スパークス・ジャパン・オープン | 投資信託 | スパークス・アセット・マネジメント

スパークス・ジャパン・オープン
(愛称:キョウソウの架け橋)

  • NISA成長投資枠対象ファンド
日経新聞掲載名
ジャパン
分類
追加型投信/国内/株式
設定日
決算日
毎年5月19日

基準日:2026.10.14

基準価額
59,134円
前日比
-66円
-0.11%
純資産総額
36.1億円
分配金情報(税引前)
400円
  • 当ファンドは、NISAの「成長投資枠(特定非課税管理勘定)」の対象ですが、販売会社により取扱いが異なる場合があります。詳しくは、販売会社にお問い合わせください。

基準価額推移

分配金実績

決算頻度:1回/年

設定来合計
4,670円
直近12期計
3,620円

分配金実績一覧

2026年05月19日
400円
2025年05月19日
400円
2024年05月20日
400円
2023年05月19日
320円
2022年05月19日
300円
2021年05月19日
300円
2020年05月19日
300円
2019年05月20日
300円
2018年05月21日
300円
2017年05月19日
300円
2016年05月19日
0円
2015年05月19日
300円
2014年05月19日
0円
2013年05月20日
0円
2012年05月21日
0円
2011年05月19日
0円
2010年05月19日
0円
2009年05月19日
0円
2008年05月19日
0円
2007年05月21日
0円
2006年05月19日
1,000円
2005年05月19日
50円

月次報告書

2026年

2025年

2024年

2023年

2022年

2021年

2020年

2019年

2018年

2017年

2016年

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2026年9月の運用コメント

株式市場の状況

2026年9月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.3%下落し、日経平均株価は同0.7%上昇しました。

月前半は、軟調な推移となりました。米軍によるイラン攻撃を受けて中東情勢が再び緊迫化し、原油高や世界的な長期金利の上昇などが重荷となり、AI(人工知能)・半導体関連株を中心に下落しました。その後、米半導体株高を受けて反発する場面もありましたが、急速な円高や原油価格の一段の上昇に加え、米AI企業CEOによる最先端AIの開発ペース抑制に関する提言を受けて、AI関連投資の鈍化が懸念され、再び上値の重い展開となりました。

一方、月後半は持ち直しの展開となりました。日米の中央銀行による利上げ決定を波乱なく通過したことで、市場の不透明感が後退しました。その後は、AI需要の拡大期待を背景とした米ハイテク株高を受けて国内でもAI・半導体関連株が反発したほか、金利上昇が続くなか利ざや改善期待から銀行株にも買いが入りました。この結果、日本株式市場は上昇基調となり、最終的には前月末対比でTOPIXが小幅に下落する一方、日経平均株価は小幅に上昇して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐2.7%下落し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.3%の下落を2.4%下回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した企業は、東京海上ホールディングス、PILLAR、みずほフィナンシャルグループなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、リクルートホールディングス、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、メルカリなどでした。

当月は、当ファンドの投資先である「東京海上ホールディングス」についてご紹介します。

同社は、国内外で損害保険や生命保険を展開する保険グループです。国内損害保険の安定した収益基盤に加え、海外ではM&Aを通じて事業を拡大し、北米のスペシャルティ保険を主要な収益源へと成長させてきました。

国内では業界再編が進み、大手保険会社を中心とする競争環境が形成されています。一方、インフレに伴う住宅や家財、自動車の部品価格や修理費の上昇により、保険金の支払額が増加しており、損害保険各社の収益性を圧迫しています。このため、各社にはコスト上昇を保険料へ適切に反映し、引受採算を改善することが求められています。当ファンドでは、こうした環境変化の下で、同社の引受力や価格設定力がより収益に表れやすくなるとみています。

海外事業では、買収先の経営陣や企業文化を尊重しながら、グループの資本力、専門性、販売網、資産運用力を提供する経営手法を採用しています。買収後も各社の強みを維持し、成長につなげてきた実績は、同社の重要な競争優位性です。会社はこの経営手法を「Federated Model」と位置付け、買収先の自律性とグループの総合力を組み合わせることで、継続的な利益成長を目指しています。

2026年3月には、Berkshire Hathaway社(米国)との戦略的提携を発表しました。両社は、再保険やM&A、共同投資で協力する方針です。東京海上ホールディングスのM&A実行力や保険事業の運営力と、Berkshire Hathaway社の資本力や再保険能力を組み合わせることで、より幅広い投資機会への対応が可能になることが期待されます。また、資金とリスクを共有できれば、大型案件への対応力を高めながら、買収に伴う財務負担や利益変動を抑える効果も見込まれます。

資本政策にも注目しています。当ファンドでは、同社が目安とするESR(エコノミック・ソルベンシー・レシオ。保険業界における資本健全性評価指標)190%以上を参考に、2兆円前後の資本活用余力があると分析しています。同社はこの余力を、収益性の高いM&Aと自己株式取得に振り向け、利益成長とROE(株主資本利益率)の向上を目指す方針です。

M&Aでは、案件の規模や件数を追うのではなく、買収価格、保有する保険契約の質、買収後の成長余地を慎重に見極める必要があります。当ファンドでは、魅力的な投資機会がある場合には成長投資を優先し、適切な案件がない場合には自己株式取得を進めるという規律ある資本配分が、企業価値向上の鍵になると考えています。

今後は、国内事業における引受採算の改善や海外事業の成長に加え、Berkshire Hathaway社との提携を通じた新たな投資機会の獲得と、資本活用余力を生かしたM&Aおよび株主還元が、中長期的な利益成長とROE向上を支えると期待しています。当ファンドでは、安定した収益基盤、海外事業の成長力、規律ある資本配分を評価し、同社株式の保有を継続します。

今後の運用方針

当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2026年8月の運用コメント

株式市場の状況

2026年8月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比3.9%上昇し、日経平均株価は同3.0%上昇しました。

月前半の株式市場は上昇しました。月初は日米協調為替介入による円高進行で輸出関連株に売りが先行する場面もありましたが、原油価格の下落や良好な四半期決算に加え、米国の雇用統計の下振れや物価指標の落ち着きを受けて米利上げ観測が後退したことなどから、投資家心理は改善しました。こうした環境の下、AI(人工知能)・半導体関連株などを中心に買いが広がり、日経平均株価は一時7万円台をうかがう場面が見られたほか、TOPIXは最高値を更新しました。

月後半は、中東情勢が再び緊迫化したことや、日米欧の長期金利が上昇して金利の先高観が強まったことなどから、AI・半導体関連株を中心に売りが優勢となり、株式市場は下落しました。その後、日経平均株価は方向感を欠く展開となった一方、出遅れ感の強いシクリカル株や内需株、金融株への循環物色がみられ、TOPIXは堅調に推移しました。月末には、FRB(米連邦準備制度理事会)議長のタカ派的な発言から株式市場は一時下落したものの下げ幅を縮小し、両指数はともに前月末比で上昇して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐3.2%上昇し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同3.9%の上昇を0.7%下回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した企業は、リクルートホールディングス、セイコーグループ、SWCCなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、メック、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、ダイキン工業などでした。

当月は、当ファンドの投資先である「住友林業」についてご紹介します。

住友林業は1691年、別子銅山(愛媛県新居浜市)の備林経営に起源を持ち、木造注文住宅を中核に、木材・建材、そして米国・オーストラリアを中心とする海外住宅事業を展開する総合住宅企業です。自社保有の大規模森林や、木材・建材の内製体制を強みに、住宅業界の中でも高い収益性を実現しています。特に直近10年は、成長余地の大きい米国住宅事業に注力しており、現地の有力住宅会社を相次いで買収することで市場シェアを拡大しています。その結果、現在では売上・利益の相当部分を米国事業が占めるに至っています。

当ファンドでは、特に同社の米国住宅事業に注目しています。米国では、テキサスやフロリダなど人口流入が続く南部を中心に、買収したホームビルダーを通じて事業を展開しています。工場での部材生産や調達から施工までの一元管理により、職人の手作業が主流の現地メーカーと比べて工期が短く、品質の安定した住宅を供給できる点が同社の強みです。

同社の株価は2024年10月以降軟調に推移してきました。米国市場において、住宅ローン金利の高止まりや住宅価格の高騰、トランプ米大統領の関税政策やイラン紛争等の不透明感から住宅販売が弱含んでいることが背景と考えています。しかしながら、米国では住宅供給不足と建築人材不足が続いており、こうした環境は、生産効率に優れる同社のシェア拡大にとって中期的に追い風になると見ています。

当ファンドでは、国内事業の安定的なキャッシュ創出能力に加え、M&Aを通じた海外市場への積極的な参入による成長力を評価し、同社株式の保有を継続しています。

今後の運用方針

当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2026年7月の運用コメント

株式市場の状況

2026年7月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.2%上昇し、日経平均株価は同8.1%下落しました。

月前半は、前月まで大幅上昇していたAI(人工知能)・半導体関連株に対する高値警戒感が高まる中、米SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)の急落を契機に調整局面に入りました。米ハイテク株やKOSPI(韓国総合株価指数)の下落を受けて投資家心理が悪化し、日本のAI・半導体関連株も大きく下落しました。また、中東情勢の再度の緊迫化も日本株の重石となりました。一方、金利先高観を背景とした銀行株や内需株には循環物色が続きました。

月後半は、中国AI企業の台頭による半導体市況や競争環境悪化への懸念が広がり、韓国株や米半導体株の下落とともに半導体関連株が一段安となりました。その結果、日経平均株価は約2か月ぶりの安値を付けました。一方、米国がイランへの大規模攻撃を見送ったことを受けて原油価格が下落し、業績下振れリスク後退などを背景にディフェンシブ銘柄などへの資金シフトも見られました。

最終的に日経平均株価は月中一貫した下げ基調となり前月末対比で大幅に下落した一方、TOPIXはもみ合いながら小幅に上昇して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐3.2%上昇し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.2%の上昇を3.0%上回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した企業は、日立製作所、サイゼリヤ、リクルートホールディングスなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、東京エレクトロン、MARUWA、メックなどでした。

当月は、当ファンドの組入銘柄である「PILLAR」について、投資の魅力をコメントしたいと思います。

PILLARは、ポンプやバルブ、配管等の様々な産業機械に使われるパッキンやシールといった流体制御関連の製品を手掛けています。漏れなくつなぐ技術を武器に、半導体、液晶、医療、食品メーカーといった幅広い顧客に製品を供給しています。

当ファンドでは、同社が注力する半導体洗浄装置向けの継手製品に注目しています。金型や射出成型機の内製化により、難易度の高い成形品や顧客の細かい形状要求に対応できる点を強みに、同社製品は半導体洗浄装置向けフッ素樹脂継手で約90%の世界シェアを有しています。

半導体製造工程では、不良品を出さないために厳格な品質管理が求められます。そのため、新規参入するサプライヤーは、製造装置メーカーや半導体メーカーなど複数の関係者が求める高い品質基準を満たす必要があります。こうした参入障壁に加え、長年培われた金型、成型機、生産工程を含む技術の蓄積が、同社の高い市場シェアと収益性を支えていると考えています。

同社は過去、半導体市場向けの受注が急増した際に、生産能力の制約から中国顧客の需要を一部取り込み切れなかった経験があります。これを踏まえ、同社は将来の成長機会を逃さないため、生産能力の増強に向けた大型投資を先行して実施してきました。需要の見通しに不確実性が残る段階であっても、成長市場を見据えて必要な供給体制を整えた経営判断は、当ファンドが評価している点の一つです。

こうした先行投資の成果は、足元の業績計画にも表れ始めています。2027年3月期は、売上高700億円、営業利益155億円と大幅な増収増益が計画されています。半導体市場の回復に伴い、これまで拡充してきた生産能力の本格的に稼働が見込まれるほか、既存顧客である日系洗浄装置メーカーに加えて、中国をはじめとする海外向けの取引拡大や、CMP装置(化学機械研磨)向けなどへの用途拡大も進んでいます。

当ファンドでは、長年培われた技術力と品質管理能力、そしてそれらを支える生産体制が、同社の競争優位性の源泉であると考えています。近年進めてきた投資が着実に収益へと結びつきつつあることに加え、半導体市場の中長期的な成長も追い風になると見込まれます。こうした強みと成長余地を評価し、当ファンドでは同社株式の保有を継続しています。

今後の運用方針

当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2026年6月の運用コメント

株式市場の状況

2026年6月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.1%上昇し、日経平均株価は同5.6%上昇しました。

月前半は、上昇基調で始まったものの、米半導体大手による市場期待を下回る決算発表を機に関連株の調整が進みました。さらに、強い米国雇用統計を受けたFRB(米連邦準備制度理事会)の年内利上げ観測の急速な台頭が重なり、半導体・AI(人工知能)関連株を中心に大幅な売りが先行し、リスク回避姿勢が強まりました。

月半ばには、米国とイランの戦闘終結合意が転換点となり、原油価格の急落とインフレ懸念の後退を背景に物色の裾野が広範に拡大しました。日銀による政策金利の引き上げも、事前に織り込まれていたことから波乱なく通過し、終値としては初めてTOPIXは4,000ポイントを突破し、日経平均株価も7万円台に到達するなど、両指数ともに歴史的な節目を更新しました。

月後半は、KOSPI(韓国総合株価指数)の急落や、米AI大手の新規株式公開(IPO)延期など半導体・AI関連の悪材料が相次ぎ、指数の振れ幅は大きく拡大し、物色は内需株への広がりも見られました。最終的には両指数とも高値圏を維持したまま月末を迎え、3か月連続の上昇となって当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐2.0%上昇し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同1.1%の上昇を0.9%上回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した企業は、東京エレクトロン、リクルートホールディングス、上村工業などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、日立製作所、MARUWA、ライフドリンク カンパニーなどでした。

当月は、当ファンドの組入銘柄である「キーエンス」について、投資の魅力をコメントしたいと思います。

キーエンスは、ファクトリーオートメーション(FA)分野を中核に、センサ、測定器、画像処理機器などをグローバルに展開する企業です。同社は1974年の設立以来、ものづくりの現場における課題解決を起点に、顧客に高い付加価値を提供する商品を開発してきました。現在では、自動車、半導体、電子デバイス、食品、医薬品、物流など幅広い業界に製品を展開しており、グローバルに顧客基盤を有しています。

同社の競争優位性の源泉は、製品力と直販営業が一体となった独自の事業モデルにあります。キーエンスは商品知識を持つセールスエンジニアが顧客の製造現場に直接入り込み、品質改善、省人化、生産性向上といった課題に対して最適なソリューションを提案しています。この過程で得られる現場の一次情報は、次の新商品開発に活用されます。顧客課題を把握し、付加価値の高い商品を生み出し、その価値を直販営業で顧客に伝えるという循環が、同社の高い収益力を支えていると考えられます。

商品開発力も同社の大きな強みです。キーエンスの新商品は、発売時点で世界初または業界初の機能・コンセプトを有するものが多く、顧客の課題解決に直結する商品を継続的に投入してきました。同社は基礎研究そのものを目的とするのではなく、顧客の課題解決から逆算して商品を企画・開発する体制を構築しています。このため、価格やスペックの競争に巻き込まれにくく、顧客にとって導入効果の大きい高付加価値商品を提供することが可能になっています。

さらに、同社はファブレス経営(自社で工場を保有せず、製造工程を外部に委託する経営方式)を採用し、企画・開発・設計に経営資源を集中させています。自社で大規模な生産設備を持たない一方で、コアとなる生産技術は自社内で蓄積し、協力工場と密接に連携することで、高品質な商品の安定供給を実現しています。また、当日出荷をグローバルで実現しており、顧客の生産ラインを止めない供給力も、商品価値の一部として機能しています。

こうした事業モデルの強さは、業績にも表れています。2026年3月期の連結売上高は1兆1,693億円、営業利益は5,958億円となり、営業利益率は51.0%と極めて高い水準を維持しました。また、自己資本比率は94.6%と財務基盤も非常に堅牢です。製造業の自動化、省人化、品質向上に対する需要は中長期的に拡大が期待され、同社の製品群は、こうした構造的な需要を取り込むポジションにあると考えています。

また、足元ではバランスシート面で前向きな変化が見られます。2026年3月期の年間配当は550円となり、配当性向は30.0%まで上昇しました。また、2026年4月には、取締役会決議による自己株式取得を可能とする定款変更を開示しており、資本政策の柔軟性を高める姿勢が示されました。加えて、決算説明会資料を含むIR資料の公開も進んでおり、株式市場との向き合い方には着実な改善が見られます。

当ファンドでは、こうした収益基盤の質の高さと資本効率改善による企業価値向上余地を評価し、同社株式の保有を継続しています。

今後の運用方針

当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2026年5月の運用コメント

株式市場の状況

2026年5月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比6.2%上昇し、日経平均株価は同11.9%上昇しました。

月前半は、米SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)の急騰と中東情勢の緩和期待を背景に、日本株式市場でもAI(人工知能)・半導体関連銘柄を中心に強い買いが入り、全体として堅調に推移しました。

月半ばには、中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の上昇などを背景に海外金利が上昇したほか、国内長期金利も約29年半ぶりの高水準に達し、ハイテク株を中心に利益確定売りが優勢となりました。決算発表を経て銘柄間の選別色も強まるなか、日経平均株価は一時6万円を割り込みました。一方で、バリュー株への資金シフトの動きが指摘されるなど、TOPIXは相対的に底堅く推移しました。

月後半は、原油価格の下落を背景としたインフレ懸念が緩和したことに加え、米国でAI関連の大型IPO観測も重なり、AI・半導体関連株が反発に転じました。日経平均株価は連日大幅上昇し、最終営業日には幅広い銘柄が買われ、両指数ともに最高値を更新して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐6.3%上昇し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同6.2%の上昇を0.1%上回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した企業は、リクルートホールディングス、ライフドリンク カンパニー、メックなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、SBIホールディングス、住友林業、カヤバなどでした。

当月は、当ファンドの組入銘柄である「ソニーグループ」について、投資の魅力をコメントしたいと思います。

同社はゲームや音楽、映画、イメージセンサー、エレクトロニクスなどを展開する企業です。近年は金融事業の分離を経て、エンタテインメントと技術を軸とする事業ポートフォリオへ移行しつつあります。

ゲーム領域では、PlayStationのハード普及が進んだことで、ソフトウェア販売、ネットワークサービス、周辺機器などから収益を積み上げる局面に移行しているとみています。加えて、月額サービスである「PlayStation Plus」では高価格帯プランへの移行が進みつつあり、ユーザーデータを活用した広告・レコメンドの改善、無料提供タイトルの選定効率化などにより、プラットフォーム全体の収益性改善にも期待できます。

音楽・映画領域では、「Crunchyroll」の成長に注目しています。Crunchyrollは同社が2021年に買収した海外におけるアニメ配信の有力なプラットフォームであり、有料会員数は2,100万人を超えています。今後はPlayStationアカウントとの連携を通じて、アニメとゲームの顧客接点を組み合わせたサービス展開が期待されます。さらに、自社配給映画や音楽事業との連携が進めば、IP(知的財産)の収益機会を広げることができると考えています。

イメージセンサーについても、中長期の成長余地があると考えています。現在は同事業の売上の過半をスマートフォン向けが占めているため、スマートフォン市場の台数減少や価格競争には注意が必要ですが、大型・高性能センサーへの需要は継続しているとみています。加えて、2026年5月には、ソニーセミコンダクタソリューションズ社とTaiwan Semiconductor Manufacturing Company社(台湾)が、次世代イメージセンサーに関する戦略的提携に向けた基本合意を公表しました。当ファンドでは、モバイル向けに加え、車載カメラ、自動運転、産業用ロボット向けセンサーなど、用途拡大の可能性に注目しています。

一方で、株式市場では主に二つの懸念が意識されています。第一に、メモリ価格上昇によるゲーム機の製造コスト増加です。足元では、AI(人工知能)データセンター投資の拡大を背景にメモリ市況が上昇しています。ただし、同社は部材コストの上昇を踏まえてPS5およびPS5 Proの値上げを発表しており、販売促進費の抑制やネットワークサービスの単価改善と合わせて、コスト増加の影響を一定程度吸収できるとみています。

第二に、イメージセンサーにおける競争環境です。Samsung Electronics社(韓国)など競合メーカーの動向により、スマートフォン向けセンサーで価格競争が強まる可能性はありますが、ソニーグループは高付加価値の大型・高性能センサーで競争力を有しており、短期的に競争力が大きく損なわれる可能性は限定的とみています。

当ファンドでは、こうした懸念は一定程度株価に織り込まれていると判断しています。同社はゲーム、音楽、映画、アニメなどを相互に組み合わせることで収益機会を広げられる総合エンタテインメント企業です。加えて、次世代イメージセンサーの用途拡大も中長期的な成長要因となり得ます。こうした収益基盤の質の高さと企業価値向上余地を評価し、当ファンドでは同社株式の保有を継続しています。

今後の運用方針

当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2026年4月の運用コメント

株式市場の状況

2026年4月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比6.6%上昇し、日経平均株価は同16.1%上昇しました。

月前半は、前月末から続く中東情勢への警戒感を背景に値動きの荒い展開となりましたが、停戦協議進展への期待が高まるにつれて投資家心理が改善し、相場は上昇基調へ転じました。

月半ばから後半にかけては、市場の関心が地政学的リスクから企業業績やAI(人工知能)関連需要へと移行しました。米国ハイテク株や米SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)が上昇する中、日本株式市場でも半導体・AI関連銘柄への資金集中が進みました。こうした中、日経平均株価は値がさ株主導で堅調に推移し、終値で史上初めて6万円台に到達しました。一方、TOPIXは月半ば以降に伸び悩む展開となり、NT倍率(日経平均株価をTOPIXで割って計算した指標)は歴史的な高水準を更新するなど、指数間のパフォーマンス格差が拡大しました。

月末にかけては、日銀のタカ派的な展望やFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げに対する慎重姿勢を受けた国内外の金利上昇に加え、原油価格の再上昇も重なり、株式市場の重石となりました。これまで上昇を主導してきた半導体関連株を中心に売りが優勢となる一方、内需株に資金が一時的にシフトする場面も見られましたが、NT倍率は高水準を維持したまま月末を迎え、日本株式市場は月間で大幅高となり当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐9.5%上昇し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同6.6%の上昇を2.9%上回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した企業は、MARUWA、メック、ファーストリテイリングなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、サイゼリヤ、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、朝日インテックなどでした。

当月は、当ファンドの組入銘柄である「共立メンテナンス」について、投資の魅力をコメントしたいと思います。

共立メンテナンスは、ビジネスホテルであるドーミーイン事業を主力に、学生寮・社員寮を運営する寮事業、リゾート事業等を展開する不動産関連企業です。同社は1979年に受託給食事業からスタートし、1980年に学生寮事業、1985年に社員寮事業、1993年にドーミーイン事業・リゾートホテル事業へとビジネス領域を広げてきました。

2025年3月期の売上高構成を見ると、ホテル事業が約5割強(ドーミーイン事業、リゾート事業を含む)、寮事業が約2割を占めており、「成長性の高いホテル事業」と「ストック性の高い収益構造を持つ寮事業」を組み合わせた収益構造が特徴です。ホテル事業におけるドーミーインホテルは、「温泉・大浴場付きビジネスホテル」、「夜鳴きそば」、「地元食材の朝食」等を提供し、顧客体験を重視することで差別化を図っています。また、多様なニーズに応えることを目的に業態・ブランドの拡充を推進しており、観光需要をとらえた和風プレミアムブランドの「御宿 野乃」や眺望に優れた「LAVISTA(ラビスタ)」などを展開しています。こうした戦略が、日本人客からの高い人気となり、ここに訪日客の増加が加わったことで、高い稼働率と単価の上昇を支え、増収増益基調につながっています。

一方で、同社の株価は現在、中東情勢の緊張や日中関係の悪化を背景とした訪日需要の減少懸念が上値の重しとなっています。しかし、当ファンドはこの局面をむしろ本質的な強さが際立つタイミングと捉えています。ドーミーインの主要顧客は国内のビジネスパーソンであり、地政学的リスクや国際情勢の変動に対して構造的な耐性を持っています。訪日客についても、韓国や米国など多様な国・地域からの旅行者が厚みを増しており、中国人旅行者に過度に依存した収益構造ではありません。また、一部で懸念されている大阪万博後の特需剥落についても、同社のホテルネットワークは全国に分散しており、特定エリアへの依存は限定的であることから、業績全体への影響も限定的と判断しています。

寮事業についても、インフレ環境下でプラスの構造変化が進んでいます。これまでは、コスト上昇を賃料・寮費に十分転嫁できていない時期が続いていましたが、現在は、変動費の増加を機動的に価格へ反映できる体制に向かっています。社員寮については企業向けという性格上、インフレを背景とした価格改定を比較的スムーズに進めやすいと考えられます。一方で学生寮は家計負担への配慮から強気な値上げには限界もありますが、同社はサービス水準と価格のバランスを見極めながら、段階的な価格改定を継続しています。収益改善が一気に顕在化するわけではないものの、インフレを前提とした価格見直しが着実に進んでいる点を、当ファンドでは中期的な収益力向上につながる動きとして評価しています。

また、中東情勢の落ち着きや、世界景気の不確実性が和らぐ局面では、ホテル事業の収益改善を軸に、現在の割安感のある株価の見直しが進むと想定しています。訪日需要の拡大によるホテル需給のタイト化、業界全体に広がるコスト転嫁を背景とした単価上昇の継続、自社サイト経由予約比率の上昇による利益率改善といった複数の成長ドライバーが重なり合う可能性があります。株式市場では、足元のコスト増や訪日客数の変動といった要因に注目が集まりがちですが、同社の収益構造は、インフレ環境や訪日客増の政策を追い風とした「単価上昇×高稼働率」となっています。当ファンドでは、中長期的な企業価値の成長を見据えつつ、引き続き同社株を保有したいと考えております。

今後の運用方針

当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2026年3月の運用コメント

株式市場の状況

2026年3月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は10.33%下落し、日経平均株価は同13.23%下落となりました。

月前半は、米国とイスラエルによるイラン攻撃とホルムズ海峡封鎖による供給不安を背景に原油価格が急騰し、リスク回避の姿勢が強まった結果、大幅に下落しました。その後、急落後の自律反発などから一時持ち直す場面もありましたが、対米強硬派指導者の選出など紛争長期化への懸念が改めて意識されると再び下落しました。その後も原油高に伴うインフレ高止まりなど経済への影響が懸念され、月半ばにかけて相場は不安定な展開が続きました。

月後半は、トランプ米大統領がイラン側に対し、ホルムズ海峡を開放しなければ発電所やインフラへの攻撃を行うとの強硬な警告を行い、これに対しイラン側も対抗姿勢を示したことで原油価格が一段と上昇し、市場は再び下落しました。その後、攻撃の延期表明や米国の和平案提示に関する報道を受けて一時反発したものの、協議難航への懸念は根強く、月末にかけては地上作戦準備や紛争地域拡大への懸念が嫌気されました。最終的に、日本株式市場は前月に積み上げた上昇分を打ち消す水準まで下落して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐9.37%下落し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同10.33%の下落を0.96%上回りました。

パフォーマンスにプラスに寄与した企業は、東京海上ホールディングス、ローム、ライフドリンク カンパニーなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、日立製作所、MARUWA、横浜ゴムなどでした。

当月は、当ファンドの組入銘柄である「マックス」について、投資の魅力をコメントしたいと思います。

マックスは、1942年に航空機部品メーカーとして創業し、プレス技術・線材加工技術を強みに事業基盤を発展させてきました。現在では、木造建設物・コンクリート構造物やホッチキスなどの分野で世界初・日本初となる製品開発力を背景に、トップシェア製品を多く持つニッチトップ企業へと成長しています。

2025年3月期のセグメント別売上高は、釘打機や鉄筋結束機を含むインダストリアル事業が大半を占め、ホッチキスやオートステープラを含むオフィス機器部門、車いすや歩行器を含むHCR機器部門がこれに続きます。収益の中核となる鉄筋結束機「ツインタイア」は世界市場においてトップシェアを誇るとともに、機械本体の販売後も消耗品(結束ワイヤー)が継続的に販売できる「ストック型ビジネス」の構造を有しており、稼働台数の積み上がりとともに消耗品売上が拡大する安定した収益モデルを形成しています。

当ファンドでは、建設現場で使われる鉄筋結束機が、引き続き同社の成長をけん引すると考えています。鉄筋結束機を使用するメリットとしては、作業時間の短縮や、身体的負担の軽減、品質の均一化などが挙げられます。例えば「スタンダードモデル」では、結束時間が手作業と比較して早く、作業時間を短縮することができます。また、「ウォーカーモデル」は腰を曲げずに作業できるため、腰痛リスクを軽減し、体力の消耗を避けることができます。さらに、作業者の熟練度に関わらず安定した結束品質が確保されるため、施工精度のばらつきが低減されます。

建設業界では人手不足が続いており、経験の浅い人材でも一定水準以上の品質を維持できる点は、現場における重要な訴求力となっています。加えて、昨今のインフレや賃金上昇は、建設現場での省力化ニーズをさらに加速させています。つまり、熟練作業員の人件費が上昇するほど、機械への置き換えによるコスト削減効果は相対的に高まり、鉄筋結束機の導入意欲を後押しする構造となっています。

今後の成長ドライバーとしては、引き続き、鉄筋結束機事業を含むコンクリート構造物向けの工具販売です。主力市場である北米や欧州において好調に推移していくと当ファンドでは見ています。欧州では、主力地域のドイツや北欧が堅調に推移し、東欧などの新規市場の開拓も進んでいます。一方、北米では新規ユーザーの獲得と既存ユーザーの買い替え・買い増しに加え、消耗品の販売も好調に推移しています。

また、同社の鉄筋結束機は競合他社に対して強い商品力を有していることから、関税対応を目的とした値上げが速やかに浸透しています。これは、インフレ局面やトランプ関税の下においても価格決定力を有する「強い商品」を持つ証左であると当ファンドでは評価しています。国内市場においても、事業環境が厳しい中でも新製品の拡販もあり、販売は堅調を保っています。

当ファンドでは、こうした好調な同社の業績に加え、健全な財務体質を背景にした株主還元姿勢も評価しており、今後も保有を継続していく予定です。

今後の運用方針

当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2026年2月の運用コメント

株式市場の状況

2026年2月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比10.47%上昇し、日経平均株価は同10.37%の上昇となりました。

月前半は、8日投開票の衆議院選挙を前にボラティリティが高まる中、自民党が戦後最多となる316議席を獲得する歴史的圧勝が確定すると、高市首相の政治基盤強化と財政拡張策への期待から相場は急騰しました。東証プライム市場の売買代金が過去最大を更新する中、海外投資家による大幅な買い越しが推進力となり、日本株式市場は記録的な騰勢を見せ急速に水準を切り上げる展開となりました。

月半ばには急騰後の過熱感から利益確定売りが出やすい中、「AI(人工知能)による既存業務の代替懸念」が再燃し、ソフトウェア銘柄中心に幅広い銘柄が売られました。一方、第2次高市内閣の発足や対米投融資プロジェクトの具体化を背景に、AIインフラ関連株に買いが集中しました。中東の地政学的リスクの高まりが一時的に相場の重荷となったものの、セクター間での選別物色を伴いながら下値を固める動きとなりました。

月後半は、日銀の新審議委員にリフレ派の2名を充てる人事案が提示されると早期利上げ観測が後退し、市場は勢いを取り戻しました。月末にかけては半導体関連株が相場を主導し、月半ばに売られていたソフトウェア銘柄にも割安感から急反発が見られるなど、物色の裾野は幅広い銘柄へ拡大しました。結果として、TOPIXは最高値を更新して11か月連続の上昇を記録し、日経平均株価も連日で過去最高値を塗り替える強い足取りで当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐7.59%上昇し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同10.47%の上昇を2.88%下回りました。パフォーマンスにプラスに寄与した企業は、MARUWA、メック、上村工業などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、ライフドリンク カンパニー、リクルートホールディングス、富士通などでした。

当月は、当ファンドの組入上位銘柄である「トーセイ」について、投資の魅力をコメントしたいと思います。

同社は1950年に創業し、主に東京・神奈川・千葉・埼玉で事業を展開する独立系の中堅不動産企業です。現在、不動産再生、不動産開発、不動産賃貸、不動産ファンド・コンサルティング、ホテル、不動産管理の6事業を展開、リスクを分散したポートフォリオを有しています。

同社のビジネスモデルの特徴は、不動産売買など成長性の高いフロービジネスと、賃貸・管理・ファンド運営等の安定的なストックビジネスを組み合わせたハイブリッド型の収益構造にあります。同社はストックビジネスから得られる売上総利益で固定費をカバーすることで、業績のボラティリティを抑制しながら成長を目指しています。

当ファンドでは同社の先行きに対しポジティブな見方を維持しています。中でもストックビジネスである不動産ファンド運営が中期的に同社の成長をけん引していくと考えています。欧米の先進国では金利上昇の影響により不動産投資のリターンが不透明になる一方で、日本の不動産は割安感があり、相対的に高いイールドギャップ(投資利回りと長期金利の差)を有していることから外国人投資家の注目を集めています。これまで同社が積み上げてきたアセットマネージャーとしての実績・信頼によって、これら外国人投資家の資金獲得が見込めると当ファンドでは考えます。

一方、不動産ビジネスを取り巻く外部環境はネガティブです。日銀による政策金利の引き上げや、政府の積極財政を背景とした長期金利の上昇によってイールドギャップが縮小する可能性があり、事業環境にとって逆風となる懸念が高まっています。また、日中対立による訪日中国人の減少もホテル事業にとってネガティブに影響します。

しかし、当ファンドではこれらの影響は限定的と考えています。イールドギャップの縮小については、他国と比較して相対的に緩和的な金融政策が持続するとみられ、また物件の供給制限からオフィス市況は堅調さを保ち賃料上昇が持続すると推測しております。また、ホテル事業については宿泊者に占める中国人比率は低いため、影響は軽微であると考えられます。

2026年11月期のガイダンスでは、前年比二桁の増収増益を見込んでいます。業績をけん引する不動産再生事業では、人口流入が見込まれる都心物件への販売に注力するとともに投資比率を引き上げる方針です。また、建築費の高止まりを背景に、同社の強みであるバリューアップ力を活かした中古再生物件の仕入れを強化し、外部環境の変化に対応する計画です。不動産のオフィスやマンション、戸建て、ホテル、商業施設、物流施設でそれぞれ市況は異なっていますが、多様な事業ポートフォリオを持つ優位性からどのような環境下でも安定した利益成長が期待されます。

中期的には、同社の収益構造は従来の不動産売買によるフロー収益から、ファンドの残高に応じたストック型収益にシフトしていくとみています。一方、事業構造が変化しているにもかかわらず、同社の株価はフロー収益がメインで収益の安定性が低い企業として評価されています。しかし、現在の収益ボラティリティ低下や今後の利益成長・持続性に対し、株価は割安であると当ファンドでは考えています。価値と価格の差を勘案し、中期的に投資妙味があると考え、当ファンドでは保有を継続しています。

今後の運用方針

当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2026年1月の運用コメント

株式市場の状況

2026年1月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比4.62%上昇し、日経平均株価は同5.93%の上昇となりました。

月前半は、米国半導体関連株の大幅上昇を受けて日本の半導体・AI(人工知能)関連株が買われ、大発会から日経平均株価は大幅高でスタートしました。中国政府によるレアアース関連製品を含めた対日輸出規制が強化されるとの報道で、日本株式市場が一時急落する場面はあったものの、衆院解散・総選挙観測を受けて高市首相が掲げる成長戦略が進めやすくなるとの見方を背景に、月半ばにかけて主要指数の高値更新が続きました。

月後半は相場の様相が一変しました。選挙戦の本格化や野党の新党結成を受けて国内の政治情勢の不透明感が台頭したことに加え、米欧の貿易摩擦懸念など地政学的リスクも意識され、投資家心理が悪化しました。さらに、財政拡張による財政悪化懸念から国内長期金利が想定を上回るペースで上昇し、株式市場は調整色を強めました。月末にかけては、日米当局による「レートチェック」報道をきっかけに為替相場が急変し、円は一時対ドルで153円台まで上昇するなど不安定な動きとなり、輸出関連株を中心に株式市場は揺さぶられました。日本株式市場は月後半に伸び悩みましたが、前月末比で大幅高の水準を維持して当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐2.15%上昇し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同4.62%の上昇を2.47%下回りました。パフォーマンスにプラスに寄与した企業は、MARUWA、みずほフィナンシャルグループ、上村工業などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、ソニーグループ、トーセイ、ライフドリンク カンパニーなどでした。

当月は、当ファンドの組入銘柄である「ダイフク」について、投資の魅力をコメントしたいと思います。

ダイフクは、マテリアルハンドリング(以下、マテハン)機器における世界トップクラスのメーカーです。マテハンとは、工場や倉庫内において、原材料・部品・製品といった物資を、人手を介さずに「搬送・保管・仕分け」する仕組み全体を指します。自動倉庫、コンベヤ、仕分け装置、無人搬送車(AGV)などが代表例であり、製造・物流現場における効率化および省人化の中核を担う分野です。

同社は1937年創業と長い歴史を持ち、技術力とシステムインテグレーション力を強みに、半導体、一般製造業、物流、空港など幅広い分野で事業を展開しています。その中でも、半導体工場向け搬送システムおよび物流・流通分野向けシステムが成長を牽引しています。

当ファンドでは、人件費上昇や労働力不足を背景とした省人化ニーズという構造的な追い風のもと、同社が顧客に寄り添った高付加価値サービスを提供することで、中長期的に成長を継続できると判断し投資しています。ダイフクは単なる機械販売にとどまらず、設備設計、制御ソフト、アフターサービスまでを一貫して提供するビジネスモデルを構築しており、顧客の生産・物流プロセスに深く組み込まれることで、高い参入障壁を形成しています。

加えて当ファンドでは、同社の利益率改善にも注目しています。ダイフクは顧客ニーズにきめ細かく対応できる点を強みとする一方で、案件ごとに個別設計が必要となるため、規模の経済が働きにくい側面がありました。しかし近年では、設計工程の見直しや製品の標準化、部品数削減などの取り組みを進めており、こうした施策が中長期的な収益性の向上につながると考えています。

物流分野では、労働制約に加え、EC(電子商取引)市場が拡大を続けていることから、自動化投資の必要性が一段と高まっています。ダイフクの自動倉庫や仕分けシステムは、こうした構造的課題への有効な解決策として導入が進んでおり、同社の業績を下支えしています。

半導体分野においても、AI(人工知能)や高性能計算向けの需要拡大を背景に、先端ロジックおよび先端パッケージを中心として、前工程・後工程の双方で中長期的な設備投資需要が底堅く推移すると見込まれます。半導体製造工程の高度化に伴い、微細化やクリーン度向上が進む中で、人が直接触れずにウェハを正確かつ高速に搬送する仕組みは不可欠であり、同社のクリーンルーム向け搬送システムは、半導体製造において重要な役割を担っていると考えています。

足元では株価が大きく上昇していますが、その背景には半導体および物流分野における堅調な受注動向や採算性の改善が評価されていることがあると推測しています。当ファンドとしては、今後の受注動向や利益成長の持続性を確認しつつ、バリュエーション水準にも十分留意しながら、継続的な投資していく方針です。同社が持つ競争優位性と構造的な成長性を踏まえれば、中長期的な投資対象としての魅力は依然として高いと考えています。

今後の運用方針

当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2025年12月の運用コメント

株式市場の状況

2025年12月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.03%上昇し、日経平均株価は同0.17%の上昇となりました。

月前半は、植田日銀総裁の発言を受けて12月会合での利上げ観測が高まり、長期金利が急上昇しました。この影響から銀行株を除く幅広い銘柄が売られ、主要指数は大きく下落しました。その後、米国の利下げ期待や、米政府がロボット産業を支援する方針を示したことを受け、FA(ファクトリーオートメーション)、ロボットなど「フィジカルAI(人工知能)」関連株が急伸し、相場全体をけん引し、TOPIXは史上最高値を更新しました。

月半ばには、米国の利下げ決定後に一時的な調整も見られましたが、米国株が堅調で主要指数が高値を更新するなか、日本市場でも買いが優勢となり、TOPIXは再び最高値を更新しました。しかしその後、米IT大手Oracle社のAIデータセンター完成の遅れや、半導体大手Broadcom社の決算が市場期待に届かなかったことなどから、AI投資の収益性に対する警戒感が高まり、半導体関連株を中心に売りが広がり、相場は調整色を強めました。

月後半は、日銀が利上げを決定したものの、総裁会見がハト派的と受け止められたことから円安が進行し、輸出関連株や半導体株を中心に買いが入りました。ただし、月末にかけては薄商いの影響もあり、相場は方向感を欠く展開となりました。結果として、TOPIXは相対的に底堅く上昇基調を維持し、日経平均株価も小幅ながら前月を上回って当月の取引を終えました。年間を通してみると、年前半に大きな下落に見舞われる場面があったものの、年後半には両指数とも高値更新を続け、高水準での推移となりました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドは前⽉末⽐1.66%下落し、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同1.03%の上昇を2.69%下回りました。パフォーマンスにプラスに寄与した企業は、リクルートホールディングス、メルカリ、トーセイなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、ライフドリンク カンパニー、任天堂、MARUWAなどでした。

当月は、当ファンドの組入銘柄である「メルカリ」について、投資の魅力をコメントしたいと思います。

メルカリは、個人間取引(CtoC)を中心とした国内最大級のフリマアプリ「メルカリ」を運営する企業です。2013年のサービス開始以降、スマートフォンに最適化されたユーザー体験を強みに利用者数を拡大し、月間アクティブユーザー数は約2,300万人規模に達しており、同サービスは生活インフラの一部として定着していると当ファンドでは考えています。

当ファンドは、メルカリがマーケットプレイス市場、とりわけCtoC取引分野において圧倒的な競争力を有し、今後もその優位性を維持できると見ています。CtoC取引は、出品者が増えるほど商品の品揃えの魅力が高まり、購入者が集まりやすくなり、購入者の増加がさらに出品を促すという強い正の循環を生み出します。こうしたネットワーク効果により、既に市場のリーダーとなっている同社の競争優位性は揺るぎないと考えています。

国内マーケットプレイス事業では、CtoC取引に加え、法人出店(メルカリShops)、越境取引などへ領域を拡大し、取扱総額(GMV)の成長を図っています。さらに、国内マーケットプレイスで得た売上金を決済・金融事業を通じて、オフライン店舗やECサイトで利用できる循環型のエコシステムを構築しています。

当ファンドでは、特に「国内マーケットプレイスの収益性改善」と「決済・金融事業の成長」に注目して投資を行っています。国内マーケットプレイスは現在こそ高い利益率を誇りますが、過去は成長投資を優先してきたことから、利益率は抑制されていました。近年は、広告宣伝費の効率化などが進み、収益力は着実に改善しています。国内ユーザー基盤が成熟段階に入るなか、今後は真贋鑑定サービスの拡充による高単価商品の取引拡大に加え、越境取引を通じた海外での収益機会の拡大が期待できると考えています。

決済・金融事業についても、メルカリ利用者を基盤としたキャッシュレス決済として着実に拡大しています。また、独自与信を活用した後払いなどの金融機能も組み合わせることで、取引頻度や顧客単価の向上に寄与しています。決済・金融事業は、規模拡大に伴い利益率が高まりやすい特性を持ち、マーケットプレイスとの相互送客が進めば、中長期的に収益の柱の一つになると見ています。

しかし、株式市場では同社の本来の収益力が十分に評価されていないと当ファンドは考えています。これは、国内マーケットプレイス事業が有する高い利益創出力が、米国事業や新規事業の赤字により連結ベースでは見えにくくなっているためです。もっとも、米国事業では投資抑制や構造改革が進み、2025年6月期には初の通期黒字を達成しました。また、新規事業であったスキマバイトの「メルカリハロ」についても、迅速な経営判断により撤退が決定されており、成長投資を漫然と継続するのではなく、採算性や競争力を重視して事業を選別するという、資本規律を重視した経営姿勢への転換が見られると評価しています。これらの赤字要因が改善すれば、国内マーケットプレイスの収益力が連結業績により明確に反映され、企業価値の再評価が進むと考えています。

2026年度第1四半期決算では、成長再加速の兆しが示されたことで、株価は上昇しましたが、当ファンドは引き続き保有を継続する方針です。国内マーケットプレイス事業だけでも高いキャッシュ創出力を有していることを踏まえると、現在の評価はなお十分とは言えず、割安感は残っていると判断しています。高収益な国内マーケットプレイスを中核に、金融事業という成長余地を併せ持つ企業として、今後の事業構造の改善とともに、さらなる企業価値の向上を期待しています。

今後の運用方針

当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2025年11月の運用コメント

株式市場の状況

2025年11月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.42%上昇し、日経平均株価は同4.12%の下落となりました。

月前半は、AI(人工知能)関連銘柄の前月までの上昇に対する過熱感が意識され、米国株式市場にて関連銘柄が大幅に調整した影響が日本株式市場にも波及しました。一方でバリュー株や内需株等は底堅く推移し、これらのウェイトの差異が指数の変動に大きな影響を与えた結果、日経平均株価の下落が大きくなり、他方TOPIXは相対的に底堅さを維持しました。

月半ばには、日中関係の緊張を背景に中国政府が渡航自粛を要請したことが嫌気され、日経平均株価、TOPIXの両指数とも再び大きく下落し、日経平均株価は節目の5万円を割り込む場面も見られました。その後は、米国株式市場においてNVIDIA社が好決算を受け、時間外取引で同社株が上昇したことが追い風となり、日本株式市場でもアドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループの3銘柄が日経平均株価を約700円押し上げる場面も見られるなど株価は持ち直しましたが、AI投資の過熱感に対する警戒は根強く、上値の重い展開が続きました。

月後半にかけては、FRB(米連邦準備制度理事会)高官のハト派的発言を受けて12月利下げ観測が再び高まり、米国株の持ち直しとともに日本株式市場も反発しました。結果として、日経平均株価は8か月ぶりの下落となった一方、TOPIXは小幅ながらも上昇を確保し、両指数のパフォーマンスはまちまちとなり、当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐4.41%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同1.42%の上昇を2.99%上回りました。
当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、マックス、上村工業、MARUWAなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、日立製作所、キーエンス、東京エレクトロンなどでした。

当⽉は、当ファンドが保有する「上村工業」について、投資の魅⼒をコメントしたいと思います。

上村工業は1848年に和漢薬の販売事業で創業し、1957年に独自の「めっき薬」を開発したことをきっかけに事業を大きく転換しました。現在では、めっき薬およびめっき装置を中心に事業を展開しており、なかでも半導体等に利用されるウェハー&パッケージ関連のめっき薬が収益の柱となっています。

「めっき」とは、対象となる素材の表面に金属の薄膜を形成し、様々な機能を与えることを言います。めっきには様々な種類が存在しますが、同社が得意とするのは、電気を使わず化学反応によって金属膜を形成する「無電解めっき」です。特に銅やニッケルなどの無電解金属めっき分野で高い競争力を有しており、ウェハー&パッケージ関連分野における同社の世界シェアは約30%で首位、また一部の特殊分野ではさらに高い世界シェアを持つと当ファンドは推測しています。

同社の成長をけん引するのは、半導体向けウェハー&パッケージ関連めっき薬です。AI(人工知能)普及に伴い、データ処理量が増加し、半導体パッケージ基板は多層化・大型化が進んでいます。基板の層数や表面積が増加することにより、めっき薬の使用量が拡大するため、このトレンドは同社にとって明確な追い風となっています。

また、当ファンドでは同社のめっき薬がEV(電気自動車)やHEV(ハイブリッド車)などの自動車の電動化に使用されるパワーデバイス向けの分野でも成長が期待できると考えています。従来主流であったスパッタリング(装置で金属を吹き付ける成膜方法)はコストが高く、めっき薬の方が低コストかつ膜形成がしやすいため、採用が進んでいます。

当ファンドでは、同社が成長市場において、高いシェアを維持できると考えています。その理由は、製品の模倣が難しい点があります。めっき薬は、複数の化学成分が配合されており、配合比率や成分同士の相互作用から、製造プロセスを含め、競合他社がコピーすることが難しいと考えられます。また、顧客の仕様に合わせた調整能力や、顧客からの信頼性の確立にも時間が必要です。これらの要素は参入障壁として機能し、同社の競争優位を長期にわたり支えると当ファンドは判断しています。

同社は、当月発表の上期決算において、通期業績予想を大幅に上方修正しました。営業利益は減益予想から一転して、過去最高水準を計画しています。株式市場でも、半導体業界の成長期待とともに同社を評価し始めたと思われます。主要事業がAI関連の半導体需要増加の恩恵を構造的に受けることができる点や、さらにパワーデバイス向けでも中長期的な成長力を有している点を踏まえると、現在の株価にはさらなる上昇余地があると当ファンドでは考えています。

今後の運用方針

当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2025年10月の運用コメント

株式市場の状況

2025年10月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比6.20%上昇、日経平均株価は同16.64%上昇いたしました。
月前半は、米政府機関の一部閉鎖懸念を背景に軟調なスタートとなりましたが、高市早苗氏が自民党総裁に就任すると、市場では積極財政や成長戦略への期待が高まり、「高市トレード」と呼ばれる株高・円安の動きが急速に進行しました。月半ばにかけては、公明党の連立離脱報道が伝わり、政局不安が広がりました。さらに、米国による対中追加関税発表とそれに対する中国の報復措置が加わり、リスクオフムードが強まったことで、日経平均株価は一時急落しました。その後、一転して日本維新の会との連立協議入り報道を受けて政局の不透明感が後退し、米SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)の上昇も追い風となり、相場は反発に転じました。
月後半には、米中貿易摩擦の再燃や米地銀の信用不安が断続的な重荷となり、短期的な過熱感から一時的な調整局面もみられたものの、20日に自民党と日本維新の会が正式に連立合意に至り、高市新政権の誕生を受けて政策期待が一段と高まったことから市場は再び上昇基調となりました。
月末にかけては、FOMC(米連邦公開市場委員会)で予想通り0.25%の利下げを決定した一方、FRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言を受けて12月の追加利下げ観測は後退しました。また、日銀の金融政策決定会合では利上げが見送られ、追加利上げに慎重な姿勢が示されたことで円安基調が継続しました。さらに、米中協議の進展や中国によるレアアース輸出規制延期が好感され、リスク選好姿勢が一段と強まりました。こうした環境下で、アドバンテストの好決算やレーザーテックの大幅株高など、AI(人工知能)・半導体関連株が連日上昇し、日経平均株価も連日で史上最高値を更新しました。結果として、指数間の上昇率の差が広がりながらも、日本株式市場は前月末比で大幅高の水準で10月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐2.53%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同6.20%の上昇を3.67%下回りました。
当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、日立製作所、ファーストリテイリング、MARUWAなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、ライフドリンク カンパニー、トーセイ、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスなどでした。

当月は、当ファンドが保有する「横浜ゴム」に関して投資の魅力についてコメントしたいと思います。
横浜ゴムは1917年の創立以来、タイヤをはじめ、工業用品、スポーツ用品など数々の製品を世に送り出しています。1990年以降は海外での生産・販売網の拡大を進めることで、グローバルに成長を続けています。
タイヤ業界は労働集約型かつ装置産業であり、規模の経済が競争力を左右する産業構造となっています。2010年以降、低コストを武器とした新興国メーカーの台頭により競争は激化しています。特に中国メーカーの拡大は著しく、トラック・バス用タイヤでは世界生産量の約半分を中国が占めるまでに至っています。今後は乗用車用タイヤにおいても生産能力の増強が進み、業界全体に価格下落圧力がかかることが予想されます。こうした背景から株式市場では、タイヤ業界は成熟化・競争激化が進み、魅力的な産業ではないと評価されているように思われます。競争環境が一段と厳しさを増す中、当ファンドは、同社独自の戦略によって中長期的な成長持続を目指す経営姿勢を評価し、投資を行っています。
乗用車用タイヤでは、高級車への新車時の装着実績をブランド力と性能の裏付けとし、価格競争からの脱却を図るプレミアム戦略が主要メーカーの共通トレンドとなっています。こうした中で横浜ゴムは、プレミアムセグメントにおける低価格帯での差別化を進めています。プレミアムセグメントでのライバル企業がアプローチしづらい価格帯を狙う点に、同社の戦略的巧みさが見られます。
一方、農機・鉱山機械向けのOff-Highway Tire(OHT)分野では、2016年以降積極的なM&Aを通じて事業拡大を図っています。直近では、2024年7月にタイヤ生産販売会社であるThe Goodyear Tire & Rubber社(米国)の鉱山・建設用車両向けタイヤ事業の買収を発表しました。この買収により小型から超大型のタイヤまで幅広い商品ラインナップ、最先端の技術力、ブランド力、専門サービスを取得し、世界有数のプレイヤーへと成長しています。
OHTは、消費財タイヤに比べ市場成長性が高く、多品種少量生産や複雑な製造工程を背景に参入障壁が高い魅力的な事業です。買収により、安価なバリュー製品からプレミアム製品まで幅広いラインナップが揃い、多様な需要に対する対応力が大きく向上しました。
OHT事業はコモディティ市況や景気動向の影響を受けやすく、2023年12月期には農機新車生産の調整を背景に販売量が減少するなど、需要回復の見通しが不透明な局面が続きました。その中で、同社は利益体質の強化を目的に補修用タイヤの拡販や生産拠点の最適化を進めており、中長期的な収益改善が期待されます。
2025年12月期第2四半期決算では、通期業績予想の上方修正およびOHT販売量の回復が好感され、株価は大きく上昇しました。一時的にPBRは約6年ぶりに1.0倍を上回り、市場からの評価が高まりました。積極的な成長投資に加え、収益改善に向けた経営の実行力が投資家から評価された結果といえます。
同社は今後、拡販に向けた工場新設やM&Aなどの戦略投資に加え、株主還元の強化が期待されています。さらなる利益成長と資本効率の向上に向けた経営陣の強い意思が伺えます。当ファンドでは、同社の増産による売り上げ成長と高収益化の両立をめざす中長期的な成長ポテンシャルを評価し、引き続き保有を継続いたします。

今後の運用方針

当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2025年9月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年9月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比2.98%上昇、日経平均株価は同5.18%上昇いたしました。
 月前半は、Alibaba Group Holding社(中国)による新AI(人工知能)チップ発表をきっかけに米中の技術競争激化が意識され、米国のAI関連株が軟調となり、日本株式市場でもハイテク株中心に下落いたしました。その後、トランプ米大統領が日米間の自動車関税引き下げを盛り込んだ大統領令に署名したことが安心感につながり、相場は持ち直しました。
 月半ばにかけては、米国雇用統計が市場予想を下回り、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が高まったことや、石破茂首相の辞任表明を受けて次期政権への政策期待から日本株式市場は上昇しました。米国株式市場では半導体やAI関連銘柄が市場を牽引し、日本株式市場でも関連株の物色が広がったほか、その他幅広い銘柄に買いが波及しました。日経平均株価やTOPIXは高値更新を続け、相場上昇のモメンタムが継続しました。
 月後半は、FOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げ再開の決定と年内の継続的な利下げ見通しが示されました。翌日の日銀金融政策決定会合では、政策金利は据え置かれたものの2名の審議委員が利上げを提案し10月の利上げ確率が上昇した他、保有するETF(上場投資信託)の売却を決定したことで指数が一時急落しましたが、売りが一服すると下げ幅を縮め、相場は底堅さを維持しました。
 月末にかけては、米国経済指標が堅調だったことから米国の積極的な利下げ期待が後退し、米国株が反落した流れが波及した他、自民党総裁選を控えていることなども重なって日本株式市場は軟調に推移しましたが、月全体としては前月末対比大幅高の水準で当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐0.34%の下落となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同2.98%の上昇を3.32%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、トーセイ、メック、東京エレクトロンなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、ライフドリンク カンパニー、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、MARUWAなどでした。

 当月は、当ファンドが保有する「ライフドリンク カンパニー」に関して投資の魅力をコメントします。
 ライフドリンク カンパニーは、ミネラルウォーター・茶系飲料・炭酸飲料の製造販売を行う飲料メーカーです。1950年に、お茶の卸業として創業して以降、清涼飲料、食品、調味料などへ多角化しながら事業を拡大してきました。しかし、多角化した事業運営の限界から2015年にPE(プライベート・エクイティ)ファンドと資本業務提携を行い、ドリンク事業への集中・回帰を進め、2021年に株式上場しています。
 同社は低価格戦略で成長を続けております。これを可能にしているのは「MAX生産・MAX販売」の考え方です。具体的には、生産数量を最大化すると同時に、その量に見合う販売先を小売向けプライベートブランド(PB)や自社EC(電子商取引)で確保するという戦略です。生産面では、生産アイテムを絞り、ペットボトルも2Lと500mlを中心にすることで、製造ラインの切り替えロスを最小化しています。また、ペットボトルも内製化し、工場を全国に分散して配置し、資材・物流コストを削減しています。販売面では、PBや直販を中心としているため、大型広告が不要です。このため、多品種展開、広告重視の大手ライバル企業に比べ、構造的なコスト優位性を築いています。
 さらに同社は数量・規模の拡大も志向しています。同社の成長戦略は、買収と工場新設・拡張が軸になっています。Nビバレッジの買収や、ポッカサッポロフード&ビバレッジの群馬工場資産の取得などが最近の実績です。さらに、2024年4月には静岡・御殿場工場が稼働を開始し、生産能力を確保して安定供給の優位性を高めています。
 当ファンドでは、インフレ下で家計の節約志向が続くなか、同社製品への需要拡大が続くと期待し投資しています。日本は人口減少に突入しているものの、同社が注力している分野の市場規模は拡大しています。その要因として考えられるのは、より多くの人が、水道水からミネラルウォーターにシフトしていることが考えられます。特に若年層ほど、水道水を飲むことに抵抗を感じるようです。また、健康志向から加糖飲料より無糖飲料が選好されていることも追い風となっています。
 当ファンドが投資して以降、業績は順調に拡大しています。前月発表された2026年3月期1四半期決算は、売上高は前年同期比18.9%増、営業利益は同21.8%増と堅調な内容でした。一方で、株価は大株主であるPEファンドの売却によって横ばいとなっています。当月に発行済株式に対し、約22%を保有する筆頭株主のPEファンドが売り出しを発表し、需給が一時的に悪化するイベントが起きています。当ファンドでは、今回の売り出し後は、オーバーハング(大株主が株式を売るかもしれないという懸念)が解消すること、浮動株・流動性の増加が期待できることから、中長期の同社の成長が適切に株価に反映されていく、と前向きに見ています。
 以上のことから、引き続き同社は、インフレ下のPB・低価格へのシフトを追い風に、株式市場の期待を超える利益成長が狙えると判断しています。M&Aなどを通じた生産力の上振れが現実化すれば、さらなるアップサイドも期待できると考えています。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2025年8月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年8月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比で4.52%上昇、日経平均株価も同4.01%の上昇となりました。
 月前半は、米国の雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を下回り、労働市場の軟化が意識されたことで米国株が急落しました。その影響を受けて日経平均株価も急落し、一時4万円を割り込む場面もありましたが、雇用統計の弱さが米国利下げ期待を高め、世界的な株高を誘発しました。加えて、国内では主要企業の好決算により企業業績の底堅さが再認識され、日本株式市場は一段と騰勢を強める展開となりました。こうした強い上昇基調のなか、月半ばにはトランプ米大統領が対中相互関税の一部を再び90日間延期すると発表し、投資家心理に安心感を与えたことから株式市場は続伸し、日経平均株価は連日史上最高値を更新しました。
 その後、月後半にかけてはジャクソンホール会議を控え様子見ムードが広がり、利益確定売りも重なって調整色が優勢となりました。ジャクソンホール会議では、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の講演が9月の利下げ観測を一段と強めるものとなったほか、米国のNVIDIA社が中国向け輸出に関する不安を残しつつも堅調な決算を発表したことも市場を支え、米国株式市場は堅調に推移し、日本株式市場も底堅い動きを見せ、前月末比で大幅高となって当月を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐3.83%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同4.52%の上昇を0.69%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、ライフドリンク カンパニー、テレビ東京ホールディングス、SBIホールディングスなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、日立製作所、MARUWA、東京エレクトロンなどでした。

 当月は、当ファンドが保有する「テレビ東京ホールディングス」(以下「テレビ東京」)について、投資の理由・魅力をコメントしたいと思います。
 テレビ東京は、1964年に教育専門局「東京12チャンネル」として開局し、その後、独自色の強い番組編成で存在感を高めてきました。現在は「テレ東VISION2035」を掲げて、アニメや番組配信領域を成長エンジンと位置づけることで、放送としてのテレビの枠を超えた“グローバルIP(知的財産)メディア”への進化を目指しています。加えて、テレビ東京は日本経済新聞グループの一員でもあり、経済番組やビジネス情報発信に強みを持っています。この独自の報道・経済の強みと、アニメを中心としたIP戦略の両輪が、テレビ東京の特徴です。
 当ファンドでは、テレビ東京はアニメIPのグローバル展開で成長できると考え投資しています。コロナ禍以降、世界的に日本のアニメ配信が増えたことで、既存IPの需要が再び高まり、同時にテレビ東京が新規IPを創出・蓄積していく機会も拡大しています。
 既存IPもアニメ配信のみならず、ゲームやテーマパークなど、二次・三次的な収益機会につながっています。すでに「NARUTO/BORUTO」「ポケットモンスター」「遊戯王」「ブラッククローバー」など、海外で高い知名度を持つIPを背景に、番組販売やライセンス収入が成長しています。さらに、日本経済新聞グループとの連携による経済番組の強さは、「貯蓄から投資へ」の流れの中で、安定した視聴・収益基盤につながると見ています。
 投資開始以降、同社の株価は好調に推移しています。日本の景気回復を追い風に放送収入が底打ちしており、2024年度は過去最高の連結売上を達成しています。当ファンドが注目しているアニメIPに紐づく周辺ビジネスも着実に収益に貢献しており、放送の回復とアニメの拡大という二つのエンジンが噛み合い始めているようです。さらに、株主還元については、配当性向を引き上げていくとともに、業績や売買流動性を踏まえ、機動的な自己株式の取得に取り組む姿勢を示しています。同社業績が拡大すれば、企業価値とともに株主還元の持続的な強化も期待できると言えます。
 株式市場は足元の同社の実績拡大を評価していると思われますが、当ファンドでは、引き続き投資を継続する予定です。同社は「広告を売るテレビ局」から「アニメ・番組IPによる世界での事業展開」という構造的な変化の最中にあり、株価はこの変化を十分に織り込めていないと考えるためです。引き続き慎重に同社業績をモニターしていく所存です。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2025年7月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年7月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比3.17%上昇、日経平均株価も同1.44%の上昇となりました。
 月前半の日本株式市場は、前月末の急騰を受けた利益確定売りが優勢となるなか、米国による相互関税の動向や参議院議員選挙で与党が苦戦するとの見通しなど、先行きへの不透明感が強まり、株価の動きは限定的となりました。また、米NVIDIAによる中国向けAI半導体の輸出再開報道や、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長解任を巡る話題など、強弱入り混じる材料が相次いだこともあり、株式市場は方向感に乏しく、もみ合いが続く展開となりました。
 月後半に入ると、20日に実施された参議院議員選挙では、与党が非改選議席と合わせても過半数を獲得できなかったものの、市場では想定内の結果と受け止められたため、連休明けの22日の株式市場への影響は限定的に留まりました。翌23日には、日米通商交渉の合意が報じられたことで株価が一気に押し上げられ、24日のTOPIXは過去最高値を更新し、日経平均株価も急騰する展開となりました。その後は、急ピッチな株価上昇に対する過熱感から一時的な調整が入ったものの、月末には米ハイテク銘柄の好決算の影響などを受けて反発し、日本株式市場は前月末比で大幅高となって当月を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐4.43%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同3.17%の上昇を1.26%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、日立製作所、MARUWA、トーセイなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、任天堂、ファーストリテイリング、メルカリなどでした。

 当⽉は当ファンドが保有する「⽇⽴製作所」について、投資の理由と魅⼒を解説いたします。
 日立製作所は、日本を代表する世界有数の総合電機企業です。1910年に茨城県の久原鉱業所・日立鉱山付属の修理工場として発足し、1920年に株式会社日立製作所として独立しました。鉱山向けの電動機や変圧器、水車などの技術を基盤に、鉄道、産業用機器、家電、半導体、ITといった幅広い事業領域へと事業を拡大。現在では、世界有数の総合電機メーカーへと成長を遂げています。
 創業者・小平浪平氏が掲げた「優れた自主技術・製品の開発を通じて、社会に貢献する」という企業理念は、100年以上にわたり同社の根幹にあり続けています。時代の変化とともに社会課題の内容は変化していますが、その理念のもと、技術革新と社会課題解決の両立を追求し、事業拡大とグローバルな成長を実現してきました。
 現在のような成長企業への回帰への転機となったのは、リーマンショックです。この影響により、同社は2009年3月期に約7,800億円という巨額の最終赤字を計上しました。多数のグループ会社を抱える中で、全社的な戦略の整合性や経営の一体感が不足していたことが課題となり、収益性の低い事業の継続や過剰投資が経営を圧迫していました。
 この未曽有の危機を受けて、日立製作所は抜本的な構造改革に着手。赤字事業の撤退、グループ会社の統廃合、成長分野への集中を進めるとともに、ビジネスモデルの転換にも踏み切りました。従来の「製品の売り切り型」から、顧客との中長期的な関係性を重視する「サービス提供型」へと移行したことで、IT(情報技術)、OT(制御技術)、製造技術を融合させた統合ソリューションの提供が可能となり、結果、同社はハードウェア中心の製造業から、ソリューション志向の企業へと変革を遂げました。この事業モデルの転換と収益構造の改善は株式市場から高く評価されております。同社の株価は2020年以降約6倍に上昇しています。現在も成長基調を維持しており、構造改革の成果が着実に企業価値の向上に結びついていることがうかがえます。
 日立製作所の変革の象徴が、同社独自のデジタルソリューション・プラットフォーム「Lumada(ルマーダ)」です。Lumadaとは、同社が開発したIoTやAIを活用するデジタルソリューションの総称であり、顧客の現場から得られるデータをもとに、課題解決や新たな価値創出を支援するプラットフォームです。このような統合的なソリューション基盤のもと、鉄道、エネルギー、産業機器などの分野で高度なサービスの提供が進んでいます。例えば、鉄道分野では、車両やインフラの状態監視、予兆保全、エネルギー消費の最適化、列車遅延の削減などを通じて、運用効率と安全性の向上に大きく貢献しています。Lumadaは、経済的価値のみならず、環境負荷の軽減や生活の質の向上といった社会的価値の創出にも繋がっており、創業者の理念が現在まで受け継がれていることがうかがえます。
 現在、Lumada関連事業はグループ売上の約30%を占めており、今後はこれを80%まで引き上げることを目指しています。2024年度決算においても、Lumada関連の売上は前年比約30%増と、デジタルシフトが業績向上に確実に寄与していることが確認されています。
 当ファンドでは、長年にわたり製造業・エネルギー・交通・金融・公共といった幅広い分野で社会の基盤を支えてきた同社が、Lumadaを軸としたデジタル技術で社会課題の解決に挑む姿勢を高く評価しております。こうした取り組みを通じ、今後も持続的な成長が期待される企業であると判断し、投資を継続しております。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2025年6月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年6月、日本株式市場の代表的な指数であるTOPIX(配当込み)が前月末比1.96%上昇、日経平均株価も同6.64%の上昇となりました。
 全体としては、米国の関税政策や地政学的リスクの動向に市場が影響を受ける場面も見られたものの、外部環境の改善や米国金融緩和への期待を背景に、リスク選好姿勢が強まった月となりました。
 月前半から月半ばにかけての日本株式市場は、米国の関税政策や景気減速への懸念から軟調に推移しましたが、堅調な米雇用統計や米半導体関連株の上昇を受け、市場は持ち直しました。しかし、イスラエルがイランを攻撃したとの報道によって中東情勢への懸念が高まり、一時的にリスク回避の動きが市場を下押ししました。一方で、日銀が政策金利据え置きと国債買い入れ減額ペースの緩和を示し、米連邦公開市場委員会(FOMC)でも政策金利が据え置かれたことが投資家心理を下支えし、外部要因に振らされながらも市場はもみ合いを続けつつ、徐々にレンジを切り上げる展開となりました。
 月後半にかけては、中東情勢の激化や米国によるイラン核施設への空爆報道により、一時的にリスク回避ムードが広がりましたが、その後は地政学的な懸念が早期に沈静化したことや米国株式市場の反発を受けて、日本株式市場も上昇基調に転じました。さらに、トランプ米大統領の停戦に関する発言や米連邦準備制度理事会(FRB)高官による利下げ示唆が投資家心理を押し上げ、リスクオンムードが広がりました。値がさ半導体関連株が相場をけん引し、配当権利落ちに伴う再投資の需要も追い風となり、日経平均株価は年初来高値を更新しました。株式市場全体も前月末比で大幅に上昇して当月を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐2.86%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同1.96%の上昇を0.90%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、MARUWA、任天堂、ライフドリンク カンパニーなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、キーエンス、イー・ギャランティ、テレビ東京ホールディングスなどでした。

 当⽉は、当ファンドで保有する「イー・ギャランティ」について、投資の理由・魅⼒をコメントしたいと思います。
 イー・ギャランティは、売掛債権の保証を主要な収益源とする企業であり、2000年に伊藤忠商事の社内ベンチャーとして設立されました。設立当初は、電子商取引(eコマース)における決済サービスにおいてファクタリング会社(企業から売掛債権を買い取り、売掛債権の管理や回収を行う金融サービス会社)が保有する金融債権の保証を目的としていましたが、翌2001年に企業間取引における売掛債権を保証するサービスを開始し、これが現在の主力事業となっています。
 同社の保証サービスは、取引先の倒産リスクに備える保険的な仕組みであり、事業会社は同社の売掛債権保証を利用することで、顧客と安心して取引できるようになります。同社は信用リスクを引き受ける際に、独自に構築した企業信用データベースを用いて対象企業の審査を実施し、保証の可否を判断しています。保証を引き受けた売掛債権については、多様な債権を組み合わせることでリスクを分散させ、金融機関が受け入れやすい運用商品として構成したうえで、リスクを移転(再保証依頼)しています。同社は受託リスクの80%以上を金融機関等にリスク移転(再保証の依頼)をしており、保証リスクを軽減しています。こうしたスキームを用いることで、事業会社は顧客と安心して取引ができ、金融機関は再保証を通じて収益機会を得られ、同社はリスクを軽減しながら保証料収入を確保できるという、三者すべてにメリットのあるビジネスモデルとなっています。
 同社の収益構造はシンプルで、売上は保証債務金額×保証料率、コストは再保証料、その差額が粗利益というモデルです。保証契約は継続的に更新されるため、ストック性の高い安定的な収益基盤となっています。
 当ファンドでは、売掛債権保証の需要が拡大すると見込んで投資を行っています。その背景は、コロナ禍における各種補助金の終了や、国内金利の上昇といったマクロ環境により、資金繰りが厳しくなる企業が増加する可能性が高まっていることが挙げられます。加えて、同社は営業人員の拡充を図ることで、保証債務金額の獲得に積極的に取り組んでいます。
 国内には約215兆円規模の売掛債権が存在する中で、保証されている債権の比率は約1.3%程度に留まっています。これは世界と比較して低い水準にあるため、潜在市場は大きいと当ファンドでは考えています。また、同社の提供する保証サービスには有力な競合が見当たらず、同社は蓄積された信用データや独自の審査モデル、全国に展開された提携販売網といった強みを背景に、今後も競争優位性を維持できると考えています。総じて、イー・ギャランティは、売掛債権保証という社会的意義の高い成長分野におけるリーディング企業であり、今後も中長期的な成長が期待される投資先であると考えています。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2025年5月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年5月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)が前月末比5.10%の上昇、日経平均株価も同5.33%の上昇となりました。当月の日本株式市場は、月前半に大幅上昇した後、月半ばに調整を挟みつつも月後半にかけて持ち直し、レンジ内での回復基調を維持したまま当月を終えました。
 月前半は、前月末から続く米国の関税交渉進展への期待が支援材料となったことや、日銀が展望リポートで実質GDP成長率と物価上昇率の見通しを下方修正し追加利上げに慎重な姿勢を示したことや進行した円安も相まって、株式市場は堅調に推移しました。こうした中、米英貿易協定の合意や米中双方による市場の想定以上の関税率の引き下げを受け、指数は大幅に上昇しました。月半ばには好材料が一巡したことに加え、円高・ドル安の進行や、米国債格下げをきっかけに米国の財政悪化懸念が高まったことも相場の重荷となりました。月後半にかけては、米国による対EU追加関税の延期や、日本国内での超長期国債発行計画の見直し観測による円安の進行等により主力株を中心に買いが入り、日本株式市場は再び上昇に転じました。さらに、28日に米国際貿易裁判所がトランプ政権の関税政策を違法と判断し関税の差し止めを命じたことを受けて円安が加速し、株式市場も大幅高となりました。しかしその後、米連邦巡回区控訴裁判所が関税差し止めの執行を一時的に停止する判断を下したことでドル円相場とともに株式市場は反落しました。
 結果として、米国の関税政策をめぐる不透明感に振り回されながらも、日本株式市場は前月末比で上昇して取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐7.13%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同5.10%の上昇を2.03%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、ライフドリンク カンパニー、MARUWA、日立製作所などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、テレビ東京ホールディングス、イー・ギャランティ、リログループなどでした。

 当⽉は、当ファンドで保有する「富士通」について、投資の理由・魅⼒をコメントしたいと思います。
 富士通は、日本最大級の総合ITサービス企業の一つであり、その起源は1935年、富士電機製造(現在の富士電機)の通信機部門が分離独立して設立された「富士通信機製造」に遡ります。以来、富士通は通信機器、コンピュータ、ITサービスといった分野で長年にわたり日本の情報通信インフラを支え、現在はデジタルトランスフォーメーション(DX)を軸とする企業へと進化を遂げつつあります。
 また、現在は世界的な産業用ロボットメーカとして知られるファナックも、かつては富士通グループの一員であり、その技術的な基盤と企業文化に富士通の影響を受けております。
 当ファンドでは、富士通が進める構造改革と、DX分野における中核戦略「Fujitsu Uvance(フジツウ ユーバンス)」に着目し、長期的な成長を期待して投資を行っております。
 現在、富士通は従来事業を「コア」と「ノンコア」に分類し、ノンコア事業の売却と整理を進める一方で、コア事業に経営資源を集中する構造改革方針を打ち出しています。とりわけ、ハードウェア製造部門はノンコア事業に位置づけられております。ハードウェア製造は、大規模な設備投資を必要とする上、海外勢との競争激化により高い利益率の確保が困難な領域と判断されています。この構造改革は2015年に田中達也前社長の下で始まり、現社長・時田隆仁氏に引き継がれた後も着実に継続されています。これまでにグループ会社約40社の再編を実施し、収益性の向上に向け、事業運営体制の構築が進められています。
 富士通が注力する事業戦略「Fujitsu Uvance」は、「持続可能な社会の実現」をテーマに、環境と人に配慮したものづくり、多様な体験を届ける決裁・小売り・流通などといった社会課題の解決を起点としたビジネスモデルです。従来は顧客からの要望に応じてシステムを個別構築する、いわゆる“御用聞き型”のモデルが中心でしたが、「Fujitsu Uvance」では富士通自らが社会課題を特定し、戦略立案からDXの実装までを主導する形へと転換を図っています。このアプローチにより、収益性の高いソリューション提供型ビジネスへのシフトが期待されています。
 「Fujitsu Uvance」の拡大、および構造改革はいずれも現在進行中であり、まだ道半ばといえます。特に国内では一定の規模まで拡大できましたが、同社が狙う海外向けでは、まだ成長基調とは言い難い状況です。しかし当ファンドでは、富士通はIT基盤技術や業種別ソリューションの知見を豊富に持ち、変革を成し遂げるための人材・資源・実行力を備えた企業であると判断しています。同社のDX企業としての進化を中長期的視点で捉え、その成長ポテンシャルを重視して投資を継続してまいります。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2025年4月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年4月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.33%の上昇、日経平均株価は同1.20%の上昇となりました。当月の日本株式市場は、米国の通商・金融政策を巡る不透明感に大きく揺さぶられる展開となりました。
 月前半には、米国においてスタグフレーション(景気の後退と物価の上昇が同時進行する経済状況)の懸念が強まる中、トランプ政権が全世界を対象とした最大50%の「相互関税」を発表し、中国やEUが即座に報復措置を講じたことで、世界的にリスク回避の動きが広がりました。これを受けて、日本株式市場は大幅な下落となり、先物市場では「サーキットブレーカー」が発動されるなど、市場の混乱が際立ちました。その後、9日に米政府が一部関税の90日間一時停止を発表すると、過度な悲観ムードが和らぎ、市場は急反発しました。ただし、翌10日には米国が対中関税を累計145%まで引き上げる方針を明らかにしたことで、市場は再び警戒感を強めました。加えて、トランプ米大統領が米連邦準備制度理事会(FRB)に利下げを要求し、パウエル議長の解任懸念が浮上したことにより、FRBの独立性に対する不信感が高まりました。この影響で、米国市場では株式・債券・ドルがそろって下落する「トリプル安」となり、日本株式市場でも上値の重い展開が続きました。
 一方、22日にはベッセント米財務長官が「関税は持続不可能」との見解を示したほか、23日にはトランプ米大統領がパウエル議長の解任を否定したとの報道が伝わったことで、市場には安堵感が広がり、日本株式市場も上昇に転じました。さらに、対中国の関税率を見直す旨の報道も好感され、米中対立の緩和への期待からリスクオン姿勢が続き、日本株式市場は前月末比で上昇して当月の取引を終えました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐1.98%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.33%の上昇を1.65%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、ライフドリンク カンパニー、任天堂、ベイカレントなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、MARUWAなどでした。

 当月は、当ファンドで保有する「ダイフク」について、投資の理由・魅力をコメントしたいと思います。
 ダイフクは、製造業や物流業界向けに材料・製品の搬送システムを開発するメーカーです。同社が提供する「マテリアルハンドリングシステム」は、保管・輸送・仕分け工程を最適化する機械装置と制御ソフトを組み合わせたソリューションで、顧客の作業効率化と労働負荷軽減に寄与しています。
 1937年に航空機・船舶向け鍛造機械メーカーとしてスタートした同社は、戦後、経営方針を転換し搬送機器の製造に注力してきました。1950年代にトヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)へ自動車生産用コンベアを導入したのを皮切りに、1966年には松下電器産業(現パナソニック ホールディングス)向けに国内初の高層自動倉庫を開発します。そして1982年にはファナック向け無人搬送車システム、1984年には半導体ウェハ専用自動搬送装置を発表するなど、日本のものづくり現場の自動化を技術面で支えてきました。
 現在の事業領域は多岐にわたり、製造・流通企業向け「イントラロジスティクス事業」、半導体分野向け「クリーンルーム事業」、自動車業界向け「オートモーティブ事業」、空港施設向け「エアポート事業」などを展開しています。顧客の個別ニーズに応じたカスタマイズ設計、製造、保守までを一貫して手掛けることで市場競争力を強化しています。競合他社との差別化要因として、主要製品の完全内製化による品質管理と短納期が挙げられます。この戦略によりコスト競争力を維持しつつ、日本・北米・中国・アジアなどグローバル市場で拡大する省人化需要に対応した物流・生産システムを提案し続けています。
 当ファンドでは、特に流通業向け、半導体業界向けの成長に注目しています。流通業においては世界各国で省人化ニーズが高まっています。またアジアでは同社が強みとして持っている立体自動倉庫システムへの需要が高まっています。半導体業界向けにおいても、引き続き先端半導体分野を中心に市場成長が期待されます。先端半導体分野では、半導体チップをパッケージ化するプロセスでもクリーンルームが使われ始めており、同社には新たな市場となっています。
 加えて当ファンドでは同社の利益率改善にも期待しています。同社は顧客ニーズに応えるという理由から、多くのプロジェクトをゼロから設計してきました。しかし、今日では同社の過去のノウハウの蓄積が進み、過去の設計を使うことで、新規のプロジェクトであっても効率的に設計を進めることができるようになりつつあります。更に、同社の高い付加価値・品質と顧客サポート体制に裏打ちされた製品・サービスには、価格上昇の余地があると考えられます。引き続き同社の成長に期待していきたいと思います。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2025年3月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年3月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.22%の上昇、日経平均株価は同4.14%の下落となりました。当月の日本株式市場は、米国の関税政策に対する不安や地政学的リスクの影響を受けて投資家心理が動揺し、荒い値動きが続きました。
 月前半にはトランプ米大統領の相次ぐ関税発動によって世界的な景気減速懸念が台頭し、景気敏感株を中心に日本株式市場は大きく下落しました。
 月半ばには植田日銀総裁の利上げ継続を示唆する発言、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の大幅上昇、ウクライナ情勢を巡る地政学的リスクの後退などに加え、ウォーレン・バフェット氏が率いる米国Berkshire Hathaway社による日本の商社株の保有増が好感されてバリュー株を中心に買いが集まり、日経平均株価が弱含むのに対してTOPIXは底堅く推移し、日経平均株価をTOPIXで除したNT倍率は5年ぶりの低水準となりました。
 月後半に入ると、トランプ米大統領が輸入車に対して一律25%の関税を課すと発表したことで自動車株や半導体株が大きく売られ、リスク回避ムードが強まりました。さらに、米国で物価上昇と景気停滞が同時に起きる「スタグフレーション」への懸念が一層強まり主要株価指数が大きく下落したことを受け、日本株式市場もほぼ全面安となり、日経平均株価は約7か月半ぶりの安値で当月の取引を終えました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐1.88%の下落となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.22%の上昇を2.10%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、マックス、三菱UFJフィナンシャル・グループ、東京海上ホールディングスなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、リクルートホールディングス、日立製作所、MARUWAなどでした。

 当月は、当ファンドの組入上位銘柄である「マックス」について、投資の理由・魅力をコメントしたいと思います。
 マックスは、オートステープラ(複合機内蔵用電動ホッチキス)を中心としたオフィス機器セグメントと、鉄筋結束機などの建築工具を中心としたインダストリアル機器セグメントが収益の柱となっている企業です。当ファンドでは、同社の鉄筋結束機の世界的成長を期待し投資しています。
 1985年に販売開始されたオートステープラが、マックスを規模、質ともに大きく飛躍させたため、株式市場では近年まで、マックス=オートステープラ(ホッチキス)のイメージが強かったと思われます。複合機が世界的に普及するに従い、オートステープラも普及し、同時に消耗品としてホッチキスの針が売れました。そうして同社は消耗品で安定的に稼ぐモデルを確立しました。現在、同社はオートステープラで世界シェア約80%と高い市場占有率を誇っています。しかし、先進国での複合機の普及が一巡したことや、デジタル化・ペーパーレス化の流れから、オートステープラ事業は成熟に向かっています。
 一方、当ファンドが注目している鉄筋結束機は、マックスの成長を牽引しうると考えています。鉄筋結束機とは、建設現場で鉄筋を結束する機械です。マックスの鉄筋結束機を使うと、建設現場で鉄筋工が鉄筋を手で結束することに比べ、結束スピードが飛躍的に改善し、建設現場の生産性が向上します。そのため、同社の鉄筋結束機は、人件費の高い先進国を中心に拡大が続いています。またオートステープラと同じで、結束ワイヤーが消耗品として出荷されています。結果として、マックスのインダストリアルセグメントは、規模拡大に加え、営業利益率も改善傾向が続いています。また、長期的にはアジア諸国での拡大を当ファンドは期待しています。現時点では、アジア諸国での鉄筋結束機の拡大は限定的です。アジア諸国は人件費が安く、同社の鉄筋結束機を使う経済合理性が大きくないためと考えられますが、人口動態を考えるとアジア諸国でも今後人手不足・賃金上昇が想定され、先進国と同じ動きになると思われます。
 投資開始以降、マックスの営業利益は、インダストリアルセグメントの拡大を背景に成長が続いています。同時に同社は株主還元を強化しており、株価も底堅い動きとなっています。引き続き同社の成長に期待していくと共に、適切に投資判断していきたいと思います。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2025年2月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年2月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比3.79%の下落、日経平均株価は同6.11%の下落となりました。当月の日本株式市場は、トランプ米大統領の関税政策に関する言動に振り回され、月後半にかけて大幅な下落となりました。
 月前半にトランプ米大統領がメキシコ、カナダ、中国に対する追加関税の検討を表明したことを受けて日本株式市場は急落しましたが、その後メキシコとカナダの関税発効が延期され株式市場は一時的に回復しました。しかし、複数の米国経済指標の結果からスタグフレーション(景気の後退と物価の上昇が同時進行する経済状況)懸念が再浮上する中で投資家は慎重な姿勢を保ち、日本株式市場も方向感のない、上値の重い相場が続きました。
 月後半には、日銀の追加利上げ観測が高まり国内長期金利は一時約15年ぶりの高水準まで上昇しました。また、米国の消費者信頼感指数や購買担当者景気指数(PMI)が予想を下回る結果となり、米国経済の先行きに対する懸念が強まりました。これを受けて、為替市場では円高ドル安が進行し、日本株式市場の重石となりました。さらに、トランプ米政権による対中半導体規制強化の観測や、米国ハイテク株の下落、米国の関税政策を巡る不透明感などが影響し、日本株式市場は大幅に下落し当月の取引を終えました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐5.36%の下落となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同3.79%の下落を1.57%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、ソニーグループ、ダイフク、メルカリなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、ライフドリンク カンパニー、リクルートホールディングス、MARUWAなどでした。

 当月は当ファンドで保有する「ベイカレント」について、投資の理由・魅力をコメントしたいと思います。
 同社は、1998年にITシステム受託開発を主軸とした企業として創業しました。以降、業態をコンサルティング事業に広げ、現在ではIT関連に強みを持つ日系大手総合コンサルティングファームとなっています。
 当ファンドでは同社の事業環境は旺盛な需要が続くと考えています。
 まず、コロナ禍を経て社会的にデジタル化のニーズが高まりました。背景には日本企業のデジタル化の遅れが指摘されており、このデジタル化ニーズは現在も高水準で継続しています。加えてポストコロナの経済再開および訪日旅行客の増大を受けた、人手不足感の高まりが挙げられます。企業は採用活動を強化すると同時に、省人化・生産性改善に対する意識を高めています。
 また、当ファンドでは同社の成長戦略に期待しています。
 同社は2024年9月に持株会社化し、傘下にコンサルティング事業、ITサービス事業の2つを抱えることになりました。現在の顧客ニーズは単なるコンサルティングによる戦略アドバイスだけではなく、ビジネス成果に直結する仕組みを構築することにあり、コンサルティングとITサービスを分断せずに一気通貫で提供できる体制が現代のコンサルティング企業に求められる核心的競争力と当ファンドでは分析しています。現時点では新規に立ち上げたITサービスは小さい売上規模ですが、前述のように顧客ニーズに合致した戦略であることを踏まえると、将来の拡大に期待が持てると考えています。
 足元の同社の株価は好調に推移しています。2024年は同社の大手顧客が業績悪化を背景にプロジェクトを停止したことや、新型コロナウイルス関連のプロジェクトが社会的混乱の沈静化に伴い収束に向かったことなど、同社にとっては非常に厳しい年でした。当ファンドの分析では、前述の2つの大きなプロジェクトが終了し、そのマイナスインパクトを株式市場は懸念していたと思われますが、同社は大型案件の収束に対し、営業活動の強化や既存クライアントの需要の深堀りをすることで、マイナスインパクトをほぼ出すことなく、成長を持続させることに成功しています。
 当ファンドでは、今後も良好な事業環境が継続し、同社は中長期にわたって成長が続くと期待しています。

 同社のリスクとして、質を伴わない事業の急拡大と顧客満足度の低下が挙げられますが、現時点では同社の経営陣はスピードと品質を上手くコントロールできているとみています。引き続き株価動向を踏まえながら、適切に投資判断をしていきたいと思います。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2025年1月の運用コメント

株式市場の状況

 2025年1月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.14%の上昇、日経平均株価は同0.81%の下落となりました。
 月前半は、米国の堅調な景況感指数や雇用統計の結果を受け、米国の利下げ期待の後退から日米長期金利が上昇したことや、米バイデン政権がAI(人工知能)向け半導体の輸出規制を強化する計画であると報じられたこと、その後当規制案が発表されたこと等を受け、株式市場は下落しました。
 月半ばには、日銀総裁および副総裁から当月の金融政策決定会合で「利上げを行うかどうか議論して判断する」と、利上げを行う可能性が示唆されたことで円高が進行し株式市場の重しとなりました。しかし、昨秋からのレンジ下限として意識されている水準に近づくと下げ止まりの動きを見せ、株式市場は一転して上昇いたしました。
 月後半は、トランプ米大統領が公約に掲げてきた対中関税の即時発動を見送ったことや、ソフトバンクグループ、OpenAI(米国)、Oracle社(米国)等が今後4年間で米国のAI開発事業に最大5,000億米ドルを投資すると発表し、AI・半導体関連銘柄が上昇をけん引したことなどにより、株式市場は堅調に推移しました。
 一方、月の終盤にかけては、中国のAI開発企業DeepSeekが、米国製競合モデルを上回る性能を持った大規模言語モデルを低コストで開発したと公表したことで、米半導体企業の独占的地位が揺らぐとの警戒感から日米のAI・半導体関連銘柄が大幅に下落し、株式市場全体を下押しする局面がありました。しかし、月末にかけては揺り戻しの動きが見られ、前月末と概ね同水準で当月の取引を終えました。
 当月もしばらく続くレンジ内での推移に終始した格好となりました。また、月中に日銀は政策金利の0.25%の引き上げを実施いたしましたが、事前の日銀総裁および副総裁の発言や、利上げ観測報道で市場への織り込みが進んでいたことから、影響は限定的なものとなりました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐0.85%の下落となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.14%の上昇を0.99%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、ベイカレント、マックス、みずほフィナンシャルグループなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、MARUWA、ライフドリンク カンパニー、サイゼリヤなどでした。

 当月は当ファンドで保有する「共立メンテナンス」について、投資の理由・魅力をコメントしたいと思います。
 共立メンテナンスは1979年に給食受託事業からスタートし、学生寮・社員寮を運営する「寮事業」、さらにビジネスホテル・リゾートホテルを運営する「ホテル事業」と「食と住のサービスの提供」を基軸にした事業展開をしている会社です。特に、ドーミーイン事業(ビジネスホテル)では、大浴場の完備や夜鳴きそばの無料サービスなど他のビジネスホテルとは差別化されたサービスを提供しており、消費者に支持されています。
 当ファンドでは同社の財務体質の改善とホテル事業の成長性に注目しています。
 コロナ禍による移動制限に伴いホテル事業が大打撃を受け、一時は赤字に転落するなど財務体質が毀損しました。しかし、リオープンによる国内人流の回復や、訪日外国人客需要による稼働率・客室単価の上昇などにより2024年3月期に同社はホテル事業において過去最高の営業利益を記録し、財務体質も回復基調にあります。
 成長性の観点では、訪日外国人客の増加に伴う客室単価の上昇傾向が追い風で、客室単価の上昇分はそのほとんどが利益へと直結します。また、円安の進行とともに日本人の旅行先として海外から国内に需要が移っている傾向も見逃せません。今後のホテル開業のパイプラインも力強く、同社の業績は成長局面に回帰したと当ファンドでは考えます。
 今後見込まれる力強い利益成長を鑑みれば同社の株価には割安感があると考えますが、投資家が懸念していることとして、2つ取り上げます。
 1つ目は為替動向の影響です。円安の進行により外国人から見た場合に、国内ホテルの客室単価はかなり割安に映っていると思われます。しかし、円高になれば客室単価に悪影響を及ぼし得ます。一方で、日本国内の主要観光地やビジネスエリアの地価はすでに大きく上昇していることや労務費の高騰から、ホテルの建築費や営業費用は以前と比べて大きく増加しており、今後ホテルの客室単価が大幅に下がる可能性は低いと当ファンドでは考えます。
 2つ目は増資などのコーポレーション・アクションの可能性です。業績拡大は株価にとってプラスであることが一般的ですが、大きな増資を伴う成長の場合、1株当たりの利益が期待よりも増えないというリスクが考えられます。先述の通り、日本国内の建築費の高騰により同社の資金需要は高まることが予想されます。
 同社はコロナ禍において転換社債型新株予約権付社債を発行しており、今後株式に転換される可能性が残っています。しかしこれはコロナ禍という非常事態を乗り切るための発行であり、ホテル事業がキャッシュを生み、財務体質が改善している現在では追加的に資金を調達する必要性は低くなっていると考えます。
 当ファンドでは以上のことから、同社は今後も本格的な業績回復が期待できると判断しています。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2024年12月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年12月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比4.02%の上昇、日経平均株価は同4.41%の上昇となりました。年間では両指数とも2年連続で上昇し、年末終値としては日経平均株価が最高値を更新しました。
 月前半には、厚生労働省が年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を通じて運用する資産の利回り目標を引き上げる方針を明らかにしたことで、日本株式の資産配分比率が高まるとの思惑が高まったことや、好調なハイテク株に支えられた堅調な米国株式市場、さらには米国の利下げ鈍化懸念からの円安進行等が日本株式市場の上昇につながりました。
 月後半には、18日に米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)において予想通り政策金利の引き下げを決定し、2025年については2回の利下げに留まることを示唆しました。これを受けて米国長期債利回りは上昇し、米国株式市場は調整に転じ、その影響で日本株式市場も軟調に推移しました。しかしながら19日には日銀は金融政策決定会合にて金利を据え置くことを決定し、その後の記者会見で植田日銀総裁がハト派的な発言を行ったことで為替市場では円安ドル高が進みました。その後は好調な米国の半導体株及びさらなる円安に支えられ、日本株式市場は再び上昇に転じ、27日には日経平均株価は4万円の大台を回復しました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐3.29%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同4.02%の上昇を0.73%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、MARUWA、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、ソニーグループなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、ライフドリンク カンパニー、ダイセキ、メルカリなどでした。

 当月は当ファンドで保有する「リログループ」について、投資の理由・魅力をコメントしたいと思います。
 リログループの原点は、1984年に「転勤者の留守宅管理システム」を日本で最初に始めたことにあります。転勤者の多くが持ち家を保有しており、転勤中の留守宅を安心して貸し出すことができるサービスは好評を博しました。同社はサービス領域をさらに広げ、海外転勤者の引越のサポートやビザの手配など、転勤者向けの包括的サービスである「リロケーションサービス」を提供しています。また、企業が直面する課題に応える形で借上社宅の管理事業や福利厚生サービスの提供事業、ホテルや旅館の再生事業なども展開しています。自社だけで展開できない事業領域についてはM&Aなどを有効活用していることも同社の特徴です。
 同社は、顧客企業のニーズの変化をチャンスに変えて、業績拡大に繋げることができると当ファンドでは考えます。
 例えば、以前は企業が社宅を保有し、そこに社員を住まわせることが一般的でした。しかし最近では、企業は社宅を廃止し、社員の住む場所を企業が代わりに借り上げ(借上社宅)が増えています。社宅管理も、総務部・人事部のような社内で管理している状況から、同社のような企業に外注する流れも強まっています。また、企業は従業員のために保養所を保有していることも珍しくありませんでした。しかし、バブル崩壊とともに、その維持・管理の負担が重くなり、企業にとっては悩みの種となっていました。リログループはそのような保養所を企業から買い取って再生する事業へとつなげていきました。今後も、企業側のニーズは一層多様化、複雑化すると考えられ、リログループのように企業の困りごとを包括的に対応できる会社に対する需要は高まっていくと当ファンドでは考えます。
 一方で、リログループの株価は近年、振るいませんでした。その原因は2019年に同社が買収した、リロケーションサービスの世界的大手Brookfield RPS社(米国、以下、「BGRS社」、現SIRVA-BGRS Holdings社)が非常に厳しい財政状態に陥ったためだと当ファンドでは考えます。BGRS社の買収直後にコロナ渦となり、米国でも引っ越しが極端に減った結果、BGRS社は大きな赤字を抱えることになりました。2022年には同業のSIRVAグループ(米国)との経営統合により合理化を図りましたが、回復には至っていません。リログループはSIRVA-BGRS Holdings社に追加的に資金支援していたこともあり、財務への影響について懸念が高まっていたことから、株価が低迷していたように見受けられます。
 しかし、2024年5月に転機が訪れます。リログループは保有するSIRVA-BGRS Holdings社の株式を減損し、貸し付けていた金銭も放棄、合わせて476億円の損失を計上するという発表をしました。また同時に、保有する日本ハウズイング㈱の株式を約332億円で売却することも発表しました。この発表により懸念されていたSIRVA-BGRS Holdings社の損失が確定して悪材料が出尽くし、今後はリログループ本来の基調的な成長性に注目が集まると当ファンドでは考えます。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2024年11月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年11月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.51%の下落、日経平均株価は同2.23%の下落となりました。
 月前半は一進一退の展開となりました。5日に実施された米大統領選挙で共和党のトランプ前大統領が優勢と伝わったことから日経平均株価は大幅に上昇し、7日には40,000円に迫る場面もありました。しかしその後、トランプ次期米大統領が政権人事で対中強硬派の人物を起用する方針が報じられ、次期政権が掲げる関税強化策への警戒感が強まったことで半導体関連株に売り圧力がかかり、株式市場は下落に転じました。一方、14日には米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が「利下げを急ぐ必要はない」旨の発言をしたことで円安が進行し輸出関連株が買われ、半導体関連株の反発もあって株式市場の連日の下落が一服しました。
 月後半は狭いレンジで推移し、米国の金融政策の先行き不透明感や米国半導体株の動向に一喜一憂する動きが続きました。また、トランプ次期米大統領が中国、メキシコ、カナダに対する関税措置を発表したことを受け、相場は軟調な動きが続き、前月末比で下落して当月の取引を終えました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐1.62%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.51%の下落を2.13%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、ライフドリンク カンパニー、みずほフィナンシャルグループ、リクルートホールディングスなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、東洋炭素、ニチハ、キーエンスなどでした。 

 当月は新規に投資を開始した「新日本空調」について、投資の理由・魅力をコメントします。
 新日本空調の創立は1930年に遡り、米国キヤリアコーポレーション社の日本法人として設立された東洋キヤリア工業㈱がその前身です。1969年、その工事事業部が分離独立して設立されたのが現在の新日本空調です。
 同社は日本初の商業用原子力発電所である東海発電所向けの空調や、日本初の超高層ビルである「霞が関ビルディング」の空調を施工するなど、日本の産業興隆期において重要な役割を果たし、バブル期に至るまで売上を大きく伸ばしましたが、バブル崩壊とともに建設業は冬の時代に入り、同社の売上および収益性も低迷する時代が長く続きました。
 しかし現在、その潮目が大きく変わってきていると当ファンドでは考えます。2024年3月期の同社の連結売上高は約1,280億円、営業利益率は7.2%と上場来最高水準にあり、業績の拡大が今後数年は続くと当ファンドでは予想しています。
 まず、空調施工の需要が非常に堅調です。都市部では再開発が盛んに行われ、大型のビルの竣工が相次いでいます。地方部では半導体工場やデータセンターの新設に伴い、クリーンルームなどの付加価値が高い空調設備へのニーズが高まっています。しかしながら、空調施工業者の供給力が堅調な需要に追い付いていません。その背景には人手不足があります。業界では働き盛りの50代の社員層が非常に厚く、毎年、定年を迎えて退職する社員が相当数います。一方で主たる採用ルートである新卒採用は学生の数が減少傾向にある中、学生の奪い合いになっており、大きく増やすことが難しい状況です。ゆえに、需要が堅調であるにもかかわらず社員数の純増ペースが緩やかになっています。このような状況で同社を含めて空調施工各社は仕事の選別をしています。言葉を換えれば、利益が出やすい案件だけを受注しているため、業績が堅調に推移しやすい状況にあると言えます。
 また、同社の特徴として、原子力発電施設内の空調設備工事に対応できるという点があります。高い専門性が求められる分野で競合がいないため、収益性が高いと推察されます。近年、国内では電力需要が非常に旺盛であり、原子力発電所の再稼働が今後増えていけば、同社の業績にとってのアップサイドとなり得ます。
 同社のバリュエーションは高砂熱学工業㈱などの空調施工大手より割安に取引されており、規模の違い、つまり投資家にとっての取引のしやすさや知名度がバリュエーションに反映されていると当ファンドでは考えます。一方で同社の将来性、業績拡大の確度が高いとみており、より割安な同社株への新規投資を開始しています。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2024年10月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年10月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.88%の上昇、日経平均株価は同3.06%の上昇となりました。
 月前半は、全米企業エコノミスト協会の年次総会に登壇したパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が今後の利下げについて「急ぐ必要はない」と強調したことや、米国雇用統計が市場予想を大幅に上回ったこと等から利下げ観測が後退したこと、石破茂首相から日銀の早期の追加利上げに否定的な見解が示されたこと等からドル高円安が進行しました。また、中東情勢の悪化により株価が一時的に下落する局面もありましたが、前述のように円安の進行や米国経済の底堅さ、石破政権が岸田前政権の経済政策を継承するとの方針が確認されたこと等から株式市場は上昇いたしました。
 月半ばから後半にかけては、オランダの半導体製造装置大手ASML Holding社の決算発表で2025年12月期の業績見通しが引き下げられたことで半導体関連株に売りが広がったことや、日米長期金利の上昇基調の継続が意識されたこと、27日投開票の衆議院選挙で与党自民・公明両党が過半数議席の確保が微妙な状況と報じられたこと等から株式市場は軟調な推移となりました。
 衆議院選挙では連立与党が2009年以来15年ぶりに過半数を割り込む結果となり、今後の政権の枠組みは少数与党が政策や法案ごとに野党に協力を求める「パーシャル(部分)連合」になるのではないかという見方が強まりました。財政拡張的な政策を掲げる野党との協力により景気刺激的な政策が実行される可能性が意識されたことや、リスクイベント通過に伴う先物の買戻し等から株式市場は衆議院選挙を境に一転し、前月末比で上昇して当月の取引を終えました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐0.20%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同1.88%の上昇を1.68%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、リクルートホールディングス、日立製作所、三菱UFJフィナンシャル・グループなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、ライフドリンク カンパニー、東洋炭素、テレビ東京ホールディングスなどでした。

 当月は当ファンドで保有する「積水ハウス」について、投資の理由・魅力をコメントしたいと思います。
 積水ハウスは日本を代表するハウスメーカーです。1960年に積水化学工業㈱が設置したハウス事業部が同社のはじまりで、木造住宅が主流の時代に、同社が導入したのは鉄骨を使ったプレハブ工法の画期的な住宅でした。その後、自社工場での部材生産や、賃貸住宅の管理事業を手掛けるなど、「積水ハウスグループがすべて、責任を負う」体制を構築してきました。ちなみに、住宅業界ではよく知られたブランド、「セキスイハイム」は積水化学工業㈱が運営しており、名前は似ているものの今回取り上げる「積水ハウス」とは別の会社です。
 現在、積水ハウスグループは戸建住宅だけでなく賃貸住宅や事業用建物の請負、マンションなどの開発事業、アメリカやオーストラリアなど海外での戸建住宅の販売やマンションの開発事業を手掛けており、総合ハウスメーカーとなっています。
 当ファンドでは、同社の日本事業の安定成長と海外事業の拡大に期待し、投資しています。日本では高品質な住宅に対する需要が堅調で、より付加価値が高いZEH(net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語で、「エネルギー収支をゼロ以下にする家」のこと)の販売も好調です。国土交通省によれば、不動産分野におけるCO2排出量は日本全体のCO2排出量の三分の一を占めており、同社がより多くのZEHを販売することが省CO2に大きく貢献するとともに、同社の収益拡大にも寄与することが見込まれます。海外事業については企業買収を軸に事業展開エリアを拡大し、同社の「SHAWOOD」ブランドの展開も進めています。人口減少が見込まれる日本だけでなく、米国やオーストラリアといった、人口拡大が当面の間見込まれる地域に展開することは企業の持続可能性を考える上で合理的な経営判断だと当ファンドでは考えます。
 同社の株価は過去数年、堅調に推移しています。これは、バリュエーション(PER(株価収益率))が大きく切り上がったわけではなく、同社の業績が堅調に拡大したことによるものです。一方で、投資家は金利動向が戸建てや賃貸住宅の需要に影響を及ぼすことを懸念していると思われます。当ファンドでは金利動向は注視しつつも、同社は業界における強いブランド力により業績を拡大することが可能だと考えています。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2024年9月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年9月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.53%の下落、日経平均株価は同1.88%の下落となりました。
 月前半は米国のISM製造業景況感指数や雇用統計が予想を下回ったことで、米国経済の減速懸念が高まり市場心理に影響を与えました。さらに米連邦公開市場委員会(FOMC)による利下げ期待と日銀の利上げ期待の高まりにより、月半ばにかけて円高が進行しました。このような状況の中、株式市場は一時的に下落した後、反発が見られたものの上値は重く、投資家は慎重な姿勢を維持しました。
 月後半はFOMCが0.5%の利下げを決定した後、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が緩和を急がない姿勢を示したことや、日銀が金融政策を現状維持したことから円高が一服し、輸出関連株や半導体関連株の買い戻しが進みました。また、自民党総裁選挙で高市早苗氏が当選し、金融緩和が再開されるとの見通しが高まったことで日経平均株価は26日から27日にかけて大きく上昇しました。しかし、最終的には石破茂氏が勝利し、経済政策への警戒感が高まったことなどから30日の日本株式市場は全面安の展開となり、前月末比で下落して当月の取引を終えました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐1.77%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同1.53%の下落を3.30%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、MARUWA、日立製作所、ライフドリンク カンパニーなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、リクルートホールディングス、SBIホールディングス、ロームなどでした。

 当月は当ファンドで保有する「東洋炭素」について、投資の理由・魅力をコメントしたいと思います。
 東洋炭素は1941年に創業した特殊黒鉛製品の世界的大手メーカーです。世界で初めて大型の等方性黒鉛製品の量産に成功し、ニッチな市場ではありますが世界トップレベルのシェアを維持しています。同社の主力製品は半導体ウエハー製造時の炉材として使用されています。一般的なシリコンウエハーだけでなく、SiC(シリコンカーバイド)ウエハーと呼ばれる高機能材料の製造にも必要不可欠な部材となっています。
 同社は日本で等方性黒鉛を集中的に生産し、用途に応じて形状を加工しています。生産期間はおよそ6~8か月と言われており、この長期間にわたる繊細な製造管理や品質の作り込みが高い参入障壁になっていると考えられます。また同社は中長期的な成長が見込める半導体関連の需要を捕捉するため、積極的な設備投資に踏み切っています。今後も付加価値の高い製品でシェアを維持・向上するための事業基盤が整備されつつあると当ファンドでは評価しています。
 足元ではEV(電気自動車)市場が踊り場を迎えており、EV向けに需要が期待されているSiCウエハーの出荷にも影響が出ているようです。同社は豊富な受注残を背景に現時点では堅調な売上成長を続けていますが、市場環境の悪化を認めており、一部SiC向け製品の売上には市場環境悪化の兆候が見られるとのことです。同社株価が軟調に推移しているのもそうした背景と思われます。一方で、スマートフォン、サーバー等の半導体に使われるシリコンウエハーの需要回復も観測されており、当ファンドでは同社がSiCウエハー製造向けの黒鉛素材をシリコンウエハー製造向けに振り替えることで、全体での業績拡大を継続できると考えています。世界の中長期的なデジタル化・電動化に対する方向性は変わっていないことから、同社の製品ポートフォリオの強靭さ、差別化技術、収益性の高さなどが株式市場で再度見直されることを期待しています。
 また、同社の製品は特にSiC半導体を中心とした高機能なパワーデバイス製造に不可欠であり、EVや電子機器の電力効率を向上させることで、省エネにも貢献しています。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2024年8月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年8月、日本株式市場の代表指標であるTOPIX(配当込み)は前月末比2.90%下落し、日経平均株価は前月末比1.16%下落しました。
 当月の日本株式市場は歴史的な乱高下を演じ、日経平均株価の月間値幅(高値と安値の差、終値ベース)がバブル経済崩壊時期を超えて過去最大となりました。
 7月31日の日銀金融政策決定会合での追加利上げが円高を呼び、さらに市場予想を下回った7月の米ISM製造業景気指数で米国景気減速懸念が台頭し円高が一層進行したことで、月前半の日本株式市場はリスク回避の流れが強まり暴落しました。5日には米国経済や雇用の減速への警戒などから円高が大幅に進み、午後には日経平均先物でサーキットブレーカーが13年ぶりに1日に2回発動され、日経平均株価は前日比4,451円の下落と過去最大の値下がりを記録しました。しかしながら翌6日には為替市場がいったん落ち着いたことで日本株式市場も落ち着きを取り戻し、TOPIXおよび日経平均株価は史上最大の上げ幅となりました。加えて、翌7日の内田日銀副総裁のハト派発言も投資家の安心感につながり、月半ばにかけて日本株式市場は急反発しました。
 月後半は米国経済への先行きに対する警戒感がひとまず和らぎ、日本株式市場は緩やかなペースで回復し、月前半の急落分の大半を取り戻して当月の取引を終えました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐2.23%の下落となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同2.90%の下落を0.67%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、日立製作所、ファーストリテイリング、ライフドリンク カンパニーなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、東京エレクトロン、共立メンテナンス、トーセイなどでした。

当月は当ファンドで保有する「横浜ゴム」について、投資の理由・魅力をコメントしたいと思います。
 横浜ゴムは1917年に横浜で創業したタイヤメーカーです。横濱電線製造(現古河電気工業㈱)と米国のBFグッドリッチ社の合弁会社として設立され、戦前のコードタイヤ開発に始まり、戦後にはスノータイヤやスポーツラジアルタイヤなど数々の日本初となる画期的な製品を発売し、グローバルに成長を続けてきました。
 乗用車向けのタイヤ消費財市場では2010年以降、低コスト・低価格を武器とした新興国のタイヤメーカーが生産能力を拡大しており、競争は年々激しくなっています。特に、中国タイヤメーカーの拡大は著しく、上位10社の増産投資計画を合算すると、10年以内に中国メーカーの生産比率は全世界の乗用車タイヤの50%を占めることが予想されています。このようにタイヤメーカーを取り巻く急速な環境変化に対して、同社を含むメジャータイヤメーカーはブランド力や技術投資を強化し、本数成長以上に価格の引き上げを優先するプレミアムカー戦略で対抗してきました。
 当ファンドが注目しているのは、厳しい環境下でも徹底的に成長を追求する同社の経営姿勢です。消費財ブランドの“深化”と並行して“探索”と銘打ち、農機・建機などいわゆる「はたらくくるま」に搭載されるタイヤ生産財の強化に向けたM&Aを継続しています。2016年のオランダの農機・建機用タイヤメーカーAlliance Tire Group社(ATG)買収を皮切りに、2023年には農機・産業車両タイヤのトップブランドを有するスウェーデンのTrelleborg Wheel Systems Holding社(TWS)を買収することで、農機向けタイヤでは世界トップメーカーに昇り詰めました。農機や建機は舗装されていない道で稼働しており、これらの機械に搭載されるタイヤは「Off-Highway Tire(OHT)」と呼ばれます。OHTは消費財と比較して高い市場成長性が期待され、多品種少量生産かつ製造の複雑さを背景に高い参入障壁を誇ります。
 2024年7月には、新たに米国のタイヤメーカーであるThe Goodyear Tire & Rubber社から鉱山・建機向けタイヤ事業を買収する契約の締結を発表し、OHT業界での市場シェアをより一層盤石なものとする戦略を強化している点も高く評価しています。
 一方で、乗用車タイヤ主要市場での販売減速が観測される中、メキシコと中国で立て続けに大規模な成長投資の計画を発表した同社の株価は7月以降下落基調にあり、PBR(株価純資産倍率)は一時0.5倍程度の水準となりました。当月前半に開示された2024年度第2四半期決算では、株式市場でのタイヤ市場減速懸念をよそに、通期計画の上方修正を発表する好調な業績を示しました。同時に、現行の中期経営計画最終年度である2026年度の事業利益目標も上方修正しており、力強いメッセージを受け、株価指標は回復に転じています。
 当ファンドでは、中期経営計画の中の柱の一つである、抜本的な製造コストダウンを目指す「1年工場」というコンセプトに注目しています。成長投資による規模の拡大だけでなく、投資リターンの刈取り時期や蓋然性といった“質”を並行して高めるべく、ものづくりのあり方を根本から見直すという挑戦的な取り組みとして大いに期待しています。同社はタイヤ業界随一の成長志向企業であり、戦略的投資へのキャピタルアロケーションを重視していることから、同業他社と比較して、株主還元の比重は決して高くありません。裏を返せば、競争が激化する市場の中で、それだけ有望な投資案件を豊富に抱えている稀な企業であるとも言えます。当ファンドは、従前から対話を通じ、同社の経営陣の資本収益性に対する強いコミットメントを確認しており、成長戦略の追及こそが企業価値向上への最短ルートであると強く共感しています。
 同社のPBRは現在も1倍を下回る状態が続いており、市場からは株主資本コストを上回るROE(株主資本利益率)を持続的に達成することが難しいとの評価を受けていることが推察されます。厳しいタイヤ市場の中でも際立った成果を実現すべく、投資リターンの刈取りを着実に積み重ねようとする同社の経営姿勢は、山石CEO就任の2017年以降の実績からして、信頼できるものだと考えています。当ファンドはパートナー株主として、同社の持続可能な成長力についての市場からの理解浸透、具体的には期待ROEとPER(株価収益率)の向上をサポートするため、腰を据えて対話を続けていきたいと思います。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2024年7月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年7月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.54%下落し、日経平均株価は前月末比1.22%下落しました。
 当月の日本株式市場はボラティリティの大きい相場展開となりました。月前半は、前月からの好調な流れを引き継ぎ堅調に推移しました。米国の雇用統計で労働需給の逼迫が緩和される兆しが見られ、FRB(米連邦準備制度理事会)の年内利下げ観測が高まったことで、長期金利が低下し、米国のハイテク株が上昇しました。日本でも半導体関連銘柄が相場を支え、日経平均株価は連日で史上最高値を更新し、11日には4万2,000円台に到達しました。しかしながら米国消費者物価指数が想定以上に軟化し、米国ハイテク株に利益確定売りが入ったことやドル円が円高方向に振れたことなどから、日本株式市場は下落に転じました。そして月後半に入ると下げが一層加速しました。トランプ氏が大統領選で優勢と伝わると、米中対立の深刻化やドル高是正などの自国優位政策が懸念され、半導体関連株に売りが膨らみ、日本株にも影響が及びました。さらに日銀の追加利上げやFRBの利下げ観測から「円キャリー取引」の巻き戻しが発生し、ドル円は一時151円台を付け、日本株式市場も幅広く売りが広がり、日経平均株価は3万8,000円を割り込む水準まで大幅に下落しました。
 31日に日銀は金融政策決定会合で政策金利を0.25%程度に引き上げることを決定し、国債買い入れの減額計画も明らかにしました。また、米国政府が対中国の半導体輸出規制で日本などを除外すると報じられると、半導体関連株が反発し日本株式市場は下げ幅を縮小して当月の取引を終えました。

ファンドの運用状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐0.78%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.54%の下落を1.32%上回りました。 
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、ベイカレント・コンサルティング、MARUWA、ライフドリンク カンパニーなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、日立製作所、東洋炭素、東京エレクトロンなどでした。

 当月は当ファンドで保有する「MARUWA」について、投資の理由・魅力をコメントしたいと思います。
 MARUWAは放熱用セラミック部品の製造販売を手掛ける世界的大手企業です。ルーツは江戸時代から続く陶芸家の家系にあります。大正時代に和食器の製造を始め、戦後には陶磁器に事業を拡大しました。高度成長期の1960年には、急速に需要が拡大していた電子部品分野へ進出し、今日につながる事業の基盤を築きました。その後、M&Aなどにより自社にない技術・製品を取り入れながらも成長を続けてきました。
 同社がフォーカスしている高付加価値セラミックは、放熱用部材として、主にEV(電気自動車)や通信機器向けに用いられています。高電圧を必要とするEVの駆動系においては、発熱による性能低下が大きな課題となっており、高性能な放熱用セラミックが求められます。また、データセンターは大量の電気を必要とし、結果として発熱が避けられないと言われており、空調だけでは放熱が追い付かず寒冷地を選んで設置されることがあるほど放熱部品の重要性が高まっていると思われます。放熱部品として他の素材が使われることもありますが、自動車やデータセンターなどの重要な分野においては信頼性が高いセラミック部品が好まれています。一方で、均質なセラミック製品を量産するのは簡単ではありません。高度な製造ノウハウの秘匿化が参入障壁となり、同業他社が参入を試みているハイエンドセラミック製品で、同社は世界トップシェアを維持していると当ファンドでは推定しています。2025年3月期第1四半期決算においても、世界的にEV市場の減速が懸念される中、ハイブリッド車向けが主に牽引する形で車載事業が成長していることを確認できました。通信機器向けにおいても、データセンターなどの高速通信向けの需要が旺盛であり業績拡大期に突入していると推察しています。
 当ファンドは世界的な電動化の進行や通信速度の加速を目的としたデータセンター投資の活発化を背景に放熱が社会的に大きな課題になりうると想定しており、構造的に拡大する需要に対応して生産能力を増強することで業績拡大が継続すると考えます。引き続き同社の成長に期待しています。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2024年6月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年6月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.45%上昇し、日経平均株価も前月末比2.85%上昇しました。
 当月の日本株式市場は、日米の金融政策の動向に注目が集まるなかレンジ内でもみ合いの推移となった後、円安の進行とともに月末にかけて上昇しました。月前半は、米国金融政策の動向を巡り米国マクロ経済指標に注目が集まるなか、雇用・物価関連指標等の結果を受けインフレ鈍化の見方が支持され、目先のFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測の高まりから米国長期金利が大幅に低下し、米国株式市場は半導体・ハイテク株中心に上昇しました。この流れを受けて、日本株式市場も上昇しました。月半ばには、日銀金融政策決定会合で、日銀が国債買い入れ減額の方針を固めたものの、具体策については公表が見送られ、円安の進行とともに日本株式市場は上昇しました。その後は、会合後の記者会見にて日銀総裁より買い入れ減額規模について「相応の規模になる」との発言があったことや、7月の会合で利上げを行う可能性も否定しない主旨の発言があったこと、また、フランス政治不安が改めて意識され下落した欧州市場の影響などいくつかの材料が出るなか、日本株式市場は下落する場面がありましたが、月後半にかけて株価は持ち直しました。月後半は、ドル円レートが一時161円台まで下落し、1986年12月以来およそ37年ぶりの安値を更新しました。円安が支えとなったほか、日本長期金利の上昇を受けた銀行株などの上昇も相場をけん引し、月末にかけては配当金の再投資の観測もあるなかで日本株式市場は前月末対比で上昇し、当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐5.02%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同1.45%の上昇を3.57%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、ライフドリンク カンパニー、MARUWA、日立製作所などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、ブリヂストン、ニチハなどでした。

 当月は当ファンドで保有する「サイゼリヤ」について、投資の理由・魅力をコメントしたいと思います。
 サイゼリヤは国内最大手のイタリアンレストランチェーンです。1973年設立以降、同社は60年構想で1,000店舗展開を視野に入れ、食材の生産から店舗調理まで一貫して品質管理を行う製造直販体制を構築してきました。具体的には、レタスは種から品種改良を行い、牛肉やミルクはオーストラリアの自社工業で加工し、イタリア食材の輸入は商社を使わずに直接仕入れをしています。さらに、これらの調達食材をカミサリー(食品加工工場)にて中間加工することで、店舗での調理オペレーションを極限まで削減してきました。これらの取組によって、品質を自分たちでコントロールしつつ、リーズナブルな価格を両立させ、チェーン展開を進めてきました。同社は各工程での生産者・作業者の労働生産性を向上させ、「フードサービス業の産業化」を目指しています。このような活動は、従業員の働きがいの向上や、食材の安定調達による生産者の雇用維持にも貢献しております。
 同社の特徴とも言える価格の安さは海外でも受け入れられ、2003年以降、アジアでも店舗展開しており、特に中国事業は同社の成長を牽引しています。中国事業は各種コストの上昇をメニュー価格に転嫁していますが、それでも中国国内の他のイタリアンレストランと比較しても割安と言われています。また直近では、中国経済の不況の影響を受け、中国の高所得消費者層も取り込み、さらに客数は増加傾向にあるようです。
 一方で、日本では食材価格や人件費の上昇を受け、外食各社が値上げを続ける中、同社はメニュー価格の据え置きを表明しています。日本と中国での価格戦略の差は、消費者の所得環境の違いによるものです。中国の所得は増加傾向にあることから、価格上昇が受け入れられる一方、日本の所得上昇は弱く、まだ価格引き上げのタイミングにない、という判断をしています。
 当ファンドでは、日本事業の収益性改善、中国事業の拡大に期待し、同社に投資しております。投資開始以降、同社はファンドのパフォーマンスにプラスに貢献していますが、一部の株式市場参加者からは日本でのメニュー価格据え置きの経済合理性が懸念されていると推測します。しかし当ファンドでは、同社が安易に値上げせず、コスト低減に向けた現場でのオペレーションやメニュー改善を継続することにより、客数・客単価をさらに上昇させ収益性を改善し、中長期的には同社の外食産業における競争力をさらに高めることを狙っていると考えています。
 また同社の情報開示は限定的で、上記の日本と中国の収益性の差への考え方が明示されていません。中長期の成長戦略等の開示を通じ、株式市場からの懸念が解消すれば、さらに同社への評価が上がると考えており、引き続き同社の成長に期待していきたいと思います。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2024年5月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年5月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.16%上昇し、日経平均株価も前月末比で0.21%上昇しました。
 当月の日本株式市場は、月前半は4月の米国雇用者数が市場予想を下回り、米利下げ観測が強まったことから日米株式市場ともに上昇しましたが、日銀の金融政策正常化観測などから上値が抑えられました。月半ばには米消費者物価指数や米小売売上高など予想を下回る指標が発表され、金融引き締めの長期化への懸念が後退しました。その結果、米国の主要3株価指数が史上最高値を更新し、日経平均株価も一時39,000円を回復しました。さらに、NVIDIA社(米国)が市場予想を上回る好決算を発表し、半導体株が軒並み上昇して相場を支えました。月後半は、米景気の底堅さを背景とする利下げ動向への懸念や、日銀総裁の追加金融引き締めを示唆する講演が再び注目されて日米長期金利の上昇により株価が下落しましたが、最終的には金利上昇がひとまず一服したとの見方が買い戻しにつながり、前月末を上回る水準で月を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐1.01%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同1.16%の上昇を0.15%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、日立製作所、リクルートホールディングス、ディスコなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、東洋炭素、トーセイ、イー・ギャランティなどでした。

 当月は当ファンドで保有する「ダイフク」について、投資の理由・魅力をコメントしたいと思います。
 ダイフクは、物流や製造現場で材料や製品などを運搬するマテリアルハンドリングシステム(以下、マテハン)を提供する企業です。同社は、「モノを効率的に保管、搬送、仕分け・ピッキングする」機械設備およびそれらを制御するソフトウェアを組み合わせ、システムを構築することで、顧客の物流業務において重労働や反復作業の軽減に貢献しています。同社は1937年に航空・船舶向けの鍛圧機械メーカーとして創業し、戦後にマテハン機製造にシフトしました。1950年代にはトヨタ自動車工業㈱へ自動車製造用コンベヤシステムを、1966年には松下電器産業㈱(現パナソニック ホールディングス)へ日本初の高層自動倉庫を、1982年にはファナック㈱に無人搬送車のFA(ファクトリーオートメーション)システムを納入し、1984年には半導体ウエハの自動搬送装置を開発するなど、様々な領域で日本の製造・物流現場の自動化・量産化を支えてきました。
 こうした背景から、同社のビジネス領域は、製造業・流通業向けのイントラロジスティクス事業、半導体業界向けのクリーンルーム事業、自動車業界向けのオートモーティブ事業、空港施設向けのエアポート事業など多岐にわたっています。同社は多様な顧客ニーズに応じてカスタマイズしたソリューションを提供し、また、設計・製造・アフターサービスまで一貫して対応してきたことで、顧客から高い評価を獲得してきました。また、ハードからソフトまで主要製品のすべてを内製化することで品質の高い製品を短納期で提供し、かつ価格競争力を高めていると考えられます。このような高品質な製品・サービスを、グローバルに展開し、日本・北米・中国・アジアなどの地域で今後ますます高まる省人化ニーズに応え続けています。
 当ファンドでは、特に流通業向け、半導体業界向けの成長に注目しています。流通業においては世界各国で自動化・省人化ニーズが高まる中、同社が強みとして持っている立体自動倉庫システムへの需要が高まっています。半導体業界向けにおいても、引き続きAI(人工知能)関連を中心に市場成長が期待されます。加えて当ファンドでは同社の利益率改善にも期待しています。同社の高い付加価値・品質と顧客サポート体制に裏打ちされた製品・サービスには、価格上昇の余地があると考えられます。また、ESGの面でも過酷で機械的な倉庫内作業をマテハンで支援することは労働者の安全衛生改善に繋がると、当ファンドは考えています。
 株式市場は、同社の成長性・収益性を懸念しているように思われます。その理由は、中国半導体投資の動向と、ライバル関係にあります。過去数年間、中国の半導体関連の投資需要は非常に強く、同社もその恩恵を受けてきたと考えられますが、足元では景況悪化や過剰投資の懸念が燻っています。この点は当ファンドも注視していますが、日本・北米・アジアでの投資が継続的に増加することで同社の業績は底堅く推移すると期待しています。また半導体業界向けでのライバル社との激しい競争も懸念の1つであると考えられます。しかしそれ自体は過去から起きている事象であると同時に、ダイフクは過去の実績が高く評価されているため、先端半導体工場向けでのシェアを高めていると当ファンドでは推測しています。引き続き同社の成長に期待していきたいと思います。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2024年4月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年4月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.91%下落し、日経平均株価は前月末比4.86%の大幅下落となりました。
 月前半は利益確定売りや、⽶連邦準備制度理事会(FRB)高官の年内利下げ先送り示唆に伴い米長期金利上昇が懸念され、米国株式市場の下落を招き、日本株式市場は上値を抑えられました。月半ばには米CPI(消費者物価指数)の市場予想を超える上昇や半導体関連企業の大幅下落、また中東情勢の悪化などから日経平均株価は一時37,000円を割り込みました。月後半には中東情勢の落ち着きから買い戻しの動きが見られ、日経平均株価は38,000円台を回復しました。26日まで開かれた日銀金融政策決定会合では緩和的な金融政策の維持が決定され、日本が祝日だった29日にドル円相場は一時160円台へ急伸し約34年ぶりの高値を更新しました。しかしながら、その後一転して154円台まで大きく円高に振れ、市場では政府による為替介入が行われたとの観測が広がりました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐0.82%の下落となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同0.91%の下落を0.09%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、マックス、東京海上ホールディングス、日立製作所などでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、ファーストリテイリング、東京エレクトロン、ディスコなどでした。

 当月は当ファンドで保有する「マックス」について、投資の理由・魅力をコメントしたいと思います。
 ホッチキス等のオフィス機器および建築工具等の産業機器メーカーであるマックスは、1942年に群馬県高崎市で航空機部品メーカーとして設立されました。航空機部品の製造で培われたプレス技術を活かし、戦後、国産初となるホッチキスの量産を実現しています。1985年には複写機に内蔵される電動ホッチキス「オートステープラ」を発売しました。オートステープラは、圧倒的な品質・精度の高さから、世界中の複写機メーカーに採用されております。
 同社はまた、国産初の手動式釘打機を発売して以来、建築工具の製品を拡充してきました。2017年には充電式鉄筋結束機「ツインタイア」を発売しました。鉄筋結束機は、コンクリート建造物の鉄筋をワイヤで結束する工具で、従来作業員が行っていた手作業での鉄筋結束を機械化することで、作業時間および作業者負担を低減するツールです。同社はツインタイア発売以降も結束時間の短縮や結束強度改善を目指した研究開発を継続しており、2023年12月に発売した新モデルの製品は従来の製品に比べて結束スピードが1.4倍になっており、ワイヤ交換を補助する機能等が追加されています。実際に取材訪問した際に製品を扱いましたが、建築現場で働いたことがなくても簡単に扱える事を確認できたため、手作業と比較した場合の鉄筋結束機の効率性はさらに増したと感じています。同社は国内において既に高いプレゼンスを有しており、新モデル発売をきっかけに同社のツインタイアシリーズが広くグローバルに認知されることで、人手不足ならびに労務費高騰といった社会課題を省人化により解決することに期待をしています。
 同社は、徹底した現場主義・顧客主義により顧客ニーズに応えることで新たな市場を産み出し、複数の分野でグローバルに「ナンバーワン・オンリーワン」のポジションを確立してきました。高い技術力に裏付けられた同社の独創性と潜在成長力は、株式市場からさらに評価される余地があると当ファンドでは見ております。
 また、同社は様々な環境負荷低減活動に取り組んでいます。倉庫や工場における太陽光発電設備の導入や拠点省電力性を高めることでCO₂の総排出量を削減する取り組みをしており、直近の数年間はおよそ10%前後の削減を実現しています。加えて、バイオマス素材を配合した袋とじ機や土中で分解するテープ、ホッチキスの包装をプラスチックから紙へ変更するなどの環境負荷が低い製品を開発しており、製品開発においてもその姿勢が見られます。
 建築業界における人材不足という社会課題を解決できることに加え、環境負荷の低減という観点からも同社の存在感は高まっていくと当ファンドでは考えています。引き続き同社の成長に期待しています。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2024年3月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年3月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比4.44%上昇し、日経平均株価は前月末比3.07%の上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、月前半は前月から引き続き半導体関連銘柄の上昇などが相場をけん引し、日経平均は史上初となる4万円台に到達するなど堅調な推移となりましたが、月半ばにかけては米国半導体関連銘柄が下落した影響や、日銀のマイナス金利政策解除を示唆する報道、春季労使交渉(春闘)での高い賃上げ実現への期待の高まりなどから日銀の金融政策正常化への思惑が広がって円高が進行したことなどが重しとなり、下落しました。月後半にかけては、日銀が金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除や長短金利操作の撤廃、上場投資信託(ETF)の買い入れ終了などを決定したものの、当面は緩和的な金融環境が継続するとの見通しが示されたことなどを受けて円安進行とともに上昇し、最終的に前月末を上回る水準で取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐4.76%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同4.44%の上昇を0.32%上回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、東洋炭素、トーセイ、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、MARUWA、ベイカレント・コンサルティング、ダイセキなどでした。

 当月は当ファンドで保有する「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」について、投資の理由・魅力をコメントしたいと思います。
 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、主に「ドン・キホーテ」屋号でディスカウント事業を展開する小売大手です。同社のルーツは、安田隆夫氏(現・創業会長兼最高顧問)が1980年に設立した「ジャスト」にあります。1989年に「ドン・キホーテ」1号店を東京都府中市に出店し、1995年に商号をドン・キホーテへと変更しました。同社の企業理念は「顧客最優先主義」であり、顧客へ買い物の楽しみを提供することを第一としています。これを基に、天井まで積み上げた陳列方法や深夜営業ニーズの発掘など、現在のドン・キホーテの礎が築かれました。
 同社は積極的にM&Aを行うことで事業を拡大してきました。2013年には北米及びハワイ州で展開するMARUKAI CORPORATION、2021年にカリフォルニア州で展開するGRCY Holdings, Inc.を買収し、海外展開を加速させています。また、2019年にはユニー㈱を完全子会社化し、総合スーパー事業の展開を本格化させました。
 同社独自の店舗作りは競合他社との差別化につながっており、その根幹には企業理念の「顧客最優先主義」があると当ファンドでは考えています。顧客の立場に立って行動することを第一に考えるという方針の下、同社では従業員一人ひとりが顧客ニーズや外部環境変化への機動的な対応に取り組む仕組みが整備されています。例えば店舗では従業員への権限委譲が進んでおり、具体的には仕入れ交渉や価格設定、陳列方法などの権限を売場の担当者へ委譲しています。こうした取組みによって、売場担当者に商品を販売しやすい売場の作り方や売れ筋商品の目利き力を身に付けさせることで、同社の従業員一人ひとりの能力向上に寄与していると当ファンドでは考えています。また、同社は従業員のモチベーションを向上させるために、成果が従業員の報酬と連動する成果主義を導入しています。結果として、同社の店舗は同一フォーマット経営ではなく、取扱商品や売り場構成が店舗立地や従業員によって異なることから、訪日外国人の需要を含め店舗の周辺需要に応じた最適化が可能になっていると言えます。
 当ファンドでは、国内で人流回復の追い風が続くなか、訪日外国人観光客の需要拡大を受けディスカウント事業の成長が加速することに期待して投資を行っています。新型コロナウイルス感染拡大前は、同社のディスカウント事業に占める免税売上高は1割程度であり、うち約4割が中国人観光客によるものであったと当ファンドでは推測しています。足元ではすでに当時の免税売上高の水準まで回復していますが、その内訳は当時とは異なり、中国人観光客の構成比は僅かとなっています。一方、円安の恩恵もあり東南アジアや欧米の観光客は新型コロナウイルス感染拡大前を大きく上回って推移しており、訪日観光客数は構造的な拡大を期待できる状況にあると当ファンドでは考えています。中国人観光客についても、年初来中国と日本を結ぶ国際便数が回復基調にあることから再拡大が期待されます。「ドン・キホーテ」は中国人からの認知度が高く、繁華街立地であり、一人当たりの買い上げ点数が伸びやすい独自の商品構成・売場作りに特徴があることから、この恩恵を受けられる立ち位置にあると当ファンドでは判断しています。
 また、同社は環境に配慮した様々な取り組みを通じて脱炭素に貢献しており、その独自性を当ファンドでは評価しています。例えば、同社はPB(プライベートブランド)商品の販売を拡大することで収益性の向上に取り組んでいますが、他社に先駆けて食品の包材を紙に変更し、再生紙・再利用ペットボトル・残糸といったリサイクル資源を活用した商品を展開するなど、サステナブル商品を拡大しています。また、「興味期限」という同社独自の商品販売の期限を設けることで、早期に滞留在庫に見切りをつけ、大量の在庫廃棄に至るリスクを低減しています。
 国内で堅調な事業環境が継続するなか、創業来の企業理念に裏打ちされた同社の強みは構造的に揺るがないと当ファンドでは考えています。引き続き同社の成長に期待しています。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2024年2月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年2月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比4.93%上昇し、日経平均株価は前月末比7.94%の大幅上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、月前半はFOMC(⽶連邦公開市場委員会)の内容を受け早期の米利下げ期待が後退し一進一退の動きで推移しましたが、月半ばから後半にかけては内田日銀副総裁がマイナス金利解除後も日銀は緩和的な金融環境を維持するとの認識を示したことや、生成AI(人工知能)向け半導体需要の増加が期待される米国で半導体関連企業の株価上昇が続き、日本の半導体関連企業にも資金が集中したことから、続伸しました。22日には日経平均株価は39,098.68円で終え、約34年ぶりに最高値を更新しました。その後の日本株式市場の推移は緩やかだったものの、月末まで日経平均株価は3万9,000円台を維持したまま当月の取引を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当月、当ファンドのパフォーマンスは、前⽉末⽐3.12%の上昇となり、参考指数であるTOPIX(配当込み)の同4.93%の上昇を1.81%下回りました。
 当ファンドのパフォーマンスにプラスに寄与した企業は、東洋炭素、MARUWA、東京エレクトロンなどでした。⼀⽅、マイナスに影響した企業は、ライフドリンク カンパニー、ソニーグループ、メルカリなどでした。

 当月は当ファンドで保有する「ファーストリテイリング」について、投資の理由・魅力をコメントしたいと思います。ファーストリテイリングは、「ユニクロ」を主⼒ブランドとして国内外で展開するアパレル企業です。同社は「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」という企業理念のもと、世界中のあらゆる人々に良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供し、社会の持続的な発展に貢献することを目標としています。
 終戦直後の1949年、柳井等氏が宇部中央銀天街商店街で紳士服店「メンズショップ小郡商事」を開業したことが同社のルーツとなります。柳井等氏の息子にあたる柳井正氏(現代表取締役会長兼社長)は1972年に同社へ入社しています。その後も同社は紳士服店として経営されていましたが、商店街の衰退という時代の変化に直面し、柳井正氏は経営改革に着手します。柳井正氏が代表取締役社長に就任した1984年、同社はカジュアルウェアのユニクロを新規出店し、多店舗展開を開始します。1988年には、品質の良いカジュアルウェアを安価で確保するため「SPA(製造小売業)」の方針へ転換し、今日における同社のビジネスモデルの基盤を確立しました。2001年には英国ロンドンにユニクロ初の海外店舗を出店し、展開地域を拡大しながら成長を続けてきました。
 当ファンドでは、欧米におけるユニクロ事業の成長が加速することに期待をして投資をしています。国内ユニクロが成熟期を迎えつつある一方、海外ユニクロは同社の成長の柱となっています。海外店舗数は2013年の446店舗に対して2023年には1,634店舗まで拡大し、営業利益の約6割を海外が占めるようになりました。欧米ではユニクロ既存店の成長が続くなか、同社は出店を加速させる方針を打ち出しています。
 次の二つの理由から、欧米の成長加速には期待できると当ファンドでは考えています。第一には、同社のMD(Merchandising、商品計画・商品化計画)の向上を背景とした顧客層の拡大が挙げられます。欧米の消費者のニーズを捉えたグローバル視点の商品開発にシフトした結果、例えば欧州では若年層の女性を中心に新規顧客層が拡大しています。欧米全体で品質・機能性・デザイン性を重視する同社の「LifeWear(究極の普段着)」への支持が高まりつつあるようです。同時に、MDの精度が向上したことで欧米事業の粗利率・販管費率はいずれも改善傾向にあります。第二には、経営チームの確立が挙げられます。現地のマネジメント人材が育ち、機動的な判断を行うことができる経営チームが確立したことで、海外ユニクロの事業展開力が向上していると考えられます。
 同社は様々な社会貢献活動に取り組んでいますが、LifeWearというブランドコンセプトが同社のサステナビリティへの姿勢を象徴していると当ファンドでは考えています。LifeWearのコンセプトは、機能性や耐久性が高くシンプルなデザインの製品群として具現化されています。その特徴から製品は長期にわたり使用可能となるため、シーズンごとにトレンドに合わせて衣類を買い替えるファッションアイテムと比較すると、省資源につながる消費行動を促すことにつながります。また、⾼品質でリーズナブルな価格という特徴によって、所得や資産の多寡に関わらず誰もが⾝に着けることができる⾐服という独⾃のポジショニングを確⽴していると考えます。古くから⼈類は⾐服によって権⼒や経済⼒を表現してきましたが、LifeWearはそれとは対極にある概念と⾔えます。LifeWearのコンセプトを実現するため、同社はこれまで年⽉をかけて培ってきた開発⼒・⽣産⼒を活かしつつ、⾐服の基本機能の強化に絶え間のない投資を行っています。積み上げられたノウハウや規模の経済が高い参入障壁として機能することから、同社の優位性は維持可能と当ファンドでは考えています。引き続き同社の成長に期待しています。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2024年1月の運用コメント

株式市場の状況

 2024年1⽉、⽇本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前⽉末⽐7.81%の上昇となりました。
 当⽉の⽇本株式市場は、能登半島地震の影響精査のため⽇銀が利上げを⾒送るとの⾒⽅が⾼まったことや、⽶連邦準備制度理事会(FRB)⾼官のタカ派な発⾔を受けた⽶⻑期⾦利の上昇を背景に円安が進み、⽉前半は⼤きく上昇しました。また、新NISA制度の開始による個⼈投資家の買い需要や、東京証券取引所の市場改⾰への期待感から海外投資家の資⾦も多く流⼊しました。⽉半ばから後半にかけては、利益確定の売り圧⼒や、⽶国半導体⼤⼿の業績⾒通しが市場予想を下回ったことから半導体関連銘柄を中⼼に⼀時下落基調に転じる場⾯もあったものの、最終的に前⽉末を上回る⽔準で⽉を終えました。

ファンドの運⽤状況

 当ファンドの基準価額にプラスに貢献した企業は、低価格のドリンクを製造販売するライフドリンクカンパニー、総合電機企業の⽇⽴製作所などです。
 ライフドリンクカンパニーは、会社からのニュースはありませんでしたが、⽶系⼤⼿資産運⽤会社が⼤量保有報告書を出したことを好感したと思われます。⽇⽴製作所も会社からのニュースはありませんでしたが、⽇経平均株価が上昇するなか、⽇本を代表する総合電機企業として注⽬され買いが⼊ったと思われます。
 基準価額にマイナスに影響した企業は、総合コンサルティングファームのベイカレント・コンサルティングなどです。ベイカレント・コンサルティングは当⽉発表された2024年2⽉期第3四半期決算において、利益成⻑率の鈍化が嫌気されたと思われます。
 当⽉は当ファンドで保有する「トーセイ」について、投資の理由・魅⼒をコメントしたいと思います。
 トーセイは1950年設⽴の総合不動産会社です。「あらゆる不動産シーンにおいて新たな価値と感動を創造する」ことを企業理念に据え業容を拡⼤してきました。現在は⾸都圏を中⼼に、不動産関連事業を展開しています。事業内容は、マンション・⼾建・オフィス・物流施設の開発、中古物件の転売、不動産賃貸、ホテル運営、不動産ファンド運営など、中堅規模の不動産会社でありながらも扱う物件のタイプ・事業が⾮常に幅広いことに特徴があります。
 当ファンドでは、各事業の安定成⻑が継続することに加えて、海外投資家による⽇本への不動産投資積極化の恩恵を受け不動産ファンドビジネスが拡⼤することに期待して投資をしています。同社の不動産ファンドの残⾼は2023年11⽉時点で2兆3,524億円まで拡⼤していますが、残⾼増加の多くは海外投資家によるものです。2023年から始まった国際的な⾦融引締めの流れとは対照的に、⽇本は⼤規模な⾦融緩和が継続しています。その結果⽇本の不動産のイールドギャップは主要国の中では⾼位を維持しており、引き続き投資妙味が⾼いといえます。また、円安も海外投資家にとって⽇本の不動産を割安に感じさせる要因となっており、同社の不動産ファンドの投資家は欧⽶系に加えアジア系にも広がりつつあるようです。
 同社の従来の収益構造は、不動産売買を通じたフロー収益が中⼼となっていました。しかし、その後不動産賃貸やホテル運営、不動産ファンドビジネスを中⼼とするストック型収益が拡⼤してきたことで、同社の収益構造は過去とは⼤きく変化しています。ストック型収益の⽐率が向上して収益の安定性が⾼まれば、より低いリスクで将来の利益を稼ぎ出すことが可能となるため、同社が株式市場から再評価される可能性は⾼まると当ファンドでは考えています。
 また、同社は脱炭素の観点からも社会に貢献できる⽴ち位置にあると当ファンドでは考えています。⽇本国内には約6,200万⼾の住宅ストック(2018年時点)と約10,500棟のオフィスビルストック(2023年時点)があり、対策を打たなければやがては⼤量の建物ストックが滅失を迎えることになります。同社は住宅やオフィスビルを購⼊して⾃社保有し、リノベーションを経て売却する売買事業を⼿掛けていますが、結果として建物の耐⽤年数を伸ばすことにつながるため、⼀般的な建て替えと⽐べるとCO2排出量の⼤幅な削減が可能となります。同社の試算によれば、例えば新築オフィスビルについて修繕⼯事を経て100年使い続けた場合、30〜40年に⼀度オフィスビルを建て替える従来型の⽅式と⽐べて、⼯事で発⽣するCO2の総排出量を約54%削減できるとのことです。⽇本の社会課題を解決することに貢献できる総合不動産会社として、国内不動産市場における同社の存在感はこれまで以上に⾼まっていくと当ファンドでは考えており、引き続き同社の成⻑に期待しています。

今後の運⽤⽅針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の⾼い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の⼤きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と⽇々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を⽣み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中⻑期的な観点から運⽤パフォーマンス向上を⽬指し、⾮財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する⼀助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として⽀えて⾏く所存です。

2023年12月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年12⽉、⽇本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前⽉末⽐0.23%の下落となりました。
 当⽉の⽇本株式市場は、⽉前半は⽇銀の植⽥総裁と氷⾒野副総裁両名の発⾔を受けて⾦融政策修正の思惑が⾼まったことや、FOMC(⽶連邦公開市場委員会)のハト派の内容を受けて⽶⻑期⾦利が低下したことで、円⾼が進み下落しました。⽉後半は、⽇銀⾦融政策決定会合における⾦融緩和維持の決定が好感される場⾯もありましたが、年末の閑散相場もあって円⾼基調が継続する展開が重しとなり、最終的に前⽉末を下回る⽔準で⽉を終えました。

ファンドの運用状況

 当ファンドの基準価額にプラスに貢献した企業は、低価格のドリンクを製造販売するライフドリンクカンパニー、オフィス機器や鉄筋結束機を製造販売するマックスなどです。
 ライフドリンクカンパニーは、会社からのニュースはありませんでしたが、⽇系⼤⼿資産運⽤会社が⼤量保有報告書を提出したことを好感した動きと思われます。マックスは、発⾏済株式数の1.1%相当の⾃社株買いを発表し、株式市場に好感されたと思われます。
 基準価額にマイナスに影響した企業は、低価格イタリアンを直営展開するサイゼリヤなどです。サイゼリヤに関する⼤きなニュースはありませんでしたが、前⽉の株価上昇からの反動であると考えます。
 当⽉は当ファンドが保有する「⽇⽴製作所」について、投資の理由・魅⼒をコメントしたいと思います。
 ⽇⽴製作所は⽇本を代表する世界有数の総合電機企業です。1910年に茨城県の久原鉱業所⽇⽴鉱⼭付属の修理⼯場として発⾜し、1920年に⽇⽴製作所として独⽴しました。鉱⼭向けの電動機、変圧器、⽔⾞等の技術を基に鉄道、産業⽤機器、家電、半導体、ITなどへ事業領域を拡⼤し、世界でも有数の総合電機企業へと躍進しました。
 同社は創業者である⼩平浪平⽒の強い信念「優れた⾃主技術・製品の開発を通じて、社会に貢献する」を企業理念として継承し、100年の歴史を築き上げてきました。同社は⾃社の技術・製品を通じて社会を⽀え、安⼼で快適な世の中を実現することに尽⼒してきました。同社の企業理念は⼀貫していますが、どのような付加価値を通じて社会に貢献するのかというその形は変化を続けています。転機となったのは2009年3⽉期、リーマンショックの影響で8,000億円近くの最終⾚字を計上したことでした。その後はM&Aを活⽤しながらIT関連事業に注⼒する⼀⽅でITとの関連性が⼩さいグループ企業の売却を⾏い、事業構造の改⾰を進めてきました。
 当ファンドでは、国際的なDX(デジタルトランスフォーメーション)化や脱炭素の潮流を追い⾵に、構造改⾰を成し遂げた同社の成⻑⼒が加速すると考え、投資を⾏っています。従来、同社のビジネスモデルは製品の売り切りが中⼼でしたが、近年では社会インフラ全体をデジタル化・スマート化するニーズが⾼まっており、同社にとってのマネタイズポイントが拡⼤しています。その結果、既存顧客向けのストック収益を確保することで事業の安定性が⾼まるとともに、案件の⼤型化・⾼付加価値化が進み、収益性の改善を期待できると考えています。株式市場では⽇⽴製作所の事業のうち、特にLumada(⽇⽴製作所の独⾃IoT基盤)が注⽬されていますが、当ファンドではそれに加えてインフラ関連の事業も⾼い成⻑を期待できると考えています。
 代表例としては、再⽣可能エネルギーの送配電網のスマート化が挙げられます。近年、世界中の電⼒会社がHVDC(HighVoltage Direct Current:⾼圧直流送電)送電網への投資を強化しています。HVDC技術はきわめて⾼い効率性と制御性を備えていることから⻑距離送電に適しており、電⼒系統が抱える多くの課題を解決し、カーボンニュートラルの実現につながるものと期待されているためです。HVDC送配電システムの「頭脳」と呼ばれる制御・保護システムはHVDC技術の根幹に当たる部分であり、⽇⽴製作所が技術的な強みを発揮する領域です。⽇⽴製作所の最新の制御システムであるMACHは⾼い計算能⼒を備え、HVDCの制御・保護機能に対して⾼度な統合と処理を可能とします。カーボンニュートラルの要請から引き続き電⼒会社の設備投資は拡⼤を⾒込んでおり、送配電網事業について世界シェアトップの同社はその恩恵を受けられる⽴ち位置だと当ファンドでは考えています。
 また、鉄道のデジタル化も⼤きな事業機会です。地球温暖化や都市への⼈⼝集中といった社会課題を解決するため、世界的に鉄道への期待が⾼まっています。鉄道路線の新設や既存設備のリニューアルが進むと同時に、鉄道の分野でもデジタル技術を活⽤した顧客サービスの向上や業務効率化の波が押し寄せています。⽇⽴製作所は⾞両、駆動⽤制御装置をはじめ列⾞運⾏管理システムや電⼒管理システム、情報サービスなどのフルラインサービスを提供することで事業領域を拡⼤してきました。今⽇では⽇本だけでなく欧州・アジアをはじめとした海外での鉄道事業を積極的に展開しており、引き続きシェア拡⼤を期待できると当ファンドでは考えています。
 これらは環境負荷の低減と経済的価値の創出を両⽴するソリューションであり、同社は持続可能な社会の発展に貢献していると当ファンドでは評価しています。引き続き同社の成⻑に期待しています。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の⾼い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の⼤きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と⽇々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を⽣み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中⻑期的な観点から運⽤パフォーマンス向上を⽬指し、⾮財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する⼀助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として⽀えて⾏く所存です。

2023年11月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年11⽉、⽇本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前⽉末⽐5.42%の上昇となりました。
 当⽉の⽇本株式市場は、⽉前半はFOMC(⽶連邦公開市場委員会)での政策⾦利の据え置きや、市場予想を下回る⽶雇⽤統計を受けての⽶⻑期⾦利の低下を背景に上昇しました。⽉半ばは、⽇本企業の良好な決算や、市場予想を下回る⽶国のCPI(消費者物価指数)を受けた⽶追加利上げ観測の後退などから、⽉中⾼値をつけました。⽉後半に⼊ると、中東情勢の地政学リスクの後退や⽶⻑期⾦利低下等を好材料に上昇した後、⼀時1ドル=146円台後半まで進⾏した円⾼が重しとなって下落基調に転じましたが、最終的に前⽉末を上回る⽔準で⽉を終えました。

ファンドの運用状況

 当ファンドの基準価額にプラスに貢献した企業は、放熱⽤セラミック部品の製造販売を⼿掛けるMARUWA、総合コンサルティングファームのベイカレント・コンサルティングなどです。
 MARUWAに関する⼤きなニュースはありませんでしたが、引き続き下期以降の業績回復を期待した買いが⼊り、株価が上昇したと考えます。ベイカレント・コンサルティングに関しても⼤きなニュースはありませんでしたが、前⽉の株価下落からの反動であると考えます。
 基準価額にマイナスに影響した企業は、特殊⿊鉛製品の製造販売を⼿掛ける東洋炭素などです。東洋炭素は2023年12⽉期第3四半期決算を発表しました。シリコン半導体関連製品の減速が株式市場に嫌気されたと考えます。
 当⽉は当ファンドが保有する「ライフドリンクカンパニー」について、投資の理由・魅⼒をコメントしたいと思います。
 ライフドリンクカンパニーはペットボトル飲料の⼤⼿メーカーです。1950年に緑⾹園を創業し、茶卸業を開始したことが祖業にあたります。1972年に法⼈化され、以降、清涼飲料、乾麺やチョコレート製品などの⾷品、ソースなどの調味料、太陽光発電事業などに事業を拡⼤してきました。2015年、事業承継のためにPE(プライベートエクイティ)ファンドに買収され、その後はドリンク事業への集中を進め、2021年に上場を果たしました。
 同社は「おいしさの中⼼、安⼼の先頭へ。」を企業理念に掲げ、ペットボトル飲料業界のトップを⽬指して事業を拡⼤してきました。同社は⼩売店向けのPB(プライベートブランド)飲料製造が売上の60%程度を占めますが、今⽇ではミネラルウォーター市場における同社シェアは販売箱数ベースで第2位の規模に達していると当ファンドでは推測しています。
 同社の強みは、徹底した低コスト戦略にあります。同社は無糖系の4飲料(ミネラルウォーター、無糖炭酸⽔、緑茶、烏⿓茶)の製造に絞り、容器はペットボトルの形状を統⼀して500mlと2Lの2サイズのみを展開しています。競合他社の採⽔権を持つ⼯場を居抜きで買収し、同社の製造プロセスを導⼊することで⽣産性を改善し、⽣産能⼒を拡⼤してきました。競合他社が広告投資やペットボトルの形状を⼯夫するための設備の増強に費⽤を投じているのとは対照的に、同社は広告を打たずシンプルな⽣産体制の構築と各⼯程の内製化によってコストを削減し、販売価格を低価格に抑えることで差別化しています。また、結果としてサステナビリティへの貢献にもつながっています。同社はシンプルなペットボトルの形状を採⽤しているため、デザイン重視でペットボトルの表⾯に⽂字や模様を表現する競合他社と⽐べ素材を薄くでき、表⾯積も⼩さくなることから、資源の使⽤量を抑制することができています。
 当ファンドでは、同社が注⼒するミネラルウォーター市場が構造的に成⻑し、そのなかで同社がシェアを拡⼤すると考え投資をしています。ミネラルウォーター市場が成⻑すると考えられる理由は主に3つあります。第⼀に、⽔道⽔からミネラルウォーターへのシフトが進んでいることが挙げられます。特に若年層ほど⽔道⽔を飲むことに抵抗感を⽰しているようです。第⼆に、健康志向の⾼まりが挙げられます。飲料市場では加糖飲料が伸び悩む⼀⽅、無糖飲料は成⻑を続けています。第三に、昨今のインフレ環境で節約志向が進んでいることが挙げられます。可処分所得が増えにくい状況下で消費者は価格に敏感になっており、⾃販機やNB(ナショナルブランド)商品から割安なPB商品へと需要がシフトしているようです。このような事業環境は同社にとって追い⾵であり、シェア拡⼤が続くと思われます。インフレによって消費者が⽣活防衛意識を強める傾向があり、同社の低価格商品はより選好されやすくなると考えられます。
 ⼀⽅、同社はM&Aを通じた⽣産能⼒の拡⼤を続けてきたことから、案件が減少する可能性など、成⻑の持続性に懸念を持つ⾒⽅も存在します。しかしながら、2つの理由から引き続き同社は⽣産能⼒を拡⼤し、成⻑を続けることができると当ファンドでは考えています。第⼀に、来期は新⼯場が⽴ち上がり、⽣産能⼒が⼤幅に増強される⾒通しです。今後も⾃社⼯場の新設が続く可能性があります。第⼆に、依然として⽇本各地に飲料の製造⼯場は数多く存在すると思われます。競争が激化するなか多くの⼯場は採算⾯に課題があり、また⾼齢化で事業の承継者が不⾜する状況であることから、同社にとっての買収案件は豊富であり、⽣産能⼒の拡⼤を継続できると当ファンドでは考えています。引き続き同社の成⻑に期待しています。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の⾼い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の⼤きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と⽇々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を⽣み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中⻑期的な観点から運⽤パフォーマンス向上を⽬指し、⾮財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する⼀助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として⽀えて⾏く所存です。

2023年10月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年10⽉、⽇本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前⽉末⽐2.99%の下落となりました。
 当⽉の⽇本株式市場は、⽉前半は堅調な⽶雇⽤統計を受けての⽶⻑期⾦利の変動や、中東情勢の緊迫化などを受け乱⾼下の展開となりました。⽉後半に⼊ると、中国の景気刺激策が好感される場⾯があったものの、⽇銀の政策再修正への思惑や⽶テクノロジー企業の低調な決算への失望が株式市場の重しとなり、最終的に前⽉末を下回る⽔準で⽉を終えました。

ファンドの運用状況

 当ファンドの基準価額にプラスに寄与した企業は、放熱⽤セラミック部品の製造販売を⼿掛けるMARUWA、低価格イタリアンを直営展開するサイゼリヤなどです。
 MARUWAは2024年3⽉期第2四半期決算を発表しました。減収減益の着地でしたが、同社が下期以降の業績回復を⽰唆したことが株式市場に好感され、株価が上昇したと考えます。サイゼリヤは2023年8⽉期通期決算を発表しました。会社計画を上回る好調な業績が株式市場に好感されたと考えます。
 基準価額にマイナスに影響した企業は、総合コンサル会社のベイカレント・コンサルティングなどです。ベイカレント・コンサルティングは2024年2⽉期第2四半期決算を発表しました。新卒や未経験者の採⽤が増加し、請負単価が横ばいで推移したことが株式市場に嫌気されたと考えます。
 当⽉は当ファンドが保有する「東洋炭素」について、投資の理由・魅⼒をコメントしたいと思います。
 東洋炭素は特殊⿊鉛製品で世界シェア約3割を誇るトップメーカーで、シリコンウェハ製造設備や半導体製造装置向けなど、⾼機能分野に特化した製品を⼿掛けています。製造⼯程を内製化していることから、⾼品質な製品を安定的に供給できる点に強みがあります。
 同社は「Inspiration for Innovation」をコーポレートスローガンに掲げ、画期的な製品開発により社会の変⾰に貢献できる企業を⽬指しています。1941年の創業来、専業メーカーとして理想の品質をひたすらに追求し、研究開発を重ねてきました。同社は業界に先駆けて「等⽅性⿊鉛(特殊⿊鉛製品)」の開発に成功し、従来の⿊鉛の問題点を⼤きく改善する新素材として注⽬を集めました。近年も⿊鉛製品表⾯にコーティングを施した機能性複合材料など次々と新製品を開発しており、⿊鉛製品のパイオニア企業として業界をリードしています。
 ⿊鉛とは、整った結晶構造を持ち、導電性や耐熱性、潤滑性を兼ね備えた素材です。⾝近なところでは鉛筆の芯にも使われています。⿊鉛は様々な産業分野の製品素材に採⽤されており、時代とともにより⾼品質な製品が開発されてきました。
 そのなかでも同社が扱う等⽅性⿊鉛は微粒⼦構造が異なり、材料のばらつきが少なく⾼い耐熱性や導電性、耐化学薬品性などを兼ね備えており、⾼い信頼性を誇ります。例えば近年需要が⾼まっているSiC(シリコンカーバイド)パワー半導体の製造⼯程においては不純物を含まず超⾼温にも耐えうる素材が必要となりますが、ヒーターやサセプターと呼ばれる同社の特殊⿊鉛製品はそのような基準を満たす貴重な素材です。
 当ファンドでは、SiCパワー半導体市場の成⻑をドライバーとする同社の業績拡⼤に期待しています。
 世界的にEV(電気⾃動⾞)の⽣産台数が拡⼤すれば、部品として使⽤されるSiCパワー半導体の数量が連動して増加することが期待できます。その際、SiCパワー半導体の材料となるウエハの製造⼯程において特殊⿊鉛製品が必要となるため、当該製品の世界シェアが⾼い同社の受注は構造的に伸びていくと考えられます。
 以上のことから、当ファンドでは東洋炭素がEV業界の成⻑から恩恵を受ける良い⽴ち位置にいると考えています。
 ⼀⽅、同社のビジネスモデルの特性上、需要が減退した際に業績が⼤きく落ち込む可能性があることを懸念する⾒⽅が存在します。たしかに特殊⿊鉛製品の性質上、同社は受注から販売までのリードタイムが⻑いことから資産回転率が低く、また⽐較的設備投資負担が重い事業構造であると考えられることから、売上が減少する局⾯においては⼤きく利益が減少する可能性があります。
 しかしながら、⾜元ではむしろ⽣産能⼒がボトルネックとなるほどに需要が強い状況が継続しており、EV業界の構造的な成⻑が需要を⼒強く牽引すると考えられることから、過度な懸念は不要と当ファンドでは考えています。引き続き同社の成⻑に期待しています。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の⾼い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 調査活動においては社会の⼤きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と⽇々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を⽣み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。中⻑期的な観点から運⽤パフォーマンス向上を⽬指し、⾮財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する⼀助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として⽀えて⾏く所存です。

2023年9月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年9⽉、⽇本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前⽉末⽐0.51%の上昇となりました。
 当⽉の⽇本株式市場は、⽉前半は中国製造業購買担当者景気指数(PMI)の改善により中国の景気後退不安が⼀時的に後退したほか、国内では早期衆院解散・総選挙への期待感が⾼まったことを受け、上昇基調となりました。⼀⽅⽉後半は、FOMC(⽶連邦公開市場委員会)で⾦融引き締めの⻑期化が⽰唆されたことや、⽶議会の予算協議が難航し政府機関閉鎖への警戒感が⾼まったことから、市場⼼理が悪化し値を戻す展開となり、最終的に前⽉末を若⼲上回る⽔準で⽉を終えました。

ファンドの運用状況

 当ファンドの基準価額にプラスに寄与した企業は、保険会社の東京海上ホールディングス、総合ディスカウントストアのドン・キホーテを中⼼に事業展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスなどです。
 東京海上ホールディングスに関する⼤きなニュースはありませんでしたが、世界的な⻑期⾦利の上昇により資産運⽤益の拡⼤が期待され、株価が上昇したと考えます。パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは2023年8⽉度⽉次販売動向を発表し、既存店売上⾼がプラスを維持したことが株式市場に好感されたと考えます。
 基準価額にマイナスに影響した企業は、放熱⽤セラミック部品の製造販売を⼿掛けるMARUWAなどです。MARUWAに関する⼤きなニュースはありませんでしたが、前⽉の急騰からの反落と考えます。
 当⽉は当ファンドが保有する「積⽔ハウス」について、投資の理由・魅⼒をコメントしたいと思います。
 積⽔ハウスは賃貸住宅「シャーメゾン」を中⼼とする建築請負ビジネスや、強固な顧客基盤を活かした賃貸住宅のサブリース管理・リフォームから構成されるストック型ビジネス、⽶国など海外での⼾建販売ビジネスを展開する企業です。
 同社のルーツは、積⽔化学⼯業㈱において1960年に設⽴された⼯業化住宅の⽣産販売を⼿掛けるハウス事業部にあります。住宅業界で初めて⼾建住宅にユニットバスを採⽤し、⽊造住宅の⼯業化(シャーウッド)など商品⾯で業界をリードしてきました。賃貸住宅も商品開発を積極化するとともに、M&Aを通じて国際事業の事業規模を拡⼤してきました。誤解されやすい点ですが、今⽇の積⽔化学⼯業㈱が⼿掛ける「セキスイハイム」は、積⽔ハウスとは異なるブランドです。積⽔化学⼯業㈱はハウス事業部(現・積⽔ハウス)を分社化したものの、その後の住宅ブームを受けて1970年代に再度住宅事業に進出した経緯があります。
 同社はグローバルビジョンとして「わが家を世界⼀幸せな場所にする」ことを掲げ、⾼い技術⼒を背景に省エネに貢献できるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を商品の軸として成⻑を続けており、⼾建住宅や賃貸住宅のZEH⽐率向上に注⼒しています。
 当ファンドでは、特に賃貸住宅の建築請負と海外⼾建販売の事業拡⼤に期待しています。ZEH化は賃貸住宅の⼊居率の上昇につながるため、施主はそれを選択するインセンティブがあります。具体的には、ZEH化により快適性や経済的付加価値がもたらされることで、施主は賃料や⼊居率の引き上げが期待できます。施主がZEH化を選択することで請負単価の上昇が続いており、同社の成⻑ドライバーとなっていると考えます。
 昨今の電気料⾦の⾼騰、建築物省エネ法改正により2025年4⽉から新築建造物は省エネ基準への適合が義務化されることに加え、気候変動を背景とした⾃然災害増加による⾮常電源確保、賃貸住宅⼊居者のESG意識の⾼まりなども追い⾵になると考えます。また、海外においても、ZEHの導⼊により単価の引き上げが進み、収益性の改善につながる期待を持てると考えます。とりわけ、⽶国においてはZEH性能に強みを持つ同社の独⾃ブランドであるシャーウッドの展開が始まっており、将来的には量産⼯場建設を視野に本格展開を⽬指しています。
 ⼀⽅、国内の⼈⼝減少や⾜元の資材・エネルギー価格の上昇を受け、ハウスメーカーの業績悪化を懸念する⾒⽅も存在しますが、同社は⼈⼝流⼊が⾒込める都市部を中⼼に事業を展開しており、⼈⼝減少の影響は相対的に軽微と考えられます。また、住宅と賃貸いずれも富裕層向けで⾼価格帯であることから、顧客の価格許容度が⾼く、ハウスメーカーの中では相対的に値上げを進めやすい状況であると当ファンドでは考えており、実際に請負単価は⼾建と賃貸いずれも上昇が続いております。コスト上昇を価格転嫁したうえで、ZEHを軸にそれ以上の単価上昇を期待できることから持続的な成⻑が可能であると考えており、引き続き同社の成⻑に期待しています。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の⾼い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。
 調査活動においては社会の⼤きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と⽇々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を⽣み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。
 中⻑期的な観点から運⽤パフォーマンス向上を⽬指し、⾮財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する⼀助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として⽀えて⾏く所存です。

2023年8月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年8⽉、⽇本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前⽉末⽐0.43%の上昇となりました。
 当⽉の⽇本株式市場は、⼤⼿格付け会社フィッチ・レーティングス社(⽶国)による⽶国債の格下げを背景とした⽶国株安の流れを受け、下落から始まりました。⽉半ばは、中国の軟調な経済指標(消費者物価指数など)や、中国不動産開発⼤⼿の⽶国破産法の申請が嫌気され、下げ幅を広げました。⽉後半は、中国の追加利下げが好感されたほか、ジャクソンホール会議においてさらなる利上げへの懸念が後退したことで値を戻す展開となり、最終的に前⽉末を上回る⽔準で⽉を終えました。

ファンドの運用状況

 当ファンドの基準価額にプラスに寄与した企業は、放熱⽤セラミック部品の製造販売を⼿掛けるMARUWA、低価格のドリンクを製造販売するライフドリンク カンパニーなどです。
 MARUWAに関する⼤きなニュースはありませんでしたが、前⽉末に発表された2024年3⽉期第1四半期決算が引き続き株式市場に好感され買いが続いていると考えます。
 ライフドリンク カンパニーは2024年3⽉期第1四半期決算を発表しました。⽣産数量が⼤きく拡⼤したことが株式市場に好感されたと考えます。
 基準価額にマイナスに影響した企業は、トレーディングカードゲームを中⼼に事業展開しているブシロードなどです。
 ブシロードは、2024年6⽉期の業績予想で営業利益が前年同四半期⽐40.9%の減益となることが⽰され、株式市場に嫌気されたと考えます。
 当⽉は新規に投資を開始した「メルカリ」について、投資の理由・魅⼒をコメントしたいと思います。
 メルカリは⽇⽶でのフリマアプリや、キャッシュレス決済、クレジットカードサービスを運営する企業です。「あらゆる価値を循環させ、あらゆる⼈の可能性を広げる」ことを会社のミッションとして掲げています。現CEOである⼭⽥進太郎⽒が「限りある資源を循環させ、より豊かな社会をつくりたい」との思いから、㈱コウゾウとして2013年に設⽴されました。同年に国内オンラインマーケットプレイス「メルカリ」の提供を開始、同年11⽉に社名をメルカリに変更しました。2014年には⽶国での「Mercari」サービスの提供を開始しています。その後2019年にはフィンテック領域に参⼊し、事業を拡⼤しています。
 消費者の関⼼がリサイクルやリユースに向かいつつあるなか、当ファンドではメルカリの⽴ち位置は⾮常に良いと考えています。同社が実施した「2021年版 ⽇本の家庭に眠る“かくれ資産”調査」によれば、家庭の“かくれ資産”(1年以上利⽤していない不要品)は総額で約44兆円あり、うち毎年約6兆円が捨てられています。メルカリの流通総額には本来捨てられるはずだったものが多く含まれていると考えられ、社会全体のごみの減量化に貢献しています。また、官⺠を挙げて循環型社会の実現を⽬指すなかで“かくれ資産”の総額は年々伸び続けていることから、メルカリは成⻑市場に属しているといえます。
 現在、同社は国内のオンラインマーケットプレイス(フリマアプリ)のなかでトップシェアとなっていますが、事業拡⼤の機会は依然として豊富に残っており、⼤きく2つの要因から国内での成⻑加速が期待できると当ファンドでは考えています。
 ひとつは、ユーザー層の拡⼤です。これまで若年層を中⼼にユーザーを獲得してきた国内「メルカリ」については、ユーザー数の成⻑率が鈍化するのではないかという⾒⽅もあります。しかしながら、同社はイベント開催などを通じて中⾼年層ユーザーの開拓に注⼒しているほか、若年層ユーザーのさらなる獲得にも⾃信を⽰しています。市場規模の⼤きさに鑑みれば、中⾼年層向けは⾼い成⻑を継続できると当ファンドでは考えています。また、20〜30代もまだ「メルカリ」を使⽤していない層が多く、開拓余地は豊富に残されています。同社はユーザーエクスペリエンス(製品・サービスを利⽤することで得られる体験のこと)・ユーザーインターフェース(利⽤者と製品・サービスをつなぐ接点のこと)の改良や配送の効率化など、絶え間ない改善を続けてきました。環境保護への関⼼の⾼まりが追い⾵となるなか、ユーザー層拡⼤が続くと当ファンドでは期待しています。
 もうひとつは、周辺領域の拡⼤です。国内のマーケットプレイスである「メルカリ」のユーザーを基盤として、同社はスマホ決済サービスの「メルペイ」やクレジットサービスの「メルカード」に代表されるフィンテック領域へと事業を広げています。特に「メルカード」を「メルカリ」で使⽤すると還元率が⾼⽔準となることや、決済総額に応じてリアルタイムに還元率が上昇するゲーム性がユーザーの⽀持を集めています。フィンテック事業について、2023年6⽉期末時点の本⼈確認済ユーザーは約1,400万⼈、メルカード発⾏枚数は125万枚超と順調に伸ばしています。マーケットプレイスとフィンテックで相互利⽤が促進されれば、ユーザーあたりの売上増加による流通総額のさらなる拡⼤や、外部に⽀払っている決済⼿数料の削減、クレジットサービスの収⼊拡⼤が進み、国内事業全体の利益成⻑へつながると当ファンドでは考えています。
 当⽉半ば以降、同社の株価は下落しました。2023年6⽉期通期の決算において、同社が成⻑投資の再開を⽰唆したことが原因ではないかと当ファンドでは考えています。特に⾚字が続いている⽶国事業への投資を拡⼤するのではないかと懸念されたようです。しかしながら、当ファンドでは同社との⾯談を通じ、同社が規律ある投資を⾏っていく⽅針を維持すると判断しています。⽶国事業の低迷からの脱却には時間がかかると思われますが、⾚字拡⼤への過度な懸念は不要と当ファンドでは考えます。引き続き同社の国内事業を中⼼とした成⻑に期待しています。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の⾼い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。
 調査活動においては社会の⼤きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と⽇々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を⽣み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。
 中⻑期的な観点から運⽤パフォーマンス向上を⽬指し、⾮財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する⼀助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として⽀えて⾏く所存です。

2023年7月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年7月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.49%の上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨にて年内2回以上の利上げが示唆されたことや、米国の雇用統計の結果を受け、利上げ継続への懸念が強まり下落して始まりました。一方で月半ばには、米国のCPI(消費者物価指数)が市場予想を下回り、利上げ停止が近いとの期待から堅調に推移しました。月後半は、日銀によるYCC(イールドカーブ・コントロール)の柔軟化が発表され、一時的に値動きの激しい展開となりましたが、現行の緩和姿勢を維持するとの受け止めから市場に安心感が広がり、最終的に期初を上回る水準で月を終えました。

ファンドの運用状況

 当ファンドの基準価額にプラスに寄与した企業は、低価格イタリアンを直営展開するサイゼリヤ、放熱用セラミック部品の製造販売を手掛けるMARUWAなどです。サイゼリヤは2023年8月期第3四半期決算を発表しました。海外事業の業績拡大と国内の収益性改善が株式市場に評価されたと考えます。
 MARUWAは2024年3月期第1四半期決算を発表しました。在庫調整が続く懸念があった情報通信向けの受注の底打ちを会社が示唆し、株式市場に好感されたと思われます。
 基準価額にマイナスに影響した企業は、総合コンサルティング会社のベイカレント・コンサルティングなどです。ベイカレント・コンサルティングは、2024年2月期第1四半期決算を発表しました。若手コンサルタントの増員などにより単価の伸びが鈍化したことが株式市場に嫌気されたと考えます。
 当月は新規に投資を開始した「MARUWA」について、投資の理由・魅力をコメントしたいと思います。MARUWAは放熱用セラミック部品の製造販売を手掛ける世界的大手企業です。ルーツは江戸時代から続く陶芸家の家系にあります。大正時代に和食器の製造を始め、戦後には陶磁器に事業を拡大しました。高度成長期の1960年には、急速に需要が拡大していた電子部品(通信機器向け特殊磁器、固定抵抗器用セラミック)の分野へ進出し、今日につながる事業の基盤を築きました。その後、M&Aなどにより自社にない技術・製品を取り入れながらも成長を続けてきました。
 セラミックとは、窯で無機物を焼結して製造される素材です。タイルや窓ガラス、電子部品など、様々な製品に使用されています。同社は高度な製造ノウハウを必要とする「ファインセラミック」の製造を得意としており、世界シェアは窒化アルミニウム製品では60%以上、アルミナジルコニアでは70%以上を保持していると当ファンドでは推測しています。
 当ファンドでは、今後の同社の成長ドライバーはEV(電気自動車)向け、およびデータセンター等の情報通信向けの放熱セラミックだと考えています。EVは従来のガソリン車と比べて高電圧の電気でモーターを動かすため、適切に放熱がなされなければ、パワーデバイスが発熱、膨張し、電子回路が破壊される恐れがあります。また、データセンターは大量の電気を必要とし、結果として発熱が避けられないため寒冷地を選んで設置されることがあると言われるほどなので、放熱部品の重要性は高まっていると思われます。放熱部品として他の素材が使われることもありますが、EV向けやデータセンター向けなどの重要な分野においては信頼性が高いセラミック部品が好まれています。以上の理由から、当ファンドでは同社がEVやデータセンター業界の成長から恩恵を受ける立場にあると考えています。また、同社は競争上の理由などから情報開示については消極的なため、株式市場からの認知度や理解度はまだ向上の余地もあると思われます。
 一方、一部の株式市場参加者には、情報通信や半導体関連の減速による同社業績への影響を懸念する見方もあるようです。しかしながら、いずれも過度な懸念は不要だと当ファンドでは考えています。情報通信向けについては、前期末から中国を中心に在庫調整の影響を受けたものの、足元では受注は底打ちにあると当ファンドでは推測しています。今後は生成AI向けの需要が立ち上がってくると思われ、主に高速通信分野向けの受注拡大を期待できると考えます。半導体関連向けについては、同社の売上の約50%は消耗品であると思われ、半導体関連向けの業績が安定している要因になっていると考えます。特に、摩耗しない性質を持つ石英部品については、同社のシェアが上昇している可能性に当ファンドでは期待しています。更に、同社はEV向けの需要拡大に対応するため、工場の新棟建設を発表しています。EV向けの世界シェアが高い同社のセラミック部品がなければ世界的な電動化・電装化の実現が遠のくと言っても過言ではありません。構造的に拡大する需要に対応して生産能力を増強していくことで業績拡大が進むと考えます。引き続き同社の成長に期待しています。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築しています。 
 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。
 中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2023年6月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年6月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比7.55%の上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、月前半は米連邦債務の上限停止による米国株高の流れを受け、大幅に上昇いたしました。月半ばには、FRB(連邦準備制度理事会)による追加利上げの示唆を受けた軟調な米国株の影響や、衆院解散への期待剥落が嫌気された一方、日銀の金融緩和の維持、米著名投資家の日本株追加投資の発表が好感され、一進一退の動きで推移しました。月後半は、株価上昇の反発と見られる下落の局面もありましたが、米景気悪化懸念の後退と円安進行が下支えをし、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。

ファンドの運用状況

 当ファンドの基準価額にプラスに貢献した企業は、アパレル製造小売業のファーストリテイリング、総合電機・重電メーカーの日立製作所、総合空調メーカーのダイキン工業などです。
 ファーストリテイリングは2023年5月の月次報告を発表し、既存店と直営店いずれも売上が好調であったことから、これを株式市場が好感したと思われます。日立製作所に関しては会社からのニュースはありませんでしたが、事業ポートフォリオの転換などが株式市場に好感されていると当ファンドでは考えます。ダイキン工業は中期経営計画の目標値を上方修正したことが株式市場に好感されたと思われます。
 基準価額にマイナスに影響した企業は、ペンタブレット等を製造販売するワコム、産業用太陽光発電所の開発・建設・保守を営むウエストホールディングスなどです。
 ワコムについては会社からのニュースはありませんでした。引き続き過剰流通在庫の問題を株式市場が嫌気していると思われます。ウエストホールディングスは、業績の進捗が株式市場の期待に届いていないことが嫌気されていると当ファンドでは考えています。
 当⽉は当ファンドが保有する「ダイキン工業」について、投資の理由・魅⼒をコメントしたいと思います。
 ダイキン工業は世界で唯一、空調機と冷媒の両方を開発・生産している世界的大手の総合空調メーカーです。同社は1924年に「大阪金属工業所」として創業し、当初は飛行機用ラジエーターチューブを製作していました。その後、1935年に日本初のフルオロカーボンガスの生産、1951年に日本初のパッケージエアコンなどを開発して収益基盤を築きました。同社の海外事業展開は1972年から始まり、積極的なM&Aや技術開発を背景に高成長を継続してきました。
 当ファンドでは、海外事業のなかでも特に欧米における構造的なシェア拡大に期待しています。例えば、欧州では冬の寒さが厳しい地域が多いことから、燃焼ボイラーで温めた温水で室内の暖房や給湯をまかなう燃焼式暖房が主流でした。しかしながら、世界的に脱炭素の動きが加速するなか、燃焼式暖房はCO2排出量の多さが問題視されるようになってきました。この問題に対して、同社は2006年に画期的な解決策を提示しました。同社が開発したヒートポンプ式冷暖房・給湯機は、1台で冷房・暖房・給湯をまかなうことができ、電力消費の抑制に寄与します。ヒートポンプは、空気中の熱をポンプのように汲み上げて空調や給湯のために必要な場所へ移動させる技術です。熱を「つくる」のではなく、すでに存在する熱を「集めて運ぶ」ことで省エネを実現しています。2008年には欧州議会で「再生可能エネルギー利用機器」に認定されました。脱炭素の潮流を追い風にヒートポンプ方式へと市場がシフトするなかで、同社はその恩恵を享受できる立ち位置にいると当ファンドでは考えています。
 一方、欧米の金融引締めとマクロ経済の減速を背景に、短期業績の悪化を懸念する見方もあるようです。一般的に、金融引締めの継続は住宅の購買意欲を減退させ、新築住宅着工数に対して下落圧力となることから、同社の販売に影響を及ぼす可能性は否定できません。
 しかしながら、そのような環境下でもヒートポンプ方式のシェア拡大による業績拡大の継続を当ファンドでは期待しています。ロシアによるウクライナ侵攻等に起因する世界的なエネルギー危機を受け、ヒートポンプ方式は一躍脚光を浴びています。特に光熱費高騰の影響を大きく受けた欧州については、各国政府のグリーンディール政策(環境保全・再生可能エネルギーなどの産業分野に大規模な投資を行い、新たな雇用を創出し、経済活性化を目指す政策)を背景とした補助金や税制優遇も追い風になると考えます。同社によれば、欧州におけるヒートポンプ暖房機の販売台数は2030年には2020年対比で10倍以上へ増加し、欧州暖房市場の50%以上のシェアを獲得すると考えられるとのことです。このような需要の拡大に対応するために、同社はポーランドにヒートポンプ暖房機の新工場の建設を進めています。急成長する市場に製品を安定して供給できる体制を構築することで、さらなる販売の拡大に繋がると考えられることから、引き続き同社の成長に期待しています。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業の調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築することを運用の基本方針としています。 
 調査活動においては社会の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生み出し、個別企業への調査を繰り返すことで具体的な投資アイデアに結び付けていきます。
 中長期的な観点から運用パフォーマンス向上を目指し、非財務情報についての分析と、企業との対話を進めていきます。当ファンドは、良質な投資パフォーマンスと同時に、よりよい社会を構築する一助となるべく、良い投資先企業を選別した上で、株主として支えて行く所存です。

2023年5月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年5月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比3.62%の上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、月前半に開催された米国FOMC(連邦公開市場委員会)の結果を受け、一時円高ドル安が進んだことで一進一退の動きで推移しました。月半ばには海外投資家による資金流入が続き、TOPIXと日経平均株価ともに約33年ぶりの高値を更新しました。東京証券取引所の市場改革への期待や、日銀の金融緩和継続姿勢もサポート材料となりました。一方で、月後半には中国の低調なPMI(製造業購買担当者景気指数)や、市場予想を下回る国内の4月の鉱工業生産指数の結果が懸念され、弱含みで推移しましたが、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。

ファンドの運用状況

 当ファンドの基準価額にプラスに寄与した銘柄は、保険会社の東京海上ホールディングス、半導体製造装置メーカーの東京エレクトロン、光学製品メーカーのHOYAなどです。東京海上ホールディングスは2024年3月期の通期連結業績予想にて連結純利益が前年比40.8%増と発表し、これを市場が好感したと思われます。また、当月は半導体関連銘柄が急伸し、東京エレクトロンやHOYAなどの株価が好調に推移しました。
 基準価額にマイナスに影響した銘柄は、広告業を営む電通グループ、太陽光発電関連事業のウエストホールディングス、総合ディスカウントストアを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスなどです。
 電通グループは2023年12月期第1四半期決算を発表し、営業利益が前年同期比36.7%減となったことを市場が嫌気したと思われます。ウエストホールディングスに関する大きなニュースはなかったと思われます。パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは2023年6月期通期業績予想を上方修正しましたが、市場予想の範囲内だったことから株価は軟調に推移したと考えます。
 投資行動としては、引き続きボトムアップ・リサーチを通じて得られた確信度に基づいた売買を行いました。
 ウエイトを引き上げたのは株主還元策の強化が期待される三菱地所や、前月に投資を開始した日本取引所グループなどです。
 一方で、事業多角化により経営の方向感が見えにくくなったと判断したSBIホールディングスや、株価が堅調でアップサイドが限定的となったと考えられる日清食品ホールディングスなどのウエイトを引き下げました。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築することを運用の基本方針としています。
 調査活動においては世の中の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気づき」を掛け合わせることで投資仮説を生みだし、個別企業の調査を繰り返すことで投資アイデアに結びつけます。
 日本では多くの企業が6月に株主総会を開催します。昨今、株主提案が増加しており、国内の機関投資家が賛同する比率も高まってきている状況について注視しています。株主から合理的な提案が増えることは、企業経営の規律を高めることにポジティブな影響をもたらすことが期待されます。株主提案が可決されれば直接的な影響がありますが、否決されたとしても賛成率が高ければ経営者の意識に大きな影響を与えます。当ファンドとしても、各企業の議案について精査して、議決権行使の判断を行う所存です。

中期的の活動方針と活動紹介

 当月は投資先である「エスプール」についての概要と、同社が運営する障がい者雇用支援施設見学の様子について紹介します。

エスプールの概要

 エスプールは人材関連のサービスを提供する企業です。かつては短期人材派遣を主力とする事業を営んでいましたが、リーマンショックや人材関連の法改正を受けて業績が悪化しました。2010年11月期決算で債務超過に陥ったことをきっかけに、経営方針を根本から見直しました。その中で、社会性の高い事業を営むことを柱に据えることを掲げ、2011年から障がい者雇用支援事業を開始しました。この事業は現在、同社の成長を牽引しており、2022年11月期決算では売上高は前年比約26%増加して全社売上の約2割強、営業利益は非開示ながら3~4割を占めていると推測されます(それ以外は人材派遣や環境コンサルティングなど)。
 同社が行っている障がい者雇用支援事業とは、企業の採用活動や採用後の労働環境整備のサポートサービスです。労働環境整備とは、具体的には農業用の設備を企業に貸し出すことで、顧客企業は雇った従業員に対して安定した環境で農作業の業務を行ってもらうことができるようになっています。

障がい者雇用支援事業の概要

 エスプールは企業が障がい者を雇用する活動のサポートを行っていますが、その必要性は何故生じるのでしょうか。
 最新の「障害者白書」によると、日本の18〜64歳の障がい者数(精神障がい者数は20~64歳で算出)は約388万人で、そのうち民間企業で働いている割合は15%程度です。より詳しく見てみると、身体障がい者(約101万人)の就業率は35%、知的障がい者(約58万人)は24%、精神障がい者(約228万人)は4%となっており、障がいの種類によって民間企業の就業率に大きな差が見られます。
 政府は民間企業に対して、全従業員に占める障がい者の比率を定め、雇用を義務付けています。この法定雇用率を達成できない場合、罰金や社名の公表などのペナルティが課せられます。しかし、現在法定雇用率を達成している企業の割合は全体のおよそ半分程度であり、さらに2024年には2.5%、2026年には2.7%への引き上げが予定されていることから達成度を向上させるためには雇用を増やし続ける必要があります。
 特に知的障がい者や精神障がい者の雇用率が低いため、その雇用を増やすことが期待されています。そのため、障がい者の雇用に関するソリューションを提供することは、社会へのポジティブな影響が大きい活動と考えられています。雇用する側とされる側の両方にとって有益な形で促進するためには、雇用する人に適した業務環境を整え、長期的な雇用を実現する工夫が必要です。ただし、通常の業務フローに参加することが雇用者や被雇用者にとって困難である場合や、雇用者側の業務効率に悪影響を与える可能性があるため、雇用率を容易に高めることはできません。
 同社は自社での障がい者雇用を進める中で、モチベーションを高めて働き続けられる業務を模索し、農作業にたどり着いたとのことです。広々とした自然に触れる職場環境を提供することで、長期的な雇用の実現につながり、定着率は92%と高い水準になっています。

社会性についての賛否

 障がい者が安定的に就労することは社会的にポジティブなインパクトを生み出します。収入面では、多くの障がい者が勤務している福祉作業所の平均的な収入が月およそ1.5万円程度であり、経済的な自立は難しい状況です。一方、エスプールのサービスを通じて雇用される障がい者は月13万円程度の収入を得ることができます。障がい者年金と合わせると月の収入が20万円程度となり、経済的に自立することが可能になります。収入の増加により、障がい者自身の自己肯定感が高まり、また親族の将来への不安も軽減されるでしょう。さらに、同社のサービスは完全に民間資金によって運営されているため、政府の補助金支出が減少し、財政面にもポジティブな影響をもたらします。
 一方で、当サービスに対して否定的な意見も存在します。就労者が本業に関わっていないため「お金を払って雇用率を買っている」という批難が主な議論となっています。2023年1月に共同通信がこの問題を取り上げ、政府が事業を規制する可能性が懸念されたことから同社の株価にも大きなマイナスの影響がありました。その後、厚生労働省がこの事実について実態調査を行い、同社を含まない一部の事業者のコンプライアンス体制について指摘はあったものの、事業自体を禁止する結果にはならなかったため、事業は継続される見通しです。
 なお、コンプライアンス体制への指摘などに対応するため、業界自体の健全化が必要であるとの認識から業界団体の設立が検討されており、同社も積極的に関与する方針を示しています。

施設見学

 エスプールが運営する農園について、当ファンドが現地を訪問し見学した際の所見をお伝えします。
 訪問した場所は千葉県市川市にある「わーくはぴねす農園市川」で、東京駅から約1時間の場所に位置しています。農園にはビニールハウスと休憩部屋が整備されており、スペースには十分な余裕があります。設備も安全性や快適性に配慮されており、環境面は充実しています。また、同社は土地利用に関する行政への手続きが煩雑な場合でも、丁寧に対応しています。このような環境整備は、障がい者雇用のメリットとしてだけでなく、大手企業を主な顧客としている同社にとっても優れたコンプライアンス体制を構築する上で強みとなっているでしょう。
 農園での作業に関しては、利用企業が全ての責任を持つ体制が取られています。利用企業は、障がい者3名に対して一人のサポートスタッフを雇用し、常駐させます。また、本社の人事部門などのメンバーも定期的に訪問し、現場の状況を確認します。企業によって異なりますが、週に一回人事部の担当者が訪問するケースや、ダイバーシティ研修や新入社員研修などで経営陣や多くの従業員が訪れるケースなど、様々な関わり方があります。利用企業によって差はありますが、作物の育成計画についての話し合いや、障がいのある就労者が訪問者に対して業務の説明を行うなど、単純な作業だけでなく、多様な経験を積むことができる環境も整備されているようです。このような取り組みにより、ノーマライゼーション(障がいのある人と社会の一員としての共生)に貢献していることを感じることができました。

おわりに

 以上、投資先であるエスプールの概要と同社が取り組んでいる障がい者雇用支援事業について紹介しました。社会貢献性のある事業であるため今後も注目し続ける方針です。また、今の状態が完璧ではないと考えるため、同社及び同業者が継続的に改善を進めていくことを期待しています。
 当ファンドは日本版スチュワードシップ・コード、国連が支援するPRI(責任投資原則)、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の考え方に準拠し、企業との対話を通じて相互理解を深め、良質なパフォーマンスを追求すると同時に、よりよい社会を構築する一助となることを目指してまいります。

2023年4月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年4月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比2.70%の上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、月前半に軟調な米国経済指標(ADP雇用統計、ISM非製造業景況感指数)が相次ぎ、景気後退懸念が高まったことから下落して始まりました。しかし月半ばには植田日銀総裁の金融緩和維持を支持する発言や、米著名投資家の日本株追加投資を巡る思惑から上昇に転じました。月後半は米地方銀行の巨額預金流出による警戒感から下落する局面もありましたが、日銀が金融緩和維持を決定したことで株式市場に安心感が広がり、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。

ファンドの運用状況

 当ファンドの基準価額にプラスに寄与した銘柄は、アパレル製造小売業のファーストリテイリング、ホームエンターテインメントを提供する任天堂、電機・娯楽・金融を営むソニーグループなどです。
 ファーストリテイリングは2023年8月期第2四半期決算を発表し、海外ユニクロ事業が業績をけん引し、累計の営業利益が前年同期比で16.4%増となったことを好感したと思われます。
 任天堂は北米で映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」のオープニング興行が好調と報じられ、今後の業績貢献への期待値が高まったと考えられます。ソニーグループに関する大きなニュースはなかったと思われます。
 基準価額にマイナスに影響した銘柄は、総合水処理大手の栗田工業、電線メーカーのSWCC(旧昭和電線ホールディングス㈱)、計測機器メーカーの堀場製作所などです。
 栗田工業は2023年3月期の業績予想を下方修正したことから失望売りされたと思われます。SWCC、堀場製作所に関する大きなニュースはなかったと思われます。
 投資行動としては、引き続きボトムアップ・リサーチを通じて得られた確信度に基づいた売買を行いました。
 当月新規で投資を開始したのは日本取引所グループです。同社は東京証券取引所や大阪取引所などを運営しており、日本の金融インフラの中心的存在と言えます。最近、東京証券取引所はPBR(株価純資産倍率)が1倍を割れている企業に対して状況の改善に向けた取り組みの開示要請を進めています。これにより市場が活性化すれば証券取引量が拡大し、同グループの業績拡大に寄与する可能性があります。
 また、ウエイトを引き上げたのは海外戦略に期待できる積水ハウスや訪日客の増加から恩恵を受けると考えられるパン・パシフィック・インターナショナルなどです。
 一方で、家庭用ゲーム機「Nintendo Switch」のハードウェア販売のピークアウトが懸念される任天堂や事業多角化に回帰したSBIホールディングスのウエイトを引き下げました。
 また、エネルギーなど市況連動関連の売上比率が上昇し、収益安定性が低下したと思われる兼松を全売却しました。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築することを運用の基本方針としています。
 調査活動においては世の中の大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動からえられる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生みだし、個別企業の調査を繰り返すことで投資アイデアに結びつけます。
 具体的には日本企業のガバナンス改善に向けた動きに注目します。当月下旬に金融庁から「コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム」が発表されました。企業価値向上に向けた施策として、コーポレートガバナンスの実質面の強化を促すためのプログラムで、事業ポートフォリオの見直し、サステナビリティ開示、指名・報酬委員会の機能強化などの具体的な施策が掲げられています。
 すでに東京証券取引所から株価が純資産価値以下の水準にある企業に対して資本コストやROE(株主資本利益率)を考慮するように要請が出ていることから、今回の金融庁の発表はそれらの企業に対して更なる経営改善のプレッシャーを与える内容となります。
 企業の経営改革が本格的に進む過程においては、経営体制の見直しが必要になる場合があります。特に経営トップの交代は経営方針変化のきっかけになることが多いため、重要なイベントとして注視してまいります。

中期的の活動方針と活動紹介

 当月は情報収集活動における昨今の環境変化とそれについての当ファンドの取り組み方針について紹介します。

情報収集に関する当ファンドの課題認識

 当ファンドでは投資判断に必要な情報を日々ボトムアップで収集しています。活動においては、企業の公表を主たる情報源とすることは一貫して変わらないのですが、情報の内容、発表方法、伝達経路など環境は日々変化しているため、変化に合わせて自らの活動内容を進化させ続ける必要があります。
 ここでは当ファンドが投資判断のために収集する情報を大きく二種類に分けて考えます。一つは企業がIR情報として文書化して公開している情報、もう一つは文書化されていない定性的な情報です。ここでは前者を文書情報、後者を非文書情報と呼びます。
 文書情報、非文書情報の有り様は時間の流れとともに常に変化していますが、最も顕著な傾向は文書情報が急増していることでしょう。その要因の一つは開示制度の整備にあります。会計制度の進化や、コーポレートガバナンス・コードのようなソフトロー(民間で自主的に定められているガイドラインのほか、行政府が示す法解釈等)の充実によって、財務、非財務ともに企業が開示を充実する流れが生じています。特に昨今は非財務情報の開示が急増しています。一例として日本で統合報告書を発行している企業数を見ると、2022年は872社となり10年で14倍に増加しています。日経平均株価に採用されている225社に関して言えば、そのおよそ9割が統合報告書を発行しています。
 また、IT技術の進化も情報量の増加を促しています。過去20年程を振り返れば、企業が自社のウェブサイトを作り、そこに決算説明資料を掲載し、最近では説明動画も公開するようになりました。つまりこれは非文書情報が文書情報に置き換わって、誰でもアクセスできるようになったということを意味しています。また、文書情報の伝達経路も変化しています。20年前は財務分析をする際にまず製本された有価証券報告書を購入して手入力する必要がありましたが、今では簡単にデジタルデータとして入手できるようになりました。
 従来、証券アナリストは企業とミーティングをし、財務データを収集することによって付加価値を生み出していましたが、その状況は大きく変化していると見ることができます。

状況変化に対する対応方針

 文書情報の増加により、企業から発信される情報が全ての市場参加者に公平に行き渡ることは健全な市場環境を作る上でポジティブな流れと言えるでしょう。一方で、それは投資家が差別化を図るために従来とは違うアプローチに取り組むことが求められるようになっていることを意味しています。この点について、当ファンドが進めている対応は大きく二つあります。
 一つ目は、文書情報の取り扱いの効率化です。情報を選別し、分析のシステム化を進めることで文書情報の急増に対応しています。主要企業の9割が統合報告書を発行している状況においては24時間365日を費やしたとしても、その全てを読み切ることはできませんので、まず深掘りする企業を選別する必要があります。また、企業の状況に合わせて調査の焦点を変えることも限られた時間の中で企業の情報を把握する上で有効な手段になります。また、昨今は財務のみならず非財務情報もESGデータとして定型化が進んでいるため、これらを有効に活用するために分析システムを日々改良し続けています。
 もう一つの方針は非文書情報について、情報ソースを多様化しています。従来であれば調査ミーティングの相手先の殆どが上場企業もしくは証券会社のアナリストでしたが、今では意識的にそれら以外とのミーティングを行うようにしています。例えばESG評価機関、IRコンサルタント、未上場企業、NPO/NGOなどがそれにあたります。これらの主体と対話を行うことは、単なる情報収集にとどまらず、活動の質を高めるためのアイデア創出にもつながると考えます。
 参考として、以下にそれぞれの主体とのミーティングの概要と狙いについて記述します。

  • ESG評価機関は、非財務情報のデータ化について日々新しい手法を開発しているため、その最新動向を把握のためにミーティングを行っています。また、データ利用者の立場から正確性や妥当性についてフィードバックを伝えることも、より健全な市場形成に貢献するために重要な活動と考えています。
  • IRコンサルタント、もしくはSR(株主対応)コンサルタントとのミーティングは、企業が投資家との対話に求めるニーズを把握するために有効です。一方で、投資家の立場から企業側に改善を求める点を伝えることによって、コンサルタントを通じて企業の行動変容につながることが期待されます。
  • 未上場企業は上場すれば投資候補になるため、将来の投資機会のための調査活動と言えます。また、スタートアップ企業の多くは、新しい社会構造を先取りしたビジネスを営んでいるため、経済構造の先行きについてのヒントを得ることができます。具体例の一つとして、3月にB Corporation(公益性の高い事業を行う企業へ与えられる民間認証制度)の認定企業が一堂に会するイベントに参加しました。日本のB Corporationの認定企業は現時点で20社程度ですが、急速に増加し始めており未上場企業においてもサステナビリティの意識が浸透し始めていることが確認できました。
  • NPO/NGOの中には環境や社会の課題についてそれぞれの立場から調査活動や問題提起を行っており、その内容は情報源として参考になります。また、近年、日本においてもNPO/NGOが株主提案をするケースが増えてきたため、議決権行使の場面でもその動きに注目する必要があると考えます。

おわりに

 以上、情報収集活動における昨今の環境変化とそれについての当ファンドの取り組み方針について紹介しました。
 当ファンドは日本版スチュワードシップ・コード、国連が支援するPRI(責任投資原則)、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の考え方に準拠し、企業との対話を通じて相互理解を深め、良質なパフォーマンスを追求すると同時に、よりよい社会を構築する一助となることを目指してまいります。

2023年3月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年3月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.70%の上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、FRB(米国連邦準備制度理事会)の利上げ再加速の思惑を受けて米国株式市場が軟調に推移する中、円安が日本株を支える展開で始まりました。月半ばにかけては、米シリコンバレー銀行の破綻に端を発した欧米金融不安の急拡大を受け、リスク回避姿勢が強まったことから大幅な下落に転じました。しかし月後半になると、スイスの金融大手UBSによるクレディ・スイス・グループ買収や米当局による預金保護などの対応で金融システムへの不安が和らぎ、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。

ファンドの運用状況

 当ファンドの基準価額にプラスに寄与した銘柄は、アパレル製造小売業のファーストリテイリング、電機・娯楽・金融を営むソニーグループ、総合電機メーカーの日立製作所などです。
 ファーストリテイリングは国内ユニクロの既存店売上が好調だったことを好感し株価が上昇したと思われます。ソニーグループ、日立製作所については大きなニュースはなかったと思われます。
 基準価額にマイナスに影響した銘柄は、保険会社の東京海上ホールディングス、金融持ち株会社のみずほフィナンシャルグループ、インターネットを基盤とした金融サービスを提供するSBIホールディングスなどです。いずれも金融業を営む企業で、米シリコンバレー銀行の破綻に端を発した欧米金融不安の拡大を市場が懸念したことが株価の下落要因だと考えられます。
 投資行動としては、引き続きボトムアップ・リサーチを通じて得られた確信度に基づいた売買を行いました。
 当月新規で投資を開始したのは日置電機です。同社は電気計測器の開発、生産、販売・サービスを社業としています。特に今後は電気自動車の普及で市場の急拡大が見込まれる、バッテリー関連の計測器に期待しています。また、パン・パシフィック・インターナショナルや積水ハウスなどのウエイトを引き上げました。一方で、兼松や富士電機のウエイトを引き下げ、伊藤忠商事を全売却しました。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築することを運用の基本方針としています。
 調査活動においては世のなかの大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動からえられる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生みだし、個別企業の調査を繰り返すことで投資アイデアに結びつけます。
 具体的には東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)の低い企業に対して状況の改善に向けた取り組みの開示要請を進めていることに注視していきます。東京証券取引所は2022年4月に行った上場市場再編の実効性を高めるためにフォローアップ会議を実施していますが、その中でPBRが1倍を割れている企業の経営陣に対して、自社の資本コストや資本収益性を的確に把握し、その状況や株価・時価総額の評価を議論のうえ、必要に応じて改善に向けた方針や具体的な取組、その進捗状況などを開示することを要請すると明確に述べています。2022年7月1日時点で東証プライム市場上場企業の50%、スタンダード市場上場企業の64%がPBR1倍割れの状況であるため、対象企業数は相当数に上ります。2023年春が実施時期とされており、今後、対象となる企業の行動に変化が出てくることが予想されます。市場の過半を占めている低PBR企業が株価評価の改善に取り組むのであれば、日本の株式市場全体の魅力が高まることにつながります。また、その過程においては、企業から当ファンドに投資家の意見を求める要請が増えることが予想されるため、これに適切に対応していく方針です。

中期的の活動方針と活動紹介

 当ファンドでは中長期的な運用力向上のため、非財務情報についての分析手法の高度化やコーチング手法の活用による対話力の強化を進めています。
 当月は当ファンドの投資先であるKDDIについて紹介します。

KDDIの概要

 KDDIは通信サービスを総合的に提供する企業です。1953年設立のKDD(国際電信電話㈱)、1985年発足のDDI(第二電電㈱)、1987年設立のIDO(日本移動通信㈱)の三社が2000年に合併し発足しました。
 合併したKDDIの経営方針はDDIの設立を主導した故稲盛和夫氏(京セラ㈱創業者)の経営哲学の影響を強く受けています。稲盛氏はDDIを設立する際に、新規参入によって競争をもたらすことが業界全体のサービス品質を向上させ、それを通じて日本経済の活性化に資するというビジョンを描き、繰り返し「動機善なりや、私心なかりしか」と自問自答しながら事業を推進したそうです。この考え方はKDDIの社是に反映され、今でも同社の経営指針の中心をなしています。それは堅実経営で株主に報いる姿勢を通じて、20年間増配を続けてきたという株主還元実績にも表れています。

KDDIとの対話

 当ファンドはKDDIの経営層やIR部門と定期的にミーティングを行っています。
 KDDIはこれまで携帯電話の普及を追い風としながら、堅実経営を続けて利益を増加させてきました。しかし、2018年頃から日本政府が通信料金に対する引き下げ圧力を強めたことでここ数年は全社ベースの成長率が鈍化しており、それが企業に閉塞感をもたらす懸念があります。そのような状況が改善するように働きかけることも投資家の役割であると考え、対話を続けています。当ファンドから要望やフィードバックを行っていますので、以下にその内容の一部を記します。
①通信障害の再発防止
 2022年7月にKDDIの通信網で大規模な障害が発生し、3,000万人以上に影響が及びました。近年、通信網は生活インフラを支える存在となっています。また今後は自動運転にも使われるようになることから、1分1秒止まるだけでも人命に影響を及ぼしかねません。当ファンドからは再発防止に向けての対応策強化と、その実効性を高めるための組織風土改善を進めることを要請しました。その後、障害発生時に他社回線を利用することができるサービスを開始するなど、対応策が進められています。
②統合報告書
 KDDIは統合報告書についての投資家フィードバックを重視しており、自社の事業やサステナビリティ活動の改善に活用する姿勢を示しています。当ファンドからは、具体的な取り組みを開示することや価値創造プロセスの図において循環(生み出したアウトカム(業績や社会に与えた影響など)が次のインプットにつながること)を意識してほしいという改善アイデアを伝えました。同社はこれらの投資家からのフィードバックを反映し、毎年少しずつ統合報告書を改善しています。今後も続けていく方針とのことで、当ファンドでは引き続きアイデアを提供していく予定です。
③再生可能エネルギー
 当ファンドではKDDIに対して再生可能エネルギー発電に取り組むことを要望しておりました。同社は通信網の運営において多大な電力を消費していることに加え、電力小売りサービスにおいても多くの電力を調達しています。日本は電源構成において化石燃料の比率が高いことから、電力調達が増えることによる温室効果ガス排出量の増加は重大な経営課題であり、その対策のために再生可能エネルギー発電を行うことは状況の緩和に有効だと考えます。同社からは2023年1月に再生可能エネルギー発電の事業化を目指すことが発表され、これはサステナビリティの観点で前向きな動きであると当ファンドは評価しています。
④生物多様性
 最新のミーティングでは生物多様性への対応策を確認しました。同社からは自社の活動が悪影響を及ぼさないために通信網敷設における設計や部材利用において取り組みを行っているという説明がなされました。また、それに加えて衛星通信、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)、ドローンなどの通信技術を使ったモニタリングのソリューションによって生物多様性保全に貢献することが目指されていると紹介されました。

今後の見通し

 通信料金に対する値下げ圧力がひと段落したことで、KDDIの業績見通しに改善の兆しが見えてきました。とはいえ、携帯電話は普及段階を過ぎたことから大きな成長を期待する段階にはないと考えます。そこで、同社は今後の方針として通信サービスの周辺領域を拡大することによる成長を志向しています。成長領域として位置づけられているのは個人向けの決済手数料や電力サービスである「付加価値ARPU(1契約あたりの平均売上金額)収入」と法人向けのDX(デジタルトランスフォーメーション)支援や事業基盤サービスである「NEXTコア事業」です。直近決算(2023年3月期第3四半期累計)において連結売上高は前年同期比で4.2%増ですが、上記2事業のみを取り出すと前年対比で約20%の成長を遂げています。全社売上に占める割合も20%を占める規模に達しており、今後全体を牽引する存在になることが期待されます。周辺領域については再生可能エネルギーや生物多様性などのソリューションと絡めることで、地球環境の課題解決につながる可能性を持っていることから、業績面からもサステナビリティの観点でも注目に値します。

おわりに

 以上、当ファンドの投資先であるKDDIについて紹介しました。当ファンドでは、投資家の意見に対して積極的に耳を傾ける同社の姿勢をポジティブに評価しており、今後も対話を続ける方針です。

 当ファンドは日本版スチュワードシップ・コード、国連が支援するPRI(責任投資原則)、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の考え方に準拠し、企業との対話を通じて相互理解を深め、良質なパフォーマンスを追求すると同時に、よりよい社会を構築する一助となることを目指してまいります。

2023年2月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年2月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.95%の上昇となりました。
 当月の日本株式市場は、米長期金利上昇などを受け米国株式市場が軟調となる中、円安が日本株を支える展開で始まりました。月半ばにかけては、市場予想を上回る米国のCPI(消費者物価指数)やPMI(総合購買担当者景気指数)を受けて利上げの長期化懸念が再燃し、日本株も下落に転じましたが、月後半にかけては、植田次期日銀総裁候補が所信聴取で金融緩和継続を明言したことや円安の進行が日本株相場を下支えし、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。

ファンドの運用状況

 当ファンドの基準価額にプラスに寄与した銘柄は、計測機器メーカーの堀場製作所、保険会社の東京海上ホールディングス、タイヤメーカーのブリヂストンなどです。
 堀場製作所は2022年12月期通期の決算を発表し、半導体関連事業が好調で営業利益が前年同期比43.1%の増益となり、市場想定以上の業績だったことが好感され株価が急伸したと思われます。
 東京海上ホールディングスは2023年3月期第3四半期決算を発表。第3四半期の経常利益が前年同期比78.8%の増加となり、これを市場が好感したと考えます。
 ブリヂストンは2022年12月期通期の決算を発表し、継続事業の調整後営業利益が前年同期比22.4%の増益となり、好調な業績が維持されていることを好感し株価が上昇したと思われます。
 基準価額にマイナスに影響した銘柄は、ホームエンターテインメントを提供する任天堂、太陽光発電関連事業を営むウエストホールディングス、小売・金融を営む丸井グループなどです。
 任天堂は2023年3月期通期業績予想を下方修正したことが嫌気され、株価は下落したと思われます。
 ウエストホールディングスについては大きなニュースはなかったと思われます。
 丸井グループは2023年3月期第3四半期決算を発表、第3四半期の経常利益が前年同期比6.7%の減益となり、これを市場が嫌気したと考えます。
 投資行動としては、引き続きボトムアップ・リサーチを通じて得られた確信度に基づいた売買を行いました。
 当⽉新規で投資を開始したのは三菱地所です。また、積水ハウスなどのウエイトを引き上げました。一方で、伊藤忠商事やワコムなどのウエイトを引き下げました。また、豊田自動織機を全売却しました。
 当ファンド ではESGの開示強化の一環としてESGリスクスコア(※1)と温室効果ガス排出量(※2)を自社で算出し開示しています。当ファンドのESGリスクスコアは20.8で、ファンドの参考指数であるTOPIXの23.7に比較して相対的にESGに関するリスクが低位であるという結果になっています。温室効果ガスの排出量については、売上100万ドルあたりスコープ1(⾃社設備からの排出量)と2(電⼒使⽤からの排出量)の合計が40.1トン、スコープ3(材料⽣産や製品使⽤などその他の活動全般からの排出量)が144.3トンであり、それぞれTOPIXの101.4トン、179.3トンに比較して低く、当ファンドが地球環境へあたえている負荷は相対的に低位となっています。

※1:サステナリティクス社のデータをもとに算出
※2:S&Pグローバル社の「Trucost」データをもとに算出した二酸化炭素換算の数値
※月次報告書作成時点で外部ベンダーから提供を受けたデータを掲載しております。本データは外部ベンダーより修正が⾏われる場合があります。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築することを運用の基本方針としています。
 調査活動においては世のなかの大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動からえられる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生みだし、個別企業の調査を繰り返すことで投資アイデアに結びつけます。
 具体的には国内の消費動向の変化について調査を進めます。特に注視するポイントは物価上昇の影響です。日本の1月のCPI(消費者物価指数、生鮮食品を除く)は前年同月比4.2%上昇と、41年4ヶ月ぶりの上昇率となっています。水準は世界的に見て低水準ではあるものの、上昇率は右肩上がりが続いており、欧米諸国がピークアウトしていることとは方向性が異なる点に注意が必要だと考えます。個別企業調査においては、各社が短期的な消費者センチメントの悪化リスクを回避できるか、デフレマインドの転換による事業機会を捉えられるか、という点を見極めていきます。
 また、日本国内においても新型コロナウイルスによる行動制限がほぼ完全になくなる状況が見えてきたことから、その状況について確認を進めていきます。例えば日本政府は中国での新型コロナウイルス感染者の急増に対処して強化していた水際対策を3月1日から緩和しました。2019年段階では訪日外国人の3分の1を中国が占めていたことから、中国からの観光客が本格的に回復することはインバウンド需要全体に大きなインパクトを与えると考えます。また、新型コロナウイルスが5月8日から季節性インフルエンザと同等の扱いになることが決まったため、今後は外出自粛が不要となり行動の自由度が高まります。人の流れの変化は消費動向に影響を与えることから、動向の把握に努めます。

中期的の活動方針と活動紹介

 当ファンドでは中長期的な運用力向上のため、非財務情報についての分析手法の高度化やコーチング手法の活用による対話力の強化を進めています。
 当月は「ESGデータを取り巻く環境の変化」と、それに対する当ファンドの対応状況を記述します。

非財務情報の増加がもたらす課題

 世界的にサステナビリティ意識が高まる中で、企業による非財務情報の開示が一般化し始めています。企業活動の透明性が高まるのは歓迎すべきトレンドですが、市場関係者はそのトレードオフ(両立できない関係性)で発生する問題を見過ごさないように注意が必要です。
 情報を開示する企業からすると、開示にかかるコスト負担が重くなることが問題です。特に規模が小さい企業にとっては相対的な負担が大きくなるため、企業間格差を助長する要因になりかねません。
 情報を利用する投資家側にとっても様々な課題が散見しています。その一つは調査時間の増加です。非財務情報は企業ごとに掲載場所が異なり、点在している場合もあるため情報を探し出すだけでもかなりの時間を要します。また、開示内容や様式も各社各様であるため、それらを理解して消化するのはかなりの労力を要します。
 データの正確性についても課題があります。開示基準や監査制度などが整備途上にあるため、企業が誤った情報を開示してしまう可能性もありますし、投資家が情報の解釈を誤る可能性もあります。
 比較的ルールが整備されている温室効果ガスの排出量であっても、計測範囲や計測方法によってその数値は大きく異なります。例えば一見すると「グループ全体での排出量」が開示されているように見えても実は「国内事業のみの排出量」ということもあり得ます。またスコープ3を含むかどうかでも状況は大きく異なります。計測の範囲や方法を見直すことで排出量が数倍になるということも珍しくありません。
 更に、比較可能性という点でも課題があります。投資判断をする際には企業を比較選別することが必要ですが、属性の異なる企業の非財務情報を比較するのは難易度が高い作業です。例えば人権対応の優劣を比較するとして、製造業とサービス業、グローバル企業とローカル企業など、属性の異なる企業の情報はどのように比較するのが適切でしょうか。

ESGデータの進化

 これらの問題に対する解決策の一つが、金融情報プロバイダーが提供しているESGデータの活用です。MSCI社、S&Pグローバル社、FTSE社、サステナリティクス社などの情報プロバイダーは近年急速にESGデータを拡充してきました。各プロバイダーは開示情報もしくはアンケート調査などを元に企業の非財務情報を整理し、一覧性の高い形でデータを提供しています。その上で、収集したデータに採点ロジックを掛け合わせることで独自の評価スコアを作り、企業のESG対応を比較しやすい形で提供しています。
 急速な進化を続けてきたESGデータですが、まだ改善の余地は大いにあり、関係者の努力が続いています。そのような中、足元で起きている新たな動きによって業界構造の変化が加速する可能性が出てきました。
 新たな動きはデータへのアクセスのしやすさという点において見られます。従来、ESGデータは上記のような情報プロバイダーから有料サービスとして提供されてきました。その結果、データにアクセスできる人は有料契約をしている企業の中にいる、一部の主にESGを専門とする人に限られるという図式となっていました。
 この構図に変化が起きています。例えばESG Book社が提供しているサービスは、ウェブサイト(https://www.esgbook.com/)から登録すれば誰でも無料で同社の発表しているESGスコアを見ることができます(有料契約をすると追加機能や詳細データを使える、いわゆるフリーミアムモデル)。
 また、金融業界にとって極めて影響が大きいと考えられるのはBloomberg社がESG関連サービスを加速的に進化させている点です。同社のサービスは基本的に有料ですが、すでに金融業界や企業のファイナンス部門などに多くいる既存ユーザーからしてみれば追加料金なしに使い慣れた情報端末を用いてESGデータにアクセスすることができます。同社はすでに以前からESGデータを提供していましたが、昨今データの質・量ともに目覚ましいスピードで整備を進めています。創業者のマイケル・ブルームバーク氏はSASB(Sustainability Accounting Standards Board、サステナビリティ 会計基準審議会)やTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures、気候関連財務情報開示タスクフォース)において議長を歴任するなどESG情報開示における中心的な存在であり、その知見も同社の機能開発には活かされていることが推察されます。

データが普及する中で人間が行うべきこと

 ESGデータがアクセスしやすくなればなるほど、データは広く普及するようになるでしょう。それはつまり、もしデータに誤りがあると今までより多くの誤解が生まれるリスクが高まっていることも意味します。
 例えばある企業が「人権方針」を開示していたとしても、情報プロバイダーがそれを見つけられなければ「No」と表示されてしまうことが起こり得ます。「No」の表記を見た人はその企業が「人権方針を制定していない」と解釈をするでしょうし、極端な人は「人権保護に消極的である」もしくは「人権侵害を容認している」と解釈するかもしれません。
 更にリスクが高いのは、本来は行われていないのに「人権侵害があった」という評価になるケースです。例えばメディアの誤報や、情報プロバイダーによる手違いなどによって、「人権侵害有り」のところに「Yes」という評価がついてしまうと、その企業は人権侵害をしているという目で見られることになります。もし投資先や取引先の選定プロセスにこのデータが使われると、「Yes」となった企業はデータスクリーニングの時点で対象から除外されてしまいます。IR活動においても事業活動においても大きなリスク要素であると言えるでしょう。
 なお、当ファンドではエンゲージメント活動の一環として、投資先企業や情報プロバイダーに対してESGデータの正否確認や誤データの修正依頼を行っています。その際、企業側がデータの誤りに気付いていることは稀であり、大半はそのようなリスク自体を認識できていません。急速なESGデータの発展に企業側の対応が追い付いていないという様子が感じ取れます。
 将来的には非財務情報開示の基準が制定され、監査やモニタリングの仕組みが作られることでデータ精度は高まるでしょう。しかし、求められる非財務情報の種類は今後も増えていくことが予想されるため、最前線では常に人間が関与する必要が出てくるでしょう。特にESGデータが普及することの恩恵を受ける立場にある投資家は、データ精度向上を通じて健全な市場形成に貢献する責任があると考えられます。このことは2022年12月に金融庁が公表した「ESG評価・データ提供機関に係る行動規範」(※3)の中でも投資家向けの提言として以下のように言及されています。
 「投資家は、自らが投資判断等に用いているESG評価・データについて、評価の目的、手法、制約を精査・理解し、評価結果に課題があると考え得る場合等には、ESG評価・データ提供機関や企業と対話を行うべきである。また、投資家自身が投資判断においてどのようにESG評価・データを利用するかについての基本的考え方を、一般に明らかにすべきである。」

※3:
https://www.fsa.go.jp/news/r4/singi/20221215/01.pdf(和文)
https://www.fsa.go.jp/news/r4/singi/20221215/02.pdf(英文)

おわりに

 以上、ESGデータを巡る昨今の環境の変化がもたらし得る課題とリスク及び、それに対する当ファンドの対応状況を記述しました。

 当ファンドは日本版スチュワードシップ・コード、国連が支援するPRI(責任投資原則)、TCFDの考え方に準拠し、企業との対話を通じて相互理解を深め、良質なパフォーマンスを追求すると同時に、よりよい社会を構築する一助となることを目指してまいります。

2023年1月の運用コメント

株式市場の状況

 2023年1月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比4.42%の上昇となりました。
 当月の日本株式市場は下落から始まりました。月前半に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した2022年12月の米製造業景況感指数が2年7カ月ぶりの低水準だったことや、中国製造業購買担当者景気指数(PMI)も低迷が続いたことから、景気後退への懸念が高まったのが主な要因と見られます。月半ばには、日銀が金融政策決定会合で大規模な金融緩和を維持すると発表したことを受け、株式市場は上昇に転じました。月後半には、米国連邦準備制度理事会(FRB)の理事が利上げ幅緩和の支持を表明したことや、米有力紙による早期利上げ停止の観測報道を受け、日本でも成長株を中心に株価が堅調に推移した結果、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。

ファンドの運用状況

 当ファンドの基準価額にプラスに寄与した銘柄は、電機・娯楽・金融を営むソニーグループ、空調機器メーカーのダイキン工業、半導体製造装置メーカーの東京エレクトロンなどです。
 いずれの会社も大きなニュースはなく、株式市場全体の上昇基調の恩恵を受けたものと思われます。
 基準価額にマイナスに影響した銘柄は、太陽光発電関連事業を営むウエストホールディングス、保険会社の東京海上ホールディングス、障がい者雇用や地域活性化など特徴のある人材サービス企業のエスプールなどです。
 ウエストホールディングスは2023年8月期の第1四半期決算を発表し、経常利益が前年同期比で38.3%減となったことが嫌気され、株価が下落したと考えます。
 東京海上ホールディングスについては大きなニュースはなかったと思われます。
 エスプールについては、同社が展開する障がい者の雇用支援サービスに対し、一部で否定的な報道がなされたことが株価の急落を引き起こしたと考えられます。記事の内容は同社の認識と相違があることから、会社側は自社の見解を開示し、サービスの正当性を主張しています。なお、当ファンドでは報道後に同社とミーティングを行い、事実関係と今後の方針について確認を行っています。
 投資行動としては、引き続きボトムアップ・リサーチを通じて得られた確信度に基づいた売買を行いました。
 当月新規で投資を開始したのは三菱UFJフィナンシャル・グループです。金利上昇の恩恵を受けることが期待されるほか、株主還元の拡充を進めていることも魅力です。海外展開も邦銀の中では進んでおり、東南アジアで過去に買収した地場の銀行が将来的には成長ドライバーとなり得ると考えています。
 また、ネクソンやセイコーグループ、みずほフィナンシャルグループなどのウエイトを引き上げました。
 一方で、スマートフォンを含む電子機器市場の減速懸念から、太陽誘電を全売却しました。また、豊田自動織機や伊藤忠商事、ブリヂストンなどのウエイトを引き下げました。
 当ファンドではESGの開示強化の一環としてESGリスクスコア(※1)と温室効果ガス排出量(※2)を自社で算出し開示しています。当ファンドのESGリスクスコアは20.9で、ファンドの参考指数であるTOPIXの23.7に比較して相対的にESGに関するリスクが低位であるという結果になっています。温室効果ガスの排出量については、売上100万ドルあたりスコープ1(⾃社設備からの排出量)と2(電⼒使⽤からの排出量)の合計が40.2トン、スコープ3(材料⽣産や製品使⽤などその他の活動全般からの排出量)が148.7トンであり、それぞれTOPIXの100.9トン、177.1トンに比較して低く、当ファンドが地球環境へあたえている負荷は相対的に低位となっています。

※1:サステナリティクス社のデータをもとに算出
※2:S&Pグローバル社の「Trucost」データをもとに算出した二酸化炭素換算の数値
※月次報告書作成時点で外部ベンダーから提供を受けたデータを掲載しております。本データは外部ベンダーより修正が⾏われる場合があります。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築することを運用の基本方針としています。
 調査活動においては世のなかの大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動から得られる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生みだし、個別企業の調査を繰り返すことで投資アイデアに結びつけます。
 具体的には日本の物価動向について注視します。日本においては長らくデフレ状態が続いていましたが足元は物価が約40年ぶりの上昇率となっています。物価上昇は資源高や円安が主要因と思われますが、賃上げを発表する企業も増えていることから構造的に物価が上昇し始めるシナリオも考えられます。物価上昇を追い風にできる企業の調査をするとともに、物価上昇のリスクについても今一度精査します。また、物価上昇期待が高まると、一部の日本企業においては過剰に保有している現金の量を減らすという動きが起こる可能性があります。バランスシートが非効率な企業が財務戦略を修正するきっかけとなる可能性もあるため、関心を払ってまいります。

中期的な活動方針と活動紹介

 当ファンドでは中長期的な運用力向上のため、非財務情報についての分析手法の高度化やコーチング手法の活用による対話力の強化を進めています。
 当月は当ファンドが2021年に投資を開始した日清食品ホールディングスについて、同社の概要やサステナビリティ対応について記述します。

日清食品ホールディングスの概要

 日清食品ホールディングスは安藤百福氏が1958年に即席麺事業を開始したことを受けて実質的なスタートを切った企業です。企業体としては1948年に設立された中交総社が1958年に社名変更して日清食品となりました。その後、2008年に持株会社化によって「日清食品ホールディングス」となり、即席麺を主とした食品の製造販売を行う企業グループを形成しています。
 同社は新規性に富んだ商品開発や、巧みなマーケティング戦略によって国内即席麺市場でトップの地位を確立し、海外にも事業展開をしています。主力商品であるカップヌードルは持ち運びしやすい容器や、容器に適した麺の成型など数多くの製品的なイノベーションによって開発されました。1971年の発売当時はカップに入った即席麺は他になく、発売直後は小売店での販売が芳しくありませんでした。そこで、官公庁や警察など小売店以外に販売することで活路を模索していたところ、翌1972年に犯罪対策で張り込む機動隊がカップヌードルを食べる場面がテレビニュースで流れ、それをきっかけに販売が軌道に乗りその後のロングセラー化の礎を築くこととなりました。商品開発のイノベーション、販売ルートの開拓、話題性の高さなど、同社の強みを象徴するストーリーであると言えます。

地球の健康

 日清食品ホールディングスは「EARTH FOOD CREATER」というスローガンを掲げ、新しい食文化を創造することで環境・社会課題を解決することを目指しています。
 環境問題については「地球の健康(Planetary Health)」というキーワードのもと、気候変動対策、資源有効活用、持続可能なサプライチェーンの構築などに取り組んでいます。
 そのうちの一つ、気候変動対策については2050年におけるカーボンニュートラルを目指し、温室効果ガスの削減に向けた活動を推進しています。同社の排出する温室効果ガスの9割近くをスコープ3が占めており、その内訳は原材料調達など生産面が70%となっています。つまり目標達成には全体の半分以上を占めている原材料調達関連の排出削減策がカギを握ります。
 その原材料調達におけるユニークな取り組みは動物性に比べて環境負荷が低いとされる植物性食品の活用(※3)です。具体的事例として、カップヌードルの主要具材の一つに「ダイスミンチ」というサイコロ型ミートがありますが、こちらは原料に大豆を使うことで環境負荷を抑える工夫がなされています。興味深い点は、同社の消費者とのコミュニケーションの取り方です。環境負荷低減を前面に押し出すことで意識の高い人からの支持を高めるという方法もありますが、同社はそのようなメッセージの出し方をしていません。むしろ、ダイスミンチは「原材料に肉以外の何かが含まれているけど何だかわからない」ということで消費者から「謎肉」と呼ばれていますが、そのことを肯定する態度をとっていました(※4)。結果として、多くの人が同社商品に親しみを持って食べ続けることとなり、環境問題への関心が薄い人も巻き込む形で植物性食品の比率を高めることに成功しています(※5)。
 現在、ヴィーガン対応や培養肉などの研究開発が進められており、技術力とマーケティング力で今後更に環境負荷低減に貢献することが期待されます。

※3:タンパク質100グラムを生産するのに発生するCO2は牛肉で35グラム、エンドウ豆で0.4グラム(出所:Our World in Data)
※4:2017年に豚肉と大豆由来の原料に野菜などを混ぜて味付けしたミンチであると公表
※5:カップヌードルは発売から50年以上経過したが今でも販売量は増加基調にあり、2021年には500億食の販売を達成した

人間の健康

 地球の健康に加え、同社は人間の健康(Human Well-being)にも貢献しています。
 その一つの事例が完全栄養食の事業です。これは現代人が摂取するカロリーや栄養素の偏りという課題を解決することを目指して、栄養バランスが良く、手軽に食べられる食品を製造販売する取り組みです。2021年から企業の社員食堂にて完全栄養食の提供を始め、2022年にはパッケージ商品「完全メシ」を発売しました。事業としてはまだ立ち上げ段階ですが、すでに商品ラインアップはカレーライス、麺類、パン、スムージー、グラノーラなど複数にわたっており、4ヶ月で累計400万食販売するなど出足は好調です。
 商品パッケージに書かれた「栄養バランスを考えるのが、めんどくせぇヤツらに」という刺激的なメッセージから読み取れるのは、完全メシが健康意識の高くない人をターゲットにしているということです。健康意識が高い人は既に栄養バランスを考慮しているでしょう。よって人間の健康への貢献という観点からは、健康意識の高くない人をターゲットにするということの方がインパクトは大きいと思われます。
 しかし、健康意識が高くない人に健康的な食事を摂取してもらうのは簡単ではありません。その点において、同社は味を犠牲にせず、リーズナブルな価格で、入手しやすい販売ルートを構築し、興味をそそるメッセージ発信を行うことで、販売を推進しています。始まって間もない取り組みですが、同社が長年培ってきた独自の技術開発力、生産力、マーケティング力などの強みを総動員することで課題解決を目指す活動であり、その将来性は注目に値します。

情報開示における独自性

 日清食品ホールディングスは事業活動だけでなく、情報開示においても独自の取り組みを行っています。その一つがESG活動と企業価値の相関性分析で、「社会課題貢献型の食品数」や「水使用量」などの項目と株価評価との相関性を具体的な数字として計測しています。例えば「社会課題貢献型の食品数1%の増加はその年のPBRを1%上昇させる」、「水使用量を1%削減すると10年後のPBRが1.8%上昇する」、というような分析結果です。分析対象となる項目数は実に270にも及んでおり、単体項目の分析に加えて、複数項目の関係性についても分析が進められています。
 これらの分析の一部は試行錯誤の段階であることから、社内では開示することに対して慎重な意見もあったそうですが、外部のフィードバックを受けることでPDCAサイクルを回すことを重視して開示に至ったとのことです。企業がステークホルダーのフィードバックを経営改善の推進力につなげる姿勢を示せば、投資家も株主として関わることの意義を感じることから、長期投資の対象としやすくなると言えます。
 なお、同社CEOの安藤宏基氏は2010年から日本における国連WFP(World Food Programme:WFP国連世界食糧計画)の公式支援窓口である国連WFP協会の会長を務めるなど、サステナビリティ分野での経験が豊富です。そのような背景が、同社の開示や対話の姿勢に影響を及ぼしていると推察されます。

今後に向けての対話

 当ファンドが日清食品ホールディングスと行った最新のミーティングにおいては、上述したESG活動の詳細や開示の方針を確認したことに加え、「TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)における開示内容」についての意見交換などを行いました。
 TNFDは生物多様性など「自然」が財務に与える影響を開示するためのフレームワークです。生物多様性の開示についてはまだ共通の指標は固まっていませんが、今後開示が求められるようになると思われる項目としては、「生物多様性に関する方針」、「環境保護区域での事業活動状況」、「生態系破壊の有無」「森林等の管理方法の持続可能性」などがあげられます。これらの項目については投資家が各企業の状況を横比較できるツールの開発も進んでおり、今後開示要求が高まることが予想されるため、当ファンドからは同社に関連情報の提供を行いました。
 生物多様性の開示について、日本ではまだほとんどの企業が未着手の状態ですが、同社はこの点に高い関心を持っています。すでに次の一手として自然資本を増やす「ネイチャーポジティブ」という考えのもと、サプライヤーと協力して再生型農業、再生型養殖の普及を進めるための活動にも着手しており、その進展に期待が持てます。

おわりに

 以上、当ファンドの投資先である日清食品ホールディングスについて、同社のサステナビリティに関する状況を紹介しました。独自性を重視した同社の取り組みは注目に値します。当ファンドでは同社の活動が更に進化することを期待しつつ、今後も対話を継続する方針です。

 当ファンドは日本版スチュワードシップ・コード、国連が支援するPRI(責任投資原則)、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の考え方に準拠し、企業との対話を通じて相互理解を深め、良質なパフォーマンスを追求すると同時に、よりよい社会を構築する一助となることを目指してまいります。

2022年12月の運用コメント

株式市場の状況

 2022年12月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比4.57%の下落となりました。
 当月の日本株式市場は、11月30日にFRB(米国連邦準備制度理事会)のパウエル議長が12月のFOMC(連邦公開市場委員会)における利上げ減速を示唆したことを受け、上昇して始まりましたが、その後は米国景気悪化懸念の高まりなどから下落基調をたどりました。月半ばには、欧米中銀の金融引き締め継続による景気悪化懸念や、日銀が長期金利の許容変動幅を修正したことなどを受け、金融政策の転換懸念から株式市場は大幅に下落しました。月後半にかけては、中国が事実上「ゼロコロナ政策」を終了したことでインバウンドや中国経済再開期待が生じる一方、米国の半導体株安や円高の進行を受けて、一進一退で推移しました。

ファンドの運用状況

 当ファンドの基準価額にプラスに寄与した銘柄は、駐車場やリゾート施設を運営する日本駐車場開発、総合ディスカウントストアを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスなどです。
 日本駐車場開発は2023年7月期第1四半期決算を発表し、営業利益が前年同期比88.7%増と大幅な増益になったことが好感されたと思われます。パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、中国の新型コロナウイルス感染症対策が緩和され、日本を訪れる外国人の増加を見込んで株価が強含んだと考えます。
 基準価額にマイナスに影響した銘柄は、電機・娯楽・金融を営むソニーグループ、タイヤメーカーのブリヂストン、空調機器メーカーのダイキン工業などです。
 ソニーグループ、ブリヂストン、ダイキン工業はいずれも大きなニュースはなく、為替相場で進んだ円高による業績への悪影響を懸念した売りが出ていると考えます。
 投資行動としては、引き続きボトムアップ・リサーチを通じて得られた確信度に基づいた売買を行いました。
 当月は4銘柄に新規投資を開始しました。
 1つ目は住宅メーカーの積水ハウスです。国内では環境負荷が低いZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を推進しており、同社が手掛ける新築住宅の9割に達しています。また、海外展開が順調に進んでおり、特に米国での住宅販売事業が高い成長を遂げています。これらの成長ドライバーに対して株価は割安に取引されていると当ファンドでは考えます。
 2つ目はゲーム会社のネクソンです。バーチャルワールドの運営力が高く、質の高い新作ゲームの開発に期待するほか、規模の大きい中国市場での展開が見込まれます。それにもかかわらず株価は割安に取引されていると考えます。
 3つ目は時計メーカーのセイコーグループです。経営陣が改革を進めた結果、同社のブランド力が向上していると思われます。特に、「グランドセイコー」ブランドは海外での評価が高まっており、今後増加が見込まれる訪日外国人の需要をとらえる可能性が出てきていると考えています。
 4つ目は銀行業を営むみずほフィナンシャルグループです。2022年2月、前年の大規模システム障害の引責で経営陣が交代し、木原社長を中心とした新しい経営陣による企業風土改革が進められています。最近実施したミーティングでは投資家との対話姿勢が以前より前向きになっており、変化の兆しが感じられました。同社は歴史的に重厚長大産業との関係が深く、中長期的に脱炭素トランジション(カーボンニュートラル実現に向けた着実なCO2削減の取組)を金融面からサポートする役割が期待されます。足元の金利上昇による採算性の改善期待と合わせて、今後の業績が上向く可能性を鑑み、投資を開始しました。
 一方で日本電産とジンズホールディングスを全売却、太陽誘電などのウエイトを引き下げました。日本電産は競合のシェア上昇リスクや後継者不在リスクを懸念しました。太陽誘電はスマートフォンの需要が減退していることが懸念材料です。
 当ファンドではESGの開示強化の一環としてESGリスクスコア(※1)と温室効果ガス排出量(※2)を自社で算出し開示しています。当ファンドのESGリスクスコアは21.1で、ファンドの参考指数であるTOPIXの23.7に比較して相対的にESGに関するリスクが低位であるという結果になっています。温室効果ガスの排出量については、売上100万ドルあたりスコープ1(⾃社設備からの排出量)と2(電⼒使⽤からの排出量)の合計が42.4トン、スコープ3(材料⽣産や製品使⽤などその他の活動全般からの排出量)が148.0トンであり、それぞれTOPIXの99.0トン、171.6トンに比較して低く、当ファンドが地球環境へあたえている負荷は相対的に低位となっています。

※1:サステナリティクス社のデータをもとに算出
※2:S&Pグローバル社の「Trucost」データをもとに算出した二酸化炭素換算の数値
※⽉次報告書作成時点で外部ベンダーから提供を受けたデータを掲載しております。本データは外部ベンダーより修正が⾏われる場合があります。

今後の運用方針

 当ファンドは個別企業調査を通じて選び抜いた持続可能性の高い企業に投資をし、確信度を基準に積み上げ型でポートフォリオを構築することを運用の基本方針としています。
 調査活動においては世のなかの大きな潮流を念頭に、過去の調査の蓄積と日々の活動からえられる「気付き」を掛け合わせることで投資仮説を生みだし、個別企業の調査を繰り返すことで投資アイデアに結びつけます。
 具体的には、状況の変化が激しい中国の動向について注視しつつ、日本企業への影響を考察します。中国がゼロコロナ政策を改めたことにより、感染が急拡大している模様です。また、中国国内で変異したウイルスが中国国外にも広がる懸念があり、その影響も気になるところです。
 一方で、少し目線を先に向けると、感染が落ち着きを見せた後には中国の消費回復が見込まれます。2023年1月から中国の入国制限が緩和されることで中国人は海外に渡航しやすくなるため、日本を含む海外に訪れる人の増加が見込まれます。2019年には訪日外国人の3分の1を中国が占めていたことから、中国の人流回復は日本の観光産業に大きな影響を及ぼすことが見込まれます。来日する人が増えれば消費のみならず、不動産などへの投資が活発化するかもしれません。
 日本では11月の消費者物価指数は前年比3.7%上昇と40年ぶりの物価上昇水準となっています。ここで更に需要が拡大すれば長らく続いていた日本のディスインフレ状態(デフレは抜けたがインフレになっていない状態)が本質的に変化することも考えられるため動向把握に努めます。
 なお、当ファンドではボトムアップ・アプローチをとっているため、マクロ経済の予測のみをもって投資判断を行うことはしていません。経済動向については高い関心を払っていますが、それらは企業の業績予想やリスク分析などファンダメンタルズ評価の参考情報として活用することとしています。

中期的の活動方針と活動紹介

 当ファンドでは中長期的な運用力向上のため、非財務情報についての分析手法の高度化やコーチング手法の活用による対話力の強化を進めています。
 当月は投資先企業であるコクヨを取り上げ、同社の経営改善の過程と今後の期待について記述します。

コクヨの概要

 コクヨは文具とオフィス家具の製造販売を主力とする企業です。
 1905年に商人が使う帳簿の表紙を作る「黒田表紙店」として創業した同社は、時代を経る中で便箋やノートに製品を拡大し、現在は文具全般を展開しています。祖業の流れをくむノートは国内トップシェアを誇っており、その代表格である「Campus」ブランドのノートは長きにわたって日本の学びと仕事を支えてきました。
 また、1960年に文書キャビネットの製造を開始したことをきっかけに、オフィス家具にも事業の幅を広げた同社は、現在オフィス設計の提案から関わることで内装についてのトータルソリューションへとビジネスを進化させています。

投資家との対話姿勢

 当ファンドではコクヨに2015年に投資を開始しました。同年に就任した黒田英邦社長による経営方針への期待に加え、IR活動に積極化の兆しが見え始めたことが投資を検討し始めたきっかけです。
 その後、当ファンドでは同社の経営陣やIR部門と継続的に対話を続けてきていますが、同社のIR体制は年々改善を続けており、昨今は創意工夫による独自の取り組みが目立つようになってきました。
 最新のミーティング(2022年12月開催)においては、コクヨ自らが投資家と議論したいポイントを「中長期戦略にかかるディスカッションペーパー」という形でまとめて、フィードバックを求めるという形態で進められました。このディスカッションペーパーは経済産業省作成の「価値協創ガイダンス」をベースに作成されています。
 価値協創ガイダンスは企業に対して開示内容を5つの項目(①価値観、②長期戦略、③実行戦略、④成果と重要な成果指標(KPI)、⑤ガバナンス)とそれぞれの詳細項目という形でまとめることを推奨しており、コクヨはそれに従いディスカッションペーパーをまとめています。
 このアプローチは企業が定性情報について外部フィードバックを受けるという観点において大変有効だと感じます。
 価値観や戦略などの定性情報についての開示は、会計基準のようなフォーマットがなく標準化がされていないことから、企業が内容を恣意的に選択する余地があります。企業側に選択権があるのであれば当然ながらその内容は自社の強みをアピールする形でまとめられがちです。すると、本当はしっかりと検討した方がよい「弱み」や「課題」の部分に盲点が生じてしまうことになります。
 そこで、価値協創ガイダンスのようなフォーマットに従って開示を行うことによって、盲点の発生を防ぐことができます。実際にコクヨはこのアプローチによって「競争優位性」、「KPI」、「役員報酬」についての開示が足りていないということに自ら気付き、投資家との対話においてはその点についてフィードバックを求めるという進め方に至っています。

コクヨの競争優位性

 当ファンドでは上記の様な対話を通じてコクヨのオフィス家具事業についての優位性について理解を深めました。それらは隠れた先行投資による効果と言えるもので、二つの事例によって具体的に見ることができます。
 一つ目の事例は「ライブオフィス」です。ライブオフィスとはショールームとして外部に開放している自社オフィスのことです。オフィスは多くの人が活動する場であるため、設計図だけでは使いやすさを把握することに限界があります。コクヨは自社オフィスで最新の働き方を試し、それを顧客に見てもらうというアプローチによって、事前イメージと完成形にギャップが生まれにくい仕組みを構築しています。
 同業他社も同様の取り組みを行っていますが、コクヨは1969年に初めてのライブオフィスをつくり、現在は全国に20ヶ所以上のライブオフィスを有するなど、歴史的にも規模的にも他社を凌駕しています。自らコスト負担、リスク負担を行って実証実験することが提案力の強化につながっていると考えられます。
 もう一つの事例はコミュニケーションスペースの拡大です。同社のオフィス家具事業は、2008年の金融危機後の苦戦を受けてビジネスモデルを販売中心型から提案型へと転換することで立て直しを図りました。その際に取り組んだのが、顧客オフィスに占めるコミュニケーションスペースの面積を従来の15%から30%へ広げるという提案です。この提案は顧客企業にとっては労働環境の改善や偶発的な出会いによるイノベーション促進などの効果という価値につながります。一方のコクヨにとっては執務スペースを減らすとオフィス家具の販売量が減るリスクがあるため簡単な決断ではなかったそうですが、最終的にコミュニケーションスペース拡大を提案する方針を取るに至りました。
 そのような顧客重視姿勢が功を奏したことが提案力の強化となり、設計から関与する現在のビジネスモデルの強みになっているということが推察されます。

更なる評価改善に向けて

 最後に、コクヨの評価が更に改善するための施策について、最新のミーティングにおいて当ファンドから同社に伝えた意見を紹介します。
 一つは財務的な観点として、ROE(株主資本利益率)の改善継続を期待するという意見です。同社のROEは2000年から15年間にわたり3%台以下の水準が続いていました。その後、利益率の改善や株主還元強化によってROEは上昇傾向となり当期末には7%台後半に達する見込みです。上昇傾向にある点はポジティブですが、現状水準だと日本の平均的な株主資本コストと言われている8%に及ばない状況です。同社は財務内容が非常に健全であり(それ自体は良いことですが)、結果として事業規模に比して株主資本が大きすぎることとなりROEの水準を引き下げる要因となっています。もう一段の株主還元強化によって株主資本の規模が適正化されれば、株価評価が大きく改善する可能性があると思われます。
 もう一つの意見は非財務的な観点として、社会的インパクトの創出を期待する旨を伝えました。その点に関しては、コクヨ側からはインクルーシブデザイン(※3)の比率を高める活動に注目してほしいという返答がなされました。コクヨはチャレンジ目標として新商品に占めるインクルーシブデザインの比率について2024年に20%、2030年に50%という目標値を発表しています。目標の達成に向けて、障がいをもった従業員も参加する形での商品開発の取り組みが始められたとのことです。
 インクルーシブデザインを採用することの直接的な収益インパクトは大きくないかもしれませんが、このような姿勢に共感する人が強い支持層になれば、事業推進にも株価評価にもプラスの影響が及ぶと期待されます。

※3:従来、顧客対象から置き去りにされがちだった人々、例えば、高齢である、障がいがある、その地の言語を母語としないといった人たちと一緒に、商品やサービスのデザインプロセスの上流から開発を進める手法

おわりに

 以上、当ファンドの投資先であるコクヨについて、経営改善の過程と今後の期待について紹介しました。当ファンドとしては引き続き対話を通じて同社の価値創造を側面から支援していく方針です。

 当ファンドは日本版スチュワードシップ・コード、国連が支援するPRI(責任投資原則)、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の考え方に準拠し、企業との対話を通じて相互理解を深め、良質なパフォーマンスを追求すると同時に、よりよい社会を構築する一助となることを目指してまいります。

主な投資リスク、費用等

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