スパークス・M&S・ジャパン・ファンド | 投資信託 | スパークス・アセット・マネジメント

スパークス・M&S・ジャパン・ファンド
(愛称:華咲く中小型)

  • NISA成長投資枠対象ファンド
日経新聞掲載名
ハナサク
分類
追加型投信/国内/株式
設定日
決算日
毎年1月25日

基準日:2024.05.17

基準価額
38,910
前日比
+85
+0.22%
純資産総額
162.3億円
分配金情報(税引前)
360
  • 当ファンドは、NISAの「成長投資枠(特定非課税管理勘定)」の対象ですが、販売会社により取扱いが異なる場合があります。詳しくは、販売会社にお問い合わせください。

基準価額推移

分配金実績

決算頻度:1回/年

設定来合計
3,260
直近12期計
3,260

分配金実績一覧

2024年01月25日
360
2023年01月25日
350
2022年01月25日
350
2021年01月25日
350
2020年01月27日
350
2019年01月25日
300
2018年01月25日
350
2017年01月25日
300
2016年01月25日
300
2015年01月26日
250
2014年01月27日
0
2013年01月25日
0
2012年01月25日
0
2011年01月25日
0
2010年01月25日
0
2009年01月26日
0
2008年01月25日
0

月次報告書

2024年

2023年

2022年

2021年

2020年

2019年

2018年

2017年

2016年

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2024年4月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年4月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.91%下落し、日経平均株価は前月末比4.86%の大幅下落となりました。
 月前半は利益確定売りや、⽶連邦準備制度理事会(FRB)高官の年内利下げ先送り示唆に伴い米長期金利上昇が懸念され、米国株式市場の下落を招き、日本株式市場は上値を抑えられました。月半ばには米CPI(消費者物価指数)の市場予想を超える上昇や半導体関連企業の大幅下落、また中東情勢の悪化などから日経平均株価は一時37,000円を割り込みました。月後半には中東情勢の落ち着きから買い戻しの動きが見られ、日経平均株価は38,000円台を回復しました。26日まで開かれた日銀金融政策決定会合では緩和的な金融政策の維持が決定され、日本が祝日だった29日にドル円相場は一時160円台へ急伸し約34年ぶりの高値を更新しました。しかしながら、その後一転して154円台まで大きく円高に振れ、市場では政府による為替介入が行われたとの観測が広がりました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐0.61%の下落となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同1.06%の下落を0.45%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、ペプチドリーム、シップヘルスケアホールディングス、日本光電工業などでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、INFORICHJ.フロント リテイリング、TOWAなどでした。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、先行投資や人件費の増加により短期業績には停滞感があるものの、受注採算の改善による将来的な業績の成長確度が高いと考えられるサービス関連企業に新規投資を行っています。
 米国の金融緩和観測の後退による米金利の上昇や、中東での地政学的リスクの高まりが投資家心理の悪化を招いています。今後日本企業の決算発表が本格化しますが、足元で進行する円安に対し保守的な会社計画が発表されれば、短期的には業績成長期待の低下も懸念されます。株式市場に不透明感が残る環境ではありますが、賃上げを起点とする消費環境の改善や設備投資需要の構造的な拡大など、日本経済が成長軌道にある見方は変える必要はないと考えています。独自要因の成長力を有する企業の発掘を通じて、パフォーマンスの向上に努めてまいります。

 当月は当ファンドが投資を行っている食品製造企業について述べたいと思います。同社は将来成長に向けての構造改革期にあり、短期的な業績悪化局面は投資の好機であると当ファンドでは考えています。同社は大手小売チェーン向けにお弁当やおにぎり、総菜等を製造販売する中食事業を展開しており、同大手チェーン向けの売上高が全体の8割程度を占めています。同大手チェーンは、同社はじめとした様々なメーカーと共同開発したオリジナル商品の品質の高さを強みとして、業界内で不動の地位を築いています。なかでも同社は、国内で1日あたり平均約300万食を製造しており、同大手チェーンに対して商品提供を行う3大ベンダーの1社として欠かせない存在となっています。
 同社は過去、同大手チェーンの急速な店舗網拡大に伴って全国に工場を新設し、規模を追求することで成長してきました。しかし2010年代後半からは、同大手チェーンの国内新規出店数鈍化やベンダー間の競争激化によって同社の売上高成長は頭打ちとなりました。このような状況を踏まえて、同社は以後「国内事業の利益率改善」、「北米事業の成長」へと成長戦略の軸足を移してきました。

国内事業の利益率改善:同社は国内工場の統廃合を進めることで収益性を改善してきました。近年の食品製造技術の向上に伴うチルド弁当の比率上昇により、商品の消費期限が長期化し長距離輸送が可能となったことで、工場の統廃合が可能となりました。さらに、足元では大規模工場の建設が予定されており、将来的にはさらなる製造拠点の集約・分業化による効率化の進展が計画されています。当ファンドでは、この取り組みを行うことで、固定費の削減・稼働率の上昇による国内事業の利益率改善が期待できると考えています。

北米事業の成長:上述の大手チェーンは海外事業の拡大に取り組んでおり、なかでも北米における商品戦略の一環として、オリジナル商品の強化に注力しています。その中でフレッシュフード展開においては同社が中心的な役割を担っており、2023年に新工場が稼働開始したほか、2025年には別の地域で新工場の稼働開始が予定されています。今後も提供商品の数量増加・ラインナップ多角化による売上高成長が期待できる状況となっています。北米は価格転嫁の容易さから、国内と比較して高水準の利益率を確保しやすい環境であり、北米事業の拡大は同社の利益成長に大きく貢献しうるものと考えています。
 一方で、先日発表された決算において減益見通しを発表したことを受け、同社の株価は調整局面にあります。しかし当ファンドはこの短期的な業績の停滞は中長期的な業績成長に向けた意志ある踊り場であると捉えており、過度に悲観する必要はないと考えています。リスクは国内消費意欲の停滞が長引くことで、中食需要そのものが縮小することです。しかし、同社は先んじて構造改革を進めるなど、収益性改善に対する施策が着実に行われています。業績成長の軸足も市場規模のより大きい海外に向けられつつあり、同社に向けられた市場評価は今後変化していくものと当ファンドは考えています。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2024年3月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年3月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比4.44%上昇し、日経平均株価は前月末比3.07%の上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、月前半は前月から引き続き半導体関連銘柄の上昇などが相場をけん引し、日経平均は史上初となる4万円台に到達するなど堅調な推移となりましたが、月半ばにかけては米国半導体関連銘柄が下落した影響や、日銀のマイナス金利政策解除を示唆する報道、春季労使交渉(春闘)での高い賃上げ実現への期待の高まりなどから日銀の金融政策正常化への思惑が広がって円高が進行したことなどが重しとなり、下落しました。月後半にかけては、日銀が金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除や長短金利操作の撤廃、上場投資信託(ETF)の買い入れ終了などを決定したものの、当面は緩和的な金融環境が継続するとの見通しが示されたことなどを受けて円安進行とともに上昇し、最終的に前月末を上回る水準で取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐4.93%の上昇となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同4.73%の上昇を0.20%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、ダイヘン、INFORICH、TOWAなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、ペプチドリーム、福山通運、日本光電工業などでした。

 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、業界慣習などから取り組みが遅れているものの、旺盛な建設需要などを背景に価格転嫁が進展しつつあるサービス運営企業など、複数銘柄に新規投資を行っています。
 中東・ウクライナ情勢に加え、選挙を前にした地政学面での不透明感が燻っているほか、中国経済の減速影響などが目下の懸念材料と考えます。一方で、米国の金融政策の緩和期待が高まりつつあることから世界経済は緩やかな回復が見込まれます。日本市場においては、日銀が政策金利を引き上げ、金融政策の正常化が進み始めました。これは日本経済における賃金と物価の好循環が生まれているということであり、内需関連銘柄の収益改善期待は高まりやすい環境にあると考えます。よって、内需構成比の高い中小型株の業績回復確度は高いうえ、株価パフォーマンスの出遅れもあり再評価される余地は大きいと考えます。
 2024年の春闘の平均賃上げ率は前年比で大幅な上昇となりました。当ファンドでは、賃金上昇によって国内消費が活発化することで恩恵を受けやすい国内消費関連銘柄に特に投資機会を見出しています。今回は新たに投資を行ったカラオケ店舗運営企業についてご紹介します。

 カラオケは2020年の新型コロナウイルス感染拡大によって最も大きく影響を受けた業界の一つでした。緊急事態宣言による休業や時短営業に加え、「3密」や「飛沫が飛びやすい」等のイメージから消費者の利用控えが生じたことで、稼働率が回復しない状況が長らく続きました。その結果、業界全体で収益が悪化することとなり、特に体力のない中小事業者を中心に撤退が進みました。
 一方でその間に同社はコロナ禍後の世界を見据えて果敢に出店を継続したことで、苦戦する競合とは対照的に大きく市場シェアを高められています。また、出店の際には極力居抜きを活用してコスト抑制を図ってきたことに加え、店舗運営においても稼働率が低くなりやすい朝の時間帯に注力することで店舗売上を最大化する等の取り組みを実施しています。当ファンドでは、これらの取り組みを背景として、消費者にとって魅力的な価格設定と高い収益性の両立ができている点が同社の強みだと考えています。
 足元ではカラオケ需要の回復が進んだことで、前述の厳しい収益環境から一転、同社は好調な業績推移が続いています。また、継続的な出店による消費者からの認知向上も、集客力の向上に寄与しているものと考えられます。加えて、直近の新規出店店舗は都市部かつ大型化の傾向にあります。オペレーション効率が相対的に高い大型・多ルーム店舗の出店が進むことで、売上高の成長と同時に利益率の改善が期待できると考えます。
 成熟産業であるカラオケは、国内人口の減少を背景に高い成長が見込めない産業として市場から評価されています。しかし、前述の通り大型店舗の出店が継続できれば、利益率の改善を伴った業績成長が見込めるものと当ファンドでは考えています。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2024年2月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年2月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比4.93%上昇し、日経平均株価は前月末比7.94%の大幅上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、月前半はFOMC(⽶連邦公開市場委員会)の内容を受け早期の米利下げ期待が後退し一進一退の動きで推移しましたが、月半ばから後半にかけては内田日銀副総裁がマイナス金利解除後も日銀は緩和的な金融環境を維持するとの認識を示したことや、生成AI(人工知能)向け半導体需要の増加が期待される米国で半導体関連企業の株価上昇が続き、日本の半導体関連企業にも資金が集中したことから、続伸しました。22日には日経平均株価は39,098.68円で終え、約34年ぶりに最高値を更新しました。その後の日本株式市場の推移は緩やかだったものの、月末まで日経平均株価は39,000円台を維持したまま当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐2.94%の上昇となり、ベンチマークであるラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ指数(配当込み)の同2.62%の上昇を0.32%上回りました。
当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した銘柄は、東京応化工業、アルバック、TOWAなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した銘柄は、リログループ、日本光電工業、コスモス薬品などでした。

 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、業界慣習などから取り組みが遅れているものの、旺盛な建設需要などを背景に価格転嫁が進展しつつある建設関連サービス企業など、複数銘柄に新規投資を行っています。
 外国人投資家による日本株買いの影響もあり、大型株が株価上昇を主導した結果、小型株の相対パフォーマンスは厳しい状況が続いています。しかし、企業業績の観点では必ずしも小型株は大型株に対し劣後していないと当ファンドは考えています。また、地政学的リスクが高まる環境において、内需構成比の高い小型株式市場は相対的な業績の安定性が高いとも言えると考えます。
 具体的な投資機会として下記のような業界に現在は注目しています。

  • 遅れていた価格転嫁の進展
     2022年の中ごろから原材料高や円安、人件費上昇を背景とした価格転嫁の動きが頻繁に見られるようになってきました。食料品や鉄鋼、宿泊費など幅広い製品・サービスの価格が上昇し、インフレ率を押し上げるとともに企業の収益拡大にも寄与してきたと考えています。一方で、レンタルや企業間物流など依然として十分な価格転嫁ができていない一部の業種が存在していますが、インフレの常態化を背景とし、これらの業界にも価格転嫁による収益性改善の流れが波及してくるのではないかと考えています。大型株に比べて価格転嫁が遅れていた小型株には、この観点での業績回復余地が大きいと考えます。
  • 消費の二極化
     物価上昇により世帯年収の低い人々の生活は厳しさを増す一方で、株高による資産効果やパワーカップルの増加などにより富裕層の消費行動は堅調な推移が続いています。インフレの常態化を背景として、この二極化の状況は継続する可能性が高いと考えています。そのため、生活防衛消費の恩恵を受けるディスカウントストア業界と高額消費の恩恵を受ける百貨店業界は、ともに堅調な業績が続くのではないかと考えています。
  • 深刻化する人手不足へのサービス提供
     減少が始まった労働人口と、低下の一途をたどっている出生率を踏まえると、人手不足は日本の構造的な課題であると言えます。この状況を事業機会と捉え、当該課題の解決の一助を担うことができるような業界に注目しています。例えば、DX化を通じた生産性向上を支援するIT業界や人材採用支援サービス業界などです。
  • 成長する半導体関連業界における割安・出遅れ銘柄
     生成AI需要の拡大を背景として、半導体メーカー向けに半導体製造装置の需要が急拡大しており、関連銘柄の収益拡大期待と株価上昇が目立ち始めています。一方で、同じ半導体業界内でも消耗品を担う化学関連や電子部品関連の企業では、収益拡大が見込めるにも関わらず、出遅れている銘柄が多く存在していると考えます。これらの銘柄は既に大きく上昇した半導体製造装置に対して割安度が大きく、投資妙味が大きいと考えています。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドでは、日本の中小型株式市場を対象とし、当社独自の個別調査に基づき、独自の競争力を持ち長期的な利益成長が期待できる企業へ選別投資いたします。また、市場における過度な悲観や関心の低下により、当社が計測する長期的な企業価値に対して割安に放置されていると判断した企業にも投資を行います。
 引き続き、ボトムアップ・リサーチに基づき投資魅力が高いと考える銘柄を選別し、株価上昇余地やリスク要因、株式の流動性や株価が再評価されるまでの時間軸等を考慮してポートフォリオ構築に努めてまいります。

2024年1月の運用コメント

株式市場の状況

 当⽉の⽇本株式市場は、能登半島地震の影響精査のため⽇銀が利上げを⾒送るとの⾒⽅が⾼まったことや、⽶連邦準備制度理事会(FRB)⾼官のタカ派な発⾔を受けた⽶⻑期⾦利の上昇を背景に円安が進み、⽉前半は⼤きく上昇しました。また、新NISA制度の開始による個⼈投資家の買い需要や、東京証券取引所の市場改⾰への期待感から海外投資家の資⾦も多く流⼊しました。⽉半ばから後半にかけては、利益確定の売り圧⼒や、⽶国半導体⼤⼿の業績⾒通しが市場予想を下回ったことから半導体関連銘柄を中⼼に⼀時下落基調に転じる場⾯もあったものの、最終的に前⽉末を上回る⽔準で⽉を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐7.81%の上昇、当ファンドのベンチマークは同6.04%の上昇となりました。

ファンドの運⽤状況

 当⽉、当ファンドにおいては、電気⼯事⼤⼿の九電⼯などが上昇、⼀⽅でインターネット広告事業を運営するバリューコマースなどが下落しました。九電⼯は好調な2024年3⽉期第3四半期決算が発表されたこと、バリューコマースは2023年12⽉期決算発表において、⼤幅減益となる2024年12⽉期の業績予想を開⽰したことがそれぞれ株価変動につながったものと考えられます。
 投資⾏動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を⾏っています。また、銀⾏業の銘柄に新規投資を⾏いました。⾦融政策の正常化による銀⾏業の収益性改善が近づきつつあること、また同⾏の地盤である地域は、⼈⼝動態⾯や景況感において相対的に好調な状況が続くと考えられるためです。

今後の運⽤⽅針

 当⽉は外国⼈投資家による⼤型株主導の相場展開が再度強まったことで、中⼩型株式市場にとっては厳しい環境が続いています。しかし、前⽉からの繰り返しにはなりますが、⽇本経済は賃⾦上昇を起点とするインフレの好循環により、内需を牽引役とする経済成⻑が続くと当ファンドでは考えています。業績⾯に⽬を転じても、価格転嫁の進展により、⼤型株に⽐べて中⼩型株の増益率が⾼い状況は今期、来期にかけて続く可能性が⾼いと考えられます。引き続き、ボトムアップ・リサーチを通じた投資機会の発掘により、中⻑期でのパフォーマンス創出に努めてまいります。
 昨今、⽇本株式市場では、アクティビスト(物⾔う株主)の動きが活発になってきています。資本コストや株価を意識した経営の実現、という東証による要請も追い⾵となっており、アクティビストファンドは数、⾦額ともに増加の⼀途を辿っています。当ファンドで保有する銘柄の⼀つである⽇本光電⼯業に対してアクティビストファンドによる保有が明らかとなったため、今回は改めて同社に対する考え⽅を述べたいと思います。
 同社は1951年に創業された医療機器メーカーです。⽣体情報モニタや⼼電計、脳波計など医療現場を幅広くサポートしており、国内シェアトップを誇る製品を多数有しています。医療品質の向上と医療従事者の⽣産性改善の両⽴が社会的に求められる中、同社は「デジタルヘルスソリューション構想」を掲げています。これはテクノロジーを活⽤して患者の⽣体情報をモニタリングし、医療従事者の意思決定⽀援に繋げたり、遠隔医療に活⽤したりしていくことを⽬指したものです。⽇本においては⾼齢化による医療需要が増⼤していく⼀⽅、医療従事者の不⾜感は⼀段と深刻化することが予想されるため、同社技術が活⽤される範囲は今後も拡⼤していく可能性が⾼いと考えられます。
 加えて、当ファンドで注⽬しているのは市場規模の⼤きい北⽶地域での成⻑加速です。従来はRoyal Philips社(オランダ)やGEHealthCare Technologies社(⽶国)などの⼤⼿機器メーカーが独占する市場でしたが、⽇本同様、医療品質の向上や業務効率改善に対する需要の増加を背景に同社シェアが向上すると当ファンドでは考えています。近年ではペンシルベニア⼤学病院の新病棟など⼤規模案件も獲得するなど、同社の北⽶内での認知度が名実ともに向上していることを確認しています。現状同社のシェアは10%前後にとどまっており、製品競争⼒の⾼さを踏まえれば中⻑期的に継続的なシェアアップは⼗分可能なものと考えます。また、⽇本では⾃社製品だけでなく他社品の仕⼊れ販売を⾏っているのに対し、海外は⾃社製品販売がほとんどであるため、海外事業の成⻑は全社利益率の改善にも寄与するものと期待されます。
 このような状況において、2023年12⽉、⽶投資ファンドのバリューアクト・キャピタルが、同社株を5%超保有したことが明らかになりました。バリューアクト・キャピタルの書簡によると、⽇本光電⼯業には海外事業の拡⼤、消耗品やサービス事業の拡⼤、バランスシート改⾰という3つの点で改善余地があると説明されています。⽇本光電⼯業側からの情報開⽰はなく、同社側がどのような反応を⾏っているかは定かではありませんが、提案内容は当ファンドが考えるものと似通っており、議論は友好的に進展する可能性は⾼いと考えます。これまでもバリューアクト・キャピタルはオリンパス㈱への投資などで成功した事例を有しており、同社へのアプローチが成功すれば、当ファンドも株主として恩恵を受ける可能性があります。当ファンドとしてもIRミーティングを通じ、事業環境の認識とともに議論の進捗についても把握していく考えです。

2023年12月の運用コメント

株式市場の状況

 当⽉の⽇本株式市場は、⽉前半は⽇銀の植⽥総裁と氷⾒野副総裁両名の発⾔を受けて⾦融政策修正の思惑が⾼まったことなどから円⾼が進み下落しました。しかし、その後は、2024年に向けた⾦融緩和観測が⾼まり⽶国株式が好調であったことを受けて⽇本株式も上昇に転じましたが、最終的には前⽉末をわずかに下回る⽔準で年末を迎えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐0.23%の下落、当ファンドのベンチマークは同0.05%の下落となりました。

ファンドの運用状況

 当⽉、当ファンドにおいては、医療機器メーカーの⽇本光電⼯業などが上昇、⼀⽅でレストランチェーンを運営するサイゼリヤなどが下落しました。⽇本光電⼯業はアクティビストによる株式取得が材料視されたこと、サイゼリヤは⽬⽴った悪材料こそなかったものの、円⾼進⾏の⼀服感などから利益確定の売りに押されたものと考えられます。
 投資⾏動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を⾏っています。また、陸運業などの銘柄への新規投資を⾏いました。物量減少で価格改定が進まないなど、業績悪化懸念から株価は低位な⽔準にありますが、値上げ機運の⾼まりや資本政策の転換などの変化が⽔⾯下で進展しつつあるものと判断しています。

今後の運用方針

 2024年は⽶⼤統領選をはじめ、インドなどの主要新興国でも重要な選挙が実施される予定で、各所で地政学的リスクが⾼まりやすい環境にあると⾔えます。⽇本でも⾃⺠党総裁選が控えており、政治リスクが意識される可能性はありますが、⽇本経済は賃⾦上昇を起点とするインフレの好循環により、内需を牽引役とする経済成⻑が続くと当ファンドでは考えています。特に内需構成⽐が⾼く、かつ⼤型株に対しアンダーパフォームした⼩型株の割安感は際⽴っており、業績成⻑が期待できる銘柄に対する投資魅⼒は過去になく⾼まっていると考えます。インフレ進展に伴う恩恵や、構造的な⼈材不⾜を背景とした事業機会、過少投資が続いていた設備投資の再成⻑などに注⽬し、銘柄選別によりパフォーマンス創出に努めてまいります。
 当ファンドでは、⽇本のインフレが続く中、消費者の⽣活防衛意識の⾼まりが業績の追い⾵となると考えられる⼩売・サービス企業に投資を⾏っていますが、今回は前⽉から投資を開始したリユースショップの運営企業について述べたいと思います。
 中古品の売買を⾏うリユースショップは⾮常に古くから存在しますが、消費市場の拡⼤に伴ってその市場も広がり続けています。⼤量⽣産・⼤量消費社会となった先進国において、消費市場は成⻑を続けており、退蔵される不⽤品も増加し続けていると考えられるためです。国内で1年間に退蔵される不⽤品は約7兆円にも及ぶと推計されており、昨今のリユース市場規模が約2.7兆円であることを踏まえれば、⾮常に⼤きな市場ポテンシャルを有する業界であると⾔えます。また、フリマアプリの普及による個⼈間での中古品売買が⼀般化したこと、循環型社会への意識の⾼まりなどもリユース業界にとっては成⻑要因となっています。
 ⼀⽅で、時計やブランドバッグなどの⾼価な商品を中⼼に取り扱っているリユースショップも存在しており、こちらの業態もブランド品の値上がりを背景として⼤きく業績を伸⻑させてきました。しかし、コロナ禍からの正常化に伴いモノ消費からコト消費へのシフトや、中国景気の減速により外国⼈の購買⼒が減少したことで、ブランド品の中古品市況は下落しており、これらを中⼼に扱うリユースショップ業態は厳しい状況となっています。
 こうした状況の中で、当ファンドでは⾐料の取り扱いを中⼼とする総合リユースショップに注⽬し、前⽉から投資を開始しました。物価⾼による実質所得の減少を背景として、中古品の買い取り、販売を⾏っているリユースショップは、保有する中古品をすぐに現⾦化できることや、割安な商品を購⼊することができる⼩売店として需要が⾼まっています。前述のように、フリマアプリの普及などからリユースが急速に⽇常⽣活に浸透したことで、今まではリユースショップを使ったことのなかったシニア層にも裾野が拡⼤していることも需要増加の⼀因であると思われます。
 中でも、投資先企業の強みは、以下の3点にあると考えています。1つ⽬は、出店意欲の⾼さです。同社はリユース市場の成⻑の確度が⾼まったと判断し、これから3年間での出店加速を計画しており、拡⼤する市場の需要を取り込める状況にあります。2つ⽬は、M&Aの巧さです。ハイブランド業態やゴルフ業態のリユースショップなどの専⾨リユースショップを中⼼に、複数のM&A実績を有しています。同社の⾏うM&Aは割安な企業に対するものが主であり、既存事業の利益を毀損する可能性が低いことから、これからも⾮連続的な利益成⻑の⼀翼を担っていくことを期待しています。3つ⽬は、システム開発⼒の⾼さです。システム部⾨を⾃社内に持つことで、POSシステム、査定システム等の基幹システムを内製化しており、厳密な在庫管理を可能としています。同社はかねてよりデータの利活⽤を重要視しており、複数のKPIをリアルタイムに店舗で確認できるような仕組みを構築することで、在庫コントロールの最適化を⽬指しています。
 これら独⾃の強みを有している点や今後も堅調に成⻑すると考えられている業界に属しているにもかかわらず、割安なバリュエーションに留まっている同社には投資妙味が⼤きいものと考えています。

2023年11月の運用コメント

株式市場の状況

 当⽉の⽇本株式市場は、⽉前半はFOMC(⽶連邦公開市場委員会)での政策⾦利の据え置きや、市場予想を下回る⽶雇⽤統計を受けての⽶⻑期⾦利の低下を背景に上昇しました。⽉半ばは、⽇本企業の良好な決算や、市場予想を下回る⽶国のCPI(消費者物価指数)を受けた⽶追加利上げ観測の後退などから、⽉中⾼値をつけました。⽉後半に⼊ると、中東情勢の地政学リスクの後退や⽶⻑期⾦利低下等を好材料に上昇した後、⼀時1ドル=146円台後半まで進⾏した円⾼が重しとなって下落基調に転じましたが、最終的に前⽉末を上回る⽔準で⽉を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐5.42%の上昇、当ファンドのベンチマークは同4.94%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当⽉、当ファンドにおいては、半導体装置メーカーのTOWAなどが上昇、⼀⽅で海上⼟⽊⼯事を⼿掛ける五洋建設などが下落しました。TOWAは前⽉に引き続き、⽣成AI向け半導体装置の需要増加期待が改めて⾼まったこと、五洋建設は発表された決算こそ好調だったものの、他社JV(ジョイントベンチャー)⼯事で不具合が確認され、業績悪化が危惧されたことを受け、それぞれ株価が変動したものと考えられます。
 投資⾏動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を⾏っています。また、⼈材サービス業などの銘柄への新規投資を⾏いました。⼈材サービス業は過当競争リスクの⾼まりから、株価が軟調に推移している銘柄が散⾒されますが、特定の市場に特化することで差別化は可能と判断しています。

今後の運用方針

 各所で地政学的リスクが⾼まる環境にあり、⽶国景気悪化懸念もくすぶる環境にあります。しかし⽇本経済は賃⾦上昇を起点とするインフレの好循環が続き、内需を中⼼に経済成⻑が続く公算が⾼いと当ファンドでは考えています。2023年は⾦利上昇とともに⼤型株や銀⾏株、市況関連株などが相場を牽引しましたが、株価の上昇や⽶⾦融政策の転換を踏まえると今後は同様のトレンドを辿る可能性は低いと判断しています。むしろ、内需構成⽐が⾼く、かつ⼤型株に対しアンダーパフォームした⼩型株の割安感は際⽴っており、業績成⻑が期待できる銘柄に対する投資魅⼒は過去にない程⾼まっていると考えます。インフレ進展に伴う恩恵や、構造的な⼈材不⾜を背景とした事業機会、過少投資が続いていた設備投資の再成⻑などに注⽬し、銘柄選別によりパフォーマンス創出に努めてまいります。
 当ファンドでは従前から、国内労働⼈⼝の減少を事業機会と捉え、恩恵を受けると考えられる企業に投資を⾏っていますが、今回新たに投資を開始した⼈材サービスの企業について述べたいと思います。
 ⽇本社会は、遂に2020年から労働⼈⼝の減少を迎えています。⼈⼝減少社会にあっても、2019年までは⼥性や⾼齢者の労働参加を背景に労働⼈⼝は増加していましたが、労働参加率が⼀定⽔準に達し、2020年の労働⼈⼝は減少に転じました。また、2023年の出⽣数は8年連続で過去最少を更新する⾒通しであり、⼤規模な外国⼈労働者の受け⼊れなどがない限り、将来に亘っても⼈⼿不⾜は続くものと考えられます。
 ⼀⽅で、年初から⼈材サービス関連企業の株価は低調な推移が続いています。従来⼈材サービス各社の株価は、中⻑期に亘る⼈材獲得需要の増加を反映し、⾼い評価で取引されてきました。しかし近年、各社が需要増加を⾒込んで積極的な⼈員増強や販促費の増額を続けた結果、業界全体が求職者の獲得競争に陥っており、利益率低下の懸念から期待値の剥落が⽣じているものと考えられます。また、参⼊障壁の低さから新規参⼊も相次いでおり、競争激化に拍⾞をかけています。
 こうした状況の中で、当ファンドでは若年層の⼈材市場の拡⼤の恩恵を受けると思われる企業に新規投資しました。かつて終⾝雇⽤が⼀般的であった⽇本社会においては、新卒⼀括採⽤が⼤きな市場規模を占めていましたが、中途採⽤市場の急拡⼤により若年層の⼈材市場は相対的なプレゼンスが低下していると⾔えます。また、⼤⼿メディアが依然として市場を占有しており、新規参⼊が少ないことも注⽬されにくい理由の⼀つであると考えられます。
 しかし、新卒採⽤の⻑期化や初任給の引き上げなど、企業側が新卒採⽤活動に投じる費⽤は依然として増加基調にあると考えられること、また若年層において就業から転職までの期間が短期化していることなど、若年層の⼈材市場は拡⼤の兆しを⾒せ始めていると当ファンドでは考えています。若年層の転職は⼀般的な中途採⽤市場の年収帯に⽐べ低いことが多く、既存の⼈材サービス企業にとっては収益性の低下を招くためあまり積極的に展開したい市場とは⾔えません。しかし既存サービスでユーザー基盤を持つ企業にとっては、市場拡⼤の恩恵を受けられる可能性が⾼く、収益性の向上を伴った業績成⻑は⼗分可能なものと考えられます。

2023年10月の運用コメント

株式市場の状況

 当⽉の⽇本株式市場は、堅調な⽶雇⽤統計を受けての⽶⻑期⾦利の上昇、今後の⾦利⾼⽌まり懸念が相場のマイナス要因となりました。また、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格上昇なども重⽯となりました。⽉後半には、中国の景気刺激策が好感される場⾯があったものの、⽇銀の政策再修正への思惑や⽶テクノロジー企業の低調な決算への失望などから、最終的に前⽉末を下回る⽔準で⽉を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐2.99%の下落、当ファンドのベンチマークは同3.16%の下落となりました。

ファンドの運用状況

 当⽉、当ファンドにおいては、半導体製造装置メーカーのTOWAなどが上昇、⼀⽅でバイオ医薬品を⼿掛けるペプチドリームなどが下落しました。TOWAは前⽉に引き続き、⽣成AI向け半導体製造装置の需要増加期待が改めて⾼まったこと、ペプチドリームはBristolMyers Squibb社(⽶国)が同社との候補薬の⼀つの開発を終了したと発表し、⼀つの事業機会が喪失したとの⾒⽅が広がったことを受け、それぞれ株価が変動したものと考えられます。
 投資⾏動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を⾏っています。また、半導体関連銘柄への新規投資を⾏いました。半導体需要の調整や中国事業の地政学的リスクの⾼まりなどを受け株価が⼤幅に下落をしているものの、中国の半導体内製化進展などを背景に、業績成⻑確度は⾼いものと判断しました。

今後の運用方針

 地政学的リスクが⾼まる環境にはありますが、⽇本の中⼩型株には、社会の構造変化によって成⻑加速ができる銘柄は多数存在していると考えています。ここでは、1)インフレ、2)企業統治改⾰、3)製造業の国内回帰、という3つの社会変化に焦点を当て、そこから⾒込める投資機会についてご説明します。
 まず挙げられるのがインフレです。⽇本ではバブル崩壊後の30年に亘りデフレが続き、⽇本経済は停滞が続きました。ようやく近年、資源⾼など外的要因をきっかけとしてインフレの機運が⾼まり始めており、賃上げも進み始めています。これは⽇本経済にとって⾮常に⼤きな変化であり、様々な企業にとっての事業機会ともなり得ます。当ファンドでは、特に⽣産性改善投資の増加に注⽬しています。⾜元で進む賃上げ、⼈⼿不⾜は、従来よりも⾼い費⽤をかけても⽣産性を改善させたいとのニーズに直結します。オフィスワークではIT化が⼀段と進み、ITソリューションを提供する企業にとっては引き続き事業機会となり得ます。また⽣産現場では機械化を通じた省⼈化、労働環境改善などが進むと考えます。これは機械メーカーにとって直接的な事業機会です。
 バブル崩壊以降⻑らく続いたデフレ経済の中で、⽇本企業は利益を捻出するために設備投資、⼈的投資、開発投資を抑制せざるを得ませんでした。結果として⽇本経済は過少投資の状態が続き、他国に⽐べて競争⼒が低下してしまったと⾔えます。
 しかし、⽇本企業はバランスシートに現⾦を溜め込み続けてきており、投資余⼒は⼗分にあります。⼗分な内部留保を活⽤する形で、ようやく⽇本の⽣産性改善が進むと当ファンドは考えています。
 これを補完するのが企業統治改⾰です。企業統治の指針であるコーポレートガバナンス・コードは2015年に初めて策定されましたが、特に中⼩型株に属する市場にまではなかなか浸透してこなかったというのが実情です。これが⼤きく変化し始めたのが、東証が主導した資本コストを意識した経営の実現に向けた要請です。他国と⽐べたPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業の多さを問題視し、全上場企業に対し企業価値向上に向けた対応⽅針の開⽰を求めました。⽇本社会は横並び意識が⾮常に強い社会です。⼀部の先進企業が開⽰を始め評価を⾼めると、徐々にその動きは市場全体に浸透していく可能性が⾼いと考えています。これが投資機会となるのは、特にIRに積極的ではなかった⼩型株であると⾔えます。当ファンドの保有銘柄の中にも初めてROE(株主資本利益率)⽬標を記載した中期経営計画を策定する企業が現れています。同社については先⽅から社⻑のIR⾯談の機会も頂戴し、中期・⻑期での⾼い成⻑に対する⾃信も感じることが出来ています。IRの充実は経営が市場参加者を重要なステークホルダーであると位置づけることの証左でもあります。特にIRに積極的ではない企業が多い中⼩型株は、⼤型株よりも魅⼒的な投資機会であるといえます。
 最後に挙げるのが、製造業の国内回帰です。⻑期に亘って続いたデフレの影響や円安の進⾏により、製造拠点としての⽇本の魅⼒は過去になく⾼まっていると考えられます。加えて⽶中貿易摩擦の激化もあり、中国に依存していた製造拠点の分散を図りたいとのニーズも⾮常に旺盛な状況にあります。最も顕著な例は半導体メーカーTaiwan Semiconductor Manufacturing Company社(台湾)の熊本新⼯場建設です。Taiwan Semiconductor Manufacturing Company社は第2⼯場の建設も熊本で予定しており、周辺産業を含めると5兆円とも6兆円とも⾔われる経済効果が⾒込まれています。
 また、国内回帰は半導体だけでなく⾃動⾞や産業機器など幅広い産業に波及しており、設備投資の増加を牽引する要素となり得ます。恩恵を受ける業種の代表例は前述した建設業だけでなく、機械設備や⼈材サービスなど、幅広い業界に恩恵が⾒込めます。⽶中貿易摩擦の激化などで地政学的リスクが⾼まる環境にはありますが、その裏側で⽇本は恩恵を受けるポジションにあると考えています。この点においても、内需の構成⽐が⾼い⼩型株は魅⼒的であると⾔えると考えます。

2023年9月の運用コメント

株式市場の状況

 当⽉の⽇本株式市場は、⽉前半は中国製造業購買担当者景気指数(PMI)の改善により中国の景気後退不安が⼀時的に後退したほか、国内では早期衆院解散・総選挙への期待感が⾼まったことを受け、上昇基調となりました。⼀⽅⽉後半は、FOMC(⽶連邦公開市場委員会)で⾦融引き締めの⻑期化が⽰唆されたことや、⽶議会の予算協議が難航し政府機関閉鎖への警戒感が⾼まったことから、市場⼼理が悪化し値を戻す展開となり、最終的に前⽉末を若⼲上回る⽔準で⽉を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐0.51%の上昇、当ファンドのベンチマークは同0.13%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当⽉、当ファンドにおいては、半導体装置メーカーのTOWAなどが上昇、⼀⽅で半導体部材メーカーである東京応化⼯業などが下落しました。TOWAは先端半導体向けに事業機会が拡⼤しているとの期待が改めて⾼まったこと、東京応化⼯業は⼀部証券会社が格下げを⾏ったことを受け、それぞれ株価が変動したものと考えられます。
 投資⾏動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を⾏っています。また、⽂書管理ソフトウェアを提供する企業などに新規投資を⾏いました。インボイス制度や電⼦帳簿保存法などの制度対応需要の反動減懸念から、好調な短期業績に反し株価評価は相対的に低位にとどまっていますが、当ファンドでは企業内の電⼦化、デジタル化需要は今後も進展していくものと考えております。

今後の運用方針

 当⽉は、⽇本のクレーンメーカー「タダノ」を例に取り上げ、その事業環境の改善について考察します。タダノは建設⽤クレーンの⼤⼿メーカーで、2019年にはTerex社(⽶国)からドイツに本拠地を置くDemagブランドのクレーン事業を買収し、世界最⼤⼿の地位を⽬指しています。クレーンのビジネスは建設業界と密接に関連しており、その業績は景気サイクルに⼤きく左右されます。中でも、クレーンは⼀般的な建設機械と⽐較して設備更新期間が⻑いため、景気後退局⾯では顧客がクレーンの買い替えを先延ばしする傾向があり、その結果、業績悪化幅が⼤きくなる傾向にあります。⼀⽅、景気回復局⾯では業績改善幅も⼤きくなるため、投資タイミングの⾒極めが重要な業界と⾔えます。
 クレーン業界を取り巻く事業環境は現在良好と考えます。ESGの流れを受け、世界的に過度な化⽯燃料への投資が抑制されてきたほか、新型コロナウイルスの影響による設備投資意欲の減退により、クレーンの更新需要が積み上がっている状況にあります。将来に⽬を転じれば、化⽯燃料への投資は減少していく⼀⽅、カーボンニュートラル達成のための再⽣可能エネルギー投資需要が豊富に控えており、需要拡⼤が期待されます。
 当ファンドは、2021年頃からタダノへの投資を開始しました。化⽯燃料を中⼼としたエネルギー投資需要の減少やDemagクレーン事業の想定以上の損失拡⼤などにより短期的な業績悪化懸念が⾼まっていた⼀⽅、前述した需要拡⼤が⾒込まれると考えたためです。しかし2022年に⼊り、ロシアのウクライナ侵攻の影響などによる部材調達の深刻化を背景として、⼀段と⼯場稼働率が低下、資材⾼も重なって業績が悪化し、株価は低迷を続けていました。この状況を受けて、当ファンドは投資魅⼒が⾼まったと判断し、買い増しを⾏いました。この際に当ファンドが注⽬したのは、同社の業績悪化が需要ではなく供給制約に起因していたという点です。部材調達難の解消や売価改定前の低採算受注の売上計上が⼀巡すれば、再び業績成⻑局⾯を迎える可能性が⾼いと考えました。
 現在、欧州拠点での部材調達問題は完全に解消していないものの、⽇本拠点はフル⽣産に近い状態にあり業績は回復基調を辿り始めています。株価もこの状況を受け回復感を強めており、当ファンドも⼀定のリターンを得ることが出来ました。今後の注⽬点は依然として⾚字が続く欧州事業の損益改善状況と、クレーン設備投資需要の中⻑期的な継続性です。欧州事業は労使問題やサプライヤーとの関係など、買収以前からの課題が多く、⿊字化は容易ではありません。しかし、⽇本拠点との部品共通化など、内部での取り組みによる対応策も進⾏しており、2019年のDemagクレーン事業買収時に描いた本来の統合効果が実現することを当ファンドでは期待しています。

2023年8月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年8⽉、⽇本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前⽉末⽐0.43%の上昇となりました。
 当⽉の⽇本株式市場は、⼤⼿格付け会社フィッチ・レーティングス社(⽶国)による⽶国債の格下げを背景とした⽶国株安の流れを受け、下落から始まりました。⽉半ばは、中国の軟調な経済指標(消費者物価指数など)や、中国不動産開発⼤⼿の⽶国破産法の申請が嫌気され、下げ幅を広げました。⽉後半は、中国の追加利下げが好感されたほか、ジャクソンホール会議においてさらなる利上げへの懸念が後退したことで値を戻す展開となり、最終的に前⽉末を上回る⽔準で⽉を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐0.43%の上昇、当ファンドのベンチマークは同1.52%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当⽉、当ファンドにおいては、半導体装置メーカーのTOWAなどが上昇、⼀⽅で⼈材サービスを提供するアウトソーシングなどが下落しました。TOWAは発表された決算数値が市場に好感されたこと、アウトソーシングは外部調査委員会による調査を⾏うとして、2023年12⽉期第2四半期決算発表を延期する可能性を⽰唆したことを受け、それぞれ株価が変動したものと考えられます。
 投資⾏動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を⾏っています。また、産業⽤電源の⼤⼿企業などに新規投資を⾏いました。同社は短期業績の悪化から株価は調整しているものの、中⻑期では半導体産業の成⻑や国内での設備投資需要増の恩恵を受けると考えております。加えて、後述する相対的に割安感が出てきたと考えているITソフト関連企業にも新規に投資を開始しております。

今後の運用方針

 前⽉から当⽉にかけて発表された⽇本企業各社の決算を⾒る限りにおいて、事業環境は堅調な状態であると考えられます。中国景気低迷はマイナス要因ではあるものの、⾃動⾞⽣産を始めとした稼働率の回復や値上げの浸透、観光需要など社会活動の本格回復などが増益要因として利益を牽引しています。⾜元で進む賃⾦上昇とインフレが定着すれば、⽇本経済の回復感はより⾼まることが想定され、先⾏きは明るいものと考えます。当ファンドとしては、依然として出遅れ感の強い中⼩型株式市場において、業績成⻑が期待できる企業への選別投資を引き続き進めてまいります。
 当ファンドでは従前から、IT投資の構造的な拡⼤に注⽬し、いくつかの企業に投資を⾏っていますが、今回は新たに投資を開始した個別銘柄について述べたいと思います。
 現在、⽇本国内において⼤企業を中⼼とした賃上げが盛んに⾏われています。この背景には、インフレ率の⾼まりに加え、⼈⼿不⾜の深刻化がより⼤きな課題として挙げられます。これは⽇本社会全体における⽣産性改善が求められていることを意味し、IT投資需要は依然として⾼く、底堅い成⻑が続くものと考えられます。
 ⼀⽅でIT産業においても⼈⼿不⾜は深刻化しており、必ずしもIT産業に属している企業全てが同様の成⻑を遂げられるわけではありません。従前からITの産業の主軸であった受託型開発を⾏っている企業においては、⼈⼿不⾜や採⽤競争による⼈材の流出、賃上げに対し顧客に対する価格転嫁が遅れることによる利益率の悪化など、事業環境は深刻さを増しています。このような環境下において当ファンドでは、1)垂直統合(必要な業務⼯程の範囲を広げて、⾃社で担うビジネスモデルのこと)化、2)事業モデルの転換にそれぞれ注⽬し、新たにいくつかの企業に対し投資を開始しました。
 1社⽬は、⼤企業向けに⼀気通貫型のITコンサルティングサービスを提供している企業です。ITコンサルティング業界⾃体は数年前から成⻑が続いていますが、中でも同社の特⾊は、顧客の要望をヒアリングしながら課題特定を⾏う上流⼯程から、実際のシステム構築や保守を⾏う下流⼯程まで⾃社内で対応している点です。顧客の経営課題解決に資するプロダクトを提供することができているため、同業他社対⽐で⾼い収益性が実現できています。また、同社のビジョンに共感し、IT投資に前向きな企業のみを顧客としていることで、⻑期にわたる信頼関係が構築されており、同社業績の安定性に繋がっていると当ファンドでは考えています。
 2社⽬の企業は、元々事務機やIT機器の卸ビジネスを主⼒事業としていましたが、20年前にソフトウェア関連企業を⼦会社化したことを⽪切りに、ITソリューション分野に参⼊しています。事務機の導⼊をきっかけとして、セキュリティソリューションやITの選定・導⼊・運⽤・保守のコンサルティングなど、同社の得意な領域を中⼼としたITサービスの導⼊事例が増加しています。同社の強みは、IT分野に関わる中⼩企業の課題解決のために必要な様々な製品やソリューションを全国規模で提供できることだと考えており、今後も継続的な事業効率の改善が⾒込めるものと当ファンドでは考えています。また、同社の課題であるバランスシートにおける余剰キャッシュの有効活⽤についても徐々に進展が⾒られており、IT分野を中⼼としたさらなる事業の拡⼤が期待されます。

2023年7月の運用コメント

株式市場の状況

 当月の日本株式市場は、前月までの株価急上昇の反動や、米国の雇用統計の結果を受けて利上げ継続への懸念が強まったことから、下落して始まりました。しかし月半ばには、米国のCPI(消費者物価指数)が市場予想を下回り、利上げ停止が近いとの期待感から堅調に推移しました。月後半は、日銀によるYCC(イールドカーブ・コントロール)の柔軟化が発表され一時的に値動きの激しい展開となりましたが、現行の緩和姿勢を維持するとの受け止めから市場に安心感が広がり、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末1.49%の上昇、当ファンドのベンチマークは2.36%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドにおいては、アパレル大手のオンワードホールディングスなどが上昇、一方で通信キャリア向け工事やDX(デジタルトランスフォーメーション)サービスを提供するNECネッツエスアイなどが下落しました。オンワードホールディングスは当月に大幅増益となる決算を発表したこと、NECネッツエスアイは、当月に発表された決算数値が市場期待に届かなかったことを受け、それぞれ株価が変動したものと考えられます。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、専門領域に特化した人材サービス提供企業などに新規投資を行いました。特需剥落や人員増による短期業績悪化から株価は低迷しているものの、人材不足を背景としたアウトソーシングへのシフトは構造的なものと考えられるためです。

今後の運用方針

 当月は、当ファンドの年初来パフォーマンスの振り返りと、今後の見通しについて述べさせていただきます。
 まず、年初来パフォーマンスについてですが、残念ながら当ファンドはベンチマークに対し苦戦が続く状況となっています。最大のポイントは、圧倒的な大型株優位の相場展開であったことです。特に4月以降は、欧米の中央銀行が金融引き締めに向かう一方、日本は金融緩和の継続を決めたことから、外国人投資家による積極的な日本株式への資金流入が起こりました。外国人投資家が大型株を中心に買い進めたことから、大型株が小型株を大きく上回るパフォーマンスを記録しました。しかし、これは中小型株、特に小型株を中心に投資を行う当ファンドにとって非常に厳しい環境でした。大型株に資金が集まった結果、小型株式市場の売買代金が相対的に細り、相場の二極化が加速したと考えております。
 しかし、当ファンドでは現在の戦略に対する強気な見方を崩しておりません。その理由は、1)民間消費の回復、2)旺盛な設備投資需要、3)ガバナンス改革の進展の3点に注目しているためです。
 まず、民間消費の回復ですが、日本は依然として欧米各国に比べ、コロナ禍前への回復途上にあります。しかし、相次ぐ値上げによる消費意欲への影響においても、賃上げは進展しており底堅い消費回復は続くものと考えられます。大手企業の賃上げは続いているほか、従来非正規雇用に頼っていたサービス産業でも人手不足の深刻化により雇用の正規化を進めており、賃上げは着実に日本社会に浸透しつつあると言えます。中小型株は大型株に比べても内需比率が高いため、内需回復の恩恵をより享受できると考えます。
 次に、複数の設備投資需要も日本経済にとって追い風となっています。人手不足を背景とした労働生産性改善を目的とした投資はもとより、しばらく停滞していたインフラ投資需要も非常に旺盛です。加えて経済安全保障の観点から世界的なサプライチェーンの再構築が進展しつつあり、改めて生産拠点としての日本の位置づけは高まりつつあります。中小型株は、これらの設備投資需要に対応できる技術力や製品力を持つ企業が多く存在します。特に、デジタル化や環境問題への対応に関連する分野では、中小型株にも優れた企業が多数見られると考えます。
 最後に、金融庁や東証が主導するコーポレートガバナンス改革の進展が挙げられます。企業の持続的な成長と中長期での企業価値向上の実現のために、企業と投資家双方が適切に協働していくことが求められています。大手企業から課題解決に向けた取り組みは始まっており、事業規模の小さい中小型株式市場に属する企業においても同様の動きは進展していくものと考えています。中小型株は、ガバナンス改革によって経営効率化や資本政策の改善などが期待できる余地が大きいと考えます。
 以上のように、大型株が大きく上昇したことで、中小型株の相対的な株価指標はより魅力的な水準にあると言えます。TOPIXとTOPIX SmallのPBR(株価純資産倍率)を過去10年遡ると、その格差は足もとで過去最高水準に広がっています。TOPIX Smallの平均PBRは依然として1倍程度と、絶対的な割安感があることも魅力です。当ファンドは引き続き、中小型株式市場を魅力的な投資機会であると考えております。前述の3点を踏まえた上で、魅力的な投資機会の発掘に努めてまいります。

2023年6月の運用コメント

株式市場の状況

 当月の日本株式市場は、月前半は米連邦債務の上限停止による米国株高の流れを受け、大幅に上昇いたしました。月半ばには、FRB(連邦準備制度理事会)による追加利上げの示唆を受けた軟調な米国株の影響や、衆院解散への期待剥落が嫌気された一方、日銀の金融緩和の維持、米著名投資家の日本株追加投資の発表が好感され、一進一退の動きで推移しました。月後半は、株価上昇の反発と見られる下落の局面もありましたが、米景気悪化懸念の後退と円安進行が下支えをし、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末7.55%の上昇、当ファンドのベンチマークは6.25%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドにおいては、電子機器製造受託の大手のシークスなどが上昇、一方で日本やアジアでアミューズメント施設を運営するイオンファンタジーなどが下落しました。シークスは一部証券会社による目標株価引き上げ、イオンファンタジーは、当月発表された月次売上高の回復に陰りが見え始めていることなどを受けそれぞれ株価が変動したものと考えられます。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、サプライチェーンの混乱による収益性低下が続いていたものの、自動車生産の整流化による生産性の改善や新規顧客向けの案件獲得による成長が見込まれる自動車部品メーカーなどに新規投資を行いました。

今後の運用方針

 日本経済は、コロナ禍からの経済正常化や価格転嫁の進展、賃金上昇の本格化などから、底堅い成長が続くものと考えます。好調な経済は日銀の金融政策転換の可能性を高めますが、好調な業績の中で割安感の高まっている中小型株にとっては好環境になると考えており、過度に懸念する必要はないと考えます。引き続きボトムアップ・アプローチに基づき、魅力的な投資機会の発掘に努めます。

 当月は、当ファンドの組入銘柄である「九電工」についてコメントしたいと思います。
 九電工は、九州に地盤を有する設備工事会社です。電気工事から空調、上下水道まで幅広く事業を手掛けており、九州のインフラ整備に貢献してきました。しかし、同社が地盤を有する九州は関東・関西に比べ経済規模が小さく事業拡大に制約を有していました。そこで、同社は2010年ごろから首都圏での施工能力を強化し、大型案件を獲得する戦略を展開したことで事業規模を拡大、同業他社比でも高い成長を続けてきました。
 当ファンドでは、不採算工事が重なり株価が下落した2019年から投資を開始しています。投資の理由は、工事採算悪化は個別要因が大きく、業績悪化は一過性となる可能性が高い一方で、受注環境は好調であり、業績回復の確度は高いと判断したためです。
 しかし、その後コロナ禍により建設業界全体の工期が想定以上に長期化し、採算悪化が続きました。その影響で株価も低迷する結果となりましたが、当ファンドが保有を続けていたのは、「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」など九州における大型再開発案件が複数控えており先行きは明るいこと、また市場期待が剥落した株価水準であることから、更なる下落懸念は限定的であると考えたためです。特に重要となる受注時採算は、過去の採算悪化の経験を踏まえ、企画設計段階で受注に参画しプロジェクト採算管理を行うなど先駆的な取り組みが進んでいることを踏まえ、採算改善の蓋然性は高いと判断しました。
 現在、2024年3月期で大型不採算工事が一巡し、2025年3月期以降はこれまで受注した九州の再開発案件の売上計上が始まる見込みです。これにより、業績は中期的な成長局面を迎えると考えています。また、九州はTaiwan Semiconductor Manufacturing Company社(台湾)の新工場をはじめ、新たな半導体産業の集積地として改めて注目が集まっています。同社とのコミュニケーションの中でも、地の利が活かせる九州の方が首都圏のプロジェクトよりもより低リスクで高い収益性が期待できるとのコメントを得ており、九州地域の建設需要が回復してきたことは事業運営上の安定感が今後高まることを示唆していると考えます。
 リスクとしては、長崎県の離島である宇久島で建設中の大規模太陽光発電所(メガソーラー)案件の本格着工が遅れていることが挙げられます。この案件は、同社が出資するSPC(特別目的会社)が発電事業者となり、最大出力約480MWの太陽光発電所を建設するものです。竣工の遅延はFIT制度(固定価格買取制度)で保証された売電期間短縮につながるため、プロジェクトの減損リスクが危惧されています。しかし、同社は同制度終了後もPPA(Power Purchase Agreement、電力販売契約)による売電などが検討されており、過度な懸念は不要と考えています。
 同社は、九州地域におけるインフラ整備のリーディングカンパニーとして、今後も成長機会を掴んでいくと当ファンドでは考えています。株価も回復基調を辿っていますが、成長が本格化すると考えられる来期以降の業績を踏まえると、依然として割安感は高く投資魅力は高いと判断しています。

2023年5月の運用コメント

株式市場の状況

 当月の日本株式市場は、月前半は一進一退の動きで推移しましたが、月半ばには海外投資家による資金流入が続き、TOPIXと日経平均株価ともに約33年ぶりの高値を更新しました。東京証券取引所の市場改革への期待や、日銀の金融緩和継続姿勢もサポート材料となりました。一方で、月後半には中国の低調なPMI(製造業購買担当者景気指数)や、市場予想を下回る国内の4月の鉱工業生産指数の結果が懸念され、弱含みで推移しましたが、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末3.62%の上昇、当ファンドのベンチマークは2.14%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドにおいては、通信工事やシステム提供を手掛けるNECネッツエスアイなどが上昇、一方で産業資材や自動車ホイールを製造する前田工繊などが下落しました。NECネッツエスアイは決算発表を経て業績回復への期待値が高まったこと、前田工繊は発表された決算こそ好調だったものの、市場期待に届かなかったことを受けそれぞれ株価が変動したものと考えられます。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、成長期待の低下により株価が大幅な調整局面にあるものの、人手不足の深刻化を背景に改めて市場成長が期待できると考えるアウトソーシングサービスの提供企業などに新規投資を行いました。

今後の運用方針

 2022年初頭以降、多くの業界が米国における金融引締めの影響を受けており、将来の業績見通しについて株式市場から悲観視されている状況にあります。しかしながら、株式市場からの期待値が低下した業界のなかには、割安に放置された成長企業が埋もれていることもあると当ファンドでは考えています。当月は当ファンドの組入銘柄である「ニチハ」を例に、この点について述べたいと思います。
 米国におけるインフレの進行を背景に、2022年初頭からFRB(連邦準備制度理事会)は金融引締めを続けてきました。2022年下期以降、エネルギー市況が下落に転じたことでインフレ率は鈍化傾向にはあるものの、食料・エネルギーを除くサービスのコア指数は依然として高い上昇率を維持していることから、FRBは利上げの継続を示唆しています。一般的に、金融引締めの継続は米国の住宅市場における購買意欲を減退させ、新築住宅着工件数に対して下落圧力が働きます。このような環境において、米国への販路を持つ国内の建材メーカーは、米国の住宅着工件数の減少による影響が想定されることから、株式市場からは将来の業績見通しを悲観されている状況にあると考えられます。
 一方、米国大手不動産投資顧問会社によると、米国における路面店の出店数は小売業を中心に大きく伸びているようです。背景には、コロナ禍で米国の小売業はEC(電子商取引)を重視する戦略に転換したものの、EC産業の競争激化により顧客獲得コストがかさむようになり、改めて実店舗を保有する価値が再認識され始めていることが挙げられます。
 ニチハは高品質な窯業系外装材で国内トップシェアを持つ企業です。当ファンドでは、北米における非住宅市場向けの外装材事業の成長性が株価に織り込まれていないと考え、投資を行っています。その理由は、同社の米国事業の営業利益の大部分が非住宅向けであることを株式市場から見落とされていると考えられるためです。同社は約10年間にわたり、米国非住宅向けの高級品の販売数量を拡大させてきました。しかしながら、米国非住宅向けビジネスの収益性が非常に高いということを競合他社から注目されないようにするため、同社は投資家に対して商材の内訳を開示することに積極的ではありませんでした。同社の米国事業における事業構造の変化が株式市場から見落とされてきた要因は、このように同社の情報開示への姿勢にあったのではないかと当ファンドでは考えています。
 しかし、2021年6月に就任した吉岡新社長のもとで、同社の開示姿勢に変化が起こりつつあります。2023年3月期の第2四半期以降は米国非住宅市場向けのビジネスに関する情報開示が行われるようになったことから、株式市場からの同社への見直しが進むことを当ファンドでは期待しています。
 米国の外装材市場では、デザイン性と経済合理性の面で優れている窯業系外装材のシェアが約20年間にわたり拡大を続けており、ニチハはそのようなマーケットの変化を捉えて事業を成長させてきました。同社は既存製法に比べデザイン性を高める独自製法や、工期短縮、意匠性を高める特許取得済みの工法を有しており、同市場において高い競争力を有しています。2022年には同社の米国の工場が稼働を始めており、最大生産能力は従来の3倍弱となることから、米国における継続的な成長を期待できるのではないかと当ファンドでは考えています。5年後には米国事業の売上高は約2.5倍となることが見込まれ、連結営業利益に占める海外比率は約50%まで上昇すると当ファンドでは想定しています。
 ダウンサイドリスクとしては、金融引締めの影響で米国非住宅市場において企業の投資意欲が減退することや、人手不足によって同社の米国工場の稼働率が想定通りに上昇しないことなどが考えられます。当ファンドでは、同社へのIR面談をはじめとするボトムアップ・リサーチを通じてこのような懸念は現時点で顕在化していないことを確認していますが、引き続き調査を通じて状況を注視してまいります。

2023年4月の運用コメント

株式市場の状況

 当月の日本株式市場は、月前半に軟調な米国経済指標(ADP雇用統計、ISM非製造業景況感指数)が相次ぎ、景気後退懸念が高まったことから下落して始まりました。しかし月半ばには植田日銀総裁の金融緩和維持を支持する発言や、米著名投資家の日本株追加投資を巡る思惑から上昇に転じました。月後半は米地方銀行の巨額預金流出による警戒感から下落する局面もありましたが、日銀が金融緩和維持を決定したことで株式市場に安心感が広がり、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前月末比2.70%の上昇、当ファンドのベンチマークは同2.78%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドにおいては、アミューズメント施設を運営するイオンファンタジーなどが上昇、一方でインターネットマーケティングサービスを提供するバリューコマースなどが下落しました。イオンファンタジーは2023年2月期の好調な決算を、バリューコマースは2023年12月期通期連結業績予想の下方修正をそれぞれ発表したことで株価が変動したものと考えられます。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、過去の高い成長期待が剥落したことで株価は低迷が続いているものの、経済活動の正常化による業況の改善確度が高まりつつあると考えられるソフトウェア企業に新規投資を行いました。

今後の運用方針

 米国の景気減速への懸念が和らいだことや日銀の金融緩和継続などを受け日本株式市場は底堅い動きを続けていますが、内需関連株が相場を牽引し、外需など景気敏感株は引き続き軟調に推移しています。発表され始めた日本企業の2023年度計画を概観しても、前提となる経済条件が保守的であることも影響し市場期待に届かず、株価が下落する場合が散見されます。市場の期待値を理解し短期の株価動向を予測することは難しく、当ファンドにとって得意とは言えない相場環境が続いていますが、中長期視点に立ったボトムアップ・アプローチという一貫した投資哲学が中長期での収益獲得に最も有効であるとの考えに変化はありません。東証による企業価値向上に向けた要請にもある通り、日本企業に対する経営の質的向上余地は依然として大きいものと考えられます。当ファンドは、これらの変革機運の高まりを受けた各企業の意識変化も魅力的な投資機会と捉えており、日々の調査活動を通じてより良い収益獲得に努めてまいります。
 日本経済はインフレに向かっており、連日のように値上げが続いています。賃上げの機運は高まっているものの、度重なる値上げにより消費者心理は悪化基調にあると考えられます。小売業界は、消費者心理悪化に起因する総需要の低迷に加え、水道光熱費や人件費、建築費などの店舗運営費用上昇により収益環境は厳しさを増しています。
 この環境下で、当ファンドでは改めてローコストオペレーションノウハウを有する「コスモス薬品」に注目しています。それは小売業界の事業環境が厳しさを増す中で競争力の低い企業の淘汰が進み、優勝劣敗が明確化する局面が近づいていると考えているためです。
 コスモス薬品はディスカウントストアの競争が激しい九州で創業、その後関西、関東へと拠点展開を進めている郊外型のドラッグストアチェーンです。ドラッグストアですが、生活必需品をEDLP(Everyday Low Price、セールなどで一定期間特売するのではなくいつでも低価格で販売する戦略)で提供することで顧客の高頻度利用を促しつつ、店舗オペレーションを極限まで合理化することで競争力のある店舗フォーマットを作り上げています。同業他社比でも粗利率、販管費率がともに低く、同社がローコストオペレーションに長けていることを裏付けています。同社の多くの店舗は現金支払いのみで、ポイントカードシステムも導入していません。クレジットカード会社への手数料やシステム導入コストを支払うぐらいなら、価格に還元したいという企業姿勢が表れています。
 昨年後半からの同社の株価低下の背景は、メーカーによる商品の値上げが進む中でも同社が値上げをせずに低価格を維持することにより、短期業績が懸念されていることにあると考えられます。確かに依然としてメーカー値上げは続いており、同社が価格の据え置きを続ける限り粗利率低下は避けられません。しかし競争力のある価格設定を維持することで口コミなどを通じて消費者認知が進み、競合店舗から顧客を奪うことで店舗利益を伸ばしてきたというのが同社の過去の歴史です。今回も同様の経路をたどり同社業績は再成長するものと当ファンドでは考えます。特に10年近くドラッグストア各社が各地で出店を続けてきたことで店舗の過剰感は増しており、店舗運営の厳しさは過去に類を見ないほどに高まっています。企業体力の弱い中小企業を中心に淘汰が進む可能性は高いと考えられます。また消費者側も値上げが続くことで低価格志向に拍車がかかっており、同社店舗が選好される条件は整っていると考えます。短期的な業績停滞は予想されますが、その後のシェアアップによる店舗売上増加を踏まえれば、中長期では利益率改善による業績成長の加速が期待できる環境にあると当ファンドでは考えます。
 考えられるリスクは、想定以上に低価格競争が続き、価格訴求を行っているにもかかわらず客数が増加しないことです。しかし同社の取扱商品は食品や日用品などの生活必需品であり、奢侈(しゃし)品に比べて需要は安定していると言えます。またこれらの商品は店舗間での価格比較が行いやすく、客数伸び悩みは一時的なものにとどまる可能性が高いと考えます。

2023年3月の運用コメント

株式市場の状況

 当月の日本株式市場は、FRB(米国連邦準備制度理事会)の利上げ再加速の思惑を受けて米国株式市場が軟調に推移する中、円安が日本株を支える展開で始まりました。月半ばにかけては、米シリコンバレー銀行の破綻に端を発した欧米金融不安の急拡大を受け、リスク回避姿勢が強まったことから大幅な下落に転じました。しかし月後半になると、スイスの金融大手UBSによるクレディ・スイス・グループ買収や米当局による預金保護などの対応で金融システムへの不安が和らぎ、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐1.70%の上昇、当ファンドのベンチマークは同1.36%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドにおいては、半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置メーカーであるアルバックなどが上昇、一方で日精エー・エス・ビー機械などが下落しました。両社とも目立ったニュースは見当たりませんが、アルバックは昨月の下落の反動、日精エー・エス・ビー機械は世界的な景況感悪化懸念が影響したものと考えられます。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、半導体市況の悪化から株価が低迷しているものの、市況回復に加え独自の成長事業を有すると考えられる半導体製造装置メーカーなどに新規投資を行いました。

今後の運用方針

 急速に進んだ欧米での金融不安は一旦和らいだものの、依然として先行きの不透明感は払拭しきれていないように見えます。4月後半から日本企業の決算発表と今期計画の公表が本格化しますが、高まる景況感悪化懸念を受け計画数値が引き下げられる可能性がある点は留意する必要があると考えられます。しかし、中国経済の再開による製造業の業績回復や、訪日外国人観光客回復の本格化など、日本経済にとってプラスとなる要素もあり、過度な悲観視は禁物です。当ファンドでは景況感に注意を払いつつも、企業独自の成長要因を有する企業への選別投資を通じてパフォーマンスの向上に努めて参ります。
 現在、メモリ市況の悪化が続いており、半導体需要の回復に対する懸念が高まっています。この背景には、コロナ禍でIT機器が特需となった反動による需要減退が続いていると考えられ、スマートフォンの生産について市場調査会社のIDC社(米国)が2023年の生産計画を下方修正したことも、半導体業界への懸念を高めています。
 しかしながら、このような状況は必ずしも同市場への投資が魅力的ではないことを意味するわけではありません。半導体工場においてインフラとして用いられる高純度ガスなどの先端化学品は、今後も魅力的な成長市場と当ファンドは考えております。
 国際半導体製造装置材料協会(SEMI)によると、2021年~2023年の3年間に着工される半導体工場は84件、2023年には28件が計画されています。これは、AIの発展による高性能コンピューティング需要や車載半導体需要の増加が続いているだけでなく、経済安全保障を背景とした各国政府による半導体産業への奨励策が背景にあると考えられます。特にこの数か月で、ChatGPT(人工知能チャットボット)に代表されるジェネレーティブAI(生成系AI)が急速に社会に浸透し始めていることも、需要を下支えすると考えられます。ChatGPTを巡っては、使用禁止を発表する国や開発の一時停止を訴える動きがあり議論を呼んでいますが、当ファンドでは1970年代の遺伝子組み換え技術の議論と同様、自発的な枠組みが生まれ技術の進展は続いていくと考えています。
 半導体関連といえば、半導体そのものや半導体製造装置需要を連想する投資家は多いと思われますが、当ファンドでは製造時に用いられる消耗品である化学品メーカーにも注目しています。当ファンドで保有する「東京応化工業」は、半導体工場の建設が相次ぐことで高純度化学品の需要が着実に増加し続けていること、また半導体の微細化によってフォトレジスト(感光性材料)の付加価値が高まっていること、さらに従来シェアの低かった半導体メーカーに対しシェアアップを果たせつつあることなど、複数の成長ドライバーを持つと考えられる企業です。当ファンドでは、同社を装置メーカーに対し、需要減退局面でも比較的安定した業績が期待できることに加え、進展する先端化の恩恵も獲得できるという非常に優れた事業特性を有していると考えており、高く評価しています。
 当然ですが競争環境は厳しく、同社が今後もシェアを上げ続けられるかどうかは未知数ではあります。しかし、競合他社が幅広い事業領域を持つ総合化学メーカーであるのに対し、同社は先端化学品に特化し事業展開を続けています。これにより、他社が開発を切り上げた領域にも開発を深掘りし、新たな用途展開につなげるなどより高い競争優位性を有していると考えております。昨年には低採算だった装置事業のスピンオフ(既存の会社からある部門を切り離すこと)も発表するなど、主力である化学品事業への経営資源の集中を強めており、経営の効率化が進展している点も見逃せません。同社は過去に先端開発で後塵を拝し、シェアダウンに苦しんでいたことがあり、近年の好調な業績への持続性に対する懸念もありそうですが、上記の通り戦略の明確化が進んでおり、良好な事業環境が期待されると当ファンドでは考えています。

2023年2月の運用コメント

株式市場の状況

 当月の日本株式市場は、米長期金利上昇などを受け米国株式市場が軟調となる中、円安が日本株を支える展開で始まりました。月半ばにかけては、市場予想を上回る米国のCPI(消費者物価指数)やPMI(総合購買担当者景気指数)を受けて利上げの長期化懸念が再燃し、日本株も下落に転じましたが、月後半にかけては、植田次期日銀総裁候補が所信聴取で金融緩和継続を明言したことや円安の進行が日本株相場を下支えし、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐0.95%の上昇、当ファンドのベンチマークは同1.65%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドにおいては、人材派遣業を営むアウトソーシングなどが上昇、一方で半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置メーカーであるアルバックなどが下落しました。アウトソーシングは発表された2022年12月期通期決算や中期経営計画が市場に好感されたこと、アルバックは2023年6月期業績計画の下方修正を発表したことがそれぞれ株価変動の要因と考えます。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄の買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、先行費用の増加やヒット作品のピークアウトなどから株価低迷が続いているものの、再成長に向けた事業展開が期待されるサービス企業などに新規投資を行いました。

今後の運用方針

 このところ2022年度業績予想を下方修正する企業が目立ち、日本企業の先行きを危惧する見方が増えてきています。業績の下方修正自体はネガティブではあるものの、当ファンドでは必ずしも今後の業績に対し悲観的になる必要はないと考えています。その理由として、下方修正は半導体をはじめとした部材不足の長期化や為替変動によるものが主因で、需要の減退に起因するものではないこと、またコモディティ市況も落ち着きを見せ始めており、事業環境は着実に正常化に向かっていると考えられることが挙げられます。当月は当ファンドの投資先企業である「前田工繊」を例に、この点について述べたいと思います。
 同社は過去の月次報告書で何度かご紹介したことがある企業ですが、土木産業資材と自動車用ホイールを主な事業領域とする製造業です。営業や技術開発により積極的に新規市場を開拓するだけでなく、隠れた地方企業をM&Aによりグループに取り込むという両建ての経営戦略により事業成長が続いています。当ファンドでは長年にわたり投資を続けており、定期的に社長との面談を通じて事業環境や経営課題の把握に努めています。先日も社長とお会いする機会をいただき、議論を通じて同社が今までになく事業の先行きに対し自信を深めている様子を窺い知ることができました。
 土木資材、ホイールに共通する要素として、顧客の値上げに対する受け入れ姿勢が変化してきている点が挙げられます。従来サプライヤーは定常的な値下げを求められるというのが日本企業の商習慣でしたが、近年は値下げ圧力が低下し、値上げを行いやすくなってきているようです。これは同社が競争力のある製品を提供し、顧客がその価値を認識しているからこそ実現できているものだと考えています。社会変化の兆しというには時期尚早かもしれませんが、デフレ一辺倒であった日本企業に意識の転換が起こりつつある点は注目に値します。
 また、景況感悪化が危惧される中にあっても、引き続き需要は旺盛です。同社は道路向け資材にはじまり、農業、河川や護岸向けと事業領域を広げてきましたが、今後も洋上風力や防衛関連など新たな市場への展開が計画されています。どちらも社会的な要請が高まる市場であり、市場の先行きは明るいと言えそうです。また、本年3月稼働予定の福井新工場では、ほぼ全量を中国からの輸入に依存している特殊不織布の製造が予定されています。ニッチな製品ではあるものの、脱中国依存のためのサプライチェーン(製品の原材料・部品の調達から販売に至るまでの一連の流れ)の見直しを進める顧客からの需要が想定以上に強いと見られ、開所当初から高い稼働率での生産が期待されます。
 加えて、前田工繊以外にも多くの企業が事業の先行きに対し自信を深めていることを当ファンドでは企業調査を通じて実感しています。例えば電子部品業界では、スマートフォンをはじめとした民生機器の需要低迷長期化など過去に比べ成長期待が低下している市場もありますが、既に各社は自動車用途や最先端用途など、注力市場を切り替えて成長戦略を検討しているようです。
 以上のように、企業調査を通して、業績悪化に対する懸念よりも新たな事業戦略に対する期待のほうが上回っていることを感じています。過度な楽観視には注意をする必要がありますが、市場評価に対し高い潜在成長力を有する企業は依然として多く、当ファンドの投資対象企業の魅力は高まっていると考えています。

2023年1月の運用コメント

株式市場の状況

 当月の日本株式市場は、月前半に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した2022年12月の米製造業景況感指数が2年7カ月ぶりの低水準だったことや、中国製造業購買担当者景気指数(PMI)も低迷が続いたことから景気後退への懸念が高まり、下落して始まりました。しかし、月半ばに日銀が金融政策決定会合で大規模な金融緩和を維持すると発表したことを受け、株式市場は上昇に転じました。月後半は、米国連邦準備制度理事会(FRB)の理事が利上げ幅緩和の支持を表明したことや、米有力紙による早期利上げ停止の観測報道を受け、堅調に推移しました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐4.42%の上昇、当ファンドのベンチマークは同3.58%の上昇となりました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドにおいては、ヨシムラ・フード・ホールディングスなどが上昇、一方でジンズホールディングスなどが下落しました。ヨシムラ・フード・ホールディングスは前月に引き続き外食業界の回復から今後の業績貢献に期待が高まったこと、ジンズホールディングスは発表された月次売上高が市場期待を下回り、今後の業績懸念が高まったことがそれぞれ株価変動の要因と考えます。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄の買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、金利上昇や住宅着工件数の減少から業績悪化が懸念されているものの、海外での非住宅需要が着実に成長し今後の業績貢献が期待される資材メーカーなどに新規投資を行いました。

今後の運用方針

 米中銀の利上げ姿勢の変化や世界経済の回復期待などから、日本株式市場の回復傾向が続いています。ゼロコロナ政策を解除した中国において経済再開を印象付ける指標が出始めている点は素直に好感できる内容ですが、世界経済減速懸念が後退したとはまだ言い切れず、当ファンドでは先行きに対し慎重な姿勢を維持しています。しかし日本経済に目を転じれば、コロナ禍からの経済正常化を控えた需要の回復が見込めるほか、デフレからインフレへの歴史的転換点を迎えようとしていると考えています。引き続きボトムアップ・アプローチによる投資機会の発掘と、ポートフォリオ構築に努めてまいります。
 行動制限の緩和が進み、インバウンド観光客も回復の兆しが見え始めている一方、宿泊施設は人手不足により稼働が戻らないなど新たな課題も出始めています。今回は当ファンドで投資を行っている人材サービス企業を通じて、日本社会の労働需給について考えたいと思います。
 当ファンドでは、人材サービスのほか保育園、介護施設などを運営する「ライク」に投資を行っています。当ファンドが同社に投資を行っている理由は、中長期にわたって必要となる需要に対し、人を採用、教育し雇用機会を創出している点にあります。同社は、近年成長著しいITコンサルティングなどのいわゆるハイスキル人材を対象とせず、モバイル機器販売から物流、保育施設、介護施設などの社会生活の基盤となる産業を事業対象としています。この領域は、事業の運営主体こそ変わっても需要自体が大きく減少することは見込まれない一方、人員の定着率は低く、恒常的な人手不足(供給不足)が課題となっています。そこで同社は必ずしも就労意欲の高くない求職者に注目し、短時間や不定期など柔軟な就労形態を許容するほか、定期的なリスキリング(学び直し)機会を提供することで、労働供給力の確保に努めています。
 少子高齢化の進行により、日本の生産年齢人口は1995年をピークに減少の一途を辿っています。この問題に対処するため、日本社会は女性や高齢者の労働参加率を高めることで就業者数を維持させてきましたが、今後も高齢化が進むことを考えれば、現状のまま就業者数を増加させることはより難しくなると考えられます。特にライクが対象とするサービス関連産業においては、保育園や介護施設に代表されるように生産性改善や自動化を行いにくい業務も多く、この影響が顕著に現れる業界と考えられます。将来的には、雇用を確保できず事業を継続できない事業者が現れることも危惧されます。
 このような社会環境を考えたとき、改めて重要性を増すのが十分な雇用を確保、増員できる採用力です。労働参加率を高めるためには、多様化する就労ニーズに柔軟に対応したり、必要に応じて教育機会を提供したりするなど、雇用者にとってのメリットを示すことがより重要になると考えられるためです。また、外国人材の採用においても、特定技能制度の施行により受け入れ企業側のサポート体制が必要となります。この点においてライクでは、自社で保育園や介護施設を運営することで、自社が責任を持ってスタッフの質を高めています。人材サービス会社が自社で施設運営を行うことは、事業効率の観点では一見合理的でないように見えますが、今後採用が難しくなればなるほど、同社の持つ採用力と運営ノウハウの価値は高まるものと考えられます。
 雇用の流動化や同一労働同一賃金などを背景に、企業が派遣人員を積極的に活用する経済合理性は低下しており、人材サービス提供会社に対する懐疑的な見方も株式市場にはあります。しかし、労働需給の先行きを踏まえれば、今後人材を雇用すること自体が難しくなると考えられる点は見逃せない事実です。当ファンドでは引き続き中長期の視点に立ち、業績成長が見込まれる企業への投資を行ってまいります。

2022年12月の運用コメント

株式市場の状況

 当月の日本株式市場は、11月30日にFRB(米国連邦準備制度理事会)のパウエル議長が12月のFOMC(連邦公開市場委員会)における利上げ減速を示唆したことを受け、上昇して始まりましたが、その後は米国景気悪化懸念の高まりなどから下落基調をたどりました。月半ばには、日銀が長期金利の許容変動幅を拡大したことなどを受け、金融政策の転換懸念から株式市場は大幅に下落し、その後は一進一退で推移しました。
 この結果、TOPIX(配当込み)は前⽉末⽐4.57%の下落、当ファンドのベンチマークは同4.24%の下落となりました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドにおいては、ヨシムラ・フード・ホールディングスなどが上昇、一方でシークスなどが下落しました。ヨシムラ・フード・ホールディングスは当月末に水産会社の株式取得を発表し今後の業績貢献に期待が高まったこと、シークスは円高進行による業績への悪影響が懸念されたことがそれぞれ株価変動の要因と考えます。
 投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄の買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説から実態が乖離したと判断した銘柄の売却を行っています。また、供給過剰などから設備投資需要の減少が危惧されているものの、新製品投入などにより事業領域の拡張が期待される機械メーカーなどに新規投資を行いました。

今後の運用方針

 2022年の株式市場を振り返ると、ロシア軍によるウクライナ侵攻と世界的なインフレ、そして中国の景気悪化懸念などから不透明感の強い相場展開となりました。また、急速に進行するインフレ抑制のため、FRBをはじめとする主要各国中央銀行が金融政策を引締めに転換したほか、年末には唯一緩和政策を続けてきた日銀も金利の変動幅の拡大を容認したことがサプライズとなり、株式市場の下落圧力となりました。これら金融政策の転換は特に高いバリュエーションで評価されていた新興株の下落をもたらしました。
 2022年はアクティブファンドにとって非常に厳しい環境となり、当ファンドもベンチマークに対し劣後する結果となりました。高いバリュエーションで評価されていた典型的な成長株の保有は少なかったものの、相場全体が調整する影響を受けたこと、また相場を牽引した市況関連株の保有が少なかったことが要因として挙げられます。
 しかし、ここ最近の企業取材を通して業績見通しに自信を強めている企業が増えてきており、当ファンドで投資を行っている企業への投資魅力は増していることを実感しています。例えば、脱中国依存のサプライチェーンの流れや円安などの要因から日本の製造業の国際競争力が高まってきたこと、脱炭素社会に向けた日本の技術力に注目が集まっていることなどがそれに当たります。また、部材不足や物流遅延などの供給制約や価格転嫁の遅れなどのマイナス要因が回復傾向に向かっていることも日本企業の業績のプラス材料と考えます。国内経済においては他国比でコロナ禍からの回復が相対的に遅れており、景況感悪化から欧米市場はGDPのマイナス成長が懸念される中、日本はプラス成長の維持が期待できるということも株式市場にはプラスに作用することが考えられます。
 株式市場関係者の2023年市場見通しによれば、早くも注目点は米国のインフレ沈静化とFRBの利下げ期待に移りつつあります。金融政策の動向には引き続き注意を払う必要はありますが、当ファンドでは丹念に個別企業の変化に注目し、上記環境のメリットを享受しつつ独自の成長要素を有する企業への投資を続けてまいります。

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