スパークス・M&S・ジャパン・ファンド | 投資信託 | スパークス・アセット・マネジメント

スパークス・M&S・ジャパン・ファンド
(愛称:華咲く中小型)

  • NISA成長投資枠対象ファンド
日経新聞掲載名
ハナサク
分類
追加型投信/国内/株式
設定日
決算日
毎年1月25日

基準日:2026.10.02

基準価額
62,173円
前日比
-619円
-0.99%
純資産総額
183.5億円
分配金情報(税引前)
470円
  • 当ファンドは、NISAの「成長投資枠(特定非課税管理勘定)」の対象ですが、販売会社により取扱いが異なる場合があります。詳しくは、販売会社にお問い合わせください。

基準価額推移

分配金実績

決算頻度:1回/年

設定来合計
4,120円
直近12期計
4,120円

分配金実績一覧

2026年01月26日
470円
2025年01月27日
390円
2024年01月25日
360円
2023年01月25日
350円
2022年01月25日
350円
2021年01月25日
350円
2020年01月27日
350円
2019年01月25日
300円
2018年01月25日
350円
2017年01月25日
300円
2016年01月25日
300円
2015年01月26日
250円
2014年01月27日
0円
2013年01月25日
0円
2012年01月25日
0円
2011年01月25日
0円
2010年01月25日
0円
2009年01月26日
0円
2008年01月25日
0円

月次報告書

2026年

2025年

2024年

2023年

2022年

2021年

2020年

2019年

2018年

2017年

2016年

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2026年8月の運用コメント

株式市場の状況

2026年8月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比3.9%上昇し、日経平均株価は同3.0%上昇しました。

月前半の株式市場は上昇しました。月初は日米協調為替介入による円高進行で輸出関連株に売りが先行する場面もありましたが、原油価格の下落や良好な四半期決算に加え、米国の雇用統計の下振れや物価指標の落ち着きを受けて米利上げ観測が後退したことなどから、投資家心理は改善しました。こうした環境の下、AI(人工知能)・半導体関連株などを中心に買いが広がり、日経平均株価は一時7万円台をうかがう場面が見られたほか、TOPIXは最高値を更新しました。

月後半は、中東情勢が再び緊迫化したことや、日米欧の長期金利が上昇して金利の先高観が強まったことなどから、AI・半導体関連株を中心に売りが優勢となり、株式市場は下落しました。その後、日経平均株価は方向感を欠く展開となった一方、出遅れ感の強いシクリカル株や内需株、金融株への循環物色がみられ、TOPIXは堅調に推移しました。月末には、FRB(米連邦準備制度理事会)議長のタカ派的な発言から株式市場は一時下落したものの下げ幅を縮小し、両指数はともに前月末比で上昇して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐3.1%上昇し、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同4.2%の上昇を1.1%下回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、西日本フィナンシャルホールディングス、LITALICO、大垣共立銀行などでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、TOWA、アルバック、関東電化工業などでした。

投資行動の観点では、引き続き既存銘柄の買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄の売却を行っています。また、サプライチェーンの構造転換を契機とした事業成長機会が拡大しているにもかかわらず、注目度の低さから株価水準が低位に留まっておりバリューギャップが拡大したと判断した卸売業銘柄に新規投資を行いました。

当月は、株価下落によって中長期的な投資魅力が高まったと判断し、サイバーエージェントの保有ウェイトを引き上げました。当ファンドでは、同社が「ABEMA(アベマ)」事業を開始して以降、業績変動の大きいゲーム事業への依存から脱却し、新たなビジネスモデルを基盤とする事業構造への転換を進めていると評価し、継続的にIR面談を重ねてきました。

過去にも同社へ投資した時期がありましたが、当時の業績拡大はABEMAを軸とする事業構造の転換よりも、ゲーム事業における大型ヒットの寄与によるものでした。大型タイトルの成功を受けて業績と株価が大きく上昇したことを受け、当初の想定とは異なるものの、企業価値と株価とのギャップが縮小したと判断し売却を行っています。

その後、大型ヒットの寄与が一巡して株価が調整する一方で、ABEMAの媒体力は着実に向上し、単独での黒字化が視野に入り始めました。加えて、アニメ制作、興行運営、マーチャンダイジング(グッズ販売)などのIP(知的財産)関連機能も強化されており、同社が中長期的な事業成長に向けた基盤を整えつつあると判断し、2023年頃から再び投資を開始しました。

今回の株価下落は、ゲーム事業の業績が市場期待に届かなかったことや、会社側による2026年9月期業績予想の上方修正が保守的な水準にとどまったことなどが背景にあるとみています。しかし、これらは主として短期的な業績期待の修正であり、当ファンドが評価する中長期的な事業構造の変化を損なうものではないと判断しました。株価調整によって将来の成長余地に対する市場の織り込みが低下し、リスクと期待リターンのバランスが改善したと考え、保有ウェイトを引き上げました。

同社の企業価値を評価するうえで注目している変化は二つあります。第一は、IPコンテンツが持つ潜在的な経済価値を最大化するための事業基盤が整いつつあり、注目度の高い作品の本格的な収益化が近づいていることです。第二は、ゲームの開発・運営ノウハウの蓄積とメディア展開の多様化によって、従来は個別タイトルの成否に左右されやすかったゲーム事業の収益安定性が徐々に高まっていることです。

IP事業において重要なのは、アニメ映像の制作自体にとどまらず、配信、商品化、ゲーム、広告、イベント、興行などに権利を展開し、作品が生み出す経済価値を幅広く取り込めるポジションを確保することです。制作受託にとどまる場合、ヒットによる収益の上振れを十分に享受できない一方、製作幹事や製作委員会の主要出資者として権利運用に関与できれば、複数の収益源を中長期にわたって獲得できる可能性があります。ただし、個別作品の出資比率、保有する権利の範囲、収益分配条件の多くは非開示であり、外部投資家の立場から最終的な収益帰属を正確に把握することには限界があります。

この観点から、同社が全社的に注力する『カグラバチ』は、IP戦略の実効性を評価するうえで重要な案件です。同社は松竹と共同で製作幹事を務め、アニメーション制作をグループ傘下のCypic(サイピク)が担当する体制です。制作だけでなく、作品全体の事業展開に関与する立場を確保している点は、従来の制作受託とは異なる収益機会をもたらす可能性があります。

同社はアニメ制作機能に加えて、広告代理、ABEMAを含むメディア、ゲーム開発、マーチャンダイジング、イベント・興行などの機能をグループ内に有しています。『カグラバチ』において十分な権利を確保できていれば、映像配信や放送に加え、広告宣伝、ゲーム化、商品化、イベントなどへの展開をグループ内で連携して進めることが可能です。個別事業で収益を獲得するだけでなく、複数の接点を通じて作品の認知度とファンとの継続的な関係を高め、IP全体の価値を増幅させる効果が期待されます。

日本動画協会の「アニメ産業レポート2025」によれば、2024年のアニメ産業市場は約3.8兆円に達し、このうち過半を占める約2.2兆円が海外市場となっています。海外市場が成長を牽引している背景には、日本アニメに対する世界的な認知度の上昇に加え、Netflix、Disney+、Crunchyrollなどの映像配信サービスを通じて、世界各国の視聴者が日本の作品へ容易にアクセスできる環境が整ったことがあります。

『カグラバチ』は、コミックスの累計発行部数が400万部に達し、海外市場でも認知が先行しているという特徴を持つ作品です。既に一定の原作ファンを獲得していることから、アニメ化を契機に国内外で視聴者層が拡大する余地は大きいと考えています。当ファンドでは、当コンテンツが同社IP事業にとって、原作販売、映像配信、商品化、ゲーム、イベントなど複数の収益機会につながるかどうかの重要な試金石となると判断しています。

ゲーム事業については、新作タイトルの成否による影響が依然として大きく、短期間の業績を正確に予測することは困難です。一方、開発・運営ノウハウの蓄積や、有力な外部IPとの連携によって、タイトルポートフォリオの質は改善しているとみています。近年投入したタイトルのヒット率が向上し、開発中止や不振タイトルに伴う減損損失などの特別損失が減少していることは重要な変化です。同社は過去、ゲームタイトルの減損などによって継続的に特別損失を計上してきたため、営業利益が拡大しても純利益に十分結び付かない局面がありました。開発案件の選別精度や運営力の向上によって特別損失が構造的に減少すれば、営業利益から純利益への転換率が改善し、株主価値の増加につながると考えます。

また、主要子会社Cygames(サイゲームス)にはディー・エヌ・エー(DeNA)や任天堂などの少数株主が存在するため、Cygamesが生み出した利益の全額がサイバーエージェントの親会社株主に帰属するわけではありません。これに対し、Cygames以外のグループ会社が開発・運営するタイトルや、外部IPを活用したタイトルの利益構成比が高まれば、個別案件の契約条件には左右されるものの、親会社株主に帰属する純利益の改善要因となる可能性があります。

これらの変化が業績として顕在化すれば、同社に対する株式市場の評価は、ヒットタイトルの有無によって損益が大きく変動するゲーム開発企業から、メディア基盤と複数のIPマネタイズ手段を持つ総合IP企業へと変化する可能性があります。ABEMAの収益改善、ゲーム事業のヒット率向上と特別損失の減少、さらに『カグラバチ』をはじめとするIPの多面的な展開が進めば、利益成長に加えて収益の継続性と予見可能性が高まり、収益の質に対する評価の改善を通じて株価評価の上昇にもつながると考えます。

一方、同社への投資における最大のリスクは、注力するアニメ作品やゲームタイトルが十分な支持を獲得できず、業績が当ファンドの想定を下回ることです。コンテンツ事業では、原作の人気や事前登録者数などが一定の需要を示唆していても、実際のヒットを事前に確実に予測することはできません。アニメでは映像品質、配信条件、宣伝効果、商品展開などが、ゲームでは初期利用者数に加えて、継続率、課金率、運営力などが収益性を左右します。

また、当ファンドはコンテンツ投資に特化した運用者ではなく、個々のゲーム作品の内容やユーザー動向について、専門事業者と同等の知見を有しているわけではありません。このため、個別作品のヒットを高い確度で予測することを投資判断の前提とはせず、複数の作品を継続的に投入できる組織能力、IPを多面的に収益化できる事業基盤、利益成長が実現しなかった場合のバリュエーション上の下値余地を重視しています。

現状の株価は、会社の今期利益計画に対してPER15倍前後の水準にあり、IP事業の拡大、ゲーム事業の収益安定化、ABEMAの収益改善といった潜在的な成長余地を十分に反映したものではないと判断しています。短期的な業績懸念により株価が下落していることからも、一定の業績下振れは織り込まれており、成長施策が想定どおりに進まない場合でも、追加的な株価下落余地は相対的に限定されると考えています。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2026年7月の運用コメント

株式市場の状況

2026年7月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.2%上昇し、日経平均株価は同8.1%下落しました。

月前半は、前月まで大幅上昇していたAI(人工知能)・半導体関連株に対する高値警戒感が高まる中、米SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)の急落を契機に調整局面に入りました。米ハイテク株やKOSPI(韓国総合株価指数)の下落を受けて投資家心理が悪化し、日本のAI・半導体関連株も大きく下落しました。また、中東情勢の再度の緊迫化も日本株の重石となりました。一方、金利先高観を背景とした銀行株や内需株には循環物色が続きました。

月後半は、中国AI企業の台頭による半導体市況や競争環境悪化への懸念が広がり、韓国株や米半導体株の下落とともに半導体関連株が一段安となりました。その結果、日経平均株価は約2か月ぶりの安値を付けました。一方、米国がイランへの大規模攻撃を見送ったことを受けて原油価格が下落し、業績下振れリスク後退などを背景にディフェンシブ銘柄などへの資金シフトも見られました。

最終的に日経平均株価は月中一貫した下げ基調となり前月末対比で大幅に下落した一方、TOPIXはもみ合いながら小幅に上昇して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐0.7%下落し、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同3.4%の下落を2.7%上回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、前田工繊、サイゼリヤ、ほくほくフィナンシャルグループなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、ダイヘン、TOWA、関東電化工業などでした。

投資行動の観点では、引き続き既存銘柄の買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄の売却を行っています。今月の新規投資銘柄はありません。

当月に入り、これまで急騰してきたAI(人工知能)関連銘柄に変調が見られ始めています。きっかけとなったのは、中国企業とのAIを巡る競争激化です。中国のスタートアップ企業であるMoonshot AI社が発表したLLM(大規模言語モデル)「Kimi K3」が、OpenAI社やAnthropic社など米国の先端AIモデルに匹敵する性能を有しながら安価に利用できるとの報道を受け、市場では米AI企業の競争優位性や、巨額のAI投資に対する回収可能性への懸念が高まりました。

もっとも、こうした反応は今回が初めてではありません。2025年1月には、中国のDeepSeekが高性能かつ低価格なAIモデルを発表したことを契機に、半導体関連銘柄が調整する局面がありました。AI産業は技術革新が極めて速い一方で、市場の期待も大きいため、技術面や競争環境に関するニュースによって短期的な株価変動が発生しやすい特徴を持っています。

一方で、当ファンドでは、短期的な市場の反応と長期的な産業トレンドは切り分けて考える必要があると考えています。AI関連投資の金額は既に国家予算に匹敵する規模へ達しており、多くの案件が国家戦略や安全保障とも密接に結び付いています。今後も市場変動は続くと考えられるものの、AI関連投資そのものが短期間で大幅に縮小する可能性は限定的と見ています。

また、日本株への投資を考える上でもAIは重要なテーマです。日本企業には先端半導体の製造に不可欠な装置、材料、部品、検査技術を有する企業が数多く存在しています。技術動向をどこまで詳細に理解する必要があるかは別としても、AI産業の構造変化は日本企業の成長機会を左右する重要な要素であり、投資判断において注視すべきテーマであると考えています。

当ファンドが注目しているのは、今後も高い付加価値が許容される技術進化を事業機会として取り込める企業です。この点についての考え方は従来から変わっていません。今回はAIを巡る競争環境を考察するにあたり、これまでの産業構造転換の歴史も振り返りながら、投資機会とリスクについて整理したいと思います。

半導体産業が長期にわたり高い成長を遂げてきた背景には、微細化の進展やアーキテクチャの変化といった、他産業には見られない継続的な技術革新が存在しました。ここで重要なのは、技術進化によって演算性能やデータ容量当たりのコストが低下し、その結果として新たな需要が生み出されてきた点です。半導体産業の成長は単なる価格上昇によって実現されたものではなく、性能向上を伴うコスト低減によって支えられてきました。

こうした観点から見ると、足元で発生しているメモリ半導体や電子部品の価格急騰については、その持続性を慎重に考える必要があります。というのも、現在の価格上昇の一部は性能向上を伴うものではなく、需給環境や供給制約に起因する面が大きいためです。AIインフラ投資を主導する北米ハイパースケーラー各社は巨額の設備投資を継続していますが、性能向上を伴わない部材価格の上昇は投資効率の低下につながります。経済合理性に照らせば、AI投資は今後も拡大する一方で、その投資先については従来以上に厳しい選別が進む可能性があります。

さらに、中国の安価なオープンソース型AIモデルが急速に米企業へ普及し始めていることも見逃せません。低価格で代替可能なモデルが増えることは、AIモデル単体の差別化を難しくし、米AI企業に対して収益性や投資回収に対する厳しい視線を向けさせる要因となります。結果として、AI投資に対する規律は従来以上に強まる可能性があります。

もっとも、こうした変化をAI産業への逆風と単純に捉えるべきではないかもしれません。エージェントAI(自律的に考えて行動するAI)へのシフトが進展すれば、付加価値の源泉は基盤モデルそのものから、業務アプリケーションやサービスレイヤーへ移行する可能性があります。また、AI需要の高度化が進むことで投資リターンが改善し、それが更なる投資拡大を呼び込む好循環が生まれる可能性も否定できません。

ただし、留意すべき点もあります。歴史を振り返ると、中国企業の参入によって、それまで差別化されていた産業がコモディティ化した事例は数多く存在します。中国は巨大な国内市場と政府主導の支援を背景に、当初は繊維産業などの労働集約型産業から競争力を高め、その後は家電など加工度の高い産業へと進出を広げてきました。近年では半導体産業の自国生産化を目指し、膨大な資金を投入して産業育成を進めています。

AIを巡る競争環境においても同様に、米企業のような経済合理性のみを基準として行動するプレーヤーだけではなく、国家戦略や産業育成を背景に事業を展開する主体が存在しつつあります。そのため、従来の市場原理だけでは説明できない競争環境が形成される可能性があり、この点は投資家として十分認識しておくべき重要なリスク要因であると考えています。

こうした環境下においても、当ファンドの投資方針に大きな変化はありません。当ファンドが注目するのは、技術進化そのものを事業機会として捉え、高い付加価値を維持できる企業です。ハイテク産業は変化のスピードが速いため、短期的な業績変動によって市場評価が大きく変動することがあります。しかしその裏側では、構造的な成長機会を有するにもかかわらず、一時的に市場から見落とされている企業も少なくありません。

当ファンドでは、短期的な市場センチメントに左右されることなく、技術革新によって中長期的な競争優位性を構築できる企業を継続的に発掘していく方針です。なお、この観点に関する詳細な考察については、過去の運用コメントも併せてご参照いただければ幸いです。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2026年6月の運用コメント

株式市場の状況

2026年6月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.1%上昇し、日経平均株価は同5.6%上昇しました。

月前半は、上昇基調で始まったものの、米半導体大手による市場期待を下回る決算発表を機に関連株の調整が進みました。さらに、強い米国雇用統計を受けたFRB(米連邦準備制度理事会)の年内利上げ観測の急速な台頭が重なり、半導体・AI(人工知能)関連株を中心に大幅な売りが先行し、リスク回避姿勢が強まりました。

月半ばには、米国とイランの戦闘終結合意が転換点となり、原油価格の急落とインフレ懸念の後退を背景に物色の裾野が広範に拡大しました。日銀による政策金利の引き上げも、事前に織り込まれていたことから波乱なく通過し、終値としては初めてTOPIXは4,000ポイントを突破し、日経平均株価も7万円台に到達するなど、両指数ともに歴史的な節目を更新しました。

月後半は、KOSPI(韓国総合株価指数)の急落や、米AI大手の新規株式公開(IPO)延期など半導体・AI関連の悪材料が相次ぎ、指数の振れ幅は大きく拡大し、物色は内需株への広がりも見られました。最終的には両指数とも高値圏を維持したまま月末を迎え、3か月連続の上昇となって当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐0.3%下落し、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同3.3%の上昇を3.6%下回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、ダイヘン、TOWA、アルバックなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、武蔵精密工業、福山通運、SBSホールディングスなどでした。

投資行動の観点では、引き続き既存銘柄の買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄の売却を行っています。また、AI(人工知能)への代替懸念などから期待値の低下が続いている人材関連企業を、下値不安が少なく自助努力による成長余地があると判断し、新規投資を行いました。

AI関連投資の拡大を背景に、足元の株式市場では半導体関連銘柄の上昇が相場を牽引しています。物色は半導体そのものにとどまらず、AIサーバーに用いられる電子部品など周辺領域にも広がっており、現在の市場環境は「AI相場」と呼ぶべき様相を強めています。

一方で、AIの恩恵を直接受ける銘柄群に資金が集中する反面、「SaaS is Dead(SaaSの終焉)」に象徴されるような情報通信関連銘柄や、AIによる業務代替懸念を受けやすい人材関連・システム開発関連銘柄の株価は冴えない展開となっています。市場は、AIを活用する側とAIに代替される側を明確に峻別し始めており、後者に分類された業種ではバリュエーションの切り下がりが進んでいます。

当ファンドでは、従前より人材関連業界について、構造的な成長性は認めつつも、その成長性に対して株価バリュエーションが必ずしも割安とは言えないと判断し、投資には慎重な姿勢を取ってきました。しかし、半導体関連株の大幅な上昇と、情報通信・サービス関連銘柄の株価低迷が同時に進んだ結果、相対的な投資魅力度は大きく変化しています。

こうした環境変化を踏まえ、当ファンドでは個別企業への取材・分析を改めて実施しました。その結果、企業価値に対して現在の株価が十分に割安であり、中長期のリスク・リターンが魅力的と判断できる人材関連銘柄について、新規投資を開始しました。今回の投資判断は、単に株価が下がったことを理由とするものではなく、市場が織り込んでいる成長鈍化懸念と、実際の事業環境との間にギャップがあると判断したことに基づいています。

日本の人材業界はこれまで生産年齢人口の減少に伴う採用需要の増加や、労働市場の流動化、賃上げ機運の高まりといった複数の構造要因を背景に成長を続けてきました。慢性的な人手不足を背景に人材紹介、派遣、採用支援、業務受託などのサービス需要は拡大し、人材業界は安定成長が期待できる業界として市場から高い評価を受けてきました。

しかし近年では、コロナ禍で急拡大した採用需要の反動により、特にIT業界を中心に採用需要が鈍化しています。加えて、企業がAIによる業務代替を進めることで人材需要そのものが構造的に減退するのではないかという懸念が広がり、人材関連各社に対する市場期待は大きく剥落しました。その結果、業界全体の株価は低迷し、成長業種として評価されていた局面から一転してAIによる代替リスクを織り込む局面に入っています。

もっとも、当ファンドでは企業取材を通じて、市場の成長鈍化懸念には過度に単純化された面があると考えています。特に重要な論点は、第一に企業規模によって人材需要の状況が大きく異なること、第二に人材会社自身がAIを活用することで生産性を高め、労働集約型モデルから脱却できる可能性があることです。この2点が、現在の市場評価と実態との間に存在する主要なギャップであると判断しています。

まず企業規模の違いに着目すると、大企業と中小企業では人手不足の深刻度が大きく異なります。大企業では、コロナ禍における採用拡大の反動やAI投資の優先度上昇により、採用意欲が一部で低下しています。一方、中小企業では経営者・従業員の高齢化、採用競争力の低さ、慢性的な人材不足を背景に、事業継続のための採用需要や派遣社員需要が依然として強く、むしろ高まっている領域もあります。

日本社会全体を俯瞰すると、雇用者の約7割は中小企業に勤務しているとされます。中小企業数そのものは、高齢化、廃業、M&Aなどによって減少傾向にありますが、中期的に見れば、日本全体で人手不足が深刻であるという構造は大きく変わらないと考えています。したがって、人材関連企業を一括りに評価するのではなく、どの規模の企業を主な顧客基盤としているのか、どの業種・地域に強みを持つのかによって、業績の方向性には大きな差が出る可能性があります。

次に、AI活用による自助努力の余地も重要です。人材業界は非常にロングテールな構造を持ち、大小多数の事業者が存在しています。従来は営業人員、キャリアアドバイザー、マッチング担当者などの人的リソースが競争力の源泉でしたが、今後はAIを活用した求人・求職者マッチング、応募者対応、業務プロセス自動化、営業効率化の巧拙が収益性格差を生む可能性があります。

特に最大手であるリクルートホールディングスの動向は、業界全体の方向性を示唆するものとして重要です。同社は人材事業を従来の労働集約型モデルから、テクノロジー集約型モデルへ転換しようとしています。こうした事業構造の変化は、人材業界全体の競争環境に大きな影響を及ぼす可能性があり、中長期的にはテクノロジー投資余力を持つ大手企業への集約、ならびにAI活用に遅れる中小事業者の淘汰が進むのではないかと考えています。

したがって、人材関連銘柄への投資においては、「AIに代替される業界」という一面的な見方ではなく、「AIを活用して業務効率とマッチング精度を高められる企業」と「従来型の労働集約モデルにとどまる企業」を峻別することが重要です。市場全体が業界に対して悲観的になっている局面では、こうした企業間格差が十分に織り込まれず、優良企業まで一律に売られることがあります。当ファンドが今回注目したのは、まさにこの価値と価格の乖離です。

今後も当ファンドでは、短期的なテーマ性や注目度合いに追随するのではなく、企業価値と市場価格とのギャップに着目します。人材業界についても、成長鈍化懸念やAI代替リスクを慎重に見極めつつ、顧客基盤、対象とする企業規模、AI活用力、収益性改善余地、業界再編におけるポジションを丁寧に分析し、中長期でリスク・リターンの高い投資機会を探っていく方針です。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2026年5月の運用コメント

株式市場の状況

2026年5月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比6.2%上昇し、日経平均株価は同11.9%上昇しました。

月前半は、米SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)の急騰と中東情勢の緩和期待を背景に、日本株式市場でもAI(人工知能)・半導体関連銘柄を中心に強い買いが入り、全体として堅調に推移しました。

月半ばには、中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の上昇などを背景に海外金利が上昇したほか、国内長期金利も約29年半ぶりの高水準に達し、ハイテク株を中心に利益確定売りが優勢となりました。決算発表を経て銘柄間の選別色も強まるなか、日経平均株価は一時6万円を割り込みました。一方で、バリュー株への資金シフトの動きが指摘されるなど、TOPIXは相対的に底堅く推移しました。

月後半は、原油価格の下落を背景としたインフレ懸念が緩和したことに加え、米国でAI関連の大型IPO観測も重なり、AI・半導体関連株が反発に転じました。日経平均株価は連日大幅上昇し、最終営業日には幅広い銘柄が買われ、両指数ともに最高値を更新して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐9.3%上昇し、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同7.1%の上昇を2.2%上回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、関東電化工業、武蔵精密工業、オプテックスグループなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、大黒天物産、福田組、リログループなどでした。

投資行動の観点では、引き続き既存銘柄の買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄の売却を行っています。また、価格転嫁や生産性改善から収益性が大幅に改善しているにもかかわらず、継続的な利益成長への懸念から評価が高まっていないと判断した物流関連企業に新規投資を行いました。

中東情勢の悪化を背景に3月の日本株式市場は調整しましたが、4月から5月にかけては大きく反発しました。上昇を主導したのはAI(人工知能)半導体関連株であり、米国のハイパースケーラーによるAIデータセンター向けの大規模設備投資が、半導体産業の成長期待を押し上げています。一方で、物色は一部のAI・半導体関連銘柄に集中しており、相場の二極化が強まっています。当ファンドとしても、一部銘柄には過熱感が出始めていると認識しています。

当ファンドの投資戦略の根幹は、良いビジネスでありながら、市場から十分に評価されていない、あるいは一時的に嫌われている「隠れた投資機会」を発掘することにあります。特に日本の中小型株式市場では、投資家からの注目度の低さや事業内容に対する理解度の差、さらには投資家が想定するリターンの時間軸の違いなどを背景に、企業の実態価値と市場価格が乖離することがあります。当ファンドは、このギャップを中長期的なリターンの源泉と捉えています。

ハイテク産業は、技術革新がもたらす経済効果が大きい一方、競争は激しく、技術動向も急速に変化します。そのため、業界全体をトップダウンで正確に見通し、継続的に優位な投資判断を行うことは容易ではありません。表面的なテーマ性や短期的な市場の期待だけで投資すれば、技術の実現可能性、製造面での難易度、量産化のタイミング、収益貢献までの時間軸を見誤るリスクがあります。

もっとも、ハイテク産業に投資機会が存在しないわけではありません。当ファンドでは、業界の中長期的な基調変化を把握したうえで、個別の技術領域や企業に深く入り込み、そこに生じる非効率性を投資機会として捉えています。具体的には、各領域で高いプレゼンスを持つ企業との面談を重ね、対象技術が将来採用されるだけの技術的・経済的合理性、製造面での実現可能性を備えているかを確認しています。

この分析では、技術トレンドや市場予測だけでなく、経営陣との継続的な対話から得られる定性的な情報も重視しています。発言の一貫性、事業機会に対する自信、顧客との距離感、競争優位性への認識などは、将来の蓋然性を判断するうえで重要な材料です。もちろん、こうした定性的判断からバイアスを完全に排除することは困難ですが、当ファンドでは長期にわたる言動の一貫性を確認することで、判断の確度を高めるよう努めています。

当ファンドのハイテク株投資は、こうした調査・分析を経たうえで、企業価値に対して市場価格が十分に割安であると判断した場合に行います。ハイテク企業であること、あるいは半導体関連企業であること自体を投資理由とはしていません。重要なのは、技術や事業の将来性が現在の株価にどの程度織り込まれているかを見極め、リスクに見合うリターンが期待できるかを判断することです。

今回の半導体関連株の急騰局面では、当ファンドは改めて取材を通じた企業価値評価を行い、投資妙味が低下したと判断した銘柄については売却を進めています。個別銘柄への言及は避けますが、半導体生産に先行する装置関連株などでは、本来シクリカル(景気敏感)な業績特性を有するにもかかわらず、2〜3年先の楽観的な業績成長が株価に相当程度織り込まれていると考えています。これは半導体関連株全般に否定的な見方をしているということではなく、価格上昇によりリスクリターンのバランスが悪化した銘柄を見直しているということです。

革新的な技術に対しては、しばしば業界構造を大きく変えるとの期待が先行します。しかし、技術的な変曲点の到来、実用化、量産化、収益貢献の間には、それぞれ時間的なラグが生じます。近年の半導体関連技術に限っても、極端紫外線(EUV)露光やHBM(高帯域幅メモリ)など、量産に至るまで10年以上を要した技術は少なくありません。したがって、技術革新の方向性が正しい場合でも、その期待が株価に過度に織り込まれている局面では、慎重な判断が必要になります。

当ファンドでは、技術革新の可能性を引き続き注視しつつも、投資妙味が低下した銘柄については、より魅力的な機会へ資金を振り向ける方針です。また、特定の投資テーマやアイデアへのウェイトが過度に高まることは、ポートフォリオ運営上の意図せざるリスクを高めることにもなり得ます。半導体関連株の上昇が今後も続いた場合、当ファンドのパフォーマンスが短期的に市場に追随できない可能性はありますが、当ファンドは市場の物色動向を追うのではなく、価値と価格の乖離に基づく投資規律を維持することで、持続的なリターンの創出を目指します。

一方で、半導体関連株が急騰するなか、内需関連株の低迷は続いています。原油価格上昇による国内消費への影響や、AIがIT産業に及ぼす影響などへの懸念が意識されているためです。しかし、こうした懸念によって株価が大きく抑えられ、本源的な企業価値に対して十分に割安であると判断できる場合には、当ファンドとしては積極的に投資を検討していきます。市場の関心が一部の成長テーマに集中する局面では、見過ごされた内需関連企業株のなかに、新たな投資機会が生まれやすいと考えています。

総じて、当ファンドはAI・半導体関連の長期的な成長可能性を否定しているわけではありません。AIデータセンター投資の拡大や半導体技術の進化は、今後も産業構造に大きな影響を与える重要なテーマです。ただし、投資において重要なのは、優れたテーマを見つけることだけではなく、その将来性が株価にどこまで織り込まれているかを見極めることです。当ファンドは、取材に基づく企業価値評価と価格に対する規律ある判断を通じて、過熱したテーマへの過度な集中を避けながら、中長期的に持続可能なリターンの獲得を目指してまいります。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2026年4月の運用コメント

株式市場の状況

2026年4月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比6.6%上昇し、日経平均株価は同16.1%上昇しました。

月前半は、前月末から続く中東情勢への警戒感を背景に値動きの荒い展開となりましたが、停戦協議進展への期待が高まるにつれて投資家心理が改善し、相場は上昇基調へ転じました。

月半ばから後半にかけては、市場の関心が地政学的リスクから企業業績やAI(人工知能)関連需要へと移行しました。米国ハイテク株や米SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)が上昇する中、日本株式市場でも半導体・AI関連銘柄への資金集中が進みました。こうした中、日経平均株価は値がさ株主導で堅調に推移し、終値で史上初めて6万円台に到達しました。一方、TOPIXは月半ば以降に伸び悩む展開となり、NT倍率(日経平均株価をTOPIXで割って計算した指標)は歴史的な高水準を更新するなど、指数間のパフォーマンス格差が拡大しました。

月末にかけては、日銀のタカ派的な展望やFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げに対する慎重姿勢を受けた国内外の金利上昇に加え、原油価格の再上昇も重なり、株式市場の重石となりました。これまで上昇を主導してきた半導体関連株を中心に売りが優勢となる一方、内需株に資金が一時的にシフトする場面も見られましたが、NT倍率は高水準を維持したまま月末を迎え、日本株式市場は月間で大幅高となり当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐7.5%上昇し、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同6.3%の上昇を1.2%上回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、武蔵精密工業、CKD、ダイヘンなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、サイゼリヤ、前田工繊、エターナルホスピタリティグループなどでした。

投資行動の観点では、引き続き既存銘柄の買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄の売却を行っています。当月の新規投資銘柄はありません。

当月の日本株式市場は、中東情勢への過度な警戒感後退などを背景に大幅反発しました。原油価格上昇による企業業績への懸念はあるものの、巨額設備投資が継続するAI(人工知能)・半導体関連株への資金が集中し相場を牽引しました。一方で内需関連株は下落基調が続いており、相場は二極化の様相を強めています。原油価格上昇は今後企業業績に影響を及ぼすものと考えられますが、ここもとの株価下落でネガティブ影響は織り込まれ始めていると当ファンドでは考えます。また企業との面談を通じ、適時の価格改定など収益性に対する意識が着実に改善している印象を受けています。短期的な懸念の高まりを投資の好機と捉え、中長期でのパフォーマンス創出につなげてまいります。

建築業界全体は、旺盛な開発需要や構造的な人手不足を背景とした需給環境の改善によって好況が続いてきました。一方で、直近では原油価格の上昇やサプライチェーンの混乱を受け、案件採算の悪化懸念や、工期長期化に伴う売上計上の先送りといった不透明要因が意識され始めています。当ファンドでは、こうした懸念を冷静に整理し、中長期的な投資機会を見極める必要があると考えています。

資材価格の上昇については、一時的に発生していたユニットバスの発注停止が解消されるなど、供給面での極端な混乱は沈静化しつつあります。一方コストアップ自体は不可避であり、最終的に誰かがその負担を担う構造にありますが、近年の多くの建築プロジェクトでは工期中のコスト上昇分を施主側に転嫁できる契約形態が一般的となっており、建設会社にとって個別案件が不採算化するリスクは限定的と見ています。

工期の長期化についても、追加工事の受注機会につながるケースが多く、建設会社側の収益機会が完全に損なわれるわけではありません。この点から、短期的な業績悪化を過度に懸念する必要はないと判断しています。ただし、今後予定されている新規プロジェクトでは、あらかじめ高いコストを織り込んだ見積もりが必要となり、結果として案件金額の上昇が避けられない見通しです。これが施主側の設備投資意欲を抑制し、設計変更や発注の先送りを招く可能性がある点は、中長期的な需要減退リスクとして注視しています。実際に、建築コストの上昇を背景として、建て替えプロジェクトの中止や見直しが散見されるようになっています。

一方で、当ファンドでは、この環境変化をむしろ追い風と捉え得る業界として、ディスプレイ業界に注目しています。同業界は商業施設やホテルなどを中心に、空間の企画設計・施工を手掛けていますが、市場規模が比較的小さく、必ずしもこれまで十分な注目を集めてきたわけではありません。また、万博やオリンピックといった大型イベントの有無による業績変動も、投資判断を難しくしてきました。

しかし、建設コストの上昇により、新築よりも既存施設のリニューアルを選択する動きが現実的な選択肢として拡大しつつあります。リニューアル案件では、単なる施工能力以上に、空間を魅力的に再構築する企画設計ノウハウが求められるため、ディスプレイ業界が持つ強みが発揮されやすい領域です。加えて、同業界にとって、リニューアル案件は新築案件に比べて基礎・躯体工事などの構成比が減り、内装工事の構成比が上昇することから取り組める範囲が広く、事業機会を獲得しやすい点も収益機会の拡大につながるポジティブな要因と考えています。

インフレの進展は、建築業界のみならず、幅広い業界の意思決定プロセスそのものに変化をもたらしています。当ファンドでは、こうした構造変化を一過性要因としてではなく、事業環境の質的変化として捉え、ボトムアップ・リサーチを通じて、環境変化を着実に事業機会へと転換できる企業の発掘に注力しています。引き続き、短期的な懸念と中長期的な成長機会を峻別しながら、日本の中小型株式市場における魅力的な投資機会を追求していきます。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2026年3月の運用コメント

株式市場の状況

2026年3月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は10.33%下落し、日経平均株価は同13.23%下落となりました。

月前半は、米国とイスラエルによるイラン攻撃とホルムズ海峡封鎖による供給不安を背景に原油価格が急騰し、リスク回避の姿勢が強まった結果、大幅に下落しました。その後、急落後の自律反発などから一時持ち直す場面もありましたが、対米強硬派指導者の選出など紛争長期化への懸念が改めて意識されると再び下落しました。その後も原油高に伴うインフレ高止まりなど経済への影響が懸念され、月半ばにかけて相場は不安定な展開が続きました。

月後半は、トランプ米大統領がイラン側に対し、ホルムズ海峡を開放しなければ発電所やインフラへの攻撃を行うとの強硬な警告を行い、これに対しイラン側も対抗姿勢を示したことで原油価格が一段と上昇し、市場は再び下落しました。その後、攻撃の延期表明や米国の和平案提示に関する報道を受けて一時反発したものの、協議難航への懸念は根強く、月末にかけては地上作戦準備や紛争地域拡大への懸念が嫌気されました。最終的に、日本株式市場は前月に積み上げた上昇分を打ち消す水準まで下落して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐12.44%下落し、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同10.44%の下落を2.00%下回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、カカクコム、福田組、リログループなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、西日本フィナンシャルホールディングス、CKD、ダイヘンなどでした。

投資行動の観点では、引き続き既存銘柄の買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄の売却を行っています。また、AI(人工知能)による代替懸念により株価が大きく調整している一方、本質的な成長力は高く割安感が高まったと判断した情報通信関連の銘柄などに新規投資を行いました。

当月の日本株式市場は、中東情勢の悪化を受けて大幅に下落しました。ホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで、エネルギー価格の上昇によって世界的な景気減速懸念が高まったことが背景と考えられます。足許で停戦交渉を巡る報道から市場には反発期待も高まりつつありますが、依然として状況は流動的であり過度な楽観視は禁物と考えています。当ファンドでは引き続き個別企業に注目し、本源的な企業価値に対し割安と判断できる企業の発掘に努めてまいります。

前月のグローバル株式市場では、情報通信関連株を中心に大きな調整が生じました。その背景として、「Claude Cowork」をはじめとしたAIエージェントの急速な進化・普及により、既存のITサービスやソフトウェアビジネスが代替されるのではないかという懸念が一気に高まった点が挙げられます。

なかでも影響が大きかったのが、ID課金型を中心に安定成長が見込まれてきたSaaS(Software as a Service、インターネットを通じてソフトウェアを提供するサービス)企業群です。AIが直接的に業務を代替する可能性が意識されたことで、SaaSモデルそのものの持続性に疑問が投げかけられ、「SaaS is dead(SaaSの終焉)」や「SaaSpocalypse(SaaS+Apocalypse = SaaS黙示録)」といった言葉が象徴するように、市場心理は急速に悲観へと傾きました。その結果、これまで高い成長期待を背景に評価されてきた銘柄ほど、調整幅が大きくなる展開となりました。

当ファンドでは従前、当該分野の一部企業については、事業成長性に対して株価バリュエーションの割安感に欠けると判断し、投資を見送ってきました。一方で、今回の株価調整は、こうした企業群を改めて冷静に精査する好機でもあります。実際に、株価下落を契機として企業取材・分析を進めた結果、ファンダメンタルズおよび中長期の競争力を再評価できると判断した銘柄については、新規に投資を開始しています。

今回の調査において特に重視した観点は、技術や機能そのものに依存しない「モート(競争優位性)」の有無です。AIの進化スピードを踏まえると、情報通信産業において純粋な技術差による優位性は急速に希薄化していく可能性が高いと考えています。自然言語でPCを自律操作するAIエージェント「OpenClaw」の普及が示す通り、従来は高度な専門性を要した機能であっても、短期間でコモディティ化する環境が到来しつつあります。

そのような環境下で真のモートとなり得るのは、顧客やユーザーの業務フローにどれだけ深く組み込まれているか、また顧客と企業、特に営業部隊との間にどれだけ強固で良好な関係性が構築されているかといった要素であると考えています。これらは一朝一夕で模倣できるものではなく、時間をかけて築き上げられる無形資産であり、AI時代においても相対的な競争優位として機能し続ける可能性が高いと見ています。

逆に言えば、こうしたモートを有する企業にとって、AIは脅威ではなく、サービス品質の向上や顧客満足度の改善、さらには社内生産性の飛躍的な向上をもたらす成長ドライバーになり得ます。AIをいかに自社のビジネスモデルや顧客価値の強化に取り込めるかが、今後の企業価値を左右する重要な分岐点になると考えています。

市場全体が総悲観に傾く局面が、結果として中長期的に魅力的な投資機会であった例は過去に何度も確認されてきました。もちろん短期的にはさらなる下振れリスクも否定できませんが、当ファンドとしては冷静な企業分析を継続しつつ、構造的な競争優位性と持続的な成長が見込める企業への投資を段階的に進めていく方針です。AIを巡る環境変化をリスクと機会の両面から捉え、日本の中小型株市場における超過リターンの創出を目指してまいります。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2026年2月の運用コメント

株式市場の状況

2026年2月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比10.47%上昇し、日経平均株価は同10.37%の上昇となりました。

月前半は、8日投開票の衆議院選挙を前にボラティリティが高まる中、自民党が戦後最多となる316議席を獲得する歴史的圧勝が確定すると、高市首相の政治基盤強化と財政拡張策への期待から相場は急騰しました。東証プライム市場の売買代金が過去最大を更新する中、海外投資家による大幅な買い越しが推進力となり、日本株式市場は記録的な騰勢を見せ急速に水準を切り上げる展開となりました。

月半ばには急騰後の過熱感から利益確定売りが出やすい中、「AI(人工知能)による既存業務の代替懸念」が再燃し、ソフトウェア銘柄中心に幅広い銘柄が売られました。一方、第2次高市内閣の発足や対米投融資プロジェクトの具体化を背景に、AIインフラ関連株に買いが集中しました。中東の地政学的リスクの高まりが一時的に相場の重荷となったものの、セクター間での選別物色を伴いながら下値を固める動きとなりました。

月後半は、日銀の新審議委員にリフレ派の2名を充てる人事案が提示されると早期利上げ観測が後退し、市場は勢いを取り戻しました。月末にかけては半導体関連株が相場を主導し、月半ばに売られていたソフトウェア銘柄にも割安感から急反発が見られるなど、物色の裾野は幅広い銘柄へ拡大しました。結果として、TOPIXは最高値を更新して11か月連続の上昇を記録し、日経平均株価も連日で過去最高値を塗り替える強い足取りで当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐14.21%上昇し、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同13.00%の上昇を1.21%上回りました。パフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、日精エー・エス・ビー機械、西日本フィナンシャルホールディングス、CKDなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、ペプチドリーム、シーイーシー、イオンファンタジーなどでした。

投資行動の観点では、引き続き既存銘柄の買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄の売却を行っています。当月の新規投資銘柄はありません。

当月末に米国とイスラエルはイランへの大規模な空爆を実施し、中東情勢は緊張の度合いを高めています。依然として状況は流動的であり、原油高をはじめとした経済への影響を注視する必要があります。ただ、当ファンドが注目する日本企業の収益性改善には大きな影響を及ぼすものではないと考えています。個別企業への直接面談により意識改革進展の蓋然性を高め、魅力的な投資機会の発掘に努めてまいります。

日本経済が長年続いたデフレ環境から脱却し、インフレを前提とした経済構造へと移行する中で、当ファンドは日本の中小型株企業において、経営者の意識変革を起点とした資本収益性の改善余地は依然として大きいと考えています。一方で、業界構造や制度的制約などを背景に価格転嫁が進まず、収益性改善が遅れてきた業界も少なくありません。こうした業界は株式市場において慎重な見方が根強く、株価低迷が続いてきましたが、環境変化や経営判断をきっかけとした構造変化が生じれば、有望な投資機会につながる可能性があると考えています。本運用コメントでは、その代表例として医療業界と物流業界に焦点を当て、足元で見られる変化の兆しについて整理します。

医療業界は、公定価格である診療報酬によって運営されているため、売上単価が固定される一方で、人件費を中心としたコストは変動するという構造的な制約を抱えています。その結果、インフレ環境下では収益性が圧迫されやすく、特に人員を多く抱える大病院を中心に経営状況の悪化が続いてきました。近年では医療機関の倒産が相次ぎ、地域医療の維持そのものが課題として認識される状況に至っています。こうした厳しい環境の中で、当ファンドが注目しているのが2026年度の診療報酬改定です。

2026年度には診療報酬本体が平均3.09%引き上げられることが決定されており、診療報酬本体が3%を超えて引き上げられるのは約30年ぶりとなります。この改定は、政府・与党が「賃上げと物価高騰への対応」を最優先課題に掲げ、財政当局の抑制的な姿勢を押し切って実施されたものであり、医療業界にとっては歴史的な転換点と位置付けられます。異例の賃上げ支援策としての側面に加え、これまで人件費確保のために抑制されてきた設備更新やIT投資が再開される可能性を示唆している点で、業界構造に中長期的な変化をもたらす意義があると当ファンドでは考えています。医療従事者の生産性改善とIT・設備投資は不可分であり、今後は設備投資需要の回復が進む局面に入ると見ています。当ファンドが投資する日本光電工業は、こうした医療現場の投資回復の恩恵を受け得る企業の一社であると考えています。

次に物流業界についてです。トラック輸送は国内物流の中核を担う重要な役割を果たしている一方で、多重下請け構造や過当競争を背景に、低収益構造が長年の課題となってきました。元請けとなる大手物流会社であっても、大手顧客に対する価格交渉力は必ずしも強くなく、業界全体として価格転嫁が進みにくい状況が続いています。このような環境下で当ファンドが重視しているのは、価格転嫁の成否だけでなく、事業運営形態に起因する自助努力による収益改善余地の違いです。

物流業界においては、自社で運行するトラックの積載率向上がトラック1台当たりの売上増加につながり、収益性改善に直結しますが、その実行可能性は顧客構成やビジネスモデルによって大きく左右されます。宅配、幹線物流、企業間物流など多様な業態が存在する中で、当ファンドでは幹線物流事業者は特定顧客への依存度が相対的に低く、一定の価格交渉力を有するとともに、積載効率改善などの自助努力を進めやすい業態であると考えています。当ファンドが投資する福山通運は幹線物流大手の一角を占める主要プレーヤーであり、これまで規模拡大を優先してきた結果、価格政策が後手に回り業況悪化が続いていましたが、社長交代を契機として収益性改善を重視する経営方針へと舵を切りつつあります。物流業界全体の構造問題解消にはなお時間を要すると考えられるものの、経営者の意思と戦略の変化は比較的高い蓋然性をもって業績に反映され得る要素であり、当ファンドでは重要な投資判断材料として注目しています。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2026年1月の運用コメント

株式市場の状況

2026年1月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比4.62%上昇し、日経平均株価は同5.93%の上昇となりました。

月前半は、米国半導体関連株の大幅上昇を受けて日本の半導体・AI(人工知能)関連株が買われ、大発会から日経平均株価は大幅高でスタートしました。中国政府によるレアアース関連製品を含めた対日輸出規制が強化されるとの報道で、日本株式市場が一時急落する場面はあったものの、衆院解散・総選挙観測を受けて高市首相が掲げる成長戦略が進めやすくなるとの見方を背景に、月半ばにかけて主要指数の高値更新が続きました。

月後半は相場の様相が一変しました。選挙戦の本格化や野党の新党結成を受けて国内の政治情勢の不透明感が台頭したことに加え、米欧の貿易摩擦懸念など地政学的リスクも意識され、投資家心理が悪化しました。さらに、財政拡張による財政悪化懸念から国内長期金利が想定を上回るペースで上昇し、株式市場は調整色を強めました。月末にかけては、日米当局による「レートチェック」報道をきっかけに為替相場が急変し、円は一時対ドルで153円台まで上昇するなど不安定な動きとなり、輸出関連株を中心に株式市場は揺さぶられました。日本株式市場は月後半に伸び悩みましたが、前月末比で大幅高の水準を維持して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐3.69%上昇し、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同4.85%の上昇を1.16%下回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、西日本フィナンシャルホールディングス、TOWA、CKDなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、前田工繊、大黒天物産、トーセイなどでした。

投資行動の観点では、引き続き既存銘柄の買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄の売却を行っています。また、業界環境の改善が続いている一方、株価評価が追いついていないと考えられる銀行に新規投資を行いました。

衆院選での自民党勝利と積極財政の推進期待から日本株式市場は上昇していますが、選挙の結果次第では、財政規律の緩みが止まらず財政悪化懸念が一段と高まるリスクには留意が必要です。当ファンドでは引き続き、企業経営者のインフレを前提とした意識転換による収益性改善に注目しています。今年の春闘でも着実な賃上げが進むと見られ、企業の価格政策が企業業績に及ぼす影響はますます高まっていくと考えられます。個別企業への直接面談により意識改革進展の蓋然性を高め、魅力的な投資機会の発掘に努めてまいります。

当ファンドでは、人口減少や地域経済の停滞といった構造問題を背景に、金融株への投資を積極的には行っておりませんでした。しかし、近年の期待インフレ率の上昇などを背景として、銀行の収益には強い追い風が吹く環境が整いつつあります。銀行株指数も上昇基調にありますが、当ファンドでは従来までの考え方を転換し、個別企業への調査を通じて、依然として成長余地が株価に織り込まれていないと考えられる銀行への投資を増額する判断を行いました。

当ファンドはマクロ経済の専門家ではないため、他社と異なる独自の金利見通しによって超過収益を得ようとは考えておりません。一方で、地方銀行株の現在のバリュエーションは、現在の債券市場において織り込まれている最終的な政策金利の到達点、いわゆるターミナルレートに関する予想を、株価がなお十分に織り込んでいない状態にあると考えられます。

メガバンクと比較すると、地方銀行は収益に占める資金収益への依存度や、相対的な規模の小ささに起因する経費率の高さが構造的特徴として挙げられます。これは一方で、金利が上昇する局面においては、逆に利益が拡大しやすい要因となります。資金収益への依存度が高い分、金利上昇が利鞘改善として収益に反映されやすく、加えて固定費比率の高いコスト構造は、収益増加局面ではレバレッジ効果として働くためです。当ファンドでは、変動金利での貸出比率が高い、あるいは保有債券の満期が短いなど、金利上昇環境下で利益を伸ばしやすいと考えられる地方銀行に注目しています。また、金利上昇局面において懸念されがちな預金獲得競争についても、現時点では地銀間で激化している状況は確認されていません。地域顧客の金利感応度は相対的に高くはなく、長年にわたる取引関係や地域密着型のリレーションが、参入障壁として機能しています。加えて、各行はシステム投資にも注力しており、使い勝手の良いアプリやデジタルチャネルの整備を進めることで、金利以外の要素による顧客囲い込みを強化しています。こうした取り組みも、預金基盤の安定性を下支えしています。

また、コーポレートガバナンス改革の進展も、地銀セクターにとって重要な追い風となっています。東京証券取引所の要請を背景に、資本コストやROE(株主資本利益率)を意識した経営姿勢が金融機関にも浸透しつつあり、各行でストラクチャードファイナンス(企業の資産を異なる種類の金融資産に分け、それぞれのリスクとリターンに応じて資金を調達する方法)などの魅力的なリスク・リターンが見込める分野への資本配分を進める動きが見られます。また、過剰な自己資本を抱え込むのではなく、配当や自社株買いなどの株主還元を強化する会社も目立つようになりました。これらの資本効率改善に向けた取り組みは、従来は低評価に甘んじてきた市場評価の見直しにつながると考えています。

さらに、地方銀行の再編の可能性も、中長期的な投資テーマとして無視できません。地方銀行の統合や提携などの動きはすでに一定程度進んできましたが、金融庁もさらなる制度整備を通じて今後一段と再編を後押ししようとしているため、このトレンドは今後も継続・拡大していくと見込まれます。当ファンドでは、再編自体がコスト効率化などのシナジーを通じて利益を改善させるものである他、再編のターゲットとなるリスクそのものが経営陣に株式価値向上を意識させるインセンティブとなり、結果として資本効率の改善や経営改革を促す要因になり得ると考えています。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2025年12月の運用コメント

株式市場の状況

2025年12月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.03%上昇し、日経平均株価は同0.17%の上昇となりました。

月前半は、植田日銀総裁の発言を受けて12月会合での利上げ観測が高まり、長期金利が急上昇しました。この影響から銀行株を除く幅広い銘柄が売られ、主要指数は大きく下落しました。その後、米国の利下げ期待や、米政府がロボット産業を支援する方針を示したことを受け、FA(ファクトリーオートメーション)、ロボットなど「フィジカルAI(人工知能)」関連株が急伸し、相場全体をけん引し、TOPIXは史上最高値を更新しました。

月半ばには、米国の利下げ決定後に一時的な調整も見られましたが、米国株が堅調で主要指数が高値を更新するなか、日本市場でも買いが優勢となり、TOPIXは再び最高値を更新しました。しかしその後、米IT大手Oracle社のAIデータセンター完成の遅れや、半導体大手Broadcom社の決算が市場期待に届かなかったことなどから、AI投資の収益性に対する警戒感が高まり、半導体関連株を中心に売りが広がり、相場は調整色を強めました。

月後半は、日銀が利上げを決定したものの、総裁会見がハト派的と受け止められたことから円安が進行し、輸出関連株や半導体株を中心に買いが入りました。ただし、月末にかけては薄商いの影響もあり、相場は方向感を欠く展開となりました。結果として、TOPIXは相対的に底堅く上昇基調を維持し、日経平均株価も小幅ながら前月を上回って当月の取引を終えました。年間を通してみると、年前半に大きな下落に見舞われる場面があったものの、年後半には両指数とも高値更新を続け、高水準での推移となりました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐2.25%上昇し、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同1.06%の上昇を1.19%上回りました。パフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、ラクスル、西日本フィナンシャルホールディングス、ダイヘンなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、五洋建設、武蔵精密工業、大黒天物産などでした。

投資行動の観点では、引き続き既存銘柄の買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄の売却を行っています。また、業界環境の改善が続いている一方、株価評価が追いついていないと考えられる銀行などに新規投資を行いました。日本経済のインフレ転換と、日本企業のコーポレートガバナンス改革は、2026年も引き続き重要なトピックとなると考えています。高市新政権が主導する高圧経済政策(大規模な財政拡大による超過需要の創出を通じ、インフレを伴いつつ経済成長と潜在成長率の引き上げを目指す政策)による財政悪化懸念が燻りますが、日本経済の再成長を完遂するとの意思の現れという観点においては日本株式にとって追い風と言えます。デフレマインドが蔓延していた産業でも今後意識改革が進展するものと考えられ、収益性改善を通じた再評価機会は今後増えてくるものと考えられます。引き続き魅力的な投資機会の発掘を通じて、中長期リターンの創出に努めてまいります。

近年、消費の二極化が進展している点については、これまで何度かコメントしてきましたが、この動きは一過性の現象ではなく、生活者の消費行動そのものの変化が小売産業の構造転換を促していると考えています。

まず、食料品や日用品といった生活必需品の分野では、消費者の節約志向が一段と強まっています。その結果、ナショナルブランド(NB)品よりも安価なプライベートブランド(PB)品の開発力を高める企業や、店舗運営や物流・配送の効率を徹底的に磨き上げ、低価格で商品を提供できる仕組みを構築した企業が、既存のスーパーやコンビニエンスストアから着実にシェアを奪い、成長を続けています。価格競争力は単なる値下げではなく、オペレーション全体の効率化によって支えられており、ここに構造的な競争優位が生まれています。

一方で、裁量消費(生活必需品以外の、趣味・娯楽など個人の判断で支出額を調整できる消費)の領域では全く異なる動きが見られます。高級品を幅広く取り扱う百貨店は、インバウンド需要の回復という追い風もあり、比較的良好な業績を維持してきました。価格よりも体験や品質、ブランド価値が重視される分野では、「安さ」以外の価値を提供できる企業が選好される構図が鮮明になっています。こうした認識のもと、当ファンドでは今回、新たに裁量消費の領域において中長期的な成長が見込めると判断した企業への新規投資を開始しました。

1社目は、これまで保守的であった価格戦略を大きく転換し、丁寧な接客という同社本来の強みと、その価値に見合った価格設定を両立させることで再成長を目指す小売企業です。同社が属するアパレル市場は競争環境が極めて厳しく、長年にわたり価格戦略の見直しには慎重にならざるを得ませんでした。しかし、社長交代を機に、自社の本質的な価値は接客力にあり、その価値を正しく価格に反映させていくべきだという方向性が明確になりました。価格を抑えることで競争するのではなく、顧客体験を高め、その対価を得るという戦略は、消費の二極化が進む中で理にかなったものと考えています。

2社目は、業績自体は堅調に成長しているにもかかわらず、業界環境の悪化や関税政策といった外部要因により、その成長が株価に十分に反映されていないと考えられる楽器メーカーです。現在の楽器市場は、中国の政策変更の影響を受けてピアノ需要が急減し、深刻な供給過剰問題に直面しています。加えて、米国における関税の影響による需要減少懸念や、コロナ禍における巣ごもり需要の反動減といった不透明要因も重なり、業界全体に対する投資家の関心は低調な状況が続いています。しかし同社は、楽器のデジタル化という構造的な変化を的確に捉えつつ、高いブランド力を背景に安定的に顧客を獲得しています。短期的には外部環境の逆風が意識されやすいものの、これらの要因が解消に向かえば、同社の競争力と業績成長が改めて評価される局面が訪れると考えています。

消費行動の変化は、企業間の優勝劣敗をこれまで以上に明確にしています。当ファンドでは、こうした構造変化を丁寧に見極めながら、価格競争力やブランド力、提供価値の本質に着目した投資を通じて、中長期的なリターンの獲得を目指してまいります。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2025年11月の運用コメント

株式市場の状況

2025年11月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.42%上昇し、日経平均株価は同4.12%の下落となりました。

月前半は、AI(人工知能)関連銘柄の前月までの上昇に対する過熱感が意識され、米国株式市場にて関連銘柄が大幅に調整した影響が日本株式市場にも波及しました。一方でバリュー株や内需株等は底堅く推移し、これらのウェイトの差異が指数の変動に大きな影響を与えた結果、日経平均株価の下落が大きくなり、他方TOPIXは相対的に底堅さを維持しました。

月半ばには、日中関係の緊張を背景に中国政府が渡航自粛を要請したことが嫌気され、日経平均株価、TOPIXの両指数とも再び大きく下落し、日経平均株価は節目の5万円を割り込む場面も見られました。その後は、米国株式市場においてNVIDIA社が好決算を受け、時間外取引で同社株が上昇したことが追い風となり、日本株式市場でもアドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループの3銘柄が日経平均株価を約700円押し上げる場面も見られるなど株価は持ち直しましたが、AI投資の過熱感に対する警戒は根強く、上値の重い展開が続きました。

月後半にかけては、FRB(米連邦準備制度理事会)高官のハト派的発言を受けて12月利下げ観測が再び高まり、米国株の持ち直しとともに日本株式市場も反発しました。結果として、日経平均株価は8か月ぶりの下落となった一方、TOPIXは小幅ながらも上昇を確保し、両指数のパフォーマンスはまちまちとなり、当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐2.56%の上昇となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同4.05%の上昇を1.49%下回りました。当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、五洋建設、西日本フィナンシャルホールディングス、武蔵野銀行などでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、ダイヘン、武蔵精密工業、CKDなどでした。

投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄の売却を行っています。また、業界環境の改善が続いている一方、株価評価が追いついていないと考えられる建設会社などに新規投資を行いました。

日本株式は、前月まで相場を牽引してきたAI(人工知能)関連銘柄が競争激化懸念から当月は調整に転じるなど、変動率の高い状態が続いています。当ファンドにおいても、保守的な会社計画の発表や短期業績の停滞により大きく下落する銘柄があり、短期的なパフォーマンス悪化をもたらしています。しかし個別調査を経て実態業績は堅調であることが確認できており、追加投資の好機であると当ファンドでは考えています。今後もファンダメンタルズに基づいた投資を通じて、中長期的なリターンの創出に努めてまいります。

当ファンドでは最近、都心を中心に、中規模の既存オフィスビルの取得・バリューアップ・売却を主に手掛ける不動産会社に投資を開始しました。

都内の中規模オフィス市場は、中小企業数が安定的に推移している一方、新規供給は極めて限定的であるため、既存物件に対する需要が構造的に底堅く存在する状況となっています。また築年数が経過した物件には、リノベーションやテナント入れ替えを通じた賃料改善の余地が大きく残されています。同社は、こうした物件を取得し、改修や賃料交渉によって収益性を高めた上で売却することで、高い成長を実現してきました。

昨今、日本経済は長期の低インフレから脱却し、インフレ基調へ転換しています。インフレへの転換は、企業マインドの変化と、名目の売上や利益の改善による企業体力増という二つの経路を通じて、オフィス賃料の上昇余地を生み出すため、オフィス市況にとって追い風となります。また、企業業績の改善は、人員増強や事業拡張への意欲拡大へと波及することで更なるオフィス需要を生み出します。さらに、インフレに伴う建築費高騰は、中規模オフィスの新規供給をさらに難しくするため、既存オフィスビルへの需要を補強する要素となります。

当ファンドでは、需要の底堅さと供給制約が同時に存在するこのような市場環境においては、同社の成長継続の確実性は高まっていると判断し、投資を行っています。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2025年10月の運用コメント

株式市場の状況

2025年10月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比6.20%上昇、日経平均株価は同16.64%上昇いたしました。
月前半は、米政府機関の一部閉鎖懸念を背景に軟調なスタートとなりましたが、高市早苗氏が自民党総裁に就任すると、市場では積極財政や成長戦略への期待が高まり、「高市トレード」と呼ばれる株高・円安の動きが急速に進行しました。月半ばにかけては、公明党の連立離脱報道が伝わり、政局不安が広がりました。さらに、米国による対中追加関税発表とそれに対する中国の報復措置が加わり、リスクオフムードが強まったことで、日経平均株価は一時急落しました。その後、一転して日本維新の会との連立協議入り報道を受けて政局の不透明感が後退し、米SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)の上昇も追い風となり、相場は反発に転じました。
月後半には、米中貿易摩擦の再燃や米地銀の信用不安が断続的な重荷となり、短期的な過熱感から一時的な調整局面もみられたものの、20日に自民党と日本維新の会が正式に連立合意に至り、高市新政権の誕生を受けて政策期待が一段と高まったことから市場は再び上昇基調となりました。
月末にかけては、FOMC(米連邦公開市場委員会)で予想通り0.25%の利下げを決定した一方、FRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言を受けて12月の追加利下げ観測は後退しました。また、日銀の金融政策決定会合では利上げが見送られ、追加利上げに慎重な姿勢が示されたことで円安基調が継続しました。さらに、米中協議の進展や中国によるレアアース輸出規制延期が好感され、リスク選好姿勢が一段と強まりました。こうした環境下で、アドバンテストの好決算やレーザーテックの大幅株高など、AI(人工知能)・半導体関連株が連日上昇し、日経平均株価も連日で史上最高値を更新しました。結果として、指数間の上昇率の差が広がりながらも、日本株式市場は前月末比で大幅高の水準で10月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐0.20%の下落となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同3.18%の上昇を3.38%下回りました。
当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、五洋建設、ダイヘン、ナブテスコなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、サイバーエージェント、イオンファンタジー、やまみなどでした。
投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄の売却を行っています。また、期待インフレ率の上昇を背景に、業績成長の確度が高まったと判断した不動産企業に新規投資を行いました。

日本株式市場は、高市新政権への政策期待や米国の利下げ観測、AI(人工知能)関連需要の拡大を背景に上昇基調を強めています。ただし、相場を牽引しているのは半導体、防衛、原子力といった一部のテーマに限られ、これらの銘柄ではバリュエーションの割高感が強まっています。FOMO(Fear of Missing Out、取り残されることへの恐怖)の様相も見られ、過熱感やバブル懸念が高まりつつあります。
一方で、テーマ化されていない銘柄の中には依然として割安な企業も多く、選別投資の余地が大きい状況と考えています。日本企業は長年の保守的な財務運営により豊富な投資余力を有しており、インフレ転換を契機とした意識改革によって資本効率の改善が期待されます。今後も過度な楽観に流されることなく、企業の実態価値に基づいた投資を通じて、中長期的なリターンの創出に努めてまいります。
足元では、物価上昇に対して賃金上昇がようやく追いつきつつあり、実質賃金のプラス転換が近づいていると考えられます。これに伴い、長らく低迷していた消費マインドの回復が期待されます。一般的には消費に対して悲観的な見方が多いものの、当ファンドでは過度にネガティブには捉えておりません。
もっとも、インフレが持続する中で消費者の支出行動には変化が見られます。生活必需品などコモディティに近い分野では、プライベートブランドやディスカウントストアを活用し節約に努める一方で、旅行やブランドファッションといった「使いたい領域」には積極的に支出する傾向が強まっています。
このように、これまで指摘されてきた高所得者と低所得者の二極化に加え、一人の消費者の中でも商品・サービスごとに支出傾向が二極化する現象が進展していると考えられます。今回はそのうち、「節約志向の高まり」という観点から見た投資機会についてご説明いたします。

現在、日本の小売業、特に日用品を扱うスーパーマーケット業態は厳しい経営環境にあります。消費者の節約志向が強まる一方で、人件費や水道光熱費などの事業運営コスト上昇により、収益性が低下しています。人口減少と高齢化が進む地方部ではこの傾向がより顕著です。
しかし、このような環境は大手チェーン企業にとってはむしろ追い風にもなり得ます。体力の乏しい中小チェーンの淘汰が進むことで、大手企業のシェア拡大につながりうるためです。
このような中で、足元の生活必需品分野における価格感応度の高まりは上場大手小売企業に新たな成長機会をもたらしています。
ディスカウントスーパーを展開する大黒天物産は、徹底した低価格戦略により、競合からの顧客獲得を継続してきています。足元では、低価格の徹底に伴い一時的に利益率が悪化していますが、当ファンドではこれを将来的な収益性改善の余地が拡大している局面と捉えております。なぜなら、低価格を維持してきたことで同社商品の相対的な割安感が一段と高まっており、現在は価格優位性を保ったまま値上げを実施できる余地(バッファー)が生まれていると考えているためです。以上を踏まえ、当ファンドでは引き続き同社に対して強気のスタンスを維持しております。
また、Genky DrugStoresや薬王堂ホールディングスなどの郊外型ドラッグストア業態も注目に値します。これらの企業は、効率的な店舗運営や高粗利のヘルスケア分野の存在を背景に、相対的に安価に食品を提供することでスーパーマーケットやコンビニエンスストアの需要を一部取り込み、顧客基盤を拡大しています。さらに、低価格に加えて一か所で買い物を済ませられる利便性、言い換えれば「時間」という付加価値を顧客に提供している点も特徴です。賃金上昇が進む環境下ではこの時間価値が一段と高まっているため、こうした付加価値を提供できる企業は顧客に選ばれ続けることで持続的な成長が期待できると考えています。

今後の運⽤⽅針

当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2025年9月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年9月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比2.98%上昇、日経平均株価は同5.18%上昇いたしました。
 月前半は、Alibaba Group Holding社(中国)による新AI(人工知能)チップ発表をきっかけに米中の技術競争激化が意識され、米国のAI関連株が軟調となり、日本株式市場でもハイテク株中心に下落いたしました。その後、トランプ米大統領が日米間の自動車関税引き下げを盛り込んだ大統領令に署名したことが安心感につながり、相場は持ち直しました。
 月半ばにかけては、米国雇用統計が市場予想を下回り、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が高まったことや、石破茂首相の辞任表明を受けて次期政権への政策期待から日本株式市場は上昇しました。米国株式市場では半導体やAI関連銘柄が市場を牽引し、日本株式市場でも関連株の物色が広がったほか、その他幅広い銘柄に買いが波及しました。日経平均株価やTOPIXは高値更新を続け、相場上昇のモメンタムが継続しました。
 月後半は、FOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げ再開の決定と年内の継続的な利下げ見通しが示されました。翌日の日銀金融政策決定会合では、政策金利は据え置かれたものの2名の審議委員が利上げを提案し10月の利上げ確率が上昇した他、保有するETF(上場投資信託)の売却を決定したことで指数が一時急落しましたが、売りが一服すると下げ幅を縮め、相場は底堅さを維持しました。
 月末にかけては、米国経済指標が堅調だったことから米国の積極的な利下げ期待が後退し、米国株が反落した流れが波及した他、自民党総裁選を控えていることなども重なって日本株式市場は軟調に推移しましたが、月全体としては前月末対比大幅高の水準で当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐3.67%の上昇となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同2.28%の上昇を1.39%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、五洋建設、高島屋、前田工繊などでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、ラクスル、学情、イオンファンタジーなどでした。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄の売却を行っています。また、業績停滞が続いているものの、株価下落により投資妙味が高まったと判断した素材関連企業などに新規投資を行いました。

 地政学的リスクこそあるものの、米利下げ観測や米関税リスクの低下に加え、日本経済の回復期待、政権交代による財政拡張期待などから日本株式市場は堅調に推移しています。新政権の財政拡張期待は財政悪化と隣合わせであり、過度に期待すべきものではないですが、日本経済の回復、そしてインフレ時代に向けた日本企業の転換は不可逆的に進展していると当ファンドでは考えます。事業環境や財務状況、マネジメントの意思決定スピードなど各企業が置かれている状況は様々ですが、日々のボトムアップ・リサーチを通じて企業の意識改革進展を実感しています。引き続き魅力的な投資機会の発掘を通じて、中長期リターンの創出に努めてまいります。

 昨年から当コメントで申し上げている通り、当ファンドでは企業のガバナンス改革に注目した投資候補の調査を進めています。大型株においては既に語り尽くされたテーマではありますが、中小型株式市場においては企業によって進展度合いに差があり、潜在的な改善余地が投資機会となり得る企業は依然として多いと考えています。その中で、新たに投資を開始したのが「NOK」です。
 同社は2010年代後半から続く市場環境の変化により業績停滞を余儀なくされてきましたが、ようやく業績悪化局面を脱しつつあります。当ファンドでは、外部環境の好転に加え、事業成長機会の具現化やマネジメント交代に伴う財務戦略の変化が期待できると判断し、投資を開始しました。
 NOKは自動車向けシール材とスマートフォン向けFPC(フレキシブルプリント基板)の大手メーカーであり、2010年代には両事業とも高い収益性を誇り、株式市場からも高い評価を得ていました。しかし、自動車用シールは日系完成車メーカー各社の生産台数減少の影響を受け、またFPC事業は独占的に供給していたスマートフォンメーカー向けでのシェア低下から業績停滞が続いてきました。特にFPC事業は拠点撤退を余儀なくされ、多額の損失計上も続きました。減損による赤字は一巡したものの、EV(電気自動車)化が想定ほど進展せず、足元でも業績は伸び悩み、低い株価評価が続いています。
 当ファンドが注目したのは三点です。第一に、シール事業の外部環境好転と社内改革による収益性改善の機会です。環境負荷削減と実用性の観点からHEV(ハイブリッド車)の需要が拡大しつつありますが、ICE(内燃機関車)向けと比べてBEV(バッテリー電気自動車)向けは1~2割台当たりの部品売上が減少するのに対し、HEV向けは2割増となるため、HEV需要の拡大は同社に追い風となります。また、原材料や人件費上昇に対する価格改定や、不採算事業からの撤退が十分に進んでおらず、完成車メーカーとの交渉余地は大きいと見ています。また、過去は聖域とされていたシール事業の再編も、経営トップ交代を機に進む可能性があります。
 第二に、FPC事業の収益改善と成長機会です。スマートフォン向けシェア低下後は拠点縮小を続けてきましたが、閉鎖は一巡し、2025年3月期に黒字化を達成しました。遅れていた日系完成車メーカー向けの採用も進み始めており、ようやく成長が期待できる状況となっています。さらに、加工自動化の進展によりワイヤーハーネスからFPCへのシフトが加速し始めており、今後の採用拡大に期待が高まります。
 第三に、資本政策の転換の可能性です。NOKは潤沢な現金や政策保有株式をバランスシートに抱えており、資本効率改善の余地が大きいと当ファンドでは考えています。同社の資本政策は従来外部からの見通しは困難でしたが、今年に入りCFOが交代したことで戦略転換の可能性が高まっています。
 仮にこれらの全てが短期的に実現しなかったとしても、同社株はPBR0.8倍以下、現状配当利回り4%超という割安な水準にあります。下値リスクは限定的である一方、企業改革や事業成長が進展すれば評価見直しの余地は大きく、中長期的な投資妙味があると判断しています。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2025年8月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年8月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比で4.52%上昇、日経平均株価も同4.01%の上昇となりました。
 月前半は、米国の雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を下回り、労働市場の軟化が意識されたことで米国株が急落しました。その影響を受けて日経平均株価も急落し、一時4万円を割り込む場面もありましたが、雇用統計の弱さが米国利下げ期待を高め、世界的な株高を誘発しました。加えて、国内では主要企業の好決算により企業業績の底堅さが再認識され、日本株式市場は一段と騰勢を強める展開となりました。こうした強い上昇基調のなか、月半ばにはトランプ米大統領が対中相互関税の一部を再び90日間延期すると発表し、投資家心理に安心感を与えたことから株式市場は続伸し、日経平均株価は連日史上最高値を更新しました。
 その後、月後半にかけてはジャクソンホール会議を控え様子見ムードが広がり、利益確定売りも重なって調整色が優勢となりました。ジャクソンホール会議では、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の講演が9月の利下げ観測を一段と強めるものとなったほか、米国のNVIDIA社が中国向け輸出に関する不安を残しつつも堅調な決算を発表したことも市場を支え、米国株式市場は堅調に推移し、日本株式市場も底堅い動きを見せ、前月末比で大幅高となって当月を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐3.85%の上昇となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同5.01%の上昇を1.16%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、月島ホールディングス、サイバーエージェント、五洋建設などでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、前田工繊、山九、ペプチドリームなどでした。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説が失効した銘柄などの売却を行っています。また、マネジメントの交代を機に企業価値向上への取り組みが始まったと考えられる自動車部品関連企業などに新規投資を行いました。
 米利下げ期待の高まりや米相互関税への不透明感の後退などから、当月の日本株式市場は上昇しました。株価の上昇により投資対象候補となる企業が減少しているのではないかとの懸念も聞かれますが、依然として割安に放置された投資機会は豊富にあると当ファンドは考えます。特に、短中期業績悪化はもとより、一見構造的に厳しい産業に属しているなど、市場からのネガティブバイアスが強い銘柄は、ポジティブな変化に対する感応度が高く投資妙味が大きくなる可能性があります。当ファンドでは引き続きボトムアップ・リサーチを通じ、中長期でリターンの創出につながる魅力的な投資機会の発掘に努めてまいります。

 当ファンドでは、国内の設備投資が回復局面を迎えるとの見方から、いくつかの建設関連銘柄をポートフォリオに組み入れています。当ファンドが注目するのは、企業本来の収益力や成長ポテンシャルが高いにもかかわらず、一時的な要因により業績が悪化し、株価が企業価値に対して大幅に割安となっている局面です。こうした状況こそが長期投資家にとって魅力的なエントリーポイントになると考えています。
 当ファンドは2022年から五洋建設に投資を行ってまいりました。同社は土木・建築を中心に幅広い事業を展開しており、特に港湾、空港、トンネルなど高度な技術が要求される分野で強みを有しています。また、海外においても長期にわたりシンガポールや香港をはじめとする大型公共工事に参画しており、国内外で確かな地位を築いてきた企業です。
 投資を開始した当時、同社はコロナ禍の影響もあり、受注済み案件の複数が不採算化する事態に直面していました。特に大型案件で160億円規模の工事損失を計上するなど、同社にとって稀に見る業績悪化局面を迎えており、当面の収益性改善は困難とみられていました。しかし、当ファンドは個別面談を通じて、同社の技術力や顧客基盤は揺らいでいないこと、また新規受注案件においては採算性が徐々に改善していることを確認しました。そのため、中長期的な視点に立てば、不採算案件一巡による業績回復の可能性は高いと判断し、投資を行っています。
 具体的には、土木工事では数千億円規模の整備計画の一角を担った実績が将来の大型案件獲得につながる可能性を高めています。建築工事においても、数百億円規模の案件を主導する経験を積み、コンペティションに呼ばれる件数が増加するなど、事業者としてのステップアップを果たしています。海外案件については発注主である各国政府の政策動向に左右される面はあるものの、空港拡張や港湾再開発といった大型公共工事が複数控えており、同社が長年築いた実績と信頼が引き続き評価されると見ています。
 2025年に入り、不採算案件の完工や採算改善の進展が着実に業績に寄与しつつあることで、同社の株価評価は回復基調を辿っています。しかしながら今期は依然として不採算案件が残っており、来期以降に目を向けると、同社の業績は更なる改善余地を残しています。当ファンドでは、高度な技術力を必要とする海上土木工事や、海外における豊富な実績を背景として、同社が有するポテンシャルに引き続き注目し、中長期的な株主価値の向上を期待して投資を継続しています。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2025年7月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年7月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比3.17%上昇、日経平均株価も同1.44%の上昇となりました。
 月前半の日本株式市場は、前月末の急騰を受けた利益確定売りが優勢となるなか、米国による相互関税の動向や参議院議員選挙で与党が苦戦するとの見通しなど、先行きへの不透明感が強まり、株価の動きは限定的となりました。また、米NVIDIAによる中国向けAI半導体の輸出再開報道や、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長解任を巡る話題など、強弱入り混じる材料が相次いだこともあり、株式市場は方向感に乏しく、もみ合いが続く展開となりました。
 月後半に入ると、20日に実施された参議院議員選挙では、与党が非改選議席と合わせても過半数を獲得できなかったものの、市場では想定内の結果と受け止められたため、連休明けの22日の株式市場への影響は限定的に留まりました。翌23日には、日米通商交渉の合意が報じられたことで株価が一気に押し上げられ、24日のTOPIXは過去最高値を更新し、日経平均株価も急騰する展開となりました。その後は、急ピッチな株価上昇に対する過熱感から一時的な調整が入ったものの、月末には米ハイテク銘柄の好決算の影響などを受けて反発し、日本株式市場は前月末比で大幅高となって当月を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐5.89%の上昇となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同3.53%の上昇を2.36%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、イオンファンタジー、武蔵野銀行、西日本フィナンシャルホールディングスなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、サイバーエージェント、INFORICH、トレジャー・ファクトリーなどでした。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説が失効した銘柄などの売却を行っています。また、ガバナンス改革による企業価値向上が見込まれる小売業銘柄への新規投資を開始しました。

 前月、日本と米国は4月から継続してきた関税交渉で合意したとの発表を行いました。報道されている関税率15%は当初懸念されていたほど悪くない水準であり、日本経済における不確実性は軽減されたものと当ファンドでは考えています。人件費上昇を背景に、生産性改善に向けた設備投資の拡大などは今後も継続すると期待されます。当ファンドでは、関税懸念などから割安感が高まったと考えられる銘柄に対し、積極的な調査活動を行っています。地政学リスクの高まりなどから内需銘柄への選好が続いてきましたが、それは内需・外需のパフォーマンス格差やバリュエーション格差が広がっており、外需銘柄への投資機会が広がっていると考えているためです。また内需銘柄の中でも事業環境の変化を受け、より良い銘柄への切り替えを進めています。
 当ファンドでは、消費の二極化が進行するとの仮説を元に、その恩恵を受けると考えられる百貨店業態への投資を行ってきました。コロナ禍後のインバウンド消費の急回復もあり、投資先の株価は堅調な推移を辿ってきましたが、円安進展の一服もありインバウンド消費には陰りが見られ始めています。かかる状況を受け当ファンドでは、需要動向に左右されにくい、ガバナンス改革による企業価値向上が見込まれる銘柄への新規投資を開始しました。
 同社は、東京・大阪をはじめとする全国主要都市で百貨店やショッピングセンターを展開する老舗企業です。
 長年にわたり「持つ経営」を続けてきた背景から、同社が保有する不動産には多額の含み益が発生しています。一方で、近年は資本効率に対する意識が高まっており、保有資産をコア/ノンコアに分類し、戦略的に売却・再投資の判断を行うなど、資産活用に対する方針転換が進んでいます。直近では、拠点別ROIC(投下資本収益性)の開示にも踏み切っており、これは経営の透明性を高め、株主との対話を通じた企業価値向上を目指す同社の姿勢の変化の表れといえます。
 また、同社は長い歴史を有する企業であることから、保有する政策保有株式の時価も大きく膨れ上がっています。今後は収益を生まない資産の圧縮と、成長投資または株主還元への資本再配分を通じて、中長期的に一株当たり価値の向上が期待できます。
 成長投資の観点では、同社が注力するアジア事業における百貨店展開が挙げられます。同社は1990年代からシンガポールに進出していたことで、アジア市場におけるブランド力を確立してきました。こうした基盤を土台として、2010年代半ば以降はベトナムやタイなど、その他のASEAN諸国へと展開を拡大しています。これらの地域は、一人当たり国内総生産(GDP)および人口の双方で成長局面にあり、将来的には日本における百貨店業態のかつての成長過程をなぞるような発展が見込まれます。
 足元では、国内百貨店におけるインバウンド消費の鈍化を背景に株価が軟調に推移していますが、中長期的な視点では、現在の株価水準は非常に魅力的なエントリータイミングであると捉え投資を行っています。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2025年6月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年6月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)が前月末比1.96%上昇、日経平均株価も同6.64%の上昇となりました。
 全体としては、米国の関税政策や地政学的リスクの動向に市場が影響を受ける場面も見られたものの、外部環境の改善や米国金融緩和への期待を背景に、リスク選好姿勢が強まった月となりました。
 月前半から月半ばにかけての日本株式市場は、米国の関税政策や景気減速への懸念から軟調に推移しましたが、堅調な米雇用統計や米半導体関連株の上昇を受け、市場は持ち直しました。しかし、イスラエルがイランを攻撃したとの報道によって中東情勢への懸念が高まり、一時的にリスク回避の動きが市場を下押ししました。一方で、日銀が政策金利据え置きと国債買い入れ減額ペースの緩和を示し、米連邦公開市場委員会(FOMC)でも政策金利が据え置かれたことが投資家心理を下支えし、外部要因に振らされながらも市場はもみ合いを続けつつ、徐々にレンジを切り上げる展開となりました。
 月後半にかけては、中東情勢の激化や米国によるイラン核施設への空爆報道により、一時的にリスク回避ムードが広がりましたが、その後は地政学的な懸念が早期に沈静化したことや米国株式市場の反発を受けて、日本株式市場も上昇基調に転じました。さらに、トランプ米大統領の停戦に関する発言や米連邦準備制度理事会(FRB)高官による利下げ示唆が投資家心理を押し上げ、リスクオンムードが広がりました。値がさ半導体関連株が相場をけん引し、配当権利落ちに伴う再投資の需要も追い風となり、日経平均株価は年初来高値を更新しました。株式市場全体も前月末比で大幅に上昇して当月を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐2.14%の上昇となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同2.42%の上昇を0.28%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、サイバーエージェント、丹青社、九電工などでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、前田工繊、トレジャー・ファクトリー、NITTOKUなどでした。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説が失効した銘柄などの売却を行っています。また、半導体製造装置の微細化進展により、事業機会の拡大が期待できる機械メーカーなどに新規投資を行いました。

 日本株式市場は、今まさに大きな転換点に差し掛かっています。バリュエーションの割安感、デフレからインフレへの構造転換、そしてコーポレート・ガバナンス改革という3つの観点から、再評価の機運が高まっていると当ファンドでは考えています。

1.割安なバリュエーション

 日本株は依然として他の主要地域と比べて割安な水準にあります。PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)を見ても、TOPIXは米国(S&P500)よりも低く、欧州主要国と同水準かやや割安です。特に小型株式市場ではこの割安感が顕著で、大型株に対して大幅なディスカウントが続いています。
 「日本株は万年割安」とのバイアスは根強いものの、利益率や資本効率の改善が進むなかで、今後は構造的な再評価が進む余地が大きいと考えます。

2.デフレからインフレへの構造転換

 日本経済は30年以上続いたデフレから、持続的なインフレ経済への転換期を迎えています。

賃金の動向:
 2024年春季労使交渉(春闘)では33年ぶりの高い賃上げ率が実現し、高水準の賃上げが続いています。円安による物価上昇がきっかけでしたが、物価上昇ペースが鈍化しても賃上げペースが衰えていないことは、インフレ定着の動きを裏付けていると考えます。

雇用情勢:
 人手不足は一段と深刻化し、雇用判断DI(企業の雇用人員の過不足についての判断を示す指数)は好景気だった2010年代後半よりも厳しい状態を示しています。特に中小企業では採用競争が激化し、健全な賃上げや経済の新陳代謝が進んでいます。

倒産件数:
 低金利政策の終了や補助金政策の打ち切りを受け、2021~2022年を底に倒産件数が増加傾向に転じました。これは体力のない企業が市場から退場し、競争力のある企業がシェア拡大や成長を果たす健全な新陳代謝の表れです。

 成熟したとはいえ日本の内需市場は規模が大きく、小型株企業にとっても成長余地は十分にあります。また、インフレ環境は企業の価格転嫁や利益率改善を後押しし、企業業績にとってもポジティブな変化となっています。

3.コーポレート・ガバナンス改革の進展

 2013年以降、コーポレート・ガバナンス改革が本格化し、社外取締役の増加や指名・報酬委員会の設置など、企業の経営体制が大きく変化しています。
 近年は「稼ぐ力」の強化を目的とした実効的なガバナンス改革が進み、単なる不祥事防止やリスク回避を超えて、企業の収益性・資本効率の向上に主眼が置かれるようになりました。
 特に小型株でも、これまで遅れていたガバナンス改革の動きが加速し、資本収益性改善に向けた施策や意識改革が着実に進展しています。東証によるPBR改善要請や、投資家との対話の深化もこうした変化を後押ししています。
 日本株式市場は、割安なバリュエーション、デフレからインフレへの構造転換、そしてコーポレート・ガバナンス改革を背景に、再評価の局面を迎えています。特に小型株セクターは、バリュエーションの割安感と構造改革の進展余地の大きさから、今後も投資妙味の高い市場環境が続くと考えます。
 利益率改善や経営改革の進展を背景に、日本株式市場は中長期的な成長と企業価値向上が期待できる投資先として、引き続き注目してまいります。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2025年5月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年5月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)が前月末比5.10%の上昇、日経平均株価も同5.33%の上昇となりました。当月の日本株式市場は、月前半に大幅上昇した後、月半ばに調整を挟みつつも月後半にかけて持ち直し、レンジ内での回復基調を維持したまま当月を終えました。
 月前半は、前月末から続く米国の関税交渉進展への期待が支援材料となったことや、日銀が展望リポートで実質GDP成長率と物価上昇率の見通しを下方修正し追加利上げに慎重な姿勢を示したことや進行した円安も相まって、株式市場は堅調に推移しました。こうした中、米英貿易協定の合意や米中双方による市場の想定以上の関税率の引き下げを受け、指数は大幅に上昇しました。月半ばには好材料が一巡したことに加え、円高・ドル安の進行や、米国債格下げをきっかけに米国の財政悪化懸念が高まったことも相場の重荷となりました。月後半にかけては、米国による対EU追加関税の延期や、日本国内での超長期国債発行計画の見直し観測による円安の進行等により主力株を中心に買いが入り、日本株式市場は再び上昇に転じました。さらに、28日に米国際貿易裁判所がトランプ政権の関税政策を違法と判断し関税の差し止めを命じたことを受けて円安が加速し、株式市場も大幅高となりました。しかしその後、米連邦巡回区控訴裁判所が関税差し止めの執行を一時的に停止する判断を下したことでドル円相場とともに株式市場は反落しました。
 結果として、米国の関税政策をめぐる不透明感に振り回されながらも、日本株式市場は前月末比で上昇して取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐4.99%の上昇となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同4.26%の上昇を0.73%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、日精エー・エス・ビー機械、グンゼ、サイバーエージェントなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、リログループ、NITTOKU、INFORICHなどでした。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説が失効した銘柄などの売却を行っています。また、短期的な成長鈍化懸念から株価が低迷しているものの、単価上昇による利益成長の蓋然性が高いと判断した企業に新規投資を行いました。

 トランプ関税の先行きに対する楽観的な見方が広がったことで、当月の日本株式市場は大幅な上昇となりました。
 当ファンドとしては引き続き、マクロ環境の変化ではなく、個々の企業が持つ独自の成長要因や変化により注目して銘柄選別を進めてまいります。当ファンドでは健全なインフレを通じた日本経済の正常化を背景に、資本収益性の改善を進める企業は増えてくると想定しており、割安に放置されている銘柄の再評価余地は大きいものと考えています。
 足元の世界経済は、依然として関税政策を巡る不透明感が高く、特に輸出に依存する外需企業への投資は慎重にならざるを得ない状況が続いています。このような環境下では、外部環境の影響を受けにくい、独自の強みによって成長を続ける企業を選別することが重要であると考えています。当ファンドが長年にわたり投資を継続している日精エー・エス・ビー機械(以下、日精ASB機械)は、まさにそのような独自要因で成長を続ける企業の一つです。

 日精ASB機械は、長野県小諸市に本社を置く、PETボトルをはじめとするプラスチック容器を製造するためのストレッチブロー成形機及び関連金型、付属機器、部品の企画・開発・製造・販売を一貫して手掛けるメーカーです。同社は1978年に設立され、特に二軸延伸ブロー(ストレッチブロー)成形機においては世界トップクラスの技術力を有し、売上の90%以上を海外で上げるグローバル企業でもあります。
 当ファンドが同社に注目している大きな理由の一つは、革新的な新製品の投入を通じて新たな市場を着実に開拓している点です。同社が主力とするストレッチブロー成形機は、工作機械の中でも比較的歴史が浅く、現在も技術革新が進む発展途上の分野です。この技術は、従来の容器成形の主力であった射出成形や押出成形と比較して、使用する樹脂の量を削減できるなど、環境面やコスト面でのメリットが大きいとされています。
 このように構造的な市場成長が見込まれるにもかかわらず、同社の株価は一般的な景気循環型の機械株と同様の評価に留まっており、その成長性に対して割安感は強いと判断し、投資を継続しています。
 先般実施した同社マネジメントとの面談を通じて、同社の事業の安定性が一段と向上しているとの確信度を高めました。同社のビジネスは、成形機本体の販売に加えて、顧客の容器生産に不可欠な金型や部品の供給、さらには技術サポートといった付帯サービスによって成り立っています。事業の安定性を高める上で、顧客工場の稼働状況に連動して収益が発生する金型や部品といったビジネスを拡大していくことが極めて重要だと考えます。
 しかしながら、これまで新興国市場などでは安価な模倣品が出回ることや、同社のサポート拠点が十分に整備されていない地域では迅速なサービス提供が難しいといった課題があり、付帯サービス売上の成長は必ずしも順調ではありませんでした。
 この状況を大きく変えるきっかけとなったのが、2018年に発表された新技術「ZC(ゼロ・クーリング)」です。この技術は、成形サイクルにおける冷却時間を大幅に短縮することで、容器の品質向上と生産プロセス時間の大幅な短縮を両立させる画期的なものであり、顧客の生産性向上に大きく貢献しています。これにより、同社の業界内における技術的優位性とプレゼンスは一層高まりました。
 さらに重要な点は、このZC技術に関して同社が金型を含めて特許を取得していることです。これにより、ZC技術を搭載した成形機を導入した顧客は、必然的に同社から専用の金型や関連部品を購入する必要が生じ、結果として同社の金型を中心とした付帯サービスの売上増加に直結しています。実際、直近の決算でも金型や部品の売上は過去最高を更新しており、このビジネスモデルの強靭さを示しています。今後もZC技術搭載機の販売が増加するに従い、高収益な付帯サービスの売上が継続的に積み上がっていくことで、同社の収益構造はより安定したものへと進化していくことが期待されます。
 同社は数年前から、これまで主戦場としてこなかった飲料用ペットボトルを製造する市場へも本格的に参入を開始しました。この市場は、従来、大規模な設備による大量生産が主流であり、多品種少量生産を得意としてきた同社にとっては、その強みを発揮しにくい市場と認識されていました。しかし、同社が開発した新型の飲料用ボトル成形機は、装置サイズが比較的小さく、工場のスペースを効率的に活用できる点や、生産量を柔軟にコントロールできる点などが、特に多品種化が進む日本市場の飲料メーカーから高く評価され、採用が広がり始めています。飲料用ペットボトル市場における海外への本格的な展開はこれからですが、その潜在市場規模は1,000億円から2,000億円に達すると試算されており、今後の動向が非常に注目されます。
 懸念される米国の関税引き上げの影響については、同社経営陣は、製品の高い競争力を背景に、コスト上昇分は製品価格へ適切に転嫁することでカバーしていく方針であるとの考えを示しています。 
 以上の点を踏まえ、日精ASB機械は、外部環境の不確実性が高まる中でも、独自の技術力と戦略的な市場開拓により、持続的な成長と収益構造の安定化を実現できる企業であると判断し、引き続き当ファンドのコア銘柄として投資を継続してまいる所存です。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2025年4月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年4月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.33%の上昇、日経平均株価は同1.20%の上昇となりました。当月の日本株式市場は、米国の通商・金融政策を巡る不透明感に大きく揺さぶられる展開となりました。
 月前半には、米国においてスタグフレーション(景気の後退と物価の上昇が同時進行する経済状況)の懸念が強まる中、トランプ政権が全世界を対象とした最大50%の「相互関税」を発表し、中国やEUが即座に報復措置を講じたことで、世界的にリスク回避の動きが広がりました。これを受けて、日本株式市場は大幅な下落となり、先物市場では「サーキットブレーカー」が発動されるなど、市場の混乱が際立ちました。その後、9日に米政府が一部関税の90日間一時停止を発表すると、過度な悲観ムードが和らぎ、市場は急反発しました。ただし、翌10日には米国が対中関税を累計145%まで引き上げる方針を明らかにしたことで、市場は再び警戒感を強めました。加えて、トランプ米大統領が米連邦準備制度理事会(FRB)に利下げを要求し、パウエル議長の解任懸念が浮上したことにより、FRBの独立性に対する不信感が高まりました。この影響で、米国市場では株式・債券・ドルがそろって下落する「トリプル安」となり、日本株式市場でも上値の重い展開が続きました。
 一方、22日にはベッセント米財務長官が「関税は持続不可能」との見解を示したほか、23日にはトランプ米大統領がパウエル議長の解任を否定したとの報道が伝わったことで、市場には安堵感が広がり、日本株式市場も上昇に転じました。さらに、対中国の関税率を見直す旨の報道も好感され、米中対立の緩和への期待からリスクオン姿勢が続き、日本株式市場は前月末比で上昇して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐0.37%の上昇となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同0.05%の下落を0.42%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、五洋建設、Genky DrugStores、コスモス薬品などでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、日本光電工業、日精エー・エス・ビー機械、ペプチドリームなどでした。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説が失効した銘柄などの売却を行っています。また、事業領域とビジネスモデルの拡張が期待される情報通信関連の企業に新規投資を行いました。

 トランプ米大統領が発表した相互関税政策による不透明感の高まりを受け、日本のみならず世界の株式市場は大きな値動きに振り回されました。ただ月後半にかけては追加関税の救済措置や関税交渉の進展期待などから市場は回復基調を強めています。
 当ファンドとしては、マクロ環境の変化ではなく、個々の企業が持つ独自の成長要因や変化により注目し銘柄選別を進めてまいります。健全なインフレを通じた日本経済の正常化を背景に、資本収益性の改善を進める企業は増えてくると想定しており、割安に放置されている銘柄の再評価余地は大きいものと考えています。

 当月、事業領域とビジネスモデルの拡張に期待し、情報通信関連の企業への投資を開始しました。
 同社は、PCやネットワーク機器などのハードウェア販売を起点に、システムのインテグレーションや保守・運用サービスへと事業領域を拡大し、着実に企業としての価値を高めてきました。近年ではさらなる成長を見据え、クラウド関連サービスの提供にも注力しており、事業ポートフォリオの高付加価値化が進んでいます。
 同社の大きな強みは、祖業である卸売業で培った20,000社に及ぶ優良な顧客基盤を有している点にあります。顧客との長期的かつ安定した関係性は、複数の面で同社の競争力を高めています。具体的には、人件費上昇などのコスト増加に対して価格転嫁を進めやすい、特定の顧客に依存しないため事業上のリスクが限定的である、高付加価値商材におけるクロスセル・アップセルの機会を創出しやすい、等です。
 経営陣の熱意と実行力も、同社の重要な特徴の一つです。彼らは常に長期的な視点から企業価値の向上に取り組んでおり、実際に株主価値を着実に高めてきた実績があります。過去には、資本効率の改善が見込めない資産の売却を果断に実行するなど、投資家目線に立った経営判断が見受けられ、信頼に足る経営陣と評価できます。また、企業価値の根幹を担う「人」の重要性も十分に理解しており、社員の働きやすさを重視した職場環境の整備にも注力しています。その結果、同社の離職率は業界平均を下回る水準で安定しており、特に人手不足や人材の流動性が高まる現在の環境下においては、社員の高いエンゲージメント(企業の理念やビジョンに共感し、企業への貢献意欲がある状態のこと)が他社との差別化要因となり得ると当ファンドでは考えています。
 同社の株価はこれまでにも一定の上昇を見せてきましたが、現在の利益水準および純資産価値と比較すると、依然として割安な水準にとどまっていると当ファンドでは認識しています。その背景には、同社が小型株であり市場での認知度がまだ十分に高まっていないことがあると考えています。優良な顧客基盤を土台とした安定的な収益の獲得に加え、事業の高付加価値化やノンコア資産の売却で得た資金の再投資の余地を踏まえると、同社には今後も大きな利益成長のポテンシャルがあると考えています。さらに、経営陣は優秀で投資家目線での経営が行われており、株主還元にも積極的です。利益成長に伴ってバリュエーションの見直しが進めば、株価には利益とバリュエーションの両面から大きな上昇余地があると期待しています。これらを総合的に勘案し、現在の株価水準は極めて魅力的な投資機会であると判断しています。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2025年3月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年3月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.22%の上昇、日経平均株価は同4.14%の下落となりました。当月の日本株式市場は、米国の関税政策に対する不安や地政学的リスクの影響を受けて投資家心理が動揺し、荒い値動きが続きました。
 月前半にはトランプ米大統領の相次ぐ関税発動によって世界的な景気減速懸念が台頭し、景気敏感株を中心に日本株式市場は大きく下落しました。
 月半ばには植田日銀総裁の利上げ継続を示唆する発言、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の大幅上昇、ウクライナ情勢を巡る地政学的リスクの後退などに加え、ウォーレン・バフェット氏が率いる米国Berkshire Hathaway社による日本の商社株の保有増が好感されてバリュー株を中心に買いが集まり、日経平均株価が弱含むのに対してTOPIXは底堅く推移し、日経平均株価をTOPIXで除したNT倍率は5年ぶりの低水準となりました。
 月後半に入ると、トランプ米大統領が輸入車に対して一律25%の関税を課すと発表したことで自動車株や半導体株が大きく売られ、リスク回避ムードが強まりました。さらに、米国で物価上昇と景気停滞が同時に起きる「スタグフレーション」への懸念が一層強まり主要株価指数が大きく下落したことを受け、日本株式市場もほぼ全面安となり、日経平均株価は約7か月半ぶりの安値で当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐1.74%の上昇となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同0.72%の上昇を1.02%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、トレジャー・ファクトリー、丹青社、五洋建設などでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、RS Technologies、ダイヘン、日本光電工業などでした。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説が失効した銘柄などの売却を行っています。また、事業ポートフォリオの構造改革により、資本収益性の改善が期待される銘柄などに新規投資を行いました。

 米トランプ政権の関税政策に起因する世界景気の下押し懸念が高まっているほか、地政学的リスクも引き続き意識される状況にあります。先行きの不透明感から、日本株も一進一退の展開となっていますが、日本経済のファンダメンタルズは賃上げの進展にも支えられ、着実に改善に向かっていると当ファンドでは考えています。また、大型株に比べ遅れていた企業改革が中小型株においても進みつつある点も注目しています。引き続きボトムアップ・アプローチを通じ、市場から見落とされている投資機会の発掘に努めます。

 2024年12月の運用コメントで、日本企業のコーポレートガバナンス改革が大型株だけでなく、中小型株にも浸透しつつあるとのコメントをしました。当四半期はこの観点に重点を置き企業調査を行ってきましたが、今まで目立った取り組みがなかった企業においても、対話の中で変化の兆しを感じる機会が増えてきています。具体的には、不採算事業の整理・縮小をはじめ、遊休資産(事業の用に供されていない資産)の売却や投資基準の明確化など、資本収益性向上には必要不可欠となるものです。日本社会の横並び意識からくる影響は無視できないものの、当ファンドではこれらは企業価値の向上を通じて日本株に対する投資魅力の向上につながるものと好意的に捉えています。
 また、米トランプ政権の政策をはじめ各地で不確実性が高まる状況にはありますが、これら資本収益性改善に向けた取り組みは企業自身の意思によるところが大きく、外部環境の変化に期待する投資アイディアに比べて蓋然性が高いと当ファンドでは考えています。特に内需向け売上構成比が高い中小型株市場においては企業固有の要因が大きく、ボトムアップ・アプローチが効果的な中小型株への投資妙味は高まっています。
 意識改革が進んできたことを象徴するのは、過去からの業界慣行の見直しが各社で進んでいる点です。特に企業間取引では収益性よりも顧客との関係性や事業の継続性が優先され、資本収益性の低下を生んできました。しかしインフレや人手不足の深刻化などを背景に収益性は一段と低下したと見られ、これを機に各社値上げや不採算事業の撤退へと舵を切っています。これらの一連の動き自体は歓迎されるものですが、それ以上に重要なのは、値上げの浸透により収益性が改善することで、設備や人員への投資が拡充されるというサイクルが生まれるという点です。これにより企業側が自信を強め、収益性改善を主体的に進めようとする自己強化的なプロセスを通じて、日本社会におけるインフレマインドの浸透が進むものと考えています。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2025年2月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年2月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比3.79%の下落、日経平均株価は同6.11%の下落となりました。当月の日本株式市場は、トランプ米大統領の関税政策に関する言動に振り回され、月後半にかけて大幅な下落となりました。
 月前半にトランプ米大統領がメキシコ、カナダ、中国に対する追加関税の検討を表明したことを受けて日本株式市場は急落しましたが、その後メキシコとカナダの関税発効が延期され株式市場は一時的に回復しました。しかし、複数の米国経済指標の結果からスタグフレーション(景気の後退と物価の上昇が同時進行する経済状況)懸念が再浮上する中で投資家は慎重な姿勢を保ち、日本株式市場も方向感のない、上値の重い相場が続きました。
 月後半には、日銀の追加利上げ観測が高まり国内長期金利は一時約15年ぶりの高水準まで上昇しました。また、米国の消費者信頼感指数や購買担当者景気指数(PMI)が予想を下回る結果となり、米国経済の先行きに対する懸念が強まりました。これを受けて、為替市場では円高ドル安が進行し、日本株式市場の重石となりました。さらに、トランプ米政権による対中半導体規制強化の観測や、米国ハイテク株の下落、米国の関税政策を巡る不透明感などが影響し、日本株式市場は大幅に下落し当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐4.06%の下落となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同1.46%の下落を2.60%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、SBSホールディングス、アリアケジャパン、月島ホールディングスなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、武蔵精密工業、前田工繊、J.フロント リテイリングなどでした。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説が失効した銘柄などの売却を行っています。また、一時的な特需の反動減や業績停滞の続く事業セグメントの動向が懸念されているものの、財務規律の見直しを含む構造改革により企業価値の向上が期待される企業などに新規投資を行いました。

 当月の日本株式市場は、トランプ米大統領による関税政策への警戒感や米国景気の失速懸念、日本の長期金利上昇などを受けた円高進展などから下落基調をたどりました。月後半にかけては米国NVIDIA社の株価下落などを受けたハイテク株の調整も投資家心理の悪化に拍車をかけましたが、今後関税政策が実際に発動されていくにつれ、過度な懸念が徐々に逓減していくものと考えています。引き続きボトムアップ・アプローチを通じ、市場から見落とされている投資機会の発掘に努めます。

 当ファンドでは半導体製造装置や半導体材料など、複数の半導体関連銘柄に投資を行っています。半導体産業は好不況の波が激しいほか、技術的な進展のスピードも早く最新の事業や競争環境を把握することは容易ではありません。しかし技術革新と用途の拡大により産業規模の拡大が構造的に見込まれる市場であり、変動幅の大きさを踏まえても注目するに値する市場であると当ファンドでは考えています。中小型株市場には東京エレクトロンのような最大手のメーカーこそ存在しないものの、特定の工程において高い世界シェアを有する企業は多く、技術進展などを契機に市場成長を大きく上回る成長を遂げた企業も少なくありません。半導体は従来、非常に高い参入障壁により新規参入が難しい業界でしたが、複数の観点から変化が生じていると当ファンドでは考えています。一つは技術的な観点で、近年は半導体の微細化が物理的な限界に近づき、性能向上には従来とは異なる技術が求められ始めているという点です。もう一つは地政学的リスクの高まりです。特定メーカーへの過度な依存を避ける必要があるとの観点から、半導体メーカー側にセカンドベンダーを育てるインセンティブが生まれつつあると考えられます。日本の中小型市場にはユニークな要素技術を持つ企業が多く存在しており、従来は既存プレーヤーに限られていた半導体市場に新たに参入できる機会は高まりつつあるといえます。
 2024年後半から半導体関連銘柄は大幅な調整が続いています。生成AI(人工知能)向け半導体投資こそ拡大が続いているものの、これまで好調だった中国向け需要の継続性に対する不透明感の高まりや、スマートフォンをはじめとした最終需要の弱さなどから市場全体の成長率低下が懸念されているものと考えられます。特に2025年に入り、中国の新興企業DeepSeekによる低コストかつ高性能な生成AIモデルが登場したことは株式市場に衝撃をもって受け止められました。生成AIへの巨額投資に対する懐疑論を生み、AI相場の牽引役であったNVIDIA社の株価下落を通じて半導体関連銘柄全体の下落に拍車をかけています。
 しかし、このような市場参加者が総悲観に傾く状況は、当ファンドのような中長期の投資家にとって魅力的な投資機会でもあります。当ファンドでは、今回の急落局面を好機と捉え買い付けを始めています。短期的な業績動向の不透明感があったとしても、上記した構造的な成長確度の高さと、ROE(株主資本利益率)10%を超える高い収益性を有する企業は稀有な投資対象といえます。またいくつかの銘柄はPBR(株価純資産倍率)1倍程度まで株価が下落しており、配当利回りを含めた株主総利回り(投資家に対する総合的なリターンを測定する指標)を鑑みるとダウンサイドは限定的であると考えています。個別企業についての説明は次回以降の運用コメントに譲ることとしますが、技術変化の動向にも注意を払いつつ、企業独自の変化に注目し投資を行ってまいります。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2025年1月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年1月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.14%の上昇、日経平均株価は同0.81%の下落となりました。
 月前半は、米国の堅調な景況感指数や雇用統計の結果を受け、米国の利下げ期待の後退から日米長期金利が上昇したことや、米バイデン政権がAI(人工知能)向け半導体の輸出規制を強化する計画であると報じられたこと、その後当規制案が発表されたこと等を受け、株式市場は下落しました。
 月半ばには、日銀総裁および副総裁から当月の金融政策決定会合で「利上げを行うかどうか議論して判断する」と、利上げを行う可能性が示唆されたことで円高が進行し株式市場の重しとなりました。しかし、昨秋からのレンジ下限として意識されている水準に近づくと下げ止まりの動きを見せ、株式市場は一転して上昇いたしました。
 月後半は、トランプ米大統領が公約に掲げてきた対中関税の即時発動を見送ったことや、ソフトバンクグループ、OpenAI(米国)、Oracle社(米国)等が今後4年間で米国のAI開発事業に最大5,000億米ドルを投資すると発表し、AI・半導体関連銘柄が上昇をけん引したことなどにより、株式市場は堅調に推移しました。
 一方、月の終盤にかけては、中国のAI開発企業DeepSeekが、米国製競合モデルを上回る性能を持った大規模言語モデルを低コストで開発したと公表したことで、米半導体企業の独占的地位が揺らぐとの警戒感から日米のAI・半導体関連銘柄が大幅に下落し、株式市場全体を下押しする局面がありました。しかし、月末にかけては揺り戻しの動きが見られ、前月末と概ね同水準で当月の取引を終えました。
 当月もしばらく続くレンジ内での推移に終始した格好となりました。また、月中に日銀は政策金利の0.25%の引き上げを実施いたしましたが、事前の日銀総裁および副総裁の発言や、利上げ観測報道で市場への織り込みが進んでいたことから、影響は限定的なものとなりました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐1.09%の下落となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同0.37%の上昇を1.46%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、トレジャー・ファクトリー、LITALICO、武蔵野銀行などでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、武蔵精密工業、ペプチドリーム、ダイヘンなどでした。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説が失効した銘柄などの売却を行っています。当月の新規投資銘柄はありません。

 関税の大幅な引き上げをはじめとするトランプ米大統領の掲げる政策への警戒感、また当月後半には、非常に安価な費用で開発された中国製AI「DeepSeek」の登場を受けて生成AI関連に対する設備投資の減速懸念が急速に高まるなど、不安定な相場展開が続いています。しかし、低コストAIの登場は中期的にAI開発の促進やAI技術の社会導入加速につながり、潜在的な事業拡大余地は広がっていくものと考えており、過度な懸念は不要であると判断しています。また、賃金と物価の好循環が日本経済において進展しつつある点は他国には見られない稀有な特徴です。引き続きボトムアップ・アプローチを通じ、市場から見落とされている投資機会の発掘に努めます。

 当ファンドでは、長きにわたって「前田工繊」という会社に対し投資を行っています。同社は祖業となる受託繊維加工から土木資材に事業を転換、M&Aを積極的に活用しながら事業領域の拡大を続けている企業です。当ファンドでは、同社が属する市場の構造的成長に加え、2018年の社長交代を機に経営管理力の向上が一段と進展したと考えています。当月は改めて同社への投資魅力についてお話します。
 1点目は同社が属する市場の構造的成長余地と特性です。同社は土木産業資材と自動車向け鍛造ホイールという2つの市場において事業を行っています。土木産業資材は工事の生産性向上に対する社会的要請の高まりが、自動車向け鍛造ホイールは自動車の大型化や高級自動車市場の拡大が後押しする形で成長が見込まれます。
 また、両市場はそれぞれが全く異なる市場ではあるものの、同社が価格決定権を有している点は共通する重要な特徴です。土木資材は商材自体の模倣は容易でも、求められる工事特性に合致した資材をカスタマイズしパッケージとして提供することで、競合企業との過当競争から脱却できています。特に近年は工事が大型化・長期化しており、プロジェクト管理の難易度が高まっていることを受け、同社のようなパッケージでの資材提供に対する需要がより高まる状況にあります。ホイール事業においても、積極的な設備投資による品質向上のみならず、適切なプロモーションを行うことでブランド価値を高め、単なる自動車部品事業から差別化することに成功しています。近年では自動車の大型化とともにホイールも大口径化が進んでおり、自動車デザインにおけるホイールがより重要性を増していることも鍛造ホイール市場にとって追い風となります。
 2点目は2018年に就任した前田尚宏社長による経営管理の強化です。同氏が最も注力したのは、営業管理手法の一つである予材管理です。土木産業資材事業は土木工事案件の需要量や規模に影響を受けるため、将来の工事案件をいかに早く把握し、提案活動を開始できるかが肝要です。詳細な説明は省きますが、予材管理とは、目標の2倍となる予材を成約する可能性の高い「見込み」、商談進行中の「仕掛り」、今後取り組むべき「白地」の3種類に分けて管理するというものです。同氏は2018年の社長就任から予材管理を全社的に導入したほか、他取締役の若返りなども実施し、当初計画を大幅に上回る形での業績成長を実現しています。
 当ファンドでは、この予材管理のノウハウは、M&Aの成果を決めるPMI(Post Merger Integration:M&A成立後における経営の統合プロセス)においても大きく効果が出るものと考えています。同社は従来からM&Aを通じて農業資材や獣害対策品など事業領域の拡大を続けてきましたが、ニッチな商材は季節による繁閑差が大きく、工場稼働率の向上が課題となっていました。グループ全体で予材管理を行うことで、閑散期の見える化を通じたリソースマネジメントが可能となります。また、コロナ禍でM&Aのソーシングが停滞していましたが、2024年頃からはM&Aが再開されるようになりました。2024年には過去最大級の案件となる三井化学産資(三井化学のグループ会社である土木建築資材メーカー)の買収を発表、PMIを通じた業績成長が期待されます。
 株価評価に目を転じてみると、成長率の高さなどから高いPER(株価収益率)が付与されていた2021年前後に比べ、現在はTOPIX並の評価に留まっています。これには同社の成長がM&Aに依拠しているのではないかとの懸念や、様々な事業を行っていることによるコングロマリットディスカウントなどが背景にあるものと考えられます。しかし、前述してきた通り管理体制の強化により将来的な業績の蓋然性は高まっているほか、従来は保守的であった資本効率についての考え方も変わりつつあるように感じられます。当ファンドでは潜在的な企業価値が高まったと判断し、ここ数か月でウエイトの引き上げを行っています。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2024年12月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年12月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比4.02%の上昇、日経平均株価は同4.41%の上昇となりました。年間では両指数とも2年連続で上昇し、年末終値としては日経平均株価が最高値を更新しました。
 月前半には、厚生労働省が年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を通じて運用する資産の利回り目標を引き上げる方針を明らかにしたことで、日本株式の資産配分比率が高まるとの思惑が高まったことや、好調なハイテク株に支えられた堅調な米国株式市場、さらには米国の利下げ鈍化懸念からの円安進行等が日本株式市場の上昇につながりました。
 月後半には、18日に米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)において予想通り政策金利の引き下げを決定し、2025年については2回の利下げに留まることを示唆しました。これを受けて米国長期債利回りは上昇し、米国株式市場は調整に転じ、その影響で日本株式市場も軟調に推移しました。しかしながら19日には日銀は金融政策決定会合にて金利を据え置くことを決定し、その後の記者会見で植田日銀総裁がハト派的な発言を行ったことで為替市場では円安ドル高が進みました。その後は好調な米国の半導体株及びさらなる円安に支えられ、日本株式市場は再び上昇に転じ、27日には日経平均株価は4万円の大台を回復しました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐3.67%の上昇となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同3.20%の上昇を0.47%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、武蔵精密工業、J.フロント リテイリング、前田工繊などでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、関東電化工業、INFORICH、ペプチドリームなどでした。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説が失効した銘柄などの売却を行っています。当月の新規投資銘柄はありません。

 当月は2024年の振り返りと、2025年に向けた見通しについてお話しします。
 2024年は自動車の工場稼働停止や大規模な自然災害、実質賃金の回復の遅れなどから日本経済は停滞感の残る年となりました。中央銀行の金融政策の違いに起因する為替の円安基調は続いており、消費者心理の低下を招いています。
 日本株相場に目を転じると、コーポレートガバナンス改革や円安進行を材料に、夏場にかけては日本株に対する注目が集まる展開が続きました。しかし8月にはキャリートレードの解消から一時大幅な調整に見舞われたほか、秋口以降も石破新政権を巡る政策の不透明感などから不安定な値動きが続いており、投資家の日本株に対する見方は慎重になりつつあるように見えます。また、2024年も大型株主導の相場展開となりました。円安進行や国内消費の停滞はいずれも外需構成比の高い大型株の相対優位につながる要因となり、投資資金が中小型株市場に波及するには未だ時間を要しています。
 当ファンドのパフォーマンスに目を向けると、企業業績の成長に起因した株価の上昇だけでなく、株主還元姿勢の変化や非上場化などのコーポレートアクションによる株価の上昇も貢献要因となりました。ここ最近の企業活動を見るにつけ、日本企業のコーポレートガバナンス改革が、大型株だけでなく中小型株にも浸透しつつあることを実感しています。
 2015年に上場企業が行う企業統治(コーポレートガバナンス)のガイドラインとして「コーポレートガバナンス・コード」が策定されましたが、当初は実効性を欠き、企業行動に明確な変化は現れてこなかった経緯があります。しかし2023年に東証が上場企業に行った要請以降、具体的な指針や目標が設定され、日本企業の経営姿勢に変化を及ぼしています。PBRが1倍を下回る上場企業に対する改善策が取り沙汰されていますが、より重要なのは、バブル崩壊以降長らく財務健全性を重視し続けていた日本企業が、資本収益性を意識した経営に転換する契機が訪れていることだと考えます。
 大型株を中心に、政策保有株式の売却や不採算事業の整理・縮小などのコーポレートアクションは増加傾向にあり、それが政策保有株式を多く保有する企業の株価上昇の一助にもなっています。ただ日本株市場全体に視野を広げても、過剰な自己資本(現預金等)を有するなど資本収益性の改善余地が大きい企業は多く、経営変化を契機に割安に放置されている企業の企業価値が向上する可能性は高まりつつあると当ファンドでは考えています。また、抜本的な事業構造改革や株主構造の転換を図るための非上場化も引き続き有力な選択肢となりそうです。特に中小型株市場では株主構成が歪なオーナー系企業も多く、経営者の世代交代を前にした改革は将来を見据える上で不可避と考えます。
 2025年を展望すると、地政学的リスクの高まりや中国、欧州の景気減速などが引き続き懸念材料として意識される展開が続くと考えられます。しかし日本経済に目を転じると、高水準の賃上げが続く見通しであり、所得環境の改善により長らく低迷していた消費の回復が期待されます。同時に企業側も収益性改善と賃上げの両立を図るべく、生産性向上のための省人化投資や経営の効率化施策が続くものと想定されます。これら経済の好循環の進展は企業業績にとって追い風となる要素であり、競争力の高い企業にとっては優勝劣敗を通じた成長加速につながるものと当ファンドでは考えています。引き続きボトムアップアプローチを通じ、市場から見落とされている投資機会の発掘に努めます。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2024年11月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年11月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.51%の下落、日経平均株価は同2.23%の下落となりました。
 月前半は一進一退の展開となりました。5日に実施された米大統領選挙で共和党のトランプ前大統領が優勢と伝わったことから日経平均株価は大幅に上昇し、7日には40,000円に迫る場面もありました。しかしその後、トランプ次期米大統領が政権人事で対中強硬派の人物を起用する方針が報じられ、次期政権が掲げる関税強化策への警戒感が強まったことで半導体関連株に売り圧力がかかり、株式市場は下落に転じました。一方、14日には米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が「利下げを急ぐ必要はない」旨の発言をしたことで円安が進行し輸出関連株が買われ、半導体関連株の反発もあって株式市場の連日の下落が一服しました。
 月後半は狭いレンジで推移し、米国の金融政策の先行き不透明感や米国半導体株の動向に一喜一憂する動きが続きました。また、トランプ次期米大統領が中国、メキシコ、カナダに対する関税措置を発表したことを受け、相場は軟調な動きが続き、前月末比で下落して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐2.51%の上昇となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同0.74%の下落を3.25%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、武蔵精密工業、マクロミル、西日本フィナンシャルホールディングスなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、RS Technologies、TREホールディングス、ニチハなどでした。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説が失効した銘柄などの売却を行っています。また、円安などによる短期業績の低迷懸念から株価が下落しているものの、高い価格競争力によりシェアアップが中長期で見込める食品メーカーなどに新規投資を行いました。

 対中国半導体規制の強化や、関税強化の方針など、米国による保護主義的政策への懸念が高まりつつあります。日本国内においても、市場予想を上回る経済指標を受けた利上げ観測から円高が進み、製造業は鈍い株価展開となりました。
 2025年の春季労使交渉(春闘)における賃上げ目標を全体で5%以上、中小企業では6%以上とすることが決定されました。今後は、賃上げ原資確保のためにも適正な価格転嫁はより進みやすくなるものと考えられ、賃金と物価の好循環を通じた日本経済の回復は着実に進展していると考えます。引き続き、ボトムアップアプローチを通じ、中長期での業績成長が見込めるにもかかわらず、割安に放置されている銘柄への投資機会を発掘してまいります。

 当ファンドでは、当月から新たにドラッグストアチェーンへの投資を開始しました。日本社会全体で賃上げの機運は高まりつつあるものの、短期的には物価高により消費者の購買意欲は低下しており、国内消費は伸び悩む傾向にあります。小売業の事業環境という観点では、需要が停滞する一方で人件費や水道光熱費などの店舗運営費用がかさみ、厳しい状況にあると言わざるを得ません。しかし厳しい環境は業界の淘汰を促し、競争力の高い企業にとってはシェアを拡大させる好機となり得ます。すでに当ファンドではローコストオペレーションに注目しドラッグストアチェーンに投資を行っていますが、企業調査を経て、店舗フォーマットが固まり今後の出店数増加の期待値が高まったと判断した別のドラッグストアチェーンにも投資を開始しました。
 同社は地方部でドミナント(特定の地域に集中して出店する戦略)展開を行っています。EDLP(エブリデー・ロー・プライス)戦略を特徴とし、消費者の節約志向が高まる中、周辺のスーパーマーケットより魅力的な価格を提供することで顧客を奪い成長してきました。
 既に投資を行っているドラッグストアチェーン同様、同社もローコストオペレーションが競争力の源泉です。チェーンストア理論に基づき店舗フォーマットを画一化することで、全店共通の作業計画書を導入することができています。これは店舗スタッフが1日にこなすべき業務を分単位で記した「時間割」のようなもので、作業の大幅な効率化をもたらしています。結果として同社の従業員1人あたり売り場面積は一般的なドラッグストアと比べても高くなっています。また、物流、食品加工を内製化している点もコスト優位を生むポイントです。物流や食品加工の内製化は直接的に店頭での価格競争力に直結します。短期的には固定費増加の要因となるものの、店舗数の拡大につれて限界利益が増加し、将来的には事業効率の改善が期待されます。
 これらローコストオペレーションに加え、新規出店数の増加に対する確度が高まったことも注目に値します。同社は最適な店舗フォーマットの模索を続けており、現在の主要業態に統一するまでに紆余曲折がありました。また、過去はデベロッパーと連携し行ってきた店舗開発を自社での内製化に移行していく中で、ここ数年は店舗開発ペースが鈍化していました。しかし今期に入り、店舗フォーマットと自社開発体制を確立できたことで、新規出店数の増加が期待できる局面に入ったものと考えられます。同社が築いたローコストオペレーションの競争力は高く、地方の小商圏においても成立する業態となれば、潜在的な出店余地はさらに拡大することが期待できます。
 一方で、同社は業界全体に対する懸念から低迷する状況にあります。上述した通り、賃上げによる継続的な店舗運営費用の上昇が中長期での利益率悪化が危惧されること、物価高に起因する国内消費の低迷などがその背景です。しかし、同社取扱商品の価格競争力は高く、消費防衛意識の高まりは消費者行動の変容を促し、相対的な同社シェアを高めることにつながります。国内小売市場の再編はまだ始まったばかりであり、競争力のある企業によるシェア拡大は当面の間続くものと考えます。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2024年10月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年10月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.88%の上昇、日経平均株価は同3.06%の上昇となりました。
 月前半は、全米企業エコノミスト協会の年次総会に登壇したパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が今後の利下げについて「急ぐ必要はない」と強調したことや、米国雇用統計が市場予想を大幅に上回ったこと等から利下げ観測が後退したこと、石破茂首相から日銀の早期の追加利上げに否定的な見解が示されたこと等からドル高円安が進行しました。また、中東情勢の悪化により株価が一時的に下落する局面もありましたが、前述のように円安の進行や米国経済の底堅さ、石破政権が岸田前政権の経済政策を継承するとの方針が確認されたこと等から株式市場は上昇いたしました。
 月半ばから後半にかけては、オランダの半導体製造装置大手ASML Holding社の決算発表で2025年12月期の業績見通しが引き下げられたことで半導体関連株に売りが広がったことや、日米長期金利の上昇基調の継続が意識されたこと、27日投開票の衆議院選挙で与党自民・公明両党が過半数議席の確保が微妙な状況と報じられたこと等から株式市場は軟調な推移となりました。
 衆議院選挙では連立与党が2009年以来15年ぶりに過半数を割り込む結果となり、今後の政権の枠組みは少数与党が政策や法案ごとに野党に協力を求める「パーシャル(部分)連合」になるのではないかという見方が強まりました。財政拡張的な政策を掲げる野党との協力により景気刺激的な政策が実行される可能性が意識されたことや、リスクイベント通過に伴う先物の買戻し等から株式市場は衆議院選挙を境に一転し、前月末比で上昇して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐0.34%の上昇となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同0.26%の上昇を0.08%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、NECネッツエスアイ、コシダカホールディングス、TREホールディングスなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、トレジャー・ファクトリー、九電工、前田工繊などでした。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説が失効した銘柄などの売却を行っています。また、中国での設備投資需要低迷などを背景に市場期待値が低下しているものの、戦略製品の投入などで業績拡大の可能性が高まっていると判断した電気機器メーカーに新規投資を行いました。

 米国経済の堅調さや為替の円安進行を受け、日本株は堅調な相場展開となりました。ただ衆議院選挙での連立与党過半数割れや米大統領選挙を巡る不透明感が、短期的には相場の重石となる可能性があります。
 しかし、与野党ともに経済政策に対し前向きな姿勢を見せており、賃金と物価の好循環を通じた日本経済回復に対する見方を変える必要はないものと考えます。円安進行により再度大型株が選好される状況となっていますが、中小型株式市場の割安感は高まっており、当戦略の投資妙味は依然大きいと考えています。
 米大統領選挙を直前に控え、相場は神経質な展開が続いています。為替は再度円安基調を強めている一方、円安の恩恵を受ける銘柄への資金回帰は鈍く、特に中小型株式市場では一部銘柄の割安感は高まっていると考えます。今回は、それら企業の中の一社についてご紹介します。

 同社はプラスチックの草分け的存在であるセルロイド事業を起点とし、酢酸の製造からエアバックのキーパーツまで、幅広い製品群を有する化学メーカーであり、高い利益率と資本収益性を誇っています。
同社の高利益率の一因として、工場運営の効率性の高さが挙げられます。同社の生産プロセスは以前より大企業が教えを乞うてきた程有名でした。当ファンドは先般同社工場を見学する機会を得て、その優位性をあらためて確認することが出来ましたので、簡単ではありますが紹介させていただきます。同社は団塊世代の大量退職による生産性低下が懸念された「2007年問題」に備え、1990年代から生産プロセスの改善に取り組んできました。具体的には、コントロールルーム内の熟練のオペレーターが、工場内で起こった特定のトラブルに対してどのように判断したかのパターンを洗い出しシステム上にインプットすることで、ある工程で不具合が生じた際に、その原因と対処法が自動で表示されるというようなシステムを2000年代には作り上げていました。当時はコンピューターのレベルもそれほど高くなかった頃で、品質に影響を及ぼすレベルのトラブルへの対応パターンのみを洗い出すのが限界でしたが、2010年代後半にはAI(人工知能)を活用したシステムを開発したことで、些細な変調への対応まで含めて、過去蓄積した対応パターン840万通りを分析しインプットすることに成功しています。結果として、オペレーターの習熟度に依らない工場運営ができるようになったうえ、現場の巡回すら不要になったことで、大幅な生産効率の改善へとつながりました。同社は国内に複数の工場を有するため、上記取り組みを今後他の工場へと横展開し、さらに原価を改善していくことを計画しています。
 また同社は幅広い製品群を有し、多様な産業へのアクセスがあることを活用して、成長が見込まれる分野に対して積極的に資本を配分し研究開発活動を強化しています。多様な事業を持つことは株式価値がディスカウントされる要因となりえますが、一方で成長機会の大きい事業へ資本を合理的に配分することができれば高い資本収益性へとつながります。具体的には、半導体製造のフォトリソグラフィ工程で用いられるフォトレジスト溶媒や、EV(電気自動車)モーターの絶縁体・パワー半導体を集積したパワーモジュールの保護剤として使用されるエポキシが挙げられます。いずれの製品も現段階では業績への貢献は大きくないものの、長期的には成長市場であることから、同社の将来の成長を牽引する可能性があるものと考えています。
 同社は為替に対する利益の感応度が高く、足元は中長期の業績動向よりも短期的な為替の方向性により株価が変動する状況となっています。しかし当ファンドでは、前述した資本配分の最適化や次の成長を担う新規商材開発の進展など企業内の変化を確認しており、同社株は依然として割安に放置されているものと考えています。資本収益性の改善が進展していくに従い、市場評価は回復していくと期待し投資を継続してまいります。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2024年9月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年9月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.53%の下落、日経平均株価は同1.88%の下落となりました。
 月前半は米国のISM製造業景況感指数や雇用統計が予想を下回ったことで、米国経済の減速懸念が高まり市場心理に影響を与えました。さらに米連邦公開市場委員会(FOMC)による利下げ期待と日銀の利上げ期待の高まりにより、月半ばにかけて円高が進行しました。このような状況の中、株式市場は一時的に下落した後、反発が見られたものの上値は重く、投資家は慎重な姿勢を維持しました。
 月後半はFOMCが0.5%の利下げを決定した後、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が緩和を急がない姿勢を示したことや、日銀が金融政策を現状維持したことから円高が一服し、輸出関連株や半導体関連株の買い戻しが進みました。また、自民党総裁選挙で高市早苗氏が当選し、金融緩和が再開されるとの見通しが高まったことで日経平均株価は26日から27日にかけて大きく上昇しました。しかし、最終的には石破茂氏が勝利し、経済政策への警戒感が高まったことなどから30日の日本株式市場は全面安の展開となり、前月末比で下落して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐1.36%の上昇となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同0.26%の上昇を1.10%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、前田工繊、NITTOKU、アリアケジャパンなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、丹青社、トレジャー・ファクトリー、武蔵野銀行などでした。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説が失効した銘柄などの売却を行っています。また、短期業績の悪化などから株価の低迷が続いているものの、業績回復の確度は高いと判断したサービス業に新規投資を行っています。

 米国景気の減速懸念や各国中央銀行の金融政策の違いなどから円高が進展、日本株式市場は精彩を欠く状況となっています。従来日本株を牽引してきた要素の一つである為替相場の転換は、特に短期筋にとってマイナスと受け止められた可能性があります。
 しかし、実質所得のプラス転換など賃金上昇の常態化に向けた動きや、円安進展の一服に起因する消費環境の改善など、日本経済の回復は着実に進展しているものと考えられます。物色対象の広がりとともに割安感の強い中小型株への注目も高まることが予想され、当戦略の投資妙味は依然大きいと当ファンドでは考えています。
 米国金利の高止まりや円安に伴うコストアップなどを背景として、内需関連株には逆風の環境が続いてきました。しかし、足元ではFRBの利下げサイクル入りとそれに伴う過度な円安の修正が起こり始めており、アンダーパフォームが続いていた内需関連株に注目が集まるのではないかと考えています。今回はその中の投資事例として、新たに投資を始めた障害者向けサービスを提供している会社についてコメントしたいと思います。

 同社は障害者向けの就労支援サービスを主軸として、発達障害を持つ児童向けの発達支援サービスや障害福祉施設向けのプラットフォームサービスの提供など幅広い領域において事業を展開しています。障害者向け就労支援サービスと児童向け発達支援サービスについては、公費を基にした事業となっており、3年に1度の報酬改定の影響が業績に大きな影響を与える構造となっています。2025年度は報酬改定の年となっており、前者の就労支援事業にはポジティブな影響があったものの、後者の発達支援事業については収益性の低下を引き起こすネガティブな改定となりました。
 後者の発達支援事業は、報酬改定に沿う形で提供サービスを変化させる必要が出てきており、施設の稼働率が低下、短期的な業績影響がマイナスとなることが予想されます。しかしながら、同社は当該報酬改定に対して既に対策を講じていることから、今後は稼働率の改善が見込めるものと当ファンドでは考えています。また、前者の就労支援事業については就労者を多く輩出している同社サービスの質が評価されており、今回の改定でさらにその評価が高まるものと考えます。加えて拠点数増加ペースの加速も計画されており、同事業についてはこれまで以上に堅調な業績成長が期待されます。
 また、数年前から取り組みを始めているプラットフォーム事業も注目に値すると考えます。同事業は公費サービスではなく、障害福祉施設や学校、介護施設向けにSaaS(サービスとしてのソフトウェア)型プロダクトを中心としたプラットフォームを提供する事業です。同社は自社で利用するシステムを外販する形で事業を展開しており、業界内で高いプレゼンスを持つ同社のシステムを利用したい同業企業にとっては非常に魅力的であると当ファンドでは考えています。公費に頼らない事業の拡大という意味でも、同事業の成長は同社の企業価値に大きく影響を及ぼすものと考えます。
 同社の株価はこの数年間低迷を続けていますが、当ファンドではその要因を、1)報酬改定による業績悪化懸念、2)人件費上昇による収益性悪化懸念、3)高すぎたバリュエーションの修正、などにあると考えています。特に同社の主要事業は公費サービスであることから、コストアップを価格転嫁するのが困難であるビジネスモデルである点は留意が必要です。しかし、政府が賃上げを主導している以上、報酬改定により構造的に同事業の収益性が悪化するリスクは限定的であると考えます。拠点数増加による事業規模拡大の確度は高く、業績の成長とともに株価水準の回復も進むものと考えます。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2024年8月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年8月、日本株式市場の代表指標であるTOPIX(配当込み)は前月末比2.90%下落し、日経平均株価は前月末比1.16%下落しました。
 当月の日本株式市場は歴史的な乱高下を演じ、日経平均株価の月間値幅(高値と安値の差、終値ベース)がバブル経済崩壊時期を超えて過去最大となりました。
 7月31日の日銀金融政策決定会合での追加利上げが円高を呼び、さらに市場予想を下回った7月の米ISM製造業景気指数で米国景気減速懸念が台頭し円高が一層進行したことで、月前半の日本株式市場はリスク回避の流れが強まり暴落しました。5日には米国経済や雇用の減速への警戒などから円高が大幅に進み、午後には日経平均先物でサーキットブレーカーが13年ぶりに1日に2回発動され、日経平均株価は前日比4,451円の下落と過去最大の値下がりを記録しました。しかしながら翌6日には為替市場がいったん落ち着いたことで日本株式市場も落ち着きを取り戻し、TOPIXおよび日経平均株価は史上最大の上げ幅となりました。加えて、翌7日の内田日銀副総裁のハト派発言も投資家の安心感につながり、月半ばにかけて日本株式市場は急反発しました。
 月後半は米国経済への先行きに対する警戒感がひとまず和らぎ、日本株式市場は緩やかなペースで回復し、月前半の急落分の大半を取り戻して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐5.14%の下落となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同1.94%の下落を3.20%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、TREホールディングス、リログループ、ライオンなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、J.フロント リテイリング、NITTOKU、日本光電工業などでした。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説が失効した銘柄などの売却を行っています。当月の新規投資銘柄はありません。

 当月は非常に変動率の高い相場展開となりました。月前半には米景気の後退懸念や日銀総裁のタカ派発言などから円高が進行、一時日本株は急落しましたが、その後は米経済指標や日銀副総裁の発言を受け急速に値を戻す展開となりました。しかし日本株は金融引き締めに対する警戒感や円高傾向を受け回復感は鈍い状況にあります。
 当月においては、円高転換によるインバウンド消費の減少懸念が関連銘柄の下落を招き、短期的なパフォーマンスの劣後につながりました。しかし現状の為替水準であれば事業環境への影響は限定的であり、日本経済の好循環に向けた見方を修正する必要はないものと考えます。個別企業への取材を通じ、今後も魅力的な投資機会の発掘に努めます。

 過去、インフレの常態化を背景として、遅れていた価格転嫁が進展する可能性のある業界に注目していると述べさせていただきました。今回は、その具体的な事例として建設関連サービス事業に焦点を当てコメントしたいと思います。
 建設業はスーパーゼネコンと呼ばれる超大手5社を筆頭に、総合建設業者、電気や空調を専門に施工する専門工事業者、中堅以下の工務店までに至る非常に裾野の広い産業です。今回注目する建設関連サービス業は、建設会社に対し建設機械や周辺機器をレンタルする事業を営んでいます。建設会社にとっては自社で機械を所有する必要がなく、メンテナンスコストの削減にもつながるとしてレンタルを選択するケースは増加しており、市場規模自体も緩やかな成長を続けています。また、近年では大規模な工事案件の場合、建機レンタル会社の社員が建設会社に出向する形で工事現場に常駐し、様々な提案を行うようなケースもあるなど、過去と比べると建機レンタル会社の存在感は徐々に高まってきています。
 一方で、近年の資材費高騰や人手不足の深刻化を背景に、建設費は増加の一途を辿っています。工事期間が長い案件などでは、コストアップ前に受注した手持工事の採算が悪化し、業績停滞に苦しんでいる建設会社も散見されています。今回取り上げる建機レンタル会社も、価格転嫁が進まない状況にありました。建機レンタル業界全体に、価格転嫁ができない代わりに稼働率を高めることで、採算を確保しようとする会社が多いことも、レンタル価格を引き上げる機運が高まりづらい一因であったと考えられます。しかし、新たな建機の仕入れ費用や人件費のコストアップが続く昨今の環境変化を受け、2023年の夏ごろから建機レンタル業界においても価格転嫁の流れが浸透し始めており、同社の事業環境にも追い風が吹き始めています。建設業界全体としても、顧客に対する価格転嫁を行う機運が高まっていること、また不採算化していた案件が完工を迎え、業界全体の収益性が改善基調にあることも背景にあると考えられます。
 また今般、当ファンドは同社の施設見学に参加し、建機レンタル会社が様々な新サービスの提供を通じ建設業界の生産性向上に貢献していることを確認しました。特に建機の遠隔操作ソリューションや自社開発の機器群など、現場の生産性向上とともに同社の収益性向上に資する商材群が拡充されつつある点は注目に値します。今後も建設業界の人手不足は深刻化の一途をたどると考えられ、同社製品群への需要は高まるものと考えます。
 当ファンドでは、半導体を中心とした製造業による設備投資需要の高まりや各地で活発化している都市の再開発、老朽化したインフラ設備の更新需要などを背景として、土木・建築需要はこれからも底堅く推移するものと考えています。また遅れていた価格転嫁が浸透するだけでなく、新たな付加価値提供の機会は増えていくものと考えられ、同社にとっての事業機会は今後拡大していくものと考えます。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2024年7月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年7月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.54%下落し、日経平均株価は前月末比1.22%下落しました。
 当月の日本株式市場はボラティリティの大きい相場展開となりました。月前半は、前月からの好調な流れを引き継ぎ堅調に推移しました。米国の雇用統計で労働需給の逼迫が緩和される兆しが見られ、FRB(米連邦準備制度理事会)の年内利下げ観測が高まったことで、長期金利が低下し、米国のハイテク株が上昇しました。日本でも半導体関連銘柄が相場を支え、日経平均株価は連日で史上最高値を更新し、11日には4万2,000円台に到達しました。しかしながら米国消費者物価指数が想定以上に軟化し、米国ハイテク株に利益確定売りが入ったことやドル円が円高方向に振れたことなどから、日本株式市場は下落に転じました。そして月後半に入ると下げが一層加速しました。トランプ氏が大統領選で優勢と伝わると、米中対立の深刻化やドル高是正などの自国優位政策が懸念され、半導体関連株に売りが膨らみ、日本株にも影響が及びました。さらに日銀の追加利上げやFRBの利下げ観測から「円キャリー取引」の巻き戻しが発生し、ドル円は一時151円台を付け、日本株式市場も幅広く売りが広がり、日経平均株価は3万8,000円を割り込む水準まで大幅に下落しました。
 31日に日銀は金融政策決定会合で政策金利を0.25%程度に引き上げることを決定し、国債買い入れの減額計画も明らかにしました。また、米国政府が対中国の半導体輸出規制で日本などを除外すると報じられると、半導体関連株が反発し日本株式市場は下げ幅を縮小して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐0.99%の上昇となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同0.84%の上昇を0.15%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、九電工、NECネッツエスアイ、武蔵精密工業などでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、ダイヘン、東京応化工業、クリーク・アンド・リバー社などでした。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説が失効した銘柄などの売却を行っています。当月の新規投資銘柄はありません。

 当月は日米の金融政策に対する思惑や、米大統領選を巡る不透明感の高まりなどを背景に、為替、株式市場ともに大きく変動する展開となりました。月末には日銀が政策金利を0.25%程度への引き上げを決定しましたが、日米の金融政策の違いから円高が進行し日本株式市場の変動を招いています。
 一方で日本経済においては着実に賃上げの動きが広がっており、経済・物価情勢は底堅いものと考えられます。これまで円安進行や軟調な国内消費により、内需が主体となる中小型株市場にとって重石となる環境が続いてきましたが、企業業績の回復とともに中小型株への注目は今後高まっていくものと当ファンドは考えています。引き続きボトムアップ・アプローチを通じ、市場から見落とされている投資機会の発掘に努めます。
 半導体関連銘柄が一時的に調整局面に入っています。米政権による対中輸出規制強化、トランプ氏による台湾防衛に対する消極的な発言などが投資家心理の悪化につながったものと考えられます。当ファンドでは保有する半導体装置関連銘柄について、株価上昇により当面の業績成長を織り込んだものと考えウェイトの引き下げを進めてきましたが、前月から新たに半導体製造に用いられる部材を製造する特殊化学メーカーに新規投資を開始しました。地政学的リスクの高まりなどで、半導体装置の需要動向にこそ不透明感は高まりつつあるものの、半導体部材や消耗品は底堅い需要成長が続くものと考えているためです。部材需要は半導体の生産量増加に連動するため、ここ数年間で数多く納入された製造装置の稼働に従い需要が拡大していくこと、また微細化の進展により部材の付加価値向上が期待できることがその背景です。
 同社はハイテク部材からヘルスケアまで幅広い事業領域を有していますが、各事業ともに独自の特徴を持つ製品に特化しており、高い市場シェアと収益性、高い資本効率を誇っています。しかしここ数年は、コロナ禍に起因する需要変動や先行投資、半導体市況の悪化などが重なりここ数年間は業績の停滞が続いていた結果、株価は低迷する状況にあります。
 しかし企業取材を通して、業績悪化はあくまで一時的な要因である可能性が高いこと、会社が期待を寄せる新たな半導体部材の競争力は高く、需要回復局面では従来以上の業績成長が可能と当ファンドでは判断しました。また、半導体部材は当面の需要に対する設備投資を完了しています。それが最近の業績悪化要因につながった一方、今後は償却費の減少とともに利益率改善が進みやすい状況にあることも業績再成長の確度が高いと考える一因です。
 ヘルスケア事業は一部主力製品の特許切れによるロイヤリティ収入の減少が危惧されています。しかし同社はロイヤリティ収入だけでなく原薬販売も行っており、急速な売上減少リスクは限定的であること、次なるパイプラインに向けた準備が進みつつあることなどを踏まえると、業績の安定性は今後も維持される可能性が高いと考えます。
 加えて、高い資本効率を維持するため、余剰資金を積極的に還元している点も注目に値します。明示こそされないものの累進的な配当方針が採られており、株価の下値を抑えるのに十分な水準であると考えます。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2024年6月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年6月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.45%上昇し、日経平均株価も前月末比2.85%上昇しました。
 当月の日本株式市場は、日米の金融政策の動向に注目が集まるなかレンジ内でもみ合いの推移となった後、円安の進行とともに月末にかけて上昇しました。月前半は、米国金融政策の動向を巡り米国マクロ経済指標に注目が集まるなか、雇用・物価関連指標等の結果を受けインフレ鈍化の見方が支持され、目先のFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測の高まりから米国長期金利が大幅に低下し、米国株式市場は半導体・ハイテク株中心に上昇しました。この流れを受けて、日本株式市場も上昇しました。月半ばには、日銀金融政策決定会合で、日銀が国債買い入れ減額の方針を固めたものの、具体策については公表が見送られ、円安の進行とともに日本株式市場は上昇しました。その後は、会合後の記者会見にて日銀総裁より買い入れ減額規模について「相応の規模になる」との発言があったことや、7月の会合で利上げを行う可能性も否定しない主旨の発言があったこと、また、フランス政治不安が改めて意識され下落した欧州市場の影響などいくつかの材料が出るなか、日本株式市場は下落する場面がありましたが、月後半にかけて株価は持ち直しました。月後半は、ドル円レートが一時161円台まで下落し、1986年12月以来およそ37年ぶりの安値を更新しました。円安が支えとなったほか、日本長期金利の上昇を受けた銀行株などの上昇も相場をけん引し、月末にかけては配当金の再投資の観測もあるなかで日本株式市場は前月末対比で上昇し、当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐4.24%の上昇となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同0.99%の上昇を3.25%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、ペプチドリーム、丹青社、前田工繊などでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、九電工、西日本フィナンシャルホールディングス、東プレなどでした。

 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説が失効した銘柄などの売却を行っています。また、ここ数年間の業績停滞により精彩を欠く株価推移が続いていたものの、先行投資が続いていた半導体関連事業の成長により再評価機会が近づきつつあると考える特殊化学メーカーなどに新規投資を行っています。
 各地での地政学リスクの高まりを背景に、株式市場は精彩を欠く展開となっています。また、本決算にて発表された日本企業の2024年度会社計画が市場期待を下回るものとなったことも、株価低迷の一因と考えます。しかし、当ファンドは個別企業への調査を通じて、各社の事業環境は改善しつつあり、会社計画は保守的なものであると考えています。賃金と物価の好循環の下、日本経済は着実に回復傾向にあり、依然大型株に対し割安感の強い中小型株に対する投資妙味は大きいものと考えます。
 2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、社会インフラの電動化が進展してきています。身近な例では、ガソリン車からEV(電気⾃動⾞)へ、燃焼式暖房からヒートポンプ式暖房などが代表的ですが、工業分野でもフォークリフトやコンプレッサーなど、エンジンや油圧装置から電動モーターへの転換が進みつつあります。しかし、2024年現在においては、完全な電動化が最適解ではない機器も存在しています。自動車において、EVよりもハイブリッドに需要がシフトしてきていることはその最たる例ですし、船舶や航空機の電動化もまだ現実的とは言えません。それはバッテリー容量などの技術的課題、コスト、環境条件、用途との親和性など様々な制約があるためです。これら制約条件は技術進歩によって解消していくものと考えられます。しかし、用途によっては市場参加者の想定以上に電動化のハードルが高く、むしろ既存プレイヤーが残存者利益を享受する形で業績拡大が可能な市場があると当ファンドでは考えています。今回は小型屋外作業機械メーカーを例に挙げ、投資機会について述べたいと思います。
 今回新規投資を開始した機械メーカーは、エンジン部品の一貫生産システムを構築している点を強みとし、エンジンの鋳造から成形、加工、組立までを一貫して自社で行うことで、高品質な製品の生産を可能としています。素材の配合研究すらも自社で行うことで、軽量化・高出力化を実現するとともに、世界各国で厳しさを増す排ガス規制にも適合した高性能な製品群を有しています。
 同社が主な市場としている北米は、庭や公共スペースに芝生を植えることが文化として根付いているうえ、庭の整備を行わないことに対して罰金が生じる地域も存在していることから、緑地管理において世界最大の市場となっています。また、北米は今後も人口や経済成長が見込まれる地域であるため、緑地面積の拡大が続くことが想定されており、作業機械需要についても緩やかな成長が期待されます。加えて、コロナ禍で広い庭のある家に住み、ガーデニングを趣味とする人々が急増したことも同社業績にはポジティブに作用しています。
 一方で、市場参加者は機械の将来的な電動化を想定しているため、同社株式は同社エンジン機械の売上縮小懸念を織り込んで割安に放置されている状況にあります。すでに多くの会社が電動化商品を市場投入していることも、エンジン機械の需要減懸念を高めている一因となっています。しかし当ファンドは同社への個別取材や競合他社の事業環境分析を通じて、市場が想定しているほどに電動化が進展しないのではと考えています。長時間の稼働を行うプロユーザーの利用形態を踏まえるに、バッテリー容量が制約となり彼らの需要を満たしていないと考えられるためです。
 また、環境規制の強化も同社にとって追い風と考えています。年々厳しさを増す排ガス規制を嫌い、エンジンから撤退し電動化に大きくシフトしている競合他社が多い一方、一貫生産体制を持つ同社は環境規制への対応を続けており、緩和しつつある競争環境下において存在感を高めています。ある北米大手のホームセンターにおいては、電動機器は複数ブランドの取り扱いがある一方で、エンジン機器は同社製品のみの取り扱いとなっています。このような状況を鑑みると、同社が享受しうる残存者メリットは、株式市場が想定しているよりも大きく、長期間享受できる可能性があるのではないかと考えています。
 来たるカーボンニュートラル社会に向けて、電動化が進展していくことには変わりなく、同社の残存者利益もいずれは縮小していくと考えるべきです。電池などの技術進化が加速すれば電動機器の普及率が上昇することも考えられ、リスクとなると考えられます。同社も当該リスクについては十分把握しており、電動品のラインナップを増強すると同時に、他事業の拡大にむけて発電機の生産拠点拡大なども実施しています。
 また、2021年に就任した社長も同社の企業価値向上のカギを握っていると考えています。海外事業の成長加速や、コーポレートアクションを通じた企業価値向上への取り組みなどに当ファンドは期待しています。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2024年5月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年5月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.16%上昇し、日経平均株価も前月末比で0.21%上昇しました。
 当月の日本株式市場は、月前半は4月の米国雇用者数が市場予想を下回り、米利下げ観測が強まったことから日米株式市場ともに上昇しましたが、日銀の金融政策正常化観測などから上値が抑えられました。月半ばには米消費者物価指数や米小売売上高など予想を下回る指標が発表され、金融引き締めの長期化への懸念が後退しました。その結果、米国の主要3株価指数が史上最高値を更新し、日経平均株価も一時39,000円を回復しました。さらに、NVIDIA社(米国)が市場予想を上回る好決算を発表し、半導体株が軒並み上昇して相場を支えました。月後半は、米景気の底堅さを背景とする利下げ動向への懸念や、日銀総裁の追加金融引き締めを示唆する講演が再び注目されて日米長期金利の上昇により株価が下落しましたが、最終的には金利上昇がひとまず一服したとの見方が買い戻しにつながり、前月末を上回る水準で月を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐2.39%の下落となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同0.46%の上昇を2.85%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、TOWA、日本光電工業、リログループなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、五洋建設、NECネッツエスアイ、関東電化工業などでした。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説が失効した銘柄などの売却を行っています。また、先行投資や人件費増加により短期業績には停滞感があるものの、受注採算の改善による将来的な業績の成長確度が高いと考えられるサービス企業に新規投資を行っています。

 日本株式は一進一退の動きを続けています。前月は決算発表において保守的な会社計画が発表され、当ファンドの保有銘柄も短期的な業績成長期待が低下し株価の下落に見舞われています。しかし調査を通じて事業環境の好調さを確認しており、先行きを悲観視する必要はないものと考えています。従前よりお伝えしている通り、賃上げを起点とする消費の回復や設備投資の増加など、堅調な内需経済を背景とした堅調な企業業績が確認されれば、株価の再評価は進むものと考えています。
 日本では高齢化を背景とした医療・介護需要が増加する一方、医療・介護従事者の人手不足感が一段と深刻化しており、大きな社会課題となっています。厚生労働省の試算によれば、2040年には必要と見込まれる医療・福祉就業者数に対して約100万人の人員不足が起こると見込まれています。当ファンドでは、事業を通じて医療・介護従事者の働き方改革推進に貢献できると考えられる企業に注目しており、今回新たに関連する企業に投資を開始しました。
 同社は医療用ベッドの専業メーカーとして設立されて以降、介護用ベッドの市場にも事業を拡大し、同市場で高い市場シェアを有していますが、近年ではサービス事業が拡大傾向にあります。同社は人手不足が深刻化する医療機関に対して、グループスタッフを常駐させ、備品のメンテナンスやベッド清掃などの雑務を手伝うサービスを提供するほか、介護関連事業者に対し介護用ベッドを中心とした福祉用具の貸し出しも行っています。当ファンドが注目しているのは、これらのサービスを売り切りではなく継続的に売上が計上されるリカーリング型ビジネスとして提供しており、このリカーリング売上を拡大させることを中期経営計画の重要指標として掲げている点です。売上に占めるリカーリング構成比率が上昇することで、ベッドの売り切りが売上の多くを占めていた過去と比べて、業績の安定性が高まってきており、当ファンドではこの変化を評価しています。
 一方、コストアップや海外事業の苦戦などから短期業績が市場期待を下回ったことを受け、株価は低迷しています。しかし主要事業である国内リカーリング事業は着実な成長を見せていること、海外事業は進行中の施策を踏まえると中長期での事業成長は十分期待できることを考えると、現状の株価は同社の企業価値に対し割安に評価されているものと考えます。
 また、当ファンドでは同社の資本収益性に対して改善の余地が残っていると考えています。同社には目立った借入れがなく、非常に高い自己資本比率となっているほか、中期経営計画においてROE(株主資本利益率)目標が掲げられていないなど、資本収益性に対する意識が希薄となっています。2024年3月期決算発表時には、純資産配当率(DOE)と配当性向を大幅に引き上げたことで、以前に比べれば資本収益性に対する意識が高まった点は評価していますが、依然として改善の余地は大きいものと考えています。当ファンドとしても、同社の企業価値の最大化に向けて、資本構成の在り方などについて対話を深めていきたいと考えています。
 考えうるリスクは、価格転嫁の遅れにより収益性が低下している介護用ベッドレンタル事業の先行きです。短期的な解消こそ見込みにくいものの、医療用ベッドではすでに価格転嫁が進むなど進展がみられていることから、介護用ベッドについても新機種投入のタイミングなどで徐々に収益性の改善が図られるものと当ファンドでは考えています。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2024年4月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年4月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.91%下落し、日経平均株価は前月末比4.86%の大幅下落となりました。
 月前半は利益確定売りや、⽶連邦準備制度理事会(FRB)高官の年内利下げ先送り示唆に伴い米長期金利上昇が懸念され、米国株式市場の下落を招き、日本株式市場は上値を抑えられました。月半ばには米CPI(消費者物価指数)の市場予想を超える上昇や半導体関連企業の大幅下落、また中東情勢の悪化などから日経平均株価は一時37,000円を割り込みました。月後半には中東情勢の落ち着きから買い戻しの動きが見られ、日経平均株価は38,000円台を回復しました。26日まで開かれた日銀金融政策決定会合では緩和的な金融政策の維持が決定され、日本が祝日だった29日にドル円相場は一時160円台へ急伸し約34年ぶりの高値を更新しました。しかしながら、その後一転して154円台まで大きく円高に振れ、市場では政府による為替介入が行われたとの観測が広がりました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐0.61%の下落となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同1.06%の下落を0.45%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、ペプチドリーム、シップヘルスケアホールディングス、日本光電工業などでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、INFORICH、J.フロント リテイリング、TOWAなどでした。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、先行投資や人件費の増加により短期業績には停滞感があるものの、受注採算の改善による将来的な業績の成長確度が高いと考えられるサービス関連企業に新規投資を行っています。
 米国の金融緩和観測の後退による米金利の上昇や、中東での地政学的リスクの高まりが投資家心理の悪化を招いています。今後日本企業の決算発表が本格化しますが、足元で進行する円安に対し保守的な会社計画が発表されれば、短期的には業績成長期待の低下も懸念されます。株式市場に不透明感が残る環境ではありますが、賃上げを起点とする消費環境の改善や設備投資需要の構造的な拡大など、日本経済が成長軌道にある見方は変える必要はないと考えています。独自要因の成長力を有する企業の発掘を通じて、パフォーマンスの向上に努めてまいります。

 当月は当ファンドが投資を行っている食品製造企業について述べたいと思います。同社は将来成長に向けての構造改革期にあり、短期的な業績悪化局面は投資の好機であると当ファンドでは考えています。同社は大手小売チェーン向けにお弁当やおにぎり、総菜等を製造販売する中食事業を展開しており、同大手チェーン向けの売上高が全体の8割程度を占めています。同大手チェーンは、同社はじめとした様々なメーカーと共同開発したオリジナル商品の品質の高さを強みとして、業界内で不動の地位を築いています。なかでも同社は、国内で1日あたり平均約300万食を製造しており、同大手チェーンに対して商品提供を行う3大ベンダーの1社として欠かせない存在となっています。
 同社は過去、同大手チェーンの急速な店舗網拡大に伴って全国に工場を新設し、規模を追求することで成長してきました。しかし2010年代後半からは、同大手チェーンの国内新規出店数鈍化やベンダー間の競争激化によって同社の売上高成長は頭打ちとなりました。このような状況を踏まえて、同社は以後「国内事業の利益率改善」、「北米事業の成長」へと成長戦略の軸足を移してきました。

国内事業の利益率改善:同社は国内工場の統廃合を進めることで収益性を改善してきました。近年の食品製造技術の向上に伴うチルド弁当の比率上昇により、商品の消費期限が長期化し長距離輸送が可能となったことで、工場の統廃合が可能となりました。さらに、足元では大規模工場の建設が予定されており、将来的にはさらなる製造拠点の集約・分業化による効率化の進展が計画されています。当ファンドでは、この取り組みを行うことで、固定費の削減・稼働率の上昇による国内事業の利益率改善が期待できると考えています。

北米事業の成長:上述の大手チェーンは海外事業の拡大に取り組んでおり、なかでも北米における商品戦略の一環として、オリジナル商品の強化に注力しています。その中でフレッシュフード展開においては同社が中心的な役割を担っており、2023年に新工場が稼働開始したほか、2025年には別の地域で新工場の稼働開始が予定されています。今後も提供商品の数量増加・ラインナップ多角化による売上高成長が期待できる状況となっています。北米は価格転嫁の容易さから、国内と比較して高水準の利益率を確保しやすい環境であり、北米事業の拡大は同社の利益成長に大きく貢献しうるものと考えています。
 一方で、先日発表された決算において減益見通しを発表したことを受け、同社の株価は調整局面にあります。しかし当ファンドはこの短期的な業績の停滞は中長期的な業績成長に向けた意志ある踊り場であると捉えており、過度に悲観する必要はないと考えています。リスクは国内消費意欲の停滞が長引くことで、中食需要そのものが縮小することです。しかし、同社は先んじて構造改革を進めるなど、収益性改善に対する施策が着実に行われています。業績成長の軸足も市場規模のより大きい海外に向けられつつあり、同社に向けられた市場評価は今後変化していくものと当ファンドは考えています。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2024年3月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年3月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比4.44%上昇し、日経平均株価は前月末比3.07%の上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、月前半は前月から引き続き半導体関連銘柄の上昇などが相場をけん引し、日経平均は史上初となる4万円台に到達するなど堅調な推移となりましたが、月半ばにかけては米国半導体関連銘柄が下落した影響や、日銀のマイナス金利政策解除を示唆する報道、春季労使交渉(春闘)での高い賃上げ実現への期待の高まりなどから日銀の金融政策正常化への思惑が広がって円高が進行したことなどが重しとなり、下落しました。月後半にかけては、日銀が金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除や長短金利操作の撤廃、上場投資信託(ETF)の買い入れ終了などを決定したものの、当面は緩和的な金融環境が継続するとの見通しが示されたことなどを受けて円安進行とともに上昇し、最終的に前月末を上回る水準で取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐4.93%の上昇となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同4.73%の上昇を0.20%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、ダイヘン、INFORICH、TOWAなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、ペプチドリーム、福山通運、日本光電工業などでした。

 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、業界慣習などから取り組みが遅れているものの、旺盛な建設需要などを背景に価格転嫁が進展しつつあるサービス運営企業など、複数銘柄に新規投資を行っています。
 中東・ウクライナ情勢に加え、選挙を前にした地政学面での不透明感が燻っているほか、中国経済の減速影響などが目下の懸念材料と考えます。一方で、米国の金融政策の緩和期待が高まりつつあることから世界経済は緩やかな回復が見込まれます。日本市場においては、日銀が政策金利を引き上げ、金融政策の正常化が進み始めました。これは日本経済における賃金と物価の好循環が生まれているということであり、内需関連銘柄の収益改善期待は高まりやすい環境にあると考えます。よって、内需構成比の高い中小型株の業績回復確度は高いうえ、株価パフォーマンスの出遅れもあり再評価される余地は大きいと考えます。
 2024年の春闘の平均賃上げ率は前年比で大幅な上昇となりました。当ファンドでは、賃金上昇によって国内消費が活発化することで恩恵を受けやすい国内消費関連銘柄に特に投資機会を見出しています。今回は新たに投資を行ったカラオケ店舗運営企業についてご紹介します。

 カラオケは2020年の新型コロナウイルス感染拡大によって最も大きく影響を受けた業界の一つでした。緊急事態宣言による休業や時短営業に加え、「3密」や「飛沫が飛びやすい」等のイメージから消費者の利用控えが生じたことで、稼働率が回復しない状況が長らく続きました。その結果、業界全体で収益が悪化することとなり、特に体力のない中小事業者を中心に撤退が進みました。
 一方でその間に同社はコロナ禍後の世界を見据えて果敢に出店を継続したことで、苦戦する競合とは対照的に大きく市場シェアを高められています。また、出店の際には極力居抜きを活用してコスト抑制を図ってきたことに加え、店舗運営においても稼働率が低くなりやすい朝の時間帯に注力することで店舗売上を最大化する等の取り組みを実施しています。当ファンドでは、これらの取り組みを背景として、消費者にとって魅力的な価格設定と高い収益性の両立ができている点が同社の強みだと考えています。
 足元ではカラオケ需要の回復が進んだことで、前述の厳しい収益環境から一転、同社は好調な業績推移が続いています。また、継続的な出店による消費者からの認知向上も、集客力の向上に寄与しているものと考えられます。加えて、直近の新規出店店舗は都市部かつ大型化の傾向にあります。オペレーション効率が相対的に高い大型・多ルーム店舗の出店が進むことで、売上高の成長と同時に利益率の改善が期待できると考えます。
 成熟産業であるカラオケは、国内人口の減少を背景に高い成長が見込めない産業として市場から評価されています。しかし、前述の通り大型店舗の出店が継続できれば、利益率の改善を伴った業績成長が見込めるものと当ファンドでは考えています。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2024年2月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年2月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比4.93%上昇し、日経平均株価は前月末比7.94%の大幅上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、月前半はFOMC(⽶連邦公開市場委員会)の内容を受け早期の米利下げ期待が後退し一進一退の動きで推移しましたが、月半ばから後半にかけては内田日銀副総裁がマイナス金利解除後も日銀は緩和的な金融環境を維持するとの認識を示したことや、生成AI(人工知能)向け半導体需要の増加が期待される米国で半導体関連企業の株価上昇が続き、日本の半導体関連企業にも資金が集中したことから、続伸しました。22日には日経平均株価は39,098.68円で終え、約34年ぶりに最高値を更新しました。その後の日本株式市場の推移は緩やかだったものの、月末まで日経平均株価は3万9,000円台を維持したまま当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐2.94%の上昇となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同2.62%の上昇を0.32%上回りました。
当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、東京応化工業、アルバック、TOWAなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、リログループ、日本光電工業、コスモス薬品などでした。

 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、業界慣習などから取り組みが遅れているものの、旺盛な建設需要などを背景に価格転嫁が進展しつつある建設関連サービス企業など、複数銘柄に新規投資を行っています。
 外国人投資家による日本株買いの影響もあり、大型株が株価上昇を主導した結果、小型株の相対パフォーマンスは厳しい状況が続いています。しかし、企業業績の観点では必ずしも小型株は大型株に対し劣後していないと当ファンドは考えています。また、地政学的リスクが高まる環境において、内需構成比の高い小型株式市場は相対的な業績の安定性が高いとも言えると考えます。
 具体的な投資機会として下記のような業界に現在は注目しています。

  • 遅れていた価格転嫁の進展
     2022年の中ごろから原材料高や円安、人件費上昇を背景とした価格転嫁の動きが頻繁に見られるようになってきました。食料品や鉄鋼、宿泊費など幅広い製品・サービスの価格が上昇し、インフレ率を押し上げるとともに企業の収益拡大にも寄与してきたと考えています。一方で、レンタルや企業間物流など依然として十分な価格転嫁ができていない一部の業種が存在していますが、インフレの常態化を背景とし、これらの業界にも価格転嫁による収益性改善の流れが波及してくるのではないかと考えています。大型株に比べて価格転嫁が遅れていた小型株には、この観点での業績回復余地が大きいと考えます。
  • 消費の二極化
     物価上昇により世帯年収の低い人々の生活は厳しさを増す一方で、株高による資産効果やパワーカップルの増加などにより富裕層の消費行動は堅調な推移が続いています。インフレの常態化を背景として、この二極化の状況は継続する可能性が高いと考えています。そのため、生活防衛消費の恩恵を受けるディスカウントストア業界と高額消費の恩恵を受ける百貨店業界は、ともに堅調な業績が続くのではないかと考えています。
  • 深刻化する人手不足へのサービス提供
     減少が始まった労働人口と、低下の一途をたどっている出生率を踏まえると、人手不足は日本の構造的な課題であると言えます。この状況を事業機会と捉え、当該課題の解決の一助を担うことができるような業界に注目しています。例えば、DX化を通じた生産性向上を支援するIT業界や人材採用支援サービス業界などです。
  • 成長する半導体関連業界における割安・出遅れ銘柄
     生成AI需要の拡大を背景として、半導体メーカー向けに半導体製造装置の需要が急拡大しており、関連銘柄の収益拡大期待と株価上昇が目立ち始めています。一方で、同じ半導体業界内でも消耗品を担う化学関連や電子部品関連の企業では、収益拡大が見込めるにも関わらず、出遅れている銘柄が多く存在していると考えます。これらの銘柄は既に大きく上昇した半導体製造装置に対して割安度が大きく、投資妙味が大きいと考えています。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2024年1月の運用コメント

株式市場の状況

 当⽉の⽇本株式市場は、能登半島地震の影響精査のため⽇銀が利上げを⾒送るとの⾒⽅が⾼まったことや、⽶連邦準備制度理事会(FRB)⾼官のタカ派な発⾔を受けた⽶⻑期⾦利の上昇を背景に円安が進み、⽉前半は⼤きく上昇しました。また、新NISA制度の開始による個⼈投資家の買い需要や、東京証券取引所の市場改⾰への期待感から海外投資家の資⾦も多く流⼊しました。⽉半ばから後半にかけては、利益確定の売り圧⼒や、⽶国半導体⼤⼿の業績⾒通しが市場予想を下回ったことから半導体関連銘柄を中⼼に⼀時下落基調に転じる場⾯もあったものの、最終的に前⽉末を上回る⽔準で⽉を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐7.81%の上昇、当ファンドのベンチマークは同6.04%の上昇となりました。

ファンドの運⽤状況

 当⽉、当ファンドにおいては、電気⼯事⼤⼿の九電⼯などが上昇、⼀⽅でインターネット広告事業を運営するバリューコマースなどが下落しました。九電⼯は好調な2024年3⽉期第3四半期決算が発表されたこと、バリューコマースは2023年12⽉期決算発表において、⼤幅減益となる2024年12⽉期の業績予想を開⽰したことがそれぞれ株価変動につながったものと考えられます。
 投資⾏動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を⾏っています。また、銀⾏業の銘柄に新規投資を⾏いました。⾦融政策の正常化による銀⾏業の収益性改善が近づきつつあること、また同⾏の地盤である地域は、⼈⼝動態⾯や景況感において相対的に好調な状況が続くと考えられるためです。

今後の運⽤⽅針

 当⽉は外国⼈投資家による⼤型株主導の相場展開が再度強まったことで、中⼩型株式市場にとっては厳しい環境が続いています。しかし、前⽉からの繰り返しにはなりますが、⽇本経済は賃⾦上昇を起点とするインフレの好循環により、内需を牽引役とする経済成⻑が続くと当ファンドでは考えています。業績⾯に⽬を転じても、価格転嫁の進展により、⼤型株に⽐べて中⼩型株の増益率が⾼い状況は今期、来期にかけて続く可能性が⾼いと考えられます。引き続き、ボトムアップ・リサーチを通じた投資機会の発掘により、中⻑期でのパフォーマンス創出に努めてまいります。
 昨今、⽇本株式市場では、アクティビスト(物⾔う株主)の動きが活発になってきています。資本コストや株価を意識した経営の実現、という東証による要請も追い⾵となっており、アクティビストファンドは数、⾦額ともに増加の⼀途を辿っています。当ファンドで保有する銘柄の⼀つである⽇本光電⼯業に対してアクティビストファンドによる保有が明らかとなったため、今回は改めて同社に対する考え⽅を述べたいと思います。
 同社は1951年に創業された医療機器メーカーです。⽣体情報モニタや⼼電計、脳波計など医療現場を幅広くサポートしており、国内シェアトップを誇る製品を多数有しています。医療品質の向上と医療従事者の⽣産性改善の両⽴が社会的に求められる中、同社は「デジタルヘルスソリューション構想」を掲げています。これはテクノロジーを活⽤して患者の⽣体情報をモニタリングし、医療従事者の意思決定⽀援に繋げたり、遠隔医療に活⽤したりしていくことを⽬指したものです。⽇本においては⾼齢化による医療需要が増⼤していく⼀⽅、医療従事者の不⾜感は⼀段と深刻化することが予想されるため、同社技術が活⽤される範囲は今後も拡⼤していく可能性が⾼いと考えられます。
 加えて、当ファンドで注⽬しているのは市場規模の⼤きい北⽶地域での成⻑加速です。従来はRoyal Philips社(オランダ)やGEHealthCare Technologies社(⽶国)などの⼤⼿機器メーカーが独占する市場でしたが、⽇本同様、医療品質の向上や業務効率改善に対する需要の増加を背景に同社シェアが向上すると当ファンドでは考えています。近年ではペンシルベニア⼤学病院の新病棟など⼤規模案件も獲得するなど、同社の北⽶内での認知度が名実ともに向上していることを確認しています。現状同社のシェアは10%前後にとどまっており、製品競争⼒の⾼さを踏まえれば中⻑期的に継続的なシェアアップは⼗分可能なものと考えます。また、⽇本では⾃社製品だけでなく他社品の仕⼊れ販売を⾏っているのに対し、海外は⾃社製品販売がほとんどであるため、海外事業の成⻑は全社利益率の改善にも寄与するものと期待されます。
 このような状況において、2023年12⽉、⽶投資ファンドのバリューアクト・キャピタルが、同社株を5%超保有したことが明らかになりました。バリューアクト・キャピタルの書簡によると、⽇本光電⼯業には海外事業の拡⼤、消耗品やサービス事業の拡⼤、バランスシート改⾰という3つの点で改善余地があると説明されています。⽇本光電⼯業側からの情報開⽰はなく、同社側がどのような反応を⾏っているかは定かではありませんが、提案内容は当ファンドが考えるものと似通っており、議論は友好的に進展する可能性は⾼いと考えます。これまでもバリューアクト・キャピタルはオリンパス㈱への投資などで成功した事例を有しており、同社へのアプローチが成功すれば、当ファンドも株主として恩恵を受ける可能性があります。当ファンドとしてもIRミーティングを通じ、事業環境の認識とともに議論の進捗についても把握していく考えです。

2023年12月の運用コメント

株式市場の状況

 当⽉の⽇本株式市場は、⽉前半は⽇銀の植⽥総裁と氷⾒野副総裁両名の発⾔を受けて⾦融政策修正の思惑が⾼まったことなどから円⾼が進み下落しました。しかし、その後は、2024年に向けた⾦融緩和観測が⾼まり⽶国株式が好調であったことを受けて⽇本株式も上昇に転じましたが、最終的には前⽉末をわずかに下回る⽔準で年末を迎えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐0.23%の下落、当ファンドのベンチマークは同0.05%の下落となりました。

ファンドの運用状況

 当⽉、当ファンドにおいては、医療機器メーカーの⽇本光電⼯業などが上昇、⼀⽅でレストランチェーンを運営するサイゼリヤなどが下落しました。⽇本光電⼯業はアクティビストによる株式取得が材料視されたこと、サイゼリヤは⽬⽴った悪材料こそなかったものの、円⾼進⾏の⼀服感などから利益確定の売りに押されたものと考えられます。
 投資⾏動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を⾏っています。また、陸運業などの銘柄への新規投資を⾏いました。物量減少で価格改定が進まないなど、業績悪化懸念から株価は低位な⽔準にありますが、値上げ機運の⾼まりや資本政策の転換などの変化が⽔⾯下で進展しつつあるものと判断しています。

今後の運用方針

 2024年は⽶⼤統領選をはじめ、インドなどの主要新興国でも重要な選挙が実施される予定で、各所で地政学的リスクが⾼まりやすい環境にあると⾔えます。⽇本でも⾃⺠党総裁選が控えており、政治リスクが意識される可能性はありますが、⽇本経済は賃⾦上昇を起点とするインフレの好循環により、内需を牽引役とする経済成⻑が続くと当ファンドでは考えています。特に内需構成⽐が⾼く、かつ⼤型株に対しアンダーパフォームした⼩型株の割安感は際⽴っており、業績成⻑が期待できる銘柄に対する投資魅⼒は過去になく⾼まっていると考えます。インフレ進展に伴う恩恵や、構造的な⼈材不⾜を背景とした事業機会、過少投資が続いていた設備投資の再成⻑などに注⽬し、銘柄選別によりパフォーマンス創出に努めてまいります。
 当ファンドでは、⽇本のインフレが続く中、消費者の⽣活防衛意識の⾼まりが業績の追い⾵となると考えられる⼩売・サービス企業に投資を⾏っていますが、今回は前⽉から投資を開始したリユースショップの運営企業について述べたいと思います。
 中古品の売買を⾏うリユースショップは⾮常に古くから存在しますが、消費市場の拡⼤に伴ってその市場も広がり続けています。⼤量⽣産・⼤量消費社会となった先進国において、消費市場は成⻑を続けており、退蔵される不⽤品も増加し続けていると考えられるためです。国内で1年間に退蔵される不⽤品は約7兆円にも及ぶと推計されており、昨今のリユース市場規模が約2.7兆円であることを踏まえれば、⾮常に⼤きな市場ポテンシャルを有する業界であると⾔えます。また、フリマアプリの普及による個⼈間での中古品売買が⼀般化したこと、循環型社会への意識の⾼まりなどもリユース業界にとっては成⻑要因となっています。
 ⼀⽅で、時計やブランドバッグなどの⾼価な商品を中⼼に取り扱っているリユースショップも存在しており、こちらの業態もブランド品の値上がりを背景として⼤きく業績を伸⻑させてきました。しかし、コロナ禍からの正常化に伴いモノ消費からコト消費へのシフトや、中国景気の減速により外国⼈の購買⼒が減少したことで、ブランド品の中古品市況は下落しており、これらを中⼼に扱うリユースショップ業態は厳しい状況となっています。
 こうした状況の中で、当ファンドでは⾐料の取り扱いを中⼼とする総合リユースショップに注⽬し、前⽉から投資を開始しました。物価⾼による実質所得の減少を背景として、中古品の買い取り、販売を⾏っているリユースショップは、保有する中古品をすぐに現⾦化できることや、割安な商品を購⼊することができる⼩売店として需要が⾼まっています。前述のように、フリマアプリの普及などからリユースが急速に⽇常⽣活に浸透したことで、今まではリユースショップを使ったことのなかったシニア層にも裾野が拡⼤していることも需要増加の⼀因であると思われます。
 中でも、投資先企業の強みは、以下の3点にあると考えています。1つ⽬は、出店意欲の⾼さです。同社はリユース市場の成⻑の確度が⾼まったと判断し、これから3年間での出店加速を計画しており、拡⼤する市場の需要を取り込める状況にあります。2つ⽬は、M&Aの巧さです。ハイブランド業態やゴルフ業態のリユースショップなどの専⾨リユースショップを中⼼に、複数のM&A実績を有しています。同社の⾏うM&Aは割安な企業に対するものが主であり、既存事業の利益を毀損する可能性が低いことから、これからも⾮連続的な利益成⻑の⼀翼を担っていくことを期待しています。3つ⽬は、システム開発⼒の⾼さです。システム部⾨を⾃社内に持つことで、POSシステム、査定システム等の基幹システムを内製化しており、厳密な在庫管理を可能としています。同社はかねてよりデータの利活⽤を重要視しており、複数のKPIをリアルタイムに店舗で確認できるような仕組みを構築することで、在庫コントロールの最適化を⽬指しています。
 これら独⾃の強みを有している点や今後も堅調に成⻑すると考えられている業界に属しているにもかかわらず、割安なバリュエーションに留まっている同社には投資妙味が⼤きいものと考えています。

2023年11月の運用コメント

株式市場の状況

 当⽉の⽇本株式市場は、⽉前半はFOMC(⽶連邦公開市場委員会)での政策⾦利の据え置きや、市場予想を下回る⽶雇⽤統計を受けての⽶⻑期⾦利の低下を背景に上昇しました。⽉半ばは、⽇本企業の良好な決算や、市場予想を下回る⽶国のCPI(消費者物価指数)を受けた⽶追加利上げ観測の後退などから、⽉中⾼値をつけました。⽉後半に⼊ると、中東情勢の地政学リスクの後退や⽶⻑期⾦利低下等を好材料に上昇した後、⼀時1ドル=146円台後半まで進⾏した円⾼が重しとなって下落基調に転じましたが、最終的に前⽉末を上回る⽔準で⽉を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐5.42%の上昇、当ファンドのベンチマークは同4.94%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当⽉、当ファンドにおいては、半導体装置メーカーのTOWAなどが上昇、⼀⽅で海上⼟⽊⼯事を⼿掛ける五洋建設などが下落しました。TOWAは前⽉に引き続き、⽣成AI向け半導体装置の需要増加期待が改めて⾼まったこと、五洋建設は発表された決算こそ好調だったものの、他社JV(ジョイントベンチャー)⼯事で不具合が確認され、業績悪化が危惧されたことを受け、それぞれ株価が変動したものと考えられます。
 投資⾏動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を⾏っています。また、⼈材サービス業などの銘柄への新規投資を⾏いました。⼈材サービス業は過当競争リスクの⾼まりから、株価が軟調に推移している銘柄が散⾒されますが、特定の市場に特化することで差別化は可能と判断しています。

今後の運用方針

 各所で地政学的リスクが⾼まる環境にあり、⽶国景気悪化懸念もくすぶる環境にあります。しかし⽇本経済は賃⾦上昇を起点とするインフレの好循環が続き、内需を中⼼に経済成⻑が続く公算が⾼いと当ファンドでは考えています。2023年は⾦利上昇とともに⼤型株や銀⾏株、市況関連株などが相場を牽引しましたが、株価の上昇や⽶⾦融政策の転換を踏まえると今後は同様のトレンドを辿る可能性は低いと判断しています。むしろ、内需構成⽐が⾼く、かつ⼤型株に対しアンダーパフォームした⼩型株の割安感は際⽴っており、業績成⻑が期待できる銘柄に対する投資魅⼒は過去にない程⾼まっていると考えます。インフレ進展に伴う恩恵や、構造的な⼈材不⾜を背景とした事業機会、過少投資が続いていた設備投資の再成⻑などに注⽬し、銘柄選別によりパフォーマンス創出に努めてまいります。
 当ファンドでは従前から、国内労働⼈⼝の減少を事業機会と捉え、恩恵を受けると考えられる企業に投資を⾏っていますが、今回新たに投資を開始した⼈材サービスの企業について述べたいと思います。
 ⽇本社会は、遂に2020年から労働⼈⼝の減少を迎えています。⼈⼝減少社会にあっても、2019年までは⼥性や⾼齢者の労働参加を背景に労働⼈⼝は増加していましたが、労働参加率が⼀定⽔準に達し、2020年の労働⼈⼝は減少に転じました。また、2023年の出⽣数は8年連続で過去最少を更新する⾒通しであり、⼤規模な外国⼈労働者の受け⼊れなどがない限り、将来に亘っても⼈⼿不⾜は続くものと考えられます。
 ⼀⽅で、年初から⼈材サービス関連企業の株価は低調な推移が続いています。従来⼈材サービス各社の株価は、中⻑期に亘る⼈材獲得需要の増加を反映し、⾼い評価で取引されてきました。しかし近年、各社が需要増加を⾒込んで積極的な⼈員増強や販促費の増額を続けた結果、業界全体が求職者の獲得競争に陥っており、利益率低下の懸念から期待値の剥落が⽣じているものと考えられます。また、参⼊障壁の低さから新規参⼊も相次いでおり、競争激化に拍⾞をかけています。
 こうした状況の中で、当ファンドでは若年層の⼈材市場の拡⼤の恩恵を受けると思われる企業に新規投資しました。かつて終⾝雇⽤が⼀般的であった⽇本社会においては、新卒⼀括採⽤が⼤きな市場規模を占めていましたが、中途採⽤市場の急拡⼤により若年層の⼈材市場は相対的なプレゼンスが低下していると⾔えます。また、⼤⼿メディアが依然として市場を占有しており、新規参⼊が少ないことも注⽬されにくい理由の⼀つであると考えられます。
 しかし、新卒採⽤の⻑期化や初任給の引き上げなど、企業側が新卒採⽤活動に投じる費⽤は依然として増加基調にあると考えられること、また若年層において就業から転職までの期間が短期化していることなど、若年層の⼈材市場は拡⼤の兆しを⾒せ始めていると当ファンドでは考えています。若年層の転職は⼀般的な中途採⽤市場の年収帯に⽐べ低いことが多く、既存の⼈材サービス企業にとっては収益性の低下を招くためあまり積極的に展開したい市場とは⾔えません。しかし既存サービスでユーザー基盤を持つ企業にとっては、市場拡⼤の恩恵を受けられる可能性が⾼く、収益性の向上を伴った業績成⻑は⼗分可能なものと考えられます。

2023年10月の運用コメント

株式市場の状況

 当⽉の⽇本株式市場は、堅調な⽶雇⽤統計を受けての⽶⻑期⾦利の上昇、今後の⾦利⾼⽌まり懸念が相場のマイナス要因となりました。また、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格上昇なども重⽯となりました。⽉後半には、中国の景気刺激策が好感される場⾯があったものの、⽇銀の政策再修正への思惑や⽶テクノロジー企業の低調な決算への失望などから、最終的に前⽉末を下回る⽔準で⽉を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐2.99%の下落、当ファンドのベンチマークは同3.16%の下落となりました。

ファンドの運用状況

 当⽉、当ファンドにおいては、半導体製造装置メーカーのTOWAなどが上昇、⼀⽅でバイオ医薬品を⼿掛けるペプチドリームなどが下落しました。TOWAは前⽉に引き続き、⽣成AI向け半導体製造装置の需要増加期待が改めて⾼まったこと、ペプチドリームはBristolMyers Squibb社(⽶国)が同社との候補薬の⼀つの開発を終了したと発表し、⼀つの事業機会が喪失したとの⾒⽅が広がったことを受け、それぞれ株価が変動したものと考えられます。
 投資⾏動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を⾏っています。また、半導体関連銘柄への新規投資を⾏いました。半導体需要の調整や中国事業の地政学的リスクの⾼まりなどを受け株価が⼤幅に下落をしているものの、中国の半導体内製化進展などを背景に、業績成⻑確度は⾼いものと判断しました。

今後の運用方針

 地政学的リスクが⾼まる環境にはありますが、⽇本の中⼩型株には、社会の構造変化によって成⻑加速ができる銘柄は多数存在していると考えています。ここでは、1)インフレ、2)企業統治改⾰、3)製造業の国内回帰、という3つの社会変化に焦点を当て、そこから⾒込める投資機会についてご説明します。
 まず挙げられるのがインフレです。⽇本ではバブル崩壊後の30年に亘りデフレが続き、⽇本経済は停滞が続きました。ようやく近年、資源⾼など外的要因をきっかけとしてインフレの機運が⾼まり始めており、賃上げも進み始めています。これは⽇本経済にとって⾮常に⼤きな変化であり、様々な企業にとっての事業機会ともなり得ます。当ファンドでは、特に⽣産性改善投資の増加に注⽬しています。⾜元で進む賃上げ、⼈⼿不⾜は、従来よりも⾼い費⽤をかけても⽣産性を改善させたいとのニーズに直結します。オフィスワークではIT化が⼀段と進み、ITソリューションを提供する企業にとっては引き続き事業機会となり得ます。また⽣産現場では機械化を通じた省⼈化、労働環境改善などが進むと考えます。これは機械メーカーにとって直接的な事業機会です。
 バブル崩壊以降⻑らく続いたデフレ経済の中で、⽇本企業は利益を捻出するために設備投資、⼈的投資、開発投資を抑制せざるを得ませんでした。結果として⽇本経済は過少投資の状態が続き、他国に⽐べて競争⼒が低下してしまったと⾔えます。
 しかし、⽇本企業はバランスシートに現⾦を溜め込み続けてきており、投資余⼒は⼗分にあります。⼗分な内部留保を活⽤する形で、ようやく⽇本の⽣産性改善が進むと当ファンドは考えています。
 これを補完するのが企業統治改⾰です。企業統治の指針であるコーポレートガバナンス・コードは2015年に初めて策定されましたが、特に中⼩型株に属する市場にまではなかなか浸透してこなかったというのが実情です。これが⼤きく変化し始めたのが、東証が主導した資本コストを意識した経営の実現に向けた要請です。他国と⽐べたPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業の多さを問題視し、全上場企業に対し企業価値向上に向けた対応⽅針の開⽰を求めました。⽇本社会は横並び意識が⾮常に強い社会です。⼀部の先進企業が開⽰を始め評価を⾼めると、徐々にその動きは市場全体に浸透していく可能性が⾼いと考えています。これが投資機会となるのは、特にIRに積極的ではなかった⼩型株であると⾔えます。当ファンドの保有銘柄の中にも初めてROE(株主資本利益率)⽬標を記載した中期経営計画を策定する企業が現れています。同社については先⽅から社⻑のIR⾯談の機会も頂戴し、中期・⻑期での⾼い成⻑に対する⾃信も感じることが出来ています。IRの充実は経営が市場参加者を重要なステークホルダーであると位置づけることの証左でもあります。特にIRに積極的ではない企業が多い中⼩型株は、⼤型株よりも魅⼒的な投資機会であるといえます。
 最後に挙げるのが、製造業の国内回帰です。⻑期に亘って続いたデフレの影響や円安の進⾏により、製造拠点としての⽇本の魅⼒は過去になく⾼まっていると考えられます。加えて⽶中貿易摩擦の激化もあり、中国に依存していた製造拠点の分散を図りたいとのニーズも⾮常に旺盛な状況にあります。最も顕著な例は半導体メーカーTaiwan Semiconductor Manufacturing Company社(台湾)の熊本新⼯場建設です。Taiwan Semiconductor Manufacturing Company社は第2⼯場の建設も熊本で予定しており、周辺産業を含めると5兆円とも6兆円とも⾔われる経済効果が⾒込まれています。
 また、国内回帰は半導体だけでなく⾃動⾞や産業機器など幅広い産業に波及しており、設備投資の増加を牽引する要素となり得ます。恩恵を受ける業種の代表例は前述した建設業だけでなく、機械設備や⼈材サービスなど、幅広い業界に恩恵が⾒込めます。⽶中貿易摩擦の激化などで地政学的リスクが⾼まる環境にはありますが、その裏側で⽇本は恩恵を受けるポジションにあると考えています。この点においても、内需の構成⽐が⾼い⼩型株は魅⼒的であると⾔えると考えます。

2023年9月の運用コメント

株式市場の状況

 当⽉の⽇本株式市場は、⽉前半は中国製造業購買担当者景気指数(PMI)の改善により中国の景気後退不安が⼀時的に後退したほか、国内では早期衆院解散・総選挙への期待感が⾼まったことを受け、上昇基調となりました。⼀⽅⽉後半は、FOMC(⽶連邦公開市場委員会)で⾦融引き締めの⻑期化が⽰唆されたことや、⽶議会の予算協議が難航し政府機関閉鎖への警戒感が⾼まったことから、市場⼼理が悪化し値を戻す展開となり、最終的に前⽉末を若⼲上回る⽔準で⽉を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐0.51%の上昇、当ファンドのベンチマークは同0.13%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当⽉、当ファンドにおいては、半導体装置メーカーのTOWAなどが上昇、⼀⽅で半導体部材メーカーである東京応化⼯業などが下落しました。TOWAは先端半導体向けに事業機会が拡⼤しているとの期待が改めて⾼まったこと、東京応化⼯業は⼀部証券会社が格下げを⾏ったことを受け、それぞれ株価が変動したものと考えられます。
 投資⾏動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を⾏っています。また、⽂書管理ソフトウェアを提供する企業などに新規投資を⾏いました。インボイス制度や電⼦帳簿保存法などの制度対応需要の反動減懸念から、好調な短期業績に反し株価評価は相対的に低位にとどまっていますが、当ファンドでは企業内の電⼦化、デジタル化需要は今後も進展していくものと考えております。

今後の運用方針

 当⽉は、⽇本のクレーンメーカー「タダノ」を例に取り上げ、その事業環境の改善について考察します。タダノは建設⽤クレーンの⼤⼿メーカーで、2019年にはTerex社(⽶国)からドイツに本拠地を置くDemagブランドのクレーン事業を買収し、世界最⼤⼿の地位を⽬指しています。クレーンのビジネスは建設業界と密接に関連しており、その業績は景気サイクルに⼤きく左右されます。中でも、クレーンは⼀般的な建設機械と⽐較して設備更新期間が⻑いため、景気後退局⾯では顧客がクレーンの買い替えを先延ばしする傾向があり、その結果、業績悪化幅が⼤きくなる傾向にあります。⼀⽅、景気回復局⾯では業績改善幅も⼤きくなるため、投資タイミングの⾒極めが重要な業界と⾔えます。
 クレーン業界を取り巻く事業環境は現在良好と考えます。ESGの流れを受け、世界的に過度な化⽯燃料への投資が抑制されてきたほか、新型コロナウイルスの影響による設備投資意欲の減退により、クレーンの更新需要が積み上がっている状況にあります。将来に⽬を転じれば、化⽯燃料への投資は減少していく⼀⽅、カーボンニュートラル達成のための再⽣可能エネルギー投資需要が豊富に控えており、需要拡⼤が期待されます。
 当ファンドは、2021年頃からタダノへの投資を開始しました。化⽯燃料を中⼼としたエネルギー投資需要の減少やDemagクレーン事業の想定以上の損失拡⼤などにより短期的な業績悪化懸念が⾼まっていた⼀⽅、前述した需要拡⼤が⾒込まれると考えたためです。しかし2022年に⼊り、ロシアのウクライナ侵攻の影響などによる部材調達の深刻化を背景として、⼀段と⼯場稼働率が低下、資材⾼も重なって業績が悪化し、株価は低迷を続けていました。この状況を受けて、当ファンドは投資魅⼒が⾼まったと判断し、買い増しを⾏いました。この際に当ファンドが注⽬したのは、同社の業績悪化が需要ではなく供給制約に起因していたという点です。部材調達難の解消や売価改定前の低採算受注の売上計上が⼀巡すれば、再び業績成⻑局⾯を迎える可能性が⾼いと考えました。
 現在、欧州拠点での部材調達問題は完全に解消していないものの、⽇本拠点はフル⽣産に近い状態にあり業績は回復基調を辿り始めています。株価もこの状況を受け回復感を強めており、当ファンドも⼀定のリターンを得ることが出来ました。今後の注⽬点は依然として⾚字が続く欧州事業の損益改善状況と、クレーン設備投資需要の中⻑期的な継続性です。欧州事業は労使問題やサプライヤーとの関係など、買収以前からの課題が多く、⿊字化は容易ではありません。しかし、⽇本拠点との部品共通化など、内部での取り組みによる対応策も進⾏しており、2019年のDemagクレーン事業買収時に描いた本来の統合効果が実現することを当ファンドでは期待しています。

2023年8月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年8⽉、⽇本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前⽉末⽐0.43%の上昇となりました。
 当⽉の⽇本株式市場は、⼤⼿格付け会社フィッチ・レーティングス社(⽶国)による⽶国債の格下げを背景とした⽶国株安の流れを受け、下落から始まりました。⽉半ばは、中国の軟調な経済指標(消費者物価指数など)や、中国不動産開発⼤⼿の⽶国破産法の申請が嫌気され、下げ幅を広げました。⽉後半は、中国の追加利下げが好感されたほか、ジャクソンホール会議においてさらなる利上げへの懸念が後退したことで値を戻す展開となり、最終的に前⽉末を上回る⽔準で⽉を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐0.43%の上昇、当ファンドのベンチマークは同1.52%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当⽉、当ファンドにおいては、半導体装置メーカーのTOWAなどが上昇、⼀⽅で⼈材サービスを提供するアウトソーシングなどが下落しました。TOWAは発表された決算数値が市場に好感されたこと、アウトソーシングは外部調査委員会による調査を⾏うとして、2023年12⽉期第2四半期決算発表を延期する可能性を⽰唆したことを受け、それぞれ株価が変動したものと考えられます。
 投資⾏動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を⾏っています。また、産業⽤電源の⼤⼿企業などに新規投資を⾏いました。同社は短期業績の悪化から株価は調整しているものの、中⻑期では半導体産業の成⻑や国内での設備投資需要増の恩恵を受けると考えております。加えて、後述する相対的に割安感が出てきたと考えているITソフト関連企業にも新規に投資を開始しております。

今後の運用方針

 前⽉から当⽉にかけて発表された⽇本企業各社の決算を⾒る限りにおいて、事業環境は堅調な状態であると考えられます。中国景気低迷はマイナス要因ではあるものの、⾃動⾞⽣産を始めとした稼働率の回復や値上げの浸透、観光需要など社会活動の本格回復などが増益要因として利益を牽引しています。⾜元で進む賃⾦上昇とインフレが定着すれば、⽇本経済の回復感はより⾼まることが想定され、先⾏きは明るいものと考えます。当ファンドとしては、依然として出遅れ感の強い中⼩型株式市場において、業績成⻑が期待できる企業への選別投資を引き続き進めてまいります。
 当ファンドでは従前から、IT投資の構造的な拡⼤に注⽬し、いくつかの企業に投資を⾏っていますが、今回は新たに投資を開始した個別銘柄について述べたいと思います。
 現在、⽇本国内において⼤企業を中⼼とした賃上げが盛んに⾏われています。この背景には、インフレ率の⾼まりに加え、⼈⼿不⾜の深刻化がより⼤きな課題として挙げられます。これは⽇本社会全体における⽣産性改善が求められていることを意味し、IT投資需要は依然として⾼く、底堅い成⻑が続くものと考えられます。
 ⼀⽅でIT産業においても⼈⼿不⾜は深刻化しており、必ずしもIT産業に属している企業全てが同様の成⻑を遂げられるわけではありません。従前からITの産業の主軸であった受託型開発を⾏っている企業においては、⼈⼿不⾜や採⽤競争による⼈材の流出、賃上げに対し顧客に対する価格転嫁が遅れることによる利益率の悪化など、事業環境は深刻さを増しています。このような環境下において当ファンドでは、1)垂直統合(必要な業務⼯程の範囲を広げて、⾃社で担うビジネスモデルのこと)化、2)事業モデルの転換にそれぞれ注⽬し、新たにいくつかの企業に対し投資を開始しました。
 1社⽬は、⼤企業向けに⼀気通貫型のITコンサルティングサービスを提供している企業です。ITコンサルティング業界⾃体は数年前から成⻑が続いていますが、中でも同社の特⾊は、顧客の要望をヒアリングしながら課題特定を⾏う上流⼯程から、実際のシステム構築や保守を⾏う下流⼯程まで⾃社内で対応している点です。顧客の経営課題解決に資するプロダクトを提供することができているため、同業他社対⽐で⾼い収益性が実現できています。また、同社のビジョンに共感し、IT投資に前向きな企業のみを顧客としていることで、⻑期にわたる信頼関係が構築されており、同社業績の安定性に繋がっていると当ファンドでは考えています。
 2社⽬の企業は、元々事務機やIT機器の卸ビジネスを主⼒事業としていましたが、20年前にソフトウェア関連企業を⼦会社化したことを⽪切りに、ITソリューション分野に参⼊しています。事務機の導⼊をきっかけとして、セキュリティソリューションやITの選定・導⼊・運⽤・保守のコンサルティングなど、同社の得意な領域を中⼼としたITサービスの導⼊事例が増加しています。同社の強みは、IT分野に関わる中⼩企業の課題解決のために必要な様々な製品やソリューションを全国規模で提供できることだと考えており、今後も継続的な事業効率の改善が⾒込めるものと当ファンドでは考えています。また、同社の課題であるバランスシートにおける余剰キャッシュの有効活⽤についても徐々に進展が⾒られており、IT分野を中⼼としたさらなる事業の拡⼤が期待されます。

2023年7月の運用コメント

株式市場の状況

 当月の日本株式市場は、前月までの株価急上昇の反動や、米国の雇用統計の結果を受けて利上げ継続への懸念が強まったことから、下落して始まりました。しかし月半ばには、米国のCPI(消費者物価指数)が市場予想を下回り、利上げ停止が近いとの期待感から堅調に推移しました。月後半は、日銀によるYCC(イールドカーブ・コントロール)の柔軟化が発表され一時的に値動きの激しい展開となりましたが、現行の緩和姿勢を維持するとの受け止めから市場に安心感が広がり、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末1.49%の上昇、当ファンドのベンチマークは2.36%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドにおいては、アパレル大手のオンワードホールディングスなどが上昇、一方で通信キャリア向け工事やDX(デジタルトランスフォーメーション)サービスを提供するNECネッツエスアイなどが下落しました。オンワードホールディングスは当月に大幅増益となる決算を発表したこと、NECネッツエスアイは、当月に発表された決算数値が市場期待に届かなかったことを受け、それぞれ株価が変動したものと考えられます。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、専門領域に特化した人材サービス提供企業などに新規投資を行いました。特需剥落や人員増による短期業績悪化から株価は低迷しているものの、人材不足を背景としたアウトソーシングへのシフトは構造的なものと考えられるためです。

今後の運用方針

 当月は、当ファンドの年初来パフォーマンスの振り返りと、今後の見通しについて述べさせていただきます。
 まず、年初来パフォーマンスについてですが、残念ながら当ファンドはベンチマークに対し苦戦が続く状況となっています。最大のポイントは、圧倒的な大型株優位の相場展開であったことです。特に4月以降は、欧米の中央銀行が金融引き締めに向かう一方、日本は金融緩和の継続を決めたことから、外国人投資家による積極的な日本株式への資金流入が起こりました。外国人投資家が大型株を中心に買い進めたことから、大型株が小型株を大きく上回るパフォーマンスを記録しました。しかし、これは中小型株、特に小型株を中心に投資を行う当ファンドにとって非常に厳しい環境でした。大型株に資金が集まった結果、小型株式市場の売買代金が相対的に細り、相場の二極化が加速したと考えております。
 しかし、当ファンドでは現在の戦略に対する強気な見方を崩しておりません。その理由は、1)民間消費の回復、2)旺盛な設備投資需要、3)ガバナンス改革の進展の3点に注目しているためです。
 まず、民間消費の回復ですが、日本は依然として欧米各国に比べ、コロナ禍前への回復途上にあります。しかし、相次ぐ値上げによる消費意欲への影響においても、賃上げは進展しており底堅い消費回復は続くものと考えられます。大手企業の賃上げは続いているほか、従来非正規雇用に頼っていたサービス産業でも人手不足の深刻化により雇用の正規化を進めており、賃上げは着実に日本社会に浸透しつつあると言えます。中小型株は大型株に比べても内需比率が高いため、内需回復の恩恵をより享受できると考えます。
 次に、複数の設備投資需要も日本経済にとって追い風となっています。人手不足を背景とした労働生産性改善を目的とした投資はもとより、しばらく停滞していたインフラ投資需要も非常に旺盛です。加えて経済安全保障の観点から世界的なサプライチェーンの再構築が進展しつつあり、改めて生産拠点としての日本の位置づけは高まりつつあります。中小型株は、これらの設備投資需要に対応できる技術力や製品力を持つ企業が多く存在します。特に、デジタル化や環境問題への対応に関連する分野では、中小型株にも優れた企業が多数見られると考えます。
 最後に、金融庁や東証が主導するコーポレートガバナンス改革の進展が挙げられます。企業の持続的な成長と中長期での企業価値向上の実現のために、企業と投資家双方が適切に協働していくことが求められています。大手企業から課題解決に向けた取り組みは始まっており、事業規模の小さい中小型株式市場に属する企業においても同様の動きは進展していくものと考えています。中小型株は、ガバナンス改革によって経営効率化や資本政策の改善などが期待できる余地が大きいと考えます。
 以上のように、大型株が大きく上昇したことで、中小型株の相対的な株価指標はより魅力的な水準にあると言えます。TOPIXとTOPIX SmallのPBR(株価純資産倍率)を過去10年遡ると、その格差は足もとで過去最高水準に広がっています。TOPIX Smallの平均PBRは依然として1倍程度と、絶対的な割安感があることも魅力です。当ファンドは引き続き、中小型株式市場を魅力的な投資機会であると考えております。前述の3点を踏まえた上で、魅力的な投資機会の発掘に努めてまいります。

2023年6月の運用コメント

株式市場の状況

 当月の日本株式市場は、月前半は米連邦債務の上限停止による米国株高の流れを受け、大幅に上昇いたしました。月半ばには、FRB(連邦準備制度理事会)による追加利上げの示唆を受けた軟調な米国株の影響や、衆院解散への期待剥落が嫌気された一方、日銀の金融緩和の維持、米著名投資家の日本株追加投資の発表が好感され、一進一退の動きで推移しました。月後半は、株価上昇の反発と見られる下落の局面もありましたが、米景気悪化懸念の後退と円安進行が下支えをし、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末7.55%の上昇、当ファンドのベンチマークは6.25%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドにおいては、電子機器製造受託の大手のシークスなどが上昇、一方で日本やアジアでアミューズメント施設を運営するイオンファンタジーなどが下落しました。シークスは一部証券会社による目標株価引き上げ、イオンファンタジーは、当月発表された月次売上高の回復に陰りが見え始めていることなどを受けそれぞれ株価が変動したものと考えられます。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、サプライチェーンの混乱による収益性低下が続いていたものの、自動車生産の整流化による生産性の改善や新規顧客向けの案件獲得による成長が見込まれる自動車部品メーカーなどに新規投資を行いました。

今後の運用方針

 日本経済は、コロナ禍からの経済正常化や価格転嫁の進展、賃金上昇の本格化などから、底堅い成長が続くものと考えます。好調な経済は日銀の金融政策転換の可能性を高めますが、好調な業績の中で割安感の高まっている中小型株にとっては好環境になると考えており、過度に懸念する必要はないと考えます。引き続きボトムアップ・アプローチに基づき、魅力的な投資機会の発掘に努めます。

 当月は、当ファンドの組入銘柄である「九電工」についてコメントしたいと思います。
 九電工は、九州に地盤を有する設備工事会社です。電気工事から空調、上下水道まで幅広く事業を手掛けており、九州のインフラ整備に貢献してきました。しかし、同社が地盤を有する九州は関東・関西に比べ経済規模が小さく事業拡大に制約を有していました。そこで、同社は2010年ごろから首都圏での施工能力を強化し、大型案件を獲得する戦略を展開したことで事業規模を拡大、同業他社比でも高い成長を続けてきました。
 当ファンドでは、不採算工事が重なり株価が下落した2019年から投資を開始しています。投資の理由は、工事採算悪化は個別要因が大きく、業績悪化は一過性となる可能性が高い一方で、受注環境は好調であり、業績回復の確度は高いと判断したためです。
 しかし、その後コロナ禍により建設業界全体の工期が想定以上に長期化し、採算悪化が続きました。その影響で株価も低迷する結果となりましたが、当ファンドが保有を続けていたのは、「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」など九州における大型再開発案件が複数控えており先行きは明るいこと、また市場期待が剥落した株価水準であることから、更なる下落懸念は限定的であると考えたためです。特に重要となる受注時採算は、過去の採算悪化の経験を踏まえ、企画設計段階で受注に参画しプロジェクト採算管理を行うなど先駆的な取り組みが進んでいることを踏まえ、採算改善の蓋然性は高いと判断しました。
 現在、2024年3月期で大型不採算工事が一巡し、2025年3月期以降はこれまで受注した九州の再開発案件の売上計上が始まる見込みです。これにより、業績は中期的な成長局面を迎えると考えています。また、九州はTaiwan Semiconductor Manufacturing Company社(台湾)の新工場をはじめ、新たな半導体産業の集積地として改めて注目が集まっています。同社とのコミュニケーションの中でも、地の利が活かせる九州の方が首都圏のプロジェクトよりもより低リスクで高い収益性が期待できるとのコメントを得ており、九州地域の建設需要が回復してきたことは事業運営上の安定感が今後高まることを示唆していると考えます。
 リスクとしては、長崎県の離島である宇久島で建設中の大規模太陽光発電所(メガソーラー)案件の本格着工が遅れていることが挙げられます。この案件は、同社が出資するSPC(特別目的会社)が発電事業者となり、最大出力約480MWの太陽光発電所を建設するものです。竣工の遅延はFIT制度(固定価格買取制度)で保証された売電期間短縮につながるため、プロジェクトの減損リスクが危惧されています。しかし、同社は同制度終了後もPPA(Power Purchase Agreement、電力販売契約)による売電などが検討されており、過度な懸念は不要と考えています。
 同社は、九州地域におけるインフラ整備のリーディングカンパニーとして、今後も成長機会を掴んでいくと当ファンドでは考えています。株価も回復基調を辿っていますが、成長が本格化すると考えられる来期以降の業績を踏まえると、依然として割安感は高く投資魅力は高いと判断しています。

2023年5月の運用コメント

株式市場の状況

 当月の日本株式市場は、月前半は一進一退の動きで推移しましたが、月半ばには海外投資家による資金流入が続き、TOPIXと日経平均株価ともに約33年ぶりの高値を更新しました。東京証券取引所の市場改革への期待や、日銀の金融緩和継続姿勢もサポート材料となりました。一方で、月後半には中国の低調なPMI(製造業購買担当者景気指数)や、市場予想を下回る国内の4月の鉱工業生産指数の結果が懸念され、弱含みで推移しましたが、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末3.62%の上昇、当ファンドのベンチマークは2.14%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドにおいては、通信工事やシステム提供を手掛けるNECネッツエスアイなどが上昇、一方で産業資材や自動車ホイールを製造する前田工繊などが下落しました。NECネッツエスアイは決算発表を経て業績回復への期待値が高まったこと、前田工繊は発表された決算こそ好調だったものの、市場期待に届かなかったことを受けそれぞれ株価が変動したものと考えられます。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、成長期待の低下により株価が大幅な調整局面にあるものの、人手不足の深刻化を背景に改めて市場成長が期待できると考えるアウトソーシングサービスの提供企業などに新規投資を行いました。

今後の運用方針

 2022年初頭以降、多くの業界が米国における金融引締めの影響を受けており、将来の業績見通しについて株式市場から悲観視されている状況にあります。しかしながら、株式市場からの期待値が低下した業界のなかには、割安に放置された成長企業が埋もれていることもあると当ファンドでは考えています。当月は当ファンドの組入銘柄である「ニチハ」を例に、この点について述べたいと思います。
 米国におけるインフレの進行を背景に、2022年初頭からFRB(連邦準備制度理事会)は金融引締めを続けてきました。2022年下期以降、エネルギー市況が下落に転じたことでインフレ率は鈍化傾向にはあるものの、食料・エネルギーを除くサービスのコア指数は依然として高い上昇率を維持していることから、FRBは利上げの継続を示唆しています。一般的に、金融引締めの継続は米国の住宅市場における購買意欲を減退させ、新築住宅着工件数に対して下落圧力が働きます。このような環境において、米国への販路を持つ国内の建材メーカーは、米国の住宅着工件数の減少による影響が想定されることから、株式市場からは将来の業績見通しを悲観されている状況にあると考えられます。
 一方、米国大手不動産投資顧問会社によると、米国における路面店の出店数は小売業を中心に大きく伸びているようです。背景には、コロナ禍で米国の小売業はEC(電子商取引)を重視する戦略に転換したものの、EC産業の競争激化により顧客獲得コストがかさむようになり、改めて実店舗を保有する価値が再認識され始めていることが挙げられます。
 ニチハは高品質な窯業系外装材で国内トップシェアを持つ企業です。当ファンドでは、北米における非住宅市場向けの外装材事業の成長性が株価に織り込まれていないと考え、投資を行っています。その理由は、同社の米国事業の営業利益の大部分が非住宅向けであることを株式市場から見落とされていると考えられるためです。同社は約10年間にわたり、米国非住宅向けの高級品の販売数量を拡大させてきました。しかしながら、米国非住宅向けビジネスの収益性が非常に高いということを競合他社から注目されないようにするため、同社は投資家に対して商材の内訳を開示することに積極的ではありませんでした。同社の米国事業における事業構造の変化が株式市場から見落とされてきた要因は、このように同社の情報開示への姿勢にあったのではないかと当ファンドでは考えています。
 しかし、2021年6月に就任した吉岡新社長のもとで、同社の開示姿勢に変化が起こりつつあります。2023年3月期の第2四半期以降は米国非住宅市場向けのビジネスに関する情報開示が行われるようになったことから、株式市場からの同社への見直しが進むことを当ファンドでは期待しています。
 米国の外装材市場では、デザイン性と経済合理性の面で優れている窯業系外装材のシェアが約20年間にわたり拡大を続けており、ニチハはそのようなマーケットの変化を捉えて事業を成長させてきました。同社は既存製法に比べデザイン性を高める独自製法や、工期短縮、意匠性を高める特許取得済みの工法を有しており、同市場において高い競争力を有しています。2022年には同社の米国の工場が稼働を始めており、最大生産能力は従来の3倍弱となることから、米国における継続的な成長を期待できるのではないかと当ファンドでは考えています。5年後には米国事業の売上高は約2.5倍となることが見込まれ、連結営業利益に占める海外比率は約50%まで上昇すると当ファンドでは想定しています。
 ダウンサイドリスクとしては、金融引締めの影響で米国非住宅市場において企業の投資意欲が減退することや、人手不足によって同社の米国工場の稼働率が想定通りに上昇しないことなどが考えられます。当ファンドでは、同社へのIR面談をはじめとするボトムアップ・リサーチを通じてこのような懸念は現時点で顕在化していないことを確認していますが、引き続き調査を通じて状況を注視してまいります。

2023年4月の運用コメント

株式市場の状況

 当月の日本株式市場は、月前半に軟調な米国経済指標(ADP雇用統計、ISM非製造業景況感指数)が相次ぎ、景気後退懸念が高まったことから下落して始まりました。しかし月半ばには植田日銀総裁の金融緩和維持を支持する発言や、米著名投資家の日本株追加投資を巡る思惑から上昇に転じました。月後半は米地方銀行の巨額預金流出による警戒感から下落する局面もありましたが、日銀が金融緩和維持を決定したことで株式市場に安心感が広がり、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前月末比2.70%の上昇、当ファンドのベンチマークは同2.78%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドにおいては、アミューズメント施設を運営するイオンファンタジーなどが上昇、一方でインターネットマーケティングサービスを提供するバリューコマースなどが下落しました。イオンファンタジーは2023年2月期の好調な決算を、バリューコマースは2023年12月期通期連結業績予想の下方修正をそれぞれ発表したことで株価が変動したものと考えられます。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、過去の高い成長期待が剥落したことで株価は低迷が続いているものの、経済活動の正常化による業況の改善確度が高まりつつあると考えられるソフトウェア企業に新規投資を行いました。

今後の運用方針

 米国の景気減速への懸念が和らいだことや日銀の金融緩和継続などを受け日本株式市場は底堅い動きを続けていますが、内需関連株が相場を牽引し、外需など景気敏感株は引き続き軟調に推移しています。発表され始めた日本企業の2023年度計画を概観しても、前提となる経済条件が保守的であることも影響し市場期待に届かず、株価が下落する場合が散見されます。市場の期待値を理解し短期の株価動向を予測することは難しく、当ファンドにとって得意とは言えない相場環境が続いていますが、中長期視点に立ったボトムアップ・アプローチという一貫した投資哲学が中長期での収益獲得に最も有効であるとの考えに変化はありません。東証による企業価値向上に向けた要請にもある通り、日本企業に対する経営の質的向上余地は依然として大きいものと考えられます。当ファンドは、これらの変革機運の高まりを受けた各企業の意識変化も魅力的な投資機会と捉えており、日々の調査活動を通じてより良い収益獲得に努めてまいります。
 日本経済はインフレに向かっており、連日のように値上げが続いています。賃上げの機運は高まっているものの、度重なる値上げにより消費者心理は悪化基調にあると考えられます。小売業界は、消費者心理悪化に起因する総需要の低迷に加え、水道光熱費や人件費、建築費などの店舗運営費用上昇により収益環境は厳しさを増しています。
 この環境下で、当ファンドでは改めてローコストオペレーションノウハウを有する「コスモス薬品」に注目しています。それは小売業界の事業環境が厳しさを増す中で競争力の低い企業の淘汰が進み、優勝劣敗が明確化する局面が近づいていると考えているためです。
 コスモス薬品はディスカウントストアの競争が激しい九州で創業、その後関西、関東へと拠点展開を進めている郊外型のドラッグストアチェーンです。ドラッグストアですが、生活必需品をEDLP(Everyday Low Price、セールなどで一定期間特売するのではなくいつでも低価格で販売する戦略)で提供することで顧客の高頻度利用を促しつつ、店舗オペレーションを極限まで合理化することで競争力のある店舗フォーマットを作り上げています。同業他社比でも粗利率、販管費率がともに低く、同社がローコストオペレーションに長けていることを裏付けています。同社の多くの店舗は現金支払いのみで、ポイントカードシステムも導入していません。クレジットカード会社への手数料やシステム導入コストを支払うぐらいなら、価格に還元したいという企業姿勢が表れています。
 昨年後半からの同社の株価低下の背景は、メーカーによる商品の値上げが進む中でも同社が値上げをせずに低価格を維持することにより、短期業績が懸念されていることにあると考えられます。確かに依然としてメーカー値上げは続いており、同社が価格の据え置きを続ける限り粗利率低下は避けられません。しかし競争力のある価格設定を維持することで口コミなどを通じて消費者認知が進み、競合店舗から顧客を奪うことで店舗利益を伸ばしてきたというのが同社の過去の歴史です。今回も同様の経路をたどり同社業績は再成長するものと当ファンドでは考えます。特に10年近くドラッグストア各社が各地で出店を続けてきたことで店舗の過剰感は増しており、店舗運営の厳しさは過去に類を見ないほどに高まっています。企業体力の弱い中小企業を中心に淘汰が進む可能性は高いと考えられます。また消費者側も値上げが続くことで低価格志向に拍車がかかっており、同社店舗が選好される条件は整っていると考えます。短期的な業績停滞は予想されますが、その後のシェアアップによる店舗売上増加を踏まえれば、中長期では利益率改善による業績成長の加速が期待できる環境にあると当ファンドでは考えます。
 考えられるリスクは、想定以上に低価格競争が続き、価格訴求を行っているにもかかわらず客数が増加しないことです。しかし同社の取扱商品は食品や日用品などの生活必需品であり、奢侈(しゃし)品に比べて需要は安定していると言えます。またこれらの商品は店舗間での価格比較が行いやすく、客数伸び悩みは一時的なものにとどまる可能性が高いと考えます。

2023年3月の運用コメント

株式市場の状況

 当月の日本株式市場は、FRB(米国連邦準備制度理事会)の利上げ再加速の思惑を受けて米国株式市場が軟調に推移する中、円安が日本株を支える展開で始まりました。月半ばにかけては、米シリコンバレー銀行の破綻に端を発した欧米金融不安の急拡大を受け、リスク回避姿勢が強まったことから大幅な下落に転じました。しかし月後半になると、スイスの金融大手UBSによるクレディ・スイス・グループ買収や米当局による預金保護などの対応で金融システムへの不安が和らぎ、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐1.70%の上昇、当ファンドのベンチマークは同1.36%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドにおいては、半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置メーカーであるアルバックなどが上昇、一方で日精エー・エス・ビー機械などが下落しました。両社とも目立ったニュースは見当たりませんが、アルバックは昨月の下落の反動、日精エー・エス・ビー機械は世界的な景況感悪化懸念が影響したものと考えられます。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、半導体市況の悪化から株価が低迷しているものの、市況回復に加え独自の成長事業を有すると考えられる半導体製造装置メーカーなどに新規投資を行いました。

今後の運用方針

 急速に進んだ欧米での金融不安は一旦和らいだものの、依然として先行きの不透明感は払拭しきれていないように見えます。4月後半から日本企業の決算発表と今期計画の公表が本格化しますが、高まる景況感悪化懸念を受け計画数値が引き下げられる可能性がある点は留意する必要があると考えられます。しかし、中国経済の再開による製造業の業績回復や、訪日外国人観光客回復の本格化など、日本経済にとってプラスとなる要素もあり、過度な悲観視は禁物です。当ファンドでは景況感に注意を払いつつも、企業独自の成長要因を有する企業への選別投資を通じてパフォーマンスの向上に努めて参ります。
 現在、メモリ市況の悪化が続いており、半導体需要の回復に対する懸念が高まっています。この背景には、コロナ禍でIT機器が特需となった反動による需要減退が続いていると考えられ、スマートフォンの生産について市場調査会社のIDC社(米国)が2023年の生産計画を下方修正したことも、半導体業界への懸念を高めています。
 しかしながら、このような状況は必ずしも同市場への投資が魅力的ではないことを意味するわけではありません。半導体工場においてインフラとして用いられる高純度ガスなどの先端化学品は、今後も魅力的な成長市場と当ファンドは考えております。
 国際半導体製造装置材料協会(SEMI)によると、2021年~2023年の3年間に着工される半導体工場は84件、2023年には28件が計画されています。これは、AIの発展による高性能コンピューティング需要や車載半導体需要の増加が続いているだけでなく、経済安全保障を背景とした各国政府による半導体産業への奨励策が背景にあると考えられます。特にこの数か月で、ChatGPT(人工知能チャットボット)に代表されるジェネレーティブAI(生成系AI)が急速に社会に浸透し始めていることも、需要を下支えすると考えられます。ChatGPTを巡っては、使用禁止を発表する国や開発の一時停止を訴える動きがあり議論を呼んでいますが、当ファンドでは1970年代の遺伝子組み換え技術の議論と同様、自発的な枠組みが生まれ技術の進展は続いていくと考えています。
 半導体関連といえば、半導体そのものや半導体製造装置需要を連想する投資家は多いと思われますが、当ファンドでは製造時に用いられる消耗品である化学品メーカーにも注目しています。当ファンドで保有する「東京応化工業」は、半導体工場の建設が相次ぐことで高純度化学品の需要が着実に増加し続けていること、また半導体の微細化によってフォトレジスト(感光性材料)の付加価値が高まっていること、さらに従来シェアの低かった半導体メーカーに対しシェアアップを果たせつつあることなど、複数の成長ドライバーを持つと考えられる企業です。当ファンドでは、同社を装置メーカーに対し、需要減退局面でも比較的安定した業績が期待できることに加え、進展する先端化の恩恵も獲得できるという非常に優れた事業特性を有していると考えており、高く評価しています。
 当然ですが競争環境は厳しく、同社が今後もシェアを上げ続けられるかどうかは未知数ではあります。しかし、競合他社が幅広い事業領域を持つ総合化学メーカーであるのに対し、同社は先端化学品に特化し事業展開を続けています。これにより、他社が開発を切り上げた領域にも開発を深掘りし、新たな用途展開につなげるなどより高い競争優位性を有していると考えております。昨年には低採算だった装置事業のスピンオフ(既存の会社からある部門を切り離すこと)も発表するなど、主力である化学品事業への経営資源の集中を強めており、経営の効率化が進展している点も見逃せません。同社は過去に先端開発で後塵を拝し、シェアダウンに苦しんでいたことがあり、近年の好調な業績への持続性に対する懸念もありそうですが、上記の通り戦略の明確化が進んでおり、良好な事業環境が期待されると当ファンドでは考えています。

2023年2月の運用コメント

株式市場の状況

 当月の日本株式市場は、米長期金利上昇などを受け米国株式市場が軟調となる中、円安が日本株を支える展開で始まりました。月半ばにかけては、市場予想を上回る米国のCPI(消費者物価指数)やPMI(総合購買担当者景気指数)を受けて利上げの長期化懸念が再燃し、日本株も下落に転じましたが、月後半にかけては、植田次期日銀総裁候補が所信聴取で金融緩和継続を明言したことや円安の進行が日本株相場を下支えし、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐0.95%の上昇、当ファンドのベンチマークは同1.65%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドにおいては、人材派遣業を営むアウトソーシングなどが上昇、一方で半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置メーカーであるアルバックなどが下落しました。アウトソーシングは発表された2022年12月期通期決算や中期経営計画が市場に好感されたこと、アルバックは2023年6月期業績計画の下方修正を発表したことがそれぞれ株価変動の要因と考えます。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄の買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、先行費用の増加やヒット作品のピークアウトなどから株価低迷が続いているものの、再成長に向けた事業展開が期待されるサービス企業などに新規投資を行いました。

今後の運用方針

 このところ2022年度業績予想を下方修正する企業が目立ち、日本企業の先行きを危惧する見方が増えてきています。業績の下方修正自体はネガティブではあるものの、当ファンドでは必ずしも今後の業績に対し悲観的になる必要はないと考えています。その理由として、下方修正は半導体をはじめとした部材不足の長期化や為替変動によるものが主因で、需要の減退に起因するものではないこと、またコモディティ市況も落ち着きを見せ始めており、事業環境は着実に正常化に向かっていると考えられることが挙げられます。当月は当ファンドの投資先企業である「前田工繊」を例に、この点について述べたいと思います。
 同社は過去の月次報告書で何度かご紹介したことがある企業ですが、土木産業資材と自動車用ホイールを主な事業領域とする製造業です。営業や技術開発により積極的に新規市場を開拓するだけでなく、隠れた地方企業をM&Aによりグループに取り込むという両建ての経営戦略により事業成長が続いています。当ファンドでは長年にわたり投資を続けており、定期的に社長との面談を通じて事業環境や経営課題の把握に努めています。先日も社長とお会いする機会をいただき、議論を通じて同社が今までになく事業の先行きに対し自信を深めている様子を窺い知ることができました。
 土木資材、ホイールに共通する要素として、顧客の値上げに対する受け入れ姿勢が変化してきている点が挙げられます。従来サプライヤーは定常的な値下げを求められるというのが日本企業の商習慣でしたが、近年は値下げ圧力が低下し、値上げを行いやすくなってきているようです。これは同社が競争力のある製品を提供し、顧客がその価値を認識しているからこそ実現できているものだと考えています。社会変化の兆しというには時期尚早かもしれませんが、デフレ一辺倒であった日本企業に意識の転換が起こりつつある点は注目に値します。
 また、景況感悪化が危惧される中にあっても、引き続き需要は旺盛です。同社は道路向け資材にはじまり、農業、河川や護岸向けと事業領域を広げてきましたが、今後も洋上風力や防衛関連など新たな市場への展開が計画されています。どちらも社会的な要請が高まる市場であり、市場の先行きは明るいと言えそうです。また、本年3月稼働予定の福井新工場では、ほぼ全量を中国からの輸入に依存している特殊不織布の製造が予定されています。ニッチな製品ではあるものの、脱中国依存のためのサプライチェーン(製品の原材料・部品の調達から販売に至るまでの一連の流れ)の見直しを進める顧客からの需要が想定以上に強いと見られ、開所当初から高い稼働率での生産が期待されます。
 加えて、前田工繊以外にも多くの企業が事業の先行きに対し自信を深めていることを当ファンドでは企業調査を通じて実感しています。例えば電子部品業界では、スマートフォンをはじめとした民生機器の需要低迷長期化など過去に比べ成長期待が低下している市場もありますが、既に各社は自動車用途や最先端用途など、注力市場を切り替えて成長戦略を検討しているようです。
 以上のように、企業調査を通して、業績悪化に対する懸念よりも新たな事業戦略に対する期待のほうが上回っていることを感じています。過度な楽観視には注意をする必要がありますが、市場評価に対し高い潜在成長力を有する企業は依然として多く、当ファンドの投資対象企業の魅力は高まっていると考えています。

2023年1月の運用コメント

株式市場の状況

 当月の日本株式市場は、月前半に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した2022年12月の米製造業景況感指数が2年7カ月ぶりの低水準だったことや、中国製造業購買担当者景気指数(PMI)も低迷が続いたことから景気後退への懸念が高まり、下落して始まりました。しかし、月半ばに日銀が金融政策決定会合で大規模な金融緩和を維持すると発表したことを受け、株式市場は上昇に転じました。月後半は、米国連邦準備制度理事会(FRB)の理事が利上げ幅緩和の支持を表明したことや、米有力紙による早期利上げ停止の観測報道を受け、堅調に推移しました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐4.42%の上昇、当ファンドのベンチマークは同3.58%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドにおいては、ヨシムラ・フード・ホールディングスなどが上昇、一方でジンズホールディングスなどが下落しました。ヨシムラ・フード・ホールディングスは前月に引き続き外食業界の回復から今後の業績貢献に期待が高まったこと、ジンズホールディングスは発表された月次売上高が市場期待を下回り、今後の業績懸念が高まったことがそれぞれ株価変動の要因と考えます。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄の買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、金利上昇や住宅着工件数の減少から業績悪化が懸念されているものの、海外での非住宅需要が着実に成長し今後の業績貢献が期待される資材メーカーなどに新規投資を行いました。

今後の運用方針

 米中銀の利上げ姿勢の変化や世界経済の回復期待などから、日本株式市場の回復傾向が続いています。ゼロコロナ政策を解除した中国において経済再開を印象付ける指標が出始めている点は素直に好感できる内容ですが、世界経済減速懸念が後退したとはまだ言い切れず、当ファンドでは先行きに対し慎重な姿勢を維持しています。しかし日本経済に目を転じれば、コロナ禍からの経済正常化を控えた需要の回復が見込めるほか、デフレからインフレへの歴史的転換点を迎えようとしていると考えています。引き続きボトムアップ・アプローチによる投資機会の発掘と、ポートフォリオ構築に努めてまいります。
 行動制限の緩和が進み、インバウンド観光客も回復の兆しが見え始めている一方、宿泊施設は人手不足により稼働が戻らないなど新たな課題も出始めています。今回は当ファンドで投資を行っている人材サービス企業を通じて、日本社会の労働需給について考えたいと思います。
 当ファンドでは、人材サービスのほか保育園、介護施設などを運営する「ライク」に投資を行っています。当ファンドが同社に投資を行っている理由は、中長期にわたって必要となる需要に対し、人を採用、教育し雇用機会を創出している点にあります。同社は、近年成長著しいITコンサルティングなどのいわゆるハイスキル人材を対象とせず、モバイル機器販売から物流、保育施設、介護施設などの社会生活の基盤となる産業を事業対象としています。この領域は、事業の運営主体こそ変わっても需要自体が大きく減少することは見込まれない一方、人員の定着率は低く、恒常的な人手不足(供給不足)が課題となっています。そこで同社は必ずしも就労意欲の高くない求職者に注目し、短時間や不定期など柔軟な就労形態を許容するほか、定期的なリスキリング(学び直し)機会を提供することで、労働供給力の確保に努めています。
 少子高齢化の進行により、日本の生産年齢人口は1995年をピークに減少の一途を辿っています。この問題に対処するため、日本社会は女性や高齢者の労働参加率を高めることで就業者数を維持させてきましたが、今後も高齢化が進むことを考えれば、現状のまま就業者数を増加させることはより難しくなると考えられます。特にライクが対象とするサービス関連産業においては、保育園や介護施設に代表されるように生産性改善や自動化を行いにくい業務も多く、この影響が顕著に現れる業界と考えられます。将来的には、雇用を確保できず事業を継続できない事業者が現れることも危惧されます。
 このような社会環境を考えたとき、改めて重要性を増すのが十分な雇用を確保、増員できる採用力です。労働参加率を高めるためには、多様化する就労ニーズに柔軟に対応したり、必要に応じて教育機会を提供したりするなど、雇用者にとってのメリットを示すことがより重要になると考えられるためです。また、外国人材の採用においても、特定技能制度の施行により受け入れ企業側のサポート体制が必要となります。この点においてライクでは、自社で保育園や介護施設を運営することで、自社が責任を持ってスタッフの質を高めています。人材サービス会社が自社で施設運営を行うことは、事業効率の観点では一見合理的でないように見えますが、今後採用が難しくなればなるほど、同社の持つ採用力と運営ノウハウの価値は高まるものと考えられます。
 雇用の流動化や同一労働同一賃金などを背景に、企業が派遣人員を積極的に活用する経済合理性は低下しており、人材サービス提供会社に対する懐疑的な見方も株式市場にはあります。しかし、労働需給の先行きを踏まえれば、今後人材を雇用すること自体が難しくなると考えられる点は見逃せない事実です。当ファンドでは引き続き中長期の視点に立ち、業績成長が見込まれる企業への投資を行ってまいります。

2022年12月の運用コメント

株式市場の状況

 当月の日本株式市場は、11月30日にFRB(米国連邦準備制度理事会)のパウエル議長が12月のFOMC(連邦公開市場委員会)における利上げ減速を示唆したことを受け、上昇して始まりましたが、その後は米国景気悪化懸念の高まりなどから下落基調をたどりました。月半ばには、日銀が長期金利の許容変動幅を拡大したことなどを受け、金融政策の転換懸念から株式市場は大幅に下落し、その後は一進一退で推移しました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐4.57%の下落、当ファンドのベンチマークは同4.24%の下落となりました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドにおいては、ヨシムラ・フード・ホールディングスなどが上昇、一方でシークスなどが下落しました。ヨシムラ・フード・ホールディングスは当月末に水産会社の株式取得を発表し今後の業績貢献に期待が高まったこと、シークスは円高進行による業績への悪影響が懸念されたことがそれぞれ株価変動の要因と考えます。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄の買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、供給過剰などから設備投資需要の減少が危惧されているものの、新製品投入などにより事業領域の拡張が期待される機械メーカーなどに新規投資を行いました。

今後の運用方針

 2022年の株式市場を振り返ると、ロシア軍によるウクライナ侵攻と世界的なインフレ、そして中国の景気悪化懸念などから不透明感の強い相場展開となりました。また、急速に進行するインフレ抑制のため、FRBをはじめとする主要各国中央銀行が金融政策を引締めに転換したほか、年末には唯一緩和政策を続けてきた日銀も金利の変動幅の拡大を容認したことがサプライズとなり、株式市場の下落圧力となりました。これら金融政策の転換は特に高いバリュエーションで評価されていた新興株の下落をもたらしました。
 2022年はアクティブファンドにとって非常に厳しい環境となり、当ファンドもベンチマークに対し劣後する結果となりました。高いバリュエーションで評価されていた典型的な成長株の保有は少なかったものの、相場全体が調整する影響を受けたこと、また相場を牽引した市況関連株の保有が少なかったことが要因として挙げられます。
 しかし、ここ最近の企業取材を通して業績見通しに自信を強めている企業が増えてきており、当ファンドで投資を行っている企業への投資魅力は増していることを実感しています。例えば、脱中国依存のサプライチェーンの流れや円安などの要因から日本の製造業の国際競争力が高まってきたこと、脱炭素社会に向けた日本の技術力に注目が集まっていることなどがそれに当たります。また、部材不足や物流遅延などの供給制約や価格転嫁の遅れなどのマイナス要因が回復傾向に向かっていることも日本企業の業績のプラス材料と考えます。国内経済においては他国比でコロナ禍からの回復が相対的に遅れており、景況感悪化から欧米市場はGDPのマイナス成長が懸念される中、日本はプラス成長の維持が期待できるということも株式市場にはプラスに作用することが考えられます。
 株式市場関係者の2023年市場見通しによれば、早くも注目点は米国のインフレ沈静化とFRBの利下げ期待に移りつつあります。金融政策の動向には引き続き注意を払う必要はありますが、当ファンドでは丹念に個別企業の変化に注目し、上記環境のメリットを享受しつつ独自の成長要素を有する企業への投資を続けてまいります。

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