の成長を支える原動力になっています。
 同社株価は、2021年9月に上場来最高値を更新した後、大幅に下落し、足元では最高値の半値以下の2,000円前後で推移する状況が続いています。この背景には、コロナ禍を受けた特需により業績が大きく拡大した2020~2021年から一転、その後はコロナ特需が一服したことや、新たに建設した物流センターの立ち上げトラブルにより想定外にコストが増え、業績が落ち込んだことがあります。
 しかし、「より手軽においしく栄養バランスの良い食事を摂りたい」「安全性や環境社会に配慮した食材を買いたい」という消費者のニーズは今後も増え続けると当ファンドは見ており、同社の提供する商品・サービスの価値はますます高まっていくと考えます。同社の潜在成長力や、同社が社会に対して提供し得るユニークな付加価値を考慮すれば、同社の実態価値と現在の株価(市場価値)には、バリュー・ギャップがあると当ファンドは考えます。懸案であった新物流センターのトラブルも2023年3月期上期までに解消し、同センターが正常に稼働し始めたことで、本来の目的であったローコストオペレーションによる物流コスト低減が期待できるフェーズに入ることから、収益性改善が進むことも期待されます。
 同社の成長戦略は、大きく3つの領域に分けられます。一つ目は、売上高の約8割を占める国内B2Cサブスク事業のさらなる成長です。国内食品宅配市場は2020年時点で約2.5兆円規模と推計され、今後も年率3%程度で安定的に成長することが見込まれています。同市場には、従来からのプレーヤーであるCO・OP(日本生活協同組合連合会)による宅配サービスや、近年サービスを拡大するネットスーパーなどが含まれますが、その中でもオイシックス・ラ・大地は、おいしく利便性の高い独自のミールキットを開発することで業界内でも差別化しています。Oisixブランド単体で見た過去5年の売上高年平均成長率が20%を超えていることを踏まえれば、同社が「ミールキット市場」という新たな市場を創出してきたとも言えます。同社はコロナ特需一巡後も引き続き会員数を伸ばしています。今後も多様なニーズに応える独自の製品・サービスを開発し、提供価値を磨き上げることで、国内B2Cサブスク事業の成長が継続することが期待されます。
 二つ目は、法人・事業者向けビジネスの拡大です。同社は、B2Cサブスク事業のインフラを活用し、事業者向けB2Bサブスク事業の拡大に取り組んでいます。2015年にサービスを開始した保育園向けの給食ミールキット事業は、2022年3月期時点で12億円の売上に留まりますが、同社は5年以内に100億円に拡大する計画を掲げています。さらに、2022年10月に同社が約28%の株式取得を完了して大株主となったシダックスとの協業により、シダックスの手掛ける病院や介護施設向けの給食事業向けに、同社の安心安全な食材や健康に配慮した付加価値の高いミールキットを提供することにより、事業拡大を図ることが期待されます。
 三つ目は、海外事業の拡大です。同社は国内B2Cサブスク事業で培ったノウハウを活用し、海外でも同事業を展開することを目指しています。同社は2019年に米国でヴィーガン(肉や魚など動物性の食品を一切食べない生活スタイルのこと)向けのミールキットブランドPurple Carrotを手掛ける運営会社を買収したほか、数年前から香港や上海でもOisixブランドの食材宅配サービスを開始しています。現時点では、これら海外事業の成否は未知数です。同社が海外市場を本格的に拡大する上では、人材の確保など課題も多いと当ファンドは見ていますが、世界的な成長市場であるミールキット市場のシェアを海外でも積極的に取りに行こうとする同社経営陣の成長への意欲を支持したいと考えます。コロナ禍を経て、世界的により健康に配慮した食事に対する意識が高まっている中、日本発のミールキットを手掛ける同社が海外でも認知度を高め、グローバル企業へと飛躍する可能性に期待しています。
 同社が、「サステナブルリテール戦略(ビジネスモデルとテクノロジーの力で地球にも人にもよい食を提供する)」を掲げ、事業の発展を通じてフードロスや温暖化ガス削減に貢献することを明確に意識していること、それを収益拡大の機会と見ていることにも当ファンドは注目しています。同社は独自の在庫管理システムにより、もともとスーパーなどの実店舗型小売業と比較して低いフードロス率を実現していますが、新たにフードレスキューセンターを立ち上げ、従来は産地や工場で捨てられていた食材を活用した商品を開発する取り組みを本格化しています。これにより、より積極的にフードロス削減を図りつつ、製造工程の効率化も進めることで原価率の低減を実現しようとしています。また、同社の売上あたりCO2排出量は、実店舗型小売業平均の約半分と推計されていますが、これに加え、同社が推進する有機・低農薬農法は、CO2をためられるバイオ炭の活用により、一般的な慣行農法と比べ大幅なCO2削減が可能であることが実証されたとのことです。このような取り組みは、同社製品・サービスを差別化し、ブランド価値を高めることにもつながると考えます。
 当ファンドは、上場企業である同社が積極的に事業拡大を進める上で、株主資本に対する収益性に適切に配慮した経営を行うことも重要と考えます。同社の2022年3月期までの5期平均ROE(株主資本収益率)は14.7%であり、同社の本業の稼ぐ力を表す営業利益率の5期平均が4.1%であることを踏まえても、相応に高い水準にあると評価できます。一方、同社が対外的に言及しているROE目標にかかるコメントが、「10%超の継続的な達成」のみであることは、同社経営陣の資本収益性に向き合う姿勢として、やや消極的な印象を受け、残念に思われます。企業としての成長を追求する上で、株主が提供するリスクマネーに対して適切なリターンを上げること、そのためにどのような資本政策を掲げるのかについて、より明確なメッセ―ジが発信されることを期待したいと考えます。当ファンドは、対話を通じて同社の中長期的な企業価値向上を支え、さらなる成長を後押ししていく方針です。

今後の運用方針

 当ファンドでは以下のようなプロセスで銘柄を絞り込み、ポートフォリオを構築しています。まず三つの着眼点(経営者の質・企業収益の質・市場の成長性)に照らした投資仮説を軸に、ファンダメンタルズの改善や株価上昇の余地があると思われる企業を抽出します。その際ROE(株主資本利益率)水準や安定性などの財務指標や、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EV/EBITDA、配当利回りなどの各種株価指標を多面的に見ることで抽出精度を高めます。また株主構成や取締役構成などを分析することで、当ファンドが当該企業の価値向上に貢献できる関係を構築できる可能性を考慮します。その上で企業の実態価値を推定し、実態価値と市場価値(株価)の差であるバリュー・ギャップを計測します。そして投資先企業との対話が、そのギャップを埋めるカタリスト(きっかけ)になると見込まれる企業を選別して投資します。
 企業とのミーティングにおいては、中長期の企業価値向上へ向けた経営戦略について多面的に対話を行います。日本には強固な事業基盤を有していながら、経営戦略の一部に合理性を欠くことから株価が実態価値よりも低く評価されている企業が数多く存在します。これらの企業と資本市場の橋渡しとなるべく、投資家として見解を伝達し、潜在的な企業価値の顕在化に貢献していくことを目指してまいります。

レポート

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